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くるりから布袋寅泰、ボアダムスからキャンディーズ、 ヒカシューからミッシェル・ガン・エレファントetc

──2月5日下北沢THREE、『バンドやめようぜ!』リリース・パーティ時におけるイアン氏のDJプレイリストを公開!

文:イアン・マーティン  訳:五井健太郎 Apr 06,2018 UP

 バンドのライヴの合間にプレイされるDJなんて、じっさいのところ誰もちゃんと聴いちゃいない。だから何かにつけて考えすぎてしまう僕のようなタイプの人間からすると、こんなふうにセットリストを組んでプレイすることはどこかで、想像上の友だちとじっくり会話することに似ている。フロア全体の注意を惹きつづける義務を負っているクラブのDJとは違って、バンドの合間のDJの役割は曖昧だ。なにより雰囲気を保つことが大事。あとはたまたま居あわせた好奇心の強い観客や、ハードコアな音楽オタクの興味を惹きつけさえすればいい。こういうDJの場合、それが成功したかどうかは、どれだけの人を躍らせたかとか、何人が自分のところにやってきて、「ねえ、今かかってる曲ってなに?」と聞いたかといったことでは計れないわけだ。
 だけど、日本の音楽シーンについての僕の本『バンドやめようぜ!』のリリース・パーティーで、バンドの合間のDJのひとりとしてプレイしたとき、僕は自分に、もうふたつだけ別の義務を課していた。ひとつは、短いふたつのセットリストを、かならず日本の音楽だけで組みあげること。そしてもうひとつは、好きなようにやってとにかく楽しむこと。イベントのオープニングから、シンセ・パンクトリオJebiottoのライヴまで、そしてその後で、 (M)otocompoのアイドルさながらなニューウェイヴ・テクノ・ポップ・スカから、The Fadeawaysの昭和なガレージ・パンクへ─ 僕に任されていたのは、このふたつの場面の転換を、ゆるやかに導いていくことだった。そこで僕は、1曲1曲の空気が生む全体的な流れのなかに、なによりも自分自身が楽しむため曲を何曲か入れるようにした。ツイッターで誰かが、僕の本がミッシェル・ガン・エレファントにふれていないことを批判していたので、彼らの曲もリストのなかに入れておいた。ローリーの “Love Machine”は、めったにないような笑えて陽気な楽しい曲で、レコードを探し歩くようになったばかりのころ、八王子のブックオフの値下げコーナーのなかで、その変わったジャケットかタイトル以外なんの理由もないままに、本当にたまたま出会ったものだ。
 それとは同時に僕は、今回のセットリストで、ステージに上がるミュージシャンたちや、彼らもまた今の音楽シーンで活発に活動している、会場にやってくる他のミュージシャンたちと、個人的なコミュニケーションを取りたいとも思った。最初のバンドJebiottoは、表面的にはシンセ・パンク・バンドだが、その深い部分では、1980年代にスタジアムを沸かせたようなロック・バンドの心臓が脈打っている。布袋寅泰のは“Poison”をかけたのは、 それがまさに彼らのためにあるような1曲だからだ。
 一方で、Falsettosの“Ink”でパーティをスタートさせたのは、僕の本を物販のテーブルで売ってくれていた、何人かのP-Vineスタッフのためだった。たまたまだったとはいえ、じっさいそのうちのすくなくとも1人か2人は、この曲のリリース時にも動いていた人だった。
 つづけて、僕自身が運営している〈Call and Response〉レコードからリリースしたLoopriderの“Farewell”をかけたのは、誇りに思ってとかそういうこと以上に、自分たちのような小さなレーベルでも、すばらしくキャッチーで、質の高いポップなロック・ミュージックを世に出せるのだという事実を示すためだった。それをスーパーカーの“Fairway”に繋いだのは一種のパーティ・ジョークで、2つの曲が似ていることを示して、友だちでもあるLoopriderのメンバーを楽しませたかったからだが、『バンドやめようぜ!』のなかに書いた曲を取りあげておくためでもあった。
 プレイしたふたつのセットリストをとおして僕は、本のなかで言及した音楽にふれるようにつとめ、あわせて、日本の音楽についての僕自身の探求のなかで、僕にとって重要だった音楽にふれるようにつとめた。ボアダムスやメルト・バナナ、コーネリアスといった、日本に来る前にUKで知っていたバンド。2000年代のはじめに日本に着いた僕を迎えてくれた、スーパーカー、くるり、ナンバー・ガールの三位一体。もっと後になってから恋に落ちた、P-Modelやくるりといったバンド。ともかく素晴らしいということ以外まだよくわからないままな、otoriやFluid、Nicfitといった、日本中のアンダーグラウンドなライヴハウスで見つけたアート・パンク・バンド。結果としてそれは──たとえ自分以外誰一人としてちゃんと聴いていなかったとしても──僕にとって本当に意味深い日本の音楽との出会いの数々を巡る、誰にも思いもよらないような、ノスタルジックな小旅行になった。


1st Set:
Ink - Falsettos
Farewell - Looprider
Fairway - Supercar
I Ready Needy - Yolz in the Sky
Mutant Disco - Fluid
Zero - Melt-Banana
反転 - otori
Poison - 布袋寅泰
So Wet - Tropical Death
Bore Now Bore - Boredoms
Creeps - Nicfit

2nd Set:
You Think You’re A Man - Motocompo
モデル - ヒカシュー
美術館であった人だろ - P-Model
Haru Ichiban - キャンディーズ
Paul Scholes - Yukari Fresh & Tomorrow’s World
I Hate Hate - Cornelius
水中モーター - Quruli
透明少女 - Number Girl
Get Up Lucy - Thee Michelle Gun Elephant
Love Machine - Rolly
No Permanence - The Routes

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