「IO」と一致するもの

Carole & Tuesday - ele-king

 これはビッグ・ニュースだ。去る2月、デヴィッド・ファースによるWebアニメ・シリーズ『Salad Fingers』の新作に音楽を提供していることが話題となったばかりのフライング・ロータスだけれど、なななんと、渡辺信一郎による最新アニメ『キャロル&チューズデイ』にもコンポーザーとして参加していることが明らかとなった。さらに同作には、フライローの盟友たるサンダーキャットまで参加しているというのだから驚きだ。ほかに G.RINA、マイカ・ルブテ、☆Taku Takahashi が参加していることも発表され、音楽好きとして知られる渡辺総監督の気合いがひしひしと伝わってくる。
 また今回の発表にあわせ、ナルバリッチとベニー・シングスが手がけるOP・ED曲(ヴォーカルはナイ・ブリックスとセレイナ・アン)を収録したシングルが5月29日にリリースされることも決定、現在OP曲“Kiss Me”のMVが公開されている。ボンズ20周年×フライングドッグ10周年記念作品として送り出される『キャロル&チューズデイ』、放送開始は1週間後の4月10日(フジテレビ「+Ultra」、NETFLIXほか)。モッキーが劇伴を担当し、総監督みずからが音響監督を務める同作、けっして見逃すことなかれ。

[4月24日追記]
 本日、フライング・ロータスやサンダーキャットらが手がける劇中挿入歌を収録したヴォーカル・アルバム『VOCAL COLLECTON Vol.1』のリリースがアナウンスされた。発売日は7月10日。アニメ好きとして知られるフライロー&サンダーキャットだけれど、まさかの本人アニソン・デビューである。いったいどんな曲に仕上がっているのやら。続報を待とう。

[4/24更新]
TVアニメ『キャロル&チューズデイ』
フライング・ロータス、サンダーキャットらが手掛ける劇中挿入歌(1クール分)を収録したアルバム『VOCAL COLLECTON Vol.1』 7/10発売決定!!

■TVアニメ『キャロル&チューズデイ』VOCAL COLLECTION Vol.1
7月10日(水)発売
VTCL-60499 / POS: 4580325328639 / ¥3,000+tax
※配信
iTunes Store、レコチョク、moraほか主要ダウンロードサイト及びストリーミングサービスにて5月29日(水)より配信スタート

(収録内容)
TVアニメ「キャロル&チューズデイ」を彩るキャラクターが歌唱する約20曲の劇中歌を収録。
※2019年4月から連続2クール(半年間)放送となるTVアニメ『キャロル&チューズデイ』の1クール分(12話分)の劇中歌をまとめたヴォーカルアルバム

・キャロル&チューズデイ (Vo. Nai Br.XX & Celeina Ann) / 「The Loneliest Girl」
 作詞/作曲/編曲: Benny Sings
・キャロル&チューズデイ (Vo. Nai Br.XX & Celeina Ann) / 「Round&Laundry」
 作詞/作曲/編曲: 津野米咲
・DJアーティガン / 「Who am I the Greatest」
 作曲: ☆Taku Takahashi (m-flo)

他、20曲収録予定

総監督:渡辺信一郎、アニメーション制作:ボンズ、キャラクター原案:窪之内英策ら強力なスタッフ陣が挑む
全世界の音楽を愛する人に捧げる、2人の少女が起こした奇跡の物語。

『キャロル&チューズデイ』

☆オープニングテーマ「Kiss Me」ミュージックビデオ公開!!
☆オープニング&エンディングテーマ
「Kiss Me/Hold Me Now」5/29リリース決定!!
☆第3弾参加コンポーザー
(フライング・ロータス、サンダーキャット等)発表!!
☆『キャロル&チューズデイ』劇中ボーカル曲参加コンポーザー
 ラインナップ映像公開!!

きっと忘れない。
あの、永遠のような一瞬を。
あの、ありきたりな奇跡を。

ボンズ20周年×フライングドッグ10周年記念作品として総監督・渡辺信一郎、
キャラクター原案・窪之内英策を迎えアニメ史を塗り替える、全世界に向けた音楽作品
TVアニメ『キャロル&チューズデイ』。
本日、番組オープニングテーマ「Kiss Me」のミュージックビデオが公開となった。
出演は『キャロル&チューズデイ』のシンガーボイスを担当しているNai Br.XX(ナイ・ブリックス)&Celeina Ann(セレイナ・アン)。この2人は全世界オーディションによって選ばれたシンガー。

オープニングテーマ「Kiss Me」は先日、ミュージックステーションにも初出演し、現在男女問わず
絶大な人気を誇るNulbarich(ナルバリッチ)によるプロデュース楽曲。この「Kiss Me」にのせてギブソン(ハミングバード)を弾きながら歌うセレイナ・アンとナイ・ブリックスが向かいあって歌うシーンはまさに『キャロル&チューズデイ』を象徴しているようなミュージックビデオになっている。

「Kiss Me」Music Video(short ver.)
URL: https://youtu.be/k45EpgweT9o

またこのオープニングテーマ「Kiss Me」とオランダを代表するポップの才人・Benny Sings(ベニー・シングス)プロデュースによるエンディングテーマ「Hold Me Now」を収録したシングルCD、配信、アナログ盤が5/29にリリースすることが決定した。

そして、劇中ボーカル曲第3弾参加コンポーザーも同時に発表となった。
LAビートシーンを先導する存在であり、現在の音楽シーンのカギを握る最重要人物であるFlying Lotus(フライング・ロータス)。
超絶技巧のベーシストでもあり、ここ数年のブラックミュージックの盛り上がりにおいて、誰もが認める立役者の一人にでもあるThundercat(サンダーキャット)。
日本の女性シンガーソングビートメーカー/DJで土岐麻子やNegiccoなどへの楽曲提供からtofubeats、鎮座DOPENESSなどとのコラボなど、幅広い領域で活動しているG. RINA(ジーリナ)。
Shu Uemuraやagnès bなどの 数々のファッションブランドやCM音楽を数多くプロデュースしている気鋭のシンガーソングライター/トラックメーカーのMaika Loubté(マイカ ルブテ)。
m-floのトラック・メイカーとしての活動はもちろんのこと、音楽プロデューサーとしても向井太一や加藤ミリヤなどを手がけ、アニメ「Panty&Stocking with Garterbelt」などのサントラも担当しており、渡辺信一郎監督作では「スペース☆ダンディ」にも楽曲提供している☆Taku Takahashi (m-flo)といった超豪華な面々。

合わせて現時点で参加している全てのコンポーザーのラインナップ映像も公開となった。

参加コンポーザーラインナップ映像
URL: https://youtu.be/jJ6QCaqCC5g

このメンツを見るだけでも胸アツラインナップだが、今後もさらに参加コンポーザーが発表されるようなので
今からこちらも楽しみに待ちたい。
いよいよ第1話放送まで1週間に迫った他に類を見ない本作に是非ご期待ください!!

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INFORMATION

OPテーマ「Kiss Me」/ EDテーマ「Hold Me Now」
キャロル&チューズデイ(Vo. Nai Br.XX & Celeina Ann)
5月29日(水)発売

<収録曲>
1. Kiss Me (作詞/作曲/編曲:Nulbarich)
2. Hold Me Now (作詞/作曲/編曲:Benny Sings)
3. Kiss Me TV size ver.
4. Hold Me Now TV size ver.

※シングルCD
VTCL-35302/POS:T4580325 328578
¥1,300+tax

※アナログ盤
VTJL-2 /T4580325 328622
¥2,000+tax

※配信
iTunes Store、レコチョク、moraほか主要ダウンロードサイト及びサブスクリプションサービスにて5月29日(水)より配信スタート

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渡辺信一郎監督の新作「キャロル&チューズデイ」に楽曲を提供するアーティスト第3弾。
フライング・ロータスは正真正銘、現在の音楽シーンのカギを握る最重要人物だ。彼は本名をスティーヴ・エリソンというプロデューサーで、83年にロサンゼルスで、お婆さんのお姉さんがアリス・コルトレーンという家系に生まれた。06年にビート・メイカーとしてデビュー。08年には自らのレーベル=ブレインフィーダーを立ち上げ、ヒップホップやテクノ、ジャズなどを包括するLAのビート・シーンを先導する存在となった。今のところの最新作『ユーアー・デッド!』にはラッパーのケンドリック・ラマーやハービー・ハンコックなども参加している。昨年8月には“ソニックマニア”出演のために来日し、3D映像と融合したDJステージを展開、そこでもゲームや『攻殻機動隊』サントラなどをプレイしたが、「カウボーイ・ビバップ」なども好きだったようで、渡辺信一郎監督の『ブレードランナー ブラックアウト2022』の音楽を監督からの要望で担当してもいる。
 そんなフライング・ロータスと楽曲を共作するのがサンダーキャット。ブレインフィーダー・レーベルに所属するロータスの盟友の一人だ。彼は本名をスティーヴン・ブルーナーといい、84年にLAで生まれた。ベーシストとしてスラッシュ・メタルのスイサイダル・テンデンシーズから、R&Bのエリカ・バドゥ、ラップのケンドリック・ラマーまで、様々なアーティストと共演してきたが、そんな経歴を詰め込んだようなハイブリッドな音楽性で11年にソロ・デビューした。シンガー・ソングライター的な側面を強めた『ドランク』(17年)はそんな彼の決定版で、マイケル・マクドナルドなどを迎えた「ショウ・ユー・ザ・ウェイ」はAOR再評価の波と相まって、大きな話題となった。
 ☆Taku Takahashiは日本のDJ、音楽プロデューサー。98年からm-floのトラック・メイカーとして活動、99年にメジャー・デビューしてからヒット曲を連発した。音楽プロデューサーとしても向井太一や加藤ミリヤ、MINMIなどを手がけ、最近では韓国のセクシー・グループ、EXIDの日本オリジナル曲もプロデュースした。また、アニメ「Panty&Stocking with Garterbelt」などのサントラも担当しており、渡辺信一郎監督作では「スペース☆ダンディ」にも楽曲提供している。
 G.RINA(ジー・リナ、グディングス・リナ)は日本の女性シンガー/ビートメイカー/DJ。03年にすべてセルフ・プロデュースで作り上げたアルバムでデビューした。ディスコ/ソウル/ヒップホップを始め、広くダンス・ミュージックにこだわった音楽性で、07年にはビクターからメジャー・デビューしたが、同時にインディ・レーベルも主宰するなど、独自の活動を続けている。土岐麻子やNegiccoなどへの楽曲提供から、tofubeats、鎮座DOPENESSなどとのコラボなど、幅広い領域で活動している。
 Maika Loubté(マイカ ルブテ)は日本人の母とフランス人の父の間に生まれた女性シンガー・ソングライター/トラックメイカー/DJ。10代まで日本・パリ・香港で過ごし、14歳で作詞/作曲を始めた。小山田圭吾、鈴木慶一、菊地成孔などとの共演を経て、14年にアルバム・デビュー。ヴィンテージなアナログ・シンセから最新電子楽器までを駆使した宅録女子として独自の世界を作り上げている。CM音楽や劇中歌なども数多く手がける気鋭のクリエイターだ。

Text: 高橋修

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Flying Lotus(フライング・ロータス)
LA出身のプロデューサー、フライング・ロータスことスティーヴン・エリソン。大叔父にモダンジャズの名サックスプレイヤーのジョン・コルトレーン、そしてその妻でありジャズミュージシャンのアリス・コルトレーンを大叔母に持つ。LAビートシーンの最重要人物にして、サンダーキャットやテイラー・マクファーリン、ティーブスらを輩出した人気レーベル〈Brainfeeder〉を主宰。2010年の『Cosmogramma』、2012年の『Until The Quiet Comes』、そして世界各国で自己最高のセールスを記録し、その年を代表する名盤として高い評価を受けた2014年の『You're Dead!』などのアルバムを通して、その評価を絶対的なものとする。2017年には、自ら手がけた映画『KUSO』の公開や、渡辺信一郎監督の短編アニメーション『ブレードランナー ブラックアウト 2022』の音楽を手がけるなど、その活躍の場をさらに広げている。

Thundercat(サンダーキャット)
フライング・ロータス諸作を始め、ケンドリック・ラマー、カマシ・ワシントンらの作品に参加する超絶技巧のベーシストとしてシーンに登場し、ここ数年のブラックミュージックの盛り上がりにおいて、誰もが認める立役者の一人にまで成長したサンダーキャット。2011年の『The Golden Age Of Apocalypse』、2013年の『Apocalypse』でその実力の高さを証明し、2017年の音楽シーンを象徴する傑作として高く評価された最新作『Drunk』ではケンドリック・ラマー、ファレル・ウィリアムス、フライング・ロータス、マイケル・マクドナルド、ケニー・ロギンス、ウィズ・カリファ、カマシ・ワシントンら超豪華アーティストが勢揃いしたことでも話題となり、その人気を決定づけた。

G.RINA (ジーリナ)
シンガーソングビートメイカー・DJ
近作アルバム『Lotta Love』『LIVE & LEARN』では80年代 90年代へのオマージュとともに、日本語歌詞のメロウファンク、ディスコ、モダンソウルを追求している。英国、韓国アーティスト、ヒップホップからアイドルまで幅広くプロデュース、詞/楽曲提供、客演など。2018年、ZEN-LA-ROCK、鎮座ドープネスとともにヒップホップユニット「FNCY」を結成。
https://grina.info

Maika Loubté (マイカ ルブテ)
Singer song writer / Track maker
SSW/トラックメーカー/DJ。近所のリサイクルショップでヴィ ンテージアナログシンセサイザーを購入したことをきっかけに、ドリームポップとエレク トロニックミュージックを融合させたスタイルで音楽制作を始める。 日本とフランスのミックスであり、幼少期から十代を日本・パリ・香港で過ごす。
2016年夏、アルバム『Le Zip』(DIGITAL/CD+42P PHOTO BOOK)をリリース。
のち2017年3月にリリースしたEP『SKYDIVER』がJ-WAVE「TOKIO HOT 100」に選出され、
番組にも出演。2017年5月、Underworldがヘッドライナーを務めた バンコクの音楽フェス
「SUPER SUMMER SOUND 2017」に出演。 SUMMER SONIC 2017出演。同年7月、Gap“1969 Records”とのコラボレーションによりMVが制作された「Candy Haus」を、配信と7インチLPでリリース。
インディペンデントな活動を続けながら、Shu Uemuraやagnès bなどの 数々のファッションブランドやCM音楽をプロデュースし、これまでに自主盤を含め2つのアルバムと3つのシングルEPを発表。
2017年、米Highsnobietyが企画・制作したMercedes BenzのWeb CMに出演し、
未発表曲がフィーチャーされた。台湾・中国・韓国・タイ・フランスでのライブパフォーマンスも成功させ、活動の幅を広げている。2019年、新作フルアルバムをリリース予定。元Cibo MattoのMiho Hatoriらを客演に迎え、PhoenixやDaftpunkなども手がけるAlex Gopherがマスタリングを務めた。
Official web www.maikaloubte.com
Twitter https://twitter.com/maika_loubte
Instagram https://www.instagram.com/maika_loubte/

☆Taku Takahashi (m-flo)
DJ、プロデューサー。98年にVERBAL、LISAとm-floを結成。
ソロとしてもCalvin Harris、The Ting Tings、NEWS、V6、Crystal Kay、加藤ミリヤ、MINMIなど国内外アーティストのプロデュースやRemix制作も行うほか、アニメ「Panty&Stocking with Garterbelt」、ドラマ・映画「信長協奏曲」、ゲーム「ロード オブ ヴァーミリオン III」など様々な分野でサウンドトラックも監修。2010年にリリースした「Incoming... TAKU Remix」は世界最大のダンスミュージック配信サイト“beatport”で、D&Bチャートにて年間1位を獲得。また同曲で、過去受賞者にはアンダーワールドやファットボーイ・スリム、ジャスティス等、今や誰もが知っているスーパースター達が名を連ねる『beatport MUSIC AWARDS 2011 TOP TRACKS』を獲得し、日本人として初めての快挙を成し遂げ、名実ともに世界に通用する事を証明した。
国内外でのDJ活動でクラブシーンでも絶大なる支持を集め、LOUDの“DJ50/50”ランキング国内の部で3年連続1位を獲得し、日本を牽引する存在としてTOP DJの仲間入りを果たした。2011年に自身が立ち上げた日本初のダンスミュージック専門インターネットラジオ「block.fm」は新たな音楽ムーブメントの起点となっている。2018年3月7日には、15年ぶりにLISAが復帰しリユニオンしたm-floのNEW EP「the tripod e.p.2」をリリース。m-floの最新シングル「MARS DRIVE」「Piece of me」「epic」も好評配信中。
https://twitter.com/takudj
https://block.fm/

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《キャロル&チューズデイとは?》

ボンズ20周年×フライングドッグ10周年記念作品。
総監督に『サムライチャンプルー』・『カウボーイビバップ』・『アニマトリクス』・『ブレードランナー ブラックアウト2022』ほかを手掛け国内外においてカリスマ的な人気を誇る、渡辺信一郎。
キャラクター原案に、日清食品カップヌードルCM「HUNGRY DAYS 魔女の宅急便篇」、「HUNGRY DAYSアルプスの少女ハイジ篇」などのキャラクターデザインで人気を博している窪之内英策。
この強力タッグのもと、アニメーション制作は『COWBOY BEBOP 天国の扉』・『鋼の錬金術師』・『交響詩篇エウレカセブン』・『僕のヒーローアカデミア』など数多くのヒット作品を世に送り続けるボンズ、物語の主軸となる音楽は『カウボーイビバップ』・『マクロス』シリーズなど数々のヒットアニメーション音楽を作り出すフライングドッグが担当する。
劇中音楽はカナダ出身のアーティストMockyが手掛け、主題歌は全世界オーディションによって選出されたNai Br.XX(ナイ・ブリックス)、Celeina Ann(セレイナ・アン)がキャロル・チューズデイのWキャストとして曲を歌唱する。音楽にも強い拘りがある本作は海外アーティストからの楽曲提供が多く、さらに劇中歌及び主題歌は全て外国語で歌唱される。
オープニングテーマ「Kiss Me」は現在、男女問わず絶大な人気を誇るNulbarich(ナルバリッチ)。エンディングテーマ「Hold Me Now」はオランダを代表するポップの才人・Benny Sings(ベニー・シングス)が担当。また、劇中ボーカル曲参加コンポーザーとして、ノルウェー出身の音楽プロデューサー・ミュージシャンのLido、オランダを代表するポップの才人・Benny Sings、エレクトロポップデュオ《The Postal Service》への参加でも知られるUSインディー界の歌姫・JEN WOOD、女性4人によるロックバンド・《赤い公園》でギターを担当する津野米咲、ビヨンセやリアーナ、ジェニファーロペスなど超大物アーティストに楽曲を提供しているEvan "Kidd" Bogart、現在活動停止中ではあるがロック・ファンにはなじみの深いKeane(キーン)のTim Rice-Oxley、コーネリアスやファイストなどとのコラボも話題となったノルウェー出身のグループ、Kings of Convenience(キングス・オブ・コンビニエンス)のEirik Glambek Bøe等といったこちらも早々たる面子が音楽で本編を彩る。
2019年4月10日からのオンエアに向けて本編、音楽ともに絶賛鋭意制作中!
他に類をみない本作品に乞うご期待!!!

☆新プロモーション映像
 URL: https://youtu.be/CBak9m0bcB0
☆ドキュメンタリー映像
・Story of Miracle (vol.1)
 URL: https://youtu.be/hzxqk2dVvf4
・Story of Miracle (vol.2)
 URL: https://youtu.be/K8X10gdWz-A

《あらすじ》
人類が新たなフロンティア、火星に移り住んでから50年になろうという時代。
多くのカルチャーはAI によって作られ、人はそれを享楽する側となった時代。
ひとりの女の子がいた。
首都、アルバシティでタフに生き抜く彼女は、働きながらミュージシャンを目指してい
た。いつも、何かが足りないと感じていた。
彼女の名はキャロル。
ひとりの女の子がいた。
地方都市、ハーシェルシティの裕福な家に生まれ、ミュージシャンになりたいと思ってい
たが、誰にも理解されずにいた。世界でいちばん孤独だと思っていた。
彼女の名はチューズデイ。
ふたりは、偶然出会った。
歌わずにいられなかった。
音を出さずにいられなかった。
ふたりなら、それができる気がした。
ふたりは、こんな時代にほんのささやかな波風を立てるだろう。
そしてそれは、いつしか大きな波へと変わっていく───

■メインスタッフ
原作:BONES・渡辺信一郎
総監督:渡辺信一郎
監督:堀 元宣
キャラクター原案:窪之内英策
キャラクターデザイン:斎藤恒徳
メインアニメーター:伊藤嘉之、紺野直幸
世界観デザイン:ロマン・トマ、ブリュネ・スタニスラス
美術監督:河野羚
色彩設計:垣田由紀子
撮影監督:池上真崇
3DCGディレクター:三宅拓馬
編集:坂本久美子
音楽:Mocky
音響効果:倉橋静男
MIXエンジニア:薮原正史
音楽制作:フライングドッグ
アニメーション制作:ボンズ
公式HP: https://caroleandtuesday.com/
Twtter: @carole_tuesday
Instgram: @caroleandtuesday
Facebook: https://www.facebook.com/caroleandtuesdayofficial/

©ボンズ・渡辺信一郎/キャロル&チューズデイ製作委員会

《主題歌情報》
オープニングテーマ「Kiss Me」
作詞・作曲・編曲:Nulbarich
歌:キャロル&チューズデイ(Vo. Nai Br.XX & Celeina Ann)

エンディングテーマ「Hold Me Now」
作詞・作曲・編曲:Benny Sings
歌:キャロル&チューズデイ(Vo. Nai Br.XX & Celeina Ann)

■メインキャスト
キャロル:島袋美由利
チューズデイ:市ノ瀬加那
ガス:大塚明夫
ロディ:入野自由
アンジェラ:上坂すみれ
タオ:神谷浩史
アーティガン:宮野真守
ダリア:堀内賢雄
ヴァレリー:宮寺智子
スペンサー:櫻井孝宏
クリスタル:坂本真綾
スキップ:安元洋貴

■シンガーボイス
Nai Br.XX(キャロル)
Celeina Ann(チューズデイ)
Alisa(アンジェラ)

■本作参加コンポーザー
Mocky / Nulbarich / Benny Sings / Lido / JEN WOOD / 津野米咲(赤い公園) / Evan "Kidd" Bogart / Tim Rice-Oxley (Keane) / Eirik Glambek Bøe (Kings of Convenience) / Flying Lotus / Thundercat / G.RINA / Maika Loubté / ☆Taku Takahashi (m-flo)
・・・and more

《タイアップ》
ノード、ギブソンとのタイアップ決定!!
世界のトッププレイヤーたちが愛用するシンセサイザー/キーボードの“Nord”ブランドと世界的老舗ギターメーカー“ギブソン” (Hummingbird)とのコラボレーションが決定!
キャロルのキーボード、チューズデイのギターにはそれぞれNord、ギブソンのロゴが入り、
リアルな音楽作品としてよりいっそう本タイトルを盛り上げます。

協力:株式会社ヤマハミュージックジャパン(日本国内におけるNordブランド製品の輸入・販売元)

《放送情報》
2019年4月10日よりフジテレビ「+Ultra」にて毎週水曜日24:55から放送開始(初回は25:05~)
NETFLIXにて4月10日配信開始。2話~毎週木曜日配信(日本先行)
ほか各局にて放送 (関西テレビ/東海テレビ/テレビ西日本/北海道文化放送/BSフジ)

・テレビ西日本 4月10日(水)25:55~26:25
・東海テレビ 4月13日(土)25:55~26:25
・北海道文化放送 4月14日(日)25:15~25:45
・関西テレビ 4月16日(火)25:55~26:25 
・BSフジ 4月17日(水)24:00~24:30 

Qrion - ele-king

 現代的でありつつどこか叙情的なダンス・チューンを次々と送り出す、札幌出身サンフランシスコ在住のDJ/プロデューサー、クリョーン(Qrion)。これまでスロウ・マジックやトキモンスタなどのリミックスを手がけ、デイダラスとも共演、ポーター・ロビンソンやライアン・ヘムズワース、カシミア・キャットらのツアーに帯同してきた彼女だけれど(初音ミクを使った曲もあり)、このたびなんと、昨年リリースされたEP「GAF 1」「GAF 2」の12インチ化を記念してリリース・パーティが開催される運びとなった。日時は4月30日、会場は CIRCUS Tokyo。当日は Taquwami、Submerse、ピー・J・アンダーソンらも出演するとのことで、これは見逃せない!

札幌出身で現在はサンフランシスコを拠点に活動しているDJ/プロデューサー、Qrion (クリョーン)が、スタイリッシュかつディープなハウス・サウンドをみせた2018年のEP「GAF 1」、「GAF 2」の楽曲が待望の 12 inch 化が決定。
平成最後の4月30日に CIRCUS TOKYO にてリリースを記念したパーティーを開催!

TITLE: PLANCHA × CIRCUS presents Qrion 『GAF』 Release party
DATE: 2019.4.30 (TUE/HOLIDAY) OPEN 18:00

LINE UP:
Qrion
Taquwami
Submerse
Pee.J Anderson

ADV: 2,800yen
DOOR: 3,300yen
(別途1ドリンク代金600yen必要)

TICKET:
Peatix:https://qrion.peatix.com/
イープラ:https://eplus.jp/
チケットぴあ:P-CODE (149133)

VENUE: CIRCUS Tokyo
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷3-26-16
03-6419-7520
https://www.circus-tokyo.jp

▼ Qrion

札幌出身、現在はアメリカ・サンフランシスコを拠点とするトラックメイカー/プロデューサー。10代の頃からオンラインを中心に音源をリリースし注目を集め、Ryan Hemsworth、How To Dress Well、Giraffage、i am robot and proud ら海外のプロデューサーとの共作が一挙に話題となり、瞬く間に世界中に Qrion の名が広がり、海外からのオファーが殺到、〈Fool’s Gold〉、〈Carpark Records〉、〈NestHQ〉、〈Secret Songs〉などの世界中のレーベルからリリース、「Trip」、「Just a Part of Life」といった自身の作品のほか、TOKiMONSTA、Slow Magic などのリミックス作品もリリースしている。

さらに Qrion は世界中をツアーしており、Slow Magic との28日間の北米ツアーを終えた、Porter Robinson、Ryan Hemsworth、Cashmere Cat, and Giraffage のツアーにも帯同、この秋の自身の最新EPとなる「GAF」のリリース・ツアーでは、LA、ニューヨーク、サンランシスコ、札幌、東京など、アメリカと日本で全8公演を成功裡に収め、更には、世界最大級のダンス・ミュージック・フェス Tomorrowland 2018 出演を始め、HARD Summer、Holy Ship、Moogfest、NoisePop、SXSWのショーケース、Serentiy Fest、更には日本の TAICOCLUB’ 18 など、多くのフェスティバルでもプレイ。 2018年に世界基準でさらなる話題を集める、今最も注目すべきアーティスト。

▼ Taquwami

作曲家。これまでにいくつかのEPといくつかのmp3をインターネット上でリリース。その他プロデュースワークやリミックスワークも多数手がける。

▼ submerse

イギリス出身の submerse は超個人的な影響を独自のセンスで消化し、ビート・ミュージック、ヒップホップ、エレクトロニカを縦横無尽に横断するユニークなスタイルを持つDJ/ビートメーカーとして知られている。これまでにベルリンの老舗レーベル〈Project: Mooncircle〉などから作品をリリースしている。SonarSound Tokyo2013、Boiler Room、Low End Theory などに出演。
また、Pitchfork、FACT Magazine、XLR8R、BBCといった影響力のあるメディアから高い評価を受ける。2017年に90年代のスロウジャムやヒップホップを昇華させたニューアルバム『Are You Anywhere』をリリース!

▼ Pee.J Anderson

Pee.J Anderson (ピー・ジェイ・アンダーソン)は Al Jarriem (アル ジャリーム)と JOMNI (ジョムニ)による関西出身の Deep House ユニット。
2017年末のハウス・シーンに突如現れ、精力的にリリースやライブ活動を行い東京のダンスフロアを彩り続ける。PCライブをベースに、ボーカルや楽器による生演奏と併せて4つ打ちを鳴らすスタイルからクラブ界隈で異才を放つ。

オカシオ・コルテス現象について - ele-king

 音楽ファンにこそぜひ覚えておいて欲しい。オカシオ-コルテスこそが、政治だけじゃなくカルチャーをひっくり返す存在になり得ることを。
 去る2月7日、米国民主党の女性新人議員アレクサンドリア・オカシオ-コルテスと同僚議員が、かねてから待望されていた「グリーン・ニューディール法案」を米国議会に提出した。

 米国では昨年6月に同議員が初当選したその瞬間から、主流メディア/ネット問わず彼女とその一挙手一投足に、そして法案提出以前から口にしていたグリーン・ニューディールの話題で持ちきりとなり、当選の前後比でこのグリーン・ニューディールに関するするツイート数がわずか数ヶ月で100倍にまで増えたほどだ。
https://www.vox.com/energy-and-environment/2018/12/21/18144138/green-new-deal-alexandria-ocasio-cortez

 “AOC”、彼女のツイッター・アカウントからくる愛称がネット上で散見されるようになるのは昨年夏に遡る。
 2018年6月に行われたニューヨーク州第14選挙区予備選挙で、ほとんど注目もされていなかったダークホースのAOCが下院議員を10期務めた現職のジョー・クローリーを破り、晴れて史上最年少で民主党下院議員となった。

 オカシオ-コルテスは、89年にブロンクスに生まれた29才。プエルトリコ系の労働者階級の両親のもとに育ちボストン大学で政治経済を学んだ。卒業後は地元のタコス・レストランでウェイトレスやバーテンダーの職に就くかたわら政治活動を続けた。
 そして2016年の大統領選で熱い旋風を起こしたバーニー・サンダースの主催するSanders Instituteのサポートを受け、民主社会主義の“パダワン”として頭角を現した。

 日本でも左派界隈を中心に、その物怖じしない発言の数々と、民主主義の理想を力強く掲げ為政者に立ち向かう姿勢が称賛されることとなったが、ミュージシャンでもある筆者の目には“ブロンクスのHip Hop姉さん”にも映った。

 1月19日、Women’s March におけるキング牧師を彷彿とさせる演説ビデオが、日本のリベラル左派界隈でも話題となったことは記憶に新しい。
▼ Watch Alexandria Ocasio Cortez’s Inspiring Women’s March Speech | NowThis

 アナキズムをも連想させる黒地に赤文字の背景の前で、漆黒の装いのオカシオ-コルテスが、「誰一人として見捨てないのが民主主義だ」と力強く語るストリート叩き上げの姿に感動を覚える。

 しかし彼女の革新性は、日本のメディアに語られない点にこそその真髄がある。それはグリーン・ニューディール法案の内容に見て取ることができる。GNDは米国の化石燃料に依存した従来型の産業を、環境保護重視の観点から再生可能エネルギーを中心とした産業構造に変えようとする野心的なものとなる。同法案にはスマートなインフラ整備への公共投資、国民皆保険(Medicare for All)や国民総雇用保障(Job Guarunteed Program)を目指す前代未聞のアイデアが内包される。
 さらに、実に7兆ドルから32兆ドル((約770兆円〜約3520兆円)とも推計されるその財源の多くを、政府の「赤字支出」によって賄おうという稀に見る案を示したのだ。

 29才の跳ねっ返り新人議員が提案した、この革新的な法案に全米が騒然としたことは想像に難くないだろう。
https://edition.cnn.com/videos/tv/2019/02/07/alexandria-ocasio-cortez-green-new-deal-q--a-ed-markey-sot-cnngo.cnn
 各所で賛否両論が沸き起こり、3月2日現在でも同法案の実現可能性に関して絶えず議論が続けられている状況となる。

「インフラや福祉、格差是正に赤字国債を発行して、7兆ドル(推計)を支出する」

 誰もが無謀で荒唐無稽に感じたこのGND法案に、現在までに全ての民主党大統領候補と、およそ70名の民主党議員が、さらには敵対する共和党議員までもが賛同している。長く国際政治をウォッチしている人間たちにとっても、“革命”とも言える異常事態が起こっていることを認めるだろう。

 日本のリベラル左派のあいだには、戦前の教訓から長く“赤字国債発行アレルギー”が蔓延していたが、この革命的現象を、いま語らずして民主主義社会のパラダイムシフトを肌に感じることはできないだろう。

 結びに、先日2月27日の米『ローリング・ストーン』誌のインタヴューに「もっとスケールの大きな話をしよう」と、矢沢栄吉ばりに答えたオカシオ-コルテスの発言を引用し、本コラムを終えようと思う。

「Alexandria Ocasio-Cortez Wants the Country to Think Big」

私にとっての最大の課題は、常識の枠を変える(Move the Overton window)ことです。
私は新米ですから、あらゆる方法を使います。議論の枠を変えることが力になります。
もし私の、議員としての時間が4日間しかなかったら、何よりも私は富裕層の最高税率に関する議論を巻き起こします。
   (中略)
かつて、大不況から脱出した方法は何か、それは大規模な公共投資です。
そして、人々が志を高くし、この国の可能性を信じることです。
ちょっとずつ変えてゆこうという了見ではダメです。
私たちにはMoonshot(月ロケット打ち上げ)が必要なのです。
https://www.rollingstone.com/politics/politics-features/alexandria-ocasio-cortez-congress-interview-797214/

ハテナ・フランセ - ele-king

 みなさんボンジュール。今日はフランス国民を唖然とさせると共に、メディアを大い湧かせているベナラ事件の続報を。この騒動は、登場人物のキャラの濃さとスパイ・ドラマじみた展開からドラマ風に「ベナラ、シーズン2」などと呼ばれている。
 まずは昨年夏にお伝えした事件のおさらいから。選挙時からボディガードを担当し、事件当時マクロン大統領官房長官補佐であったアレクサンドル・ベナラは、2018年5月1日に行われたメーデー恒例のデモに参加していた若者カップルに暴行を働いた。一般市民に身体的制裁を加える法的権利を持つのは、フランスでは警察のみである。アレクサンドル・ベナラは機動隊員でもなければ警察でもないのに、事件当日機動隊の装備と警察の腕章を付け、一般市民に暴行を加えた。大統領府がその制裁として下したのは、2週間の業務停止だ。7月18日大手新聞『ル・モンド』の報道により、大統領側近アレクサンドル・ベナラの暴行事件が明るにみ出ると、大統領府は慌てたように彼を解雇した。また、ベナラと共に若者カップルに暴行を働いた予党「La République en Marche(共和国前進)」の警備担当ヴァンサン・クラスも解雇された。この事件は国会でも大きく批判され、当時不支持率が支持率を上回っていたマクロン大統領のイメージをさらに悪くした。「マクロン君主制」と揶揄されていた政権の傲慢さをさらに浮き彫りにしたのだ。7月22日に、アレクサンドル・ベナラとヴァンサン・クラスは若者カップルへの暴行とその様子を捉えた動画を渡すように働きかけた罪で起訴された。また、その際に司法審査会により2人は面会を禁止された。その時点ではこの事件は、それだけで終了したかに見えた。


(リベラシオン紙:内閣のベナラコネクションという見出し)

 ところが2018年末に今度はベナラが外交パスポートを使用して、アフリカのチャド共和国を訪れたことが発覚。12月27日付の大手紙『Le Monde』と独立系Webメディア『Mediapart』の記事によると、投資目的のビジネスマン一団とプライベート・ジェットでチャドに降り立ち、大統領の弟などと会合したという。外交パスポートは、本来なら解雇された時点で返還するべきで、大統領府や外務省も回収するべきものだ。7月26日に返還するように外務省から通達がベナラに届いていたが、彼はそれを無視した。その後もベナラは外交パスポートを23回に渡り使用し続けた。しかも大統領府のレターヘッドを無断で使用し、ボールペン手書きで大統領府命令を偽造。外務省に複数の外交パスポートを申請し、最終的には4冊も持っていたという。そんなに簡単に大統領府命令が偽造できることも、それに対し外務省が外交パスポートを4冊も発行してしまうことも、にわかに信じがたい。だがベナラはそれをやってのけたのだ。
 この外交パスポートの件を皮切りに、ベナラの豪胆な無法ぶりが次々と明らかになっていく。
 年が明けて2019年1月31日に『Mediapart』が新たなベナラ・ネタをスクープ。7月22日の起訴の際、アレクサンドル・ベナラとヴァンサン・クラスは面会を禁止された。にも関わらず、7月26日に両者は密会し、証拠隠滅の相談をしたというのだ。『Mediapart』はその会話を録音した音声データを公開。ベナラが「昨日ボスからSMS来たぜ。“お前なら奴らを負かす。お前は奴らより強いからな。だからお前を側においたんだ”って」と言うとクラスが「ってことはボスは俺たちの味方ってことか?」と問いかけ、ベナラは「味方なんてもんじゃないぜ!」と大笑い。その後、証拠隠滅とメール・サーバーで下書き機能を使い痕跡を残さずにやり取りを続けるやり方など、詳細に相談する様子が捉えられている。この音声をきっかけに、パリ検察局はベナラとクラスによる証拠遺棄に関する調査を開始し、2人は一時拘留された。だが、同時に検察は『Mediapart』に任意の家宅捜索も試みたのだ。もちろん『Mediapart』側は拒否。あくまでも合法な予備調査で私的情報の侵害には当たらないという法的根拠を提示した。これは、当事者の『Mediapart』はじめ多くのメディアから、検察が政権に「忖度」し、情報提供者を特定するために行なった行為だと非難された。
 また、この音声データでもう一つさらに重要な案件が暴露された。それが通称「ロシア取引」。ベナラがクラスに「“Mars”からお前の名前を削除しろ」と指示しているのだが、この「Mars」というのはクラスが2017年8月に立ち上げた警備会社のことだ。なぜこの会社を立ち上げたかと言えば、ロシアの富豪イスカンダル・マフムドフのモナコにある家の警備を引き受けるためだ。そしてその契約を引っ張って来たのがベナラなのだ。「Mars」は2018年6月、この契約により約29万ユーロ(約3,600万円)を受け取っている。このイスカンダル・マフムドフという人物もいわく付きで、自動小銃製造会社カラシニコフ社の株主で、プーチンに非常に近いとか、ロシア・マフィアとの関係が疑われているとか言われている。このデータが公表されたことにより、マクロン大統領の側近がプーチン大統領に近い人物との契約を仲介していたことが発覚したわけだ。2月1日に右寄り政治雑誌『Le Point』のインタヴューで、マクロン大統領は「ジレ・ジョーヌ」はロシア・メディア『Russia Today』『Sputnik』を通じてプーチンに操られていると断言している。根拠は何も上げていないが、とにかくフランスは「ジレ・ジョーヌ」を通じてロシアの脅威に晒されていると強い懸念を表明。だが、自らの側近が大統領府で働いている期間に、プーチンに近い人物とのビジネスを行なった証拠が出て来たことには、大統領は何もコメントしていない。
 そもそもイスカンダル・マフムドフは、すでにそれまで別の警備会社と契約があったのに、なぜ警備会社としてまだ未認可の会社にわざわざ警備を変更したのか。「Mars」は警備会社として認可すら受けておらず、会社としては請け負ったものの、以前ベナラが勤めていた警備会社「Velours」に警備を下請けに出さなければならない状態だった。そして7月18日の『ル・モンド』報道を受けて、「Velours」はこの取引から手を引いた。10月にはベナラの18歳の異父兄弟(各方面から狙われてもおかしくない大富豪を警備する会社のトップが18歳の少年に務められるとは信じがたいが)が「France Close Protection」を立ち上げる。ベナラの友人が経営者となったこの会社が「Velours」の代わりを務める。そして新たに70万ユーロ(約8,600万円)をイスカンダル・マフムドフから受け取っている。また、12月にはこれまたロシアの富豪ファルハド・アフメドフと警備契約を結び、「France Close Protection」は98万ユーロ(約1億2000万円)を受け取っている。このような報道を受け、フランス国家財政検事局は2月7日、ベナラ、クラスの「ロシア取引」にまつわる汚職容疑について捜査を始めた。
 また一連のベナラ事件はフランスの上院議会が調査会を立ち上げ、7月から34回に渡る審査会を開いた。ベナラとクラスは9月19日と1月21日、2回召喚された。その審査会で、イスカンダル・マフムドフとクラス警備会社「Mars」との取引の仲介をしたかと問われ、ベナラは「クラスさんが会社を立ち上げたことも、取引のことも聞いていました。友人ですから。皆さんに隠すつもりはありません。ただ私は彼の取引の仲介をしたことも、したいと思ったこともありません」と涼しい顔で言ってのけた。クラスは「起訴された際にアレクサンドル・ベナラとは面会を禁止されているので、7月22日以降一切会っていません。彼の近況はメディアで知りました」と証言。これらの証言は1月31日『Mediapart』の音声データ公開により全て覆され、上院調査会はベナラとクラスの偽証の疑いを検察に報告した。
 ベナラは上院で、他にもトンデモ発言をしている。彼が銃携帯許可を受ける前、マクロンの大統領選挙活動中の2017年4月、地方のビストロでウェイトレスと一緒に撮ったセルフィーがある。若い女性ウエイトレスは満面の笑顔、ベナラは少々おどけて女性に銃を突きつけている。このセルフィーがまたもや『Mediapart』によって公開され上院で不法所持に対する質問が出た。これに対しベナラは「嘘みたいな本当の話なんですが、これは水鉄砲です」とギャグとしか思えない証言をしてのけた。


(上院調査会での証言するベナラ。一部始終がテレビ中継されてワイドショーのようだった)


(上院調査会での証言するクラス。ベナラよりも心なしか自信なさげな様子)

 このような人物は、エリートの頂点である大統領府にはかつていなかったのではないだろうか。どうやらベナラはリセ時代に大統領府で研修をしたことをきっかけに、警備、それも華やかな世界の警備に憧れるようになったようだ。2007年15歳の頃、カブールの映画祭でマリオン・コティヤールらセレブリティの警備のバイトをする。19歳の時、軍隊予備学校に入学。学校での彼の評価は「学年でも一番優秀な一人。規律正しく、非の打ちどころがない。軍隊に強い興味を持ち、その向上心に見合った素晴らしい結果を残した」という最上級のものだ。この評価を書いたのが彼の上官で15歳年上のヴァンサン・クラスだった。その後、ベナラは2010年に社会党の警備をしている会社に入る。セゴレーヌ・ロワイヤルやフランソワ・オランドなど数々の政治家の警備に参加。2012年にフランソワ・オランドが大統領に当選すると警備会社を辞めた。そしてアルノー・モントブー生産再建大臣の官房で運転手の職に付く。だが職に就いて早々、大臣不在の際に公用車を無断使用したうえ交通違反をし「次はない」と大臣官房長から警告を受ける。そして数週間後には大臣が同乗中に、駐車してある車に当ててしまう。「人に怪我を負わせていないか確認しなさい」と指示した大臣に対し、とっさにベナラがとった行動は大臣の頭を押さえて「隠れてください!」と言うことだった。ベナラが頑として逃げようとすることに業を煮やした大臣は、車から降り、歩いて官邸に帰った。その足で大臣はベナラをクビにするように大臣官房長に指示。ベナラは3ヵ月でクビになった。上院調査会では、大臣の運転手をクビになった理由も改めて問われた。ベナラの答えは、大臣が環状道路をベリブ(パリ市のレンタサイクル)で走ろうとしたのを止めたから、だった。そんなことをしたらスマフォで撮影、即拡散される時代に、だ。もしも大臣が敢えてそのような行動に出たならば、それは正気を失ったとしか言いようがないだろう。運転手をクビにする前に、大臣の精神状態がむしろ心配だ。
 どのエピソードをとっても面白すぎるベナラ。自己顕示欲、金銭欲、権力欲に満ちたバッドボーイがエリート集団の大統領府で好き放題やらかしたのだ。彼が、ここまでできた理由は、マクロン大統領が直々に雇ったという究極の免罪符があったからだろう。そのツケをベナラは、これから行われる裁判で払うことになるのだろう。だが、そのような法の無視を許したマクロン大統領の責任も、本来なら問われて然るべきだろう。フランソワ・リュファンを中心とした野党議員やエマニュエル・トッドのような反マクロン派のインテリはもちろんマクロン大統領を糾弾している。だが、今のところ大統領の座が脅かされるような動きはない。

これも『Mediapart』のスクープ。本物の銃そっくりの水鉄砲(!?)を手にするベナラ


Rian Treanor - ele-king

 2015年に〈ザ・デス・オブ・レイヴ〉からリリースしたデビュー・シングル「A Rational Tangle」がいきなり耳を引いたシェフィールドの鬼才。その時はグライムの変化形として僕は認識していたものの、イクスペリメンタル・スピード・ガラージだとかアブストラクト・グライムだとかイギリスでの呼ばれ方はもうグッチャグチャで、新鮮なサウンドに対する興奮が良くも悪くもそこからは読み取れた。続く「Pattern Damage」(16)は似たような内容のものだったので、悪くいえば二番煎じか、良くいえばオリジナリティを不動にした瞬間だったということになるだろうか。〈ワープ〉のサブ・レーベルに移ってリリースされた「Contraposition」(18)からは必ずしもダンス・ミュージックの範疇であることを前提としなくなり、ここでおそらくはファン層もザクっと入れ替わったに違いない。それまでになくダイナミックな発想が、そして、〈プラネット・ミュー〉からとなったデビュー・アルバム『Ataxia』では全面展開されている。アルバム・タイトルは「運動失調」の意で、コントロールの喪失という意味をトレナーは持たせたかったようだけれど、ダンス・ミュージックに対する独特の距離感が示されているようで「失調」という表現はなかなか興味深い。それはそもそも〈ザ・デス・オブ・レイヴ〉というレーベルが最初から持っているものなのかもしれないけれど。

 初期の作風に比べて重厚なムードも加えるようになった『Ataxia』は「ジャンルの横断」と評された彼の資質をそのまま具現化したような内容で、これまでになかった要素もスプロール化してひしめき合っている。エイフェックス・ツインをスピード・ガラージ化したような前半からヴォイス・サンプルをカット・アップした“ATAXIA_B2”ではベリアルを暗闇から引きずり出して人工太陽で照らし出したかのようであり、ハイハットの過剰さはジャム・シティも凌いでいる。隙間だらけのドラムはむしろジャズを引き合いに出した方がすっきりしそうだけれど、やはり根底にあるのはUKガラージであり、ドラムンベースに違いない(彼自身は初期には即興だったものが、ここでは幾何学を応用してつくり上げたリズムだと発言している)。そういう意味では、これはブリティッシュ・サウンドのメインストリームだと断言していいだろう。コンガやベルなど複数の打楽器をUKファンキーのフォーマットに押し込んだ“ATAXIA_C2”もかなりユニークな曲で、後半はどれもがダンス・ミュージックの新境地を切り開いた作品群だといえる。

 彼が重視しているのは、考え抜かれているけれど、考えすぎではないということ。シェフィールドの先輩であるマーク・フェル(Snd)とも交流が深いようで、これまでにチェロの即興で知られるオキュッグ・リーをフィーチャーした『A Pattern For Becoming』(15)に参加したり、マーク・フェルの曲をポルトガルのパーカッション・アンサンブルが演奏した『Intra』(18)やウルフ・アイズとハイエログリフィック・ビーイングのコラボ曲をエディットするなど、彼の存在感はクラブ・カルチャーよりは実験音楽のフィールドと親和性が高い。彼自身も自分はコンピューター・プログラマーではなくヴィジュアル・アーティストだと言い切っており、リーズで「エンジョイ」というアートスペースのキュレーションを行うなど、それなりに作品は発表しているようだけれど、どう考えても彼はマシュー・ハーバートがデビューしてきた時の驚きに匹敵する才能だと思うので、クラブ・ミュージックに実験的な精神をもたらす存在として僕としては高く評価したい。それこそいまごろ彼は、僕がこのところ夢中になっているDJカンピレが主宰するフェスに出ているらしいし(それはしかし、なんというマッチングだろうか!)。

Corey Fuller - ele-king

 ゴミがなくなった。道ばたに紙くずやポリ袋、空き缶やタバコの吸い殻なんかが転がっているのは、10年くらい前まではごくありふれた光景だったはずだけど、最近では街を歩いていてもめっきりゴミを見かけなくなってしまった。滅菌、滅菌、とにかく滅菌。汚いものは視界から全力で一掃。どうやら上層部には人間の痕跡を抹消したくてしかたのない連中が少なからず陣取っているらしい。

 伊達伯欣との Illuha で知られるコリー・フラー、彼の〈12k〉からは初となるソロ・アルバムは汚れに満ちている。それはまずアナログ機材に由来する独特のラフな質感に体現されているが、エレクトロニック・ミュージックの作り手でありながらそれほどテッキーでないところは彼の大きな持ち味だろう(元ドラマーである彼は、じっとしたままPCをいじくりまわすよりも、じっさいに身体を動かして機材を操るほうが好きなんだとか)。
 冒頭の“Seiche”は「Adrift」「Asunder」「Aground」という三つのパートに分かれている。弦とピアノの間隙に吐息が乱入する序盤、ティム・ヘッカー的な寂寥を演出するノイズの波がメロディアスなシンセの反復を呼び込む中盤、密やかな具体音と重層的なドローンとの協奏を経て穏やかなハーモニーが全体を包み込む終盤──アルバムのあちこちで繰り広げられる種々の試みを一所に集約したようなこの曲は、本作の顔とも呼ぶべきトラックだ。
 このアルバムの魅力のひとつは間違いなくそのあまりに美しい旋律にある。Illuha がどちらかといえばフィールド・レコーディングを駆使し、その編集作業に多くの時間を投入するプロジェクトであるのにたいし、コリーは今回のソロ・アルバムの制作にあたってメロディとハーモニー、つまりはコンポジションのほうを強く意識したのだという。その成果は2曲目の“Lamentation”にもっともよく表れていて、出だしのピアノの音を聴いたリスナーはもうそれだけで泣き崩れそうになってしまうことだろう。“Look Into The Heart Of Light, The Silence”のピアノも麗しいが、これらのコンポジションにはもしかしたら『Perpetual』で共演した坂本龍一からの影響が落とし込まれているのかもしれない。いずれにせよ重要なのは、それら美しい旋律を奏でるピアノの音が絶妙に濁っていたり具体音を伴っていたりする点だ。

 濁りということにかんしていえば、アイスランド語のタイトルを持つ“Illvi∂ri”がもっとも印象的である。この曲に聞かれるノイズは、コリーがじっさいにアイスランドで遭遇した出来事の結晶化で、深夜に強烈な暴風雨に見舞われた彼はすぐさまレコーダーを回し、風が窓を叩く音を伴奏に、その場にあった楽器で演奏をはじめたのだという。ピアノよりもそのノイズのほうに耳が行くこの曲の造形は、彼がダーティなものに目を向けさせようと奮闘していることの証左だろう。それは彼がアルバム中もっとも具体音にスポットライトの当たる最終曲に“A Handful Of Dust(ひと握りのほこり)”という題を与えていることからも窺える。
 汚れたもの、濁ったもの、それは壊れたものでもある。決定的なのは“A Hymn For The Broken”だ。タイトルにあるようにどこか聖歌的なムードを携えたこの曲は、「壊れたもの」にたいする慈愛に満ちあふれている。英語の「break」にはさまざまな意味があって、ひとつはもちろん「壊す」とか「壊れる」ということだけれど、その言葉は「breaking wave(砕波)」のように「波」という言葉と結びついたり、「dawn breaks(夜が明ける)」のように光が差し込むイメージと関連したりもする。コリーいわく、それこそがこの『Break』というアルバムのテーマなのだそうだ。ザ・ブロークン、ようするにそれは壊れそうになったり溺れそうになったりしながらも必死にもがいて光を索める、われわれ人間の姿そのものなのだろう。

 このアルバムはあまりに美しいメロディとハーモニーに彩られている。だからこそわれわれリスナーはその音の濁りやノイズにこそ誠実に耳を傾けたくなる。だって、汚れていることもまた人間のたいせつな一側面なのだから。

 先日のモッキーとのライヴも超パンパンだった坂本慎太郎のほやほやニュースです。
(以下、レーベルからの資料のコピペ)
 サンパウロのO Ternoのニュー・アルバム『atrás/além』に、坂本慎太郎、デヴェンドラ・バンハート1曲参加。その参加曲「Volta e meia」を、zelone recordsより7inchリリース。
 ブラジル・サンパウロを拠点に活動するバンド、O Ternoのニューアルバム「atrás/além」に坂本慎太郎とデヴェンドラ・バンハートが1曲参加し、その参加曲「Volta e meia」の7inch vinylを、5月22日(水)にzelone recordsより発売が決定しました。 
 坂本慎太郎がソロ初LIVEを行なった、2017年ドイツ・ケルンで開催された”WEEK-END Festival #7”にO Ternoとデヴェンドラ・バンハートも出演。そこでの交流がきっかけとなり、O Ternoからのオファーで実現した今回のコラボレーションです。
 共演曲「Volta e meia」は、O Ternoの今までのソウル/ロック路線とはまた違う、淡いサウダージとメロウネスを醸し出す、洗練されたソフトサイケなMPB。c/wの「Tudo que eu não fiz」は、ニューアルバムの冒頭を飾る、ほのかにサイケな珠玉のトロピカリア/ソフト・ロック・チューンで、どちらも新作を代表する2曲です。
 zelone版7inchは坂本慎太郎によるアートワーク仕様になります。
 この「Volta e meia」は4月16日、ニュー・アルバム『atrás/além』は4月23日にブラジルより世界配信されます。

2019年5月22日(水) zelone recordsより発売!

Volta e meia / O Terno feat. Shintaro Sakamoto & Devendra Banhart

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SIDE A: Volta e meia / O Terno feat. Shintaro Sakamoto & Devendra Banhart [3:17]

Biel Basile – drums, mpc, percussion
Guilherme D’Almeida – bass
Tim Bernardes – vocals, acoustic and electric guitars, synthesizers
Felipe Pacheco Ventura – violins
Amilcar Rodrigues – flugelhorn, trumpet
Shintaro Sakamoto - vocals
Devendra Banhart - vocals


SIDE AA: Tudo que eu não fiz / O Terno [3:47]

Biel Basile – drums
Guilherme D’Almeida – bass
Tim Bernardes – vocals, electric and acoustic guitars
Felipe Pacheco Ventura – violins
Douglas Antunes – trombone
Amilcar Rodrigues - trumpet
Beto Montag - vibraphone

O terno: Biel Basile, Guilherme D’almeida and Tim Bernardes
Compositions, arrangements and musical production: Tim Bernardes
Co-production: Gui Jesus Toledo, Biel Basile, Guilherme D’almeida

Recording and sound engineering: Gui Jesus Toledo
Mixing: Tim Bernardes
Mastering: Fernando Sanches

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品番: zel-019 (45rpm)
発売日: 2019年5月22日(水)
形態: 7inch Vinyl (exclusive 7inch)
価格: ¥1,000+税
Distribution: JET SET https://www.jetsetrecords.net 
More info: www.zelonerecords.com

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●O Ternoプロフィール●  

Tim Bernardes、Guilherme D’Almeida、Biel Basileによるサンパウロのソウル / ギター・ロックバンドで、新世代ブラジル音楽の重要な担い手として注目を集める。
2012年6月、1stアルバム「66」をリリース。The Globe誌によって”ブラジルのバンドの最も印象的なデビューディスクの1つ”と、Rolling Stone Magazine Brazil による2012年の25枚のベストアルバムに選出された。 
2013年、Tom Ze EPのFeicebuqui Courtのために2曲をレコーディングし、EP 「TicTac-Harmonium」リリース。
2014年に、Charlie and the MalletsとLuiza Lianのような7つの他のバンドと共に、レーベル”RISCO”を結成。
同年8月、メンバーによって書かれた12曲を含む2ndアルバム、「 O Terno」をリリース。
2015年3月、バンドの編成が変わり、Victor Chavesが脱退し、現在のBiel Basileがメンバーに加入、そして新生O TernoとしてLollapalooza Festivalに出演。
2016年、RISCOレーベルの最初のコレクション、レコーディングに参加し、 5月下旬から6月上旬にかけて、”Primavera Sound Fes”を含むEUツアーを敢行。
9月には3rdアルバム「Melhor Do Que Parece」をリリース、”トロピカリズム、ロック、ソウル、そしてブラジルの音楽のミックス”、と世界的に評された。 
2017年、ドイツケルンで開催された”WEEK-END Fes#7”に出演。そのフェスには、ソロ初のLiveを行なった坂本慎太郎、そしてデヴェンドラも出演。 
同年、Vo, GuitarのTim Bernardesは、ソロアルバム「Recomeçar」をリリース。"現代ブラジルのブライアン・ウィルソン"とも評されている。

https://www.oterno.com.br

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Sam Kidel - ele-king

 音楽は気持ちいいほうが良いに決まっている。気持ち良さなしで生きることは不可能だと、UKはブリストルのヤング・エコーのメンバー、サム・キデルは2016年のQuietusのインタヴューで言っている。が、気持ち良さだけでは思考停止する。アドルノのそんなところに影響を受けてしまったキデルは、「快適さのために生まれた音楽」=「ミューザック」を反転させ、快適であると同時に政治的という『Disruptive Muzak(破壊的ミューザック)』なるコンセプトを練り上げた。いわく「アンチ資本主義アンビエント」。いかなるアンビエントも政治から逃れられないというのがキデルの意見だ。
 「破壊的ミューザック」においてキデルは、マーク・フィッシャーが『資本主義リアリズム』のなかでこれぞ中心なき資本主義のカフカ的迷宮だと説明した「コールセンター」のやりとりをサウンドコラージュした。物事がすべて合理的に、そしてスムーズにいくように見えながら反対側の現実へとすり抜けていくような感覚、何度もかけ直しながらなにげに希望が薄れていくその反対側の現実──〈The Death of Rave〉からリリースされた「破壊的ミューザック」は、この感覚をうまく捉えている。

 本国では昨年末にリリースされ、今年に入って日本のレコード店でも出回った『シリコン・イアー』なる2曲入りは、サム・キデルのコンセプチュアルなエレクトロニック・ミュージックのあらたなる成果だ。
 アナログ盤のインナーでは、それぞれの曲のタネ明かしが記されている。A面の“Live @ Google Data Center”は、曲目の通り「グーグル・データ・センターにおけるライヴ」……というわけではない(笑)。さすがにそれは無理だし、これはあくまでも「そのシミュレーション」、ということである。
 キデルは、グーグルのサーバ・ルームの写真および建築図面から“場”を推測し、ソフトウェアを使って“場”(スペース)の音響学的特性を推測した。彼はこれを「擬態ハッキング」(mimetic hacking)と呼んでいる。
 そのサウンドをたとえるなら、オウテカの「アンチEP」の21世紀版ないしはレイヴ系IDMとでも言おうか、「破壊的ミューザック」もそうだったけれど、キデルの音楽はあらゆるエレクトロニック・ミュージックの混合である。前作がアンビエント/ヴェーパーウェイヴに焦点が当てられていたとしたら、今回の“ライヴ@グーグル・データ・センター”はダンス・ミュージックに寄っている。
 グーグルやヤフーといった検索機能とニュース・サイトを併せ持つオンライン世界における問題点、おもにパーソナライズドに関する議論は、イーライ・パリサーの『フィルター・バブル インターネットが隠していること』(井口耕二訳/早川書房)という本に詳しい。利用していたつもりが、じつはインターネットに閉じ込めらているんじゃないかという感覚があるとしたらそれはどこから来ているのかということを掘り下げた本だ。キデルはそのヒンヤリとヌメっとした不気味な感覚をサウンドで表現しつつも、無機質な空間に不釣り合いなダンス・ミュージックのビートをぶつけている。かなり歪んだものではあるが。
 もう片面の“Voice Recognition DoS Attack”は、音声認識ソフトの誤作動(弱点)を応用したオーディオ・パッチに基づかれている。声を使ったアンビエント系IDMで、ロバート・アシュレー(『前衛音楽入門』参照)風ではあるが、遊び心たっぷりに展開している。
 それにしても……たった2曲で2400円は高いぞ! しかしまあ、それはともかく昨年ローレル・ヘイローのアルバムを出したフランスのこのレーベル〈Latency〉は要チェックだ。ほぼ同時にリリースされたMartina Lussiのアンビエント・アルバム『Diffusion Is A Force』も良かった。 

interview with Akira Kobuchi - ele-king

 昨年末マンスール・ブラウンのレヴューを書いたときに改めて気づかされたのだけれど、近年はテクノやアヴァンギャルドの分野のみならず、ジャズやソウル、ヒップホップからグライムまで、じつにさまざまなジャンルにアンビエント的な発想や手法が浸透しまくっている(だから、このタイミングでエイフェックスの『SAW2』がリリース25周年を迎えたことも何かの符牒のような気がしてならない)。Quiet Waveと呼ばれるそのクロスオーヴァーな動向は、もはや2010年代の音楽を俯瞰するうえでけっして語り落とすことのできない一翼になっていると言っても過言ではないが、ではなぜそのような潮流が勃興するに至ったのか──いま流行の音像=Quiet Waveの背景について、元『bmr』編集長であり『HIP HOP definitive 1974 - 2017』や『シティ・ソウル ディスクガイド』の著作で知られる小渕晃に話を伺った。


もはやジャンルから解放されていますよね。それよりも出音がすべてみたいなところがある。今は圧倒的にアブストラクトでアンビエントな音が気持ち好いよねというモードになっている。

ここ数年アンビエント的な手法がいろいろな分野に浸透していて、テクノの領域ではノイズやミュジーク・コンクレートと混ざり合いながらさまざまな展開をみせていますが、それはQuiet Waveというかたちでジャズやソウル、ヒップホップにも及んでいます。

小渕:今は求められている音像が、どのジャンルでもみんな同じですよね。歌モノをやっている人にもインストをやっている人にも、ジャンルの垣根を超えてアンビエントが広がっている。FKJなんかがそのちょうど真ん中にいる印象で。歌モノもやるしインストもやる、ハウスもやればジャズもやる。FKJにはぜんぶ入っている気がします。


FKJ
French Kiwi Juice

Roche Musique / Rambling (2017)

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Yuna
Chapters

Verve / ユニバーサル (2016)

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Nanna.B
Solen

Jakarta / Astrollage (2018)

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Richard Spaven
Real Time

Fine Line / Pヴァイン (2018)

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彼はフランスですよね。Quiet Waveは、たとえばユナはマレーシアでナナ・Bはデンマークというふうに国や地域がばらばらという点もおもしろいですが、やはりジャンル横断的なところが特徴ですよね。

小渕:歌モノとジャズなど他ジャンルの才能たちが一緒になってやっていますよね。もう分けてはやらなくなっている。

リチャード・スペイヴンを聴いて、当初ダブステップの文脈から出てきたフローティング・ポインツも同じ観点から捉えられるのではないかと思ったのですが、そのフローティング・ポインツが発掘してきたファティマもアンビエント的なタッチでLAビートとグライムを繋いでいます。

小渕:クラブ・ミュージックや四つ打ちの流れから出てきた人たちが今また歌モノをやっているというのはありますね。アンディ・コンプトンやノア・スリーがそうですし、エスカを手がけているマシュー・ハーバートや、FKJのレーベルメイトのダリウスもそうです。

ただジャンル横断的とはいっても、比較的ソウルとの親和性が高いのかなとも思ったのですが。

小渕:くくる側の意識次第だと思いますよ。たとえばトム・ミッシュって、昔ならロックに分類されていたと思うんです。でも今なら、彼の音楽はソウルとくくられることが多い。ですが、彼のやっていることは音楽的にはジョン・メイヤーに近くて。時代が違ったからジョン・メイヤーはロックと呼ばれているだけで。ジョーダン・ラカイもそうだと思います。今の人たちってもはやジャンルから解放されていますよね。それよりも出音がすべてみたいなところがある。その音像も時代が違ったら変わっていくものですが、今は圧倒的にアブストラクトでアンビエントな音が気持ち好いよねというモードになっている。

R&Bのサブジャンルというわけでもないんですよね。

小渕:R&Bって、何より歌の音楽なんです。とにかく歌を聴かせるためのもので、基本的にラヴソングなんです。Quiet WaveがR&Bと異なるのは、たとえば自らの孤独について歌ったりもしていて、けっしてラヴソング一辺倒ではない。そして、彼らは自分のヴォーカルも完全にサウンドのひとつとして捉えてやっている。たとえばソランジュも、最近出た新作については「私のヴォーカルだけじゃなく、サウンド全体を聴いてほしい」というようなことを言っています。R&Bのワクからはみだしている決定的な理由はそこなんです。

誰か突出した人がQuiet Waveのスタイルを発明して、みんながそれを真似しているというよりも、自然発生的にそういう状況になっていった、という認識でいいんでしょうか?

小渕:間違いなくそうですね。ヒップホップとかR&Bとか、ブラック・ミュージックって特に集団芸なんですよ。誰かひとりの天才が何かを発明する音楽ではない。みんなでやっているうちにすごいものができて、するとみんながそれを真似していく。だから個人ではなく、常にシーン全体がオモシロイ、興味の対象となる音楽なんです。Quiet Waveもそうです。ただもちろん、そのなかからフランク・オーシャンのような突出したヴォーカリストも出てくるわけですけど、サウンドに関してはそれを生み出したシーン全体がすごいのであって、誰かひとりが偉いという話ではないですね。


80年代のロックの音像って、イギリスで育った人には刷り込まれていると思うんですよ。その音像が10年代になって再び出てきたのかな、というふうに感じています。けっしてブラック・ミュージックだけの文脈では語れない。


Fatima
And Yet It's All Love

Eglo / Pヴァイン (2018)

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Andy Compton
Kiss From Above

Peng / Pヴァイン (2014)

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Noah Slee
Otherland

Majestic Casual / Pヴァイン (2017)

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Darius
Utopia

Roche Musique (2017)

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とはいえ、いくつか起点となった作品はあるんですよね?

小渕:Quiet Waveの2010年代の動きを決定づけた作品のひとつは、2011年のジェイムズ・ブレイクのファーストだと思います。イギリスの音楽ならではの特徴といえばレゲエとダブからの影響ですよね。それはジャマイカからの移民の多さがもたらす、アメリカにはないもので、イギリスの良い音楽家はみなレゲエやダブから影響を受けている。ジェイムズ・ブレイクの場合はダブですが、はずせないのはマッシヴ・アタックの存在です。今は彼らの子や孫の代が活躍している時代という言い方もできると思います。
 それともうひとつイギリスの音楽の特徴として、ニュー・オーダーやザ・キュアー、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインの影響力の大きさを挙げることができます。そういった80年代のロックの音像って、イギリスで育った人には刷り込まれていると思うんですよ。その音像が10年代になって再び出てきたのかな、というふうに感じていますね。あとアメリカではザ・スミスの人気が00年代になってから火が点きましたよね。アメリカではUKのオルタナティヴなものが遅れて盛り上がる感じがあって、その影響が今になって出てきているのではないかと。だから今流行りの音像、Quiet Waveについては、けっしてブラック・ミュージックだけの文脈では語れないんですよね。

ブラックもホワイトもアンビエント的な音像に流れている。

小渕:今の時代への影響という点で重要なのがU2なのではないかという気がしています。彼らの『The Joshua Tree』という決定的な作品のサウンドを作ったのは、ブライアン・イーノとダニエル・ラノワですよね。だから今流行りの音像、Quiet Waveも遡れば実は、アンビエントの第一人者であるブライアン・イーノに行き着くのかなと。

マイ・ブラッディ・ヴァレンタインのシューゲイズ・サウンドをアンビエント的な観点から捉えたのもイーノでしたよね。その後じっさいにスロウダイヴとは共作していますし。U2にかんしても、イーノ本人のアンビエントとは分けて解釈する見方もあるとは思うのですが、僕は『The Joshua Tree』のギターの残響やシンセ遣いにはイーノとラノワの影響が強く表れていると考えています。

小渕:その通りだと、僕も思います。それで、イーノとラノワはU2の次にネヴィル・ブラザーズの『Yellow Moon』を手がけていますよね。

これもふたりの色が濃く出たアルバムですね。

小渕:収録曲のひとつがグラミーを受賞していて、音楽好きなら知らない者はいないくらいの名盤ですが、やはりその影響力はすごく大きいと思います。僕は初めてジェイムズ・ブレイクのファーストを聴いたとき、『Yellow Moon』を思い出したんですよ。ボブ・ディラン“With God On Our Side”のカヴァーが入っているんですが、完全にノン・ビートで、アンビエントな音像のなかをアーロン・ネヴィルがひたすら美しく歌っている。ジェイムズ・ブレイクが自分なりの歌モノというのを考えたとき、ダブのバックグラウンドと、ネヴィル・ブラザーズのあの曲などをヒントにして、自分なりのヒーリング・ミュージックを作ったのではないでしょうか。

すごく興味深い分析です。

小渕:他方でアメリカでは、ジェイムズ・ブレイクの1年後、2012年にフランク・オーシャンの『Channel Orange』が出ています。ふたりは共演してもいますし、ジェイムズ・ブレイクのファーストからの影響は少なからずあるはずです。加えて、フランク・オーシャンはニューオーリンズ育ちです。ネヴィル・ブラザーズのホームタウンです。そして、アメリカのサウスといえば、これはテキサス発祥ですけれどスクリュー&チョップです。その影響も大きいと思いますね。

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今のアメリカのR&Bでは、アリーヤの影響力がすごく大きい。彼女とティンバランドが90年代の終わりにやっていた音楽的な試みが今になってすごく効いている。


Tom Misch
Geography

Beyond The Groove / ビート (2018)

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Jordan Rakei
Cloak

Soul Has No Tempo / Pヴァイン (2016)

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James Blake
James Blake

Atlas / ユニバーサル (2011)

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Frank Ocean
Channel Orange

Island Def Jam / ユニバーサル (2012)

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もう少し近いところでQuiet Waveの源流となるような動きはあったのでしょうか?

小渕:ティンバランドがアリーヤとやっていたことは大きいですね。

あの赤いアルバムですか?

小渕:その前後です。今のアメリカのR&Bでは、アリーヤの影響力がすごく大きい。死により伝説になったからというのもあるのでしょうが、それ以上に彼女とティンバランドが90年代の終わりにやっていた音楽的な試みが今になってすごく効いている。ティンバランドはトラックを作るとき“下”=ドラムスをポリリズムで敷き詰めましたけど、そうして“上”には広大な空間を作りだしました。だから自由に歌えるし、アンビエンスも多い。“We Need A Resolution”などがその好例ですが、その影響が今いろいろなところに表れています。

目から鱗です。アリーヤをアンビエントの観点から捉えたことはありませんでした。

小渕:そのアリーヤ由来のアンビエント・スタイルの流れを決定づけたのが、ジェネイ・アイコです。彼女のオフィシャルなファースト・アルバム『Souled Out』は、完全に今の流れの先駆けですね。彼女は日系だから、わび・さびのような感覚も持ち合わせていて、それがQuiet Waveを表現するのに適していたとも思うんですけれど、ヴォーカルはそこまで歌い上げる感じではない。いわゆるディーヴァではないんですよ。では、どうやって自分のヴォーカルを活かすかというのを考えたときに、アリーヤのように小さい声でささやくように歌うことを選んだのではないかなと想像しています。2014年当時ジェネイ・アイコは、アメリカでは新しい歌モノのアイコンになっていました。ケンドリック・ラマーとも共演していましたし。そこでアンビエントな音像、アブストラクトなメロディ、囁くような歌、というフォーマットが確立されて、今に至る。それがアメリカの流れですね。

その流れに、ミシェル・ンデゲオチェロのような90年代組も乗っかってきている。

小渕:彼女はもともとこういうサウンドが好きな人でしたけれど、ブラック・ミュージックってやっぱりそのときの流行に乗っていかなきゃいけない、乗っていくからオモシロイ音楽なので、たとえばレイラ・ハザウェイのようなヴェテランも今はアンビエントなサウンドでやっています。ミシェルの場合はさらに、ディーヴァ系ではないので、今流行りのスタイルがハマるというのもあると思います。やっぱりディーヴァ系の人がQuiet Waveなサウンドでガーッと歌ってしまうと、「ちょっと違う」ということになってしまうのではないでしょうか。たとえばマシュー・ハーバートがサウンドを作っているエスカ、彼女はものすごいゴスペルを歌えちゃう人なんですよね。でもちゃんとハーバートの求める歌い方ができている。ほんとうにしっかり歌い上げてしまうとQuiet Waveにはハマらないのかなと思います。

ビヨンセはアウトだけど、ソランジュならイン、ということですね。

小渕:ソランジュはデビュー当時から姉とは違うオルタナティヴなスタンスでやっていて、ディーヴァとして歌い上げなかったんですよね。だからこそ、今のQuiet Waveの流行のなかでは姉より輝いている。ビヨンセは今に限って言えば、次に打つ手がないのかなという気もします。たった今は、あのハイパーな歌は合わないんですよ。ただ音楽の歴史は反動の繰り返しですから、いまこれだけアンビエントが流行っていると、次はまたハイパーな時代が間違いなく来ると思います。


10年代の「ネオ・ソウル~Quiet Wave」の関係性って、70年代の「ニュー・ソウル~Quiet Storm」の関係性と非常に似ているんです。


Jhené Aiko
Souled Out

Def Jam / ARTium (2014)

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Meshell Ndegeocello
Comet, Come To Me

Naïve / Pヴァイン (2014)

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Eska
Eska

Naim Edge / Pヴァイン (2015)

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ビヨンセは『Lemonade』の“Formation”で#ブラックライヴズマターとの共振を示しました。サウンドは異なりますが、ソランジュも同じ年の『A Seat At The Table』で人種差別にかんする歌を歌っています。そういうポリティカルな要素も、Quiet Waveに影響を与えているのでしょうか?

小渕:コンシャスになっているというのは確実にそうでしょうね。たとえば今調子がいいのは、ほとんどがシンガー・ソングライターです。スティーヴィ・ワンダーが最大のロールモデルになっていて、逆にメアリー・J・ブライジのように誰かに書いてもらった曲を歌うというタイプのシンガーが出にくくなっている。それはやはり、自分の言葉で歌わないとリアルじゃないという、ヒップホップ以降の感覚が浸透した結果だと思うんです。

70年代のソウルも社会的・政治的でした。

小渕:ニュー・ソウルと呼ばれるものはそうですね。1971年にマーヴィン・ゲイの『What's Going On』が出て、ダニー・ハザウェイやカーティス・メイフィールドもすごく社会的なメッセージ性のある音楽を発していました。ただ『What's Going On』って、毎日聴きたい音楽ではないんですよ。毎日メッセージばかり聴いてはいられない。そこで、1975年にスモーキー・ロビンソンが『A Quiet Storm』というアルバムを発表していますが、ずっとコンシャスなものばかり聴いてはいられないよ、ということだったんだと思います。アメリカでは70年代半ば頃から増えてきた中間層に向けた、夜のBGMとして作っていた側面もあったと思います。中間層向けだから演奏も洗練されたもので、ベッドのうえのBGMでもあったからうるさくない。今のQuiet Waveの要素は、スモーキー・ロビンソンの“Quiet Storm”にすべて入っていたのかなという気がしています。「Quiet Storm」という言葉はその後ラジオのフォーマット、ひいてはジャンル名にまでなってしまうくらいでしたが、それくらいすごい曲だったんだと思います。

社会的・政治的であることに対するカウンターということですね。

小渕:今の時代の人びとにとっての『What's Going On』って、ディアンジェロの『Black Messiah』ですよね。ただあれは、ずっとそれだけを聴いていられる音楽ではない。Quiet Waveはその反動なんだと思いますね。あるいは「#ブラックライヴズマター疲れ」と言ってしまってもいいかもしれない。10年代の「ネオ・ソウル~Quiet Wave」の関係性って、70年代の「ニュー・ソウル~Quiet Storm」の関係性と非常に似ているんです。大きくて強いムーヴメントが起こると、必ずそのカウンターが来る、というのがアメリカの音楽業界ですね。

弁証法的ですね。

小渕:音楽はとにかくカウンター、カウンター、カウンターで進んでいくことが、歳を取るとほんとうによくわかります。その前に流行っていたものに対するカウンターが次の時代を拓いていく、そういう動きが何十年も繰り返されている。いま静かでアブストラクトなQuiet Waveが流行っているのは、そのまえのEDMやエレクトロ・ポップのブームが強大だったからこそだと思うんです。


テクノロジーの進化によって00年代とは異なる音像が作れるようになって、アーティストたちはそれを楽しんでいるんだろうと思いますね。

Quiet Waveの流行は、テクノロジーの変化も関係しているのでしょうか?

小渕:実はそれが最大の要因かも知れなくて。今の聴取環境の主流は、欧米はサブスクリプションですよね。サブスクは定額だから、ずっとつけっぱなしで曲を鳴らすことができる。そうすると一日のなかで、うるさい曲をずっと続けて聴くことはなくて、むしろBGM的に流している時間のほうが多い。あと、サブスクはイヤフォンかヘッドフォン、あるいはスピーカーでもハンディなもので聴くことが多いと思うんですが、そういった機器で聴いたときに気持ちの良い音像って、音数が少なくて立体的なものです。Quiet Waveはそういう聴取環境の変化にも対応していると思いますね。これは細野晴臣さんがラジオで言っていたことなんですが、今の音はヴァーチャルだと。

それは、生楽器ではなく打ち込みである、という意味ですか?

小渕:いえ、打ち込みが2010年代になって進化したという話です。たとえば低音って、以前は実際に「ブーン」と出ていて、身体にボンッと振動が来ていたわけですけれど、細野さんいわく、今の音は実際には波動が出ていないんだと。でもあたかも低音が「ブーン」と鳴っているかのように作れてしまうと。

物理的に違ってきていると。

小渕:それは、ハリウッド映画のサウンドから始まり、波及してきたそうなんですけど、音楽で最初にやったのはDr. ドレーだったと思うんです。『2001』(1999年)は音楽の新時代のはじまりでした。あのアルバムは、ジョージ・ルーカスが『スター・ウォーズ』のために作ったTHXという映画用のサウンドシステムのシグネイチャー音で幕を開けます。あれは、「これから一編の映画がはじまる」という合図であるのに加えて、「これまでとはサウンドの次元が違うんだ」ということをドレーは言いたかったんだと思うんですよ。『2001』から打ち込みサウンドがかつてない、超ハイファイになって、ひとつ違う段階に入った。あのときと同じように、10年代になってから、テクノロジーの進化によって00年代とは異なる音像が作れるようになって、アーティストたちはそれを楽しんでいるんだろうと思いますね。ソランジュも新作について、歌詞を削ってでもビートを、サウンドを聴かせたかったと言っています。ひとつのドラムの音を決めるのに18時間かかったと。彼女のような人にとっては、10年前とまったく違う音楽を作れることがおもしろくてしかたがないんじゃないでしょうか。

Quiet Waveはヴェイパーウェイヴともリンクするところがあるのではないかと思っています。おそらくリスナー層はかぶっていないんでしょうけれど、ヴェイパーウェイヴもある意味で現代のアンビエントですよね。

小渕:おっしゃるとおりだと思います。いまのサブスク時代の聴取のあり方を考えると、20代とか10代にとっては、ああいうちょっとアンビエントなスタイルがいちばん合っているんでしょうね。僕はサンプリングが好きだからヴェイパーウェイヴもよく聴くんですが、小林さんのおっしゃるとおり動きとしては重なっていると思いますよ。

時代の無意識のようなものですね。

小渕:聴取環境の変化と制作機材の進化、そのふたつがいちばん大きいですね。それを背景に、アンビエントな音像とメロディのアブストラクトな歌モノが合わさって出てきたのがQuiet Waveで。もちろんそれは前の流行に対するカウンターでもありますから、次はきっとまた違うスタイルの音楽が盛り上がっていくことになるでしょうね。

φonon - ele-king

 昨年スタートしたEP-4の佐藤薫によるレーベル〈φonon(フォノン)〉が、初となるショウケース・イベントを開催する。題して《φonon 2days 2eras》。4月30日はDOMMUNEにて、5月2日は神楽音にて、と2日間にわたっての開催だ。詳しくは下記をご覧いただきたいが、Radio ensembles Aiida、Singū-IEGUTI、HOSOI Hisato、森田潤、EP-4 [fn.ψ]といった同レーベルからリリースのある面々のみならず、DOMMUNEには学者の市田良彦や毛利嘉孝も出演するとのことで、なんとも興味深い。GWの予定は空けておこう。


〈φonon〉初のレーベル・ショーケース・イベントが2デイズ開催決定!

2018年初頭に発動した〈φonon (フォノン)〉レーベル初の本格的ショーケースイベント「φonon 2days 2eras」が、4月30日と5月2日の元号をまたぐ2日間にわたりDOMMUNEと神楽坂の神楽音で催されることが決まった。

〈φonon〉はEP-4の佐藤薫がディレクターを務め、CDメディアを中心にエレクトロニクス/ノイズ/アンビエント──系のアルバム作品をリリースしている先鋭的レーベルだ。これまでに8枚のCDアルバムをリリースし、4月19日に2枚の最新リリースを控えている。

〈φonon〉試聴リンク:https://audiomack.com/artist/onon-1

そんな〈φonon〉のすべてがわかる2デイズだが、普段一同に会することの稀な東西のアーティストによる2日間のパフォーマンスに加え、4月30日のDOMMUNEでは思想史家・市田良彦と社会学者・毛利嘉孝を迎えたトークタイムも用意され、音と時代を超えるマニフェストが言葉と音量子によって語られることになる。(市田によるφonon 2018 活動報告は事前に必読! https://www.webdice.jp/dice/detail/5727/

出演アーティストは、Radio ensembles Aiida、Singū-IEGUTI、HOSOI Hisato、森田潤、EP-4 [fn.ψ](佐藤薫+家口成樹)──など、〈φonon〉から単独CDをリリースした面々を中心に、コンピレーションに参加したZVIZMO(テンテンコ+伊東篤宏)、4月19日にCDをリリースするbonnounomukuroとHeteroduplexなど、その顔ぶれはとても多彩。特に半数は関西圏のアーティストなので、めったにないこの機会を逃す手はないだろう。

両日のラインアップや詳細は以下のとおり。

《φonon 2days 2eras 概要》

■day 1(talk & live):
日時:2019年4月30日 (火・祝) 19:00〜
場所:DOMMUNE( https://www.dommune.com )
料金:¥3,000(要予約)

出演:
市田良彦
毛利嘉孝
佐藤薫
伊東篤宏
ほか…… (以上talk)

Radio ensembles Aiida
Singū-IEGUTI
HOSOI Hisato
森田潤
Heteroduplex
bonnounomukuro
ZVIZMO (以上live)

■day 2(live):
日時:2019年5月2日 (木) 18:00 open / 19:00 start performance
場所:神楽音( https://kagurane.com )
料金:Adv. ¥2,800 Door. ¥3,000

出演:
Radio ensembles Aiida
HOSOI Hisato
Heteroduplex
bonnounomukuro
EP-4 [fn.ψ]
伊東篤宏
森田潤
DJ 小林径

問い合わせ
φonon
sp4non@gmail.com

φonon オフィシャルサイト
https://www.slogan.co.jp/skatingpears/


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