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intervew with S.L.A.C.K.

intervew with S.L.A.C.K.

ラッパーズ・デライト・アゲイン

――彼は間違いなく、2009年のブライテスト・ホープである!

二木 信    photo by Yasuhiro Ohara   Dec 16,2009 UP

S.L.A.C.K.
My Space

DOGEAR RECORDS

AmazoniTunes


S.L.A.C.K.
Whalabout?

DOGEAR RECORDS

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『My Space』と『WHALABOUT』の違いを本人が分析すると、どうなんですか?

スラック:『My Space』のときに気づかなかった部分が『WHALABOUT』にはありますね。俺、ディアンジェロとかめちゃくちゃ好きなんですよ。例えば、久保田利伸さんはJポップとして聴かれてるけど、R&B風のJポップとして聴かれてるじゃないですか。キャッチーだったり、さわやかだったり、いい印象の裏にある渋い煙たいかっこ良さを雰囲気で感じさせられればいいなって。俺も出し過ぎぐらいの黒さを出して、法律とかモラルとかでははかれない、本当の良し悪しだったりを知ってもらいたい。

それは作品を世に出してリスナーに音楽で何かを伝えたいって気持ちが芽生えてきたってことですか?

スラック:でも、正直伝えたいことはなくて、ただ俺がやりたいことを完全に出し切って、「こんなのはどう?」って感じですね。そういう単純な一連の流れなんです。

なるほど。

スラック:そのなかでシーン......じゃないですけど、音楽に対して歯痒いような気持ちも出てきますね。

シーンという言葉で思い出したんだけど、さっきレペゼンという意識はないって話してたけど、ダウン・ノースは下北沢が拠点ですよね?

スラック:俺はそんなに下北に関わってないけど、ダウン・ノースで遊ぶときの家が下北にあったりしますね。あと、床屋が好きな感じなんですよ。

どういうこと?(笑)

スラック:下北の床屋によく行くんですよ。刈り上げがすごくうまくて。だから、床屋に行く感じのヒップホップですね、美容院というよりは。無理してでも金払って床屋行って、かっこつけるっていう。そういうヒップホップの感じが出せたらいいなって。反メインストリーム主義というか反抗精神がつねにあるべきものが、無闇にタレント化したり、ブログを頻繁に書いてみたり、そういうのが目立ってて。なんでそこを頑張ってんだよって。もっと違うところ頑張れよって。最終的に批判はないんですけど、俺がいちばん良いと思ってるものは行動で示してるんで。自己アピールっすね。

俺は自分の足でクラブに行き
自分でフレンズを選び
自分で曲を作る
シーンのルールには興味もない
Musicのみ Musicのみ
"That's Me"

馬鹿みたいに夢語って
大人なんて馬鹿に見えた
"Another Lonely Day"

自分の言葉がある。ナンセンスもある。それは落ち着きや諦念とはまったく逆のベクトルにある。彼は、大人の熾烈な生存競争から積極的に降りてしまっているように見える。上を目指すために「めんどくせぇ」ことに関わるよりも、スケボーや音楽を無邪気に楽しむほうを好む。好きな娘や気の合う仲間たちと過ごすことを選ぶ。ある友人は「フィッシュマンズみたいだね」と言ったけれど......そう、たぶん。

それは頭の固い頑固オヤジからはモラトリアムだとか、軟弱だとか揶揄されるような......しかしいまや首相さえもこの国の成長そのものを否定する時代に突入してしまったのだから......若者は成熟のあり方を自分たちで作り出すしかないのだ。それはある意味幸運な時代なのかもしれない。

スラックのCDを気軽に手に取って欲しい。君の時間や金が無駄にならないことを僕が約束する。まあ、万が一少しぐらい無駄になったとしてもいいじゃないか。それもひとつの冒険だ。「適当に敬意を」――

文:二木 信(2009年12月16日)

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Profile

二木 信二木 信/Shin Futatsugi
1981年生まれ。音楽ライター。共編著に『素人の乱』、共著に『ゼロ年代の音楽』(共に河出書房新社)など。2013年、ゼロ年代以降の日本のヒップホップ/ラップをドキュメントした単行本『しくじるなよ、ルーディ』を刊行。漢 a.k.a. GAMI著『ヒップホップ・ドリーム』(河出書房新社/2015年)の企画・構成を担当。

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