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interview with NaBaBa

interview with NaBaBa

ポスト・クール・ジャパンの情熱

画家NaBaBa、インタヴュー

橋元優歩    写真:小原泰広 画像提供:NaBaBa   Jul 19,2012 UP

 村上隆氏によって設立され、日本の若手アーティストを育成・支援してきたカイカイキキが、先月その本丸ともいえるカイカイキキ・ギャラリーにて公開した「A Nightmare Is A Dream Come True: Anime Expressionist Painting AKA:悪夢のドリカム」展。ここに出展していた6人のアーティストのうちのひとりがNaBaBa氏である。美大出身で高い油彩の技術を持つが、これまでにメインで作品を発表してきた媒体はご存知400万の会員数を誇るイラスト投稿型SNSピクシブであり、まさにこの展覧会が謳う「日本にオタクと現代美術のフュージョンのジャンルを創造するプロジェクト」を担う才能として、デジタルとアナログを往復する活動を行ってきた。
クール・ジャパンが終わろうが終わるまいが、この「○○とオタク」問題はいぜんとして日本がまじめに考えるべきリアルをふくんでいる。自身がコアなゲーム・ファンであり熱心に「洋ゲー」批評を展開しているうえ、有名ゲーム企業に就職まできめてしまってもいる氏は、アートとゲームとオタク・カルチャーのはざまで、若き画家として、技術者として、ファンとして、思考と実践を重ねるめずらしい存在だ。筆者自身は門外であるものの、今回さいわいなことに取材の機をえた。無知をいいことに、かなり大胆な質問もぶつけさせてもらっている。ぜひ後半の、ゲームや女性の表象をめぐるトピックまでじっくり読んでいただければと思う。
 ちなみに筆者が氏のことを知ったのは、「悪夢のどりかむ」会期終了を目前にストリーミング配信された、出展者らのトークショーにおいてである。NaBaBa氏は真ん中で座を仕切り、巧みに話題を振り、最後はなぜか会場を巻き込んで踊っていた。同日深夜には、こんどは「村上隆のエフエム芸術道場」にてパーソナリティを務め、アートとは関係なく1時間をまるまる「洋ゲー」紹介に費やしてしゃべりたおした。その一連を、筆者は不思議な思いで眺めていた。インタビュー本文でもふれられるとおり、持てる能力を駆使して生き残っていかなければならないというような奇妙に現実主義的なオブセッションは、この作家の個性であるとともに世代的な特徴を暗示するようにも思われ、興味深い。

※「悪夢のどりかむ」出展作品は画像掲載の許可がいただけませんでした。ご了承ください。

絵との出会い、ゲームとの出会い

僕はあえて油絵科へ進むという迂回路をとることで、いろいろなものを吸収しつつ、ゴールへ向かおうと思いました。

■絵を描きはじめることになったのはいつごろです?

NaBaBa:幼少のころから絵を描くのは好きだったんですが、将来も見すえて意識的に取り組みはじめたのは、中学1年くらいのときですね。ちょうど中学入った段階で、同じ志を持つ仲間がクラスにいまして。僕はゲームのクリエイターになりたかったんですよ。その開発のなかでも、絵を描くポジションにつきたいというのが目標としてありました。となると、だいたいの人はデザイン科へ進む。けれどそういう王道ルートをたどると、他の人と差がつかなくてキャラが立たないなと。僕はあえて油絵科へ進むという迂回路をとることで、いろいろなものを吸収しつつ、ゴールへ向かおうと思いました。

■中学でですか? ずいぶんと戦略的ですね(笑)。

NaBaBa:はい(笑)。で、予備校、多摩美術大学と経て、なんとかゲーム会社に就職できたので、当初の目標は達成することができました。

■すごいですよねー。14歳からのハローワークを地で行ったと。美術部とかではなかったんですか?

NaBaBa:そうですね。はじめは独学で、高校あたりから予備校に通って。そのへんは他の美大生とあまりかわらないコースですね。ただ、近くにライバルがいたっていうのが大きいです。いろんな部分で、彼より上を行こう、彼とはちがうやり方をみつけようっていうふうな力が働きました。たとえば当時は「RPGツクール」だとか家庭向けの簡単なゲームを作るソフトなんかが出てまして、お互いゲームを作って見せ合いっこしたりもしていましたし、いま自分にあるいろいろなものの起点になっていたなと思いますね。

■いわゆる「洋ゲー(輸入もののゲーム)」にディープにはまっていくことになるのも同じころなんでしょうか?

NaBaBa:両親がおそらくゲームが好きで、もともと家にゲーム機があったくらいなんで、小さいころからゲーム自体に親しんではいました。でも洋ゲーにはまっていくのはやっぱりそのライバルの影響で、中学からですね。そいつには大学生くらいのすごいサブカル通のアニキがいて、そのお下がりでいろいろなものを知ってるんですよ。僕にはそういう後ろ盾がないのに、あいつはどんどん新しいものを持ってきやがって(笑)。それで海外のゲームなんかをやってみると、ぜんぜん日本のヤツと違うではないかと! 完成度もずっと高いし、どんどんそっちに傾倒していくようになりました。

■なるほど。クラスで1~2名、洋楽とか聴いちゃうぜみたいな......

NaBaBa:そう!

■一種、「中二」的なメンタリティでもって洋ゲーに向かっていったという部分もあるんでしょうか(笑)。

NaBaBa:完全にそれですね(笑)。当時海外のゲームといったらパソコンがメインだったので、当然、パソコンの性能が要求されたわけなんです。ゲームを動かすための。まだ2000年そこそこで、どこの家庭にもパソコンがあるという環境ではなかった。だからまわりに布教しようにも難しかったですね。おそらく日本全体でみても洋ゲーっていうのはまだまだ部分的で、ネットを調べても、ブログだとかレビューや感想を扱っているサイトなんかは多くなかった。情報源は限られていましたが、逆に自分自身でレビューを書こうという動機づけにはなりましたね。いまはソーシャル・メディアも発達しましたし、PlayStation3とかXbox360とか、家庭用ハードで海外のゲームもたくさん来るようになって環境は変わってます。けど、いまだに「洋ゲーは洋ゲー」といった感じで、日本のゲームとは楽しまれ方や認知のされかたに隔たりがありますね。

■そのあたり「洋楽」「邦楽」が抱える奇妙な断絶に通じるものがありそうですね。また後ほど詳しくうかがっていきたいと思います。

取材:橋元優歩(2012年7月19日)

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