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Tanz Tanz Berlin

Tanz Tanz Berlin

#4:ステファン・ゴールドマンとの対話

文:浅沼優子 Oct 12,2011 UP

父、フリードリッヒ・ゴールドマンはクラシックの作曲家であり指揮者でもありました。現代的・アヴァンギャルドな作品を手がけていました。シュトックハウゼンなどの系譜の音楽ですね。ですから、僕自身もそういう音楽を聴いて育ちました。十代の反抗期に入るまでは(笑)

■フィン(・ヨハンセン)は立ち上げ当初から共同オーナーだったんですか? それはどういう経緯で?

ゴールドマン:やはりレーベルをはじめるにあたり、ひとりでは不安だったので誰か頼れる人が欲しかった(笑)。まだ知り合って1~2年の頃でしたが、彼とはすぐに意気投合して。彼はドイツの音楽雑誌『De:Bug』や『Groove』、『Resident Advisor』のようなウェブサイトにも原稿を書いてきた経験があったので、プレス業務にぴったりでした。レーベルのコンセプトについても共通の理解があったし、同じ考え方を持っていたので協力し合うことにしたんです。

■5年経って、これまでのレーベルの歩みを振り返ってみてどうですか?

ゴールドマン:やはりレーベルをはじめたときは、「こんな人と仕事したい」とか、「こんな作品を出したい」というアイディアを勝手にいろいろ持っていて、それが実現可能かどうか、相手が僕らと一緒に仕事をしてくれるかどうか全然分かりませんでしたが、実際その多くを実現できました。それに、まったくの新人であるエレクトロ・グッツィのようなアーティストを世に紹介できたことも、とても誇りに思っています。素晴らしいリミキサーたちにリミックスを手がけてもらうこともできました。5年間を振り返ってみても、いい「音楽ファミリー」を築けたと感じますね。〈Classic〉や〈Perlon〉や〈Innervisions〉では絶対に出さないような風変わりな自分の作品も出すことができましたし(笑)。まだしばらく続けていける、いい基盤が整ったように思います。

■レーベルのA&Rとしては、どんな基準で出すアーティストや作品を選んでいるんですか?

ゴールドマン:陳腐な言い方に聞こえてしまうかもしれませんが、私たちが求めているのはユニークなサウンドを持っているアーティストです。「○○っぽい」とか、「××風」、あるいはすでに〈Macro〉で出しているアーティストのような作品はもう必要ありません。他のレーベルが出していないようなものを出してきたと思いますし、それがひとつの判断基準になっていますね。プロダクションの上手さにはそれほどこだわりません。まあまあのアイディアで精巧に作られたものよりも、技術的にはそれほど高度でなくても面白いアイディアが光るものがいい。

■実際にはどうやってそういうものを見つけ出すんですか? 積極的に探しに行くのか、それとも勝手に集まって来るものですか?

ゴールドマン:いろいろですね。個人的な知り合いを介してということもありますが、エレクトロ・グッツィなどはまったく接点はないのに向こうからレーベルのことを知ってデモを送ってきてくれました。ピーター・クルーダーは、もともとレーベルのプロモを送っていた相手でした。リリースを気に入ってくれていて、ある日「こんな曲があるんだけど、良かったら出さない?」と曲をくれて。「ワオ、ほんとですか?」という感じでしたね。

■なるほど。でもレーベルのカラーを保ちつつ、ユニークなものに寛容であることは難しくないですか?

ゴールドマン:レーベルのやり方というのは主にふたつの方法に分けられると思います。ひとつは、特定のサウンドを確立して、それを追求する方法。でもこの方法は短期的には有効ですが、長期的に続けるのは難しい。5年以上は無理だと思います。もうひとつの方法が、ひとつひとつのリリースを個別に扱う方法。〈Warp〉や〈Ninja Tune〉のようなレーベルはこれをやってきたから、聴く人を驚かせながら長く人気を保つことに成功しています。

■いま例に出てきたレーベルは、同じアーティストと継続的に仕事をしてともに成長してきたレーベルでもありますよね。

ゴールドマン:そうです。まだ〈Macro〉は5年しか経っていませんが、そういうつもりでやっています。いま一緒に仕事をしているアーティストたちとはずっと一緒に成長していきたいですね。若いアーティストというのは、そのときにいくつかいいトラックが作れても、同じクオリティのものを作り続けることが出来るとは限りません。ですから、潜在力、成長の可能性を見出すことが重要だと思いますし、〈Macro〉ではそういうアーティストたちと仕事をしているつもりです。だから10年後、15年後も一緒にやっていけたらいいなと思っていますよ。

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Profile

浅沼優子浅沼優子/Yuko Asanuma
フリーランス音楽ライター/通訳/翻訳家。複数の雑誌、ウェブサイトに執筆している他、歌詞の対訳や書籍の翻訳や映像作品の字幕制作なども手がける。ポリシーは「徹底現場主義」。現場で鍛えた耳と足腰には自信アリ。ディープでグルーヴィーな音楽はだいたい好き。2009年8月に東京からベルリンに拠点を移し、アーティストのマネージメントやブッキングも行っている。

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