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interview with Eiko Ishibashi

interview with Eiko Ishibashi

音の回廊、二面の歌

──石橋英子、インタヴュー

松村正人野田 努    Apr 05,2014 UP

聴いてみたら(歌詞は)はっきり聞こえなくても、歌のもつキャラクターだったり歌詞の物語だったり、何かが伝わったらいいなと思ったんです。そういうのを大事に歌いたいというのはありました。

制作にとりかかったのは。

石橋:『imitation of life』が出た直後ですね。

音楽的には前作とどのような繋がりあるいはちがいをもたせようと思いましたか?

石橋:『imitation of life』はある意味自分のなかではわかりやすい音楽だったんです。なんていうんだろう、パッキリしているというか――

方向性が?

石橋:それもそうだし、音楽的にも複雑なことをやっているように聞こえるかもしれないけど、わかりやすくいえば「これはプログレです」という提示の仕方できた作品だと思うんです。次はそういうのではなくて、もっとシンプルだけど複雑、相反するふたつのものを一緒に出したいと思ったんです。ゴージャスだとよくよく聴くとメロディはシンプルだとか。そういうものをつくりたいと思ったんです。

『imitation of life』と較べると1曲につめこんだアイデアが多様な気がしますね。

石橋:アイデアが曲に向かう方向や角度に合ったものであればいいなと思ったんです。そのためにスタジオに行ってベーシックでもアイデアを決めこまず、スタジオでみんなでつくっていこうと思ったのも、そういった理由からでした。

今回もプロデュースとミックスはジム(・オルーク)さんですが、事前になにか相談しましたか?

石橋:デモは聴いてもらったんですが、ジムさんは細かいことはなにもいわないんですよ。「この曲いいね」くらいなもので。今回は事前にアレンジをつくりこまないとあらかじめ決めていたんですが、スタジオでちゃんとつくれるか不安でもあって相談したら「大丈夫、大丈夫! その場でできるよ!」ってそんなことしかいわないんですけど、そういうひとがいるのは心強くもありますよね(笑)。

実際はどうでした?

石橋:録音に一週間かかりました。前はアレンジをきめこんでいたので3、4日で終わったのでそれに較べると長いですね。

アレンジの方向性や細部をつめていくのに一週間かかった、と。

石橋:そうですね。それから歌詞を書いて、歌録りに1ヶ月半。

歌も今回はコーラスをふくめいろいろ試みていますよね。

石橋:そうなんですよ。歌は全部誰もたちあわず、ひとりで部屋で録っていたんですよ。毎日自分の声ばかり聴いてうんざりしました(笑)。

石橋さんもヴォーカリストとしてのキャリアも長くなってきましたから、ご自分の歌、歌唱を客観視する機会も増えたと思うんですが、歌、歌唱の面での具体的な変化はありましたか?

石橋:今回は前野さんに歌詞を書いていただいているのもあって大事に歌いたいというのはありました。英語と日本語だし「何これ!?」みたいな印象はあるかもしれないけど、聴いてみたら(歌詞は)はっきり聞こえなくても、歌のもつキャラクターだったり歌詞の物語だったり、何かが伝わったらいいなと思ったんです。そういうのを大事に歌いたいというのはありました。私いままであまり歌を練習してこなかったのもあって、今回は歌を家で録りながらですけど、ちゃんとやりたいと思っていました。千本ノックみたいな感じでしたよ。ダメだ、ダメだって、歌だけは何テイクも録りました。でも一日やっていると声って劣化してくるじゃないですか。

しかもどのテイクがはたして一番よかったのかわからなくなってきますよね。

石橋:そうそう。そのジャッジとペース配分の仕方を探るのに時間はかかりました。

その力のいれようは『car and freezer』を聴いてすぐにわかりましたよ。丁寧というか繊細ですよね。

石橋:あと前野さんの日本語の歌詞はテンションが高くないと歌えないんですね(笑)。いつも通り歌っていると負けるんですよ(笑)。

“私のリトルプリンセス”とか“ゴリラの背”を大事に歌うことはいまので石橋さんの方向性とはちがいますよね。

石橋:ないですよ(笑)。

ここで歌っている歌詞のなかの女性像について前野さんはなにかいっていましたか? これは石橋さんを想定してつくった、とか。

石橋:私に一番ちかづけて書いたのは最後の“幼い頃、遊んだ海は”らしいんですよ。“私のリトルプリンセス”なんかは、前野さんは毎日、新聞を読むらしいんですが、そこに載っているようなことを自分の歌詞では書けないのでいいチャンスだと思って書いたんじゃないですかね。多少の押しつけられた感はありますが(笑)。



「ゴリラの背 走ってる/ゴミ収集車 呼びつけて/叱りつける 叱りつけるの」とか、石橋さんがそんなひとだと思われても困りますもんね。

石橋:(笑)

取材:松村正人+野田努  文:松村正人  写真:澁谷征司(2014年4月05日)

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