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Jules Chaz

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三田 格   Sep 24,2010 UP

 コブルストーン・ジャズや最近ではディンキーがリクルートしてきたことでも知られるカナダのテック-ハウス・レーベルが方向転換でも考えているのか、アブストラクト系ヒップホップのデビュー・ミニ・アルバムをリリース。全体に映画的な雰囲気が強く漂うインストゥルメンタル・トラックが(アナログでは10曲ほど)並べられ、30分にも満たないヴォリウムにもかかわらず独特の世界観を印象付ける。どこかファンタスティックで、しかし、基調はあくまでもしっとりとしていて、すぐに消えてしまう夢でも見ているような。

『ツイン・ピークス』から様々な断片を縦横にサンプリングした"ブラック・ロッジ"はオリジナルの妖しいムードを活かしたパートがあるかと思えばトロピカルな要素を上手く取り出したりと、かのTVドラマが持っていた多面性をそのまま曲にも移し替えている。また、上がり過ぎないカリビアン・テイストを練りこんだスレンテン風の"ウィピッツ"やどう説明していいのかわからない"93ミリオン・マイルズ"などユーモアのセンスには非常に優れたものがあり、インド映画か何かをカット・アップしたらしい"セイ・サムシン..."やモンド風の発想ではとくに冴え渡るものがある。見世物小屋的な感性といえばいいのか、予想外のヒップホップ・サウンドが見せてくれる素敵なイリュージョンは聴いても聴いてもどんどん耳からこぼれ落ちていく。

 アナログとダウンロードを併用するというリリース形態が定着してきたからか、これまでCDのキャパシティに引きづられてきたような収録時間のアルバム・リリースは減ってきて、今年の初めに話題になったウォッシュト・アウトもそうだったけれど、パースウィート・グルーヴスやUSガールズなど、自由気ままな長さでアルバムをつくる人が増えてきた(石野卓球の判断もこれらと似たようなものか)。作品にはそれぞれ適正なスケールがあるはずで、それらがマッチしているに越したことはない。短いからといって、それだけでインパクトが落ちてしまうわけでもない。
 
 ちなみに今年はスターキーやオリオールなど従来通りのフル・サイズでつくられたアルバムでも期待外れのものは少なくなく、とくにヒップホップではオンラに思いっきり肩透かしを食らわされてしまったので、どの辺りを注意して見ていればいいのかよくわからなくなって、それがまた楽しいなーという感じもありましたけれど、とりあえず、この人とポール・ホワイト、それからシュロウモはもっと聴きたいかも。

三田 格

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