「S」と一致するもの

C.E presents Low Jack, Rezzett & Tzusing - ele-king

 ファッション・ブランドC.Eによる最新パーティが9月8日(金)に開催される。ヴェニューはVENT。パリからロウ・ジャック、ロンドンからレゼット、上海/台北からツーシンとなかなかに強力な面子で、これは楽しい一夜になること間違いなしだ。詳細は下記よりご確認を。

[9月4日追記]
 当日、会場限定のTシャツが販売されるとのことです。これは行くしかない!


すべてはナムコからはじまった
『パックマン』『ギャラクシアン』『ニューラリーX』『ゼビウス』『マッピー』

いまや世界中で親しまれているゲーム音楽、その出生の秘密を探る

「今となっては信じられないことだが、初期の時代のビデオゲームにはゲーム音楽が存在しなかった。〔……〕では、いったいどのようにしてゲーム音楽が誕生し、やがて世界に類を見ない、日本独自のゲーム音楽市場が形成されるに至ったのか? 今までほとんど顧みられることがなかった、ゲーム音楽誕生から今日まで至る過程の歴史を紐解くにあたり、とりわけ絶対に避けて通れないのが、ナムコの黎明期の作品である」(まえがきより)

効果音から音楽へ──
多くの取材・証言から浮かびあがる、先駆者たちの試行錯誤と草創期の真実

四六判並製/256頁

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刊行記念トーク&サイン会開催
ゲーム音楽家インタヴュー集
『ナムコはいかにして世界を変えたのか』
2023年10月9日(月・祝)12:00~14:00(予定)
@秋葉原 書泉ブックタワー 9Fイベントスペース
https://www.shosen.co.jp/event/12953/

目次

まえがき

第1章 「ゲーム音楽」前史
第2章 伝説のメーカー、ナムコの参入
第3章 「ゲーム音楽の父」大野木宣幸
第4章 ゲーム音楽専門コンポーザーの誕生
第5章 「ゲーム音楽」市場の形成

あとがき
参考文献・サイト

【著者プロフィール】
鴫原盛之(しぎはら・もりひろ)
1993年に「月刊ゲーメスト」の攻略ライターとしてデビュー。その後、ゲームセンター店長やメーカー営業などの職を経て、2004年からゲームメディアを中心に活動するフリーライターとなり、近年では文化庁のメディア芸術連携促進事業 連携共同事業などに参加し、ゲーム産業史のオーラル・ヒストリーの収集・記録も手掛ける。主な著書は『ファミダス ファミコン裏技編』『ゲーム職人 第1集』(共にマイクロマガジン社)、共著では『デジタルゲームの教科書』(SBクリエイティブ)『ビジネスを変える「ゲームニクス」』(日経BP)などがある。2014年より日本デジタルゲーム学会ゲームメディアSIG代表を務める。

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K-Lone - ele-king

 K-ローンの新作がこれまたシンプルなんだけどすばらしいテクノ・アルバムで、というのをこの手の音楽が好きそうな人に最近会うたびに言っている、この数週間。このくそ暑いなか、そのリフをクーラーの効いた部屋で、鼻歌まじりで歌いたくもなるメロディアスで涼やかなアルバム。

 その名前を意識したのは2018年のパリスの運営する〈Soundman Chronicles〉からのシングル「In The Dust EP」と自身のレーベル〈Wych〉からの「BB-8 / Barbarossa」。聴きようによってはベーシック・チャンネルのダウンテンポ・ヴァージョンとも言えなくもない “Old Fashioned” にひかれて買ったら、併録の軽やかなチル・エレクトロ “In The Dust Of This Planet” にハマってしまった前者。かたや後者のウェイトレスなグライムに、チップ・チューン的サウンドの鼻歌交じりなメロディにも引っかかってしまい……どちらにしろ、ベース・ミュージック・シーンにおける、そのライトさというか、かわいげというか、とにかくあまり当時他では聴けない「軽やかさ」で気になる存在となりました。前述のパリスとのかかわりに加え、〈Idle Hands〉から出していたり、レーベル〈Wisdom Teeth〉を共同運営する相棒のファクタ(Facta)はホッジ(Hodge)とのコラボ・シングルを出していたり、さらに同年の2018年にはファクタが〈Livity Sound〉から「Dumb Hummer / All the Time」を出していたりと、この人たちはブリストルの……というフォルダに勝手に頭のなかで整理してたんですが、いろいろ調べたらロンドンの人たちなのかと。ちょうどその頃ぐらいからふたりの作り出すサウンドは、どこかラウンジーなライトさをメインに出してきていて、ポスト・ダブステップがひとまわりした2010年代末に、完全に復権したイケイケのUKガラージの傍ら、ベース・ミュージック・シーンのなかでUKガラージも内包しながら、鮮やかな差し色のような音楽性で気になる存在となりました。いま思えばDJパイソンの『Dulce Compañia』も2017年にあってという。いまこうして見ると、いまに続く、わりかしライトでチル・アウトなムードのメロディアスなダンス・トラック、そのサイクルはこのあたりに突端があるんじゃないかなと。結果論ですが。

 2020年4月、コロナ禍での世界的なロックダウンとほぼ時を同じくして、〈Wisdom Teeth〉からK-ローンはファースト・アルバム『Cape Cira』をリリースします。キュートな作品というか、ニューエイジなモードとも、いわゆるUKの叙情的・内省的なテクノとも違った、チルでトロピカルな、どこかイージー・リスニングな空気が漂うこのアルバムが、それこそ初期のロックダウン中に最も聴いたアルバムになったという人も多いのではないでしょうか。2020年といえば、多くのDJたちがロックダウン中にアンビエント/リスニング・テクノの作品を作り、2021年前後にはそうした作品が大量にリリースされるわけですが、それより少し早い、しかもロックダウンが本格的になる4月にリリースされたことを考えれば、制作はその前にあたるわけで、ある種のコンセプチャルなサウンドに思えてきます。2021年には同じく〈Wisdom Teeth〉からは、その『Cape Cira』の軽やかな空気感、パイソン『Dulce Compañia』のトロピカルなリズム感を足して、さらにアンビエント・タッチで骨抜きに溶かし込んだようなファクタのアルバム『Blush』もリリース。さらには先日来日も果たしたトリスタン・アープの、やはり『Cape Cira』を発展させたようなアルバム『Tristan Arp』もリリース。〈Wisdom Teeth〉のサウンド、とりわけレーベルのアルバム単位での路線がこの設立者ふたり+他人で、明確になった印象もありました。でもシングルでは、これまた先日来日したイタリアのピエゾなど外部のアーティストを起用しつつ、主宰の両名もUKガラージやハウスを援用しながら、こうしたアルバムでのライトな音楽性の路線とダンスフロアとの接点を模索していくわけです。また2021年には、もう少しダンス寄りながら、同じようなポップな軽やかさを内包したアルバム『Soaked In Indigo Moonlight』を朋友パリスがリリースして外部から援護射撃したような感覚もありました。

〈Wisdom Teeth〉といえば、2022年、多くの新人とともに、BPM100という、いままでジャンルのフォーマットとして「空き」となっていながらも、実はDJたちにとっては意外となじみ深いBPM(このコンピ以前に、彼らの周辺とは離れたところ、例えば日本にもそうしたコンセプトのパーティやミックスはわりと昔から散見されていた記憶はある)をコンセプトにしたコンピ『To Illustrate』をリリースします。ある種のハウスやテクノの定石であるBPM120~130の、どうしても身体が動いてしまう性急なその “強い” グルーヴィーさを持ったBPMと、それ以下のロウでドープな感覚やチル過ぎるスローでどうしてもグルーヴ感が “弱い” BPMの間。これをレーベルが標榜してきた「軽やかさ」をグルーヴとともに追求するために選んだひとつのコンセプトと考えると、いろいろつながるようにも思えてきます。

 そしてこうした活動の後に、このタイミングでリリースされた本作が、実はわりとオーソドックスなハウスやテクノのBPMの楽曲が多いというのもなかなか興味深いですね。「膨張」と名付けられた本アルバムはゆっくりと空間をカラフルに染め上げていくメロディアスで軽やかなサウンドが続きます。ヴォイス・サンプルとオールド・スクールなビデオ・ゲームのポップな色調のオープニング画面を想起させる “Saws” ではじまり、軽やかなエレクトロ・ハウス “Love Me A Little” でアルバムは走り出します。アルバム中盤の “Oddball”~“Shimmer” は、90年代中頃の〈クリア〉や、ラウンジ・リヴァイヴァル期のエイフェックス・ツインμ-Ziqのコラボ=マイク&リッチを思い起こすようなイージー・リスニングなメロディのエレクトロを展開。ダウンテンポ “With U” のけだるいヴォーカルは、最近のUKガラージのイケイケっぷりを象徴するヒット曲 “B.O.T.A. (Baddest Of Them All)” で知られるエリザ・ローズ。
 そして後半、アルバムのBPMは、ハウスへとシフト・アップしていきます。テクノ的な堅さと、フュージョン的なメロディを併せ持つ、ある意味で正調UKディープ・ハウスとも言えそうな2曲 “Gel” “Love Is”。そしてアルバムはUKのリスニング・テクノのクールな伝統をなぞるようなテクノ・トラック “Volcane” で幕を閉めます。全編、ここ数年、彼が追求してきた「軽やかさ」とメロディアスなイージー・リスニングのような感覚というのが、ダンサブルなテクノやハウスの実はオーソドックスなフォーマットにしっかりと練り込まれたアルバムではないかと。こうしたサウンドが今後、どのようにダンスフロアへと波及していくのかが興味深いポイントで、先日のアンソニー・ネイプルズのアルバムもそうですが、DJカルチャー出身のアーティストがこうしたリスニングにおいてもエポックメイキングな作品を出すのはもまたおもしろいですね。

 彼らの影響もあると思いますが、ここ数年、わりとテクノやベース・ミュージック周辺で、メロディやこうした「軽やかさ」が復権している感じもあって、それはある種のR&Bやソウル、もしくは初期のUKやオランダのデトロイト・テクノ・フォロアー的な叙情性や内省的なメロディ、またはプログレッシヴ・ハウスやトランスの壮大な感じの感覚とも違っていて、このあたりの感覚をふと先日どこかで聴いたな……と思い出したんですが、やっぱり2014年のエイフェックス・ツインの復活作『Syro』なんですよね。特に先行で公開された冒頭の “Minipops 67 (Source Field Mix)”。ひさびさの作品ということで件の曲を聴いて「ああ、こういうのありだよな」というのが実はあって、なんとなくこれがゲーム・チェンジャーになったのではないかという妄想も浮かんだりします。もちろんK-ローンがそこを目指していたかはわかりませんが、サウンドの空気感としては同じモノを感じてしまいます。とはいえ、10年前ですから、いまの音に結びつけるのはちょっと無理筋すか?

interview with Jessy Lanza - ele-king

 2010年代に登場してきたエレクトロニック系のアーティストのなかでも、ジェシー・ランザは独自のポジションを築いてきた。〈Hyperdub〉のなかではかなりポップな立ち位置だけれど、メジャーの豪華なサウンドやハイパーポップの過剰さとは相容れない。折衷的で冒険心はあるもののけっして前衛主義というわけでもない。R&Bを基調としたその親しみやすいシンセ・ポップ・サウンドは、ヴォーカル面でよく比較されるFKA・トゥイッグスケレラとも大きく異なっている。意外と、彼女に似ているアーティストっていないんじゃないだろうか。

 カナダ出身、現在はLAに居を構えるジェシー・ランザ通算4枚目のアルバム『Love Hallucination(愛の幻覚)』は、ハウス・ビートの “Don't Leave Me Now” で幕を開ける。ご機嫌な曲調とは裏腹に、車に轢かれかけ広場恐怖症になった経験から生まれたというこの曲につづくのは、2ステップ調の “Midnight Ontario” に軽快なエレクトロの “Limbo”。どれもからだを揺らしたくなる曲だ。静かなアンビエントR&B的側面も有していたファースト『Pull My Hair Back』(2013)以降、『Oh No』(2016)、『All The Time』(2020)と徐々にダンサブルな要素を増やしていった彼女だけれど、持ち前のはかなげなヴォーカルとシンセ・ポップ・サウンドはそのままに、新作序盤では身体性への欲望がひとつの壁を超えたような印象を受ける。
 おそらく同時並行で『DJ-Kicks』(2021)を制作していたことが影響しているのだろう。プレイするトラックに自身のヴォーカルを載せていくスタイルはケレラのミックスとおなじだが、こちらはテクノ~ハウスが軸で、ジェシー・ランザのなかのアグレッシヴな一面が展開された作品といえる(レーベルメイトのロレイン・ジェイムズとの共作曲も収録)。パンデミック中~直後におけるフロアへの渇望を表現したかのような同ミックスの余波は、確実に今回の新作にも及んでいる(じっさいはクラブにはそんなに行かないらしいが)。

 べつの意味でも序盤の3曲は重要だ。2曲目は〈LuckyMe〉のジャック・グリーンとの、3曲目はテンスネイク名義で知られるドイツのハウスDJマルコ・ニメルスキーとの共同プロデュース作品であり、また、これら3曲すべてにポスト・ダブステップ期における重要人物のひとり、ピアソン・サウンドことデイヴィッド・ケネディが参加している。これは彼女のキャリアにおける画期といっていいだろう。というのも、従来彼女がジェレミー・グリーンスパン(ジュニア・ボーイズ)以外のプロデューサーをアルバムに起用したことはなかったからだ。
 テーマは信頼だという。阿吽の呼吸というわけにはいかない未知の他人と共同作業をやっていくには、たしかに、相手を信頼しておく必要がある。おなじく初めてのプロデューサー、ポール・ホワイトを迎えた “Marathon” ではひとりよがりのセックスが歌われている。他者の存在について考えることを促す歌詞だし、そもそも今回の新作はほかのひとに提供するためにつくられた曲たちがもとになっているのだ。だから「愛の幻覚」なるタイトルはたんに恋愛関係にとどまらず、広く人間同士の関係をあらわしているとも解釈できる。その点でも本作は、多くの人びとが孤独に浸ったパンデミック以降の感覚を体現する作品といえるだろう。

 もちろん、勝手知ったるグリーンスパンとのコンビもいい成果を残している。個人的には、ちょっとだけドレクシアジ・アザー・ピープル・プレイスを想起させる “Drive” にぐっときた。これまでもフットワークやYMOなどさまざまな音楽を貪欲に参照してきたジェシー・ランザ。その好奇心はいまなお健在のようだ。

このアルバムのテーマのひとつが「信じる」ということだった。自分以外の人たちを信頼する、ということ。

お住まいは現在もシリコンヴァレーですか?

JL:いいえ。いまはロサンゼルスに住んでいる。いまはちょうどカナダで家族と過ごしているところなんだけど。パンデミックの期間中はシリコンヴァレーに住んでいて、その後ロサンゼルスに引っ越した。

シリコンヴァレーはITの街のイメージがありますが、音楽カルチャー的にはどのような場所なのでしょう?

JL:そう、そのイメージが強いと思う。リンジー・バッキンガムのようなシリコンヴァレー出身のアーティストはいるけど、音楽シーンがあるという感じではないかな。とくにいまは大きな動きはないと思う。

パンデミックの年に出た『All The Time』以来3年ぶりのアルバムですね。パンデミック以降のこの3年、どのように過ごされていましたか?

JL:まずはロサンゼルスに引っ越したことが大きかった。前作が出たあと、ツアーにも出られなかったから、それ以外は本当に何もしていなかった気がする。じつはそのころグリーンカードが下りるのを待っていたから、国外に出ることもできなかったのよ。グリーンカードを待っている間に、『Love Hallucination』のほとんどの曲を書き上げて。そういう意味では充実した時間だった。普段はライヴをやったり、旅をしたり、家族に会いに行ったり、なかなかじっくり曲づくりに向き合う時間がないから。

ロサンゼルスに引っ越されたのは何か理由があったんでしょうか。

JL:主人の家族がサンフランシスコにいるからわたしたちもシリコンヴァレーに住んでいたんだけど、IT関係の仕事をしていなければあまり住む意味がない場所だった。ロサンゼルスは同じ州だけどもっといろいろなことが起こっていて、ここには文化があるから。それに、シリコンヴァレーは物価がものすごく高い。夫が映像関係の仕事をしていることも、ロサンゼルスに住むことにした大きな理由のひとつね。

以前のインタヴューで、家の離れのツリーハウスをスタジオとして利用していると仰っていましたが、新作はロサンゼルスで制作されたんですよね? 木に囲まれて音楽をつくることと、通常のスタジオでの作業との違いはなんですか? そうした環境の違いが、あなたの音楽に影響を与えたと思いますか?

JL:もちろん大きな違いがある。自分を取り巻く環境に木しかない場所は、とても静かだからヴォーカルを録音するのに理想的で。でも、自分が作品づくりをするときの環境はなによりも、わたし自身の精神状態を大きく左右すると思う。木々に囲まれていると精神的に落ち着くし、わたしを取り巻く環境が音楽に与える影響はとても大きいと思う。自分自身をケアしてあげられるか否かということよりも、環境のほうが影響力は大きいと思う。

人間関係がメイン・テーマであることは間違いない。とくに、恋愛関係。恋愛をしているときのわたしは脆弱で自信がなくて。

2021年に名ミックス・シリーズの『DJ-Kicks』を手がけたことは、あなたにどのような経験をもたらしましたか?

JL:『DJ-Kicks』を制作しているとき、同時に『Love Hallucination』の曲を書いていたから、自分にとっては大きな挑戦だった。それに、入れたい曲をまとめたウィッシュリストのなかの何曲かは権利の関係で収録できなかったこともあったし。でも、自分がDJとしてプレイしたい曲と、自分自身の楽曲とのギャップを埋めるようなものをつくってみたかったから、とても興味深かった。わたし自身のヴォーカルを足していく作業も面白い試みだったと思う。DJをやっていると自分の個性がだんだん薄まっていくように感じることもあるんだけど、そこにあえてわたしにしか出せないヴォーカルを乗せることで、新しい境地を開けたように思う。なにか特別なことをやりたいという思いがあったのは間違いない。

その『DJ-Kicks』に収録された “Seven 55” ではロレイン・ジェイムズをフィーチャーしていました(https://www.youtube.com/watch?v=myYggI17_cs)。彼女の音楽の魅力はどこにあると思いますか?

JL:彼女は唯一無二の存在だと思う。彼女がプロダクションを手がけたものは一聴してすぐに彼女の音楽だとわかるほどの個性を持っているから。

これまでもあなたの音楽はダンス・ミュージックからインスパイアされていましたが、『DJ-Kicks』からはよりあなたのダンス・ミュージックへの愛が伝わってきました。クラブにはよく行くのですか?

JL:う~ん。いいえ(笑)。以前よりもDJする機会が本当に多くなって、クラブに行くと仕事モードになってしまうから純粋に楽しめないのよね。それに、わたしが生まれ育った町にはクラブというものがなくて……バーのようなところはあるけど、TOP40の音楽がかかっているような場所だったから、クラブという感じではまったくなかったし。だから、自分のなかにクラブ・カルチャーのようなものがなくて。クラブを純粋に楽しんでいた時期がないから、それを懐かしく思うようなところもない(笑)。

クラブでDJをするときはどんなふうにセットを組み立てているんですか?

JL:そうね……とにかくヴォーカルがある曲をかけるのが好きなの。だから、ハウス・ミュージックをかけるのが好きだし、それにディスコなんかを混ぜて。メロディのあるダンス・ミュージックが好きだから。そう、自分がクラブに遊びに行って、聴きたい曲をかける感じかな。もちろんみんなが楽しんでもらえるようなものをプレイしているつもりだけど、メロディがあってヴォーカルのある音楽が好きだから、そういうものを選んでかけている。

若いころからそうしたヴォーカル・ミュージックを聴いてきたんでしょうか?

JL:そうね。R&Bがずっと好きだったから。

『DJ-Kicks』も同時進行でつくっていたから、ダンス・ミュージックやクラブ・ミュージックもたくさん聴いた。ひとつに絞るのは難しいけど、プロデュースの優れたシンセ・ポップをたくさん聴いていたのは間違いない。

では、新作の話に戻りましょう。これまで長らくジェレミー・グリーンスパンとコンビを組んできて、今回の新作もそうなのですが、初めて彼以外のプロデューサーが参加してもいます。彼以外ともやってみようと思った動機はなんですか?

JL:わたしにとって、それまでに会ったことのないひとと仕事をするのはとても怖いことだった。ジェレミーのことは長年知っているし、ついついやりやすいひとと一緒にやってしまいがち……アーティストとしてどうすべき、ということはべつにしてね。でもこのアルバムをつくるにあたって、少し冒険してみようと思って。たとえばジャック・グリーンの音楽は長年聴いていたし、友人を通して知っていたからぜひ彼と一緒にやってみようと。よく知らないひとがスタジオに来てジャム・セッションすることは本来はとても緊張してしまうから得意ではないんだけど、あえて自分の背中を押したところがある。なにか新しい挑戦をしてみたかったのよ。このアルバムのテーマのひとつが「信じる」ということだった。自分以外の人たちを信頼する、ということ。

ピアソン・サウンドが選ばれた理由はなぜですか?

JL:彼の音楽も長年知っていたし、彼のファンなの。友人の友人だったこともある。ロンドンで1週間ほどオフがあったときに彼にコンタクトをとって。当初はミックスだけしてもらう予定だったんだけど、彼のスタジオで一緒に過ごしているうちにとても仲よくなって、プロデュースもお願いすることになった。

このアルバムの曲づくりをしている段階で、今回はいろいろなひとたちとコラボレーションすることを考えていたんですか?

JL:いいえ。実際の制作に入る前に曲はほとんどできあがっていて、そのときは誰とコラボレーションしようというようなことはとくに考えていなかった。曲を磨く段階になって、いろんなひとのアイディアが欲しいと思うようになってきた感じ。もともと今回一緒にやったひとたちとはメールや電話ですでに話をしていたから、実際にお願いするのに支障はなかったけれどね。

先ほど、今回のアルバムのテーマのひとつに「信じる」ということがあったと仰っていましたが、もう少し具体的にアルバムのテーマを教えてください。

JL:これまでにわたしが経験してきた人間関係がメイン・テーマであることは間違いない。とくに、恋愛関係。恋愛をしているときのわたしは脆弱で自信がなくて。だから、タイトルも『Love Hallucination』にしたのよ。脆くて傷つきやすいから、自分がよく知らないひとを信用することが難しい。でも、ひとを信じることのたいせつさを痛感してきたところもあって、自分自身を変えたいという思いがあった。作品づくりにおいても、これまでのわたしはジェレミーのような気心の知れたひととしかやってこなかったし、ミュージック・ヴィデオはつねに夫とつくってきたから、自分の世界の狭さというものに焦りも感じていたのね。だからこそ、このアルバムで「信頼」と「脆弱さ」というテーマを描いてみた。

ひたすら「わたしは自分が嫌い」と繰り返される “I Hate Myself” は、曲調は明るいにもかかわらず心配になってしまう内容です。このリリックはご自身の体験を踏まえて書かれたものですか?

JL:この曲は不思議な過程を経てできあがった。書きはじめたころはけっこう複雑で散らかった感じだったから、歌詞をどんどん削ぎ落としていって、最終的に「I hate myself」という一行だけが残ったのよ。この曲は、YouTubeにアップされていた動画がベースになっているんだけど。プリファブ・スプラウトの「I hate myself」というフレーズをひたすらループして、ずっと馬が走っているだけの動画。わたしはけっして自分を憎んでいるわけじゃない(笑)。ただ、最初に書いたヴァージョンよりもずっと良い出来になったと自負してる。

元ネタの動画はサイケデリックな感じなんですね?

JL:その通り。検索したら出てくると思う。

“Drive” は海中にいるような感覚を持った曲で、雰囲気はダークではありませんが、ドレクシアを思い浮かべました。彼らの音楽のどのようなところが好きですか?

JL:そう言ってもらえるなんて驚いた(笑)。じつは、この曲のシンセ・パートを書いているとき、ドレクシアのひとりのサイド・プロジェクト、ジ・アザー・ピープル・プレイスを思い浮かべていたのよ! たしか彼の名前はジェラルド・ドナルドだったと思うけど(編注:TOPPはドレクシアの本体にして中心人物、ジェイムズ・スティンソンのプロジェクト)。それでエレクトロな楽曲にしたいと思って、ドラム・パートもジ・アザー・ピープル・プレイスっぽい感じを想定してつくった。この曲はとくにお気に入り。ジェレミーがパーカッションを足してくれて、よりエレクトロっぽい雰囲気のある曲に仕上がって。言ってみれば、ドレクシアとジェレミーの曲という感じね(笑)。

歌詞の面でもサウンドの面でも、制作中に参照したものがあれば教えてください。

JL:制作中はいろんなバンドを聴いていた。プリファブ・スプラウトもそうだし、オーケストラル・マヌーヴァーズ・イン・ザ・ダークもよく聴いていたかな。それにシンセ・ポップのバンドもいろいろ聴いていたし……『DJ-Kicks』も同時進行でつくっていたから、ダンス・ミュージックやクラブ・ミュージックもたくさん聴いた。ひとつに絞るのは難しいけど、プロデュースの優れたシンセ・ポップをたくさん聴いていたのは間違いない。

興味深いですね。では、本作でもっとも苦労した曲はどれでしょう?

JL:“Gossamer” ね。この曲はかなりトリッキーだった。自分でも好きな曲なんだけど、方向性がなかなか定まらなくて。ヴォーカルを入れるべきかどうか悩んでいて……というのも、テクノ・ポップ調にしたかったから。それでイエロー・マジック・オーケストラを聴いているうちに、自然と方向性が固まっていった(笑)。彼らがやっていることがとても好きで、それに共感することでなにかを得ることができたという感じかな。

それは面白いです。ところでヴォーカリストとしてのロールモデルがいたりするんでしょうか?

JL:そうね……プリンスはとても好き。ボウイの歌い方も好きね。それに、高橋幸宏と細野晴臣。彼らの控えめな歌い方にとても共鳴する。挙げたひとたちは全員ちがう個性を持っているけど、その組み合わせがわたしのシンギング・スタイルを形づくっているんじゃないかな(笑)。控えめな歌い方がとくに好き。若いころは、わたしにアメリカのアイドルみたいな歌い方を勧めてくるひともたくさんいたけど……セリーヌ・ディオンみたいなね。でもわたしの声はそういう歌い方には向いていないし。そうね、イエロー・マジック・オーケストラのスタイルにはとても影響を受けていると思う。控えめでいて、ポップでとても効果的なシンギング・スタイルだと思う。

あなたの音楽ではフューチャリスティックな部分と、どこかレトロな感覚がうまく同居しているように感じます。それはご自身でも意識していますか?

JL:ある意味でどこか過去に生きているところがあるのかもしれない(笑)。家族が昔の話をしたりするからかもしれないけど、30年くらい前はいろいろとおもしろいことが起こっていたし、観るもの、読むものもたくさんあった印象がある。昔のほうがよかったとは言わないけど、前時代を生きているところはあるのかも(笑)。

一方で、あなたの音楽にはフューチャリスティックな要素もありますよね。

JL:そうかもしれない。人間は未来を夢見る生きものでもあるから。

その通りですね。では最後に今後のご予定をお聞かせください。ツアーでしょうか?

JL:ええ。9月22日のサンフランシスコから全米ツアーがはじまる。その後、11月から12月はヨーロッパ・ツアーに入るから、秋から冬にかけてたくさんライヴをやる予定。しばらくツアーに出られなかったから、とても楽しみにしている。

本日はありがとうございました。日本でもあなたのショウが見られる日を楽しみにしています。

JL:わたしも楽しみにしている! 2024年のはじめには行きたいと思ってて。まだ日本に行ったことがないから、すごく行きたいと思いつづけてる。日本で会えるのを楽しみにしている。

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手術は「新しいセックス」なのか

『スキャナーズ』『ビデオドローム』『裸のランチ』『クラッシュ』など、独自の倒錯的な映像表現で世界に衝撃を与えてきた巨匠、デヴィッド・クローネンバーグ。

その8年ぶりの新作『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』。本作の主人公は肉体に新たな臓器が次々と発生、それを公開手術で摘出するというパフォーマンス・アートを行う芸術家です。

本書では監督本人の取りおろしインタヴューに加え、作中に登場するガジェットの設定資料画像、長年にわたりコラボしている映画音楽の大家ハワード・ショアと本作の鍵を握るメイクアップ・アーティストへのインタヴューも掲載。

カンヌ映画祭でプレミア公開され大いに論議を呼んだ原点回帰とも言われる問題作に多角的に迫るとともに、この特異な映画作家の全貌に迫ります!

目次

■巻頭特集 『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』
Cross Review
グロテスクかつ官能的な進化 真魚八重子
「創造的な癌」が導き出すレゾンデートル ヒロシニコフ
Interview
デヴィッド・クローネンバーグ「我々はまだ、人間の身体を理解していない」
設定資料
Interview
ハワード・ショア(作曲家)「デヴィッドとのコラボレーションは私の映画の仕事全てのバックボーンになっている」
アレクサンドラ・アンガー&モニカ・ペイヴズ 鍵を握る特殊メイクアップ・アーティスト

Biography
ボディ・ホラーの五十年 柳下毅一郎
Filmography
クローネンバーグの出発 『Transfer』『From the Drain』 森本在臣
プロトタイプとなる初期長編たち 真魚八重子
医学的かつ現代的で身体に焦点を当てたもの 『シーバース/人喰い生物の島』 伊東美和
たしかなインパクトを残した日本初上陸作 『ラビッド』 山崎圭司
「本物のB級映画」に徹したキャリアの特異点 『ファイヤーボール』 山崎圭司
離婚経験から生まれて怒りの怪物『ザ・ブルード 怒りのメタファー』 上條葉月
偶像破壊としての頭部破壊──人間の頭をぐちゃぐちゃにすることはなぜかくも気持ち良いのか? 『スキャナーズ』 後藤護
マクルーハンの見た悪夢 『ビデオドローム』 後藤護
「スティーヴン・キング原作映画」選手権の上位にランクし続ける傑作メロドラマ『デッドゾーン』 てらさわホーク
『ザ・フライ』が描いた本当の恐怖とは てらさわホーク
「現実」に対する挑戦としての『戦慄の絆』 高橋ヨシキ
「作家であることを証明せよ」――バロウズへの憧憬と反撥 『裸のランチ』 ヒロシニコフ
幻想を愛する 『エム・バタフライ』 児玉美月
工業時代のポルノグラフィ、としての『クラッシュ』 高橋ヨシキ
現実と虚構のあわいを漂うゲーム世界 『イグジステンズ』 山本貴光
混乱する意識のなかで垣間見る母の影 『スパイダー/少年は蜘蛛にキスをする』 真魚八重子
多重に描かれる愛と暴力 『ヒストリー・オブ・バイオレンス』 森本在臣
二つの生を生きる男の哀切な物語 『イースタン・プロミス』 真魚八重子
手堅い歴史描写に潜ませた真にスキャンダラスな要素とは 『危険なメソッド』 吉川浩満
現代アメリカ文学の最高峰、その「ほぼ」忠実な映画化 『コズモポリス』 佐々木敦
ロサンゼルスに幻惑されて 『マップ・トゥ・ザ・スターズ』 上條葉月
COLUMN
変異する音楽――クローネンバーグとハワード・ショア 森本在臣
デザインが形作るクローネンバーグ映画の世界 高橋ヨシキ
日の目を見ないままに終わった企画の数々 てらさわホーク
ボディ・ホラーの現在地からクローネンバーグを探求する ヒロシニコフ

執筆
伊東美和、上條葉月、児玉美月、後藤護、佐々木敦、高橋ヨシキ、てらさわホーク、ヒロシニコフ、真魚八重子、森本在臣、柳下毅一郎、山崎圭司、山本貴光、吉川浩満

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*追ってリンク先を追加予定。

Gooooose - ele-king

 昨年の中国は長引くロック・ダウンと、これに反発した市民たちが大規模なデモをやめなかったことは日本のニュースでも報道された通り。とくにティック・トックに流れてきた映像は暴力的な場面が多くて驚かされた(デモ参加者の多くは後に逮捕され、投獄を覚悟した少女の予告映像がネット上に出回るなど余波はけっこう長引いた)。そんな時に上海で自宅にこもり、身の回りのものを詳細に観察し、最終的にはそれらを使ってサウンドを組み立てたというジャングリストによる4作目。鉛筆や靴下、ビスケットの包装紙や肉野菜などが持つカタチに強く惹かれ、あるいはそれらの由来をサウンドに反映させたという。『Rusted Silicon』(『テクノ・ディフィニティヴ』P245)から4年ぶりとはいえ、この間にDjスコッチ・エッグとの『JAC』(20)やウィアードコアの展示「オリエント・フラックス」のために33emybwとつくった『Trans-Aeon Express』(22)といったジョイント作も続いたので、グーーーーースことハン・ハンの勢いはむしろ増してきたと考えたほうがいい。荒削りでシャープだった前作と較べて、ラスティ並みにゴージャスで無駄にスケール感を増大させたサウンドが次から次へと続き、かつてなく多様なアプローチはかなり楽しめる。以前よりもソフィスティケイテッドされているのにアルバム・タイトルの『Rudiments』はなぜか「基礎」とか「初歩」の意。いまは亡き下北沢ゼロでなにげなく買ったカセット・テープがきっかけで聴き始めた上海の〈SVBKVLT〉もこれで59作目を数え、ハウイー・リー、Prettybwoy、Rilla、パラアディソ(Tsvi+セヴン・オービッツ)、スリックバック……とラインアップもけっこう派手になってきた。ビョーク『Fossora』にフィーチャーされたガバ・モーダス・オペランディも〈SVBKVLT〉がインドネシアで発掘した逸材。

 『Rudiments』は以前と比べて全体に混沌としたイメージをうまくコントロールしている。前傾と後景がくっきりと分かれ、奥行きのあるサウンドは開放感を増し、これがポスト・ロックのダック・ファイト・グースをやっていた時代から引きずっていたハードコア的な感性との決別にもつながっている。ポスト・ロックの名残を感じるものとしてはゴキブリを題材にした “Turn A Roach To A Cleaning Bot” があり、小刻みなスウィング・ドラムにサビで集中的にシンセサイザーを被せる “Chips”(この曲は低音が出るスピーカーで聴いて!) など以前は考えられなかったようなファニーな曲も増えている。長引くロック・ダウンが人に与える影響は本当に様々だなあと思うばかりだけれど、中国ではコロナの影響で若者の失業率が26%台と発表され、これが実際には46%以上という声もあり、親から給料をもらって家事を手伝う「専業子ども」が増えているというから、そうした層にはベッドルーム・テクノによって世界と繋がれることは価値が増しているに違いない。オープニングの “Burning Smartphones At A Sunset Desert(夕陽の砂漠で燃えているスマホ!)” はどこか達観した響きのあるアンビエントで、同じくメローな感性を押し出した “Boids” (の後半)も複数の波がぶつかり合うような構成でなんとなく時間の感覚を麻痺させる。コロナ前に70年代の繰り返しばかりだとシーンを批判していたわりに “Boids” は70年代を巧みに取り入れた面があり、あの発言は同族嫌悪だったのかなと思ったり。

 エイフェックス・ツインの新作でも “Parallax Mix”と称してドラムファンクが取り入れられていたけれど、『Rudiments』でも “Sandbox” や “Don’t Think”ではスクエアプッシャーを思わせるドラムファンクが暴れまわり、手数の多いドラムの楽しさを堪能させてくれる。個人的には途切れがちなドラムファンクに断片的なメロディを切り貼りしたような “Gin & Broccoli” がベスト。このところ相次いでリリースされたメサクとブラワンとエイフェックス・ツインのシングルがどれも似た感じで、続けて聴いているとポリゴン・ウインドウの新作でも聴いている気分になっていた(上にラザロやバッテクノ&トリスのアルバムも同じ方向を向いていた)ため、『Rudiments』は少しばかり変化球を試してみたという感じに聞こえてくる。また、最後のところでどうしても行儀良くできない展開が期せずして楽観主義を呼び込んでしまうという雰囲気もぜんぜん悪くない。

Holy Tongue - ele-king

 少し前の作品になってしまいましたが……こちらはUKのベース・ミュージック・シーンにおいてオリジナリティあふれる作品をリリースしてきたアル・ウートンが、パーカッショニスト、ヴァレンティーナ・マガレッティとともにスタートさせたホーリー・タン、その待望のファーストLP『Deliverance And Spiritual Warfare』です。本作のレコーディングでは、ヴァレンティーナも在籍するロンドンのサイケ・ロック・バンド、ヴァニシング・ツインのベーシストで、2000年代にはディスコ・パンク・バンド、ゾンガミンでも活躍していたムカイススムが現在はベーシストで参加し、3人体制へと発展しています(ムカイは、すでに2021年のライヴには参加していてその模様は彼らのカセット・アーカイヴ『Live at Servant Jazz Quarters』に収録)。ムカイのベースの他に、アルもシンセなど鍵盤の他にベース/ダブル・ベースを演奏、ヴァレンティーナはドラム、パーカッションの他に鉄/木琴とマレット系の楽器なども担当、そしてプロデュースはアルによるもの。これまでに2020年のシングル「Holy Tongue」を皮切りに、「II」「III」と3枚の12インチ・シングルを発表、ポスト・パンク的なヒリついた音像の、ミニマルかつインダストリアルなサイケデリック・ダブ/ファンク・サウンドで注目を集め、アルの、個人名義やレーベルでのベース・ミュージック・シーンでの活躍っぷりも重なりつつ、UKのある種伝統とも言えるダブ・サウンドの新たな発露として注目されているアルバムと言えるのではないでしょうか。

 アル・ウートンは2010年前後、デッドボーイ名義でポスト・ダブステップにおけるUKガラージ・リヴァイヴァルに世に出た印象のアーティストではありますが、やはり「ダブ」というタームでこの人を捉えるならば、自らのレーベル〈Trule〉を立ち上げた2019年。ブリストルの〈Livity Sound〉あたりを祖にするUKガラージのイーヴンキックを介して、ベース・ミュージックへと越境するテクノ──最近ではブロークン・テクノと呼ばれることもあるトラック群がありますが、〈Trule〉を設立、本名名義の作品をリリースするようになってからは、そうしたサウンドをさらにレゲエへと引き寄せる、いわばブロークン・テクノのダブ・ヴァージョンとも言うべきトラックを次々とリリースし、新たな層にも注目されていきます。具体的にはテクノやミニマル・ダブ、ベース・ミュージック、もしくはモダンなルーツ・ダブなどが交差する汽水域にて、サウンドを更新していったということでしょう。その後は本家〈Livity Sound〉からソロ・シングル、チュニジアのアズ・ティワリン(アルバムが楽しみ)とのコラボなどもリリース、またモーリッツ・フォン・オズワルド・トリオのリミキサーにも抜擢されています。もともとデッドボーイ名義での作品も含めると多彩な人なんですが、今春にはオプティモのレーベルからエスニックなディスコ・ダブ・バンガー「Vitus EP」をリリースして話題となりました。またこうした動き、〈Trule〉のテクノとベース・ミュージックの交わる最前線を構築する動きから、最近ではさらにテクノ色を強めていて、例えば最近ではイタリア出身のビッグ・ハンズ、シェフィールドのポーター・ブローク、アムスのバス・ドッブラーといったアーティストの作品をレーベルからリリースし、最近のヒプノティックなディープ・ミニマルとベース・ミュージックを媒介として、テクノを更新している、そんな印象もあります。こうした動きはつい先頃、アル・ウートン名義でリリースしたアルバム『We Have Come To Banish The Dark』での、サージョンやリージスなどのバーミンガム系のUKハード・テクノの系譜とも親和性の高い傑作アルバムも生んでいます(そちらも必聴)。

 で、話を戻すとこうした活動のなかで2020年に突如、〈Trule〉傘下に〈Amidah〉なるレーベルを立ち上げ、バンド・プロジェクトとしてリリースしたのがこのホーリー・タンなのです。〈Trule〉はデザインにしても、いかにもDJミュージック的なシンプルかつモダンなデザインですが、〈Amidah〉は、その名前からユダヤ教の祈祷を示す言葉だったり、ホリー・トンの、その名前にしても、初期シングルや本作にしてもモノクロの写真による呪術的な壁画やイコンが使われていて、はっきりと神秘主義、ゴシック色の強い方向性が打ち出されているように感じます。また〈Amidah〉からは、イムラム(アイルランド神話に端を発する、英雄による海洋冒険譚)名義でアルは抽象度の強い、エクペリメンタルなテクノのアルバムをリリースするなど、〈Amidah〉には、いわゆるDJツール、ある意味でダンスフロアの機能美を標榜する〈Trule〉とは明確なコンセプトの違いがあることがわかるでしょう。

 その〈Amidah〉から初夏にリリースされた本作、『解放と霊的戦い』とでも訳せばいいんでしょうか、霊性進化論的な、オカルティックな名前に少々心配になりますが、アルバムはファンファーレのようなホーン・セクションのブロウから一転してザ・バグを彷彿とさせる強烈なインダストリアル・ダンスホールへとなって突き進む “Saeta” でスタートします。アルバムには、これまでのシングルの延長とも言えるヘヴィーに疾走するダークなステッパー・ダブ “Threshing Floor” や “Where The Wood Is The Water Is Not”、ここ最近のスロー・テクノとも相性がよさそうな9曲目 “Our Tongue Is Furred With The Slime Of Creatures” など、ダンスフロアとのサイケデリックでダビーな接点はさすがといった感覚。さらにはヴァレンティーナの呪術的なパーカッションをフィーチャしたメディテイティヴなサイケデリックなダブ・トラックはアルバムならではで、もろに初期アフリカン・ヘッド・チャージを想起させる “Under A Veil, Under A Garment” “A New God Before Us” “I Am Here In A Place Beyond Desire And Fear” などが列びます。そして7曲目の “Joachim” とアルバム最後を飾る “I Am Here In A Place Beyond Desire And Fear” には、UK実験音楽の大家、スティーヴ・ベレスフォードがプリペアード・ピアノで参加していて、どこかあのニュー・エイジ・ステッパーズの 1st での名演をどうしても想起してしまう音色にニヤリとなります。こうしたサウンドを考えても、アルが何を目指して生み出したサウンドなのか、とても明確に呈示していると言えるでしょう。

 ネーミングやデザインなどに垣間見られるゴシックな意匠、そしてダークかつポスト・パンク的なギスギスとローファイでインダストリアルなダブ・サウンドの感覚は、それこそPiL、またはニュー・エイジ・ステッパーズやマーク・スチュワートアフリカン・ヘッド・チャージをはじめとした〈ON-U SOUNDS〉の初期作、そして23スキドゥー、また時代は下って、エレクトロからゴシックなバンド・サウンドへと回帰したアンディ・ウェザオール、トゥー・ローン・ソーズメン『ダブル・ゴーン・チャペル』や前述のようにザ・バグなどなど、文中にも出てきたUK音楽シーンの一角に長らく存在するある系譜を想起せずにはいられないでしょう。UKのミニマル・テクノを継承し、更新するような、アル・ウートン名義でのアルバム『We Have Come To Banish The Dark』とともに、本作はDJカルチャー発のバンドというところも含めて、UKのアンダーグラウンドに横たわる、UKダブの、その歴史と繋がり、新たな2023年のアップデートというところで非常に面白い存在ではないでしょうか。

『エリザベート 1878』 - ele-king

 昨11月にウェブスター英英辞典が英語圏の流行語大賞(word of the year)として選んだ「ガスライティング(Gaslighting)」は同じ年に日本で流行語大賞となった「村神様」と違ってアグレッシヴな思想的起爆剤となり、論点は現在も拡大し続けている。「ガスライティング」というのは心理学用語で元は心理的虐待を意味していたものが、最近は男性が女性に劣等感を抱かせるテクニックを表すスラングとして狭い意味で使われることが増えている。「ガスライティング」の語源は30年代に書かれた戯曲に由来し、何度か舞台化され、TVドラマになり、最終的にはハリウッドでリメイクされた『ガス燈』(44)が作品的には最も有名。同作でイングリッド・バーグマン演じるポーラ・アルクィスト・アントンはロンドンで新婚生活を始めるも言葉巧みな夫の計略にはめられて自分は病気だと思い込む。「また忘れたの?」「覚えてないの?」と何度も畳み掛けられているうちにポーラは自分の記憶力に問題があると信じ込んでしまう。他人と話をさせないようにして孤立させるのが「ガスライティング」のポイントで、ポーラがこうした状況に追い込まれるのは女性たちの社会的立場が多いに関係し、他人と話をする機会が少ない女性がいわば「ガスライティング」の餌食にされやすいことも『ガス燈』では前提となっている。「ガスライティング」は#MeToo運動を受けて2018年のイギリスで最初に流行語となり、以後、様々な記事が書かれるようになると心理学の専門家がその濫用を懸念し、Z世代というワードが日本では間違った意味で定着してしまったように、素人考えが暴走していくことに警鐘を鳴らし始める。これに対してミシガン大学の社会学助教、P・L・スウィートは「ガスライティング」はフェミニズムが発見した問題解決の有効な手段であり、専門家が警鐘を鳴らすこと自体に大きな疑問を投げかけた(日経サイエンス2023年6月号)。「ガスライティング」は言葉だけでなく、身体的な虐待を伴えばDVに発展する可能性もあり、これらを連続性のなかで認識するためにはもっと「ガスライティング」について多くの例証を挙げることが急務だと反論したのである。これに呼応したかのようにフォーブスやワシントン・ポストも今年に入って具体的な事例だけでなく、「ガスライティング」から身を守る具体的な方法だったり、女性のガスライターによって男性が被害に遭ったケースなども報じ始める。僕の目に入った限りではどの記事も非常にシリアスで、「専門家」が危惧したようにトローリングと同じ意味で使うゴシップ記事もそれなりにはあるようだけれど、そっち方面は三浦瑠璃さんにでもお任せいたしましょう。


 マリー・アントワネットから約100年後のハプスブルグ家を舞台にした『エリザベート1878』はヨーロッパ随一の美女と謳われたエリザベート妃が40歳を過ぎて、自らの美貌の衰えと向き合っていく話である。ピチャピチャと水の音から始まるオープニングはエリザベートが浴槽に身を沈め、息を止めているシーンから始まる。エリザベートは1分11秒間、息を止めていたにもかかわらず、「40秒ぐらいだった?」と女官たちに訊く。自らの能力を過小評価(=ガスライティング)しているという暗喩なのだろう。『エリザベート1878』の原題は『Corsage(=コルセット)で、作中では何度もコルセットをきつく締め上げるシーンが描かれる。皇妃としての務めは美しくあることであり、ほかには「何もしなくていい」とか「政治に興味を持つな」と言われ続けてきたことは想像に難くない。ここであからさまに夫である皇帝フランツ・ヨーゼフがエリザベートに対して抑圧的な態度を示すわけではない(当時の女性たちを取り巻く環境については主役を演じたヴィッキー・クリープスがパンフレットに掲載されたインタビューで事細かに語っていて、これがとてもわかりやすい)。その辺りを図式的に描かないことが『エリザベート1878』の巧妙なところで、しかし、皇帝が18歳の人妻アンナと談笑しているところをエリザベートは目撃し、アンナの若さを意識せざるを得なくなるとエリザベートは葛藤を抱え込み、いわば勝手に追いつめられていく。一方でエリザベートの娘ヴァレリーは宮廷の作法を身につけ、かつての自分のようになり始める。エリザベートは何をやってもうまくいかず、何をしたいのかわからない行動を繰り返す。エリザベートは衝動的な行動でしか自分を表現できない自分自身にも苦しめられ、どの場面からも彼女の焦燥感が激しく伝わってくる。皇妃という立場でそれなりに好き勝手なことができるにもかかわらず、ハーレー・クインや羌瘣のように次々と問題を解決していくわけではないところがエリザベートに対するシンパシーをかえって増幅させる面もある。はたして自分は存在しているのかいないのか。40歳を過ぎたら女は用済みという、宮廷全体になんとなく漂うムードはそれこそガスライティングの親戚のようなものだろう。(以下、ネタバレ)エリザベートは美しい妃でいることに訣別しようと腰まで伸びていた髪を切り落とす。これがパティ・スミスかヴィヴィアン・ウエストウッドを思わせる初期のパンク・ヘアにしか見えず、エリザベートの髪を毎日、手入れしてきた女官たちは彼女の頭を見て泣き崩れる。ふてくされたような表情はしかし、ようやくエリザベートの意志とマッチしたかのように見え、エリザベートは揚々とイタリアまでタトゥーを入れに出掛けていく。


『エリザベート1878』は史実を忠実に再現しているわけではなく、中指を立てるポースや「君主制は人気がない」といった歴史を鳥瞰するセリフなど現代的な要素が意識的に散りばめられている。とくにポップ・ソングは効果的に多用され、プロモーション・ヴィデオのように挟まれる場面もある。なかではミック・ジャガーがマリアンヌ・フェイスフルに書いたデビュー・シングル〝As Tears Go By〟をエリザベートたちが無表情で聴く場面が秀逸で、「金も自由も手にしたのに・・・」「無邪気な子どもたちのようにはもう笑えない私」といった歌詞がエリザベートの内面をあぶり出すだけでなく、マリアンヌ・フェイスフルが世界で初めて愛想をふりまかず、ニコリともしなかったアイドル歌手であった事実(https://www.youtube.com/watch?v=S8EykQaZ8CU)とオーヴァラップし、「大衆や男たちの期待に応えない=宮廷の期待に応えない」というステートメントとしても効果的に作品の転換点を示すことになる。さらにいえばマリアンヌ・フェイスフルはそれでもエンジェル・ヴォイスの持ち主として持て囃され、アイドル歌手として成功したのであり、現在でいうところの塩対応のアイドルに先駆けた存在(峰不二子のモデルにもなった)であったにもかかわらず、当時の恋人でもあったミック・ジャガーが手を焼くほどヘロインにのめり込み、酒とタバコで喉をつぶし、〝As Tears Go By〟からわずか15年後にはガラガラのダミ声で歌う「大人の女性」に様変わりしていたこと(https://www.youtube.com/watch?v=f2tbc81Ujno)とも『エリザベート1878』はイメージをダブらせる。タバコを吸い、医者にヘロインを勧められてボロボロになっていくエリザベートはマリアンヌ・フェイスフルがやっていたこととまったく同じことをやっていて(これは偶然の一致)、フェイスフルがソフィア・コッポラ監督『マリー・アントワネット」で同じハプスブルグ家のマリア・テレジアを演じていたことも奇妙な符号に思えてくる。マリア・テレジアというのはハプスブルグ家を最盛期に導いた女帝であり、しかし、同時に皇帝(夫)の背後にいてエリザベートのような皇妃をガスライティングしていく主体が実は同じ女性だったということも『エリザベート1878』ではふんだんに描かれている。作品の終盤、あらゆることから吹っ切れたエリザベートは18歳のアンナを宮廷に呼び出し、皇帝の愛人になってくれと依頼する。彼女はまるでマリア・テレジアや自分を苦しめたゾフィー大公妃と同じように宮廷内の采配を振り始めたかのようである。エンディングにはさらにいくつか象徴的なシーンが続き、そのほとんどは僕には解釈不能だった。『女王の教室』よろしくエンドロールの映像で自由気ままに踊るエリザベートがいつの間にか髭を生やしていたことはとくに意味不明だった。あれは……?

Aphex Twin - ele-king

 みなさん、7月28日にリリースされたエイフェックス5年ぶりの新作EP「Blackbox Life Recorder 21f / in a room7 F760」はもうお聴きになりましたか?
 まさにそのリリース日である先週末、エイフェックス・ツイン本人だと推定されている「user18081971」なるアカウントが、サウンドクラウドに2曲のトラックを投稿しています。
 タイトルは “Short Forgotten Produk Trk Omc” と “2nd Neotek Test Trac Omc” で相変わらず意味がよくわかりませんが、2006年から07年につくられたもののようです。

 そしてサプライズはつづき、翌29日にはさらなる新曲 “matriarch test 3+Om1 Cass+909 edit1 F6 omc+1” も公開。いったいどれほど曲をストックしているんでしょうね。

 〈Warp〉からの最新EPのほうにも動きがあります。表題曲のオフィシャルMVが、今夜深夜1時(日本時間8月1日1時)に解禁される予定です。MVとしては前回の “T69 Collapse” 以来。手がけるのはおなじみ Weirdcore。もうページは公開されていてカウントダウンがはじまっていますので、1時にそなえましょう。
 最新作「Blackbox Life Recorder 21f / in a room7 F760」の魅力について佐々木渉と編集長が語りあう対談は、こちらから。

Aphex Twin - Blackbox Life Recorder 21f (Official Video)
https://youtu.be/e_Ue_P7vcRE


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