ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. K A R Y Y N - The Quanta Series (review)
  2. 柴田聡子 - がんばれ!メロディー (review)
  3. 中原昌也 ──作家デビュー20周年を記念し最新小説とトリビュート作品集が2冊同時リリース (news)
  4. Vince Staples - FM! / Earl Sweatshirt - Some Rap Songs (review)
  5. ビール・ストリートの恋人たち - (review)
  6. ポスト・ミューザック考 第二回:俗流アンビエント (columns)
  7. Reeko Squeeze - Child’s Play 2 (review)
  8. Columns What’s the point of indie rock? インディー・ロックの核心とは何か (columns)
  9. Norhern Soul ──『ノーザン・ソウル』、この最高な映画を見たらスリムのデニムを履けなくなる (news)
  10. ポスト・ミューザック考 第一回 (columns)
  11. 闘魂 2019 - 出演:cero、フィッシュマンズ (review)
  12. interview with IO KoolBoyの美学 (interviews)
  13. 《《》》 - Relay (review)
  14. GRADIS NICE & DJ SCRATCH NICE - Twice As Nice (review)
  15. Sharon Van Etten - Remind Me Tomorrow (review)
  16. There are many many alternatives. 道なら腐るほどある 第2回 マグカップは割れ、風呂場のタイルは今日も四角い (columns)
  17. talk with Takkyu Ishino × Stephen Morris 特別対談:石野卓球×スティーヴン・モリス(ニュー・オーダー) (interviews)
  18. NHKラジオ第一の「すっぴん!」、4月3日の宮沢章夫さんの日に戸川純が生出演! (news)
  19. The Comet Is Coming ──UKジャズのキイパーソン、シャバカ・ハッチングスのザ・コメット・イズ・カミングが新作をリリース (news)
  20. 空間現代 ──空間現代が〈Editions Mego〉傘下のレーベルよりアルバムをリリース (news)

Home >  Reviews >  Album Reviews > Nosaj Thing- Fated

Nosaj Thing

Hip HopIDM

Nosaj Thing

Fated

INNOVATIVE LEISURE / ビート

Tower HMV Amazon iTunes

デンシノオト   Jun 26,2015 UP
このエントリーをはてなブックマークに追加

 ノサッジ・シング=ジェイソン・チャングは若くして成功を手に入れた。ノサッジはフライング・ロータスを輩出したLAビート・シーンを代表するパーティ〈ロー・エンド・セオリー〉の初期からその才能を発揮していたというし、2009年にリリースされたファーストアルバム『ドリフト』も、2012年の『ホーム』もビートミュージックのフィールドを超えて高い評価を獲得した。トロ・イ・モア、カズ・マキノ、ジェイミーXX、レディオヘッド、チャンス・ザ・ラッパー、ケンドリック・ラマーらと、さまざまなコラボレーションを行い、彼らから強い信頼も得た。みな、ノサッジの才能にほれ込んでいた。まさに順風満帆だ。

 にもかかわらず、彼は泣いている。3年ぶりの新譜には悲しみに満ちた音風景が展開されているのだ。しとしとと降り続ける雨のようなビート。曇り空のようなメランコリックなコード。アルバム名は「運の尽きた」を意味するという。私はこのアルバムから強い喪失の念を感じた。失われていくものへの諦念。

 今作の大きな特徴は「声」を積極的に導入している点だが、サンプリングされた「声」もまた泣いているように聴こえる。なかでもフーアレイを起用した“ドント・マインド・ミー”とチャンス・ザ・ラッパー参加曲“コールド・ステアズ”のブルージーなヴォーカル・トラックが素晴らしい。チャンス・ザ・ラッパーのメランコリックな歌声が染みる。

 同時にワンオートリックス・ポイント・ネヴァー『アール・プラス・セブン』以降のトレンドでもある「シンセ・ウェイヴ/ミュージックコンレート的」という現代的な要素もある。コーネリアスのファンでもある彼はアメイジングなサウンドも追求しているのだ。

 本作には、ブルーとアメイジングというふたつのエレメントが交錯している。コードに、ビートに、グルーヴに、サウンドに、声にさまざまな感情が息づいている。私には、美しいアンビエンスを響かせるラスト曲“2K”が、ノサッジの慟哭のようにも聴こえた。

デンシノオト

RELATED

Nosaj Thing- Home Innovative Leisure/ビート

Reviews Amazon iTunes