ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Vladislav Delay Quintet - Vd5 | ヴラディスラフ・ディレイ
  2. UKインディ・ロック入門──ポスト・パンク、ギター・ポップ、スカとダブ編
  3. Columns Boards of Canada ボーズ・オブ・カナダの帰還  | ──その軌跡、その影響、そして13年ぶりの新作『Inferno』をめぐって
  4. Brian Jackson - Now More Than Ever | ブライアン・ジャクソン
  5. FESTIVAL FRUEZINHO 2026 ──気軽に行ける音楽フェスが今年も開催、マーク・リーボウ、〈Nyege Nyege〉のアーセナル・ミケベ、岡田拓郎が出演
  6. Columns Jeff Parker ジェフ・パーカー・ETAカルテットの挑戦 | ──原雅明と蓮沼執太による対話
  7. Cornelius ——コーネリアスのライヴ・ドキュメンタリー映像「“Dream in Dream” Tour Document Episode 1」公開
  8. world's end girlfriend ──6月に『抵抗と祝福の夜 2026』が開催
  9. Columns Boards of Canada ボーズ・オブ・カナダの帰還 | ──その軌跡、その影響、そして13年ぶりの新作『Inferno』をめぐって(後編)
  10. interview with Mouse on Mars 僕たちはダブを、ジャンルではなく社会的なものとして捉えたい | ——リー・ペリーとの共作を発表したマウス・オン・マーズ、インタヴュー
  11. 異次元の常識──パンク/ハードコアの思想とメッセージ
  12. DJ Stingray 313 ──デトロイト・エレクトロの至宝、DJスティングレイが来日
  13. Tocago、恵比寿KATAにて待望のワンマン・ライヴ開催を決定
  14. HIKASHU ——「実は最高傑作かも」と名高い、前衛時代のヒカシューの作品集『1978』が待望の初アナログ化
  15. The Leaf Library - After the Rain, Strange Seeds | ザ・リーフ・ライブラリー
  16. Columns #15:「すべてのロックンロールに反対してやる」 ──『UKインディ・ロック入門』刊行のお知らせ
  17. R.I.P. 横田進  | Susumu Yokota / ススム・ヨコタ
  18. Kangding Ray - ULTRACHROMA
  19. DREAMING IN THE NIGHTMARE
  20. Loraine James - Detached from the Rest of You | ロレイン・ジェイムズ

Home >  Regulars >  編集後記 > 編集後記(2018年7月17日)

編集後記

編集後記

編集後記(2018年7月17日)

Jul 17,2018 UP

 ホイッスル。試合終了。今日からまた憂愁の日々。みなさんもそうでしょう?
 まとめてみよう。今回のW杯で、あらためてフットボールとは幸福なものだと認識した。大人も子供も夢中で観戦する。また、なかんずくW杯は政治とは無縁でいられないということもフランス対クロアチアの決勝戦がはからずとも証明した。
 プッシー・ライオットの乱入。彼女たちの政治的な主張を尊重したうえで言えば、タイミングが悪すぎた。試合の流れをみないと。もうひとつ、プレーしている選手も観ている側も、その瞬間瞬間においてはまったく政治から切り離されている。かつて、ペレがプレーすると紛争中の国同士が休戦したというエピソードがあるくらいだ。愛の営みの最中には戦士だって銃をしまう。それから、彼女たちの乱入は攻めていたクロアチアにとっては不利に働いた。その事実についてもツイッターで触れるべきだった。
 プーチン。とつぜんの雷雨に見舞われた表彰式で、ずぶ濡れのマクロン大統領とクロアチアのグラバルキタロビッチ大統領と横に並びながら、ひとりだけ傘のなかにいるところを生放送されてしまった。今大会を通じてロシアの国際舞台でのイメージ向上につとめたのだろうけれど、あの最後の失態には笑ってしまった。

 クロアチア。それまでの試合ではピッチを駆け抜ける炎だったモドリッチだが、決勝戦では不完全燃焼だったように思えた。しかし、3試合の延長戦を勝ち上がってきたクロアチア代表の奮闘は、紛争によって分裂した旧ユーゴスラビアの多くの人たち(クロアチア人、ボスニア人、セルビア人)に偏狭なナショナリズム以上の、より平和的な融和の感情を持たせたようだ。
 フランス。ポグバが最高。サッカーダイジェストの記事によれば、大統領宮殿の祝賀会において、この屈強なMFはマイクを握って「俺たちはすべてぶっ壊したってことだな! すべてぶっ壊したぞ! すべてぶっ壊したぞ!」と繰り返したそうだ。すると宮殿の庭では「ぶっ壊したぞ!」の唱和がはじまったという……これ、いかにもフランスらしいんじゃない?  レイモンド・コパというフットボール・ファンにはよく知られているポーランド系移民の名選手は、68年5月のバリケードのなかにも参加したというけれど、歓喜に湧くシャンゼリゼ通りの様子もほとんど暴動みたいに見えた(笑)。喜びの暴動とでもいうのだろうか。抑圧されている日本人は、なんでも秩序の言うがままだが、ああいう騒ぎ方は見習ったほうがいいと思う。いまでは毎年のように、歪んだ形の暴力としてその反動が出てしまうのだから、なおさらスポーツは抑圧のシステムに加担しないでもらいたい。