「IR」と一致するもの

Moonga K. - ele-king

 これは大物になりそうな予感がひしひし。ソウル、ファンク、ディスコなど豊饒たるアメリカのブラック・ミュージックの遺産を継承し、さまよえる現代に新たなグルーヴを注入する期待の新星、その名もムーンガ・K。ザンビア生まれ、南アフリカ育ちのソングライター/プロデューサーだ。8月7日にリリースされるアルバム『ソウルウェイヴ 2153』(LPは9月23日発売)から本日、先行シングルとして “BIG EGO” の配信がスタート。なにはともあれまずは聴いてみて。

プリンス、サン・ラー、ディアンジェロ、ファンカデリック… 深淵なるブラック・ミュージックの歴史に名を連ねるであろう新たなる鬼才。累計1,000万ストリーミングを超え、Rolling Stone やAFROPUNKなど様々なメディアが注目する若き気鋭ムーンガ・K.。ファンク、ソウル、レゲエ、エレクトロ、ザムロック…様々なジャンルを血肉に新しいグルーヴを展開する最新アルバム『SOULWAVE 2153』をリリース!

ファンク、サイケデリア、ソウル、ポップ、レゲエ、ザムロック、エレクトロニカ、ディスコ、クラシックなど、さまざまな音楽ジャンルを取り入れた『SOULWAVE 2153』は、2153年から70年代へ向けて送信されたタイムトラベル型のファンク・ブロードキャストが、現代のアフリカで受信されるというストーリーを描いている。楽曲には文化、アイデンティティ、そして抵抗の記憶が暗号として込められており、アルバムが進行するにつれ、そのグルーヴは人々の中に眠る力を呼び覚まし、時間は徐々に歪み、過去と未来がリズムを通じて融合していく。最終的にファンクは「時間を超える手段」であり「生存の手段」として描かれる。

本プロジェクトの理念は、「もし未来が“喜び(joy)”を通して私たちを記憶していたとしたら?」という問いかけにある。ムーンガによる生々しくも繊細なソングライティングに加え、ライアン・マーシャルとマシュー・ガートンとの共同プロデュースによって、現代において贅沢とされがちな“喜び”をリスナーにもたらすことを目的としている。

スティーヴィー・ワンダー、ジャネール・モネイ、サン・ラー、ファンカデリックといったアーティストからの影響を背景に、アフロフューチャリズム的なビジュアルとともに展開される本作は、ムーンガの進化し続けるカタログの中でも特に未来志向の作品となっている。
累計1,000万ストリーミングを超え、AFROPUNK、Rolling Stone、Wonderland、GQ、Nataalなどから高い評価を受ける29歳のアーティストは、この作品を世界中でツアーし、ファンクを通じて希望のメッセージを届けることを目指している。今の時代にこそ必要な、ポジティヴなエネルギーに満ち溢れたグルーヴ・ミュージックだ。

また、6/26(金)には先行シングルとして「BIG EGO」が配信されることが決定。自信、自尊心、そして自己のエンパワーメントを力強く称賛する楽曲。
遊び心のある自慢やスケールの大きな自己表現の裏側には、困難を乗り越え、苦しみではなく癒やしを選び、自らの力を完全に受け入れた一人の人物の物語がある。
「BIG EGO」 は、特に若くブラックであり、かつ自分らしさを隠さず堂々と生きるという視点を通じて、自信そのものを一種のレジスタンス(抵抗)として肯定している。

【リリース詳細】
アーティスト:ムーンガ・K. / MOONGA K.
タイトル:ソウルウェイヴ 2153 / SOULWAVE 2153

CD
発売日:2026/08/07
品番:PCD-25547
定価:¥2,750(税抜¥2,500)
LP
発売日:2026/09/23
品番:PLP-8400
定価:¥4,950(税抜¥4,500)
レーベル:P-VINE
https://p-vine.lnk.to/2tyfJD

■Track List
1. TRANSMISSION 001
2. BIG EGO
3. FLY
4. SOMETHING NEW
5. STRUT
6. TIME TRAVELLIN' LOVER
7. SATISFIED
8. TRANSMISSION 002
9. HERE IT GOES
10.TO THE SUN
11.STAR SURFIN'
12.TRANSMISSION 003
13.LET'S GET LOUD!
14.BIRTHRIGHT
15.HOPE!
LP SIDE A:#1~#7 SIDE B:#8~#15

MOONGA K. /ムーンガ・K.
音楽活動のみならずジャンルの枠を超え、ソングライター/ヴォーカリスト/プロデューサー/アレンジャー/クリエイティブ・ディレクター/そしてアクティビストとしても活動。その作品は魂の内省的な脆さと文化的な抵抗精神を融合させている。シルキーなファルセットへと溶け込むような歌声から、生々しい感情を迸らせる力強い表現まで、その声はR&B、ソウル、ファンク、ポップ、カントリー、ヒップホップ、ジャズ、ロック、フォーク、レゲエ、ブルース、エレクトロニカを横断し、彼自身のアイデンティティのように流動的なサウンドスケープを描き出している。

1stEP『FREE』は、個人的な変容の中を進む内省的で生々しい声としてリスナーに提示された。しかし真の転機となったのはデビューアルバム『WILD SOLACE』であり、これはアフリカ音楽シーンにおける大胆な新しい存在感の確立となった。脆さと希望に満ちた瞑想的なジャンル横断作品として高い評価を受け、その後も『AN ODE TO GROWTH』『CANDID(South African Music Awardsノミネート作品)』『IV』『GARDEN』『OUTLAW』と作品を続々発表。それぞれが、クィアで黒人、そして第三文化的背景を持つアーティストとしての実体験に根ざし、愛、トラウマ、喪失、癒し、アイデンティティ、セクシュアリティ、メンタルヘルス、社会的正義といったテーマを繊細さと確信をもって記録する“変容の記録”となっている。

メジャーな音楽が均質性を求めがちな現代において、ムーンガ・K.は独自の道を切り拓く稀有な存在であり、妥協なく、強い意志と明確なビジョンを持って前進し続けている。

6月のジャズ - ele-king

 ラキーシャ・ベンジャミンはニューヨークのドミニカ系住民の町出身の女流アルト・サックス奏者で、当初はサルサやラテン音楽を演奏していたが、その後ニュー・スクールに進学してジャズをやるようになる。ゲイリー・バーツ、ビリー・ハーパー、レジー・ワークマン、バスター・ウィリアムズといったジャズ界の大御所に師事し、なかでもバーツを通じてチャーリー・パーカー、ジョン・コルトレーン、ジャッキー・マクリーンなど歴史に名だたるジャズ・サックス奏者の演奏も学んだ。プロ・ミュージシャンになるとジャズはもちろん、R&B、ソウル、ファンク方面のアーティストとも共演し、ミッシー・エリオットやアリシア・キーズのツアーにも参加している。そうした多方面での活動の一方、2012年にファースト・アルバムの『Rotex』を発表する。これはR&Bやファンク寄りの内容で、2018年の『Rise Up』もジャズ・ファンクやファンク色の強いものだった。

Lakecia Benjamin
We Dream

Artwork

 彼女の真価が発揮されたのは2020年の『Pursuance: The Coltranes』。ジョン&アリス・コルトレーンの作品集で、師匠のゲイリー・バーツとレジー・ワークマンのほか、ロン・カーターという大ヴェテランから、ミシェル・ンデゲオチェロ、マーク・キャリー、ブランディ・ヤンガー、マーカス・ストリックランド、キーヨン・ハロルド、マーカス・ギルモアら現代ジャズの実力者たち、そしてディー・ディー・ブリッジウォーター、ジャズメイア・ホーン、ジョージア・アン・マルドロウらのヴォーカル陣と非常に豪華な布陣となった。ここでの演奏はコルトレーンの流儀に倣ったディープかつスピリチュアルなもので、UKのヌバイヤ・ガルシアに対抗する存在であることを印象付けるものだった。続いて2023年にテリ・リン・キャリントンとの共同プロデュースによる『Phoenix』を発表。パトリース・ラッシェン、ダイアン・リーヴスらが参加し、アンジェラ・デイヴィス、ソニア・サンチェス、ウェイン・ショーターらのスポークンワードやポエトリー・リーディングをフィーチャーしたこの作品において、ラキーシャの演奏は『Pursuance: The Coltranes』の路線を引き継ぐものだが、オリジナル曲によって作曲の才能も披露する。特に宇宙的な広がりを見せるスケール感のある楽曲は、カマシ・ワシントンのそれに匹敵するものだ。詩や歌、ヴォイスを交え、メッセージ性に富む作品のなかで、ラキーシャはサックスだけでなくヴォーカルやシンセ演奏もおこない、トータルでのサウンド・プロデュース力の高さも見せる。

 それから3年ぶりの新作『We Dream』がリリースされた。今回はヴェテランのテレンス・ブランチャードにはじまってクリス・ポッター、クリスチャン・スコット、日本人の上原ひろみや早間美紀らが参加しているが、そうしたなかで注目すべきはカッサ・オーヴァーオールが数曲にプロデューサーとして加わっていること。彼の手掛ける楽曲はビラルのヴォーカルや自身のラップなどもフィーチャーしており、これまでのラキーシャの作品にはなかった新しい風を吹き込んでいる。また、カッサとの共同作業に感化され、ラキーシャのサウンド・プロダクションもエレクトリックなアプローチが増しているようだ。その代表と言えるのがデジタル版のみの収録となる “Ascension”。コルトレーンのアルバムとは同名異曲だが、ここではブロークンビーツ的なリズム・プロダクションを見せ、自身のラップも披露している。カッサとの共同プロデュースでクリスチャン・スコットのトランペットをフィーチャーした “Mi Gente” は、スペイン語で私の仲間という意味。ラキーシャの民族的ルーツが表われた躍動的なアフロ・ラテン・ジャズで、彼女のサックスもエモーショナルな演奏を繰り広げる。テレンス・ブランチャードのトランペットをフィーチャーした “Beyond The Dawn” は重厚なモーダル・ジャズで、コルトレーンからゲイリー・バーツ、そしてラキーシャへと受け継がれたきたジャズ・サックス演奏の神髄を見せるものだ。


Moyses Dos Santos
Maria

Far Out Recordings

 モイセス・ドス・サントスはブラジルに生まれ、2000年代初頭にロンドンへ移住してきたベーシスト/作曲家。セッション・ミュージシャンとしてナイル・ロジャース、ジャネル・モネイ、エミリー・サンデー、グレゴリー・ポーター、オマーといったアーティストのツアーやレコーディング、楽曲制作に参加してきた。ブラジルの先達であるアジムス、アイアート・モレイラ、ラウル・ジ・スーザ、またブラジル音楽を取り入れた多くの楽曲を作ってきたジョージ・デュークなどに影響を受け、ジャコ・パストリアス、スタンリー・クラークなどエレクトリック・ベースの名手たちの演奏を学んできたモイセスのファースト・ソロ・アルバムが完成した。2022年にアジムスとツアーをした際、自分の祖父のように慕っていたドラマーのママォン(イヴァン・コンティ)から自身のルーツであるブラジル音楽に向き合いなさいと助言を受け、この『Maria』の制作はスタートした。ママォンは2023年に他界しているので、生前の恩師からかけられた最後の言葉だった。

 ミュージシャンとして腕を磨き始めた頃にブラジルの教会での演奏経験があるモイセスは、10代の頃にバトゥカーダ、マラカトゥ、バイアォン、サンバ、フレーヴォといったブラジルの多彩なリズムを演奏してきており、それらを融合して『Maria』は作られた。ゲストとしてシオ・クローカー、アルトゥール・ヴェロカイ、ロンドンの新進シンガーのリンダ・ドーンが参加しており、シオ・クローカーをフィーチャーした “Brazilian Spirit” は、深く美しいグルーヴに包まれたブラジリアン・フュージョン。シオ・クローカーのトランペットは往年のフレディ・ハバードのプレイに繋がるもので、全体に1970年代の〈CTI〉のクロスオーヴァー・ジャズのなかで、特にブラジリアン・フューッジョンに特化した作品を思い起こさせる感じだ。“Baiamba” はバトゥカーダ調のリズムを持つダンサブルなブラジリアン・ジャズで、影響からいうとアイアートが大きいだろう。“Encontrei Amor” も同様のサンバ調のナンバーだが、ディスコを融合したあたりはジョージ・デュークの作風に通じる。“Late Night” もジョージ・デュークやラウル・ジ・スーザあたりがやっていたブラジリアン・フュージョンとブギーが結びついたような作品。“Beira Mar” はレイド・バックした感じが心地よいメロウ・ブギー。マルコス・ヴァレやホブソン・ジョルジ&リンコン・オリヴェッチあたりからの影響が伺える作品だ。リンダ・ドーンをフィーチャーした “Saudade” は、アルトゥール・ヴェロカイが指揮するストリングスをバックにリンダ・ドーンがドリーミーに歌うブラジリアン・ソウル。“Maria” はモイセスの母親の名前を冠したナンバーで、美しいメロディやストリングスのアレンジなど、やはりヴェロカイにインスパイアされている。


Outer World Jazz Ensemble with Chip Wickham
The Kármán Line

ATA

 昨年は〈ゴンドワナ〉から『The Eternal World』をリリースしたチップ・ウィッカム。〈ゴンドワナ〉以外にもリーズのレーベルである〈ATA〉と親密な関係を結んでおり、同レーベルの看板バンドであるルイス・エクスプレスと共演した『Doo-Ha!』もリリースした。この度〈ATA〉からアウター・ワールド・ジャズ・アンサンブルという新しいグループが登場するが、そのアルバム『The Kármán Line』にもチップはゲスト・ミュージシャン的な立場で参加する。アウター・ワールド・ジャズ・アンサンブルのメンバーは明らかになっていないが、恐らく〈ATA〉に所属するミュージシャンたちの合同グループのようなもので、ルイス・エクスプレスはじめ、アブストラクト・オーケストラ、ソーサラーズ、ワーク・マネー・デスといったグループのメンバーが集まっているのだろう。なかでもルイス・エクスプレスのベーシストで、〈ATA〉の運営者でもあるニール・イネスがグループの中核を担っている。

 2年ほど前にチップとニールはツアーで東京を訪れた際、レコード屋巡りをしてユセフ・ラティーフ、デヴィッド・アクセルロッド、アリス・コルトレーンといったレジェンドたちの音楽についていろいろ語り合ったそうだ。その後リーズに戻り、そうしたインスピレーションを掘り下げる中でダンス・ジャズ的な方向から生まれたのが『Doo-Ha!』で、よりディープでスピリチュアルな方向から生まれたのが『The Kármán Line』である。“Kármán Cantata” は神秘的なムードに包まれたモーダル・ジャズで、チップ・ウィッカムのフルートはユセフ・ラティーフを連想させる。全体的な曲想や中間のピアノ・ソロなどはデヴィッド・アクセルロッドの『Song Of Innocence』(1968年)に通じるものがある。“Alto Vento” は6/8拍子のワルツ曲で、女性スキャットを交えてソウルフルなムードが漂う。アルバムのなかで比較的ダンサブルな作品と言える。“Earthly Elements” もダンス・ジャズ路線で、ルイス・エクスプレスの作品に近い。曲全体がファンキーなグルーヴに貫かれ、そのなかでブレスを交えたチップのフルートがアクセントとなっている。“Molecules” はゆったりとしたムードのスピリチュアル・ジャズで、ハープも交えた演奏はアリス・コルトレーンからの影響が伺える。〈ゴンドワナ〉にはマシュー・ハルソール率いるゴンドワナ・オーケストラがあるが、その〈ATA〉版と言えるのがアウター・ワールド・ジャズ・アンサンブルではないだろうか。


Moses Yoofee Trio
Chasing Light

Leiter

 昨年ファースト・アルバムの『MYT』をリリースし、新しいバンドがいろいろ登場するなかでも強烈な印象を放ったモーゼス・ユーフィー・トリオ。ドイツ出身のモーゼス・ユーフィー・ヴェスター(ピアノ)、ノア・ファーブリンガー(ドラムス)、ロマン・クローブ(ベース)から成るこのトリオは、ジャズにヒップホップやドラムンベースなどダンス・サウンドを融合し、ゴーゴー・ペンギンバッドバッドノットグッドなどに比する存在へ成長していくと期待を寄せられた。『MYT』自体は2024年に録音されたものだったが、2025年の9月にノイケルンのスタジオで新作のレコーディングがおこなわれ、それが『Chasing Light』となる。

 今回はシンガーを交えた作品も含め、よりダンサブルなサウンドに近づいている。マレーというヴォーカリストをフィーチャーした “Nothing To Loose” が代表で、ドラムンベースとダブステップの中間的な細かいビートを刻むドラムスを軸とした作品。ヴォーカリストの声質も含めてかつてのジェイムズ・ブレイクジョーダン・ラカイの作品に近いイメージだ。“Chasing Light” も人力ドラムンベース調の速いビートを持つ。力強いリズムの一方で弦楽四重奏による繊細でメロディアスな演奏もフィーチャーし、その対比も面白い。“Inner Circles” はヒップホップとアフロビートを融合したような風変わりなビートを持つ。ヴォコーダーかトーキング・モジュレーターのようなヴォイスも交え、ネオ・ソウルをフュージョン的に解釈した作品とも言える。“Kraut” はクラウトロックとジャズ・ファンクを結びつけたような作品で、即興演奏も持ち味とするモーゼス・ユーフィー・トリオらしさが表われた楽曲。比較的短い曲が多い『Chasing Light』のなかにあって、モーゼス・ユーフィーのエレピをはじめ、トリオのインタープレイがスリリングに展開していく。

Oyubi - ele-king

 〈TREKKIE TRAX〉イチオシのプロデューサー、Oyubiのデビュー・アルバム『White birch burns』が本日6月24日、リリースされている。
 2017年から東京を拠点に活動をはじめたOyubiは、フットワークを軸にしつつジャズからジャングルまで多様なバックグラウンドをもつプロデューサーで、これまで着々とシングルを発表、2025年は欧州ツアーをこなす一方で東/東南アジアの各地にも招かれたりと、活動の幅を広げている。
 初のフルレングスとなる今回のアルバムは、Oyubiが幼い頃に亡くなった父親との記憶、幼少期の風景を表現した、内省的な作品となっているようだ。なかなか聴きごたえのあるアルバム、これは要チェックです。

アーティスト:Oyubi(オユビ)
タイトル:White birch burns(ホワイト・バーチ・バーンズ)
レーベル:TREKKIE TRAX
発売日:2026年6月24日
フォーマット:CD / デジタル

■Tracklist

01. White noise peaks
02. Eye shaker
03. Kernelpanik!
04. Since I
05. Just arrive at Twiske
06. Otherworldly foe
07. Twisted funk
08. Gon be rich oneday
09. interlude 2
10. Oyubi & Fetus - Mood organ
11. Komade-ike
12. Lovin u

R.I.P. Miru Shinoda - ele-king

 突然の知らせに絶句する。去る6月20日土曜日、東京のバンド yahyel(ヤイエル)が声明を発表し、メンバーの篠田ミルが4月14日に亡くなっていたことが明らかになった。
 最近も『別冊ele-king 音楽は世界を変える』で取材したばかりだった。1992年生まれだから、まだ33歳か、34歳。あまりにも早すぎる逝去に動揺を隠せない。

 篠田ミルの音楽家としてのキャリアは2015年、まさにその yahyel をスタートするところからはじまっている。当時大学の仲間だった池貝峻(ヴォーカル)、杉本亘(シンセ/2019年脱退)、山田健人(VJ)らとともに結成された同バンドは、アンダーグラウンドのプロデューサーからシンガー・ソングライターへと転身したジェイムズ・ブレイクが大きな存在感を放っていた2010年代前半、その流れに連なるマウント・キンビーやホンネ、ライ、チェット・フェイカーといったアーティストから影響を受けていて、そうしたポスト・ダブステップとインディR&Bの合流をここ日本でも実現しようと奮闘する珍しいバンドだった。池貝によるブルージィなヴォーカルとIDM的なテクスチュアを特徴とする彼らのスタイルはファースト・アルバム『Flesh and Blood』(2016年)ですでに整えられ、以後セカンド・アルバム『Human』(2018年)やパンデミックの活動休止期間を挟んでからのサード・アルバム『Loves & Cults』(2023年)でますます洗練されていくことに。

 yahyel の復活と並走するかのように、2023年以降は篠田個人の動きも活性化していた。直近では butaji のアルバムでの仕事が耳に残るが、ラッパー ACE COOL の “虚無主義” をプロデュースしたり、2024年にはピアニストの原摩利彦とともにガザにまつわる共同プロジェクト「THEY ARE HERE」を始動させたりしつつ、相模原のベッドルーム・ラッパー、松永拓馬のアルバム『Epoch』を手がけてもいる。とくに後者、いい意味でつかみどころのない松永の発声を繊細な電子音でくるんでいく手腕は、パンデミック後のダンス・フィーヴァーにたいする解熱剤のようにも感じられた。
 そしてなにより2025年10月。篠田はEP「Pressure Field」で待望のソロ・デビューを果たしたばかりだった。これまでの経験を踏まえながら果敢にグリッチに挑んだ同作は、もしかしたら2020年代後半を牽引することになるかもしれない新たな電子音楽家の誕生を予感させるもので、じっさいこれは
ロレイン・ジェイムズの耳にとまり、去る11月28日のワットエヴァー・ザ・ウェザー東京公演では篠田が前座を務めるにいたっている(ちなみにこの日が、筆者が彼と直接対面した最後の日となってしまった)。

 もうひとつ、忘れてはならない功績がある。篠田が盟友 Mars89 らとともに2019年にはじめた抗議行動、〈Protest Rave〉だ。2003年のイラク反戦サウンドデモの精神を継承しつつ、渋谷や新宿のような超巨大繁華街、なかでもハチ公前、アルタ前、都庁前といったとりわけ目立つ場所で空間を占拠し、サウンドシステムを導入、メッセージとともに低音を轟かせる彼らは、文字どおり「一時的自律空間(T.A.Z.)」の紡ぎ手だろう。しかもそれを一回限りの記念イヴェントに留めることなく、こんにちまで継続しつづけてきている彼ら〈Protest Rave〉は、日本の音楽史および運動史における、けして小さくはない足跡のひとつとなっている。
 音楽家としても、ひとりの思惟する人間としても、いよいよこれからというタイミングだっただけに、ただただ残念でならない。

Crack Cloud - ele-king

 前回の来日からおよそ3年半。カナダのカルガリー&ヴァンクーヴァーを拠点とするバンド、クラック・クラウドの再来日公演が決定した。DJの村田タケルによる主催・企画で、9月9日から14日にかけ、青山(月見ル君想フ)、下北沢(BASEMENT BAR)、渋谷(CIRCUS)と都内3か所をまわる。各公演の詳細は下記よりチェック。

CRACK CLOUD TOKYO 3 SHOWS 2026 - 開催決定!

カナダ・カルガリー/バンクーバーを拠点に活動するポスト・パンク・バンド、Crack Cloud(クラック・クラウド)の、2022年以来となる2回目の来日公演が決定した。2026年9月に東京にて3公演が開催される。主催・企画は、インディー・パンク・レコードDJとして都内を中心に活動する村田タケル。

マルチメディア・コレクティブでもあるCrack Cloudは、ドラマー兼ボーカリストのZach Choyを中心に2015年に結成。2018年に2枚のEPをコンパイルしたセルフタイトルのアルバム『Crack Cloud』をリリースすると、同作収録の’Philosopher’s Calling’がCELINE MEN’S AW 2019-20 COLLECTIONのショーおよびキャンペーンのサウンドトラックに起用され、世界的な注目を集める。その後も『Pain Olympics』(2020年)、『Tough Baby』(2022年)、『Red Mile』(2024年)とコンスタントにリリースを重ね、2026年3月には最新作『Peace And Purpose』を発表。結成から10年の節目を経て生み出された本作は、更なるアバンギャルドな混沌と挑発に満ち溢れ、彼らが生き延びるための反抗の証となっている。

今回の来日公演では、各日に登場する気鋭のサポートアクトにも注目だ。
初日となる9日(水)は、Crack Cloudの盟友でもあるオランダ・ロッテルダムのポストパンク・バンド、Tramhaus(トラムハウス)が出演する貴重な一夜。深夜公演となる2日目の11日(金)は、DYGLのフロントマンNobuki Akiyamaが、Crack Cloud同様にドラムボーカルを務めるオルタナティヴ・ポストパンク・プロジェクト、Deadbeat Paintersが出演。そして最終日の14日(月)は、福岡から東京へ進出し、飛ぶ鳥を落とす勢いでインディロック・リスナーからジャズ・ファンまでからも注目を集めるaldo van eyckが出演する。さらに、各公演ではDJ(村田タケル/ナカシマセイジ/DP/SPOT/陸)も出演。強力なライブアクトのみならず、フロアを彩るDJ陣が加わり、エクスクルーシブなパーティーとしてショーを盛り上げる。

前回の2022年の来日公演では、圧倒的なパフォーマンスで全観客を驚異的な熱狂の渦に巻き込んだ彼ら。その後もリリースや世界規模のツアーを経て、さらなる深淵さ、エネルギー、カオスを獲得した。Crack Cloudのギグでしか摂取できない強烈な刺激を、ぜひ現場で体感してほしい。間違いなく見逃せない3日間となるだろう。

特別サイト
https://lit.link/crack-cloud-japantour2026

■公演詳細:
CRACK CLOUD TOKYO 3 SHOWS 2026

●DAY 1
9月9日(水) at 青山 月見ル君想フ
OPEN 18:30
LIVE START 19:15

-with Tramhaus
-DJ: 村田タケル

-TICKET
・ADVANCE (RESERVED) ¥8000
・DOOR ¥9000
※共に1Drink別

●DAY 2
9月11日(金) 【※深夜公演】 at 下北沢BASEMENT BAR
OPEN 24:00

-with Deadbeat Painters
-DJ: 村田タケル, SPOT, DP

-TICKET
・ADVANCE (RESERVED) ¥5000
・DOOR ¥6000
※共に1Drink別

●DAY 3
9月14日(月) at 渋谷 Circus Tokyo
OPEN 18:30
LIVE START 19:15

-with aldo van eyck
-DJ 村田タケル, ナカシマセイジ, SPOT, 陸

-TICKET
・ADVANCE (RESERVED) ¥6500
・DOOR ¥7500
※共に1Drink別

Vladislav Delay Quintet - ele-king

 フィンランド出身のサス・リパッティことヴラディスラフ・ディレイは、ダブ・テクノ、グリッチ、電子音響、即興演奏といった領域を横断しながら、電子音楽の可能性を拡張し続けてきた音楽家である。
 本作は、サス・リパッティ/ヴラディスラフ・ディレイによるヴラディスラフ・ディレイ・クインテット名義のアルバムだ。その名のとおりリパッティが考える「ジャズ」を実験・実践した作品である。だが、その「ジャズ」は一般的に語られるジャズとは異なる。ジャズ的でありながら、電子音響的でもあるのだ。
 ヴラディスラフ・ディレイのファンであれば、ヴラディスラフ・ディレイ・カルテット名義の作品群を即座に思い浮かべるだろう。実際、本作のサウンドはカルテット名義の発展形に位置づけられる。

 このように作品ごとに異なる名義を用いること自体が、リパッティの活動を特徴づける重要な要素でもある。ヴラディスラフ・ディレイ名義では『Anima』(2000)、『The Four Quarters』(2005)、『Tummaa』(2009)、『Vantaa』(2011)、『Kuopio』(2012)、『Visa』(2014)など、電子音響作品の重要作を数多く発表してきた。なかでも〈Raster-Noton〉から発表された『Vantaa』『Kuopio』は、緻密かつ重厚な音響設計を極限まで推し進めた代表作として知られる。また、ルオモ(Luomo)名義による『The Present Lover』(2000)はクリック・ハウスの名盤として高く評価されている。
 2020年代以降も、ヴラディスラフ・ディレイ名義の『Rakka』『Rakka II』、リパッティ・デラックス(Ripatti Deluxe)名義の『Speed Demon』、ダンス・フロア・クラシックス(Dancefloor Classics)名義の『Dancefloor Classics Vol. 1』『Vol. 2』、リパッティ(Ripatti)名義の『Fun Is Not A Straight Line』などを発表。未来的な電子音響から架空のダンスフロアのための音楽まで、その表現領域を広げ続けている。

 こうした複数の名義を用いて発表された作品群は電子音楽として語られることが多い。しかし私には、リパッティの創作の根底にはつねにジャズ的な感覚が存在しているように思える。彼はドラマーとしてキャリアをスタートさせており、即興演奏における身体感覚と時間感覚を身につけていた。完成された構造を反復するのではなく、生成し続ける時間に反応する態度、それが彼のジャズ的な側面だ。
 その感覚が鮮明に表れたのが、2011年のヴラディスラフ・ディレイ・カルテット(Vladislav Delay Quartet)『Vladislav Delay Quartet』だった。ミカ・ヴァイニオ、ルシオ・カペーチェ、デレク・シャーリーとの共演による同作は、ジャズ編成を採用しながらもテーマやソロを中心とする伝統的形式から離れ、持続音やノイズによって空間そのものを変容させる作品だった。電子音響とノイズ、そしてジャズという一見相反する要素を融合した成功例であると断言したい。

 今回発表されたヴラディスラフ・ディレイ・クインテット(Vladislav Delay Quintet)の『Vd5』は、カルテットにおける実践と実験の発展形といえる。彼らは2025年にBandcampのサブスクライバー専用の配信で『vd5 2025』を発表しているが、フィジカル盤も含む一般向けのリリースは、今回の『Vd5』が初となる。
 リリース・レーベルはヘルシンキの実験的ジャズ・レーベル〈We Jazz Records〉である。DJのマッティ・ニヴズ(Matti Nives)が主宰し、カール・ストーンらの作品も送り出してきた同レーベルは、ヴラディスラフ・ディレイ・クインテットの音楽性と極めて親和性が高い。

 アルバム・タイトルのとおり、編成は五重奏である。参加メンバーには、リカルド・ヴィラロボスとのコラボレーションやモーリッツ・フォン・オズワルド・トリオのメンバーとして知られるマックス・ローダーバウアー(ピアノ、エレクトロニクス)、そしてデンマークのインプロヴァイザーであるマリア・バーテル(トロンボーン)が新たに加わった。一方、ルシオ・カペーチェ(サックス)と、マサヨシ・フジタとの共演でも知られるデレク・シャーリー(ベース)はカルテットから引き続き参加。リパッティ自身はエレクトロニクス、プロダクション、ミックスを担当している。

 本作を特徴づけているのは、ジャズ・アンサンブルが電子音響へと変容していくような感覚だ。リパッティはジャズという身体的な形式を再編成し、管楽器やベース、ピアノを旋律や和声の担い手ではなく、「音響」として扱っている。その結果、どこまでが生演奏でどこからが電子処理なのか判別できなくなる。音は演奏者から切り離され、空間を漂う存在へと変化していくのである。
 アルバムには全10曲を収録。1曲目 “Two” ではローダーバウアーのピアノと透明な電子音が空間を形成し、やがてノイジーなベースが脈打ち始める。テーマやソロを中心とした展開はなく、各楽器は巨大な音響の流れへ溶け込んでいく。2曲目 “Twelve” ではトロンボーンとサックスが旋律楽器というより、空間に亀裂を生じさせる装置として機能する。ジャズ的なフレージングは現れるものの、次第に拍節感は曖昧になっていく。1970年代の電化マイルスを電子音響化したような楽曲であり、各演奏者の音は音響レベルで相互に浸透していく。
 3曲目 “Nineteen” ではリパッティらしい電子音響が前景化する。断片化されたリズムはグリッチやインダストリアルを想起させ、その背後では管楽器が不穏な持続音を引き延ばしている。4曲目 “Nine” は、本作では珍しくほぼ未加工のサックス演奏を軸に展開する。真夜中のざわめきのようなノイズが交錯しながらも、アルバムのなかでは比較的ジャズに近い印象を残す。5曲目 “Fourteen” では硬質なドローンが展開し、6曲目 “Thirteen” では管楽器やピアノの輪郭が現れながらも粒子状に分解されていく。この2曲においては管楽器が持続音と旋律の双方を担う重要な役割を果たしている。
 7曲目 “Twenty” は本作でもっともアコースティックな響きを持つ楽曲だ。無調的なピアノにノイズとかすれた管楽器が重なり、静謐な空間へ傷を刻むように響く。後半ではノイズとピアノによる美しいアンサンブルが展開される。8曲目 “Fifteen” では管楽器の単純な反復にノイズが非同期的に重ねられる。インダストリアルなムードが濃厚で、どこか壊れた行進曲を思わせるサウンドである。
 終盤の9曲目 “Ten” と10曲目 “Three” では電子音響とアコースティック楽器の境界はほぼ消失する。そこで展開されるのは、高い精度を備えたドローン/アンビエントであり、どこか雅楽を思わせるような響きも印象的だ。

 『Vd5』はジャズでも電子音楽でもアンビエントでもインダストリアルでもありながら、そのどれにも属しきらない。管楽器の呼吸やベースの振動、ピアノの打鍵は抽象化され、「演奏された音」としての輪郭を失う。しかしそれは演奏の否定ではなく、アコースティックな音の物質性を極限まで拡張する試みである。
 リパッティはこれまでヴラディスラフ・ディレイ名義でダブ・テクノや電子音響を更新し、ルオモ名義でクリック・ハウスを刷新してきた。そしてカルテットからクインテットへと続くプロジェクトでは、ジャズそのものの音響化を推し進めている。
 いわゆる「電子音楽家によるジャズ作品」を期待して聴けば、その異様なサウンドに戸惑うかもしれない。しかし予想を裏切り続けることこそが、ヴラディスラフ・ディレイというアーティストの本質なのである。彼は「音楽とは何か」という「問い」そのものを常に解体するのだ。

Cornelius - ele-king

 先行シングル曲の「夢寝見」〜「Aeons」、すでに評判になっていますね。期待が高まるコーネリアスの3年ぶりのアルバム『Refractions』、発売(8/19)までまだ時間がありますが、ここにきて、コーネリアスからまたも新情報。

 デジタル・シングル「Aeons」が好評配信中のコーネリアスが、前作アルバム『夢中夢』のリリース前から現在までのライヴ・ワールドツアーをまとめたドキュメンタリー映像を解禁。Youtubeにて公開中である。
Cornelius "Dream in Dream" Tour Document Episode 1
YoutubeURL : https://youtu.be/8tQnxt2wxQA

 同映像は全4回の配信を予定しており、今回はその1回目。ライヴ活動の再開となった2022年7月30日のフジロックフェスティバルから、東南アジアツアー、2023年のオーストラリアツアーまでの映像が公開された。今回の映像では出演した各地の音楽フェス、インドネシア(ジャカルタ)“JOYLAND”、タイ(バンコク) “Maho Rasop Festival”、オーストラリア(メルボルン) “RISING”、(シドニー)“Vivid Sydneyに出演時の様子などが堪能でき、9月10日から開催される国内ツアー“REFRACTIONS TOUR 2026”への期待が高まる。

 また、ニュー・アルバム『Refractions』を携えた全国ツアーの開催も決定。
 本日18:00よりチケット二次先行受付がスタート。「Refractions」のカセットテープが付いた特典付きチケットは今回が最終受付となるため、ご希望の方はお早めに。

■CORNELIUS REFRACTIONS TOUR 2026
9/10(木) 神奈川・KT Zepp Yokohama
9/12(土) 広島・広島クラブクアトロ
9/13(日) 福岡・Zepp Fukuoka
9/19(土) 北海道・Zepp Sapporo
9/22(火/祝) 愛知・Zepp Nagoya
9/23(水/祝) 大阪・Zepp Namba (OSAKA)
9/26(土) 宮城・仙台PIT
10/2(金) 東京・Zepp Haneda (TOKYO)
10/3(土) 東京・Zepp Haneda (TOKYO)
10/6(火) 東京・Zepp Shinjuku (TOKYO)

CORNELIUS REFRACTIONS TOUR 2027
6/19(Sat) Barbican Centre (LONDON)

■チケット二次先行受付
受付期間:2026/6/10(水)18:00~2026/6/21(日)23:59  
受付URL:https://l-tike.com/cornelius/

『Refractions』
(CD/WPCL-13774/¥3,300+税)
Linkfire : https://cornelius.lnk.to/refractions

※CDショップ特典:以下の対象店舗でご予約・ご購入で先着で特典をプレゼント。
Amazon.co.jp メガジャケ
楽天ブックス:缶バッジ
セブンネットショッピング:レコードモチーフコースター
その他CDショップ:ステッカー

■「Aeons」Digital Single
配信URL:https://Cornelius.lnk.to/aeons
配信元:ワーナーミュージック・ジャパン
Music Video : https://youtu.be/14-VSYqIRWw

■「Aeons Tシャツ」
「Aeons」の発売を記念したTシャツをWarner Music Storeにて販売開始。
サイズ:S・M・L・XLの4サイズ展開

Warner Music Store:https://store.wmg.jp/collections/cornelius/products/6661

■LIVE情報

WORLD HAPPINESS 2026
6/28(日) 代々木第一体育館 

SUMMER SONIC 2026
8/15(土) MAKUHARI MESSE
8/16(日) EXPO‘70 COMMEMORATIVE PARK

【Cornelius Profile】
1969年東京生まれ。
1989年、フリッパーズギターのメンバーとしてデビュー。
バンド解散後1993年、Cornelius(コーネリアス)として活動開始。
現在まで7枚のオリジナルアルバムをリリース。
自身の活動以外にも、国内外多数のアーティストとのコラボレーションやREMIX、
インスタレーションやプロデュースなど幅広く活動中。

DJ Stingray 313 - ele-king

 待望の、とはまさにこのこと。7月10日(金)、デトロイトのDJスティングレイが2019年以来、ひさびさの来日を果たす。会場は、メイン・フロアのO-EASTとセカンド・フロアの東間屋から成る「MIDNIGHT EAST」。ヨーロッパでは引っぱりだこの最強のカード、そのパフォーマンスを東京でも体験できる絶好の機会、と。
 1990年にカール・クレイグのレーベル〈Retroactive〉からデビュー、アーバン・トライブとして〈Mo' Wax〉や〈Rephlex〉、ムーディマンの〈Mahogani Music〉からアルバムを送りだしてきた彼は、他方、ありし日のドレクシアのツアーDJとして活動していたことでも知られる。故ジェイムズ・スティンソンより賜ったその名のもと、ソロ・アーティストとしてはおもにベルギーの〈WéMè〉から作品を発表、ドレクシア譲りのエレクトロ・サウンドを轟かせてきた(数年前にリイシュー)。当日はまさにそのスタイルを披露してくれる予定のようだ。
 O-EASTではKABUTOとSAKUMAが、東間屋ではMAYUDEPTH×Akey、NYAO、ADAK7、SOGIがそれぞれ公演をサポート。きっと梅雨も明けているだろう夏の夜、いざ深海へ。

デトロイト・エレクトロのアイコンDJ Stingray 313、7年ぶりの来日決定!

【公演情報】
イベントタイトル:MIDNIGHT EAST invites DJ Stingray 313
2026年7月10日(金)
OPEN / START 23:00

LINE UP:
=O-EAST=
DJ Stingray 313
KABUTO
SAKUMA

=AZUMAYA=
MAYUDEPTH B2B Akey
NYAO
ADAK7
SOGI

DJ Stingray 313として知られるデトロイト出身のDJ/プロデューサーSherard Ingram は、自身とCarl Craig、MoodymannことKenny Dixon Jr.、そしてAnthony Shake ShakirからなるプロジェクトUrban Tribeの創設者であり、James Stinsonによる伝説的なユニットDrexciyaのツアーDJとしても活動していたベテランだ。2010年代後半に起こった高速エレクトロの再興によって、彼は真に世界中から注目される存在となり、現在はアンダーグラウンドクラブミュージックシーンにおいて最も多忙なDJの一人として、ベルリンを拠点に毎週末各地を飛び回っている。
今回Stingrayは、O-EASTメインフロアのパワフルなサウンドシステムで、自身のシグネチャーサウンドであるエネルギッシュなエレクトロ/テクノを披露。ローカルからは国内外のヘッズから熱く支持される存在であり、Stingrayとは2013年以来の共演となるKABUTO、そして渋谷WOMBでModestを主催するSAKUMAが決定した。
東間屋フロアではエレクトロニックミュージックパーティーVITALの共同オーガナイザーMAYUDEPTHとAkeyがB2Bセットを披露するほか、西麻布Trafficを拠点としaxiom、DtRMを主催するNYAO、テクノを軸にエクスペリメンタルな要素を織り交ぜ、リスナーを美しい混乱へと導くADAK7、そしてSlow Techno CrabのオーガナイザーSOGIがプレイする。

Sherard Ingram, a Detroit-born DJ and producer known as DJ Stingray 313, is a veteran who founded the Urban Tribe project—featuring Carl Craig, Kenny Dixon Jr. (aka Moodymann) and Anthony ‘Shake’ Shakir—and also served as the tour DJ for James Stinson’s legendary duo Drexciya. The resurgence of fast-paced electro in the late 2010s propelled him into the global spotlight, and he is now one of the most in-demand DJs in the underground club music scene, touring around the world from his current home in Berlin every weekend.
Stingray will showcase his signature sound of hi-octane electro and techno on our main floor’s powerful sound system. He’ll be joined by the local hero KABUTO (they also shared the lineup in Tokyo back in 2013) and the Modest organiser SAKUMA.
In Azumaya, MAYUDEPTH and Akey will play back-to-back (they co-organise the electronic music party VITAL). Also NYAO, a DJ based at Nishiazabu Traffic and the organiser of axiom / DtRM, ADAK7 who weaves experimental elements into techno, guiding listeners to the state of beautiful confusion, and SOGI, the organiser of Slow Techno Crab are on the bill.

※U25チケットは当日券のみの販売になります。(要顔写真付き身分証明書)
※20歳未満入場不可。(要顔写真付き身分証明書)
※出演者は予告なく変更になる場合がございますので、予めご了承ください。
※客席を含む会場内の映像・写真が公開されることがあります。

※UNDER 25 tickets are only available at the DOOR. (Photo ID required)
※Must be 20 or over with Photo ID to enter.
※Please note that the performers are subject to change without notice.
※Please be aware that videos and photos during the event, including the audience, may be released.

Riria(STARFESTIVAL 2026) - ele-king

 ここ1年ほどで急速に注目度を高めている日本のDJがいる。彼女の名はRiria。出身は東京だが、普段はロンドンで活動している若手ホープだ。なので日本では滅多にそのプレイを体験する機会に恵まれないわけだけど、このたび〈STAR FESTIVAL〉に出演するとのことで京都は南丹(なんたん)まで足を運んできた。風の噂で聞く評判をこの目でたしかめてみなければ、と。

 なんて気持ちのいいフェスティヴァルなんだろう──それが初めて〈STAR FESTIVAL〉に参加した率直な感想だった。京都駅から山陰本線で園部駅へ、さらにその先に広がる山々をクラブ・ミュージックが支配する──2013年に初開催されて以降、キャンプ場「府民の森ひよし」をホームに継続されている同フェスは、心斎橋と渋谷でクラブを運営するCIRCUSの主催によるものだ。
 いや、もう、とにかく、開放感がすさまじい。晴れていたのも僥倖だったが、空間にたいしてオーディエンスが多すぎないのが最高で、子連れも目立つし、芝生をすべったりキャッチボールに熱中したり、ダンス以外のことでエンジョイしている方々もけっこうおられる。ミニマルな超高層ビルの谷間で鬱々とモニターを眺めつづける日常とは真逆の環境──正直なところ、これまでこのフェスに参加しなかったことを大いに後悔してしまった。

 会場に到着して少し経ったころ。東京のDJ、nasthugによるプレイがスタート。いろんなリズムが投下されていくなか、やはりジャングルやダブステップなどがかかるとおのずから気分が盛りあがってくる。バトンを受けとったのはニュージーランド出身でイギリス在住のレディ・シャカ。こちらもルーツ・レゲエからジャングル、ハウス~UKGなどさまざまなスタイルが入り乱れるが(マーシャル・ジェファーソン “Move Your Body” のリフを用いた曲にはぶちあがった)、全体的にUKサウンドシステム文化の太い芯が通っている印象だ。その後は横浜出身のラッパー、ralphがステージに立ちがらりと空気を変える。その高速ラップ自体も吸引力があるのだけれど、グライムやUKGをベースとするDouble Clapperzのトラックのおかげで、ふだんラップばかりを聴いているわけではないリスナーでもすんなり入っていけるところがやはり彼の音楽の最大の魅力だと再確認した次第。
 と、このように「STAGE 02」は雑多でありつつもおおむねベース・ミュージックのラインに沿ったブッキングだったわけだが、折をみてちょこちょこ「STAGE 01」も視察。こちらでは〈FUTURE TERROR〉出身、〈DAZE OF PHAZE〉主宰のKABUTOが極上のテクノ・セットを披露していて、これまた至福のひとときだった。

 そうこうしているうちに18時少し過ぎ。ちょうど日が暮れおもむろに暗くなっていく絶好の時間帯、お目当てのRiriaの出番がまわってくる。すでに10代のころからDJをはじめていたという彼女は、2024年の「Boiler Room: Tokyo」への出演で一気にブレイクを果たした果報者だ(動画はすでに500万再生を突破)。そのときのセットはアフロ・ハウスからイタロ、ハードコア、TNGHTからKポップまで多様な曲が錯綜するスタイルで、ポスト・パンデミック時代のトレンド、なんでもござれを体現するプレイだった。
 けれどもこの日、そのイメージは一気に覆されることになる。軽快なUKガラージのリズムに導かれてはじまったセットは、途中ラガっぽい曲やベースメント・ジャックス、断片的なジャングルなどを挟みつつも、基本的にはそのままUKGのリズムが全体を貫くことに。
 この目移りしないスタイルは会場も大いに湧かせ、19時台にはオーディエンスの熱も最高潮に達する。終盤、おそらくはリアーナのカヴァーとおぼしき曲(リズムはもちろんUKG)では、ミュートの瞬間、観客たちが合唱しているのがわかって驚かされた。このあたりでブースにヘッドライナーのDJハイプが姿をみせる。トリを前にオーディエンスをベストなテンションに導くというミッションを無事こなし終えたRiriaは、満面の笑顔でステージを後にするのだった。

 ヴァラエティよりも一貫性──その変化にはここ1年ほどのあいだ、彼女がヨーロッパ各地でプレイしてきた経験が反映されているのだろう。もしかしたら、「Boiler Room: Tokyo」のときはまだ迷いがあったのかもしれない。あるいは(背後に客がいるとはいえ)オンライン配信であるがゆえの反応の見えなさ、すなわち不特定多数という魔物の討伐法を、まだ1年前の彼女は見つけきれていなかったのかもしれない。その後、顔の見える舞台を数多く踏んできた結果としてUKガラージが選択されたことは注目に値する。なぜならそれは、ふだんぼくらが気軽には接することのできないヨーロッパのクラブ・シーンにおけるモードが、いまUKGに移行していることのあらわれでもあるからだ。
 と、現時点でひとつの型を獲得したRiria。ここからさらにどのように変化していくのか、今後の彼女の飛躍が楽しみだ。

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Riria (STAR FESTIVAL 2026)
@ Fumin no Mori Hiyoshi (Happiro! no Mori, Kyoto)
Saturday, 16 May 2026

written by Takune Kobayashi

 There’s a Japanese DJ whose stock has risen sharply over the past year or so. Her name is Riria. Tokyo-born but based in London, she’s one of the bright young hopes of the moment — which means chances to catch her play on home soil are few and far between. So when word came that she’d be appearing at STAR FESTIVAL, I made the trip all the way out to Nantan in Kyoto. The reputation I’d been hearing on the grapevine was something I had to
see for myself.

 What a wonderful festival. That was my honest first impression of STAR FESTIVAL. From Kyoto Station you ride the San’in Main Line to Sonobe, and out beyond it club music takes command of the surrounding mountains. First held in 2013, the festival has run ever since with the “Fumin no Mori Hiyoshi” campground as its home, organised by CIRCUS, the crew behind clubs in both Shinsaibashi and Shibuya.
 The sense of openness is, frankly, staggering. The fine weather was a stroke of luck, but the best part was that the site never felt overcrowded. Families with kids everywhere, people sliding around on the grass or lost in games of catch — plenty of folks enjoying themselves doing things other than dancing. The polar opposite of daily life spent staring gloomily at a monitor in a canyon of minimalist high-rises. In all honesty, I found myself deeply regretting that I’d never made it to this festival before.

 A little while after I arrived, Tokyo DJ nasthug got things underway. Amid all the rhythms being thrown down, it was inevitably the jungle and dubstep that lifted the mood. Taking the baton next was Lady Shaka, New Zealand-born and UK-based, whose set likewise wove through every style going — roots reggae, jungle, house, UKG (a track built on the riff from Marshall Jefferson’s “Move Your Body” sent me into orbit) — yet with a thick spine of UK soundsystem culture running through the whole thing. After her, Yokohama rapper ralph took the stage and changed the air entirely. His rapid-fire delivery has a pull all its own, but it’s the grime- and UKG-rooted productions of Double Clapperz that let even listeners who don’t normally reach for rap slip straight in — a reminder, once again, of the single greatest
charm of his music.
 So while STAGE 02 was a grab-bag, its bookings broadly held to a bass-music throughline. Now and then I’d slip over to scope out STAGE 01, where KABUTO — a FUTURE TERROR alumnus and head of DAZE OF PHAZE — was delivering an exquisite techno set. Another moment of pure bliss.

 Before I knew it, it was a touch past six. Right in that golden window as the sun went down and the dark slowly drew in, the DJ I’d come for — Riria — took her turn. Already DJing since her teens, she’s the lucky one who broke through in a single stroke with her 2024 Boiler Room: Tokyo appearance (the video has now sailed past five million views). That set was a tangle of everything at once — afro house, italo, hardcore, TNGHT, even K-pop — the very picture of the post-pandemic, anything-goes trend.
 On this day, though, that image was overturned in an instant. Opening to a light, nimble UK garage groove, the set — punctuated here and there by ragga-leaning cuts, Basement Jaxx, scattered fragments of jungle — was fundamentally carried, end to end, by UKG.
 That single-minded approach had the crowd in raptures, and by the seven o’clock hour the heat had hit its peak. Late in the set, on what was almost certainly a Rihanna cover (UKG rhythm, naturally), the music cut to a mute — and I was startled to catch the crowd singing along. It was around here that headliner DJ Hype appeared at the booth. Mission accomplished — the audience primed to exactly the right pitch ahead of the closer — Riria left the stage with a beaming smile.

 Consistency over variety. That shift surely reflects the year or so she’s spent playing across Europe. Perhaps at Boiler Room: Tokyo there was still some hesitation in her. Or perhaps — broadcasting online, even with a crowd at her back — she hadn’t yet cracked how to read a response she couldn’t see, how to slay that particular beast: the faceless, anonymous many. That she arrived at UK garage only after racking up so many stages where she could see the faces in front of her is worth dwelling on. Because it’s also a signal that the prevailing mode of the European club scene — the one we can’t easily get close to from over here — is now
tilting toward UKG.
 And so, for now, Riria has found a form of her own. Where she takes it from here is exactly what makes the next leap so worth watching.

Keigo Tatsumi - ele-king

 never young beachのベーシスト、巽啓伍が2024年に発表したソロ・アルバム『AT US』。同作が6月12日にヴァイナルでリリースされることになった。マスタリングは畠山地平が担当している。
 また巽は、6月13日に野口晴哉記念音楽室でおこなわれる、原雅明によるリスニング・イヴェントや、6月27日に高輪ゲートウェイシティで開催されるフェス〈NU FESTIVAL 2026〉への出演も決まっている。
 詳細は下記より。

never young beachのベーシスト・巽啓伍、ソロ作品『AT US』が6月12日にヴァイナル化。マスタリングはChihei Hatakeyamaが新たに担当。

never young beachのベーシスト・巽啓伍が2024年10月に発表した初のソロ作品『AT US』が、レコードLPフォーマットで2026年6月12日(金)にリリースされることが決定した。

アメリカのアンビエントレーベル〈Mystery Circles〉からカセットテープおよびデジタルで発表された本作は、写真家・タケシタトモヒロが単身アメリカを横断して撮影した写真展『Across the United States』の場内音楽を端緒に書き下ろされたオリジナルサウンドトラック。
ICレコーダーで録音されたロードトリップ中の環境音が随所に散りばめられ、異国の人として旅をする人間の精神状態や思考の変化を疑似体験できる内容となっている。
今回のレコード化にあたり、マスタリング・エンジニアとして新たに世界的なアンビエント/ドローン作家でもある畠山地平(Chihei Hatakeyama)を起用。アナログレコードならではの豊潤な奥行きと立体感が引き出され、肉体的な楽器の音と分離する環境音の混ざり方は、ロードトリップの景色をさらに深い解像度で響かせる仕上がりとなった。
なお、本作にはライナーノーツが封入されており、執筆は昨年『アンビエント・ジャズ -マイルス・デイヴィスとブライアン・イーノから始まる音の系譜-』(P-VINE)を上梓したライターの原雅明が担当している。
発売日翌日の6月13日(土)には、リスニングイベント『Dual Experience in Ambient/Jazz』へのゲスト出演も予定されている。
同イベントは、ライナーノーツを担当した原雅明が東京都狛江市の「野口晴哉記念音楽室」で主催しているリスニングイベントで、当日はそれぞれがテーマに基づいた選盤のほか、原と巽によるトークも行われる。

さらに、6月26日(金)〜28日(日)に高輪GATEWAY CITYで開催される「NU FESTIVAL 2026」へのライブ出演も決定している。
音楽/アート/テクノロジーが交わり、都市全体を舞台に新しい表現と体験を生み出すフェスティバルとして今年初開催となる同イベントには、本作のマスタリングを担当したChihei Hatakeyamaや冥丁(MEITEI)に加え、William Basinski、Nathan Fakeといった海外勢もラインナップされている。

【リリース情報】
アーティスト:巽啓伍(Keigo Tatsumi)
タイトル:AT US
フォーマット:LPレコード
発売日:2026年6月12日(金)
レーベル:Mystery Circles

◯楽曲リンク
https://lnk.dmsmusic.co/keigotatsumi_atus/
◯アーティストSNS
https://www.instagram.com/keigo_tatsumi/


【イベント情報】
■ Dual Experience in Ambient/Jazz

日時:2026年6月13日(土)
会場:野口晴哉記念音楽室
OPEN 16:00 / START 17:00
¥3,000 + 1drink order
※ Limited seatings / reservation only

出演:
Masaaki Hara
Keigo Tatsumi

ご予約:
全生新舎 Instagram DM
https://www.instagram.com/zenseishinsha/

■ NU FESTIVAL 2026
2026年6月26日(金) 12:00-22:30
2026年6月27日(土) 12:00-23:00
2026年6月28日(日) 12:00-23:00
※ Keigo Tatsumiの出演は6月27日(土)

会場:
<NU Live>
TAKANAWA GATEWAY Convention Center LINKPILLAR Hall
<NU Art>
MoN Takanawa: The Museum of Narratives(Box300 / Tatami)
<NU Station>
高輪ゲートウェイ駅 南改札外3Fテラス
<NU Park>
高輪ゲートウェイ駅前 Gateway Park

オフィシャルサイト:
https://nufestival.jp

公式SNS:
https://www.instagram.com/nu_fes_tokyo/
https://x.com/nu_fes_tokyo

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