Home > Interviews > interview with Eiko Ishibashi - 音の回廊、二面の歌
日本のミュージシャンは、海外にいって自分のことを知らないお客さんの前で演奏するような経験が、きっと海外より少ないと思います。私も海外での演奏の経験がそんなに豊富というわけではないですが、ひとりでブラッと行って誰も自分のことを聴きに来ていない状況のなかで演奏した経験は私にとってとても大きいですし、そういう経験があるからもっと誰の物でもない、自分の音楽をやろうと思えるんだと思います。
石橋英子 car and freezer Felicity |
■〈Drag City〉から出た『imitation of life』の反応はどうでした?
石橋:『New York Times』をはじめ、イギリス、アメリカ、カナダの雑誌のレヴューでとりあげてもらいました。おおむねよい反応だったと思います。
野田:海外は日本人が〈Drag City〉から出すと話題にしてくれるんだよね。問題は日本が、とくに安倍政権になってからマズくて、ほんとうにうちに閉じこもっているかんじというか閉塞感がすごいですよね。今回日本語盤と英語盤で出したのもそういう意味でいえば正解というか。英詞の作品を出すということ自体外に向かっているわけだから。安倍晋三はローリング・ストーンズのライヴを貴賓席で観たんでしょ? 海外メディアは安倍政権を「スケアリー(scary)」だというんですよ。好戦的で右よりで、そんな人間がローリング・ストーンズを観にきている。これがイギリスだったら『ガーディアン』あたりが絶対騒いでいるはずなのに日本だとなにも起きないことの危機感というかね。すごくいま音楽をやるのはある意味ではイバラの道かもしれないと思いますけどね。
石橋:そうですよね。
■日本のシーンとか海外のシーンとか考えたりしますか?
石橋:日本のミュージシャンは、海外にいって自分のことを知らないお客さんの前で演奏するような経験がきっと海外より少ないと思います。私も海外での演奏の経験がそんなに豊富というわけではないですが、ひとりでブラッと行って誰も自分のことを聴きに来ていない状況のなかで演奏した経験は私にとってとても大きいですし、そういう経験があるからもっと誰の物でもない、自分の音楽をやろうと思えるんだと思います。いまはとくに、期待されているものがあると、それをやらざるを得なくなってしまう。背負わなくてもいいことをも背負ってしまう。そうなると、誰も気づかない間に音楽は縮こまってしまう。
■海外ツアーの予定はないんですか?
石橋:バンドで、と、考えてはいるのですが、飛行機に乗れないメンバーがいるので(笑)。でも行きたいです。
■船で行ったらいいですよ。
石橋:(笑)あるいはまたひとりで行くか。
■ヨーロッパにまた行けばいいんじゃないですか?
石橋:前にポーランド、スロヴェニア、イタリア、ドイツ、フランスを1ヶ月くらいかけてひとりでまわったことがあるんですけど、ポーランドでは会場に行ったら主催者から「なにしに来たの?」っていわれて、お客さんは3人でうち1人は上のクラブで酔っぱらって休むために降りてきたひとでしたけど(笑)。
■行くにあたり不安はなかったですか?
石橋:向こう見ずなところがあるんですよね。でも行ってみないとわからないこともあるし、楽しかったです。
■でもそれはブルーマンにしろジャズメンにしろ音楽の原点でもありますよね。
石橋:イタリアのカターニャでオペラハウスのような劇場で演奏することになっていたんですけど用意された機材がカシオのエレピだったこともありましたよ(笑)。
■それでやったんですか?
石橋:やりました(笑)。エフェクターをかきあつめてシンセ化して即興(笑)。
野田:アメリカ南部に行ったセックス・ピストルズみたいですよね。でも『car and freezer』は海外でもうけると思いますけどね。
石橋:また〈Drag City〉から夏くらいにリリースの予定がありますけど、アナログ盤1枚の予定なので、それなら日本語と英語のミックス盤がいいんじゃないかと思っているんです。
■ああそれは名案ですね。
石橋:〈Drag City〉は日本語がいい、というかもしれませんが。
■そういうこともあってLPサイズに収まるアルバムにしたということですか?
石橋:46分以内のものという頭はなんとなくありますね。つめこんでも仕方ないですからね。
■それ以上の情報量が1曲のなかにありますからね。
石橋:そういうことのほうが大事かなと思います。1曲の強度のほうが。(了)
●ライヴ情報
・石橋英子「car and freezer」発売記念ツアー at 四日市 radi cafe apartment
2014.5.9(fri) OPEN / START 19:00 / 20:00
VENUE 三重・四日市 radi cafe apartment
ADV/DOOR 前売¥2,800/当日¥3,300 + drink
LINE UP 石橋英子 with もう死んだ人たち(ジム・オルーク、須藤俊明、山本達久、波多野敦子、坂口光央)
TICKET radi cafe apartment (ラジカフェ)HPにメール予約フォームがございます。
http://www.radicafe.com/
INFO radi cafe apartment 059-352-4680 / locci@radicafe.com
※バンドでの出演です
・石橋英子「car and freezer」発売記念ツアー at 愛知・名古屋 得三 2014.5.10(sat) OPEN / START 17:00 / 18:00
VENUE 愛知・名古屋 得三
ADV/DOOR 前売¥2,800/当日¥3,300 + drink
LINE UP 石橋英子 with もう死んだ人たち(ジム・オルーク、須藤俊明、山本達久、波多野敦子、坂口光央)
TICKET ※2/15~23 e+先行予約※
http://eplus.jp/
チケットぴあ(P:224-967) / ローソンチケット(L:46661) / e+ http://eplus.jp/
一般発売 3/8
INFO JAILHOUSE 052-936-6041 / http://www.jailhouse.jp/
※バンドでの出演です
・キツネの嫁入りpresents第五回スキマアワー
『石橋英子「car and freezer」レコ発編』
2014.5.11(sun) OPEN / START 15:00 / 16:00
VENUE 京都・元・立誠小学校
ADV ¥3,000
LINE UP 石橋英子 with もう死んだ人たち(ジム・オルーク、須藤俊明、山本達久、波多野敦子、坂口光央)
前野健太とソープランダーズ(ジム・オルーク、石橋英子、須藤俊明、山本達久)
キツネの嫁入り
TICKET ※メール予約 → office@madonasi.com※
INFO office@madonasi.com
※バンドでの出演です
・石橋英子「car and freezer」発売記念ツアー at 東京・渋谷 WWW
2014.5.16(fri) OPEN / START 18:30 / 19:30
VENUE 東京・渋谷 WWW
ADV/DOOR 前売¥3,300/当日¥3,800 + drink
LINE UP 石橋英子 with もう死んだ人たち(ジム・オルーク、須藤俊明、山本達久、波多野敦子、坂口光央 ゲスト:前野健太)vj:rokapenis
七尾旅人
TICKET ※2/15~23 e+先行予約※
http://eplus.jp/
チケットぴあ / ローソンチケット / e+ http://eplus.jp/
一般発売 3/8
INFO WWW 03-5458-7685 / http://www-shibuya.jp/
※バンドでの出演です
取材:松村正人+野田努 文:松村正人 写真:澁谷征司(2014年4月05日)