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Home >  News > 70年代シティ・ポップ・クロニクル - ──萩原健太が語る日本のポップ・シーンの濃密な5年

70年代シティ・ポップ・クロニクル

70年代シティ・ポップ・クロニクル

──萩原健太が語る日本のポップ・シーンの濃密な5年

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Aug 07,2015 UP

萩原健太
70年代シティ・ポップ・クロニクル

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 70年代のシティ・ポップはなぜ古びないのか……いや、それどころか、ここ2〜3年のあいだ、日本の音楽シーンにおいてもっとも人気のあるジャンルとなっている。それが年を追う毎に輝いているのはなぜか?

 萩原健太の『70年代シティ・ポップ・クロニクル』は、あまたあるシティ・ポップのなかから、まずは永遠のクラシックと呼びうる最重要作の15枚を選び、時代順に並べ、その15枚から派生する作品を挙げて紹介する(関連ディスクを併せると計100枚のアルバムが紹介されている)。
 そして、日本のポップ史上もっとも濃密な5年のあいだにいったい何が起きていたのかを、著者の経験を回想しながら言葉を吟味し、シティ・ポップ・ブームに沸く現代に向けて語る。それは洋楽に多大なる影響を受けながら、しかし、言葉も文化も異なる日本という国でポップ・ミュージックをやることの素晴らしき挑戦の記録でもある。

 たとえば、大瀧詠一というアーティストがいる。最近では彼を語るうえで、その情報量の膨大さや分母論ばかりが先行され、ぶっちゃけ、なんだかすごいんだろうけど、よくわからない、というものが目に付く。
 また、山下達郎を語る上で、「とにかくすごい」ということになっているが、いったい何がどうすごいことをやってきたのかを明解に語っている文章がどこにあるのだろうか。そう、達郎が「パンク」たる所以とは? そもそも、70年代の日本のポップスにおいて、細野晴臣と大瀧詠一が果たした役割とは何なのか? ユーミンの『ミスリム』がなぜ重要なのか……はっぴいえんどのやったことがなぜ日本語ラップにも繫がるのか……
 萩原健太の文章は、そうしたすべての問いに対して明快だ。
 名著『はっぴいえんど伝説』の著者が瑞々しい言葉で綴る「僕とシティ・ポップの70年代」。音楽の価値観が揺れている今日だからこそ、読んでいただきたい。健太さんの文章も良い感じで柔らかく、また心地良いです。

 彼らは〝場〟を共有していた聞き手たちと微妙な目配せを交わしながら、あの時代ならではの誤解や屈折すら味方につけ、少しずつではあったが、マジカルな名盤をひとつ、またひとつと生み出していったのだった。
 ぼくがこれから、つらつらと書き連ねていこうと思っているのは、そんな名盤たちの物語だ。
──萩原健太『70年代シティ・ポップ・クロニクル』
                        まえがきより

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