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Home >  News > 現代思想 - ──青土社の雑誌『現代思想』の最新号「加速主義」特集がおもしろい

現代思想

現代思想

──青土社の雑誌『現代思想』の最新号「加速主義」特集がおもしろい

Jun 10,2019 UP

 先日発売されたばかりの青土社の雑誌『現代思想』の最新号がおもしろい。特集は、近年よく見かけるようになった「加速主義」。目玉はやはり加速主義の重要人物とみなされるイギリスの哲学者=ニック・ランドの主要テクスト「暗黒啓蒙」の邦訳だろう。オルタ右翼の拠りどころになっているなんて話も聞くこの文章がじつのところ何を言っているのか、抄訳とはいえそれが日本語で確認できるようになったことの意義は大きい。ちなみに訳者はマーク・フィッシャーの『わが人生の幽霊たち』を訳してくれた五井健太郎で、ニック・ランドにたいする批判は二重になされなければならないと説く、訳者解題もまた必読である。
 もちろん、他にも興味深いコンテンツが目白押しだ。フィッシャー『資本主義リアリズム』の訳者であるセバスチャン・ブロイと河南瑠莉、『動きすぎてはいけない』『勉強の哲学』などの著作で知られ、最近『アメリカ紀行』を上梓したばかりの哲学者=千葉雅也、紙エレ23号に寄稿してくれた若手随一の知性=仲山ひふみの四者によるスリリングな討議は、加速主義の背景や現状、その問題提起を知る手がかりを与えてくれる(ドラムンベースやレイヴ、ベリアル、ヴェイパーウェイヴの話も登場)。
 あるいは『ダークウェブ・アンダーグラウンド』『ニック・ランドと新反動主義』とこれまた最近立て続けに話題の書を送り出している木澤佐登志や、ウィリアムズ+スルニチェクの「加速派政治宣言」の訳者である水嶋一憲(ネグリ=ハート『〈帝国〉』の訳者としてその名を記憶している読者も多いだろう)によるマーク・フィッシャー論、思弁的実在論のオリジネイターのひとりであるレイ・ブラシエによる加速主義論(訳者は若手美学者の星野太)、ロビン・マッカイ+アルメン・アヴァネシアンによる『加速主義読本』序論の抄訳、さらには『構造素子』で知られ、昨年OPN『Age Of』の日本盤で歌詞対訳の監修を務めたSF小説家の樋口恭介(紙エレ22号にも寄稿)による不思議なテクスト(ぜひ現物を読んでほしい)、『プロトコル』のアレクサンダー・ギャロウェイに近年話題の若手哲学者ユク・ホイにと……ああ、これでは全部紹介することになってしまうではないか!
 というわけで最後にひとつ。加速主義やニック・ランドについてはコード9のインタヴュー(紙エレ17号)で初めて知ったという音楽ファンも多いと思われるが、そんなあなたにおすすめなのは、われらが髙橋勇人による渾身のコード9論「スティーヴ・グッドマン諸作における人類消滅後の全自動ホテルが示すもの」だ。コード9とローレンス・レックによるインスタレイションから加速主義、デトロイト・テクノまでを横断するこのテクストは、音楽やアートと批評や哲学のあいだに新たに橋を架けなおそうとする果敢な試みである。

現代思想2019年6月号
特集=加速主義
資本主義の疾走、未来への〈脱出〉

定価:本体1400円+税
発売日:2019年5月27日
ISBN978-4-7917-1382-0

https://www.seidosha.co.jp/book/index.php?id=3300

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