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Notes of Throwing Snow

Notes of Throwing Snow

スローイング・スノーへの問いかけ

竹内正太郎    Jun 17,2014 UP

 スローイング・スノーことロス・トーンズ。90年代のブリストル・サウンドを今日的に蘇生させ、UKのクラブ・カルチャーの突端を走ろうとしているこの新たな才能は、2000年代半ばより自らもレーベル運営を行い、自作とともに他の才能のフックアップにおいてもキレを見せている。以下は、そんなトーンズの「プロデュース」における多面性が詳らかになるインタヴュー記録だ。

わたしはいつでもブリストルの音楽を愛しています。ブリストルには自由があって、イギリスの他のどの場所ともちがうことをしたいという強い願望があるのです。


Throwing Snow- Mosaic
Houndstooth / Pヴァイン

ElectronicIDMDubstep

Tower HMV Amazon iTunes

■サウンドクラウドのプロフィールには「London/Bristol/Weardale」とありますが、現在の活動拠点はどちらの町なんでしょう? また、その場所を選んだ理由を教えてください。

ロス・トーンズ:いまはロンドンに住んでいますが、わたしの一部はいまでも昔住んでいたウェアデールとブリストルにいるつもりです。ロンドンはわたしが現在住みたいと思う音楽とカルチャーのメルティング・ポットです。絶え間なくインスピレーションの源になることもその理由ですね。ここならなんでもできるし、世界のどこへも行くことができるのです。

■あなたの音楽性を紹介するメディアの文章で、「フォークからダブステップまで」という表現を見かけました。あなたのなかの雑食性はどのようにして育まれたのでしょうか? もっとも影響を受けた音楽は何ですか?

トーンズ:本当にいろんな音楽にハマってきました。なんにでも興味を持っていた時期があって、そのころはどんな音楽でも(それがよいものであれば)好きになったんです。音楽の趣向はとても主観的なものだから、他人を満足させるのは難しいことだと思います。さまざまなスタイルの音楽を受け入れてきたこと以外に大きな影響があるとは言えません。とはいえ、子どもの頃にラジオでジョン・ピール(John Peel)を聴いたことが大きな衝撃でもありました。

■あなたにはレーベルの管理者という顔もありますね。音楽の創作だけではなく、レーベルをはじめるようになったきっかけを教えてください。既存のレーベルでは満足できなかったのですか?

トーンズ:myspaceが流行っていた頃に音楽をリリースしはじめました。音楽業界が変わってきて、やり方を変えるチャンスだと感じたからです。アーティストにお金を稼いでほしかったし、クリエイティヴ面で完全な自由を与えたかったのです。そしてデジタル技術の発達による民主化が素晴らしいと思いつつも、フィジカル面はキープしつづけたいと思っていました。ミュージシャンが権利を自分で保持できるシステムも構築したいと考えていました。

■〈ア・フューチャー・ウィズアウト(A Future Without)〉と、〈レフト・ブランク(Left Blank)〉では、レーベルの位置づけはどのように異なるのでしょうか? それぞれの特徴を教えてください。

トーンズ:〈ア・フューチャー・ウィズアウト〉は、いまではポストカード・レコードや折り紙のようなジャケットのレコードなどおもしろいと思うフィジカルでのリリースを目的としています。いままではたくさんのリリースをしてきましたが、もっと特別なプロジェクトに集中したいのでリリース量は減らしています。〈ア・フューチャー・ウィズアウト〉がいろんなジャンルを扱うのに対して、〈レフト・ブランク〉は一風変わったダンス・ミュージックをアナログでリリースしています。3人で運営していて、全員の意見が一致しないとリリースしません。量ではなくて質が問題なのです。

■〈ア・フューチャー・ウィズアウト〉からはカーン(Kahn)が最初のEPをリリースしていたり、〈レフト・ブランク〉からはヴェッセル(Vessel)が2枚のEPをリリースしていますが、ヤング・エコー(Young Echo)のような音楽はいま「ブリストル・ニュー・スクール」として注目されています。現地のシーンがどのように盛り上がっているのか、教えてください。

トーンズ:〈ア・フューチャー・ウィズアウト〉からはジョウ(Zhou)とエル・キッド(El Kid)もリリースしています。ラッキーなことにヤング・エコーの最初もここからでした。わたしはいつでもブリストルの音楽を愛しています。新しいアーティストも例外ではありません。ブリストルには自由があって、イギリスの他のどの場所ともちがうことをしたいという強い願望があるのです。つねに前に進もうとしているところも大好きなんです。


このアルバムはわたしが過去にリリースしてきた幅広いスタイルの音楽の集大成です。これでわたしはさらに先へと進むのです。

Throwing Snow feat. Adda Kaleh - The Tempest from Rick Robin on Vimeo.

■『モザイク』にはいろんな種類のビートが打ちこまれていますね。ダブステップやジューク、トリップホップ、ドラムンベースのようなビートまで。これをアルバムにまとめるのは大変ではなかったですか? 統合するためのコンセプトなどはありましたか?

トーンズ:アルバムをひとまとめに繋ぎあわせた唯一のものは、まるでモザイクのようにわたしに影響を与えてきたものたちです。トラックに込めた感情やサウンドはすべて同じです。しかし、使ってきた素材はいままでのものを再構築したものです。すべてプロデューサーとしてのわたしから出てきたものなので、うまくひとまとめになったと思います。リスナーにもそれを感じ取ってもらいたいと思っています。

■アダ・カレ(Adda Kaleh)、キッド・A(Kid A)、Py、ヤシー・グレ(Jassy Grez)、今回はたくさんの女性ヴォーカリストが参加していますが、人選はどのように行われたのでしょうか? また、ヴォーカルをフィーチャーした作品にしようとしたのはなぜですか? たとえば、ケレラ(Kelela)やFKAツウィグス(FKA twigs)などの存在は意識しましたか?

トーンズ:いつでもヴォーカリストと仕事をしたいと思っています。人間的な要素や、独立した物語を音楽に加えることができるからです。ケレラやFKAツウィグスのやっていることは好きですが、彼女たちがリリースする前から曲を作っていたのでこのアルバムへの影響はありませんでした。今回選んだヴォーカリストは自信を持ってよいクオリティだと思う人だけで、声も大好きな人たちばかりです。たぶんこれがわたしのプロデュースのやり方なんだと思います。わたしは曲が最終的にこのような形になるとは予期していませんでした。曲自体が自然に出来上がっていったのです。

■なかでも、2曲で参加しているアダ・カレは非常に印象的です。彼女はFIAC(Foire Internationale d'Art Contemporain)に参加するような現代美術のアーティストだと聞いています。彼女との出会いや、ヴォーカリストとしてどこに惹かれたのかを教えてください。

トーンズ:彼女とはニューヨークでのRBMA(レッド・ブル・ミュージック・アカデミー)で出会いました。彼女の音楽と声だけでなくて創造性と芸術に対する彼女の姿勢も大好きです。彼女は多才ですが、とても控えめな人です。 わたしは彼女のそのような部分もまた好きなのです。彼女が持つ他の芸術分野についての知識は、彼女の歌い方にドラマチックで力強い感性を与えているはずです。

■アルバムのタイトルを『Mosaic(モザイク)』にしたのはなぜですか? どんな意味を込めたのでしょう?

トーンズ:プロデューサーとしてのわたしに影響を与えてきたサウンド、音楽は、モザイクのようなものだからです。このアルバムはわたしが過去にリリースしてきた幅広いスタイルの音楽の集大成です。これでわたしはさらに先へと進むのです。


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スローイング・スノーのデビュー・アルバム『モザイク』のジャケットを、「Layar」を通して眺めてみよう。スローイング・スノーの世界がもうひとつ動き出すだろう。
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質問作成:竹内正太郎(2014年6月17日)

Profile

竹内正太郎竹内正太郎/Masataro Takeuchi
1986年新潟県生まれ。大学在籍時より、ブログで音楽について執筆。現在、第二の故郷である群馬県に在住。荒廃していく郊外を見つめている。 http://atlas2011.wordpress.com/

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