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BES & ISSUGI

Hip Hop

BES & ISSUGI

Purple Ability

Pヴァイン / DOGEAR

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大前至   Sep 04,2020 UP
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 1曲目 “Welcome 2 PurpleSide” のリリックにある「我らブーンバップの猛者」というラインが物語るように、日本のブーンバップ・ヒップホップ代表格とも言える、BES と ISSUGI によるジョイント・アルバム第二弾。SCARS および SWANKY SWIPE としての活躍でも知られる BES と、片や MONJU、SICK TEAM として数々の作品を残してきた ISSUGI のふたりは、それぞれソロでもアルバムをリリースし、さらに ISSUGI に関しては 16FLIP の名でプロデューサーとしても活躍するなど、いま現在の東京のヒップホップ・シーンのなかで大きな存在感を示している。ちなみにブーンバップ・ヒップホップとは、主に80年代、90年代のNYヒップホップの基盤となっているサウンドであるが、そこに2000年以降の東京のストリートの空気感をリリックとサウンドに注入して作り上げられるのが、彼ら流の東京ブーンバップのスタイルだ。

 本作には、NYを拠点に D.I.T.C. 関連の作品も手がける Gwop Sullivan を筆頭に、前作『VIRIDIAN SHOOT』から引き続き、DJ Scratch NiceGradis Nice、16FLIP がトラックを手がけ、加えて Fitz Ambro$e、Endrun、ベイエリアから DJ Fresh と、日米から多彩なメンツがプロデューサーとして参加。音の流れとしては前作と地続きであるが、感覚的にはより広がりのある厚みのあるトラックが揃い、シンプルに言って凄まじく格好良い。そこに乗る BES と ISSUGI のコンビネーションも鉄壁の安定感で、力強くグルーヴを引っ張る BES と、変幻自在にフロウを変化させてグルーヴを操る ISSUGI と、実に対照的なスタイルで交互にマイクを回し、ヒリヒリした極上の刺激を与えてくれる。

 アルバム・タイトルにある「Purple」の意味はオフィシャルでは明らかにはされていないが、リリックのなかに時おり出てくるいくつかのワードから想像することは可能だろう。ストリートで展開されるノンフィクションとフィクションが入り混じった彼らのリリックの世界観は、ブーンバップのオリジネイターである90年前後のNYヒップホップで描かれていた世界観とも強くリンクする。例えば、アルバム後半部分の非常にインパクトの強い “Skit” から “Inner Trial” の流れのなかにある不穏な空気や、MONJU の仙人掌、Mr.PUG をゲストに迎えた “Trap to Trap” でのネガティヴな出来事も、彼らの高いスキルによって極上のエンターテイメントに仕上げられ、ヒップホップだからこそのアートが表現されている。曲の流れやスキットやインタールードの使い方も実に巧みで、ラストの “BoomBap pt2” もしっかりと続編を期待させてくれる。良い意味で、日本のヒップホップ・シーンの正統な進化を感じさせてくれる傑作だ。

大前至

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