「IR」と一致するもの

 先週末、おもにヨーロッパにおける音楽関係者の連帯をお伝えしたが、去る3月5日土曜、新宿駅南口にて反戦集会《No War 0305 Presented by 全感覚祭》が開催された。目的は、ウクライナ侵略によって「危機的な状況に置かれているあらゆる人たちへのサポートと寄付を募る」こと。およそ1万人が集まったという。
 呼びかけたのはGEZANの主宰するレーベル〈十三月〉で、趣旨に賛同した七尾旅人、大友良英、折坂悠太、カネコアヤノ、原田郁子(clammbon)、踊ってばかりの国といったアーティストたちがパフォーマンスを披露、種々のスピーチもおこなわれた。
 2011年の震災や原発の爆発、2015年安保などを経て日本でも有事の際に街頭に出かけること、声を上げることが普通になってきている。毎日暗いニュースが報じられるなか、そのこと自体は未来を感じさせてくれる前向きなトピックと言えよう。呼びかけたGEZAN、出演者やスタッフたち、そしてそこに集まった1万人に拍手を。ますます混迷をきわめるウクライナ情勢だが、きっと私たちにも何かできることがあるはずだ。
 各種寄付先は下記を参照ください。

GEZAN主宰レーベル・十三月の呼びかけによる街宣『No War 0305』、新宿駅南口におよそ1万人が集結。反戦を訴える。

3月5日(土)、プーチン大統領が起こしたウクライナ侵略によって傷つき、危機的な状況に置かれているあらゆる人たちへのサポートと寄付を募るため、GEZAN主宰レーベル・十三月の呼びかけに賛同したアーティストらによるライブとスピーチによる反戦街宣『No War 0305 Presented by 全感覚祭』が新宿駅南口にて繰り広げられた。

午後12時30分、「暴力には暴力で対抗する以外の可能性をみんなで考えたい」という篠田ミル(yahyel)の開会宣言からはじまり、トップバッターのカネコアヤノへ。その後もライブとトークが交互に進行され、ラストのGEZANライブ、そして津田大介、折坂悠太、マヒトゥ・ザ・ピーポー(GEZAN)による締めのクロストークまで、午後6時過ぎまで続いた街宣におよそ1万人が集結。その様子は十三月とポリタスTVのYouTubeにてそれぞれ生配信され、常時およそ4000人が視聴。「No War」という1点を軸に連帯を示した。

さまざまなアートワークが有機的にコラージュされ、花が生けられた象徴的な仮設ステージは多くのボランティアスタッフの力を借りて当日の早朝から組み上げられた。
また、当日までに募集され、会場で掲げられたプラカードのデザインは下記インスタグラムにて公開されている。
https://www.instagram.com/no_war_0305/

主催の十三月はウクライナ人道支援に繋がる8つの団体を紹介したQRコード付きのチラシにて直接の寄付を呼びかけ、さらに当日街頭で募ったドネーションにも約300万円が集まり、これらを全てウクライナ人道支援にあてることを発表。
また同時に、ステージ設営や印刷費、交通費など、今回の街宣にかかった必要最低限の運営経費を募っている。

▼『No War 0305』運営への寄付宛先
銀行名:PayPay銀行(0033)
銀行支店名:ビジネス営業部(005)
口座:普通:4026231
口座名義:ド)ジュウサンガツ

▼『No War 0305』概要
#NOWAR0305
「No War 0305」と題して、新宿南口にて戦争反対とウクライナ侵略によって傷ついた人たちのサポートを呼びかけます。

―――
2022年3月5日(土) 12:30-til sunset
会場 : 新宿駅南口

ステートメント
https://gezan.net/2022/03/post-2820/

Presented by 全感覚祭
―――

【内容】
No War. 戦争反対。
プーチン大統領が起こしたウクライナ侵略によって傷つき、危機的な状況に置かれているあらゆる人たちへのサポートと寄付を呼びかけます。この状況に対していまだ言葉にならない漠然とした思いを持っている全ての人たちと共に、この場を持ちたいと思います。

【アピール】
Hanna Frolova(モデル・東京在住ウクライナ人)
折坂悠太
アンナ(会社員/東京在住ロシア人)
七尾旅人
永井玲衣(哲学研究者)
坂口恭平
辻愛沙子(株式会社arca CEO)
大友良英
切腹ピストルズ
カネコアヤノ
中村涼香(KNOW NUKES TOKYO共同代表)
原田郁子(clammbon)
篠田ミル
津田大介(ジャーナリスト / メディア・アクティビスト)
踊ってばかりの国
井上榛香(ライター)
テニスコーツ
坂本龍一(メッセージ代読)
GEZAN

【会場・アートワーク提供】
北山雅和
Akira the Hustler
竹川宣彰
大澤悠大
佐藤重雄
今井俊介
チョン・ユギョン
大塚隆史
パク・サンヒョン
谷澤紗和子
BuBu de la Madeleine
げいまきまき
森隆司
川名潤
石黒恵太
COLD VVAR
薮内美佐子
山/完全版
今井健太郎
平野太一
青木陵子+伊藤存
竹﨑和征
碓井ゆい
島崎ろでぃー
Loneliness Books
阿部海太 / 阿部航太
工藤夏海
長谷川唯
キム・ミョンファ
semimarow
杨健
奈良美智

【寄付の説明と寄付先一覧】
戦争は人の命を奪い、人の暮らしを奪います。ウクライナ国内では軍事施設だけでなく、住居、学校、病院・衛生施設までもがロシア軍によって攻撃されています。爆撃だけでなく、食料や水の不足によっても市民の命が危険にさらされています。

一方で、国外に避難した人たちも同様に、困難な状況に置かれています。国連によると、すでに100万人以上がウクライナから隣国へ避難し、今後400万人以上が難民となるおそれがあります。その多くは子どもや女性です。避難先ではまず衣食住が保障されなければなりません。そして、精神的なケア、性暴力や搾取からの保護、性的マイノリティへの差別や人種・民族差別のない安心できる居場所の提供なども必要です。

日本で暮らす私たちは寄付という形で困難な状況にある人たちをサポートすることができます。
戦争が人間の命を奪うなら、私たちは人間の命を支えましょう。

以下にあげる寄付先は、すべて人道支援が目的とされた団体です。

・在日ウクライナ大使館
大使館への寄付は避難者の生活支援、インフラ復旧、住宅再建などに使用し、武器には使われないと説明しています。
三菱UFJ 銀行
広尾支店 047
普通
口座番号0972597
エンバシーオブウクライナ

・ユニセフ「ウクライナ緊急募金」
ウクライナにおける継続的な人道支援。クレカや携帯キャリア決済などで寄付ができるほか、郵便局窓口からの振込みもできる。楽天ポイントによる寄付も可能(詳細は楽天クラッチ募金サイト)。
https://www.unicef.or.jp/news/2022/0043.html

・UNHCR
国連の難民支援機関。難民・避難民の保護と支援。クレカ、コンビニ払い、ゆうちょ銀行などで寄付ができる。楽天ポイントによる寄付も可能(詳細は楽天クラッチ募金サイト)
https://www.japanforunhcr.org/campaign/ukraine

・ピース・ウィンズジャパン
国内外で人道支援や災害支援を行う団体。ウクライナ国内の支援団体と提携し、医療物資などを提供。クレカ、銀行・郵便局振込みで寄付が可能。
https://peace-winds.org/support/ukraine

・Insight Ukraine
あらゆる社会的属性の平等のためのウクライナの団体。サイトはウクライナ語と英語(ページ最下部より寄付ページへ)。クレカ、グーグルペイなどで寄付が可能。
https://www.insight-ukraine.org/

・Fight for rights
ウクライナの障害者支援団体 。サイトはウクライナ語と英語(ПІДТРИМКА У КРИЗІ / SUPPORT PWDS IN CRISISより寄付ページへ)。クレカ、グーグルペイなどで寄付が可能。
https://ffr.org.ua/support-in-crisis

・Voices of children
ウクライナの戦禍の子どもたちのサポート。主に心理的、心理社会的支援。サイトはウクライナ語、英語、ドイツ語、スペイン語。クレカ、グーグルペイなどで寄付が可能。
https://voices.org.ua/en/

・uahospitals
ウクライナの医療機関の支援窓口。ウクライナ各地の病院への医療資源の提供。サイトは英語。クレカによる寄付が可能。
https://4agc.com/fundraiser_pages/e9aca7e4-13d5-4e67-b6bd-548f94822793#.YhjmJ5PP0bn%E2%81%A0

interview with Fieh (Sofie Tollefsbøl) - ele-king

日本のメディアでインタヴューができるなんてとても嬉しい!

 2017年にノルウェーから登場してきた7人組バンドの FIEH(フィア)。リード・シンガーのソフィー・トレフスビョルの柔らかなヴォーカルをフロントに立て、都会的でジャジーな肌触りの演奏やドリーミーな雰囲気を醸し出すコーラスをまとい、2019年にリリースしたデビュー・アルバムの『コールド・ウォーター・バーニング・スキン』は、ハイエイタス・カイヨーテムーンチャイルドに続く新世代のネオ・ソウル・バンドと評価された。その後、このアルバムのUKでの発売元が〈デッカ〉だった関係で、〈ブルーノート〉のカヴァー・プロジェクトの『ブルーノート・リ:イマジンド・2020』に参加してウェイン・ショーターの “アルマゲドン” をカヴァーするなど、注目を集める存在へ着々と進んでいく。そうして発表したセカンド・アルバムが『イン・ザ・サン・イン・ザ・レイン』である。

 『イン・ザ・サン・イン・ザ・レイン』には前作にあったネオ・ソウルやヒップホップ/R&B的な路線も存在するが、ほかにもインディ・ポップやポップ・ロック、シンセ・ポップ的な要素もあり、全体としてとてもヴァラエティに富んだカラフルなアルバムとなっている。タイプとしてはハイエイタス・カイヨーテのアルバムに近い印象なのだが、バンドとしての進化や音楽性の拡大を感じさせる作品である。そして、そこにはプロデューサーとして参加したジャガ・ジャジストのラーシュ・ホーンヴェットや、エンジニアとして参加したラッセル・エルヴァド(ディアンジェロの『ヴードゥー』はじめザ・ルーツの作品などを手掛けてきた)の存在も見え隠れする。今回のインタヴューはそんなフィアの誕生から現在に至る道程、そして『イン・ザ・サン・イン・ザ・レイン』についてなどを、グループの中心人物であるソフィー・トレフスビョルに訊いた。

シーンの全員が全員を知っている感じね。ジャガ・ジャジストのラーシュ・ホーンヴェットは私たちのアルバムをプロデュースしてくれたし、もちろん繋がりを感じる。

フィアは日本ではほぼ初めて紹介されるバンドですので、まずはバンドの結成から伺います。いつ頃、どのようなメンバーがどのように集まり、フィアは結成されていったのですか?

ソフィー・トレフスビョル(以下ソフィー):そうね、日本のメディアでインタヴューができるなんてとても嬉しい! 最初フィアがスタートしたときは私ひとりだったんだよね。もともとガレージバンドやロジックなどの音楽ソフトを使ってひとりで曲を作っていたんだけど、それらの曲をほかのバンドをやってる友だちとかに聴いてもらって。そのなかにいまフィアでベースとドラムを担当しているアンドレアス(・ルーカン)とオラ(・エーヴェルビィ)もいたんだよね。それで彼らが組んでた別のバンドで出演したライヴで私が作った曲を数曲演奏して。そのライヴがとっても良い感じだったから、これはもうバンドにするしかないでしょ! って感じではじまった。

フィア(Fieh)という名前はどこからきているのですか?

ソフィー:最初の曲を配信しようと考えたときに、アーティスト名が必要だと気づいたんだ。この名前についてはラッパーのナズに影響を受けたと思う。彼の本名は「Nasir」って言うんだけど、私も彼のように自分の名前からもじろうと思って。私の名前は「Sofie」だから「Fie」はそこから取って、残りの “h” がエリカ・バドゥを真似たんだ。彼女の本名は「Erica」だけど、アーティスト・ネームでは “h” が「Erykah」の最後についてるでしょ。だから私も “h” を付け加えて、「Fieh」にしたってわけ(笑)。

ソフィーさんはバンドのリード・シンガーですが、あなた自身の音楽キャリアはどのようにはじまりましたか? 幼少のころに好きだった音楽や影響を受けたアーティストなどについても教えてください。

ソフィー:私がピアノをはじめたのは10歳のときだった。私には兄がいるんだけど、当時その兄はギタリストでブルースをよく弾いていたのね。ブルースのコンサートやフェスティヴァルにも連れてってもらった。彼はほかにもソウルを教えてくれた。アレサ・フランクリンとかレイ・チャールズとかをね。だから私は子供の頃はブルースやソウルが好きだった。それから小学校を通してカニエ・ウェスト、ファレル、スヌープ・ドッグ、アウトキャストとかのヒップホップにも夢中になった。その後高校生のときにレッド・ツェッペリンとかザ・ドアーズとかのロックにハマった時期があったし、ほかにも高校時代はレッド・ホット・チリ・ペッパーズの大ファンになった。いまでも大好きなんだけどね。私が歌いはじめたのはバンドと出会った頃だから17歳くらいかな。その頃は同時にディアンジェロ、J・ディラ、エリカ・バドゥ、ザ・ルーツのようなR&Bやネオ・ソウル、ヒップホップのアーティストにもとても興味があったんだけど、それからオスロ音楽アカデミーに通いはじめてジャズの沼にハマりはじめたのよね。特にジョン・コルトレーン、アリス・コルトレーン、セロニアス・モンク、ジャッキー・バイアードとかがお気に入りかな。いままであげてきたアーティストはいまでも大好きだし、ほかにも最近だとビョーク、ケイト・ブッシュ、シュギー・オーティスやソランジュとかにハマってる!

フィアはノルウェーのオスロを拠点に活動していますが、オスロ及びノルウェーの音楽シーンの状況はいまどんな感じですか? 日本にはリンドストロームプリンス・トーマスといったニュー・ディスコ系のDJ/プロデューサーの情報などは断片的に入ってきますが、全体としては情報量が多くはないので、あなたたち周辺の音楽シーンの状況を教えていただければと思います。

ソフィー:リンドストロームとプリンス・トーマスは最高! ノルウェーには世界的に活躍しているポップ・アーティストとしてオーロラとシグリッド、ガール・イン・レッドがいて、有名なエレクトロニック・アーティストとしてはいま言ったリンドストロームとプリンス・トーマスのほかにロイクソップがいる感じかな。オスロのジャズ・シーンは世界でも私が知る限りでベストだと思う。とにかく多様性があって、いろんなバンドがジャンルの垣根を超えた音楽を作ってて。例えばジャズと伝統的なノルウェーの音楽をミックスしたりして、ジャズとポップ、ジャズとロック、ジャズとエレクトロニカとかいろいろなジャンルが混じってるのがオスロのジャズ・シーンの特徴だと思う。マサヴァ(Masåva)とホワイ・カイ(Why Kai)は特にお気に入りだからチェックしてみてね。フィアのメンバーもそれぞれクールなバンドをほかにもやっていたりする。ソルウァイ(・ワン)はナッシング・パーソナル(Nothing Personal)というエレクトロ・トリオ、アンドレアス(・ルーカン)はタイガーステイト(Tigerstate)というインディー・バンド、さっきも紹介したホワイ・カイは(『イン・ザ・サン・イン・ザ・レイン』のレコーディング後にフィアに参加した新メンバーの)カイ(・フォン・ダー・リッペ)のジャズ/エレクトロニカのソロ・プロジェクトだし、オラ(・エーヴェルビィ)はダマタ(Damata)というジャズ・トリオでもプレイしていて、リーデ(・エーヴェレオス・ロード)は彼のソロ・ジャズ・アルバムを2019年にリリースしてる。

フランク・オーシャンの “ピラミッズ” とかかな。あの曲の変調の仕方と完全にふたつの別のパートが一曲のなかで混合している感じがめちゃくちゃ最高で。リリースされたときバンドのみんなと一緒に聴いたのを覚えているんだけど、めちゃくちゃ衝撃的だった。全然予想もしていなかった、見知らぬ場所で突然に旅がはじまる感じね。

周りに仲のいいアーティストやバンドなどはいますか?

ソフィー:もちろん! オスロを拠点にしている友達だとポン・ポコ(Pom Poko)、モール・ガール(Mall Girl)、テア・ウォン(Thea Wang)、ベハーリ(Beharie)、ホワイ・カイ、ナッシング・パーソナル、タイガーステイト、ダマタとかいて、みんなクールなアーティストだよ!

トランペットのリーデ(・エーヴェレオス・ロード)さんはほかにもいろいろなバンドやプロジェクトで活動していますね。モザンビークというジャズ・バンドで演奏していたり、〈ジャズランド・レコーディングス〉から先ほど話されたソロ・アルバムを出すなど、メンバーのなかでは比較的ジャズのバックグラウンドが強い人のようですが、彼はどんなプレーヤーですか?

ソフィー:その通り! リーデとはオスロ音楽アカデミーでジャズを学んでいたときに出会った。リーデは最高なジャズ・トランペッターね。とにかく名人って感じだし、彼が出すアイデアもいつも最高で。私たちの曲にも間違いなく彼のテイストが色濃く出ていると思うし、ロイ・ハーグローヴ的なジャズのエッセンスは彼のお陰。ちなみに彼はステージ上では素晴らしいダンサーでもあり、パーカッションもできる。一緒にいて楽しいし、彼と一緒に音楽をプレイしているときは最高な気分になれる。

そうしたジャズの話では、ブッゲ・ウェッセルトフトなどを擁する〈ジャズランド・レコーディングス〉は、いまから20年ほど前に「フューチャー・ジャズ」という新しいジャズのムーヴメントを担うレーベルでした。ほかにもジャガ・ジャジストやニルス・ペッター・モルヴェルが世界的に活躍するなど、ジャズの世界におけるノルウェーは非常に興味深い存在です。リーデさんもそうしたノルウェーのジャズ・シーンの影響を受け、それはフィアにもフィードバックされていたりしますか?

ソフィー:リーデ自身のプレイも、彼のソロ・プロジェクトも、そしてフィアもノルウェーのジャズ・シーンの一部だと思っている。さっきも言ったけどノルウェーのジャズ・シーンが大好きだし、つねにクールなことが起こっている刺激的なシーンだから、その一部になれるのは嬉しいし、クールだけど小さなシーンでもあるから、シーンの全員が全員を知っている感じね。ジャガ・ジャジストのラーシュ・ホーンヴェットは私たちのアルバムをプロデュースしてくれたし、もちろん繋がりを感じる。

フィアの歩みに戻りますが、2019年にファースト・アルバムの『コールド・ウォーター・バーニング・スキン』を発表します。ジャズ・ファンクやファンク、ソウルなどがブレンドされたクロスオーヴァーな作風で、ソフィーさんの歌を中心としたグルーヴィーな演奏を聴かせてくれます。全体的にはネオ・ソウルの要素が強いアルバムですが、どのようなイメージでこのアルバムは作られましたか? 個人的にはオーストラリアのハイエイタス・カイヨーテとかアメリカのムーンチャイルドあたりに近い印象を持ったのですが。

ソフィー:デビュー・アルバムは何年もプレイしてきた楽曲をまとめたコンピレーションのようなアルバムだったんだけど、ディアンジェロとエリカ・バドゥにかなり影響も受けたアルバムだと思う。言ってくれた通り、ハイエイタス・カイヨーテにも影響は受けていると思うね。このアルバムはなんていうか私たちの最初の子供って感じかな。“25” とかは本当にバンドがはじまった頃からずっと演奏し続けている曲なんだよね。

“サムライ(Samurai)” という曲が収録されていますが、これは日本の侍が出てくる映画とかアニメにインスパイアされているのですか?

ソフィー:このタイトルはクエンティン・タランティーノの映画『キル・ビル』に出てくるザ・ブライドとオーレン石井の剣を使った戦闘シーンにインスパイアされてつけた。日本の映画からじゃなくてちょっとガッカリさせちゃったかな(笑)。ごめん(笑)。でも、この映画は確実に日本から影響を受けているはず(注:千葉真一はじめ日本の俳優が数名出演するほか、梶芽衣子主演の『修羅雪姫』など日本映画やブルース・リーの『死亡遊戯』など香港映画、台湾映画のオマージュが散りばめられている)。コロナの影響で家にいる時間が多くなったからいくつか日本のアニメを見たりもしたんだけど、私は『食戟のソーマ』が大好き。次のアルバムには『食戟のソーマ』に影響された曲が収録されるかも(笑)。

その後、2020年に〈ブルーノート〉のカヴァー・プロジェクトの『ブルーノート・リ:イマジンド・2020』に参加しますね。基本的にサウス・ロンドンのミュージシャンが中心となったこのプロジェクトに、どうしてオスロのあなたがたたちが参加するようになったのですか?

ソフィー:そのときはイギリスの〈デッカ〉からファースト・アルバムをリリースしていたから、彼らが〈ブルーノート〉のアルバムに参加できるようにしてくれたのよね(注:現在〈デッカ〉と〈ブルーノート〉は同じ〈ユニバーサル〉グループに属する)。本当にクールなことだったし、〈ブルーノート〉と関連する仕事ができたのは本当に光栄に思っている!

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この曲ではかなりファンカデリックからの影響を受けているよ。この曲を作るとき私はドラマーのオラにファンカデリックのグルーヴがほしいよ! って注文したら彼がやってくれた。というかあなたがこの曲を聴いて感じてくれたみたいだけど、実際に私たちはこの曲の後半の部分を「フライロー」(フライング・ロータスの愛称)って呼んでた(笑)。かなり的確ね(笑)。

新作の『In The Sun In The Rain』について話を伺います。先ほど話に出たようにジャガ・ジャジストのラーシュ・ホーンヴェットがプロデュースを務めていますが、彼はどのようないきさつで参加することになったのですか?

ソフィー:このアルバムにはプロデューサーが必要だと感じていて、みんなラーシュは素晴らしいアイデアを幾つも持った凄腕プロデューサーだと知っていた。私たちのなかにラーシュと知り合いだったメンバーはいなかったけど、それでも思い切ってお願いしたんだ。

エンジニアにはディアンジェロやザ・ルーツを手掛けたラッセル・エルヴァドを迎えています。それでネオ・ソウル色が強まるのかと思いきや、逆にそうしたテイストは後退し、“ルーフトップ” や “ファスト・フード” あたりに顕著なインディ・ポップやシンセ・ポップといった要素が出てきたり、音楽的には前作と比べて非常にカラフルでヴァラエティに富む内容になっていると思います。前作からバンドの中で何か変化があったのでしょうか?

ソフィー:そうね、このアルバムはデビュー・アルバムとは全然違う方法で制作した。デビュー・アルバムではもともとの持ち曲がライヴやセッションをしているうちにどんどんと進化していったって感じだけど、今回はちょっと違っていて、アルバム全体としてのサウンドを作ることがとても重要だった。だから「カラフル」って言ってもらえてとても嬉しい。カラフルにするってことは私たちが今作で狙ったポイントだからね。私のライティングにおいても、いままでとはちょっと違ってインディ・ポップからも影響を受けたと思う。たとえばビョークやケイト・ブッシュとかね。後はラーシュがストリングス・アレンジでいままでの作品よりもオーケストラっぽさを表現してくれたと思う。彼はほかにも少しプログレっぽい要素だったり、ジャガ・ジャジストっぽいフレイヴァーをアルバムに付け加えてくれたと思う。

ひとつの楽曲のなかでも急激なテンポの変化があったり、曲の前半と後半ではまったく印象が変わったりとか、自由で先の読めない展開は先も比較したハイエイタス・カイヨーテを思い起こさせます。ジャガ・ジャジストもそうですが、彼らのパフォーマンスはオペラのようにシアトリカルでイマジネーションを掻き立てます。『イン・ザ・サン・イン・ザ・レイン』の方向性も彼らに通じるものを感じさせますが、いかがでしょうか?

ソフィー:気づいてくれてありがとう! いま言及してくれた自由で先が読めない展開は私も曲を作る上でとても意識したことだし、バンドでもたくさん話し合ったことで。楽曲を分割したときに、後半のパートに進むと完全に違う新世界に突入できるような感覚にしたかったのよね。代表的な例をあげるとフランク・オーシャンの “ピラミッズ” とかかな。あの曲の変調の仕方と完全にふたつの別のパートが一曲のなかで混合している感じがめちゃくちゃ最高で。この曲がリリースされたとき(2012年)にバンドのみんなと一緒に聴いたのを覚えているんだけど、めちゃくちゃ衝撃的だった。全然予想もしていなかった、見知らぬ場所で突然に旅がはじまる感じね。だからあなたが私たちの音楽を聴いて、同じことを感じてくれたのが嬉しい!

“グレンデヒューズ・ファンカデリック(Grendehus Funkadelic)” は何かファンカデリックと関係あるのでしょうか? 楽曲自体はディスコ・テイストのポップ・ロックでパーティー・キッズたちを歌った曲なのですが、中盤以降のスペース・オペラ調の展開はPファンク的かなとも思います。Pファンクもそうですし、フライング・ロータスサンダーキャット、〈ブレインフィーダー〉とも契約したハイエイタス・カイヨーテの感性に非常に近いものを感じました。

ソフィー:うん、この曲ではかなりファンカデリックからの影響を受けているよ。この曲を作るとき私はドラマーのオラにファンカデリックのグルーヴがほしいよ! って注文したら彼がやってくれた。というかあなたがこの曲を聴いて感じてくれたみたいだけど、実際に私たちはこの曲の後半の部分を「フライロー」(フライング・ロータスの愛称)って呼んでた(笑)。かなり的確ね(笑)。もともとこの曲の前半と後半はそれぞれ別の曲として制作していたんだけど、プロデューサーのラーシュがこのふたつのパートを繋げてひとつの楽曲にしたら? って提案してくれて。

『ヴードゥー』は私が最初にネオ・ソウルにハマったアルバムで。フィアは『ヴードゥー』を私たちなりの解釈で表現するためにスタートしたって部分もある。サウンド、ベース・ライン、ドラム、ヴォーカル、とにかくすべての部分で影響を受けていることは間違いない。本当に私にとって世界一好きなアルバム。

“オール・ザ・タイム・イヴン・ホエン(Allthetimeevenwhen)” はドリーミーでサイケ・ポップ的な雰囲気を持つ曲です。そして “ヒーロー” でもそうですが、ストリングスやオーケストレーションの使い方などアルトゥール・ヴェロカイのテイストを感じさせます。彼から影響はあったりするのでしょうか?

ソフィー:正直に言うと私はアルトゥール・ヴェロカイのことは、ハイエイタス・カイヨーテが昨年のアルバム『ムード・ヴァリアント』で彼とコラボするまで知らなかった。でも、ストリングスのアレンジをしているラーシュはずっと前からヴェロカイの音楽を聴いてたみたいね。

“イングリッシュマン” はラテン・フレーヴァーの曲でディアンジェロの『ヴードゥー』っぽいムードを持つのですが、サビのフレーズでは素晴らしいハーモニーやコーラスを聴かせてくれます。ネオ・ソウルからザ・ビートルズやザ・ビーチ・ボーイズなど幅広い影響を感じさせる曲だと思うのですが、いかがでしょう?

ソフィー:ありがとう! 『ヴードゥー』は私が最初にネオ・ソウルにハマったアルバムで。実際にフィアは『ヴードゥー』を私たちなりの解釈で表現するためにスタートしたって部分もある。だからサウンド、ベース・ライン、ドラム、ヴォーカル、とにかくすべての部分で影響を受けていることは間違いない。本当に私にとって世界一好きなアルバムだから。後はデヴィッド・ボウイをよく聴いていたときに思いついたコードも “ルーフトップ” に入っている。オリジナルはもっとシンセが使われているけどね。確かに私たちの音楽は少しビートルズを感じさせる部分もあるかもしれないし、サイケ的な要素も少し感じるよね。あなたが言っている通り、このアルバムはソウルやヒップホップからビートルズやビーチ・ボーイズのようなロックやポップスまでを参照して作られたアルバムで、全部がミックスされていると思う。

“ハウカム?” は1960年代、1970年代のムードを感じさせる曲ですが、この曲に見られるようにリズム・プロダクションはとても生々しくて力強いのが『イン・ザ・サン・イン・ザ・レイン』の特徴かなと思います。その点はラッセル・エルヴァドの手腕でしょうか?

ソフィー:理由はいくつかあると思う。ひとつはアレンジの部分ね。この作品はあまりシンセやドラムにトリガーを使ってないから、それが60~70年代のサウンドに近づける要素になったんだと思う。後はやっぱりラッセルのミックスは本当にサウンドにとっては重要だった。彼はアナログ・ミックスをしてくれたんだけど、彼にしか出せないフレイヴァーやムードをまるでサウンドに命を吹き込むように与えてくれる。あと私たちは彼にたくさんの参考音源を送ったのもあるかもね。その中の多くの曲が60年代、70年代の楽曲だったしね。スライ・アンド・ザ・ファミリー・ストーンとか。

『イン・ザ・サン・イン・ザ・レイン』はさまざまな楽曲がありながら、全体的にはバランスの取れたムードで統一されたアルバムだと思います。アルバム全体で何かコンセプトやストーリーはあったりするのですか?

ソフィー:今回のアルバムでは制作する前からアルバム全体としてどんなサウンドにしたいのかっていうのがあったし、何よりもこのアルバムにしか出せない音っていうのを目指したかった。それが私のなかだとディアンジェロの『ヴードゥー』、ケンドリック・ラマーの『トゥ・ピンプ・ア・バタフライ』、フランク・オーシャンの『チャンネル・オレンジ』のようなアルバムなんだけど。作りはじめてしばらくしてからアルバムをA面の『イン・ザ・サン』、B面の『イン・ザ・レイン』に分けるコンセプトのアイデアが出たんだ。『イン・ザ・サン』はアップテンポな曲を多く入れたパーティー感のあるもの、『イン・ザ・レイン』はスロー・テンポでメロウでオーケストラ要素が強い楽曲を入れて、アフター・パーティーをイメージした感じかな。

今後の活動予定や新たな取り組みがあれば教えてください。

ソフィー:今冬ちょうどサード・アルバムの制作に取り掛かっているところ。クールなアルバムになると思う! あとは、テキサスのSXSWとニューヨークの「ニュー・コロッサス・フェス」にも出演することが決まってて。今年はもう待ちに待ったツアーをたくさんできることを祈ってる!

Black Jazz Records - ele-king

 70年代スピリチュアル・ジャズを代表する3大レーベルのひとつ、オークランドの〈Black Jazz〉。かつてジャイルス・ピーターソンやMUROがミックスし、セオ・パリッシュがコンピを編んだことでも知られるこのレーベルのラインナップには、ずらりと名作が並んでいる。このたび、それら20枚すべてを収納したボックスセットが販売されることになった。専用ボックスには全アルバムのアートワークやシリアルナンバーが掲載されるとのこと。これはとんでもないアイテムだ。

3大スピリチュアル・ジャズ・レーベルの一つ、“Black Jazz Records”のLP BOXをVINYL GOES AROUNDにて限定販売。

〈Strata East〉や〈Tribe Records〉と並び、70年代を代表する3大スピリチュアル・ジャズ・レーベルの一つ、〈Black Jazz Records〉。

レーベルはオークランドを拠点とし、1971年から1975年にかけて20枚のアルバムをリリースしました。この珠玉の名作を最新リマスター音源で復刻。
VINYL GOES AROUNDのサイトで全てのLPをボックスセットで販売いたします。

ボックスは20枚全てのLPが収納できるサイズで作られており、裏面には全アルバムのジャケットが掲載、シリアルナンバーも記載します。また過去に制作したポスターのデッドストックも封入。15セットの限定販売となります。

[THE STORY OF BLACK JAZZ RECRODS 予約ページ]
https://vga.p-vine.jp/exclusive/

[商品情報]
アーティスト:V.A.
タイトル:The Story of Black Jazz Records
価格:¥79,200(税込)(税抜:¥72,000)
フォーマット:LP×20枚
★シリアルナンバー付き
★15セット限定販売
※期間限定受注(~2022年3月28日まで)
※限定品につき無くなり次第終了となりますのでご了承ください。
※商品の発送は 2022年5月中旬ごろを予定しています。

[収録タイトル]
・GENE RUSSELL『New Direction』(PLP-7146)
・WALTER BISHOP JR.『Coral Keys』(PLP-6997)
・DOUG CARN『Infant Eyes』(PLP-7169)
・RUDOLPH JOHNSON『Spring Rain』(PLP-7133)
・CALVIN KEYS『Shawn-Neeq』(PLP-7132)
・CHESTER THOMPSON『Powerhouse』(PLP-7155)
・HENRY FRANKLIN『The Skipper』(PLP-7137)
・DOUG CARN Feat. THE VOICE OF JEAN CARN『Spirit Of The New Land』(PLP-6996)
・THE AWAKENING『Hear, Sense And Feel』(PLP-6998)
・GENE RUSSELL『Talk To My Lady』(PLP-7136)
・RUDOLPH JOHNSON『The Second Coming』(PLP-7761)
・KELLEE PATTERSON『Maiden Voyage』(PLP-6775)
・WALTER BISHOP Jr.『Keeper Of My Soul』(PLP-7760)
・THE AWAKENING『Mirage』(PLP-7200)
・DOUG CARN Feat. THE VOICE OF JEAN CARN『Revelation』(PLP-7170)
・HENRY FRANKLIN『The Skipper At Home』(PLP-7199)
・CALVIN KEYS『Proceed With Caution!』(PLP-7781)
・ROLAND HAYNES『2nd Wave』(PLP-6780)
・CLEVELAND EATON『Plenty Good Eaton』(PLP-6787)
・DOUG CARN『Adams Apple』(PLP-7782)

Sista Rap Bible - ele-king

 新たな切り口でヒップホップの歴史を追う書籍が刊行されている。その名も『シスタ・ラップ・バイブル──ヒップホップを作った100人の女性』。男性優位で語られることの多いヒップホップ史において、ロクサーヌ・シャンテからソルトン・ペパ、クイーン・ラティファなどなど、じつはヒップホップは女性たちが作ってきたものでもあったことに光を当てる1冊だ。カラーのイラストをふんだんに利用したぜいたくな本に仕上がっている。著者はNYのライター、クローヴァー・ホープ。訳者は『ヒップホップ・ジェネレーション』の翻訳などで知られる押野素子。初心者も上級者もチェックしておきましょう。

ヒップホップは、優れた女性ラッパーたちが作ったものでもあった──
これまで語られることのなかったその歴史をクールなイラストと共に紹介する2020年代のヒップホップ・バイブル!

C’mon girls,
さあ、男たちに見せつけてやろう!
熱いパーティ・ショウでナンバーワンになる方法
let’s go show the guys that we know
how to become Number One in a hot party show
(PUSH IT by SALT-N-PEPA)

男性優位で語られるヒップホップ・シーン。
しかしその歴史は優れた女性ラッパーが
作ったものでもあった──。

女性ラッパーの活躍をイラストとセットで紹介し、
これまでは語れることのなかった歴史を描いた、
斬新で新しいヒップホップの教科書が登場!

■シーン黎明期に暗躍した女性ラッパーの闘争から、先駆者ロクサーヌ・シャンティの活躍、そして彼女に続くソルト・ン・ペパ、クイーン・ラティファ、リル・キム、ローリン・ヒル、そしてニッキー・ミナージュやカーディ・B、リゾといった現在の女王までをイラストとともにわかりやすく紹介!
■ローカル・シーンを支えた女性ラッパーやワンヒット・ワンダー(一発屋)までをくまなく網羅。
■何から聴いたらいいか迷う初心者にも、最新の潮流を掴みたい上級者にもマストな一冊。
■ブラック・ライヴズ・マター以降の新しいフェミニズムを知るための教科書としても最適!

シスタ・ラップ・バイブル
──ヒップホップを作った100人の女性

クローヴァー・ホープ(著)
押野素子(訳)

単行本/B5変形/240頁
ISBN:978-4-309-25676-4
Cコード:0073
2022.02.28発売
定価3,289円(本体2,990円)

【目次】
▼女子にしては上出来/Introduction: Nice for a Girl
▼女性ラッパー第1号は?/The First Women
MCシャーロック/MC Sha-Rock
ワンダ・ディー/Wanda Dee
▼ラップ・クルーのファースト・レディたち/First Ladies of Rap Crews
メルセデス・レディーズ/Mercedes Ladies
デビー・ハリー/Debbie Harry
▼白人ラップの系図/White Rap Family Tree
リサ・リー/Lisa Lee
ザ・シークエンス/The Sequence
スウィート・ティー/Sweet Tee
ロクサーヌ・シャンテ/Roxanne Shanté
レディ・B/Lady B
スパーキー・D/Sparky D
ソルト・ン・ぺパ/Salt-N-Pepa
MCライト/MC Lyte
アントワネット/Antoinette
クイーン・ラティファ/Queen Latifah
J.J.ファッド/J.J. Fad
ラトリム/L’Trimm
▼マイアミ・ベースの女性たち/The Women of Miami Bass
オークタウンズ・357/Oaktown’s 357
ミア・X/Mia X
▼女性デュオとグループ/Women in Duos & Groups
ニッキー・D/Nikki D
ビッチズ・ウィズ・プロブレムズ/Bytches With Problems
N-タイス/N-Tyce
ヨーヨー/Yo-Yo
ボス/Boss
ヘザー・B./Heather B.
レディ・オブ・レイジ/Lady of Rage
ザ・コンシャス・ドーターズ/The Conscious Daughters
ダ・ブラット/Da Brat
▼レフト・アイのライムを振り返る/A Journey Through Left Eye’s Rhymes
シルクE・ファイン/Sylk-E. Fyne
バハマディア/Bahamadia
リル・キム/Lil’ Kim
▼名前にレディがつくラッパー/The “Lady” Rappers
フォクシー・ブラウン/Foxy Brown
ノンシャラント/Nonchalant
ミッシー・エリオット/Missy Elliott
アンジー・マルティネス/Angie Martinez
チャーリー・ボルティモア/Charli Baltimore
メデューサ/Medusa
イヴ/Eve
ソレイ/Solé
レディ・ラック/Lady Luck
ローリン・ヒル/Lauryn Hill
ヴィータ/Vita
キア/Khia
トリーナ/Trina
ラ・チャット/La Chat
アミル/Amil
ショーナ/Shawnna
レミー・マー/Remy Ma
ニッキー・ミナージュ/Nicki Minaj
アジーリア・バンクス/Azealia Banks
カーディ・B/Cardi B
▼女性ラッパーの未来/the future

著者

クローヴァー・ホープ
ブルックリンを拠点とするライター/編集者。Vogue、Elle、The New York Times、XXL、Village等で執筆し、現在はJazebelに勤務、NYUでライティングを教える。

押野素子(オシノ モトコ)
翻訳家。ハワード大ジャーナリズム学部卒業。ワシントンD.C.在住。訳書に『フライデー・ブラック』『私の名前を知って』『MARCH』『ヒップホップ・ジェネレーション』ほか。

John Cage, Apartment House - ele-king

 実験音楽や即興を中心とする英国のレーベル、〈アナザー・ティンバー〉が2021年8月にリリースした4枚組ボックス・セット。当時75歳のジョン・ケージが1987年から亡くなるまでの1992年に取り組んだ最晩年の楽曲群『Number Pieces』全43曲のうち、“Four”から“Fourteen”までを英国の現代音楽アンサンブル・グループ、アパートメント・ハウス (Apartment House)が演奏している。このボックスセットに収められているどの曲も基本的に音の引きのばしでできているので、なんとなく聴いている分にはとりとめのない印象だ。実際、どのトラックを再生しても、そこから聴こえてくるのはなんらかの楽器の音が放つ、ただまっすぐな響きとその重なり合いのみである。これらの曲を「ドローンのような」と表することもできないわけではないが、現代音楽の精鋭たちが奏でるこの一様なテクスチュアには思いのほか深い意味が込められているらしい。

 ケージの『Number Pieces』はそれぞれの曲のタイトル、つまり数字がその曲を演奏する人数を表している。例えば“Five”は5人で演奏する曲だ。“Five2”の場合は“Five”シリーズの2番目の曲を意味し、同じく5人で演奏する。しかし、編成については曲ごとに若干の違いがある。“Five”は演奏楽器が指定されておらず、5人の奏者であればどんな楽器で演奏してもよいし、声でも演奏できる。このボックスセットで“Five”はディスク1の1曲目に収録されており、ヴィオラ、アコーディオン、コントラバス、ファゴット、バス・クラリネットによるアンサンブルが演奏している。対して“Five2”(ディスク1、2曲目)には風変わりな5重奏−コールアングレ、クラリネット2人、バス・クラリネット、ティンパニ−が指定されている。個々の楽曲の編成についてケージは意図を明確にしていないが、おそらく彼はあまり慣習的ではない編成が生み出す新鮮な音の響きを期待していたのだろう。
 『Number Pieces』シリーズにとって、数 (number)は曲のタイトルだけでなく曲の構成や演奏方法にも深く関わる重要な要素だ。1981年頃にタイム・ブラケットという作曲技法を考案したケージは、この技法を『Number Pieces』シリーズに用いた。タイム・ブラケットは時間の長さを括弧などで囲って区切ることを意味する。例えば60分にもおよぶディスク4の2曲目“Eight”のトランペットのパートには、F#の音の両端に8’05” – 8’35”と8’25” – 8’55”のタイム・ブラケットが書かれている(Illustration 1参照)。この場合、左端のタイム・ブラケット、8’05” – 8’35”に従い、曲が始まってから8分5秒~35秒までの間にF#の音を演奏する。そして、そのF#は右端のタイム・ブラケット、8’25” – 8’55”に従って8分25秒から55秒の間に終わらせる。演奏者はストップウォッチを見ながらタイム・ブラケット内でのタイミングを計る。基本的な決まりはこれだけである。タイム・ブラケットの範囲内であれば、その音を長くのばしてもよいし、逆に短めに鳴らして終わることも可能だ。音の強弱や抑揚といった音色にかかわる要素も特定の指示がない限り演奏者に委ねられている。演奏する人数が多ければ多いほど、つまり“Five”よりも“Six”や“Seven”の方が多層的な音の響きを生み出す。その様子をケージが愛したきのこに例えるならば、演奏者が多いほど音の胞子も広範囲に散らばり、絶えず色々な音が鳴り響いている状況が展開される。アパートメント・ハウスのメンバーの人数の都合から、このボックスセットに収録されているのは“Fourteen”が最大人数の楽曲だ。他の『Number Pieces』シリーズの楽曲を見てみると、オーケストラのための“108”(1991)という大きな編成もある。
 タイム・ブラケット自体のルールは単純だが、より多様な音響を引き出すためにケージは演奏指示をいくつか記している。ディスク1の5曲目“Five3”とディスク3の5曲目“Ten”は、通常の調律よりも狭く分割された微分音で演奏するよう指示されている。こうすることで曲全体が十二平均律とは違った響きを生み出す。アパートメント・ハウスの演奏者たちはこの指示にしっかりと応じており、普段のチューニングとは違った響きを聴かせてくれる。
 トランペット、シロフォン×2、ヴァイオリン×2、チューバ、ヴィオラ、チェロ、ファゴット、オーボエ、クラリネット、フルート、トロンボーンの13人の奏者で演奏されるディスク3の5曲目“Thirteen”も特徴的な曲だ。基本的にタイム・ブラケットが指示するのは単音のひきのばし(ピアノ等の鍵盤楽器の場合は和音も含まれる)だが、“Thirteen”ではタイム・ブラケットのひとつのシステムに複数の音符が記されている(Illustration 4参照)。このような箇所では記された全ての音を順番に演奏しなければならず、音が1つの音から次の音へと移っていく。静止した印象を与える他の曲と違い、“Thirteen”には音の動きやゆらぎをはっきりと感じ取ることができる。
 タイム・ブラケットをはじめとして、単純な仕組みやルールが柔軟に作用して思いがけず豊かな音の響きや効果を生み出すケージの晩年の記譜法は「耐震構造(earthquake proof)」に喩えられている。『Number Pieces』の場合、タイム・ブラケットが強固な基盤や土台として機能し、その内部で可変的な音の世界が繰り広げられる。
 『Number Piece』シリーズでケージは「アナーキーなハーモニー」という概念を打ち出し、実践した。西洋音楽におけるハーモニー(和声)は、調性システムの上に成り立ち、それぞれのコード(和音)が特定の役割や機能を持つと考える。トニック(主和音)とドミナント(属和音)という名称からわかるように、機能和声といわれる和声体系のなかでは、和音と和音との関係は階層関係や主従関係にある。このような関係性のなかで和音を配置してひとつの流れを作ることを和声法という。ケージはこの慣習的な和声の考え方に対して若い頃から反発していた。まだ20代だった彼に和声法を教えていたアルノルト・シェーンベルクは、ケージには和声の感覚がなく、このまま彼が作曲を続ければ、やがて大きな壁に直面するだろうと指摘した。これを受けてケージは壁に頭を打ち付けた。この有名なエピソードは伝統的な和声、さらにいえば伝統的な音楽の慣習や規則に対するケージの態度を象徴している。以来、長きにわたってケージの音楽に和声の要素は希薄だったが、晩年にさしかかった彼は独自の和声概念「アナーキーなハーモニー(anarchic harmony)」にたどり着く。
 「アナーキーなハーモニー」の「アナーキー」は辞書通りに、中心や階層関係のない無政府状態や無秩序を意味する。「ハーモニー」は音楽用語としての和声や音の響きと、事物が混ざり合って調和した状態のふたつの意味を持つ。『Number Pieces』のそれぞれの曲がタイム・ブラケットの範囲の中で様々な音を奏でる。高い音、低い音、金管楽器の音、打楽器の音、短い音、長い音、微かな音、力強い音など、様々な音がタイム・ブラケットという共通の場に集う。そこには機能和声に見られる階層構造も主従関係もなく、ただ音が鳴り響く。このような音の重なり合いをケージは「アナーキーなハーモニー」と呼んだ。アナーキーなハーモニーが提示するのは音楽に限ったことではなく、ケージは理想的な社会のあり方をこのハーモニーを介して追求しようとした。1988年に行われた講演で、ケージは音楽の演奏が望ましい社会の姿を描く可能性について語っている。

 音楽が他の芸術と違うのは、音楽がしばしば他者を必要とすることだ。音楽の演奏は公共や社会的な場である。したがって、なんらかの曲を演奏することは社会のメタファーになりうるし、私たちが望む社会の姿を演奏に反映させることもできる。現在、私たちはよい世界に生きているとは言えないが、私たちが生きたいと願っている世界を投影した曲を作ることができるだろう。これは文字通りの意味ではなくて喩え話だ。楽曲を、あなたたちが生きてみたい社会の表象と見なすことだってできるはずだ。
(John Cage, I-VI, Cambridge: Harvard University Press, 1990, pp. 177-178.)

 音楽を公共的な芸術と考えていたケージにとって、誰かと誰かが共に音を奏でる行為は社会的な行為に他ならない。指揮者とオーケストラとの関係のように、慣習的なクラシック音楽の制度も社会のあり方を反映しているが、ケージが目指したのは中心点のないアナーキーな社会だった。『Number Pieces』では、演奏者はタイム・ブラケットの基本的なルールを守っていれば、音を鳴らすタイミングや音の長さを自分で決めることができる。もちろん、他の演奏者と無理に足並みを揃える必要もない。誰かと音のタイミングを合わせたい場合は、隣の人とアイコンタクトを取ることができる。社会には単独行動が好きな人もいれば、誰かと一緒に行動したい人もいる。アナーキーな社会ではどちらも受け入れられる。自分と違った考えや方法を排除せず、異質な要素の混ざり合いがすばらしい効果を生むことを期待する。曲が演奏されているほんの束の間かもしれないが、アナーキーなハーモニーによって、私たちはケージが目指した社会の姿を疑似体験しているのである。このように考えながら再び演奏を聴いてみると、次々と現れては消えていく数々の音がとても興味深い現象として聴こえてくる。
 プロデューサーのサイモン・レイネルは、アパートメント・ハウスのメンバーと編成や演奏方法などを協議しながら録音を進めていったとライナーノーツに書いている。このボックセットはCovid-19による様々な制限のさなか、2020年8月から2021年5月の間に録音が行われた。演奏者たちが顔を合わせることができず、やむをえず別々に録音し、ミックスの過程でそれぞれの演奏を一体化させた曲も数曲含まれている(それがどの曲なのか明かされていないが)。この類の音楽は、曲の特性や演奏技術だけでなく、その音楽が提示する問題意識を演奏者と聴き手がどれほど共有できるかも大事だ。アパートメント・ハウスが聴かせる音の響きに私たちは何を聴き取り、想像するだろうか。

audiot909 feat. あっこゴリラ - ele-king

 かねてより、南アフリカでは様々なダンス・ミュージックのフォーマットが生まれてきたが、その系譜に連なる最新型がアマピアノ。それはハウスでありながら4つ打ちではない。同じ南アのクワイトやバカルディを援用しつつ、BPM110前後のスロー・テンポ、ムーディーなメロディ、なにより独特なログドラムと呼ばれるベースを構成要素とする。

 いま、アマピアノは発信地である南アフリカのみならず、ナイジェリア、UK、そして日本とその音を世界中に拡散させている。

 すでにUKでは、アマピアノがFunkyamaなるタームとして独自に進化。これはアマピアノよりもBPMが速くUK産のダンス・ミュージックとも共振した音を有する。Funkyamaについては元海賊ラジオのRinse FMもその熱気を伝えているし、UKのスクラッチャDVAは同じ南アのゴム(Gqom)を取り入れたことでよく知られるが、最近ではアマピアノへの視線も送っている。彼はすでにBBC Radio1やRA Podcastに出演し、『The Wire』の表紙も飾った。

 こと日本では、〈TYO GQOM〉クルーがアマピアノのパーティをオーガナイズ。また、2021年には南アのアマピアノ・プロデューサーであるテノ・アフリカの来日が実現している。そして、かねてよりアマピアノの普及に挑戦しているaudiot909(オーディオットナインオーナイン)が、このたびラッパーのあっこゴリラを招聘した「RAT-TAT-TAT」をリリースする。アマピアノに初めて日本語が乗った、ジャパニーズ・アマピアノの3曲入りシングルだ。ぜひチェックを。

2月28日(月)0時より各種サブスクリプションサービスより配信開始

「RAT-TAT-TAT」
Tracks:audiot909
Lyrics:あっこゴリラ
Mixing:Track1,3 - So Kobayashi &audiot909
Track2 - audiot909
Mastering:So Kobayashi
Artwork:Hiro "BINGO" Watanabe
Label:audiot909

配信URL
hhttps://linkco.re/EyU6NCfu

talking about Black Country, New Road - ele-king

 昨年話題になったブラック・ミディも、そしてブラック・カントリー、ニュー・ロード(以下、BC,NR)も、望まれて出てきたバンドというよりも、自分たちから勝手に出てきてしまったバンドだ。いったいどうして現代のUKの若い世代からこんなバンドが出てきたのかは、正直なところ、いまだによくわかっていないけれど、とにかく突然変異が起きたと。で、そのひとつ、BC,NRという7人編成のバンドのセカンド・アルバム『Ants From Up There』について語ろう。なぜなら、これをひとことで言えば、圧倒的なアンサンブルを有した感動的なアルバムで、アイザック・ウッドの歌詞は注目に値するからだ。

野田:今日はディストピアで暮らしている木津君相手だし、ビールを飲みながら話すよ。で、ブラック・カントリー、ニュー・ロード(以下、BC,NR)なんだけど、年末の紙エレキングで取材するってことで、昨年の10月に『Ants From Up There』の音は聴かせてもらっていたのね。あの号では、俺は絶対にロレイン・ジェイムズに取材したいって思っていたから、BC,NRの音をすぐ聴いたわけじゃなかったんだけど、しばらくして聴いたらびっくりしたというか、すごく好きになってしまって。ビートインクの担当者の白川さんに「自分が取材したかった」って、10月19日にメールしたくらいだよ。

木津:そうなんですか(笑)? ただ、あのタイミングで新譜が出るっていうのもまだわかっていなかったので。けっこうサプライズでしたよね。去年にアルバムが出たばかりでまだ短い期間しか経ってなかったので。しかも音楽性はけっこう変わっていたのもおおきかった。そもそも、野田さんはいまのUKからアイルランドのバンド・ブームに盛り上がってる印象なんですが、去年のBC,NRのファースト・アルバム『For The First Time』についてはどういう印象をお持ちですか?

野田:えーと、まずその「バンド・ブームに盛り上がってる」って話だけど、UKのインディ・シーンを追っているわけじゃないし、シーン自体はずっとあったわけで。それが、ここ数年で突出したバンドが出てきて、シーンが脚光を浴びていると。ただ、実際にシーンとしてどこまで盛り上がっているのか、俺にはわからない。UKの音楽業界はこの手のトレンドを作るのに長けているし。それに、サウスロンドンっていう括りとかさ、ある意味どうでもいいって言えばいい。
 ちょっと話が逸れるけど、昨年末に〈ラフトレード〉のジェフ・トラヴィスのインタヴューを載せたけど、彼はすごく重要なことを言ったよね。いまの南ロンドンには若い黒人たちがやっているジャズのシーンもあるんだって。俺なりに意訳すれば、南ロンドンは白い音楽だけがすべてじゃないぞってことだよね。その街にはジャズもあれば、ハウスもあるし、ダブステップだって、ラップだってあるだろう。UKドリルの初期型だってここから生まれてる。こう見えても俺は、90年代に雑誌をはじめたときからページをめくって白人と日本人ばかりにならないことをずっと心がけてきているんだよ。まずはそれを踏まえたうえで、今日はインディ・ロックについて話しましょう。
 で、BC,NRなんだけど、最初に言ったように、昨年末とにかく新譜を聴いて感動してさ、編集部の小林君にも「こりゃ、すげーアルバムだぞ」って言ったり、白川さんにも「こんな良いバンドだとは気がつかなかった。ちゃんと聴いていなかった自分を反省してます」ってメールしてるんだけど、あらためてファーストを聴いて、ファーストがどうこうっていうより、わずか1年かそこらでここまで進化したんだってことに驚いたかな。

木津:ふうん。

野田:バンドというものが生き物であって、わずかな時間でも進化しうるんだっていう。フィッシュマンズが『ORANGE』から『空中キャンプ』へと、あるいはプライマル・スクリームが『Screamadelica』へと変化したように。バンドって、たまにすごい速さで、リスナーが追いつけないような速さで進化することがあるよね。BC,NRは完全にそうで、ファーストからこれはちょっと想像できないよ。

木津:ファーストはまだ参照元がわかりやすく見える感じでしたよね。いわゆるポスト・ハードコアといわれるもの、マス・ロック的なものであったり。あとはユダヤの伝統音楽であるクレズマーとか。それが、アンサンブルの構成が完全に緻密かつ複雑になりましたよね。その辺りはかなり変わったところだと思います。

野田:冒頭がまずスティーヴ・ライヒだし(笑)。ライヒの“Different Train”みたいだ。勘違いしないで欲しいんだけど、ライヒを引用すれば良いってもんじゃないよ。ただ、ロックというスタイルはいろんなものをミックスできる排他性のないアートフォームなんだっていうことが重要で、こういう雑食性はすごくUKっぽいと思う。ヴァン・ダー・グラフ・ジェネレーターというプログレッシヴ・ロックのバンドがいて、最初に聴いたときはちょっと似てると思った。ドラマチックな歌い方もピーター・ハミル(VDGGのヴォーカル)っぽい。VDGGはプログレに括られるバンドなんだけど、マーク・E・スミスやジョン・ライドからも好かれたかなり珍しいバンドで(以下、しばしVDGGの話)。BC,NRは、VDGGほど複雑な拍子記号があるわけじゃないけどね。でも、管弦楽器を効果的に使ったアンサンブルには近いものがあるし、曲のなかに物語性があって、メリハリが効いていて展開も多いじゃない? 俺が普段聴いている音楽はどこから聴いてもいいような、反復性が高いものばかりなんで、BC,NRみたいなのは新鮮だったっていうのもあるのかもね。

木津:なるほど、たしかに展開の多さはポイントですね。僕は素直に初期のアーケイド・ファイアを連想しました。

野田:本人たちも言ってるよね。

木津:そうですね。いちばんいいときのアーケイド・ファイアですよ。シアトリカルになったのはおおきいと思っている。大人数でドラマティックな音のスケールを展開していくという。恐れなくなった感じがするんですよね。ファーストのころはわりとミニマルな反復で展開するのにこだわっていたところ、メロディと展開っていうのを大きく解放したことで、かなりドラマティックになった。そこはすごくいいときのアーケイド・ファイアを思わせますよね。

野田:アーケイド・ファイアよりも複雑じゃない?

木津:そうなんですけど、いい意味でのエモーショナルさというか。楽曲の壮大さが、大人数でやることの意味と直結している。

野田:アレンジが懲りまくってるよね。ときを同じくして、アメリカのビッグ・シーフもすごくいいアルバムを出したけど、木津くんの好みからいったらBC,NRよりもビッグ・シーフじゃない?

木津:まあ、ビッグ・シーフは今回のアルバムがちょっと抜きんでているので。でも、BC,NRも今回のアルバムは前作よりも断然好きです。よりフォーキーになったというか。ファーストも面白いと思いましたけど、いま聴くとちょっとぎこちない感じがあります。今回はフォーキーになったことで、管弦楽器がより生き生きしたと思うんですよ。

野田:アコースティックなテイストが打ち出されているよね。そうした牧歌的な側面と同時に激しい側面もあって、激しさの面でいうと、やっぱアイザック・ウッドの存在だよね。なんて言うか、いまどき珍しい、自意識の葛藤?

木津:そうですね、BC,NRは彼の存在が本当にデカい。

野田:ちゃんとオリジナルの歌詞がブックレットに載っているくらいだから、言葉にも重点を置いているのはたしかだね。

木津:実際、とくに海外のメディアからは歌詞も注目されてるんですよね。だからバンドの重要な部分だったと思うんですけど、残念ながらアイザック・ウッドは脱退を表明しています。だからもう、まったく別のバンドになりますよね。

野田:アイザック・ウッドは、言うなれば、「人生の意味に飢えている」タイプだよね。

木津:メンタル・ヘルスの問題でもありますよ。BC,NRは彼の自意識や懊悩を大人数のアンサンブル――それを僕はつい「仲間」って言いたくなるんですけど――が受け止めて、見守っている感じが僕は好きなので。だから、そのバランスがどう変わっていくのかちょっと想像できない。

野田:でもやっぱ、言葉が上手い人だと思う。たとえば「ビリー・アイリッシュ風の女の子がベルリンに行く」という言葉が何回か出てくる。東京で暮らす若者ではない俺にはなかなか感情移入できないフレーズなんだけれど、でもこれって象徴的な意味にも解釈できるよね。ビリー・アイリッシュもベルリンもイングランドではないっていう。自意識だけの問題でもなく、彼を取り巻く状況への苛立ちも確実にあるよね。1曲目の“Chaos Space Marine”という、個人的にいちばん好きな曲なんだけど、そこに出てくる「間違っていたすべてのことを考える(I think of all that went wrong)」ってフレーズも、印象的な言葉だよ。俺の年齢でそれをやったら洒落にならないんだけど、これはおそらくこの曲の最初のフレーズにかかっているんだろうね。「イングランドが僕のものであっても、僕はそれをすべて捨てなければならない(And though England is mine/I must leave it all behind)」。まったく素晴らしい言葉だな。

木津:うんうん。

野田:去年評価されたドライ・クリーニングの、淡白さをもって社会を冷淡に風刺するというアプローチとは対極にあるんじゃない?

木津:ドライ・クリーニングとBC,NRってすごく対極的なバンドである一方で、どっちもいまの時代をすごく見つめようとしてるなと。ドライ・クリーニングの象徴的な言葉で、「全部やるけど、何も感じない」って出てくるじゃないですか。現代って体験やモノがあふれている。ドライ・クリーニングはそれに対して何も感じないと言うけど、BC,NRむしろ感じすぎている。現代のあらゆる事象に振り回されていて、とくにファーストはそれがすごく出ていた。固有名詞の出方が尋常じゃないですよね。

野田:ああ、そうだね。それとBC,NRには、アルチュール・ランボーとかゲーテの『若きウェルテの悩み』とか、若者の特権とも言える内面の激しさっていうか、そっちの感じもあるよね。たとえば“Good Will Hunting”って曲の歌詞では、「もしも僕らが燃える宇宙船に乗っていたら、脱出船には友だちとの幼少期のフィルム写真があって、自分はそこにいるべきではない」ってあるんだよね。聴いていて、「いや、君もその脱出船に乗ってくれよ」って思うよ。

木津:たしかに……。ただ、ファースト・アルバムですごく象徴的なのは、「自分の好きなものを選び取る重荷」って表現だと思うんですね。過去があふれすぎているストリーミング時代、ひいてはインターネット時代の話で、あらゆるものがあふれかえって、しかもそれがスーパー・フラットになってることの息苦しさ。アイザック・ウッドからはそこをかなり表現していると感じます。そんな状況へのアンビヴァレントな混乱が痛々しくもあり、生々しくもあり。だから「ここから脱出できない」感じはわかる。
 野田さんはUKの音楽に関して雑食性という言葉をよく使っていて、それが良さなんだと言ってますよね。僕もその通りだと思いますが、一方で現代において雑食性というのは難しいとも思ってます。いまはストリーミング時代になり、みんなが過去のあらゆる音楽にアクセスできるようになると文脈が剥ぎ取られてしまって、いわゆるメインストリームでもジャンル・ミックスが当たりまえなトレンドがずっと続いている。そのなかでオルタナティヴな雑食性を表現するのってすごく難しいと思うんです。野田さんは、そういう意味でブラック・ミディやBC,NRの雑食性の面白さってどの辺にあると思いますか?

野田:UKの雑食性の面白さは、いろんなものに開かれてるってことだよ。それはもう、UKの音楽のずっと優れているところだと思う。俺がエレクトロニック・ミュージックが好きなのは、そこも大きい。ベース・ミュージックがそうだけど、たとえばUKゴムみたいなのは、いまの流行かもしれないけど、この音楽にはまだ更新の余地があるってことでもあって。ロックは歴史がある分、すでにいろんなことをやってきているから難しいよね。たとえばアート・ロックっていうか、60年代末から1970年前半のプログレ期のUKのロック・バンドは旧来のロックの語法に囚われず、ジャズやクラシックや実験音楽やエレクトロニクスなど、ロック以外のいろんなものを取り込んでいってその表現を拡張していったわけだよね。雑食性っていうか……、折衷主義って言ったほうが正確かもしれないね。ただ、こうしたプログレ的な折衷主義って、ポスト・パンクのそれがダブやレゲエやジャズだったりするのとは違って、ともすれば装飾的で、西洋主義的で、ファンタジー・ロックっていうか、たとえばスリーフォード・モッズが生きている現実からはまったく乖離してしまうんだけど、BC,NRはそうじゃない。サウンドだって削ぎ落とされてもいる。BC,NRで感心するのは、バンドが7人編成と大所帯なんだけど、音数がすごく整理されているっていうか、ちゃんと抑制されているところ。ブラック・ミディなんかあれだけ情報量と戯れながら、ものすごい躍動感があるでしょ。踊れる感じがあるよね。あ、でもBC,NRにあんまそういうのは感じないかな。ダンス・ミュージックからは遠いな(笑)。

木津:いや、でも彼らには舞踏音楽のクレズマーの要素があるじゃないですか。いわゆるロックとは別の文脈でのダンスを志している感じがあって、僕がストリーミングで観たライヴは、曲によってはけっこう身体を動かしたくなる感じもありましたよ。

野田:そうだね、クラブ音楽だけがダンスじゃないからね。話を戻すと、ブラック・ミディやBC,NRなんかがやろうとしていることは、折衷主義における参照性の幅を極限まで引き伸ばそうっていうことなんじゃないのかな。それはそれでアリだと思うよ。でもさ、ストリーミング時代でいろんな音楽にアクセスできることは、音楽ライターにも言えるよね。俺らが若い頃は、たとえばクラウトロックなんかを聴くには、何年もかけて毎週毎週レコード店に通っていなければ無理だったけど、いまはなんの苦労もなく聴けて。ブラジル音楽にしてもフリー・ジャズにしても。

木津:いや、本当にそうですよ。で、僕はそのことに罪悪感もあるんですよ。過去への敬意がなくなっていくんじゃないかって。それで言うと、このまえ、BC,NRは限定でカヴァーEPを出したんです。A面がアバでB面がMGMTとアデルのカヴァーです。僕はその脈絡のなさにためらってしまいました。

野田:いや、アバはいま来てるからな。本当に好きなんじゃない? でもさ、もうしょうがないでしょ。もうそうなってしまってるんだから。こういう環境が前提で生まれていくものだし、そこからはじまる何かだってあるってことに期待しようよ。

木津:うんうん。ただ、それは彼らなりの現代への批評的な態度なんじゃないかとも思う。ジャケットはCD-Rを持ってる写真なんですけど、それってつまり音楽が「コピー」されることへの皮肉でもありますよね。つまりBC,NRに関して言えば、純粋に全部良いって言うよりも、スーパー・フラットになっている状況がいいのか? という問題意識も若干あるような気がします。とくにアイザック・ウッドはそのことを考えてたと思う。

野田:だいたいアイザック・ウッドはこのあと何をやるんだろう、それはそれで興味をそそられるし。

木津:本当にそうですよね。

野田:BC,NRに文句があるとしたら、バックの演奏があまりにもうますぎるってことだね(笑)。ポスト・パンクってアマチュアリズムだからこれをポスト・パンクと言わないでほしい!

木津:わはは。まあブラック・ミディもBC,NRも、さすがにもうポスト・パンクとは誰も呼べないでしょう。ブラック・ミディもメンバーにメンタル・ヘルスの問題があって休んだりしているので、そういう感じはいまのバンドは変わってるのかなって思います。昔のバンドは追い込まれても無理やり繕ったりしていたけど。アイザック・ウッドも休んで苦しみとはまた違う表現が出てくる可能性はあるので、それは楽しみですね。

野田:アイザック・ウッドってインタヴューではどういう人なの?

木津:基本的には真面目な若者だと思うんですけど、僕が読んだものではちょっと無軌道なところもあったかもしれない。質問の意図をちょっとずらすような答えかたをしたり、そういう感じはありましたね。いずれにせよ、ファーストとセカンドがBC,NRにとって重要なアルバムになると思います。アイザック・ウッドが抜けたら、エモーションがちょっと暴走している感じはもう出てこないのかなと。これからバンドがどう変わろうとも。

野田:ヴォーカリストいれるのかな?

木津:どうなんでしょうねえ。ツアーはキャンセルになっちゃったみたいなんで、まだ方針が固まっていないのかも。あと彼らはファーストのころから、歌詞の内容や思想などをバンド内ではそれほどシェアしないと言ってました。

野田:だからコミュニティ(共同体)っていうんじゃなく個人の集まりなんだよ。それで良いと思うし、俺はBC,NRのバンドの普段着な感じも好感が持てた。いまから20年ぐらい前にもUKではインディ・ロック・ブームがあったんだけど、あのときはまだ古典的なロックンローラーを反復している感があった。そこへいくとZ世代のバンドは古典的なロックンロール気質から100万光年離れてる。それにちょっと泥臭いところもあるよね?

木津:ファーストのときにね、野田さんがブルース・スプリングスティーンの引用があると教えてくれたんですよね。

野田:そうそう、「だから木津君は気にいるんじゃない?」って。すごく適当だな(笑)。

木津:(笑)でも、そこは面白いポイントだなと。というのも、あまりにも固有名詞がランダムに出てくるし、サウンド的にも雑食的と言いつつランダム性もあるから、ちょっとナンセンスなものなのかなとも僕は思ってたんです。でもそこでブルース・スプリングスティーンの”Born to Run”を引用するのは、ある種の泥臭さのあらわれですよね。そこを発見してから、僕はBC,NRが好きになりましよ。我ながらチョロいですけど(笑)。

野田:それから俺はね、アルバムで時折見せる牧歌的な感じも好きだよ(笑)。ビッグ・シーフだって、俺あのジャケット好きだもん。動物たちが焚き火しているイラストの、ほのぼのしているやつ。それに対してBC,NRはさ、これは日本語タイトルをつけてほしかったけど、「Ants From Up There」って。『上空からのアリたち』だよ。ちょっとニヒルじゃない?

木津:たしかに。“Concorde”という曲名なんかも象徴的な言葉ですよね。昔、めちゃくちゃな速さを求めて開発されて、でも結局ものすごい費用がかかってうまくいかずに終わってしまった飛行機ですから。それもある種、もう未来が良くならないとわかっている世代の気持ちかなとは思ったりしましたね。前の世代が残した負債をどう処理していくかっていう……。

野田:未来が良くならない可能性が高いのは日本だよ。イギリスのZ世代はもっと希望を持ってるんじゃない? 絶望したり苦痛を感じるのは希望を持っているからだと思うよ。だってBC,NRの『Ants From Up There』は、素晴らしくアップリフティングなアルバムじゃないですか。

木津:そうですね。とくにアルバムの終わりのカタルシスはすごい。ラストの“Basketball Shoes”って昔からバンドの持ち曲でどんどん内容が変わっていったものなんですよ。だから、バンドにとっても思い入れのある曲だと思うんですけど、そのエモーションの爆発で第1期のBC,NRは終わったわけで……。ある特別な瞬間を共有できたことの喜びがある。だからそういう意味でも僕にとってBC,NRはすごくロマンティックなバンドで、そこにはたしかに、暗い未来にも立ち向かっていくエネルギーを感じますよ。

Godspeed You! Black Emperor - ele-king

 幻の作品とされてきたゴッドスピード・ユー!ブラックエンペラーが1993年に録音したカセットテープ作品『all lights fucked on the hairy amp drooling』、すなわち彼らのもっとも初期の録音物が先日インターネット上に流出したことを受けて、バンドはbandcampにて正式にリリースすることにした。
 なお、この売り上げはCanadians for Justice and Peace in the Middle Eastという慈善団体を通じて、ガザ地区への医療用酸素提供のために寄付される。
 

石橋英子 - ele-king

 素晴らしい音楽や映画、あるいは書物というのは、思いも寄らなかったところに入り込み、硬直した視野を押し広げてくれるものだ。石橋英子の『The Dream My Bones Dream』には、いち個人が日本史の靄のかかった奥に潜り込んでいくという点において、村上春樹の『ねじまき島クロニクル』を彷彿させるところがあった。だからといって、彼女が濱口竜介監督の、傑出したこの映画のサウンドトラックを引き受けることになったわけではないだろう。ようやく時間が持てたので、ぼくは『ドライブ・マイ・カー』を観た。そして3時間後には、しばらく席から立てないほど打ちのめされた。エンドロールでかかる石橋英子の曲は、車がギアチェンジしたことさえわからない滑らさをもって、しかし映画の深い余韻をしっかりと引き受けている。
 
 石橋英子は、このサウンドトラックを2曲に集約させている。表題曲“Drive My Car”、映画においてもっとも印象的なチェーホフからの引用を曲名とした“We'll Live Through The Long, Long Days, And Through The Long Nights(長い長い日々を、長い夜を生き抜きましょう)”。アルバムには、この2曲をもとにした合計10ヴァージョンが収録されている(*)。とはいえ、10曲といっても差し支えないくらいに、個々それぞれ違っている10作品でもあるのだが、日々ひっきりなしに往復する車と同じように、それぞれの楽曲にもアルバム全体にも反復性がある。また、劇中でかかっている多くは、おそらく楽曲の断片で(まだ一度しか観ていないので、正確なところはわからない)、石橋英子のサウンドトラックは映画の音をそのまま再現しているわけではなく、それらをもとにひとつの独立したアルバム作品として再構成しているようだ。
 映画は静かにゆっくりと、一見なんの変哲もない日常のなかで、登場人物たちそれぞれが個々の悲しみを打ち明けていく。自分に何が起こっているのか理解することそのものが困難な、いつ日常がひっくり返っても不思議ではない不安定な(村上ワールドでたびたび描かれている)日々において、安定しているのは登場人物みさきの運転ぐらいなものとなっている。変わりない時間軸といっしょに、残酷なまでに変わっていく時間軸が併走し、ドライブする車がいつの間にか車線変更するように映画はそのどちらかを走っている。こうした微妙なニュアンス、さりげない場面の意味的な移り変わりを、石橋英子(そしてジム・オルークと山本達久をはじめとする演奏者たち)は、ゆったりとスウィングするリズムとさまざまな表情の小さなメロディ、効果的なサウンドコラージュと起伏に富んだストリングス、そして電子音による音数少ないテクスチュアによってじつに巧妙に表現したと思う。主人公の家福が演劇の稽古で、役者たちに台詞を(下手に感情を込めずに)棒読みにするよう徹底させるシーンがある。感情は自分が勝手に与えるものではなく、言葉のほうから与えられるものだということなのだろうけれど、この音楽も似ている。情緒を押しつけるのではなく、それは聴き手のうちなるところから生まれるべきだと、それが主張を控えたこの音楽の主張だろう。
 
 石橋英子は特定のジャンル作家ではない。いろんなスタイルでたくさんの音楽を作っている。先鋭的な実験音楽から親しみやすいポップス、ジャズからアンビエントまで。そうした彼女の多彩なところも、本作ではうまくまとまっているんじゃないだろうか。優雅で美しいピアノが旋回する“Drive My Car”の(Misaki)、サウンドコラージュとサティ風のピアノによる同曲の(Cassette)。山本達久の趣あるドラムと茫洋とした電子ドローンをフィーチャーする“We'll Live Through 〜”の(SAAB 900)ヴァージョンは、実験音楽家としての石橋英子の面目躍如で、さらにドローンに徹した(Oto)ヴァージョンの寂しげな静寂もぼくには面白いし、ミニマルな“Drive My Car”の(The Truth, No Matter What It Is, Isn't That Frightening/真実はそれがどんなものであれ、それほど恐ろしいものではない)などはクラスター&イーノによるプロト・アンビエントを彷彿させる。
 こうした抽象的な楽曲があるいっぽうで、小気味よいリズムとメロディを主体とした“Drive My Car”の(The Important Thing Is To Work/大切なのは仕事をすること)、そしてストリングスの音色を活かした“We'll Live Through 〜”のオリジナル・ヴァージョンは、ギリギリのところである種ロマンティックな雰囲気を引き起こしている。曲の後方でジム・オルークのギターがざわついている“We'll Live Through 〜”の(And When Our Last Hour Comes We'll Go Quietly/そしていつかその時が来たら、おとなしく死んでいきましょう)は、アルバムのクローザーに相応しい。昼も夜も休まることなく、クライマックスに向けて走り抜けていくようだ。が、しかし走っても走っても、カフカの『城』のように終着点はない。いや、ここはサミュエル・ベケットの『ゴドーを待ちながら』のように、と書くべきか。
 
 本作は、2021年の夏に出たアルバムだが、ぼくが聴いたのはわりと最近で、レヴューを書くために映画を観に行こうと思い、ようやくそれが叶ったことでいまこうして書いている。映画を観た人と観ていない人では、このサウンドトラックの受け止め方が違うのは当たり前だ。これは観た人の感想文であって、観ていない人がこの音楽をどう聴くのかはわからない。ぼくはこのアルバムが気に入っているし、ここ最近は、ぼくが移動するときのサウンドトラックにもなっている。まあ、ぼくはもっぱら歩く人ですけど。
 
 
(*)つい先日発売されたCD版にはボーナストラックとして新たに2曲が追加されている。1曲は“Drive My Car”の(Hiroshima)、もう1曲は“We'll Live Through 〜”の(different ways)。前者はミニマルなピアノ演奏による曲で、後者は『ミュージック・フォー・エアポーツ』寄りの、複数の電子ドローンがそれぞれ循環する美しいアンビエント・ミュージックになっている。

WDsounds発、2021年いろんなベスト - ele-king

 どの年もどの日も特別な時間であると思う。コロナ禍が続くなかでもそれが変わらないことを私たちは知っている。2021年を振り返りそのTHE BESTを自らの言葉で綴ることはその時間を少しだけ自分のものにしてくれると思う。そんな「THE BEST 2021」。

・RIVERSIDE READING CLUB

* 保坂和志『残響』
 去年いちばん繰り返し読んだ一冊。これは世界を小説にしか出来ないやり方で描いた作品だ。という考えに2回目の途中くらいでたどり着いたのだけど、その後に読んだ作者の“創作ノート”には全然そんなことは書かれていなくて、ぶちあがると同時に、別の文脈で書かれていた「だって、世界ってそういうものだからだ」という一文に完全に納得した。そこまで含めて、Best読書2021。 ( ikm )

* CHIYORI × YAMAAN “MYSTIC HIGH”
 2021年。前年に続きとにかく大変な1年だったけれど、どんな状況下でも『パーティー』はそこにあり続けた。決して楽な環境ではなかった中で「それを今やる意味」。その意味は各々で消化され、細胞となり、それはどんなウィルスにも侵食することはできない精神の強力な抗体となった。
 そして、個人的にはそれを象徴するかのような曲が「Mystic High」収録の「I'm So High」。第五波で緊急事態宣言真っ只中の夏、BUSHBASHで行った自主企画でCHIYORIが「新曲です!」と言ってYAMAANとの共作を披露したときからすでにアンセムだった。透明感のあるボーカル、柔らかな上音に浮かび上がるハットの軽快さ、さまざまな音の重なりがゆらゆらと波が起こし体全体を包んでいくような感覚。あぁ、ここはもうすでに水の中なのかもしれない。母のお腹で眠る赤ちゃんはこんなあたたかくてきもちいいのだろうか。重力から解放されてふわふわと永遠に踊っていられるような、そんな感じだった。
そして、パーティー明けに惨劇の森から大絶賛され、瞬速でBushmindはremixを製作。心地よいゆるやかな波はremixによって化け物のような大波に進化した。どちらも良さがありまくる。それからremixがパーティーで流れようになると、どこの場所でもその日一番の盛り上がりとなり、キラキラと魔法がかかったように輝き出した。フロアは一瞬で波に飲み込まれ、引き込まれていく感覚にゾワゾワと鳥肌が立つ。このような感覚は今まで味わったことがなく、やはりこの曲こそ2021年の私が体験したダンスフロアの象徴に他ならなかった。
※一曲についてしか書けませんでしたが「Mystic High」は全編を通して衝撃的に素晴らしいアルバムです ( Mau Sniggler )

* rowbai “Dukkha”
 HYDRO BRAIN MC’s加入以降、ほんの幾つかのバースとほんの数回のライブで一躍チームのエース格に躍り出た我らがKuroyagiによる客演が圧倒的に素晴らしい。
 取り分け事態を本邦だけに限定するとたかだかスキルの話にしても、ほとんどのラッパーが彼のちょっとしたおふざけにすら足元にも及ばない状況の中、本作で繰り広げられるゴン攻めに至り、俺も含めてここに展開されたラップアートを正確に理解できている人が果たしてどれだけいるのか? 取り分け2曲目の「Gōma」に於ける今更初期のLil Yachty的バブルガム感を引用しつつ、その背後に1977年のSuicideの幻影さえもがチラつく白昼の落雷のようなすっとぼけた覚醒感で"ぶっ殺死!!"(© 冨樫義博先生)をパフォームする、このコロナ禍のディストピアにこそ相応しい破格のエンターテイメントにとりあえず一回全員蹴散らされたらいい。また、本作のオーナーrowbaiが自身で手がける、透過性と不透過性とその裂け目を縫うようにして這い進むヒビ割れた磨りガラスのようなbeatとあくまで静謐なボキャブラリーの中に"激痛"("激情"ではなく)を宿したwordは、"ポスト〇〇"的なタームでは解析しきれない明らかなる切断面を開陳し、現在、SSWという言葉が置かれた位置座標を立体的に浮かび上がらせている。同二人のコンビネーションによる前作、rowbai & Kuroyagi / "nothing"と併せて普通に必聴。
 まるで逆境を跳ね返すかのように友人たちが傑作を量産した2021年の中でもBESTの一つ。この作品の所為で暫く他のが聴けなくなって超迷惑でした! ( Phonehead )

・.daydreamnation.( iiirecordings )

1. SPECTRE “THE LAST SHALL BE FIRST (CD)”
 SPECTREをBGMに自分が好きなことをする。有限の時間の中で聴く音楽、最高のものをききたい。2021年この音楽に乗りながら色々なことをやりました。ヒップホップでありながら完全にそれを超えていて、説明不可能な領域まで振り切ったビートにしびれました。WORDSOUNDはミュータント。ミックスがSCOTTY HARDさん、マスタリングはTURTLE TONE STUDIO NYC.で音最高。ぜひCDで。 DJKATAWAからの贈物。ZOZNT PROBLEMDUBBERS CLASSIC. ありがとうございます。

2. NECESSARY (Necessary Intergalactic Cooperation) “VOLDSLOKKA (CD)”
 夜に何か作業をする時に聴いていました。NICはバンドサウンドの枠をこえたリズム・演奏・ダブすべてがかっこよくてミックスもキレキレです。SWANS/PRONG/teledubgnosisのTed Parsonsさんのドラムビートがくらいます。大好きなグルーブ感。ミックスはGodflesh/JesuのJustin K. Broadricさん、マスタリングがTURTLE TONE STUDIO NYC.で音質最高です。ぜひCDで。

3. 吉村弘 “PIER & LOFT (VINYL)”
 再生して終わるまでの間に、今までの自分ぜんぶを包み込んで許されたような気持ちになりました。やわらかくて、やさしくて。聴く度にたいせつなことを思い出しています。シンセサイザーのやさしい音と演奏。この作品に出会えてうれしいです。レコードのマスタリングをしたSinkichi君(KOZA BC STREET STUDIO)からの贈物。ありがとうございます。

・HANKYOVAIN

1. J.COLUMBUS feat.ERA “BEST COAT”
本作の最後でPHONEHEADが登場した事は私にとって2021年最大の衝撃であり、目白と守口が確実に繋がっていると実感した特別な出来事となった。
楽曲の素晴らしさについては、リリース時に添えられたikm君の愛を感じる解説文を読んでみてほしい。

2. SATO “トワノアス”
本作の7インチ・レコード化計画に携われたことは私にとって2021年の貴重な経験となった。京都で音楽活動を続けるSATOが「高瀬川」と「永遠の二人」について歌う本作は、瑞々しく輝く普遍性と、それと相反するような愛の儚さや危うさを感じさせる名曲である。

3. HIRANO TAICHI “BLINDING LIGHTS”
今1番アルバムの発表を待ち焦がれているシンガーソングライターの名曲。
この曲を初めて聴いた時、演奏が始まって歌声が入ってきた瞬間に「この人本物や」と感動してすっかり心を打ち抜かれてしまった。

・BUSHBASH

柿沼実(BUSHBASH)

*  MEJIRO ST. BOYZ “BLOWING BUBBLE FOREVER”
 J.COLUMBUS,Phonehead,HANKYOVAINで構成される"MEJIRO ST. BOYZ"が11月にリリースしたBLOWING BUBBLE FOREVER。
この曲によってBUSHBASHの行ってきた事を新しいフェーズに移動させる事ができたと思う。悩みや存在し続ける問題や壁のようなもの、それらがなんでありどう向かっていくかという事。希望や一時的な逃避ではない確実な揺るぎない"現実"が歌われる事で足元を再確認し、抽象的でない"未来"を生み出す一端になる広がり続ける大気の様な、そして果てしない強靭さを兼ね備える音楽。
時代が変わり続けても何処かに射し続ける光みたいに在り続けるCLASSIC。一音目からの音、聴こえるリリック、そして結成の経緯と皆の佇まいや会話、存在。全てがMSBでとてつもなくEMPOWERしてもらってます。LIFETIME BEST。シャボン玉を吹き続けよう。

* RAMZA ”Pure Daaag” AIWABEATZ ”pearl light - Rain”
 BUSHBASHのレーベルからリリースさせて頂いたRAMZA君のMIX CDとAIWABEATZ君の7inch。リリースという行為の中にある一つひとつのやりとり、多くの人の協力などが積み重なってできた素晴らしい作品。
2020年3月からの出来事や交差していく人や物事の中で自然/必然というような流れでスタートできたBUSHBASH LABELは狭くなっていた視野を壊してくれるものでした。その中でもこの2作品はなるべくしてなったというか極自然な流れで形作られていったものであり、どちらもこの時代性を反映しつつも左右されない芯が通った内容で、BUSHBASHとして考える大切な物事を忘れず、地に足をつけるという意志を紡いでくれているような気がしています。
この2作品から生みでたイメージが繋がって今後もリリースしていく予定の最高の作品がありますので楽しみにしていてください。
喉元を過ぎて熱さを忘れた後は熱さを感じる喉元すらなくなると思います。

* 惨劇の森 "緊急事態新年会 + 歳末大感謝無礼講大祭"
 2021年の始まりと暮れに執り行って頂いた2大祭。期せずしてこちらもずっと考え続けた場所としての在り方や考えを体現してもらえた夜。どらちも悪化の一途を辿る世の中の状況の中で行われましたがプリミティブであり美しい、笑顔が絶えない時間で、"音楽"ってものを考えた時に最初に受けた衝撃からこれから朽ち果てるまでの間に何がしたい/できるか、という疑問の答えに身をもって提示してくれたような惨劇の森(DJ Abraxas / Bushmind / Ko Umehara / Phonehead)とACID EXILE、そして集まって頂いた皆さんに敬意を表します。
物凄くシンプルに音楽の最高さ/カッコよさを感じさせてくれて新しい楽しみ方やワクワクする事が増えて行くと共に、惨劇の森による大祭で挟み込まれた2021年という年に感じた希望や手応えは身体に刻み込まれて突き動かしていく。
 2022年も多くの人が集まりそれぞれの尊厳を奪われず、自由な楽しみ方で過ごせる場所と時間を創っていきたいと思います。
 新たな変化と少しずつ明けていく夜の確信として此処に記します。

・DISCIPLINE

* Scowl “How Flowers Grow”(SHV(KLONNS))
* Team Rockit “Bahamut Zero”(LSTNGT )
* Ellen Arkbro ”Sounds while waiting”(Keigo Kurematsu)
* Sozorie “Paper Ruins”(1797071 (Ms.Machine))
* OPERANT “Traumkörper”(Golpe Mortal)
* セーラーかんな子 “Kanna-chan/Hachi-chan”(CVLTSL4VE (#SKI7))
* Sega Bodega “Romeo”(Ray Uninog (#SKI7))
* George Crumb - Music For a Summer Evening :The Advent(TIDEPOOL (IN THE SUN))
* Telematic Visions 2 “watch?v=7QklmysU_o4Ku”(富烈)

 こういう機会を頂いて改めて振り返ってみると、2021年もコロナ禍によって生活の色々を縛られ続けた1年だったけど、そんな中でも各地で新しい物語が絶え間なく紡がれていたと思う。バラバラに散らばっていた点と点が邂逅を果たし、そして同時に永遠に捨て去るべきものが何なのかも分かった。
 Disciplineは根底にHARDCORE PUNKの精神を持ちつつも特定のジャンルや言説に依拠しない(或いは出来ない)個人の集合体。それぞれがそれぞれの視座を持ちつつも、同じMOODと怒りを共有していると思う。メンバーのみんながそれぞれ選んだ曲たちはジャンルも世代も国籍も異なるけど、それぞれの「2021年」を映し出す鏡。大きな潮流としての「時代」ではなく、引き裂かれながらも「今」という切断面まで持続させてきた個人史。全部通して聴いてみると、世界がどんなに酷くなってもまだ少し明日を楽しみに出来る、ような気がする。( tSHV )

・CHIYORI × YAMAAN

YAMAAN

* Hegira Moya audio visual set at Curiosity Shop “Hidden Meadow” 29th May 2021
 5月の明け方5時くらいにライヴ配信されていたHegira Moyaさんの映像作品。
Hegiraさんが旅先や日常の中で撮りためた映像と音を夜明け前の時間帯に配信で見るのは、不思議で印象的な体験でした。

* CHAMO TEU VULGO MALVADÃO “MC Jhenny (Love Funk) feat MC GW, DJ KOSTA22”
 偶然聴いたこの曲をきっかけに現行のバイレファンキにはまりました。
「ンチャチャ」の基本的なリズムを変わった音で置き換えていたり、音数が極限まで少なかったり、斬新な音遊びをしている曲が多くて面白いです。
この曲はどことなくDJ FUNKなどに通ずる感じもします

* Mio Fou ”Mio Fou”
 ムーンライダーズの鈴木博文さんと美尾洋乃さんのアンビエント感あるポップスのユニット。
84年の盤なのですが、昨年の夏頃にとてもはまって繰り返し聴いていました。素晴らしい作品です。

CHIYORI

 2021年は旦那との初アルバム、CHIYORI × YAMAAN「Mystic High」のリリースができました。多くの時間を制作に費やしましたが、その間に起きた熱い思い出やハマったものを選りすぐりました。きっと間接的に制作にも活かされていたと思います。

* ポータブルスピーカーレイヴ
 コロナ禍による時短営業で行くあてが無くなった時用に、ポータブルスピーカーをいつでも持ち歩いておいて、広場、川辺や海岸などでスピーカーを鳴らして友達と踊りまくったり、曲について語り合う、という遊び方にハマりました。スピーカーがボロかったので友人が誕生日に新しいのをプレゼントしてくれたのも嬉しかったな。また暖かくなったら始めよう。

* ドキュメンタリー映画「寛解の連続」ツアー
 スタッフとして東京や関西3館の映画館上映を光永惇監督や主人公の小林勝行、他スタッフや配給さんたちと回りました。皆んな快楽主義な所があるのでノリが合うし、その反面、社会福祉への高い意識や強い想いに、とても影響を受けました。人間味溢れるこの映画と、幅広い文脈でのトークショーや様々な出会いによって、随分心が自由になれたし視野が広がったと思います。その小林勝行の3rdアルバムも2021年マストな衝撃作でした。

* OGGYWEST
 2021年1番ハマったラップグループは、西荻を拠点とし2016年結成後コンスタントに作品を発表し続けているOGGYWEST。
オギーの魅力に気付いてしまった日から、全作品隈なく聴き込みました。クオリティの高い心地良いトラップな上、よく歌詞を聴くと生活感や妄想癖に溢れた絶妙なユーモアセンスがツボ過ぎて中毒になりました。ファンが高じてリリパでDJさせもらえたのはとても光栄でした。粗悪ビーツさんとの新作「永遠」も最高!

・MASS-HOLE

2021年よく聞いたアルバム。

* Benny The Butcher×Harry Fraud “The Plugs I Met 2”

 すごく聞きました。佐井さんのクリアランス話を聞いて、地球が丸いことを知りました。salute WDsounds、P-VINE!!


* All Hail YT×Cedar Law$  “Player Made”
 let me rideのカヴァーから気になってて、cedar君とつながってんだーってびっくりした。
albumはなんていうかラグジュアリーな感じが最高に気持ち良い。誰か全曲翻訳頼みます。dj shoe曰く、次はVICASSOがクルらしい。

* Issugi×Dj shoe “Both Banks”
 82s屈指のhardest mcとgroove mixing masterのalbum。
近くにこういう音楽があるってことは幸せなことだ。これからも曲を作って遊んで行きたい。

2022年はまずbeat tapeを。そして、自分のepを仕込んでます。dirtrainとしてはbomb walker,mac ass tigerの作品とrandy young savageというコンピalbumを出します。あと、松本に店開きます。

・今里 ( STRUGGLE FOR PRIDE / 不死身亭一門 / LPS )

敷居を高くしていないとご飯が食べられない人達のお茶碗を、夜な夜な割っていく作業に従事しています。

1. NAKATANI “HUNGRY&ANGRY ”
どのような状況下でも、人は学べるという事を教わった。

2. LRF “THE ANTI-VAX PUNK SONGS E.P “
LRFは常に、「説得力」という言葉の意味と強さを体現してくれている。

3. “IT LOOKS TO A LIFE FORWRD 12/4 “
修正ペン界の巨匠による名言と、悪意に満ちたセレクトの出演者の紹介写真を用いたフライヤーで知られる、毎年末に行われる好企画。a.k.a. 大阪大忘年会。
みんなが口を揃えて「RIGIDが素晴らしかった」と言っていた。定期的に開催されている “ JUICYちゃん “ と併せて、機会があったら是非、足を運んでみるべきだと思う。

 2021年が始まって間も無く、金山さんに呼んで頂いてSOCORE FACTORY でレコードをかけた。たくさんの英雄達にお会いして、多くの逸話とずっと知りたかった問い(大洞さんWORKSについてや、当時どうやってSTA-PRESTを入試していたのかetc. ) の答えを手に入れて、様々な最高級の音楽を耳にして完璧な時間を過ごした。だから2021はとても良い年。昨年お世話になった皆様、本当にどうもありがとうございました。2022も毎日レゲイの話しようぜ!!

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