Home > News > Urvakan - ──アルメニア、ジョージア、ロシア、ウクライナのアーティストが参加した注目のコンピレーション
注目しておきたいコンピがリリースされている。『集合的な回顧録』と題されたそれは、アルメニアの実験的な電子音楽のフェスティヴァル〈Urvakan〉──実現しなかった2020年のラインナップにはシャクルトンやザ・バグ、ソフィーやズリなどの名が並んでいる──によるプロジェクトで、アルメニアのみならずジョージア、ロシア、ウクライナのアーティストが参加。フィールド・レコーディングやサウンド・コラージュを駆使したアンビエント寄りの曲たちが収録されている。
インフォメイションによれば、場所は異なるけれども、どこか似たところのある文化を有する人びとの潜在意識に働きかけ、集合的な記憶を起ちあげる、というのがコンセプトだそうだ。東欧~西アジアの集合的記憶、と言われて思い浮かぶのはやはりソ連だが……フェス名の「urvakan」はアルメニア語で「幽霊、幻影、精霊」を意味することばで、今回のコンピは「憑在論的な」音楽の実践でもあるらしい。
いずれにせよ、現在のウクライナ情勢をかんがみると、同コンピはロシアを含めた東欧~西アジアの実験的な電子音楽家たちによるソリダリティの性格を帯びてもいる(ただしリリース日は戦争開始前日なので、意図的なものではなかったと思われる)。収益の100%はウクライナの人道回廊の組織およびアルツァフ(アゼルバイジャンの一部とみなされているが、居住者の大多数がアルメニア人系の国家ないしは地域)の文化組織に寄付されるとのこと。
Various
A Collective Memoir
Urvakan
https://urvakan.bandcamp.com/
また、同作に参加しているロシア出身ベルリン在住のプロデューサー、ペリラ(Perila)──2021年は〈Smalltown Supersound〉からアルバムをリリース、2020年にはフィラデルフィアのウラ(Ulla)と組んだログとして『LOG ET3RNAL』を残している──は、個人としても新作「ことばでは言いあらわせない(there are no words to describe it)」を発表。すべての収益は、政治犯として囚われた人びとを助けるために闘っている人道組織に寄付されるとのこと。
perila
there are no words to describe it
self-released
https://perilazone.bandcamp.com/album/there-are-no-words-to-describe-it