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interview with Goth-Trad

interview with Goth-Trad

真打ち登場

——ゴス・トラッド、超ロング・インタヴュー

野田 努    写真:小原泰広   Dec 30,2011 UP

2006年の頭に、誰かが「ダブステップ・フォーラムにGOTH-TRADのスレッドが立ってるよ」って言ってきて、「何それ?」っていう(笑)。それをリンク貼ってあって見たら、誰かが「GOTH-TRADってやつが日本でダブステップを作ってるんだよね」って書いてて。

■マーラとの出会いもありつつも、2005年縲鰀2006年っていうのはダブステップのシーンの発展期というか、オリジネイターたちが下地を作っていた時代だったと思うんだけれども、そのときのイギリスのシーンっていうのはゴス・トラッドから見てどうでしたか?

GT:当時自分がイギリス行ったときは、〈フォワード〉ぐらいしか行ってないんですよ。それはすごく盛り上がってましたね。ただ地方はわかんなかったですね、まだ。
 2005年の暮れに行ったときには『マッド・レイヴァーズ縲怐xの音でライヴもやったんです。それはヒップホップのパーティで、そのときはグライムのMCがどんどん入ってきて、「やっぱグライムなんだ」みたいなノリだった。2006年行ったときに〈フォワード〉行くと、グライムのMCがマイクを握りながら、DJはダブステップをかけるって形だったんですよね。で、当時の現場は自分はあまりよくわかってなかったです、ぶっちゃけて言うと。
 2006年から自分も東京でパーティはじめて、どういうノリでやってたのか......ひたすら「こういう感じかな」っていう(手探りな)感じだったと思いますよ、その頃は。初めはMCもつけてたし。ただ......でも、俺、最初にDJやったときはパソコンでやったんですよね(笑)。1回か2回か。CDJも使えないし、トラクターかなんかでやったんですよね。だからわかってなかったんですよね、何て言うかこう......。
 まずどうして自分がパーティはじめてDJはじめたかと言うと、ダブステップのカルチャーで面白いところはダブプレートだったり、未発表の曲をDJがかけるところ。日本だとDJイコールDJで終わることがたくさんあるじゃないですか。でも向こうだとDJイコールプロデューサーっていうのが、まあ基本じゃないけど----。

■とくにダブステップの世代はほとんどみんな作ってるからね。

GT:そうじゃないですか。それがないと成り上がれないというか、名前も広げられない。で、「日本もそうあるべきだ」と思って。でも自分はもともとDJやってなくて、自分の音を使ってライヴで勝負するのが当たり前だと思っていたから、そのときまで若干DJっていうのを軽視してたんですよね。

■ははは。

GT:ぶっちゃけて言うと。当時から多くのDJが「新譜か何か珍しいレコード買って、エフェクトをごちゃごちゃ駆使して、すごく上手い」みたいな。バトルのスクラッチとか、そういうひとはテクニックだからまた違うと思うんですけど。まあこれはクリエーター視点なんですけど、大元の音源の部分にオリジナルを追求してないですよね。そういう意味でつまんねえな、っていうのはあって。でもデジタル・ミスティックズを見ると、レコード・バッグ半分以上がダブプレートで、ダブプレート1枚切るのに1万円かかって、半分くらい自分のトラックで半分は自分のレーベルとか仲間のやつで、っていう。「ほぼライヴじゃねえか」と思って、その1曲1曲にかける熱意っていうか。そういう部分って絶対オーディエンスにも伝わると信じてますから。

■しかもダブプレート重たいしね、運ぶの。

GT:そうですよね。ただね、3万円で30枚集めてるDJと、30枚30万かけて自分のオリジナルで1曲入魂で作ってやってるアーティストって重みが全然違うな、っていうかすげーなっていうのはあって。俺もライヴぐらいの価値があるDJでありプロデューサーでありたいと思って。やっぱそういうことを日本でも当たり前にしたいなと思いましたね。それまで俺は自分でプロデュースしてライヴやってっていうのが当たり前だったから、それをDJにしてもっとわかりやすくやったらまわりのやつもそういう風にしやすいかなと。〈バック・トゥ・チル〉はこうやって、それを外に打ち出していこうよ、っていうコンセプトもあってパーティをはじめたんですよね。そうすればリスナー側ももっと現場にフォーカスするんじゃないかって。

■ダブステップのシーンになって、それがますます顕著だよね。ハウス世代だと、まだエディットですよね。テクノ世代はけっこう作っているけど、でもダブステップになるとほんとにみんな作ってるよね。

GT:1曲入魂なんですよね。1曲にすごく愛情があるからダブプレートで切って、自分で絶対プレイするってことじゃないですか。だって自分のためにしか切らないわけだから。その思いっていうのがすごく音楽的だと思ったし、あの、「ネタを買いに行く」って言葉がすごくイヤだなって俺思ってて。

■ははははは。

GT:「ネタじゃねえだろ!」みたいな。そこの感覚を俺はやっぱり打ち出したいなと思ったんですよ。もうちょっと日本でも浸透できたらいいなと。でももちろん、日本でもライヴ・カルチャーってあるじゃないですか、打ち込みでも。そこはいい部分だと思うんですけど。もうちょっとDJの単位からやると、面白くなるんじゃないか、もうちょっと触りやすいんじゃないかと。
 あとはやっぱり、自分の曲をリワインドして、とかいう面白さも感じたし、バック・トゥ・バックで面白い結果が生まれるっていうか。そういう部分もダブステップを紹介する上ではやっぱり必要だなと思って。

■ただ日本の場合はイギリスみたいにプレス工場がないし、ダブプレートを作ること自体が身近じゃないし。

GT:そうなんですね、うん。

■あれは羨ましいと思うけどね。

GT:だからダブプレートじゃなくてもいいと思うんですよ。CD-Rでもいいと思うし。俺が〈バック・トゥ・チル〉はじめた1年ぐらいは喋ってましたからね。「リワインドしたこの曲は、このあいだ作ってできた曲で」とか。誰かの曲をかけたときに「この曲はあいつが最近できた曲で」とか。「これは来年どこどこから出る」とか、そういうのを紹介してすごくわかりやすくやってたときもありましたね。

■それがゴス・トラッドが見たダブステップ・シーンの......。

GT:面白い部分でしたね。

■じゃあ自分がひとりのダンサーとして、その場でダブステップ・シーンの強烈な何かを感じたっていうことはあった?

GT:やっぱ音圧ですよね。〈プラスティック・ピープル〉ってそんな大きくないんですけど、それに対するシステムの大きさは全部デカかったですね、すごく。そこの音圧の感じはやっぱいままで体感したことがないものでしたね。あとお客さんのノリ。ハーフで打ってるんだけどみんな倍で乗っちゃって、ベースで乗っちゃうっていう。「あ、このノリだ!」っていう。いままで日本では見たことないっていうか。

■2005年末から2010年にかけてっていうのはダブステップ・シーンもいっきに多様化して国際化して、で、ポピュラーなものになっていくんだけど、「自分がダブステップのシーンの一員である」という意識がついたのはいつぐらい?

GT:えっと、2007年に12インチ2枚出したあとの9月にがっちりとツアーはじめてもらったんですよね。1ヶ月で10数本。

■それはイギリスだけ?

GT:ヨーロッパ全体でですね。そのときにはもう、パリでも人いっぱいだったし。で、グレッグ・Gって、いま日本に住んでる彼がやってくれたんですよ。彼とはそこで俺を呼んでくれて知り合ったんですよ。

■あ、そうなんだ。

GT:で、彼が言うには、5月の時点でスクリーム呼んだら80人だったと。その次に誰かが呼んだら150人だった。俺を呼んだときに、9月の時点で250人入ったんです。だから、急に2007年入ってからばーんとパリとかは来たって言ってて。

■2007年ってじゃあやっぱ大きかったんだ。

GT:たぶんそうだと思いますね。2006年の終わりから2007年にかけて、こう。

■ブリアルとかが出してるし、あとスクリームとかも当時ちょうどヒットして。シーンがデカくなりはじめた実感ってそのときから感じはじめたってこと?

GT:そうですね、やっぱこう(右肩上がりに)来てんな......っていうのは2007年からですね。自分はタイミングがすごく良かった。ロンドンでも〈DMZ〉っていうすごく良いパーティでライヴ・セットをやらせてもらえてたし。しかも、当時はまだライヴ・セットっていうのをやってる人がいなかったから。自分は逆にすごくDJに興味を持ってたんだけど、UK側では「ダブステップのライヴやるんだ?」っていうので、逆に面白がられた(笑)。

■〈DMZ〉のパーティっていうのもいまやなかば伝説になってるんだけど、ブリクストンでやってたんでしょ。どういう感じだったんですか?

GT:何かこう......教会があるんですよ。えー......暴動みたいですね、何かもう(笑)

■暴動(笑)。

GT:客が「わー! わー!」みたいな。2007年の9月以降もう何回もやってるんですけど、DJでやったときもあるんですよ。そのときなんか、いまはブースの位置も変わったんですけど、当時は客が頭この辺ぐらいのところで。DJやってると手触ってきて、「リワインド、リワインド」っつって(笑)。

■はははははは!

GT:で、「イヤだ、イヤだ、いましない、いましない」と言って、そうすると「おい、ゴス・トラッド! リワインド、リワインド!」ってこの辺のやつらがうるさい(笑)。で「しょうがねーなー」ってやったら、「ありがとう、ありがとう」みたいな感じで(笑)。そういうノリですよ、もう。

■それはもう、最高だね。

GT:ガキどもが群がって、みたいな。

■ああ、なんかその話聞いてると、光景が浮かんでくるんだよね。

GT:1曲にフォーカスするエネルギーがすごいですね、客がね。で、DJ側も「どのダブ・プレートかけてんの?」とか、かけたときに「誰の曲これ?」とか。「俺の曲」って言ったら「くれ! くれ! 次くれ!」って(笑)。やってる側も1曲1曲にフォーカスしてるし。ていうか、お互い一体感がすごいというか、みんなエキサイトしてるっていうか。

■イギリスってダンス・ミュージックの文化のあり方っていうのがやっぱすごいんですよね。いまの話聞いてて、1993年にブリクストンで、ジェフ・ミルズとロバート・フッドとスティーヴ・ビックネルが出た〈ロスト〉っていうパーティに行ったときのことを思い出した。汗が天井から落ちるどころか、ホントに天井や壁によじ登ってるやつとかいたんで。

GT:そういうノリですよね。いい意味でちょっと危険を感じるっていうか、圧倒されるっていうか。プレイしてる本人もイッちゃってるというか、みんなそうだと思いますよ。5回とかリワインドしますからね。しかも俺がやってるときに誰かがリワインドしますからね、こっちで(笑)。「まだミックスしてんだけど」みたいな。またはじめてこっちミックスしようとしたら、後ろのDJがまたリワインドしてるとか(笑)。さらにいいMCもいるから。

取材:野田 努(2011年12月30日)

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