ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Leo Svirsky - River Without Banks (review)
  2. Laraaji ──ララージがまさかの再来日、ブライアン・イーノとの名作を再現 (news)
  3. Aphex Twin ──エイフェックス・ツイン最新公演のライヴ・ストリーミングが決定 (news)
  4. interview with (Sandy) Alex G 塩と砂糖の誘惑 (interviews)
  5. interview with Kindness 音楽である必要すらないんです (interviews)
  6. Freddie Gibbs & Madlib - Bandana (review)
  7. Columns JPEGMAFIA『Veteran』の衝撃とは何だったのか (columns)
  8. interview with For Tracy Hyde シティ・ポップ・リヴァイヴァルから「シティ」を奪還する (interviews)
  9. Tohji ──いま若い世代から圧倒的な支持を集めるラッパーが、初のミックステープをリリース (news)
  10. Squarepusher, Oneohtrix Point Never & Bibio ──〈Warp〉30周年イベントが開催決定! スクエアプッシャー、ワンオートリックス・ポイント・ネヴァー、ビビオが一挙来日 (news)
  11. イギリスでは高校生に授業参観でレイヴの歴史を教えています (news)
  12. Lafawndah - Ancestor Boy (review)
  13. BJ The Chicago Kid - 1123 (review)
  14. Columns ララージ来日直前企画 ──ニューエイジの巨匠、その歩みを振り返る (columns)
  15. Columns ダブステップ・シーンへ日本からの新風 ──City1について (columns)
  16. For Tracy Hyde - New Young City (review)
  17. Taylor McFerrin - Love's Last Chance (review)
  18. Thom Yorke - Anima (review)
  19. interview with Yosuke Yamashita 誰にでも開かれた過激 (interviews)
  20. There are many many alternatives. 道なら腐るほどある 第8回 電車の中で寝転がる人、ボルタンスキーの神話 ――2019年8月11日に見たものの全て (columns)

Home >  Reviews >  Album Reviews > IO- Player's Ballad.

IO

Hip Hop

IO

Player's Ballad.

Def Jam / ユニバーサル ミュージック

Tower HMV Amazon iTunes

大前至   Jul 10,2019 UP
このエントリーをはてなブックマークに追加

 東京・世田谷を拠点とするクルー、KANDYTOWN の中心的存在である IO による、〈Def Jam Recordings〉に移籍後初となるアルバム『Player's Ballad.』。これまで〈P-VINE〉から2枚のソロ・アルバム『Soul Long』、『Mood Blue』をリリースし、KANDYTOWN としてもアルバム『KANDYTOWN』でメジャー・デビューを果たすなど、ソロ、グループともにたくさんの作品を重ねてきた IO だが、これまでの彼の楽曲と言えば、90年代、2000年代的なサンプリング・マナーも交えながら、ソウルフルなフィーリングをいまのサウンドとして昇華させ、ラップに関しても実にアーバンでスタイリッシュなスタイルというイメージが非常に強かった。本作はソロでのメジャー・デビュー作ということもあり、これまでの集大成的な作品を予想していたのだが、アルバム・タイトルにある「Ballad」という言葉が示しているように、BPM 控えめに、しっとりとしたムーディーなイメージが全面に出た構成となっている。トラックの曲調に関しても、ミニマルなビートに透明感あるシンセが効果的に響くスタイルが軸になっており、IO のアーバンでスタイリッシュなラップが見事にハマる。そんなスタイルを象徴する“Shawty.”や、もう少しアッパー寄りな“Player's Section.”など聴きどころは多数あるが、このアルバムの大きな目玉と言えるのが、5lack がプロデュースおよびフィーチャリングで参加した“Missed.”だろう。男の色気も漂わせながら、IO と 5lack のふたりが哀愁漂うラヴ・ソングをラップと歌で作り上げ、見事なコンビネーションを披露している。その一方で、過去作での持ち味であったノスタルジックな感覚も健在で、ブギーっぽいテイストも込められている“Pursus.”や MUD をフィーチャした KANDYTOWN 色全開な“Mellow and The Smoke Blue.”など、要所要所に盛り込まれているのも実に心憎い。

 さらに本作の収録曲3曲(“Solid.”、“Bill.”、“Shawty.”)を WONK、King Gnu のメンバーらが演奏して再レコーディングしたという音源『Player's Section. (Band Edition)』がデジタル配信されているのだが、生楽器のサウンドによってソウルフルかつジャジーなテイストがプラスされ、『Player's Ballad.』の世界観にさらに異なるベクトルが加えられている。『Player's Ballad.』のようなムーディーな面を強調したアルバムも、まさに IO にしかできないような作品であるのだが、『Player's Section. (Band Edition)』もまた IO の新たな魅力を大きく引き出した作品と言える。〈Def Jam Recordings〉というステージで、今後、彼がどのような景色を見せてくれるのか、実に楽しみだ。

大前至