「K Á R Y Y N」と一致するもの

vol. 119:玄人インディ・ロック界の王子たち - ele-king

 ディアハンターとダーティ・プロジェクターズ、ブラッドフォード・コックスとデイヴ・ロングストレス、どちらも20年弱の経歴を誇る玄人インディ・ロック界の王子である。メンバーチャンジや音楽変化を経て、去年の夏、ダーティ・プロジェクターズは『Lamp Lit Prose』、この夏ディアハンターは、『Why Hasn’t Everything Already Disappeared?』をリリースした。どちらもよりマイルド路線だが、ストラグルしている不安定な「いま」を感じさせる作品だった。
 その2組が、7/17のロスアンジェルスから9/13のボストンまで(8月はお休み)、北アメリカ・ダブル・ヘッドラインツアーをしている。NYは9/10の1日から9/11が加わって2日間になった。1日目はディアハンターがオープン、2日目はダーティー・プロジェクターズがオープン。2018年からメンバーが一新したダーティ・プロジェクターズには、アヴァルナのフェリシアがバックコーラスで参加している。

 ダーティ・プロジェクターズは見逃してしまったが、ニュー・アルバムからの曲と、 “Impregnable Question”や“Socialites”などの定番曲を披露したということで、新曲では3人の女性ヴォーカルが際立っていたという。バルコニーで、フェリシアに会ったが、彼女はアロハシャツをタックインし、ビビッドなオレンジタータンチェックのパンツというアウトフィット。長身の彼女にとても似合っていた。「スタイリストに返さないとダメなのよね」と言っていた。

 ディアハンターは、安定の6ピース。真っ赤な革靴と黒のウインドブレーカー、バンダナ、シャツのブラッドフォード。“Cover me (slowly)”でスタート。最新アルバムからの曲と“Desire lines (Lockett!)”、“Revival”、“Take Care”などの古い定番曲をミックスした王道セット。会場のウェブスターホールにブラッドフォードはとても思い入れがあるらしかった。今夜ニューヨーカーにとって大きな意味のある9/11にプレイするのも何かの縁で、その日ブラッドフォードはとにかくダウンタウンを歩き回ったそうだ。

 今回は、ステージ・マネジャーとして、エミリオという男性がいた。とても働き者で、ブラッドフォードのマイクコードやマイクスタンドを直したり、ベースの音が出なかったらすぐにケーブルの繋ぎを確認したり、ギターのチューニングをしたり、ギターやベースを渡したり、最後はヴィオラで数曲参加していた。そんな彼は、ダーティ・プロジェクターズのマネージャーの旦那さんでもあった。

 NYは2日ともソールドアウトで、バルコニーから見ているとシンガロングがよく見える。あらためて、の2組の人気の強さを感じた。

Laraaji - ele-king

 もう二度とチャンスはないだろうと思っていた。それがまさかの再来日ツアー、決定である。しかも今回は、彼がブライアン・イーノと一緒につくりあげた出世作『Ambient 3: Day Of Radiance』のセットを本邦初披露とのことで、またも見逃すわけにはいかない公演になりそうだ。ゲスト陣もかなり豪華で、11/3 の静岡にはカルロス・ニーニョとサム・ゲンデルが、11/4 の東京には Takao と、まもなく発売される『和レアリック・ディスクガイド』にも参加した Chee Shimizu が、11/9 の大阪には ENITOKWA が、そして 11/10 の岡山には YoshimiO和泉希洋志のデュオが出演する。いやこれ、全部観に行きたいぞ……。
 なおララージの経歴についてはこちらを、彼が昨年来日したときのインタヴューはこちらを。

Aphex Twin - ele-king

 速攻で完売になったという。9月14日にロンドンで開催される《Red Bull Music Festival》への出演を控えるエイフェックスだけれど(彼がロンドンでライヴをするのは10年ぶりだそう)、なんとその模様が急遽ライヴ配信されることになった。例によって Weirdcore が頑張るようだ。日本時間では9月15日(日)の午前6時からスタート。早起きすべきか、いやむしろ夜更かしすべきか、じつに悩ましい時間帯ではあるが、リピート放送はないとのことなので、これは絶対に見逃せない(ちなみにリチャードの前にはカテリーナ・バルビエリと Nihiloxica が、彼の後にはアフロドイチェが出演する模様。そっちも配信しておくれ~)。

Aphex Twin
エイフェックス・ツインの即完プレミアショー、ライブ配信決定!
リピート放送なし! リアルタイムのライブ配信でしか観ることのできない最新A/Vライブはまさに必見!

今年設立30周年を迎えた〈WARP RECORDS〉の代表的アーティスト、エイフェックス・ツインの最新A/V(オーディオヴィジュアル)ライブセットが日本時間の9月15日(日)午前6:00からライヴ配信することが急遽決定した。会場は、今ロンドンで最も注目を浴びている、元印刷工場をリノベーションした巨大クラブ「Printworks」で、エイフェックス・ツインがロンドンのクラブでライブを披露するのは実に10年振りとなる。

今回のA/Vライブは、長年彼のヴィジュアルエフェクトを担当している Weirdcore が300枚以上のLEDパネルとレーザーを駆使して、この夜のためだけにフルカスタムした特別仕様のステージになるとのこと。

Red Bull Music によるライブ配信は、10台以上の定点カメラと観客の中を動き回るカメラを会場内に配置。視聴者にその場にいるような没入感を与え、エイフェックス・ツインのパフォーマンスを余す事なく楽しむことができる。

本公演は、現在ロンドンで行われているレッドブルの都市型フェス「Red Bull Music Festival」のフィナーレイベントで、チケットは発売後10分で即完。チケット争奪戦となったプレミアショーを Red Bull Music のチャンネルを通じて、世界中のファンに同時体験してもらうための取り組みとなっている。

リピート放送なし、リアルタイムのライブ配信でしか観ることのできない貴重な機会をお見逃しなく!

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ライブ配信詳細
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名 称:
RED BULL MUSIC FESTIVAL LONDON
APHEX TWIN LIVE STREAM

日 時:
日本時間 9月15日(日)午前6:00

視聴方法:
https://youtu.be/CQI3m8gefQk

オフィシャルサイト:
redbull.com/aphextwin

レッドブル・ミュージック・フェスティバルとは?
20年以上にわたって革新的な音楽フェスティバルやワークショップなどを行なってきたレッドブルの都市型音楽フェス「Red Bull Music Festival」。2017年の東京初開催を皮切りに、ニューヨーク、ロサンゼルス、パリ、サンパウロ、トロント、イスタンブールなど現在では世界各都市に広がりをみせています。
https://twitter.com/redbullmusicjp

なお、エイフェックス・ツインなど先鋭的アーティストを輩出してきた〈WARP RECORDS〉の30周年を記念し、スクエアプッシャー、ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー、ビビオが一堂に会するスペシャルDJツアー『WXAXRXP DJS (ワープサーティーディージェイズ)』が、2019年11月に東京・京都・大阪で開催決定! 詳細は特設サイトをチェック!
https://www.beatink.com/user_data/wxaxrxp.php


タイトル:
WXAXRXP DJS
ワープサーティーディージェイズ

出演:
SQUAREPUSHER (DJ Set), ONEOHTRIX POINT NEVER (DJ Set), BIBIO (DJ Set) and more

その他コンテンツ:
WXAXRXP POP-UP STORE, 30 YEAR VISUAL HISTORY OF WARP and more

東京
公演日:2019年11月1日(金)
会場:O-EAST / DUO

京都
公演日:2019年11月2日(土)
会場:CLUB METRO

大阪
公演日:2019年11月3日(日)
会場:SUNHALL

OPEN/START:23:00
料金:前売¥5,500 (税込)
※20歳未満入場不可。入場時にIDチェック有り。写真付き身分証をご持参ください。

[チケット発売]
先行発売:
主催者WEB先行 9/14 (土) 0時~
BEATINK (e-ticket) https://beatink.zaiko.io/_buy/1kVr:Rx:ac436

9/17 (火) ~
イープラス最速先行:9/17 (火) 正午12:00 ~ 9/22 (日) 18:00

一般発売:9/28 (土)~
イープラス、ローソンチケット、チケットぴあ、BEATINK、iFLYER 他

WARP30周年 WxAxRxP 特設サイトオープン!
音楽史に計り知れない功績を刻み続ける偉大なる音楽レーベル〈WARP〉の30周年を記念した特設サイトが公開中! これまで国内ではオンライン販売されてこなかったエイフェックス・ツインのレアグッズや、大竹伸朗によるデザインTシャツを含む30周年記念グッズなどが好評販売中。完売のアイテムも出始めているため、この機会をぜひお見逃しなく!
https://www.beatink.com/user_data/wxaxrxp.php

interview with (Sandy) Alex G - ele-king

 ベッドルームにいるあなたはいまも混乱しているだろうか。もしそうならば、いま聴いてほしいのが(サンディー)・アレックス・Gの音楽だ。ここには何か、いまだ解決していない、ある純粋なエモーションの混沌が生々しく立ち現れているからだ。

 フィラデルフィア育ちのアレックス・ジアンナスコーリは、10代のころから bandcamp に多数の音源を発表している。エリオット・スミス直系のフラジャイルな弾き語りと、いくつかのハチャメチャなエレクトロニカのようなトラック。それは本当にベッドルームから繋がっていたもので、ジアンナスコーリはそうやって世界との回路を繋いでいく。
 そうしているうちに彼の繊細な歌たちは〈Domino〉に見出され、さらにはフランク・オーシャンにも発見されることとなる。カントリー的な意匠を大きく取り入れた『Rocket』(2017)でその評価を確実に高めると、歌い手、作曲家として熱い注目を集めつつ現代に至っている。エレキング読者のなかには、OPN による“Babylon”のアコースティック・ヴァージョンで歌っていた若者だと言えばピンとくるひとが多いかもしれない。

 もはや9作めとなる『House Of Sugar』には、様々な感触の音が詰まっている。オーヴァーダビングした音の重なりから「いつの日か 僕はあなたから離れよう/今日じゃなくて」とビターなメロディの繰り返しが聴こえてくる“Walk Away”、カントリー風のギターが爪弾かれる“Hope”、どこかジョン・ブライオンを彷彿させる室内楽風の“Southern Sky”、といったように。驚かされるのは中盤だ。2分台の曲がズラッと並び、声のエフェクト、サイケデリックなエレクトロニカ、スペース・ロック、大仰なオーケストラなど……が、次々に現れては消え去っていく。その震える声や管弦楽風のアレンジにスフィアン・スティーヴンスを思わせる瞬間もあるが、アレックス・Gの音楽はもっとまとまりがなく、解決しない感情の昂ぶり、あるいは憂鬱を、ところ構わず撒き散らしていくようだ。
 90年代ギター・ロック最良のメランコリーを遠景で眺めるような“In My Arms”、やはりエリオット・スミスが降りてくるかのように切ない“Cow”、かと思えば驚くほど甘い調べを持った“Crime”や“SugarHouse”……。それらはいまらしくジャンルが融解した歌だと言えるのかもしれないが、ベッドルーム・ミュージックと言えなくなった現在も、アレックス・Gの音楽は彼自身の内側からダイレクトに生まれているように感じられる。それはこんなにも複雑に、壊れそうに、ときおりしなやかに鳴っている。

僕が「シュガー」や「ソルト」といった言葉をよく使いがちなのは、それらの言葉が示唆に富んだ言葉だから。そのふたつは普遍的な意味を持っているし、世界中の誰もがその言葉から何かを連想できる。味覚的なものというより、誘惑に近いものの象徴かな。

新作『House Of Sugar』、ブレイクスルーとなった前作『Rocket』からさらにあなたの個性が深まった素晴らしい作品だと感じました。 ただ今回ははじめてのインタヴューなので、基本的なことからいくつか訊かせてください。
 ペンシルヴェニアのフィラデルフィアで育ったとのことですが、あなたから見てフィラデルフィアはどんな街で、あなたのパーソナリティにどのような影響を与えましたか?

アレックス・ジアンナスコーリ(Alex Giannascoli、以下AG):すごくいい街だよ。僕はツアーで訪れる以外はほかの街に行ったことがないから比べようがないけど、フィラデルフィアはすごく住みやすい。パーソナリティにはどう影響しているかわからないけど、フィラデルフィアには僕が10代のころからDIYやパンクのミュージック・シーンが存在していた。それがあったから僕が音楽にハマったというのはあると思うね。周りが皆そういうシーンにいたし、音楽に近づきやすい環境だったから。

4歳ごろから音楽をはじめたそうですが、そのなかでも、あなたが音楽をよりシリアスに捉えるようになったきっかけとなったミュージシャンや音楽はありますか?

AG:その4歳の情報ってウィキペディアじゃない(笑)? あれは、誰かが勝手に書いたデマ(笑)。音楽ははじめたのは14、15歳のとき。音楽にものすごく興味のある姉と、音楽の才能のある兄がいたから、家にはたくさん楽器があって、それを弾いてみたりしているうちにハマっていったんだ。周りにバンドをやっている友だちもたくさんいたし、そのグループの一員になりたかったんだよね。モデスト・マウスレディオヘッドは大好きで、よく聴いてコピーしていたよ。

すいません、ウィキペディアの情報を鵜呑みにしたらダメですね! 音楽以外のアート――文学、映画、美術といったもので強い影響を受けたものはありますか?

AG:映画、本、あらゆるものから影響を受けているから、何かをピックアップすることはできないな。最近だと、『アナイアレイション』(註:アレックス・ガーランドによるSF映画。Netflix で視聴可)っていう映画をみたんだけど、エイリアンが出てくる作品で、音楽がめちゃくちゃクールでヴィジュアルが素晴らしかったんだ。今回のアルバムは、そこに影響を受けている。オルタナティヴ系のものなら何でも影響されていたね。昔の僕は、ほかとは違う何か変わったものが好きな自分がクールだと思っていたし(笑)。

あなたは10代の間、つまり『Trick』(2012)まで、多くの作品を bandcamp を中心に発表しています。いまから振り返って、それほどの原動力は何だったと思いますか?

AG:ただ、気づかれるということが好きだったんだと思う。とくに意識的だったわけではなくて、自由時間にひたすら音楽を作って、それをひとが評価してくれること、ひとがそれをリスペクトしてくれることに無意識にハマっていたんじゃないかな。

当時のあなたの音楽はエリオット・スミスと比較されることが多いと思いますが、それはあなたにとってフェアなことですか? 実際、彼の音楽から影響を受けることはあったのでしょうか。

AG:エリオット・スミス! さっき音楽をシリアスに捉えるようなきっかけになったミュージシャンは? っていう質問のときに答えるのを忘れていたよ。彼の作品は若いときに散々聴いていた。インターネットで昔は彼も自分自身でレコーディングをしていたと読んだから、自分も彼みたいにレコーディングしようと思って彼の作品をたくさん聴いていたんだ。彼みたいにレコーディングしたければ、それが不可能なことではないとわかっていたからね。

通訳:そのなかでも、おもにどのような点で影響を受けたと思いますか?

AG:ヴォーカルやギターをダブル・トラックしていたと読んだから、僕も同じことをしていた。プロっぽくレコーディングすることよりも、彼に近づこうとしていたね。彼のテクニックを自分のレコーディングに取り入れたかったから、それをコピーしていたよ。

ほかに10代のころ影響を受けたソングライターはいますか?

AG:10代のころは、ふたつのまったく異なるタイプの音楽を作っていた。ヴォーカルの入った音楽と、超エクスペリメンタルなぶつ切りサウンド。後者のほうでは、エイフェックス・ツインにかなり影響を受けていた。彼みたいなめちゃくちゃ変な実験的サウンドを作るのが好きだったんだ。

ほかにあなたの音楽がよく比較されるのは、ペイヴメントやあなたとツアーも回ったビルト・トゥ・スピルといった90年代のインディ・ロック・バンドです。彼らと精神的に共感する部分はありますか?

AG:じつは、比べられる前は彼らの存在も知らなかったんだよね。だからわからない。自意識を持って音楽を作るという哲学は共通しているかもしれないけど。気取らずに素直なギターが好きという部分は同じかもしれない。

彼ら(90年代のインディ・ロック勢)の「ローファイ」という価値観についてはどうでしょう? あなたの音楽からは、荒さや未完成な部分を意図的に残すことで生々しさが感じられるので、何か通じるところがあるのではないかと思ったのですが。

AG:僕はあまりローファイには拘っていない。昔は好きだったけど、それはちゃんとした機材へのアクセスがなかったから。でもいまはちゃんとしたスタジオでいろいろな機材を使える機会がある。僕は、機会があるならそういうものを取り入れたい派だね。

パッと見るとわかりやすい感じなんだけど、見れば見るほど新たな面が見えてくる。一見アニメっぽくておバカっぽいんだけど、じつは深い。僕の音楽も同じで、シンプルそうで捻りがある。

あなたを有名にしたのは何と言ってもフランク・オーシャンの『Blonde』『Endless』への参加です。彼とのコラボレーションが実現したことに対してあなたはかつてその驚きを語っていますが、ただ、あなたのアングルではあなたの音楽とフランクの音楽のどのような部分が共鳴したのだと思いますか?

AG:わからない(笑)。あれは彼のアイデアで、彼の作品。僕はただ彼が流してくれた曲に合わせてギターを乗せただけだから(笑)。

前作『Rocket』ではとくに、カントリーの要素が見られました。あなたはルシンダ・ウィリアムスを好きなソングライターのひとりとして挙げているそうですが、カントリーというアメリカ的な音楽のどういったところに魅力を感じるのでしょうか?

AG:カントリーは、聴く作品すべてに内容がある。ほかのジャンルでは曲の内容が曖昧なものも多いけど、カントリーはそれが明確で、しっかりとしたコンテンツがある。サウンドだけではなく、曲に存在するキャラクターも加わるから、パフォーマンスがすごく濃いものになるのがカントリーの魅力だと思うね。

では『House Of Sugar』について訊きたいのですが、曲はいまも基本的にギターの弾き語りをベースにして作曲するのでしょうか?

AG:そう。ギターではじめることが多いよ。それかキーボード。

そのなかで、曲の音色はどのように決めていくのでしょうか? というのも、『House Of Sugar』でわたしがもっとも驚かされたのが、曲ごとの音のテクスチャーのヴァラエティの豊かさです。シンプルな弾き語りもあれば、室内楽のアレンジ、エレクトロニカもあり、声に極端にエフェクトがかけられたものもある。その曲に合った音の質感を決めるのは直感的なものなのか、それとも試行錯誤の末にたどり着くものなのか、どうなのでしょうか。

AG:自然の流れでできあがるんだ。ギターではじまり、メロディが決まってくると曲の基本の形ができあがる。それができあがってから数週間、ときには1ヶ月くらいいろいろ試していくうちにそれが進化して厚くなっていくんだ。「進化」という言葉が合っていると思う。

たとえば“Sugar”は壮大なオーケストラのアレンジとエフェクト・ヴォイスが重なる、アルバムでも異色の楽曲です。このトラックがアルバムにおいて果たしている役割は何でしょう?

AG:たしかに、アルバムのほかの曲とはちょっと違うよね。今回のアルバムは、前のアルバムと繋がったサウンドではじまり、中盤にいくにつれどんどんそれと離れていき、最後のトラックでまた地に足がつく、といった流れになっている。“Sugar”は、アルバムの中でもいちばんこれまでのサウンドとかけ離れた曲なんだ。

『Beach Music』には“Salt”という曲がありましたが、今回のアルバムでは、アルバム・タイトル『House Of Sugar』、曲としては“Sugar”や“Sugar House”、ほかにも“Taking”で砂糖(Sugar)が多く登場しますよね。あなたの音楽において、あるいは本作において、砂糖は何を象徴しているのでしょうか? 言い換えれば、「甘さ」はあなたの音楽において、なにかとても重要な要素に感じます。

AG:曲によって何を象徴するかは違うけど、僕が「シュガー」や「ソルト」といった言葉をよく使いがちなのは、それらの言葉が示唆に富んだ言葉だからだと思う。そのふたつは普遍的な意味を持っているし、世界中の誰もがその言葉から何かを連想できる。だからさ。味覚的なものというより、誘惑に近いものの象徴かな。

歌詞では多くで人間関係における複雑なエモーションや痛みが表現されているようですが、フィクションと詩が混ざり合ったような抽象度の高いものとなっています。直接的に感情を表すのではなく、比喩的な言葉づかいやアウトプットをするのはなぜですか?

AG:せっかく好きな言葉を使って自由に表現する機会があるんだから、それだったら自分が創り出したい世界を創り出したいと思う。でも毎回ではないよ。ときにはそのまま率直にストーリーを語る方がいいと思う。でも同時に、思いっきりエンターテイメントにしてもいいなと思うときもあるんだ。僕の歌詞は、僕の音楽と同じで進化する。だから、もっと直接的に仕上がるときもあれば、数週間から1ヶ月かけて広がっていくものもあるんだ。

たとえば、“In My Arms”の「良い音楽を聴くと悪い事がしたくなるんだ(good music makes me wanna do bad things)」というフレーズが非常に印象的ですが、ここでの「悪いこと」とは何を指しているのでしょうか?

AG:ははは(笑)。友だちといっしょに車に乗っていたときに、トゥルー・ウィドウ(True Widow)っていう友だちのバンドの曲をかけていたんだけど、「聴くと悪いことがしたくなる曲だぞ」って言いながら彼がその曲をプレイしはじめたのがおかしかったから、それを引用したんだ(笑)。

通訳:たとえばどんな悪いこと? 最近何か悪いことはしましたか(笑)?

AG:もしもしていたとしても、ここで言うわけないだろ(笑)?

そういったこととも関係しているかもしれませんが、あなたの音楽のエモーションは、あなたの世代――いまの若い世代をリプレゼントしていると感じることはありますか?

AG:それはわからない。自分自身をリプリゼントしているということしか確信は持てないな。それは、聴いているひとが決めることだと思う。

“Southern Sky”のミュージック・ヴィデオのイラストやこれまでの作品を担当してきたエリオット・ベックについて紹介してください。彼の作品のどういったところがあなたの音楽と共鳴するのでしょうか?

AG:彼は5年来の友人で、カズン・ブライアン(Cousin Brian)というバンドにいたんだけど、昔そのバンドといっしょにプレイしたことがあって、それで出会ったんだ。彼は素晴らしいヴィジュアル・アーティストでもあって、僕はヴィジュアル・アーティストとしての彼をすごくリスペクトしている。彼のアイデアはいつも新鮮で素晴らしい。彼のアートの魅力は、パッと見るとわかりやすい感じなんだけど、見れば見るほど新たな面が見えてくるところ。一見アニメっぽくておバカっぽいんだけど、じつは深い。僕の音楽も同じで、シンプルそうで捻りがある。そこが共通点だと思うね。

すでに多作なあなたですが、あなたにとって『House Of Sugar』がこれまでの作品ともっとも異なるのはどういうところでしょうか?

AG:つまらない答えだとはわかっているけど、いちばんの違いはサウンドのクオリティ。これまでのレコードではすべて同じマイクを使っていた。USBで直接コンピューターに使うタイプのやつ。でも今回は、インターフェイスにつなげるマイクを使ったんだ。今回のレコードでは機材がアップグレードされている。そこがいちばんの違いだね。もう前のマイクには戻れない(笑)。

通訳:ありがとうございました!

AG:ありがとう。いまのところ予定はないけど、日本でショウができることを願っているよ。

Leo Svirsky - ele-king

 「21世紀ロマン派音響・音楽」か。「新しいピアニズムの誕生」か。レオ・スヴァースキー(Leo Svirsky)の新作アルバム『River Without Banks』を聴き終わって、思わずそのような言葉が脳裏をよぎった。
 このアルバムでは「ふたつのピアノ」が左右のチャンネルから鳴っている。本作で展開される音響と旋律の交錯/融解は極めて独創的である。そのうえロマン派的ともいえる濃厚なノスタルジアを放ってもいる。音楽と音響が融合した「21世紀のロマンティック/エクスペリメンタル・ピアノ・ミュージック」とでもいうべきか。

 レオ・スヴァースキーは1988年生まれ、アメリカ出身にして、現在はオランダのハーグに在住する作曲家、ピアニスト/アコーディオン奏者である。彼は、ハーグ王立音楽院で作曲の修士号を取得し、オランダの作曲家であるコルネリス・デ・ボントとマルティン・パディングに師事した。ヴァンデルヴァイザー楽派の音楽家アントワン・ボイガー(Antoine Beuger)との個人研究もおこなっているという。
 彼はピアノ曲からアコーディオン作品、インプロヴィゼーション、さらにはオーケストラ作品まで広く作曲している。まさに才能と技量に満ちた作曲家/音楽家といえよう。

 そんな彼のピアノの音響的な可能性を追求した『River Without Banks』が、カール・ストーンのアルバムなどもリリースしているエクスペリメンタル・レーベル〈Unseen Worlds〉からリリースされた。2016年リリースの『Heights In Depths』以来、3年ぶりのソロ・アルバムである。
 レオ・スヴァースキーにとってピアノとは最小にして最大の音響結晶体なのだろう。本作では二台のピアノが交わり、美しい響きの運動体を生成している。まずは“River Without Banks”を聴いてほしい。私はこの曲を聴いて深い衝撃を受けた。このようなピアノ曲、聴いたことがない、と思うほどに。

 二台のピアノが左右から聴こえてくる。それはまるで川の流れ、もしくは海の潮流のように、大きな流れと小さな流れが混じりあい、より大きな流れを生成する。ピアノのアルペジオは、まるで波のように変化し、旋律の流れは空気を変えるように鳴り響くだろう。控えめなチェロやトランペット、電子音がレイヤーされ、音響空間を変化させもする。凡庸なポスト・クラシカルで味わうことができない楽曲の妙、音響の深遠さと繊細さが横溢している。楽曲の後半で、ピアノの打撃音、アルペジオに、電子音響などがレイヤーされていくさまは圧倒的ですらあった。
 本アルバムには全6曲が収録されているが、アルバムが進むにつれて曲の濃度はどんどん深まっていく。単に綺麗なアルペジオを演奏するだけではない。複数の音がまじりあうことで新たな響きを生んでいたのだ。アントワン・ボイガーは本作のライナーノーツで「始まりはない……。残響は終わりない」と書き記しているのだが、まさにそのとおりの作品/楽曲たちといえよう。音響/残響による「永遠」の生成である。

 この『River Without Banks』は、レオ・スヴァースキーの最初のピアノ教師 Irena Orlov に捧げられている。それは記憶の音楽化/音響化に思える。この『River Without Banks』には黄昏の光のようなノスタルジアがあるのだ。それはロマン派の響きを思わせもする。21世紀におけるブラームスとラフマニノフの交錯とでもいうべきか。
 じっさいアルバム中盤(LP版ではB面)の“Trembling Instants”以降の三曲は現代音楽、エクスペリメンタル・ミュージック、モダン・クラシカルを経由した21世紀の新ロマン主義といったような音響の色彩を強く感じる仕上がりだ。特に最終曲“Fanfare (after Jeromos Kamphuis)”の子守唄のような素朴な美しさは筆舌に尽くしがたい。
 19世紀末期の黄昏と21世紀初頭の交錯か。後期ブラームスと21世紀的音響の融合か。ロマンティックとエクスペリメンタルのマリアージュか。そして、その先にあるのは、旋律も響きもすべてが溶け合ったドローンの持続である。3曲め“Rain, Rivers, Forest, Corn, Wind, Sand”の終わり間際、旋律が溶けていった持続/ドローンは、そのことを象徴している。ロマンティックの先にある融解した音響持続。

 はじめて本作を聴かれる方は、夜明けの光のような1曲め“Field Of Reeds”から、最終曲“Fanfare (After Jeromos Kamphuis)”まで、順に聴き進んでほしい。42分もの時間のあいだ「モノクロームの映像の中に瞬く光」のような感覚を心に感じとることができるだろう。

BLACK SMOKER × Goethe-Institut Tokyo - ele-king

 今年は2019年。つまり、ベルリンの壁崩壊から30周年である。これを機に〈BLACK SMOKER〉が動いた。オペラだ。KILLER-BONGを筆頭に、ものすごい面子が集まっている。ソノカベハ、ナンノタメニアル? 何が起こるのか予測不能。11月中旬、ゲーテ・インスティトゥートにて。詳細は下記を。

Squarepusher, Oneohtrix Point Never & Bibio - ele-king

 ついに来た! 設立30周年を迎える〈Warp〉のアニヴァーサリー・イヴェント《WXAXRXP DJS》が開催決定! スクエアプッシャー、ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー、ビビオの3組が一堂に会する。すごい! 同3組は11月1日~3日にかけて東京・京都・大阪をツアー、DJセットを披露する予定。いやあ、これはかなり胸が熱くなるぜ……しかもその直前にはチック・チック・チックの来日が、その直後にはバトルズの来日が控えているので、えーっと、つまり、10月30日から11月6日までの8日間、誰かしら〈Warp〉のアクトが列島のどこかで公演をおこなっているという状況だ(さらに、その約1ヶ月前の9月26日にはフライング・ロータスも来日する)。これはもう祭りと呼んで構わないだろう。みんなで盛大に〈Warp〉30周年を祝おうではないか。

 10/30 (水) !!! [LIVE] @京都
 10/31 (木) !!! [LIVE] @大阪
 11/01 (金) !!! [LIVE] @東京
 11/01 (金) Squarepusher / OPN / Bibio [DJS] @東京
 11/02 (土) Squarepusher / OPN / Bibio [DJS] @京都
 11/03 (日) Squarepusher / OPN / Bibio [DJS] @大阪
 11/04 (月祝) Battles [LIVE] @東京
 11/05 (火) Battles [LIVE] @大阪
 11/06 (水) Battles [LIVE] @名古屋

[10月29日追記]
 本日、《WXAXRXP DJS》の全出演者とタイムテーブルが発表されました。詳細は下記をチェック!

■11.1 TOKYO
Squarepusher / Oneohtrix Point Never / Bibio
agraph / Seiho / 真鍋大度 / Licaxxx

■11.2 KYOTO
Squarepusher / Oneohtrix Point Never / Bibio
原 摩利彦 / Ken'ichi Itoi

■11.3 OSAKA
Squarepusher / Oneohtrix Point Never / Bibio
原 摩利彦 / D.J.Fulltono



[10月31日追記]
 なんと! 開催直前になって新たな情報が届けられた。いよいよ明日スタートとなる《WXAXRXP DJS》の東京公演にて、エイフェックス・ツインの最新ライヴ映像が世界初公開される! 9月20日にマンチェスターでおこなわれたライヴの映像で、昨年“T69 Collapse”のMVを手がけた Weirdcore がわざわざ今回のイベントのために制作、90分以上にもおよぶ作品になっているとのこと。上映は会場1階の DUO にて。いやはや、なんとも贅沢な一夜になりそうだ。

〈WARP RECORDS〉30周年!
"ワープサーティー" の全貌が明らかに!
スクエアプッシャー、ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー、ビビオが日本に集結し、3都市を巡るスペシャルパーティー開催決定!
スペシャルDJセット、ポップアップストア、映像作品上映などなど、偉大なる歴史をセレブレート!



先鋭的アーティストを数多く輩出し、クリエイティブかつ衝撃的なMVやアートワークの分野においても、音楽史に計り知れない功績を刻み続け、今年30周年を迎えた〈WARP RECORDS〉。その偉大なる歴史を祝し、スクエアプッシャー、ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー、ビビオが一堂に会するスペシャルDJツアー『WXAXRXP DJS (ワープサーティーディージェイズ)』を東京~京都~大阪で開催決定!

『WXAXRXP (ワープサーティー)』をキーワードに、様々なイベントが行われている2019年。6月には、東京、大阪、 京都の3都市でポップアップストアが開催され、本国では「NTS Radio」とコラボレートしたオンライン音楽フェスも行われた。今回開催が決定した『WXAXRXP DJS (ワープサーティーディージェイズ)』は、同じくレーベルの主要アーティストであり、いずれも待望の最新作をひっさげて来日するフライング・ロータス、!!!(チック・チック・チック)、バトルスの単独来日公演に続くもので、『WXAXRXP (ワープサーティー)』シリーズの集大成となる。

本イベントではスクエアプッシャー、ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー、ビビオが集結し、スペシャルDJセットを披露する他、限定作品やグッズが買えるポップアップストア、30年にわたるレーベルの歴史を彩る映像作品の上映なども予定されており、まさに〈WARP RECORDS〉の祝祭!

これにより、10月30日よりスタートする!!!(チック・チック・チック)ツアー、それに続くバトルスのツアーと合わせ、全9公演が8日間に渡って、東京、名古屋、京都、大阪の4都市を駆け巡ることとなる。完売必至。チケットの確保はお早めに!

なお、フライング・ロータス公演/!!!(チック・チック・チック)ツアー/バトルスツアー/『WXAXRXP DJS』ツアーより2公演以上にご参加の方を対象に、各会場のポップアップストアにてお買い上げの合計金額からプライスオフとなるクーポンプレゼントキャンペーンも実施!

■2公演 ⇨ 10% OFF!
■3公演 ⇨ 20% OFF!
■4公演以上 ⇨ 30% OFF!

詳しくは、CD・レコードショップ、ライブハウス、クラブなどで配布される『WXAXRXP』フライヤーおよび冊子、WXAXRXP特設サイトをチェック!


タイトル:
WXAXRXP DJS
ワープサーティーディージェイズ

出演:
SQUAREPUSHER (DJ Set),
ONEOHTRIX POINT NEVER (DJ Set),
BIBIO (DJ Set)

and more

その他コンテンツ:
WXAXRXP POP-UP STORE,
30 YEAR VISUAL HISTORY OF WARP

and more

東京
公演日:2019年11月1日(金)
会場:O-EAST / DUO

京都
公演日:2019年11月2日(土)
会場:CLUB METRO

大阪
公演日:2019年11月3日(日)
会場:SUNHALL

OPEN / START:23:00
料金:前売¥5,500 (税込)
※20歳未満入場不可。入場時にIDチェック有り。写真付き身分証をご持参ください。

[チケット発売]
先行発売:
主催者WEB先行 9/14 (土) 0時~
BEATINK (e-ticket) https://beatink.zaiko.io/_buy/1kVr:Rx:ac436

9/17 (火) ~
イープラス最速先行:9/17 (火) 正午12:00 ~ 9/22 (日) 18:00

一般発売:9/28 (土) ~
イープラス、ローソンチケット、チケットぴあ、BEATINK、iFLYER 他

WARP30周年 WxAxRxP 特設サイトオープン!

音楽史に計り知れない功績を刻み続ける偉大なる音楽レーベル〈WARP〉の30周年を記念した特設サイトが公開中! これまで国内ではオンライン販売されてこなかったエイフェックス・ツインのレアグッズや、大竹伸朗によるデザインTシャツを含む30周年記念グッズなどが好評販売中。完売のアイテムも出始めているため、この機会をぜひお見逃しなく!

https://www.beatink.com/user_data/wxaxrxp.php

!!! - WALLOP JAPAN TOUR -
前売りチケット絶賛販売中!

東京公演:2019年11月1日(金) O-EAST
OPEN 18:00 / START 19:00
前売¥6,500 (税込/別途1ドリンク代/スタンディング) ※未就学児童入場不可
主催:SHIBUYA TELEVISION
INFO:BEATINK 03-5768-1277 / www.beatink.com

京都公演:2019年10月30日(水) METRO
OPEN 19:00 / START 20:00
前売¥6,500 (税込/別途1ドリンク代/スタンディング) ※未就学児童入場不可
INFO:METRO 075-752-2787 / info@metro.ne.jp / www.metro.ne.jp

大阪公演:2019年10月31日(木) LIVE HOUSE ANIMA
OPEN 18:00 / START 19:00
前売¥6,500 (税込/別途1ドリンク代/スタンディング) ※未就学児童入場不可
INFO:SMASH WEST 06-6535-5569 / smash-jpn.com

label: WARP RECORDS / BEAT RECORDS
artist: !!!
title: Wallop
release: 2019.08.30 FRI ON SALE

国内盤CD BRC-608 ¥2,200+tax
国内盤特典:ボーナストラック追加収録/解説・歌詞対訳冊子封入

BATTLES - JAPAN TOUR 2019 -
SUPPORT ACT: TBC

前売¥6,800(税込/別途1ドリンク代/スタンディング)
※未就学児童入場不可

東京公演:2019年11月4日(月・祝日)
GARDEN HALL

OPEN 17:00 / START 18:00
主催:SHIBUYA TELEVISION
INFO:BEATINK 03-5768-1277

大阪公演:2019年11月5 日(火)
UMEDA CLUB QUATTRO

OPEN 18:00 / START 19:00
INFO:SMASH WEST 06-6535-5569 / smash-jpn.com

名古屋公演:2019年11月6日(水)
NAGOYA CLUB QUATTRO

OPEN 18:00 / START 19:00
INFO:BEATINK 03-5768-1277

label: WARP RECORDS / BEAT RECORDS
artist: BATTLES
title: Juice B Crypts
release date: 2019.10.11 FRI ON SALE
日本先行リリース!

国内盤CD BRC-613 ¥2,200+tax
国内盤CD+Tシャツ BRC-613T ¥5,500+tax
ボーナストラック追加収録/解説・歌詞対訳冊子封入

輸入盤CD WARPCD301 ¥OPEN
輸入盤2LP カラー盤 WARPLP301X ¥OPEN
輸入盤2LP WARPLP301 ¥OPEN

Karenn (Blawan × Pariah) - ele-king

 ともにポスト・ダブステップ・シーンから頭角を現してきたブラワン(昨年アルバム『Wet Will Always Dry』をリリース)とパリアーが組んだテクノ・ユニット、その名もカレン(Karenn)が 10月4日の VENT に出演する。カレンとしては今回がアジア初公演とのことで、いったいどんなヘヴィなサウンドが打ち鳴らされるか楽しみだ。しかしやっぱり、いま時代はほんとうにテクノなんだな~。

 イギリスでは最近また80~90年代のレイヴ文化を振り返る動きがあり、BBCではジェレミー・デラーが高校生にレイヴを教える番組を作り話題になっています。YouTube で見られるのでリンク貼っておきますね。つーわけで rave on! 必見です。


https://www.youtube.com/watch?time_continue=59&v=qotJoCIhIjk

Lafawndah - ele-king

 最初はうーんと唸ってしまった。どうにもスピリチュアルすぎるというか、ニューエイジ的なものに寄りすぎなのではないかと。ギャング・ギャング・ダンスが引き合いに出されるのも頷けるところがあって、これは彼らの最新作をベース・ミュージックに移殖した音楽ですと、そう単純化してしまってもあながち見当ちがいだとは言いきれない。ただ、何度も聴き直しているうちにその印象はどんどん変わっていった。これは、一筋縄ではいかない音楽である。

 ラファウンダことヤスミン・デュボワの略歴についてはこちらを参照していただくとして、その後ローレル・ヘイローDJスポコとのコラボなんかもあったわけだけれど、やはり昨年、高田みどりと共作したことが大きな転機となったのではないだろうか。当初その組み合わせにはずいぶん驚かされたが、それはたぶんこっちが勝手に片方を「ワールド・ミュージック/ベース・ミュージック」という枠組みに、そしてもう片方を「アンビエント/環境音楽/ニューエイジ」という枠組みに押し込めて分断してしまっていたからで、ふたりの邂逅はようするにジョン・ハッセルとイーノによる「第四世界」の現代版だったのだと捉えれば、スピリチュアルな部分にたいする警戒心もほぼ溶けてなくなる。
 ラファウンダ当人はというと、この記念すべきファースト・アルバムのインスピレイション・ソースに芸能山城組の『AKIRA』を挙げており、たしかに本作におけるパーカッションとスピリチュアリティの同居のさせ方にその影響をみとめることは不可能ではないが、それも結局は「第四世界」に集束させることができる。つまりは架空の「ワールド・ミュージック」ということで、ようするに想像である。じっさい高田との「Le Renard Bleu」でも、古代セネガルと日本の民話に共通して登場する「青いキツネ」がテーマになっていたわけだけど、フィクションはそれがフィクションであるがゆえに、ふだんわたしたちが意識していないことについて考える、貴重な機会を与えてくれる。思うにラファウンダは、彼女の出自や経歴をかんがみるに、そのような空想的であるはずの「第四世界」をきわめてリアルなものとして体験し、そこに生きているのではないか。

 冒頭の“Uniform”からアクセル全開だ。ころころと転がっていくパーカッションをバックに彼女は、「わからない/何色か」と声をしぼりだし、自らのアイデンティティを宙吊りにする。アラビックなムードの横溢する“Parallel”では、それこそジョン・ハッセルを思わせるトランペットがむせび泣いていているが、これがまさかの本人だから驚く。やはり彼女が目指しているのは「第四世界」の再現界ということで間違いなさそうだ。
 とはいえもちろんその音楽には今日性があって、たとえば“Daddy”の低音なんかは、彼女がけっしてベース・ミュージックの文脈から切り離されているわけではないことを教えてくれる。このアルバムのほとんどの曲を手がけているのは、彼女の出世作となった「Tan」同様、ゲイトキーパーのアーロン・デイヴィッド・ロスとティーンガール・ファンタジーのニック・ウェイス、〈Night Slugs〉のエルヴィス・1990に、そして彼女自身だ。表題曲“Ancestor Boy”のインダストリアルな側面などは、彼らとの共同作業のなかで自然と生み出されていったものだろう。

 このアルバムがおもしろいのは、さりげなく日本的な旋律が差し挟まれる“I'm An Island”のように、参照先それじたいはじつに多岐にわたっているにもかかわらず、「多国籍」とも「無国籍」とも形容しづらいところで、そもそも彼女は国家という単位になど根差していないのだろう。じっさい彼女は『FACT』のインタヴューでネイション=ステイト(国民国家)を笑い飛ばしているが、じゃあ他方でこのネット時代にありがちな「検索して拾ってテキトーに貼りつけました」的な薄っぺらい多様性を標榜しているのかというと、もちろんそんなことはない(おなじ記事のなかで彼女は「インターネットからは知識を得ていない」と断言している)。たとえばブリジット・フォンテーヌとアレスキ・ベルカセムのカヴァーである“Vous Et Nous”は、しっかりと原曲における声の実験を踏まえたうえで、あらためて彼女なりの声の実験を展開している。ここには、先達にたいする敬意がある。
 もうひとつ注目すべきは、本作のポップ性だろう。“Storm Chaser”や“Waterwork”、あるいはガイカの参加した“Substancia”といった曲で彼女は、実験的な「第四世界」のなかでいかに普遍的なポップ・ソングを成立させるかという難題に挑戦している。それは、地球上のどこもかしこもが対立と分断と閉塞によって覆い尽くされているいま、異なる人びと同士のあいだになんとか共通項を見出そうとする、切実な試みだと言えなくもない。とくに圧巻なのは“Tourist”だ。この強烈かついびつなダンスホール・トラックには、彼女のアーティストとしてのあり方そのものが見事に凝縮されている。

 本作について『TMT』は、エジプトのウム・クルスームやレバノンのファイルーズといったアラブの大歌手を引き合いに出し、他方『FACT』のほうはビョークやケイト・ブッシュ、シャーデーの名を挙げていて、もちろんそれらは素直な賛辞なんだろうけど、しかしラファウンダの音楽はそのどれとも異なっているように聞こえる。おそらく『Ancestor Boy』はこれまでの類型に収まりきらない、新たなシンガー/プロデューサー像を呈示しているのだ。かつて上述の歌手たちがそうであったように、むしろ、今後「ラファウンダ以降」という言葉がどんどん用いられていくようになるにちがいないと、この現代版「第四世界」はそんな予感を抱かせてくれる。

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