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Feed The Rats

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野田努   May 17,2017 UP
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 わかる、わかる。こうでもしてなきゃやっちゃいられない。そもそも君が音楽を選んだ理由は、それが大衆的だからという理由ではない。それが少数派の意見を代弁しているからであり、そういう意味では、ブラック・サバスのメタル・サウンドとホークウィンドのスペース・ロック、セックス・ピストルズのうねるようなグルーヴ、あるいは初期のアモン・デュールやアシュ・ラ・テンペルのサイケデリック……らを彷彿させるニューキャッスルのバンド、豚・豚・豚・豚・豚・豚・豚(Pigs Pigs Pigs Pigs Pigs Pigs Pigs)の『ネズミに餌をやれ』は無視しようにも無視できない作品なのである。おおー、これはじつに激しく、おそろしく酷く、そしてぶっ壊れている。遙かかなたの闇夜より、地響きを上げながら、さあ、いかれた連中のお出ましだ。
 ピグス×7の豚は、なにゆえの豚なのだろう。ジョージ・オーウェルの描いた豚は、みんなのために一緒にがんばってると思われていた1匹が法律を書きかえ、ふと気が付けば権力的な暴君になっていく豚だった。日本で豚のメタファーといえば、愚鈍さとか、下劣さとか……動物愛護者からクレームが来てもおかしくはないものばかりだが、少なくとも狡猾な権力者というイメージはない。
 いや、ここで『動物農場』を持ち出してしまうぼくは間違ってる。音楽は社会学的註釈だけに収束されるものではない。音楽は、たとえば逃げ場を塞がれた欲望が噴出するところでもある。トリップする場所、脱落する場所、だ。音の洪水にまみれて、本気で喚き散らす場所。かつてマシュー・ハーバートは、屠殺場で殺されていく豚の一生を描いた。
 ちょうどジャングルが流行はじめの1993年に脚光を浴びたコズミック・テンタクルスを思い出さくなくもない。なにせ今年はジャングル・リヴァイヴァル&サマー・オブ・ラヴから50年。しかしピグス×7は、愛の夏ではなく、反感の夏、嫌悪のサウンドトラックだ。気になると言うのなら、2曲目の“Sweet Relief”を聴いてみよう。これでも気持ちが上がらないかい?

 UKの労働者階級が生んだロック・バンドは、ザ・ビートルズやセックス・ピストルズ、ザ・スミスやオアシスだけではない。バーミンガムの工場を背景に持つブラック・サバスもそうで、このバンドはしかもビートルズにはできなかったことのすべてをやったと評されている(大袈裟ではあるが、的外れではない)。ピグス×7はその子孫である。ある意味ベリアルとも、ヤング・エコーとも、決して遠くはない。

野田努