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2020年が明けてまもなく、tiny popにフォーカスしたコンピレーションアルバム『Here’s that tiny days』が発売されました。このCDの発売をきっかけに、tiny popというジャンル名がさらに 多くの人に届いたように思われます。
tiny popとは、インターネット普及以降に音楽を始めた世代を中心にした、あらたなポップス の潮流について何とはなしにつけられた呼称です。それは宅録によるパーソナルな表現でありつ つ、過去の歌謡曲やポップスの構造をどこか継承してもいるという特徴をもっていますが、それ ぞれのアーティストの表現の仕方や、めざす音像などはさまざまで、はっきりした定義があるわ けではありません。
この記事ではネット上に公開されている、そんなtiny popと呼べるような曲をいくつか紹介し ていきたいと思います。今回は国内にかぎらず国外の曲も選んでいます(今回の選曲はフランス にやや偏ってしまいましたが......)。2020年もたくさんのtinyな出会いがありますように! enjoy !
・九丁目/はんてん
どろうみのメンバーであるセキモトタカフミ氏の曲をカバーしていたことから知ったアーティス ト。自身のルーツが反映されているというこの曲は、60年代前後の歌謡曲を思い浮かべるこっ てり系メロディーと打ち込みサウンドの組み合わせが面白い。
https://soundcloud.com/hantenattayo/ho146dmmmapk
・今日だけじゃなくて/nagahori25
nagahori25は、2012年8月から作曲を始め、主にsoundcloud上で曲を発表している。 どこか浮遊感のあるトラックに、親しみやすいメロディが合わさる不思議な魅力。サンクラ上に は大量の作品がアップロードされており、どの曲も新鮮で聴いていて楽しい。今回紹介したアカ ウント以外にもう一つアカウントがあり、そちらの名曲「全部ゆめ」も必聴。
https://soundcloud.com/nagahori25_part2/kyoudake
・東京無料配布中/フリーダム昼子
フリーダム昼子は東京を拠点に活動しているアーティスト。 東京へのラブソングというこの新曲は、メロディラインはポップでありつつも、曲の展開やト ラックの構成の進行が予想外で面白い。
https://soundcloud.com/fdhk_you/take_tokyo_for_free
・北京の水夫/ナントカズ
ナントカズは長野県を拠点に活動するアーティスト。 歌謡曲というより民謡風のメロディと最小限の楽器(テノリオン・カオシレーターなど電子楽器 とギターや鉄琴などの生楽器を使用しているらしい)で構成された伴奏から、そこはかとないサ ウダージを感じる。いくつかアップされているライブ音源もいい。
https://soundcloud.com/nantokas/9yszkmkgrzhy
・アマリリス/dodo
dodoはうちだあやこと不知火庵による2人バンド。このライブ音源は、uccelli、ごとうはるかの 2名がサポートに加わった4人体制のもの。 この曲は2019年8月の大阪ライブで聴いて衝撃を受けました(特にサビの手前「時の流れは激し いもので」の箇所の流れは何度もくりかえし聴きたくなる)。アマリリスは不知火氏が作曲した もの。うちだ氏作曲の「なにもかも」もおすすめ。「水泳」も名曲です。
https://soundcloud.com/dododododododododo/amaryllis-live-at-nanahari-on-20190331
・最後の约会/馬渕モモ
馬淵モモは京都のポップデュオHi, how are you?のメンバー。 アップロードされている曲の日付はどれも今年のものばかり。強風に吹き飛ばされてしまいそう なほどに控えめでチャーミングなボーカルによって歌われる歌謡曲。70~80年代アイドルソン グ風の一曲「メロウ・サマー」も一押し。
https://soundcloud.com/user-57665187/htsufkjp3tce
・恋はパキパキ(架空アイドル)/kumaki & yuki
yukifurukawaはポーコスなどのバンドで活動するアーティスト。この曲はyukifurukawaの別名義 (?)のkumaki & yukiのものと思われる。 シップスクラークか!シップスクラークか!という箇所は一度聴くと病みつきに。この一曲は他 にアップされているものとは異なるポップなサウンドとなっている。ポーコスの音源も素晴らしい。
https://soundcloud.com/ykfrkw/ezrz8qsg6ccm
・誰かが捨てた夢/pikonosuke
pikonosukeは東京で活動するアーティスト。 #Latinというタグのとおり、サンバ風のチャカポコサウンドが魅力的な一曲。展開に大きな高低 差のないことが、かえってメロディーの良さを引き立てている。
https://soundcloud.com/pikonosuke/album-version
・秘密の扉/素敵な回路
素敵な回路はいしいともや氏による1人ユニット。 なんど聴いてもその慎ましさに感じ入ってしまうこの曲は、suppa micro pamchoppプロデュー スのアルバム『回路』に収録されているもの。水滴のようにも聞こえる電子音が気になるが、ど んな機材を使っているのだろうか。
https://soundcloud.com/sutekinakairo/qho8s1rbi2qv
・Combien de mondes/Gajeb
フランスのアーティスト。1人ユニットなのかと思い込んでいたが4人グループらしい。 電子楽器をベースとしたトラックに、あまりエフェクトのかかっていない、独り言のようなボー カルがいい。
この曲が収録されているアルバム『Gajeb et ses ami.e.s reprennent des chansons de Jean-Luc le Ténia』はGajeb以外にも複数のアーティストが参加しているようだが、フランスのtiny popコ ンピレーションアルバムなのかというくらいどれも素晴らしい。
https://soundcloud.com/gajeb/combien-de-mondes
・bandcamping/maison carton
フランスのアーティスト。 子供の声のような気がするが、詳細不明(bandcampのアーティスト写真も2人の子供の写真が 使われている)。キーボードがメインかと思って聴いていると突然いかついギターソロが入って くる曲もあり驚いた。フランスではライブもしているらしいが、どんなライブなのだろうか...... 。この曲につけられた#loose musicというタグには納得させられた。
https://soundcloud.com/maisoncarton/bandcamping
・port-royal/Laura Madeleine Juliette
フランスのアーティスト。アップされている中でもメロディがはっきりとしたものを選んだが、そのほかにもラップ調のも の、インストなど色々ある。とくにこの曲はtiny pop好きのセンサーが反応してしまう一曲なの ではないかと思い選んだ。
ベルギーの“Musique Muscle”というレーベルから出ているコンピに一曲参加しており( https://soundcloud.com/user-597893369/13-laura-madeleine-juliette )こちらのコンピも全曲tiny popでおすすめ。
https://soundcloud.com/laura-mad-ju-818895703/port-royal
・Ya me voy a mi Lanalhue/dadalu
チリのアーティスト。最近はラップの曲が多いようだが、この曲のようなメロディアス系tiny popも複数ある。間奏の センチメンタルなシンセのメロディが良い。Chica king kong (https://soundcloud.com/chicakingkong)というグループのメンバーでもあるらしいが、こちら もキュートなナンバーが揃っておりおすすめ。
https://soundcloud.com/dadalu/ya-me-voy-a-mi-lanalhue