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Columns

Flashback 2009

Flashback 2009

高橋透、2009年を振り返って!

文:高橋 透 Dec 15,2009 UP

DJはいまや渡り鳥のように全国をまわっている。吟遊詩人のように旅を続ける。まるでフウテンの寅さんのように列車に揺られている。ベテランDJの高橋透が、1年を回想する!

1976年からDJ活動をはじめ、1980年にNYへ移住、1981年に一時帰国、〈椿ハウス〉、〈玉椿〉、〈CLUB-D〉などの80年代を代表する箱のメインDJを務める。1985年にNYへ戻り、DJとして活動する。1989年に帰国。その後も芝浦〈GOLD〉でのレジデントをはじめ、数多くのクラブ、パーティに関わる。現在は宇川直宏、MOODMANと主催するディープ・ハウスパーティ〈GODFATER〉のひとりとして活躍。ミックスCDとして『GODFATHER 10th ANNIVERSARY SPECIAL MIX VOL.1』、また自身の半生を綴った著書『DJバカ一代』がある。

  有名アナログ店舗の相次ぐ閉店にはじまり、日本のクラブ・シーンを長年牽引してきた老舗クラブ〈YELLOW〉のクローズ、音楽専門誌やカルチャー誌の激減など、2008年から2009年にかけてクラブ・シーンを取り巻く環境が大きく変化し「この先この業は大丈夫なのか?」って考えさせられた年初めではありましたが、終わってみれば「さほど心配する必要がなかったのか」って、例年通り数多くのパーティーが各地で開催されていたし、仲間内でのいつも通りのパーティ談義やイヴェントの評判を直接聞いたりネットで見たりね。今年の後半にはメディアもクラブもアナログ店も来年に向けて活発な動きがあることも知り、例の「サイバーノリピー事件」を除いては少しもネガティヴな状況じゃないのかな、っていうのが実感です。

  2009年を振り返ると、個人的には長年行きたかった沖縄を初体験できたことがまず嬉しかった。呼んでくれた友人ミーパンやリュウジ君クルーに熱く迎えられ、数ヶ月前から仕込んでくれたという特設のダンスフロア、ブースの前に設えられた銀色に光り輝く鳥居には沖縄の熱いエネルギーを感じさせられた。他にも、広大な庄内平野の田んぼのなか、看板もネオンも何も無く営業を続ける知る人ぞ知る山形屈指のアンダーグラウンド・パーティ〈ハーモニー〉"も相変わらずコアなクラウドだった。瀬戸内海の荒波が打ち寄せるファンキーなロケーションで毎年お盆に開催される姫路〈彩音〉も忘れるわけにはいかない。GODFATHERとしては3年連続で出演、年々進化し続けている。そして......DJ WADAくんと行った群馬桐生〈レベル5〉が10周年というのははっきり言って驚かされた。坂田頑張ってるわ! GODFATHERで最多出場を果たしている博多〈デカダン・デラックス〉に至ってはなんと21周年! 凄いのひと言だ。博多のクラウドは今年もタフだったしね(ナベさん、西やんありがとう)。初登場させてもらった神戸〈トゥループカフェ〉も16周年、楽しくプレイさせていただきました。で、青山〈ループ〉が14周年(望っチャン、花チャン、スタッフ全員お疲れ様)。野田さんの実家〈のだや〉を皮切りに〈ラジシャン〉と〈フォー〉でスタートした静岡〈フォー〉の4周年では静岡パワーを見せられた感じ。五十嵐&海野くんお疲れさまでした。文田に行けなかったのは残念だったけれど! 

  とにかく2009年はレギュラー参加しているパーティやイヴェントのほか、初めて呼ばれるクラブやパーティも多くて、たくさんの人たちとの出会いやその地域のダンス・ミュージック・ファンに僕のプレイを体感してもらえたこと、音楽好きが集まる小さなバーからライヴ・ハウス・パーティまで数多くのダンス・ミュージック・ファンと素晴らしい時間を共有できたことが最高に楽しかったし、嬉しかった。もちろんすべてのパーティに全力投球してきたし、それが自分の使命であり、自分にとってもっとも幸せなことだなと今年関わったすべての人に感謝しています。

  ここ数年、新たに生まれた店が多いことや無事に○周年を迎える店も多く、日本のクラブ事情を見る限り、バブル期の派手さは無いけれど着実に新たなアンダーグラウンド領域に入ってきているような気がして、これからまた面白くなりそうな感があります。だいたい僕が虜になったダンス・ミュージックの世界はそんなに簡単に無くなるはずはないだろうし、ヨーロッパでもアメリカでも基本的にはメディア以外何も変わってないと思います。その証拠にダンス・ミュージックのデータ配信ビートポートなどはますます元気だし、それは配信される音楽の多様性を見てもうなずけるでしょう。

  だから僕はダンス・ミュージックの先行きに関して何の心配もしてないし、来年以降がますます楽しみになっているくらいですから。僕らができることはまだまだあるように思うし、チャレンジすることもいっぱいある気がして、ワクワクしていますね。宇川くん野田さんタッグが『エレキング』のネット配信をそろそろスタートする予定もあるし、JEYPEGの修平くんたちはネットラジオで面白いことやっているようだし、マンハッタン・レコードもネットでの動きを活発にすると聞いて、新たな時代に突入しているんじゃないかなって強く感じます。

  ずいぶん長いこと海外に出ていないなーって最近思うのですが、よく考えてみると、とくに行かなくても国内で満足させられているのかな~て、つまり昔ほど海外への憧れが無くなってしまったということです。海外が遠かった当時と比べ、ネットで海外と日本の時差が無くなった今日、当然と言えば当然でしょうが、何年か前から自分の感覚がディスカバージャパンになっていることも作用しているようです。歳かもしれませんが、たぶん70年代に憧れたアメリカや80年代に憧れたニューヨークより、現代は日本のほうが面白いことをやっているんじゃないかってね、もちろんダンス・ミュージックの配信ではヨーロッパものが俄然多く、音楽を通じてヨーロッパの活気を知ることはできますが、それでもそこへ行って滞在したいという気にあまりならないんですね。それよりも日本人として、日本のダンス・ミュージック文化を大事にしようと思うのです。僕にとっていまは日本がピッタリくるというか、居心地よくなっているのかもしれません。

  僕は日本の歴史が大好きで、これまでずいぶんと歴史小説を読みあさってきました。とくに史実に基づいた物語が好きで、なかでもお気に入りの作家は司馬遼太郎です。歴史小説を読んでみて日本の優れた歴史上の人物に出会う度に、日本人として生きるということに魅力を感じて、この二度と来ないいまという時代のなかで日本人のためになるオリジナルな生き方をしたいって考えるようになっているのです。生意気なことを言うようですが、これも歳のせいかも知れません。

  いずれにしてもダンス・ミュージックの世界は経済に関係なく、確実に前を向いているから2010年は2009年よりも必ず面白くなるはずだし、僕らひとりひとりがそうしなくてはいけないって思っています。踊るという行為は、人類が誕生したはるか昔から受け継がれて来た尊い文化で、お祝いごとや悲しい出来事が起こる度に人間は踊ることで喜びを分かち合い、悲しみを発散してきたんです。僕らの時代になって、サブカルチャーとしてディスコが流行し、若者の心を捉えていまに至っていますが、これは世界的な潮流でもあるし、僕らにとって重要な文化なんです。僕はDJという職業に出会えたことは本当に幸せだと思っています。なぜならば皆がハッピーになれる時間を作り出せる側にいるからです。踊らせること、楽しませることが何よりも好きだからなんです。

  真剣にこの文化に取り組んでいる側からすれば、ノリピー事件は怒って当たり前の残念な出来事で、一般社会から見れば同じに見えるかもしれませんが明らかに異なる文化を作り出してきているはずです、それももう何年ものあいだです、でも世界には、黒服とV.I.Pと軟派がセットになったお金の匂いがするキラキラしたディスコ文化というのが僕らの世界と平行してずうっとあるし、そこへ集う人たちも多いという事実もあります。言ってみればそれもひとつのディスコ文化と言えるから比較はできませんが、心情的には一緒にしてほしくないわけです。

  ちょっと横道にそれましたが、2009年全般を考えると、クラブ・シーンにとっては過渡期だったと思います。各地のクラブにとっても厳しい年であった事は否めませんが、それでも僕らと同じようにダンス・ミュージック文化が大好きな人たちがこの日本には多いという事実がこの1年で確認できたし、実感しました。2010年も楽しみましょう。

Top 20 of 2009 by Toru Takahashi

1 Sharam / She Came Along feat Kid Cudi -Sharams Ecstasy Of Ibiza Mix- (DCI)
2 Destination Danger / Du Rififi Au Katanga(Circus Company)
3 Argy / What Time Is It (These Days)
4 Jona / Freefall (Resopal Schallware)
5 Fuse / Dimension Intrusion -Layo Bushwacka Fuze Remix-(Plus 8 Records)
6 Crash Course In Science / Flying Turns(From Jupiter)
7 Danny Fiddo、Affkt / P oints -Mathias Kadens Chalet De Verano Remix-(Barraca Music)
8 Will Saul_Tam Cooper / Where Is It ? feat Ursula Rucker -Lazersonic Remix-(Simple records)
9 Marc Houle / Single Cell -Original Mix- (Minas)
10 Luna City Express / Diamonds Pearls(Moon Harbour Recordings)
11 Guy J / Ballroom Sians Vernacular Mask Remix (Bed Rock Records)
12 dOP / The Dust -dOP Mix-(Enliven Music)
13 Collabs, Chris Liebing, Speedy J / Magnit Express feat Speedy J & Chris Liebing (Electric delaxe)
14 Michel Cleis / La Mezcla feat Toto La Momposina (Strictly Rhythm)
15 EP1 B2 / Hauntologists (Hauntologists )
16 Mirko Loko / Tahktok (Cadenza)
17 Seth Troxler / Panic Stop Repeat ! ( Spaxtral Sound)
18 Alexi Delano / Adjust the Frequency (Clink)
19 LosUpdates,RicardoVillalobos / Driving Nowhere_Audio George Remix(Nise Cat Records)
20 Michael Jackson / Heal The World

Profile

高橋 透高橋 透/Toru Takahashi
1976年からDJ活動をはじめ、1980年にNYへ移住、1981年に一時帰国、〈椿ハウス〉、〈玉椿〉、〈CLUB-D〉などの80年代を代表する箱のメインDJを務める。1985年にNYへ戻り、DJとして活動する。1989年に帰国。その後も芝浦〈GOLD〉でのレジデントをはじめ、数多くのクラブ、パーティに関わる。現在は宇川直宏、MOODMANと主催するディープ・ハウスパーティ〈GODFATER〉のひとりとして活躍。ミックスCDとして『GODFATHER 10th ANNIVERSARY SPECIAL MIX VOL.1』、また自身の半生を綴った著書『DJバカ一代』がある。

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