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interview with Zun Zun Egui

interview with Zun Zun Egui

きみの“ワイルド”に耳をすませ

──ズン・ズン・エグイ、インタヴュー

橋元優歩    電話取材:箱崎ひかり   Mar 11,2015 UP

僕はブリストルに移ってきたときにはすでにもう自分自身のはっきりしたアイデンティティと意見を持っていたんだ。

ザ・ポップ・グループを意識することはありますか?

KG:いや、あんまり。よくその質問を訊かれるけど、唯一それに対して言えるのは、僕はブリストルに住んでいたけどザ・ポップ・グループは全然聴いていなかったんだ。バンド・メンバーのスティーヴは聴いていたみたいだけど。ブリストルに住んでいたっていうことで、人々は僕らをブリストルの他のバンドといっしょいっしょのカテゴリーに入れたがるけど、僕はブリストルに移ってきたときにはすでにもう自分自身のはっきりしたアイデンティティと意見を持っていたんだ。その前にはノッティンガムに住んでいたから、ノッティンガムのほうが僕にとってブリストルよりはるかに大きな影響を与えていると思うよ。とくにノッティンガムで出会った人たち、前のバンドのメンバーとかが僕にいまのパンク・ミュージックを教えてくれたしさ。たぶんいまのバンドの他のメンバーたちの方ほうが僕自身よりもブリストルから影響されているんじゃないかな。ザ・ポップ・グループは良いバンドだけど、そんなによく聴いたことがあるわけじゃないし、自分の音楽の形成期とかにはぜんぜん聴いていなかったよ。英国にいるのに、英国の音楽よりも日本の音楽の方がよっぽどよく聴いたよ。

ブリストルの風土やシーンはあなたたちにそう影響は与えていない?

KG:僕自身は6年くらいブリストルに住んでいたけど、いまはロンドンに住んでいるんだ。バンドの他のメンバーはいまもブリストルにいるけど。バンドを結成したのはブリストルだけど、その後、新しい経験をしたくてロンドンに移ったんだよ。ブリストルに住んでいたときは地元のショウに行ったりもしていたし、そこのシーンにけっこう関わっていたと言えるけど。
 ブリストルの音楽シーンはとても多様性があるんだ、すごくいいダンスミュージックもあるし、アヴァンギャルドなショウもたくさんやっているし。僕らはキュー・ジャンクションズ(Qu Junktions)っていうグループといっしょにいろいろやっていたんだけど、彼らはいろいろおもしろいイヴェントをやっていて、僕がいちばん最近行ったのはもう使われていない古い警察署の地下にある留置所で開催されたんだ。牢屋のひとつがバーになっていて、もうひとつの牢屋は座って落ち着けるようになっていて、ショウ自体もいちばん大きな牢屋でやっていた。たぶんそれが使われていた当時は、いろいろな人が精神的に苦痛を感じるような場所だったところをアートのために使って、楽しいおもしろいことをやるっていうのはとても不思議な感じがしたよ。そういうのは他のほとんどの国ではあまり起きないだろうしね。……でも、ひとつみんなにわかっていてほしいのは、僕らはブリストルという町から音楽的なきっかけや影響を与えられたことはほとんどないっていうことなんだ。たまたまそこに住んでいたってだけで、少なくとも音楽的には、ブリストルよりも外の音楽から影響を受けているよ。強いて言うなら、ブリストルではダブやレゲエのイヴェントに行くのが好きだったし、ダブやレゲエからの影響は受けているけれど……それよりも、僕らはまわりで起きていることとは独立して、自分たち自身の音楽をやってきているんだ。

メルト・ユアセルフ・ダウン(Melt Yourself Down)は市場的には「ジャズ」としてカテゴライズされましたが、あなたにとってズン・ズンとの差はどんなところにありますか?

KG:僕はあまりそのふたつを比較することはないよ。大きなちがいといえば、メルト・ユアセルフ・ダウンでは僕はズン・ズンでやるほど曲を書いていないし、メルト・ユアセルフ・ダウンのリーダーはポーラー・ベアでも演奏しているサクソフォニストのピートなんだ。精神性の部分ではどちらのバンドも似通っていると思うけど、使っている音楽的要素がちがうと思う。
 メルト・ユアセルフ・ダウンはよりダイレクトにヌビアの音楽からの影響を受けているんだ。ピートはそういう音楽に傾倒しているからさ。僕はピートが曲を書いた数ヶ月後にバンドに参加した。あと大きなちがいとしては、ズン・ズンにはサックスがなくて、メルト・ユアセルフ・ダウンにはギターがないってことかな(笑)。だからサウンド面では大きな差があるね。ショウの雰囲気もちがっていて、メルト・ユアセルフ・ダウンはワイルドでカタルシスのある、カラフルで凶暴な感じなんだ。ズン・ズンにもそういう面はあるけど、エネルギーを引き出しつつも、より慎重に考えられたソングライティングを目指したんだ。メルト・ユアセルフ・ダウンの作曲がズン・ズンより考えられていないって意味ではないから間違えないでほしいんだけど、今回はエネルギーを失わずに、できるかぎりソングライティングの部分に挑戦してみたかったんだ。だから根っこの精神的なものは同じでも、楽器がちがうからサウンドも異なったり、直接的に影響を受けているものも別かな。


僕にとってのパンクは、それが何であれ自分のやりたいことをやるってことなんだ。自分のいちばんワイルドな部分で、自分が誰で何をするべきかってことを感じるってことさ。

メルト・ユアセルフ・ダウンにはよりパンクを、ズン・ズン・エグイにはよりロック(ブルース)を感じます。

KG:メルト・ユアセルフ・ダウンはたしかに様式的にパンクの要素が強いし、ズン・ズンはロックだね。でも、どちらとも精神的にはパンクだよ。僕にとってのパンクは、それが何であれ自分のやりたいことをやるってことなんだ。着ている服や形式じゃなくて、「時代のカルチャーに疑問を呈しているか」ってこと──さっき言ったような自分のいちばんワイルドな部分で、自分が誰で何をするべきかってことを感じるってことさ。誰かに言われて何かをするんじゃなくて、純粋に自分がそれをやりたいと感じるからやるんだ。

パンクとロックで、あなたが重要だと思うバンドやアーティストを教えてください。

KG:僕にとって、ストゥージズを聴いていたことは重大な影響を及ぼしていると思うよ。それと、(キャプテン・)ビーフハート……、みんな彼をブルーズやロックだって言うけど、僕は彼はパンクだと思う。あとコンヴァージっていうバンドも前はよく聴いていた。あとフガジは僕にとって大きな存在だし、バッド・ブレインズやアット・ザ・ドライヴ・インも……それに日本のパンクもたくさん聴いたよ、ギター・ウルフとか。「♫ジェットジェネレーション〜」(歌い出す)すごくいいよね! メルト・バナナとか、あとボアダムスを観たときはぶっ飛んだよ、彼らは完全にパンクだね。他にはマストドンの初期の2枚のアルバムなんかもよく聴いたよ、みんな彼らのことをロック・バンドだと思っているけど、あれはパンクさ。
 正直、あんまり英国のパンクは聴いていない気がするな。でもノッティンガムに住んでいた頃、ジ・ウルヴズ・オブ・グリーフ(The Wolves of Grief)っていうバンドとローズ(Lords)っていうバンドがいて、彼らは僕にとってヨーロッパでのパンク精神との直接的なつながりっていう意味で重要だった。それとは別に、リーズ出身のBilge Pumpっていうバンドもいて、これら3つのバンドすべては僕自身直接の友人で、ギターのスタイルとかは彼らから学んだことが多いよ。だから英国のパンクっていう括りで言えば、彼らは僕にとって重要な存在だね。

曲作りの手順について教えてください。誰かが曲を書いて持ってくるのですか? セッションから生まれるのですか?

KG:曲によるけど、大抵コンセプトや基本となるアイデアを思いつくのは僕の役割なんだ。時には僕がハーモニックな動きやアレンジメントをふくめて曲のほとんどを書いて、それをバンドに持って行っていっしょに完成したトラックに仕上げていくこともあるし、中にはいちからみんなでいっしょに書いた曲もある。バンド全員に会う前に、いったんメンバーのスティーヴに会うことも多いよ。ふたりで2つや3つのちがう構成の間で固めたうえで、それをバンドに持っていって、「これとこれが候補の構成だから、それぞれ試してみよう」っていうふうにして、後から皆がそれぞれの要素を加えていったりするんだ。ときによっては僕がベースラインを書いたり、キーボードのラインを書いて、アダムやヨシノに「どう思う? 演奏してみてくれる?」って言うこともあるし。

(モーリシャスの音楽の起源について)彼らが自らの苦痛や奴隷状態を利用して音楽を作ったっていうのはとても興味深くて、刺激を受けたよ。文字通りインダストリアル・ミュージックの先駆けみたいなものだし、僕にとってはナイン・インチ・ネイルズやスロビング・グリッスルよりよっぽど暴力的だと感じた。

 ただ、今回のアルバムでは、そのプロセスは曲ごとにかなりちがっているんだ。たとえばいくつかの曲はドラムビーツからできて、ビートの上にそのまま歌をのせて、そこにギターやベースラインを加えてバンドに持って行って、メンバーたちに残りの空白を埋めてもらったり、マットや最近パーカッションを演奏することの多いヨシノにそのビートを覚えてもらったりする。
 今回のアルバムのいちばんはじめのアイデアは、僕らがモーリシャスに行ったときある人に会って、彼がモーリシャス音楽の起源について話してくれたことに由来するんだ。その話では、サトウキビ畑で奴隷が強制労働をさせられていたとき、奴隷の彼らはサトウキビの圧搾機の音を聞いて、そのサトウキビを潰す機械音のリズムを使って音楽を作りはじめたらしい。そういうふうに、彼らが自らの苦痛や奴隷状態を利用して音楽を作ったっていうのはとても興味深くて、刺激を受けたよ。ある意味、文字通りインダストリアル・ミュージックの先駆けみたいなものだし、僕にとってはインダストリアル・ミュージックよりはるかに暴力的で、ナイン・インチ・ネイルズやスロビング・グリッスルよりよっぽど暴力的だと感じた。炎天下の畑で鞭打たれながら、ほとんど食べ物も与えられずに何時間も無理矢理働かされるなんていう苦痛に満ちた状況のなかで、ギヴ・アップするんじゃなく、機械のたてるタカタタカタタカタ……っていうリズムを聞いて音楽を生み出すなんて驚異的だよね。そのアイデアが、アルバムのコンセプトにおける最初のインスピレーションになったんだ。

あなたは、ギタリストとシンガーとではよりどちらをアイデンティティとしてとらえていますか?

KG:うーん、わからないな、「ミュージシャン」じゃない(笑)? 僕はいくつかの楽器を演奏するし、リズミックなアイデアもよく僕の内から生まれてくるし、大抵の楽器は自分で弾き方を見つけることができるし……。まあでも、ギタリストとシンガーのふたつがメインで、両方が柱になっているよ。

アンドリュー・ハング(Andrew Hung)はあなたがたのエネルギーを歪めることなく放射させているように感じました。かといってサイケデリックさもまったく損ないません。彼をプロデューサーに立てたのはなぜでしょう? ファック・ボタンズへのシンパシーですか?

KG:僕らはファック・ボタンズといっしょにツアーしたんだけど……彼らの名前を日本語で何て訳すのか知らないけどさ、このあいだうっかりラジオでその名前を言っちゃって、ちょっとトラブルになったんだ(笑)。彼らとツアーをしたのはけっこう前で、それ以来長いこと会っていなかったんだけど、ロンドンでのショウで再会して、よもやま話をしているうちに、僕らのアルバムにプロデューサーが必要だってことが話にのぼった。僕ら自身が思いっきり滅茶苦茶やっているあいだ、全体を俯瞰して僕らをちゃんと軌道上にとどめてくれる誰かがさ。そしたら彼がその場ですぐに「じゃあ、僕が君たちのレコードをプロデュースするよ!」って言ってくれたんだ。そんなふうに簡単に決まったんだよ。個人的なレベルでも、彼と僕は自然に友だちになったし、彼とは通じ合うのがとても簡単で、レコーディングの前も彼とけっこう長い時間をいっしょに過ごして曲を全部通して見ていったりしたんだけど、彼はそれらの曲のパワーを褒めて、僕にアレンジメントのアドバイスをくれたりした。彼はプロデュースにとても興味があって、人っていうものや人と人とのつながり、互いに与え合う影響みたいなものに興味を持っているし、とても知的で、いろいろなものへの感覚が鋭いから、とてもいっしょに仕事をしやすかったよ。
 それと、付け加えておきたいのは、このアルバムでミキシングをしてくれたイーライ・クルーズも素晴らしい仕事をしてくれたんだ。彼はニューヨーク・シティでミックスをしてくれたんだけど、彼も今回僕らの音を引き出すうえでアンディ(Andrew Hung)と同じくらい重要な役割を果たしてくれた。あと、アンディについてもうひとつは、彼の音楽は僕らの音楽とはかなりちがうから、彼の意見をもらうのはエキサイティングだったよ。僕らはギター・バンドでまぁ普通の楽器を弾いているけど、彼はビデオゲームや道具を使ってエレクトロニック・ミュージックをやっているから、彼が僕らのやっていることをどういうふうに解釈するかっていうのは興味深かった。


僕はいまの音楽シーンには、「ベージュ色」をした音楽が多いように感じるんだ。

2000年代の半ばごろ、TV・オン・ザ・レディオ(TV on The RadioやDirty Projectors)、ヴァンパイア・ウィークエンド(Vampire Weekend)など、とくにブルックリンが象徴的でしたが、インディ・ロックではやはりさまざまな民俗性が参照されていました。2000年代の半ばごろ流行したもので、あなたが好んで聴いていた音楽を教えてください。

KG:その頃に流行っていたそういう音楽はあまり聴いていなかったよ、すでに僕も同じようなことをやっていたしさ。ただ彼らは有名になったけど、僕らはならなかっただけでさ(笑)。ダーティ・プロジェクターズ(Dirty Projectors)はまわりの人からよく話を聞いたからすこし聴いていたけど、でも彼らから影響とかは受けていないし。

いまのUKの音楽シーンについて、おもしろいところとつまらないと思うところを教えてください。

KG:はは、ちょっと物議を醸すような発言になっちゃうかもしれないけど……(笑)。僕はいまの音楽シーンには、「ベージュ色」をした音楽が多いように感じるんだ。ヒットチャートの上位に入るような曲はなんだか郊外っぽくて、うんざりさせられるものが多いよ。音楽が人々の心の中から生まれてきて、それが商品として売られているんじゃなくて、最初から商品として売られるために作り出された音楽のようなものが多すぎる。チャートを占めている音楽には、事前によく計画されたような感じのするものが多くて、チェックリストに沿ってすべての項目を満たすように作られたような感じで、アートとしての性質はほとんど失われつつあるんだ。少なくともメインストリームの音楽に関してはね。すごく計算された音楽が多いよ。
 最近出てきたあるアーティストは──名前を出すのは意地が悪いと思うからあえて言わないけど、彼女の音楽はとても落ち着くような音楽だけど、そのすべては彼女のイメージありきで売られている。彼女のイメージや身体性を中心にしていて、音楽はその副産物みたいな感じだよ。もしかしたら、それがこれから世界が向かう方向性なのかもしれないけど。僕もそういう方向性に向かうべきなのかもね(笑)!
 でもそれはメインストリームの話で、もっとアンダーグラウンドなところではいろいろ起きていて、たとえばケイト・テンペスト(Kate Tempest)はとてもおもしろいことをやっている。あとは……うーん、僕はあんまり英国の音楽に触れていないのかもしれないな。古い音楽とかはいろいろ聴くんだけど。あ、サム・リー(Sam Lee)っていうミュージシャンはもうすぐレコードを出すんだけど、彼はとてもいいフォーク・シンガーだよ。とても現代的なフォーク・ミュージックで、すごくおもしろいよ。
 うーんあとは……そうだ、最近買ったレコードを挙げてみよう。最近のはジョン・カーペンター(John Carpenter)の新しいレコードを買ったけど、そもそも彼はUKじゃないや。あとはハロー・スキニー(Hello Skinny)っていうUKのアーティストがいるけど、彼の音楽は大好きだよ。サンズ・オブ・ケメット(Sons Of Kemet)も。あとはリーズのカウタウン(Cowtown)もすごく好きだね。あとはエレクトロニック・ミュージックだと、キョーカ(Kyoka)っていう女性アーティストがいて、知ってる? 日本人なんだけど、ドイツに住んでるんだ……あれ、これじゃ質問の答えになってないね。質問はなんだったっけ? ああ、UKの音楽シーンについてか。いまのメインストリームの音楽にはあまり好きなものはないけど、もっと自分で聴いていまの音楽も学ぶべきかもしれないな。あ! そうだ、新しい音楽で好きなのを思い出した、ジュリア・ホルター(Julia Holter)は大好きだよ! 彼女はたしかアメリカのアーティストだけど……あとそうだ、UKのバンドでジ・インヴィジブル(The Invisible)がいた! 彼らがどんなにいいバンドか言うのを忘れていたよ。あとはポーラー・ベア(Polar Bear)はいいジャズ・バンドだね。それから、昨日は〈ラフ・トレード〉でファーザー・ジョン・ミスティ(father John Misty)のアコースティック・セットを観てきたよ、彼はすごくいいね。素晴らしい歌詞を書くよ。あともうひとつ、ザ・ウォーヴス(The Wharves)はロンドンの女性ばかりのバンドで、僕の好きなバンドだよ。これでけっこういい「僕の好きな最近の音楽リスト」ができたんじゃないかな(笑)。


アイデアからじゃなくて、強い感情から曲を生みたい。どうせアイデアは後から音楽を装飾するために出てくるから、自分の強烈な感情を音楽の形にして出したいんだよ。

これからどのような音楽を展開していきたいと考えていますか?

KG:さっきも言った、インダストリアル・ミュージックについてのアイデアをもっと掘り下げていきたいな。そしてより使う要素を少なくしていきたい。できるだけミニマルなものにしてみたいんだ。僕はもともとの性格で曲を書くときに書きすぎる傾向があるからさ。それがサウンド面での部分だけど、個人的には、僕が曲を書いているときは、自分の内側にあるとても強い感情にアクセスしたいんだ。アイデアからじゃなくて、強い感情から曲を生みたい。どうせアイデアは後から音楽を装飾するために出てくるから、自分の強烈な感情を音楽の形にして出したいんだよ。まだ今回のアルバムのツアーすらはじまっていないから、いまの時点で答えるのは難しい質問だけどね。でも正直もう次(のアルバム)について考えはじめているんだ。もう曲も書きはじめてて、3、4曲、自分で気に入っているデモもあるよ。アルバムに入るかどうかはわからないけどね!

質問作成・文:橋元優歩(2015年3月11日)

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