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interview with 快速東京

interview with 快速東京

スカッとさわやかパンク・ロック

────インタヴュー、快速東京

   取材:野田努   Jan 30,2014 UP

Punk Heavy Metal

快速東京
ウィーアーザワールド

felicity

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 「僕たちは悪者だから」と一ノ瀬雄太は取材の最後にぽつりと言った。
 快速東京は悪者ではない。が、そう言いたくなる気持ちもわからなくもない。彼らは、いまの日本では確実に少数派だろう。涙もろく、猫も杓子も「がんばれ」のこのご時世、快速東京の切り込み方は例外に思える。「ムダじゃん、ムダじゃん、いいじゃん」とか、「あー、ムダじゃん、絶望なんて」とか、ニヒルな言葉を撃ちまくる。いまどき、こんなパンク・ソングなんて誰が聴こうか。
 快速東京は浮いている。ふざけているし、ナンセンスを面白がるような、ある種プリティ・ヴェイカントな感性が、真面目腐った日本で素直に受け入れられるとも思えない。思えば、セックス・ピストルズも出て来たときはアレルギー反応を示した人が多かった。時代は変われど、世のなかに何となく生まれるもやっとした情緒にあらがう小さな存在の扱いとは、だいたいそんなものでしょう。が、こういう人たちが切り拓くところには、いつの日か心地良い風が吹くものでもある。

 2013年の1年を通して、個人的にもっと数多く見たライヴが、快速東京だった。レーベルの担当者よりも多く見た自信がある。彼らが演奏するライヴ会場に行けば若い子たちが踊っている。そして、筆者よりじじいなストーンズやキッスの10倍の速さで福田哲丸が踊っている。ミック・ジャガーとマイケル・ジャクソンを高速で動かしたような面白い踊りだが、いつぶっ倒れてもおかしくない運動量で、ときにそれは「面白い」以上の迫力を見せる。
 哲丸が自らの音楽を「娯楽」とエクスキューズするわりには、その規模はまだ小さい。大きければいいってものではないのだが、彼らは規模の大きなバンドを好んでいる。筆者なんぞは、彼らが尊敬するキッスにもメタリカにも関心を持たない人間であるのだが(ブラック・サバスだけは別)、快速東京の「いま」には共感するところがある。

 この若いパンク・バンドは、大人の憂鬱をよそに、「いまを生きる」ことを強調する。LIVE NOW DIE LATER──いまを楽しもう。快速東京にとって3枚目となる『ウィーアーザワールド』が1月15日に発売された。音楽的にはいままでの路線と大きな変更はないが、表現の幅は少しばかり広がり、ゲストにはラップ・グループのコチトラ・ハグレティック・エムシーズも参加している。彼らの基本にあるのはパンクとメタルで、アメリカ系の乾いた質感を特徴としているわけだが、そのサウンドは哲丸の、叙情性のいっさいを排除した簡潔な言葉表現と良く合っている。ダメじゃん、と思えるからこそ楽になれる、前に進める、そういうやり方で彼らは時代に挑んでいる。

 以下のインタヴューからは、その歴史性を失ってからのロックの現在が読み取れるかもしれない。彼らが実は2000年代の東京のハードコアに影響を受けていたこともわかる。これはリアルな話だ。筆者でさえもその時代はハードコアのライヴハウスに足を運んだものだ。彼らがまだ10代の頃、西荻のライヴハウスで会っていたかもしれない……取材には、ギターの一ノ瀬雄太、ヴォーカルと踊りの福田哲丸、ベースの藤原一真が参加してくれた。

「“ムダ”。暗いよね、これ」(哲丸)
「暗い」(一ノ瀬)
「実はさ、これ、希望なんだけどね」(哲丸)

なんでもいいワケじゃないぜ
どうでもいいだけなのだ
ムダじゃん ムダじゃん いいじゃん
 “ムダ”

先日のクアトロのワンマンが大盛況だったんだってね。良かったという評判しか聞いてないんだけど。

一ノ瀬:ほー。

あんなにたくさんのお客さんがいるのがすごかったと、行った方々が言っててね。自分たちでも、ようやく快速東京が受け入れられてきた実感はありますか?

一ノ瀬:クアトロでワンマンをやると決めて、直前になってゲスト枠を増やすとか、そういうことをしなくて良かったなとか(笑)。

哲丸:人が増えてるなーとは思うけど。でも、増えてるからどうのとは思わない。

冷静だねー。

哲丸:増えてんなー! ぐらい(笑)。

1年ちょい前に快速東京と知り合って、それ以来、何回もライヴを見させてもらって、つくづく思ったのは、日本の音楽文化というか、シーンのなかでは、ホントに、似たものがいない。良い悪いの話じゃないんだけど、浮いているよ。

哲丸:へへへへ!

ある種逆風のなかで活動しているっていうかさ。いまの日本のシーンで、快速みたいなことをやってオーディエンスを増やしていくのって、すごいよ。この面白さを理解してもらうのが、こんなに大変だったとはねー。

哲丸:ハハハハ!

一ノ瀬:キリンのCMはそこを逆手に取って、コレを見たら気になる人も増えるだろうと思ってやってるんだけど、クアトロのワンマンも、それまで普通にワンマンやるとチケット売り切れるんで、キャパを少し広くしていかないとお客さんに悪いなって気持ちでやったから。クアトロでやりたいって思ってやったわけじゃなく、クアトロでやらないと入れない人に悪いなって気持ちでやったんですよ。

哲丸:やったらできたみたいなね。

そういうスタンスだと思うし、作年末の踊ってばかりの国との「東京ダンス」じゃないけど、まずは楽しんでもらいたいってことをやっていると思うんだけど、それがストレートに伝わらないという、変な状況もあるでしょう。

哲丸:それでもやりゃあいいじゃんってスタンス。

クアトロのライヴでの哲丸君のダンスはどうだったの?

哲丸:いやね、正月明けで、怠惰な生活がたたってか、カラダが重たくて(笑)。

いつものキレがなかった(笑)。

一ノ瀬:僕らは演奏しているから、哲丸の動きはよく見えてないんですよね。映像を見ると、「動いてるな、この人」って思うんだけど。

哲丸:(動くしか)やることないからね。

で、新作『ウィーアーザワールド』、すごく良いアルバムだと思ったし、この表現は快速にしかできないと思うんだけど、ただね、今回のひとつの関心としては、いろんなことが出来たと思うんだよ。

哲丸:そうだね。

3枚目だし、音楽性をどうするかって言ったときに、いろんな選択肢があったじゃないですか。

哲丸:流行っていたんだよな。

一ノ瀬:そうそう。

何が?

一ノ瀬:来日ラッシュがあったんですよ。ブラック・サバス、メタリカ、キッスと。けっこうメンバー全員行って。

ハハハハ、その流れすごいね。

一ノ瀬:オレ、去年ブラック・サバス死ぬほど聴いたし、まあ昔のアルバムだけど。

ああ、たしかに昨年もTシャツ着てたもんね。

一ノ瀬:ホントにそれだけ(笑)。

いや、でもスタジオ録音なわけだし。仮にブラック・サバスだとしてもスタジオ録音だからこそできることを追求するとか、いろんな選択肢はあったと思うんですよ。でも、大雑把に言って、ライヴ演奏とそう大差ない作品に仕上がったよね。

哲丸:ライヴのことしか考えていないからだよ。

ああ。

哲丸:曲作りの段階でライヴのことしか考えていないから。

一ノ瀬:そうそうそうそう。

哲丸:短くて速くて、明るくてポップで、軽快な曲はいっぱいあるから、あのセットリストに足りないモノを、なんとなく考えながらやった。

なるほど。あくまでライヴありきの楽曲なんだね。

一ノ瀬:他の楽器を入れるっていう発想は一回も出なかったすね。

哲丸:そうだね。

一ノ瀬:ギター的には、ライヴではできないことやっているところがあるんですよ。2本録ってそれぞれ違うことやってるっていう。

それは初めて?

一ノ瀬:やってたかな。ギターに関しては。

哲丸:やってたけど、今回のほうが激しいわな。

一ノ瀬:そうね。

哲丸君と一ノ瀬君ふたりの友情関係は大丈夫だったの?

一ノ瀬:いや、もう、最初から一回も仲良くないから。

ハハハハ!

哲丸:いや、変わらないよ。ずっと一緒。

一ノ瀬:永遠に仲悪いから。

ハハハハ、面白いな-(笑)。本当に仲悪いからね。なのに、しっかり作品作れるからすごいよ。

哲丸:そこは櫻木さん(※レーベルのボス)の仕事だから。

一ノ瀬:オレらはね、ワイワイやってればいいから。

仲良しで「良いね」「良いね」なんて言い合ってるようじゃダメでしょう。喧嘩ぐらいしなきゃ良い物なんてできないよね。偉大なバンドはみんなメンバー仲悪いじゃん。

哲丸:今回はね、来日があったことが大きかったかも。

一ノ瀬:大きいよ。

哲丸:険悪な関係でも、キッスが来たら一緒に行くとか(笑)。

一ノ瀬:そう。

哲丸:ブラック・サバスが来て、雄太だけ行って、その感想を聞いて「良いなー」って思うとか。

一ノ瀬:こいつ、来日アーティストに高い金払って見に行くって発想なかったから。

哲丸:でもキッスは行かないと。

一ノ瀬:オレはガキの頃にオヤジにストーンズとか連れて行かれてるから、そういう発想があるんだよ。

哲丸:こういう、仲が悪くても好きなモノが一緒だから、好きなモノの話はできるじゃないですか。

一ノ瀬:いやでもね、見方が違う。

哲丸:ホントに見方が違う。

一ノ瀬:感想の話とかすると揉めるもんな。

哲丸:へへへへ!

一ノ瀬:面倒くさい!

哲丸君はホントに面倒くさいよ。

哲丸:いいんだよ!

取材:野田努(2014年1月30日)

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