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interview with Passepied

interview with Passepied

Jポップ・オブ・ポップ

──パスピエ、インタヴュー

橋元優歩    Jun 18,2014 UP

日本の場合はJ-POPとかJ-ROCKとか、細かくカテゴライズされてはいるけど、必ず頭にはJがつく。それはいろんなものを取り入れた上で、それでも島国らしく自分を出していくっていうことに感じられて。   (成田)

『幕の内ISM』の民族性

成田:はい。音楽を聴いたり、美術館に行ったりして思ったことがあって、次のアルバムでは「民族性」ということを活かしたいと考えていました。ライヴを意識していく前作の方向性とはぜんぜんちがうベクトルで、今作は民族性というテーマを持ちたいと。

■オリジンということですか? それとも、たとえばダーティ・プロジェクターズなんかが実験的に接近していくような「民俗」、土地に固有なカルチャーへの興味ってことですか?

成田:大胡田は絵だったり詞だったり、わりと総合的に発信するものがありますけど、僕の場合は音だけで、音が持つ土地感のようなものに興味を持ったんです。以前からそういうものはおもしろいなと思っていて、それをバンドでも表現したいと思いました。

■なんというか、それは槍を持ってたりとか、単純に民族楽器を使ったりとかってことではないわけですよね。もうちょっと「民族性」ということについて教えてもらえますか?

成田:たとえば韓国ならK-POPだったり、イギリスならUKロックだったり、北欧なら北欧でいろんなバンドが存在していますけど、その国らしさというものがあるじゃないですか。先入観かもしれませんが。

■はい、はい。

成田:それで、日本ならば民謡だったり雅楽だったりという古い音楽だけじゃなくて、ちゃんとJ-POPにも(民族性というものが)あるなあと感じたんです。

■なるほど、日本の民族性、オリジンというようなことですね。

成田:そうですね、それを日本の人に向けて発信するというのではなくて、世界からの視線に対しておもしろいものが作れたらいいなあと思ったんですよね。それに、尺八の音を使ったり和太鼓の音を使ったりということではなくて、いままでやってきたバンドのサウンドでいかに表現するかっていうことに重きをおきました。

■おもしろいですね。自分たちのルーツを探るというモチヴェーションならわかりやすいんですが、なぜか世界からのまなざしを意識していると。

巫女さんとかセーラー服とかって、好きな人が一定数いるじゃないですか。わたしもそのなかのひとりっていうだけだと思うんですけど(笑)。 (大胡田)

■『演出家出演』までって、やっぱりインディ・バンドだったと思うんですよ。すごくニューウェイヴでロックで、それをある意味でエッジイに追求していて、メジャー・リリースだけどインディ・バンド。それに対して、今作はそういう角が取れている部分があって、曲のアレンジやらプロダクションからいっても、あらためてJ-POPのステージに立とうとしているような気がしたんです。それが、パスピエにとっての民族性の追求ということなんでしょうか?

成田:日本の音楽って、J-POPに限らず融合の歴史だと思っていて。たとえば古い時代なら、中国なり東南アジア由来のものを日本の風土に親しみやすいように取り込んでいく。いまはもっと世界的にいろんなものが混ざり合っていて、音楽もそうなっていますよね。でも日本の場合はJ-POPとかJ-ROCKとか、細かくカテゴライズされてはいるけど、必ず頭にはJがつく。それはいろんなものを取り入れた上で、それでも島国らしく自分を出していくっていうことに感じられて、そういうことがおもしろいなあと思うんです。

■そのへんは「ガラパゴス」という言葉もありますね。いろんなものが日本という閉じられた環境のなかで奇妙なかたちに煮詰められてしまうと。成田さんのおっしゃる「J」っていうのは、今作だとどのへんに出ていると思いますか?

成田:今回はJ-POPの中のバンドではなく、「POPの中のJ-POPバンド」をテーマに作ったので、どのへんというよりは全体のイメージだと思っています。あくまでも主観ですが。

制服、着物、巫女──大胡田なつきの女の子

■大胡田さんの絵の、女子学生、制服、着物、巫女というのも、ある意味で煮詰められた「J」の表現かと思うのですが、ご自身のなかではそういうオリジンとか日本というのはどんなものなんですか?

大胡田なつき:わたしはわりと、小さいころから「日本に生まれてよかったなあ」って。日本が好きだと思うことが多かったんですけど、それは自分が生きているいまの日本とはちょっとちがって、本のなかで読んだりする昔の日本だったんです。

■ああ、古い日本なんですね。昭和とかよりずっと昔の?

大胡田:どのくらいだろう……。『斜陽』(太宰治)とか、夏目漱石とか。

■なるほど、ちょんまげまではいかない、ぎりぎり写真が残っているような近代文学の日本ですね。

大胡田:そうですね、そのくらいの日本が好きです。本とかもわりと読んでいたほうなので、そのせいもあるかもしれないですね。でも今回のアルバムのジャケットなんかは、『演出家(出演)』を作り終わったくらいのころに浮世絵とか日本画の道具に興味を持ったので、その影響ですかね。パスピエってフランス語なんですけど、日本の色ってフランスの色に共通しているようなところもあって、いろいろ調べたりもしました。
 わたしはとくに成田さんのように民族性を意識したりということはなくて、ただ自分が描きたいから描いただけなんですけど、アルバムになってみると成田さんと似たようなものを表現していきたいと思った時期だったのかなとは感じましたね。

■女子学生で制服で着物でってなるとどうしても会田誠さんを思い出してしまったりもするんですが、お好きだったりしますか? あるいはどこかに同じようなアプローチを感じたりとか。

大胡田:どうかな……、並べられるかな(笑)。

■ははは。刀こそ出てきませんけどね。

取材:橋元優歩(2014年6月18日)

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