Home > Interviews > interview with Seiho part.1 - テクノ新世紀・立志編
音色には時代性があって、リズムにはたぶんジャンルというか、元の持ってるものがけっこうあると思うんですよ。元々の人間が持ってるものというか。で、僕のなかでは、その両方は捨てれるんですよ。音色とかビートとかは僕のなかではどうでもよくて、僕がこだわってるのは、それ以外の構成要素なんですよ、音楽の。
Seiho Abstraktsex [Limited Edition] Day Tripper |
■大阪ってさ、〈デイ・トリッパー〉やセイホー君以外にもたくさんの才能を輩出してるじゃない? でもシーンとしては、一向に盛り上がらないじゃない? そのジレンマについてはどう思ってますか?
セイホー:(笑)
■この10年大阪のシーンが盛り上がらないのは、橋下だけの責任じゃないでしょ?
セイホー:(笑)シーンっていうのはなんやろうなあ......。
■その辺をどうにかしたいって思いはある?
セイホー:あんまりないですね。大阪っていうものに僕のなかではあんまり縛られてなくて、どっちかって言うと、日本代表って感じなんですよね。そこでどうするか、みたいな。だから東京の方なんかは「大阪すごいね」みたいな感じで言うんですけど、「いや、そうじゃなくて、いっしょに世界でどうやるか考えようや」みたいな感じのほうが僕のなかでは強いですね、ずっと。
■大阪って、作り手は出てくるのに、なんでリスナーがついて来ないの?
セイホー:そうですね(笑)。
■あれって何なの? 不思議なんだけど。
セイホー:まあ、ついて来るリスナーもいますけどね。
■仮にピート・スワンソンが来たとして、大阪でどこまでできるかって言うと――。
セイホー:そうですね。絶対数の問題ですね、やっぱり。
■でも人口は多いじゃない?
セイホー:あとやっぱり、飲み会とかが多いっていうのが(笑)。メンバーはぜんぜんお酒は飲まないんですよ。だからコーラなんですけど(笑)。
■コーラで何時間も(笑)?
セイホー:朝までコーラでファミレスみたいな(笑)。
■ははははは!
セイホー:クラブは1時で終わるんで、5時まで4時間音楽の話しかしないコーラ会があるんですよ、ミュージシャン同士の。それがやっぱ大きい(笑)。
■それ熱いじゃない。それはすごいねー。
セイホー:あとはやっぱ、無職が多いんで。
■アメリカの人たちもそうだよね。セブンアップとかさ。酒飲まない人けっこういるから。
セイホー:あれ作りたいとか、これ作りたいとか、グダグダ喋ってるのが多いですね。
■今回のアルバム・タイトルを『アブストラクト・セックス』にしたのは何でなんですか?
セイホー:それはさっきの話に戻りますけど、ヴァーチャル・セックスとシミュレーション・セックスっていうのが僕のなかでずっとあって。それを作りたかったんですけど、あまりに生々しくて、いまっぽくないっていうのにずっと引っかかってて悩んでたときに、友だちでドイツ語の論文を書いてる子がいて、要約みたいなところに「アブストラクト」って表題がついてるんですよ、だいたい。あのアブストラクトを見て、ジャンルのアブストラクトもあるし、これいいかなと思って。だから敢えてドイツ語風にkにしてるんですよ。
■それでセックスは?
セイホー:セックスは、さっき言った音色とビート以外のところで、僕が音楽やってていちばんこだわってるところってフェティッシュな部分なんですよ。それが音色に関わってるっちゃ関わってるんですけど。
■音色はどうでもいいって言ったじゃん(笑)!
セイホー:(笑)いや、音色と言うよりは、ささいなこだわりなんですけど。でもその、ささいなこだわりみたいなところに――。何て言うんですかね、「この1音」とか。いまの音楽ってストリーミングなんかでざっと流れるものが多いからそんな聴き方はあんまりしないですけど、昔CD買ったら「ここ! このフレーズ!」みたいなことってあったじゃないですか。そこを何回も繰り返して、「ここがいいんよなー」みたいな。7、8分のジャズのやつを聴いて、「このフレーズなんよなー」ことを言ってる、あの感覚みたいなものが、僕のなかのフェティッシュというか、エロティシズムみたいなところがあって。
■んん?
セイホー:音色よりも楽曲というか、その曲をピアノで弾いても、ハミングで歌ってもいい曲を目指して作りたいと。
※(後編)は、来週UP予定です! セイホーの
取材:野田 努(2013年6月20日)