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interview with LOVE ME TENDER

interview with LOVE ME TENDER

奥渋谷系のロマンス

──ラヴ・ミー・テンダー、ロング・インタヴュー

野田 努    写真:塩田正幸   Nov 22,2012 UP

わけはわかんないですけど、受け入れてねじ伏せるみたいな感じで、けっこうピース。まとまりますね。あんまり暴力とかはね、3年に1回ぐらいしかないよね。(マキ)
最近はさ、だって合法系はみんな暴力に行くじゃん。(テッペイ)


LOVE ME TENDER
SWEET

Pヴァイン

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■自分たちがやろうとしてることと、世のなかとの距離を改めて感じたところはあるのかな?

壮太:ライヴハウスとかでやりづらいですね。

■ほう。なんでですか?

壮太:昔から嫌いなんですよ、ライヴハウスが。システム自体が。

■それは音響的な問題?

壮太:いや音響的な問題じゃなくて。だってお金払って行かないでしょう、ライヴハウスに。「今日ライヴでも観ようかな」って。自分の知り合いのバンドが出てるなら行くようなもんで。本来は「ちょっと音楽でも聴きながらビール飲みてえな」ぐらいの感じなのに。

アラタ:アメリカとかね。

マキ:うん、そういう風に入りたい。

壮太:そうじゃなくて、なんか貸しスペースみたいになってるから。

テッペイ:客も下手したら入れ替え制みたいになってるもんね。

壮太:興味ないときのお客さんって、エレベーターの階数表示見てるみたいな表情でそのバンド見てるじゃないですか。「耳栓しろよ」っていう。ああいうのイヤですね。

■クラブは雑多なひとが集まるから、そこはホントにライヴハウスとの違いだよね。

壮太:そうなんですよ。お客さんと一緒の高さでやって、俺たちが演奏してるときもお客さんがバラバラの方向向いて踊ってるみたいな状況のときが一番好きなんだけど。

マキ:うんうん。

■ラヴ・ミー・テンダーにとって、もっともコアにあるものというか、中核を成すものは何だと思いますか?

アッキー:マキちゃんじゃないですか、やっぱり。

■ほう......いやそれこのあいだも言ってましたよね。じゃあマキちゃんの次は?

テッペイ:最初はアフター・スクール感、放課後の感じって言ってたよね。

壮太:自分たちでもわからない。話し合ったこともないし。

■「こういうことを歌ってるけど、ドラッグ・ソングのバンドだとは思わないでほしい」と言ってるわけじゃない? 

壮太:バンドが音を紡いでいるところ。バンドの部活感。その、何て言うんですかね。バンドとはこういうものですよ、というものを見てほしいですね。

■バンドの部活感?

壮太:何て言うんですかね、典型的なバンドだと思うんですけど。集まってアンサンブルするときにどんなことが起こるかっていう。すべて起こってますから。

アッキー:誰かが大統領じゃないっていう感覚というか。誰かひとり出てるわけじゃないっていうか。

■バンドの面白さっていうこと?

アッキー:マキちゃんはすごく象徴的なんだけど、演奏とかそういう部分で言うと、全員が同列というか。

アラタ:バンドやってるのが楽しいっていうことじゃないですか(笑)。

テッペイ:楽しそうに見られれば一番いい。

■でもマキちゃんはHBもやってるわけだから、ラヴ・ミー・テンダーやらなくてもいいわけじゃないですか。

マキ:あ、そうですね、あはは。

(一同笑)

■じゃあHBとラヴ・ミー・テンダーの違いは何ですか?

マキ:違い。違いはもう......それは全然違いますね。ギャル・バンドと。

アッキー:あれはやっぱり女子高でしょ。

マキ:女子部。

■でも世のなかにはすごくバンドが数多くいるわけじゃないですか。ラヴ・ミー・テンダーは存在する必要はないじゃないですか。

アッキー:存在してないのかもしれないです。

■(笑)ほら、これはCDの売り上げに直結する質問をしているつもりなので。

テッペイ:そうやって外向いちゃうとキリがないじゃないですか。

■いいじゃないですか(笑)。

壮太:どうなんですか、アンディ?

■いやアンディはアンディなりに解釈してるんだから(笑)!

マキ:アンディが言う通りなんじゃないかな(笑)。

アラタ:でもまあ、たとえば下北で演劇系のひとたちとミュージシャンのひとたちをざっくり分けると、こういう言い方すると悪いけど演劇系のひとたちは頭でっかち。芝居論の話をしたりとか。ミュージシャンのほうがもっとバカというか、考えてないっていうと語弊があるけど、ほんと楽しいからやってる。快楽主義的な傾向が強いというか。

マキ:そうだよね。

アラタ:あるじゃないですか、そういうの。

■はいはい。

マキ:終わらない討論を朝までやってる感じ。

■そうそう。

マキ:そういうのじゃない。もっとくだらないことで朝までいるっていう。

アラタ:楽しいとしか言いようがない。

マキ:そう、楽しいからやってる。

アラタ:ほかのバンドとの差別化ってことで言われちゃうと、まあどのバンドも楽しいからやってんだろうなっていう。

アッキー:でも洗練されたポップ・ミュージックをやりたいっていうのが......俺はあるんだけどどうなの?

■それすらも共有されてない(笑)。

アラタ:まあ洋楽志向ではある。

アッキー:それを通ったAOR感みたいなそういうことが。

■AOR感はあるね。

アッキー:日本独特のポップスもあるじゃないですか。僕は80年代の終わりぐらいから見てるけど。そういうのはちょっとねじれ度が違うと思うんですよね。たとえばなんだろう、ボ・ガンボスとかフィッシュマンズとかが残したものを、そのまま置き換えたって子たちもたぶんいたりして。でもそことは違うっていうか何ていうか(笑)......。言いづらいな。

アラタ:AORとかそういうので言ったらさ、流線形とかキリンジとかのほうがそうかな、って。あれよりもうちょっとうちらのほうが綻びがあるっていうか、何だろうね。自分たちのことを言葉にしようとすると難しい。「どんなバンドやってるの?」って言われたら答えられない。

テッペイ:そう、俺も言えない。

アラタ:ざっくり歌ものメインでインストもある、みたいな(笑)。

■なるほどね。どうですか、壮太くんは?

壮太:いやだから、奥渋谷系ですよ。渋谷の奥のバーで醸成されたもの。実際そうなんだから。それがどういうプロセスを経てそうなったかはちょっと説明できないですけど。そう思ってくれたら。メンバー募集で集まったバンドでもないし、ここでしかないケミストリーがあったわけで。そうとしか言いようがないですね。

テッペイ:まだ途中だからね。

壮太:バンドだけが落下傘で落ちてきたわけじゃなくて、周りの人脈とか細かいバー同士の繋がりとか、そういうのが全部くっついてる。ファミリーを形成してるわけじゃないけど、どうしてもそういうの濃厚ですよね。

■まあそうだよね。だから、ちょっと硬い言い方になっちゃうけど、コミュニティ的なところもある。

壮太:そうですね。

■ちなみにアルバム・タイトルは誰が決めるんですか?

マキ:あ、あたしが。今回は。

■『スウィート』ってしたのはとくに意味があるの?

マキ:えっと、あんまりないんですけど。友だちがニューヨークに行ってて、帰ってきたときにお土産でくれたポストカードに、「LOVE ME TENDER SWEET」って書いてあって。それで、「これだ!」って(笑)。

■ははははは。自分たちの音楽を形容するのに今回ぴったりかなって?

マキ:はい。ぴったりで。すごくピンと来ちゃったので、それにしちゃいました。

■ところで、今日はみなさんが来るまでにアッキーと話してたんですけど、6日付のロイター通信によると、アメリカの2州でマリファナが合法化されたという。

アラタ:まあ連邦法が変わんないとっていうところではありますけどね。

■まあそうだけどね。ただ、いわゆる多数決で嗜好目的の大麻の是非が問われたときに決まったっていうのはね。住民投票で可決されたっていうのは初めてのことなので。ここ数年のアメリカの大麻合法化の動きはすごいじゃないですか。それはいい悪いの問題じゃないですよ。日本ではもちろん違法ですからね。でも、まず情報として日本のニュース番組でそういうものがまったく報道されていない不自然さというかね。

壮太:いや、簡単ですよ。大麻の是非以前に、ドラッグの会話自体がタブーなんですよ。たとえばカニバリズムってあるじゃないですか、人間がひとを食うっていう。あれは日本人は話題にするでしょ、「お前人間の肉食える?」「いや」「腹減ってたら食うかも」っつって。でも欧米だとそういう話自体が禁止ですよ。おおっぴらには。そういう話題に触れること自体がひととしてマナーに反するみたいな。日本でのドラッグがそうですよ。ドラッグの是非論とかやってもしようがないですよ。ドラッグの話題に触れることがタブーだから。

■逆に日本は少女ポルノに寛容でしょ。たとえばマッシヴ・アタックの3Dが反戦運動をやったときに、何でイギリス政府が彼を捕まえたかって言うと、少女ポルノですよ。

壮太:ええー。

■ドラッグじゃなくてね。そっちのほうが向こうだと罪が重いから。こうした文化の差っていうか、きっとそういうことも含めて、ラヴ・ミー・テンダーは投げかけてるのかなっていう風に思うんですよ。

壮太:解禁して安くなるなら万々歳ですけど。俺はその問題を考えるけど、解禁しても吸うひとは増えないと思いますよ。

アラタ:それはそうよ。

■日本文化の異分子ではあり続けようとしてるとは思うんですよ。アゲインストしてないにしても。

壮太:でもたしかに東京にしか居場所がないですね。もうどこにも住めません。東京じゃないと自分みたいなのの居場所がない。受け入れてくれるところが。

テッペイ:東京の数店舗しかない(笑)。

(一同笑)

テッペイ:そういう話は毎回してますけど、そこを直接曲に入れたくはないです。重くなるから。

■いやいやわかりますよ。

テッペイ:だからたとえば、全曲スウィートな曲調だったらタイトルを『スウィート』にはしてなかったと思うし、そのギャップは絶対出したい。

■そういう意味で言うとね、コンセプト自体がすごくギャップがあるよね。一番清潔感のある日本のポップスのスタイルを取りながら、いちばんタブーなことを言ってるっていうね。

アッキー:でもそれも意識してたわけじゃないですね。結果的にそうなっちゃったっていう。

■ああ、そうなんだ。

壮太:なんか、カシミアのセーターを着てまつ毛の長いおぼっちゃんがいつもナイフ持ってるとか、そういう感じ。

■ははははは!

壮太:そういうのあるじゃないですか。フリッパーズ・ギターとかもそうだったと思うし。

※アンディ(LMT担当の敏腕A&R)

取材:野田 努(2012年11月22日)

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