ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. K A R Y Y N - The Quanta Series (review)
  2. 柴田聡子 - がんばれ!メロディー (review)
  3. 中原昌也 ──作家デビュー20周年を記念し最新小説とトリビュート作品集が2冊同時リリース (news)
  4. Vince Staples - FM! / Earl Sweatshirt - Some Rap Songs (review)
  5. ビール・ストリートの恋人たち - (review)
  6. ポスト・ミューザック考 第二回:俗流アンビエント (columns)
  7. Reeko Squeeze - Child’s Play 2 (review)
  8. Columns What’s the point of indie rock? インディー・ロックの核心とは何か (columns)
  9. Norhern Soul ──『ノーザン・ソウル』、この最高な映画を見たらスリムのデニムを履けなくなる (news)
  10. ポスト・ミューザック考 第一回 (columns)
  11. 闘魂 2019 - 出演:cero、フィッシュマンズ (review)
  12. interview with IO KoolBoyの美学 (interviews)
  13. 《《》》 - Relay (review)
  14. GRADIS NICE & DJ SCRATCH NICE - Twice As Nice (review)
  15. Sharon Van Etten - Remind Me Tomorrow (review)
  16. There are many many alternatives. 道なら腐るほどある 第2回 マグカップは割れ、風呂場のタイルは今日も四角い (columns)
  17. talk with Takkyu Ishino × Stephen Morris 特別対談:石野卓球×スティーヴン・モリス(ニュー・オーダー) (interviews)
  18. NHKラジオ第一の「すっぴん!」、4月3日の宮沢章夫さんの日に戸川純が生出演! (news)
  19. The Comet Is Coming ──UKジャズのキイパーソン、シャバカ・ハッチングスのザ・コメット・イズ・カミングが新作をリリース (news)
  20. 空間現代 ──空間現代が〈Editions Mego〉傘下のレーベルよりアルバムをリリース (news)

Home >  Reviews >  Album Reviews > Co La- Daydream Repeater

Co La

Co La

Daydream Repeater

NNA Tapes

Amazon iTunes

野田 努   Dec 01,2011 UP
このエントリーをはてなブックマークに追加

 リスナーが音楽のなかに快楽とユーモアを求めているなら、通学や通勤のときのげんなりした気持ちを鼓膜を通じてupしたいのなら、本作『デイドリーム・リピーター(夢想中毒者)』を推薦しよう。コ・ラ(Co La)......コカ・コーラ(Coca-Cola)からカ・コ(ca-co)を削除した名義のこれは、バルチモアのドローン/ノイズのバンド、エクスタティック・サンシャインのメンバー、マット・パピッチによるプロジェクトで、そして『夢想中毒者』はそのデビュー作となる。
 『夢想中毒者』は、ある意味ではダブ・アルバムである。しかしこのダブは、キングストンはもとより、ダブステップの重さともベーシック・チャンネルのミニマリズムとも、あるいはハイプ・ウィリアムスの深い酩酊とも、〈ジャータリ〉のロービットともまったく異なっている。ディレイにエコーといったダブのクリシェを多用しながらも、そのドライなポップ・アート的なセンスにおいて過去にあるどんなダブとも一線を画している。キング・タビーのサウンドシステムを地中海に移動して、そしてハウス・ミュージックとフィル・スペクターがミックスされるとしたら......それが『夢想中毒者』のいち部分である。
 ダブでありながらベースが軽いという点も、コ・ラの想像力の豊かさを物語っている。"ビー・マイ・ベイビー"を使ったくだんの曲"ウォナ・セイ・フォー"、あるいはグレイス・ジョーンズの"マイ・ジャマイカン・ガイ"を使った"マイ・ジャマイカ"のように、あるいはザ・グレディエイターズの"ミュージック・メイカーズ・フロム・ジャマイカ"を使った"円滑な団結"なる曲のように、既製品を再利用したループの編集という点ではOPNと同じで、間違いなくレゲエのリスナーよりもOPNないしはジェームス・フェラーロのファンのほうがシンパシーを抱くだろう。いわばベッドルームのポストモダン・ポップ、と同時にアルバム・タイトルが言うように、ポスト・チルウェイヴ/ポスト・スクリューでもある。"カクテル""ストックホルムで燃えているもの""エジプトの桃""ベルギーの枕""グリーンのシャム人"などといった人を食ったような曲名が並んでいる。皮肉っぽいユーモアが込められたアートワークも秀逸で、充分に人目を引くものだ。そして、それはまったくアーシーではない。自動的にダビーなニュアンスを想起させたりはしない。が、しかし、それでもこのアルバムは聴覚的に言って、ダブなのだ。

 バーモント州のカナダとの国境沿いの街、バーリントンを拠点とするカセット・レーベル〈NNA・テープス〉から、ヴァイナルと配信のみのリリース。

野田 努