「DJ DON」と一致するもの

彼女にはその価値がある - ele-king

 インガ・コープランドという名前だけですでに十分な知名度と期待があるだろうが、2012年、ハイプ・ウィリアムスとしての来日の模様はこちらから。強烈なクリティシズムを匂わせながらもついに核心をつかませない、ローファイ電子音楽怪ユニット、ハイプ・ウィリアムスの片割れがふたたび来日、ソロでは日本発となるライヴを披露する。ジャンルの別なく2010年のインディ・ミュージック史に鮮やかなインパクトを刻んだ才能、その現在のモードを目撃せよ──「私にはその価値があるから」。

■INGA COPELAND JAPAN TOUR 2015
“私にはその価値があるから”

11.20 fri at Socore Factory 大阪
風工房’98 / NEW MANUKE / birdFriend / naminohana records / INTEL presents LOW TRANCE
~ Inga Copeland (ex Hype Williams) Tour In Osaka& Madegg ‘N E W’ Release Party ~

OPEN / START : 22:00
ADV : ¥2,500 w/1D | DOOR : ¥3,000 w/1D
more info : https://intelplaysprts.tumblr.com

11.22 sun before Holiday 東京
BONDAID#7 FIESTA! Inga Copeland & Lorezo Senni

START : 23:30 at WWW Tokyo
ADV ¥3,000 | DOOR ¥3,500 | UNDER 23 ¥2,500
more info : https://meltingbot.net/event/bondaid7-fiesta-inga-copeland-lorenzo-senni

11.23 mon at 木揚場教会 / Kiageba Kyokai 新潟
experimental room #20

OPEN 17:30 / START 18:00
ADV ¥3,000 | DOOR ¥3,500円 | NON NIIGATA / 県外 2,500円
UNDER 18 FREE / 18才以下無料
more info : https://www.experimentalrooms.com/

Tour Info : https://meltingbot.net/event/inga-copeland-japan-tour-2015/

■BONDAID#7 FIESTA!

2015.11.22 sun before Holiday
START : 23:30 at WWW Tokyo
ADV ¥3,000 | DOOR ¥3,500 | UNDER 23* ¥2,500

液状化するダンス、レイヴ、アートの融点。ダブの霧に身を潜めるミステリアスなロンドンの才女 Inga Copeland と“点描トランス”と称されるミラノの革新派 Lorenzo Senni を迎えた新感覚の屋内レイヴが開催!

Co La (Software)、Andrew Pekler (Entr’acte)、D/P/I (Leaving)、TCF (Ekster)、M.E.S.H. (PAN)といった世界各地の先鋭的な電子音楽作家を招聘してきた〈melting bot〉プロデュースの越境地下電子イベント〔BONDAID〕が第7回目のラッキー・セブンを迎えて送る祝祭“FIESTA!”を今年で5周年記念を迎える渋谷WWWにて開催。ゲスト・アクトはHype Willimas (Hyperdub)での来日パフォーマンスが大絶賛だったロンドンの女流電子作家Inga Copelandの日本初のソロ・ライブとミラノのサウンド・アートティストLorenzo Senniの〔Sonar〕でも評判となった“点描トランス”と称されるレイザーを使った、こちらも日本初となるインスタレーション“Oracle (神託)”。本公演は今年の6月に東京のLIQUIDROOMと大阪のCONPASSで行われたベルリンの実験/電子レーベル〈PAN〉をフィーチャーしたイベント〔PAN JAPAN SHOWCASE〕に続く、現在のイメージ化するジャンルと抽象化するダンス・ミュージックの坩堝を体現したコンテンポラリーな屋内レイヴ・ナイト。

LIVE :
Inga Copeland [ex Hype Williams / from London]
Lorenzo Senni “Oracle Set” [Editions MEGO / Bookman Editions / Presto!? / from Milan]
Kyoka [raster-noton]
Metome
Renick Bell [Quantum Natives / the3rd2nd]
Koppi Mizrahi [Qween Beat / House of Mizrahi]
& yumeka [OSFC] “Vogue Showcase”

VJ : Ukishita [20TN! / Nice Air Production]

DJ :
Toby Feltwell [C.E]
Sapphire Slows [Not Not Fun / Big Love]
Yusuke Tatewaki [meditations]
HiBiKi MaMeShiBa [Gorge In]
Hibi Bliss [BBC AZN Network]
Pootee
SlyAngle [melting bot]

#LEFTFIELD #ELECTRONIC #RAVE
#TRANCE #DANCEHALL #VOGUE
#TECHNO #GLITCH #GORGE #NEWAGE
#CONTEMPORARY #DANCE #ART

ADV TICKET OUTLET : 10.15 ON SALE

e+ / WWW / RA / Clubberia
disk union (Club / Dance Online, Shibuya Club, Shinjuku Club / Honkan, Shimokitazawa Club, Kichijoji)

*23歳以下のお客様は当日料金より1000円割引になります。ご入場の際に生年月日が記載された身分証明書をご提示下さい。
※20歳未満の方のご入場はお断り致します。年齢確認のため顔写真付きの身分証明書をご持参下さい。

主催 : BONDAID
制作 / PR : melting bot
協力 : Inpartmaint / p*dis
会場 : WWW

more info : https://meltingbot.net/event/bondaid7-fiesta-inga-copeland-lorenzo-senni


 本当だったら「エレクトロニカの“新”新世紀」特集に載っていたはずの新騎手、各誌讃辞を惜しまない新作とともに来日。後日の公開をお楽しみに。

■Visionist Live presented by Diskotopia & melting bot

2015.11.15 sun at CIRCUS Tokyo
START : 18:00 ADV ¥2,000 | DOOR ¥2,500

〈PAN〉再来襲! 現代グライムの旗手、ロンドンのVisionistがデビュー・アルバム『Safe』を携え来日。FKA Twigsとの帯同ツアー、KENZOやAcne Studiosの音楽も手がけ、ファッションまでも巻き込む気鋭がUKサウンドシステム・カルチャーを拡張する日本初のライブを披露。

Objekt、Afrikan Sciences、Bill Kouligas、Lee Gamble、M.E.S.H.、TCF、そしてRashad Beckerと来日ラッシュの続くベルリンの実験/電子レーベル〈PAN〉から今度はロンドンのVisionistが新譜『Safe』を携え来日。ここ数年でUKを中心に再興する00年代前半にダブステップと共に現れたラップ・カルチャー、ロンドン発祥のグライムを再構築しながら、UKの電子音楽やクラブ・ミュージックに根付くUKサウンドシステム・カルチャーを拡張、最新作『Safe』では脱構築を試み、グライムを彫刻のように掘り込みアブストラクトな音像を浮かび上がらせたアート・ピースはクラブや音楽シーンを飛び出しファッションまでも巻き込み話題を集めている。ブリストルとロンドンを中心に新たなる時代を迎えたUKサウンドシステム・カルチャーの前人未踏の領域へと踏み込むフロンティア、Visionistのライブが東京で実現する。

Main Floor :

Visionist Live [PAN / Codes from London]
ENA [Samurai Horo / 7even]
Yomeiriland (嫁入りランド) Live
食品まつり a.k.a foodman Live [Orange Milk / melting bot]
Prettybwoy
with MC Pakin [Dark Elements / GUM]
A Taut Line [Diskotopia]
BD1982 [Diskotopia]

VJ : Shun Ishizuka

First Floor :

VOID : Azel / Gyto / Shortie / Tum
Mr. James [Expansions, London]
asyl cahier [LSI Dream]
JR Chaparro

ADV Ticket Outlet :

Peatix / PIA (P-CODE 280477)

主催 / 会場 : CIRCUS
制作 / PR : Diskotopia | melting bot
協力 : Inpartmaint

more info : https://meltingbot.net/event/visionist-live-presented-by-diskotopia-meltingbot

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■Icy Tears Vol.3 featuring VISIONIST
Presented by Joyrich

2015.11.13 fri at Club Arc
START : 22:00 Door ¥3,000 w/1 Drink

DJ:

VISIONIST
WILL SWEENEY (ALAKAZAM)
KIRI (PHIRE WIRE)
1-DRINK
HIROSHI IGUCHI
AVERY ALAN (PROM)
KOKO MIYAGI


CE$ - ele-king

MY GRIME CLASSICS

Slackk - ele-king

 ヴィジョニスやマーロなど、11月はグライム・シーンの最前線で活躍するアーティストたちの来日が決定しており、スラックの名前もそこに堂々と連なっている。彼は〈ローカル・アクション〉や〈アンノウン・トゥ・ジ・アンノウン〉といったレーベルからのリリースや、ロゴスらとともに開催するパーティ〈ボックスド〉を通し、グライムの可能性を開拓する第一人者だ。ジェイムス・ブレイクからニコラス・ジャーにいたるまで、幅広い音を提供し続ける老舗レーベル〈R&S〉からも、スラックはEP「ブラックワーズ・ライト」(2015)をリリースした。今回、その凶暴なビートと端麗なメロディが混在するサウンドを携え、スラックが初めて日本の現場へやってくる。
 来日公演は11月12日に大阪、翌日13日に東京で開催。大阪公演にはCE$や行松陽介ら関西シーンの立役者たちが出演し、フォトグラファーの横山純によるUKにおけるグライム・シーンの現在をおさめた写真展も行われる予定だ。東京公演には、1-ドリンク、DXやポータルといった多彩なプレイヤーたちが、「グライム」や「ベース」をキーワードに集う。グライム・ヘッズだけではなく、新しい音に飢えている方も是非お近くの現場へ。

Slackk - Bells - R&S Records - 2015

Slackk(Boxed / R&S Records/ Local Action Records)


(Photo credit: Jun Yokoyama)

 インスト・グライムのシーンにおいて指標となる存在、Slackk。彼が創設したロンドンにおける重要なクラブ・イベントであるBoxedでは、いままさに頭角を現さんとするプロデューサーと、時代の数歩先をいく音を探求するDJがステージに立つ。そこでの活動や、週一でレギュラーを務めるリンスFMでの彼のDJセットは、まさに次なるシーンの最前線において鳴らされる音の縮図だ。
 スラックは自身の楽曲においても、細分化するグライムの核心を突いており、〈Local Action〉、〈UTTU〉、〈Numbers〉そして〈Big Dada〉といったレーベルからリリースを重ねている。それらの作品で方々から賞賛の言葉を浴びた後、2015年には伝説的なレーベル〈R&S〉と契約し、EP「Blackwards Light」を発表した。


【大阪公演】
Hillraiser
日時:2015年11月12月 19:00開演
会場:Socore Factory
料金:2000円
DJ:
Slackk
CE$
行松陽介
satinko
ECIV_TAKIZUMI
Photo Exhibition:Jun Yokoyama

【東京公演】
T.R Radio presents Slackk From London at Forestlimit
日時:2015年11月13月 21:00開演
会場:幡ヶ谷Forestlimit
料金:2000円
DJ:
Slackk
Dx (Soi)
1-DRINK
BRF
Zodiak (MGMD)
PortaL (Soundgram / PLLEX)
NODA
Zato
Sakana
MC:Dekishi

Obscure Rural Laid Back Rock Bandit Buggy Classics

KOHH - ele-king

 KOHHのミックステープ・シリーズ『YELLOW T△PE』のパート3。すべての曲が、瞬間ごとに更新されていく、からっからに乾いた初期衝動の連続。聴きながら何度も爆笑した。実際、これを最初から最後まで吹き出さずに聴き終える人って、たぶんいないんじゃないか。
 アメリカ滞在を経たKOHHのボキャブラリはますます直感的。谷川俊太郎とジョン・ライドンのマッシュアップじみた、ストレートな言語感覚だ。日々のフラストレーションも幸福感も、夏休みの絵日記みたいな素直さで次々に殴り描きされていく。MOMAの現代アートとコンビニの前にたむろするヤンキーの落書きが並べられ、ジョアン・ミロの絵画と『世紀末リーダー伝たけし』が楽しげに衝突し、パリのシャトレ座とソウルの路上、ハーレムの喧噪とサウス・シカゴのビル風がグチャグチャに混ざりあって、北区王子の団地に吸い込まれる。アメリカ発のグローバル・カルチャーのカンバスに、日本の土着的な祝祭感覚がカラフルに塗りたくられ、絵の具まみれのKOHHが大きな笑い声を響かせている。
 ポップとアヴァンギャルドのめまぐるしいミックス。即興的なひらめきをフリースタイルでパックした、異文化ブリコラージュのドキュメント。才能あるアーティストが本気で遊んでいる現場を目撃することほど、感動的でスリリングなことはない。これはマジでとんでもない実験作だ。

 本作でも1曲目にぶちこまれた“IT G MA” が、いまのKOHHを取り巻くすべての状況の発端だ。今年の元旦、明らかにUSのマーケットを意識して無料配信で放たれたこの曲は、日韓の新鋭アーティスト5人が、とくに平和や国際親善を歌うわけでもなく、ギンギンに尖ったトラックのうえそれぞれの母国語で暴れまくる怪作だ。歴史問題をめぐって衝突の絶えない両国のアーティストの共作タイトルが「イッチマ(韓国語:忘れるな)」。憶測を呼ぶタイトルとは裏腹に、金やドラッグ、セルフ・ボースティングといったラップ・クリシェがえんえんと続いたかと思えば、最後に登場するKOHHはラスト・ヴァースで「過去の話すんのダサいから昔のこと忘れちゃったらいい」とキックする。さらにはその曲がUSで「エイジアン・トラップ」として爆発的にヒットし、おそらくは韓国語と日本語の区別もつかないであろうアメリカのオーディエンスがクラブで「IT G MA!!」と合唱するにいたっては……これだけでも文化現象として完全にイカれてる。それに本作でも告白されるKOHHの出自も考えあわせれば、どこか感慨深いことでもある。
 そして、なによりサイコーなのは、やってる本人たちがその錯綜する文化的コンテクストにあまり自覚的でないところだ。ようは当日その場に集まったメンツで、本能のおもむくままにクールであろうとした結果が、この怪物的なオリジナリティだったということ。コデインやグリルズといった現在のUSラップの様式美を換骨奪胎して、アジア人の身体性を動物的にデフォルメする表現は、日本や韓国はもちろん、アメリカのシーンにとっても新鮮だったようだ。

           ********

 とにかくクールでフレッシュなものをつくる、というシンプルな創作本能は、このミクステ全体にもつらぬかれている。収録曲されたほとんどは、この1年でリリースされた海外勢とのものを含む客演、そして半分ほどはビートジャックのチューン。ミックステープということで、やはり目を引くのは後者だ。
 目立つものをさらっておくと、DRAKEの”6 GOD”にのせて日常のストレスをアートに昇華させる”全部余裕”、FETTY WAPの”TRAP QUEEN”を若干むりやりぎみに日本語に置き換えた”周り全部がいい”、 KANYE WESTの“ALL DAY”の直球カヴァー”毎日だな”、””AYO”のCHRIS BROWNのコーラスとTYGAのラップを一人二役でこなす”IIKO”、BIG SEANの”I DON’T FUCK WITH YOU”のフロウを忠実になぞる”どうでもいい”あたりか。どれもオリジナリティ幻想を吹き飛ばす、徹底したフロウのトレースぶりだ。
 こうしたフロウの模倣は、これまでの『YELLOW T△PE』シリーズでも試みられてきた手法で、リリックの内容も、原曲のキーワードが絶妙なズレとともに踏襲されている。ビートジャックそのものはミクステ・カルチャーとしてはとくに珍しくないものの、KOHHの場合、それが異言語間の翻訳として表現されるところに強みがある。USのシーンから盗みとられた最新のスタイルが、逐一日本語に置き換えられることで、日本語によるラップの文法そのものが書き換えられ、やがて独自のフロウが生み出されていく。同時に、英語と微妙に音を重ねられた異言語のライミングは、日本語をまったく理解しない海外のリスナーにも、新鮮な驚きをもたらすだろう。結果としてこのフロウをめぐる冒険は、単なるトレンドの翻訳を超えた、重要な音楽的実験になっている。そのアウトプットは、最終曲“MOMA”などのオリジナル曲の異彩のクオリティをみても明らかだ。

 コピーライトをガン無視して大胆不敵に他人のアートを奪い尽くし、カスタムした盗品を売りさばいて金や名声を手に入れる。その行為が、創作上の突然変異を生み、音楽的なイノベーションにさえつながる。マルセル・デュシャンがモナリザのコピーにヒゲを描き足し、自分の作品として発表したのと同じメンタリティで、KOHHはこのワールドワイドな文化的侵犯行為を楽しんでいる。ネット社会がどうとか複製技術がどうとか議論したがる賢しらな連中を置き去りにする、やったもの勝ちの美学。『YELLOW T△PE』シリーズは、形態としては国内流通のフィジカルCDだとしても、実質的にはUSを中心としたグローバルなミクステ・シーンの勢力圏で製作されている。ラフなミックスと音質は、この音楽が密輸入品であることの証だ。ファーガソンの暴動でドサクサにまぎれて商品を盗み出していく暴徒にも似た野蛮さが、このミクステにはみなぎっている。

          ********

 著作権の冒涜、アートの略奪、創造的な万引……どう呼んでもいいけれど、こうした音楽的な海賊行為は、ミックステープというメディアの本質でもある。1980年代にDJの小遣い稼ぎ的な副業として隆盛したミクステ・カルチャーは、いつしかラッパーやDJたちの重要なプロモーションのインフラに変化し、2000年代以降には、インターネットでの無料配信を基本とする壮大な音楽の実験場となった。カセット・テープから電子データにかたちを変えても、ミックステープは著作権にかんしてグレーゾーンを歩むことで、有名無名のアーティストの創造性の源泉であり続けている。
 現在プラットホームとなっているいくつかのUSのサイトには、すでに金やキャリアを手にしたビッグ・ネームからまったくの新人によるものまで、無数の作品が毎日のように無料でアップロードされる。その状況がアーティストにとって天国か地獄かはわからないが、適者生存(SUVIVAL OF THE FITTEST)を信条とするラッパーたちがやるべきことははっきりしている。過酷な生存競争であり、共喰いだ。ミクステというメディアはいまや、ラップのクリエーション面でのイノベーションの最前線となっていると言っても過言ではない。
 興味深いのは、こうしたインターネット上の開放的なバトルフィールドの出現が、これまでアメリカの巨大音楽産業を中心に動いてきたラップ・ゲームを、より脱中心的で、グローバルなものへと変質させつつあることだ。“IT G MA”のヒットをきっかけにUSシーンに攻勢をかけているKIETH APEなどの韓国勢が典型だけれど、日本や韓国といったアジア地域は、グローバルなミクステ・シーンにおいて、魅力的なフロンティアとして浮上している。
 いまや非英語圏出身のラッパーにとって、母国語によるラップはハンディキャップではない。というか本来、地元のチンピラが目の前の相手をぶっ飛ばす/自分たちがぶっ飛ぶためにヤバい音を鳴らしたら、それが勢いあまって地球の裏側まで届いてしまった、っていうのがこのカルチャーの醍醐味だったわけで、JAY-ZだってA$APだってケンドリックだって、ようはそういうことだ。よそゆきの不自然なアティチュードでつくられたラップなんてなんの魅力もない。すくなくともラップ/ヒップホップにかんしては、非英語圏のアーティストが全編英語詞の作品でアメリカのマーケットに乗り込む時代は終わりつつある。

 たとえば、限定で先行シングル・カットされた、オール日本語の“結局地元”。本人たちがどこまで計算しているのかは不明だけれど、そのミュージック・ヴィデオで、東京郊外北区王子のモノクロの風景が、“PARIS”の夜のパリの路上と接続されていることは、とても象徴的だ。仕事帰りの普段着、スカジャンと和彫りの刺青、エミリンや違法薬物の影……。商品としての洗練からはほど遠い、こうしたアンダークラス的な記号は、いったんグローバルなコンテクストに置かれたとたん、アジア産のラップ/ヒップホップならではの、エキゾティックな魅力を発揮する。サウス・シカゴの鬼才DJ YOUNG CHOPのビートでハーレムのJ $TASHとマイクリレーする“HOOD RICH”も同様だが、やはりこの日本版のゲットー・ファビュラス的なリアリティは、巨大な消費空間としての渋谷や六本木といった場所からはけして生まれないだろう。
 どうせ広告代理店あがりのどっかのインテリが、ひと昔前なら「下流」だとか、最近なら「マイルド・ヤンキー」だとか、ガラパゴス的なマーケティング用語で解説してわかったつもりになるんだろう。そんなものまったく無意味だ。ここには、ケニー・ディクソン・ジュニアが「デトロイトの毎日をもがくリアルなニガーはただ生き、そして食って、息をしている」と呟くときと同じなにかが、たしかに存在している。
 思えば、シリーズ前作のラスト・ナンバーでは、凍てつくようなスクリュード・ヴォイスで母親の生活保護と薬物中毒がカミング・アウトされ、KOHHはそこで「LIFE IS A BITCH/I DON’T GIVE A SHIT /哀しくないでしょ?/普通の話」そうラップしていた。そのKOHHが、本作では「人生最高」と何度となく繰り返している。絶えまなくスタイルを変化させ続けるKOHHに核心があるとすれば、生まれ育った北区王子に対する愛情なのだ。へたをすれば浪花節にもなりかねないその感動や感傷を、きわどいアート表現として提示できるところに、KOHHのアーティストとしての非凡なセンスはある。

       *********

 すぐれたポップはつねに、すぐれたアヴァンギャルドでもある。先鋭的なポップ・ミュージックは、社会に共有されたクールさのハードルを軽々と飛び越えるだけでなく、クールさの基準そのものを前衛的に更新していく。「ナシをアリにする」の言葉通り、破天荒な実験が繰り広げられる本作は、標準化されたポップに飼い馴らされた耳にノイズを呼びこみ、新たな地平を切りひらくものだ。その実験の成果は、すでに告知も出ているサード・アルバムに結実しているんだろう。
 とりあえずこれは、世界中から密輸入したパーツで組み立てられた、現時点での日本製の最高級品。『L.H.O.O.Q.』の刺青をいれた芸術的な泥棒が、真似するんじゃなくて奪いとってきた戦利品だ。オリンピック・エンブレムの盗作問題でお偉いさんがたが右往左往するのを尻目に、21世紀平成日本のアートの最先端は、今日も路上でふてぶてしく危険な遊びを楽しんでいる。アートの略奪。文化の簒奪。リーガルとイリーガルのはざまで、共喰いを繰り返して突然変異するハイブリッド。指をくわえて傍観している場合じゃない。いますぐこの略奪に参加しろ。

TETSUJI TANAKA - ele-king

TETSUJI TANAKA / "LIQUID FUNK HISTORY SET" CHART 15選

interview with tofubeats - ele-king


tofubeats
POSITIVE

ワーナーミュージック・ジャパン

J-PopDiscoRap

●初回限定盤
Tower HMV Amazon

●通常盤
Tower HMV Amazon iTunes

  早いもので、トーフビーツ、通算3枚目のアルバム。「水星」のリリースが2011年だから、かれこれ4年ものあいだ彼はこの国の音楽シーンの重要なプロデューサー(ないしはビートメイカー)のひとりとして、時代の寵児として、この時代を反映する者のひとりとして、広く注目され、作品を発表し、こうして我々を楽しませている。
 『lost decade』が2013年。前作『First Album』が2014年。そして今作。つまり毎年1枚のアルバム・リリース。これは、メジャー・レーベルの若手邦楽ミュージシャンの標準ペースであり、海外においても大衆音楽の基本ペースだ。もちろん、ある時代までの。

 トーフビーツとは、古今の欧米のアンダーグラウンド・クラブ・ミュージックを嗜好しながら、ポップ・フィールドに通用する音楽を作りたいと人一倍強く思っている青年である。彼はビートメイカーだが、がちがちのストリートウェアでめかし込んだレコード会社のスタッフと比べるとほどよく地味な外見で、しばし我々を混乱させる。いったい誰が「クール」な主役なのか……。そして、ひと昔前なら音楽家たるもの口が裂けても言わなかった「ビジネス」について堂々と喋る。価値観が変わったことを大人に教えているのは、むしろ彼のほうなのだ。

 ジャンクもクラシックも、使い捨ても名盤も、40年前の音楽も最新の音楽も、すべての価値が均等なスーパーフラッター・ワールドから来ているトーフビーツだとしても、だからといって彼はそうやすやすと素人芸に拍手しない。話題性では『First Album』かもしれないが、岸田繁、KREVA、小室哲哉、中納良恵……といった超豪華ゲストを迎えての新作『POSITIVE』、ひとつひとつの曲の完成度は高く、よりたくさん聴かれるのはこちらだろう。トーフビーツらしい叙情性、そして遊び心がうまい具合に調合されている。
 そもそも彼にとって重要なのは音楽的起源ではなく、たくさん聴かれること。多くの人が楽しめること。つまり、これが売れるかどうか。さてどうなることやら……そういう意味でも、注目の新作なのだ。

■tofubeats / トーフビーツ
1990年生まれ。神戸で活動するトラックメイカー/DJ。〈Maltine Records〉などのインターネット・レーベルの盛り上がりや、その周辺に浮上してきたシーンをはやくから象徴し、インディでありながら「水星 feat.オノマトペ大臣」というスマッシュ・ヒットを生んだ。本トラックを収録したアルバム『lost decade』を自主制作にて発売。同年秋には森高千里をゲスト・ヴォーカルに迎えた「Don’t Stop The Music」でメジャー・デビュー。2014年10月2日(トーフの日)に、豪華ゲストを招いたメジャー1stフル・アルバム『First Album』を発売。2015年1月にリミックス・アルバム『First Album Remixes』を配信リリース。つづくエイプリルフールにメジャー3rd EP「STAKEHOLDER」をリリース。9月にメジャー・セカンド・フル『POSITIVE』を発表した。

2年前に作った曲を今回のアルバムに入れちゃうと、Jポップの時間感覚では違和感が出るんじゃないかと思いました。

野田(●)、橋元(■)

今回、過去のすべてのMVも収録されていたりする(初回盤のみ)ことをふくめ、ひとつの区切りの中で作られていると思います。「メジャーでやりたいこと」というのがあったと思いますし、実際に過去にそう語ってもらってもいるわけですが、今回はそれに対する結果、あるいは手ごたえといったところをおうかがいしたいなと思ってます。

野田:早すぎるよ、ペースが(笑)。

TB:3年に1枚、というペースで食べていけるならいいんですけど、そんな契約どこでもしてもらえないですよ(笑)。物を言えるようになるまでには時間がかかりますね。

野田:その意味では本当にJポップらしいリリースの仕方なんだろうけどね。

TB:あるいは、1枚だけで抜けていっちゃう……あえて1枚だけの契約をするアーティストも多いのかもなっていう印象もありますね。

いろいろ制約のある中で、その1枚というものを精一杯考えておられると思うんですが、前作は「収録ヴォリュームがお得」というこだわりもありましたよね。

TB:そうですね。今回は、CDを買う人がさらに絞られていっているので、プレミア戦略とまではいきませんが、もうちょっとモノとして置いておきたくなるようにしたいなと。デザイナーからは10インチ・サイズのジャケにしたいっていう要望があったんですけど、そういうリアリティのない形は避けたくて、なるべく普通に流通しているCDのケースのサイズの中で工夫したいなと思いましたね。

野田:そういうふうにモノに回帰していくっていうのは、音楽の売り方としては原点回帰的なものだと思うんだけど、tofubeatsとか〈マルチネ〉って、そういうものを壊してきたという前科があるわけで──全部タダで聴けるという。そのへんは自己矛盾というか、アンビバレンスがあるの?

TB:でも、データにはデータのよさがあって、アナログにはアナログのよさがあるっていうのは昔から言ってることなんですけどね。僕は中学のころからレコードを買っているので、そこはtomadとはちがうところです。フリーで聴くのはフリーで聴く用の音楽で、たとえばフォークみたいなものはフリーでは落とさない(笑)。そういう基準がいちおう僕の中にはありますね。この『POSITIVE』でも、データ版はほぼ半額くらいに値段を下げていて、データを聴くような人に向けて送っているものなんですよ。CD版はCDを聴くような人に向けて送っているし、後々アナログを出すとなればそれも同じ。デジタルもパッケージだと言うならば、それ相応の角度をつけるというか。だからあんまり矛盾はしていないと思うんですよね。(料金が)フリーっぽいジャンル……ってなんとなくあるじゃないですか。Jポップをちゃんとつくろうというのは、そうじゃない、CDっぽいジャンルだと思っているからかもしれないですね。

なるほど。ブックオフの100円CDコーナーなんかが原体験的なものとしてあったりとか。きっとそうしたイメージの集積の中にご自身のJポップ像があるんだと思うんですが、たしかにtofubeatsのCDは「CD」をやっていらっしゃるかもしれない。

TB:それに、タダという話についてはちょうど昨日タクシーの運ちゃんとその話をしてたんですけど、儲かる商売とは投機性の高いものであると。株、先物、家──倍になったりゼロになったりするものが儲かる商売なんですよ。で、音楽はかつてとても投機性の高い商売だった。つまりそれは、ゼロになる可能性も持っている商売だったんです。逆に言えば、また価値が上がっていくこともあるかもしれない。それが最近の僕の見方です。いまが買いなんちゃうか、と。

野田:ははは! そんな株券みたいなものなのかなあ。でも〈マルチネ〉って、延々と同じやり方を繰り返してきた音楽産業に対しての、ひとつのカウンターでもあったじゃない? だから、ついtofubeatsにはこの間の音楽産業の激変についてだったりを訊いてみたくなっちゃうんだよね。今年だとアップル・ミュージックなんかも大きいトピックだけど、消費の選択肢が増えるだけじゃなくて、それを提供するためのメディアも増えていくでしょう?

TB:タイトル単位でお金を払うっていう感覚はもう捨てられたなと思いますね。音楽的な内容の上でも、来年あたりからそれに対応してどうなっていくんだろうって思います。今年も今年でぜんぜんちがって、来年はさらにちがってくると思うので……。年に一回くらい定点観測していかないと変な感じになっちゃうんじゃないですかね。その意味では、2年前に作った曲を今回のアルバムに入れちゃうと、Jポップの時間感覚では違和感が出るんじゃないかと思いました。

今年に入ってから、歌謡曲からJポップになったというようなレベルでのタームの変更が、なんとなく来そうだなって思ってるんです。

Jポップの市場に、ポップ・カルチャーのど真ん中の流れを作るエネルギーがまだあると思います?

TB:Jポップ市場にあんまり期待はしていないですけどね。すごい夢があるって感じではないんです。やり方としては、毎回、市場にお伺いを立てるみたいな感じなんで──「Jポップどうですか? 僕のヤツいけますかね?」って(笑)。

野田:ははは(笑)。そういうさじ加減はその都度考えているんだろうけど、今回はそういう意味でいうとJポップをすごく意識しているよね。

TB:そうですね。あといろいろ仕事をさせていただいたので、前回よりは技術的にJポップを狙って打てるようになっていますね。前回も気持としては同じくらい狙っているんですけど、今回ほど曲単体で飛ばせなかったというか。

ご自身の中の憧れもあるとは思うんですけど、TofubeatsがJポップというものを立ち上げるときに、ある意味で亡霊ともいえる過去の大物を引っぱってくるじゃないですか──やっぱり、Jポップという共同幻想が以前ほど明確に想像できなくなっているから。

TB:それをどんどん生産していくっていうのがあるんですよ。ファースト・アルバムに関しては、「憧れているひとに全員会う」という目標みたいなのがあって、森高(千里)さんがいけたから、藤井(隆)さんとかボニー(・ピンク)さんにいこうとか、メジャー・デビューする前に本当にファンだったひとを呼ぶ、というのがテーマだったんです。
今回の『ポジティヴ』に関しては、さじ加減が変わってきたというか。呼びたいひとたちは前回みんな呼べちゃった。となると今回はロマンとかじゃなくて、「呼んだらおもろいんちゃうか?」サイドというか。もちろん呼びたいひとという意味ではいっしょなんですけど、もうちょっと自分としては一歩引いたところからお声掛けをしています。

ゲストの方は年齢的にも少し下がっていますね。

TB:下げたかったんですよ。年長のひとを呼んでしまうというのは意図的なものじゃなくて、単純に趣味の問題で──〈マルチネ〉にはいるんですけど、同世代で波長の合うJポップのミュージシャンがあんまりいないから、呼べないというのがありました。それで、ベテランの方が話がわかってもらえるから、そういうひとたちを呼ぶことになってしまった。そういうひとたちといっしょにやって、こっちも勉強しておきたいというのもあります。
そもそも若手で市場でやっているひとってほとんどいないんですよ、ミュージシャンとしては。EXILEとかE-girlsとかって、またちがうスタイルじゃないですか? AKBはアイドルですよね。だからそこでジャンルがちがうんですよ。僕みたいなミュージシャンがあんまりいない。BONNIE PINKや椎名林檎みたいなひとが若手にいないんですよね。不思議な話で、椎名林檎さんだって若手のときがあったのに。

そうですよね。それが育てられていないということなのか、それともJポップというものの文化的な寿命があって、頂点を過ぎてしまって支えようがない、というようなことなのか。あるいは、もうみんな終わりを知っているから、新しい何か別のものを仮構しているところなのか。

TB:今年に入ってから、歌謡曲からJポップになったというようなレベルでのタームの変更が、なんとなく来そうだなって思ってるんです。

おお。

TB:そうなったみたいな。Jポップが登場してきて、小室さんが作っていたときみたいな感じで、荒れ果てた大地から謎のジャンルが出てきた……ってことになってこないかな、と思っていて。いまはアイドルとEDMで、ほとんど音楽的には焼け野原に近いというか。まぁ、焼け野原というのは言いすぎかもしれないですけど。

野田:だいたい小室哲哉自体が、たとえばいま再評価されているシティ・ポップの流れなんかとはぜんぜんちがうというか、反対側のひとだからね。

TB:そうそう。あのひとはヨーロッパですからね。これは大きな声では言えないけど、小室さんみたいなひとを「オモロイやん!」っていう理由で呼ぶのは、2015年じゃないとできないというか。そういう意味で前回とはちがうというか。以前はマジメに考えてこんな感じだったんですよ。

野田:ナイーヴなアルバムだったもんね。

TB:そういう部分が取れてきて、「小室さんを呼んで、岡田さんの声が聞こえてきたらウケるよね」みたいな感じで作ったんです。実際に小室さんもこれを聴いて爆笑するっていう。だから、そういうことができたので、すごくよかったですよ。それにこんなのを送ってくださる時点で、小室さんもJポップを作る気がぜんぜんないじゃないですか? だからシーンへの音楽的な期待が小さくはないんですけど、けっして大きいわけではないために、かえって自由になれるところもあるなっていうのは、今年のいいところでもあります。

野田:じゃあ、ある意味では遊んでいるアルバムとも言える?

TB:そうです。けっこうふざけていますね。「ふざけていいんだな、こんくらいまでは」というのがわかってきたというか。

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今回は「自分の」じゃなくて、「OLの」歌っていうのが作れるようになったんですよ。客観的なものにできたというか。


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そのさじ加減とともに、技術的にも遊べる力量がついたということなんでしょうね。

TB:それに関してはまだまだで、まったくないとだけ言わせてください(笑)。そもそも曲ができなさすぎて、〈ワーナー〉の会議室で「ポジティヴになりなさい」って言われて、タイトルが『POSITIVE』になったので。

野田:え、何があったの?

TB:最初に玉城ティナさんとの曲があって、それが1ヶ月くらいできなかったんですよ。それで神戸から呼び出されまして。釜飯を食いながら「トーフくんはもっとポジティヴになりなよ」って言われて。「そんなの無理っすよ」ってデザイナーのひとに言ったら、「でも“ポジティヴ”って、字面がいいじゃん。エネルゲンみたいでかっこいいよね」って感じになって、「じゃあ『POSITIVE』でいきますか」と。そしたら曲ができだしたんですよ。

そのニュアンスですと「やけ」みたいにも聞こえますけども(笑)。

TB:いや、根も葉もなくていいんだな、みたいな。逆にJポップだし、と。

野田:率直に聴いた感じを言うと、最後のEGO-WRAPPIN'のやつとか本当に泣きの入ったJポップというかさ。「絵に書いたようなJポップをやりやがって、このヤロー」と思ったんだよ。いまの話を聞くと、それはある程度は確信犯としてやってるの?

TB:前回のアルバムとかは、自分のなかの女の子っぽさとかOL的なものを増幅させて曲を書こうとかって感じだったんです。でも今回は「自分の」じゃなくて、「OLの」歌っていうのが作れるようになったんですよ。客観的なものにできたというか。前の作品がナイーヴになる理由もそこにあったんですけど、自分ではなくてそれぞれキャラに合わせてやればいいやって思えて。

野田:それはホントにプロデューサーだよね。

TB:しかもインスト曲を抜くことによって、そこに徹することができるようになったというか。その代わりに最後のテクノみたいなやつ(“I Believe In You”)が、いちばん思い入れがある感じなんです。

ある意味での勝負曲ですね。

TB:そうですね。この曲がいちばん聴いてほしいっていう。

野田:そうなんだ(笑)。

TB:すべてはここに持ってくるためにあるっていう感じなんで(笑)。

とはいえ、この曲もバランスが取れた曲だと思ったんですけどね。

TB:いちおう〈マルチネ〉10周年用で、派手にしたいというのはあったんですよ。

ひとつ前のシングル(『STAKEHOLDER』2015.4)って、つながりとしてはあの曲のの流れにあるのかもしれないですね。

TB:結局、『POSITIVE』を出す前提で『STAKEHOLDER』も出しているんですよ。ジャケも、この布陣でこのアルバムをやるっていうのは決まっていて、「ここではいくらふざけても大丈夫です!」っていう許可を〈ワーナー〉から取って作ったのが、この『STAKEHOLDER』だったんです。

内容的にも、今作のラストの曲とある意味で似ているというか、わりと自由にされてますよね。

TB:ファースト・アルバムだけでやらなきゃいけないと思っていたことを、切り分けて『STAKEHOLDER』でやりきっちゃって、『POSITIVE』はプロデューサーに徹する──そこの采配がうまくいったおかげでもあるというか。
たとえば最近のネットで聴けるいちばん尖った曲の傾向みたいなものが、この『STAKEHOLDER』にはなんとなくあるなというのが、わかりやすく見えると思うんです。アルバムのほうにももちろんそれがあるんだと思うんですが、すごく切り刻まれてJポップの形の裏に滲むくらいの程度になっていて。
というか、その尖った分量を減らすことも意識してさえいるんですよね。ヴォーカル・チョップみたいな手法とかは、もはやちょっと不良かもと思って減らしたところもあります。スカイラー・スペンサーの曲とかも、過剰なエディットを排除する作業をしたり。

まさにいまその名前を出したかったんですけども、スカイラー・スペンサーってセイント・ペプシでしょ? 普通に歌っとるやんか、みたいな驚きもあって。

ポップスというのは内と外の認識というか、それをどう定義するかだと。

野田:Jポップと言ってしまうと語弊があるしね。tofubeatsは、いわゆるポップ・アートみたいなありかたをすごく出していると思うんだよね。ポップ・アルバムを作ろうとしているのはひしひしと伝わってくるんだけど、トーフにとってポップ・ミュージックは、さっきの現状認識に照らすと「焼け野原に近い」わけなんでしょう? 要するにろくな音楽がないっていうか。

TB:まぁ、なくはないですけどね。

野田:そういう中でいいポップ・ミュージックを作りたいということだと思うんだけど、それは何なの?

TB:一昨日、Seihoさんとしゃべっていて、「『POSITIVE』についてひとことだけ言いたいことがある。これを聴くと、tofubeatsくんのどこまでが外でどこまでが内かわかる」と言われたんですよ。だからポップスというのは内と外の認識というか、それをどう定義するかだと。
今回、小室さんと作りながら話していたんですけど、小室さんが何百万枚と売れていた時期でも、小室さんが言うには「絶対に売れない曲」が最初にできるんですって。僕の『STAKEHOLDER』みたいな、自分の好きなことだけをやった曲ができるそうなんですよ。でも、そこから1000人分、2000人分とアレンジで積んでいくんです。ここをこうしたら1万人増えるっていうメソッドがあるんですよ。ここまでやるとラジオ・レベル、ここからはテレビ・レベル……ただ、自分の好きなものからは離れていくっていう。まさに内からどんどんと外へ広げていく作業をアレンジでやるんですよ。それをやるのがJポップだっていう話で、それがみんなに喜んでもらうということだと。俺はそこまでは達観できないですけど、自分のなかにある感覚としては、「内」と「外」というのはたしかにあるんです。

野田:その小室さんが使っていた、内側から第一段階、第二段階と離れていく手法は、いまでも通用すると思った?

TB:俺は思わないです。それはもちろん時代的なものもあるので。ただ、それと同じことがやれるひとに、中田ヤスタカさんがいるって思います。本当かどうかわからないから真に受けないでほしいんですが、「時代の一歩先じゃお客さんにわからないから、半歩先じゃないとダメだ」って言われていたそうなんですよ。それはそのとおりで、俺はそれをわかっていてやらないのが品のよさだとは思うんですけど、そこで「半歩」を選べるひとはプロデューサーとして優秀だと思う。
そのあたり、僕はジレンマがあるんで──養う家族とかがいるわけでもないんで、僕はそこで折れる必要がないんです。でもそこで半歩を意識するのがポップスなんじゃないかな、と。まったく意識しないとアーティストっぽくなっていくんですけどね。僕が神戸とか東京とか言うのも、内と外を定義するからなんです。それが僕自身のポップス観に近いって感じですかね。それでSeihoさんに、「トーフくんがどこからどこまでが仲間だと思っているかがわかる」って言われたんですよ。

野田:なるほど。しかし「1000人、2000人」って、すごい発想だなー。フィル・スペクターとか誰でもいいんだけど、そんなふうには作っていなかったと思うんですよね。

TB:それはまさにJポップという感じが出ているんだと思います。でもグラミー全盛のときもそうだったんじゃないかって感じがするんですよね。メロディ・メイカーが別にいるっていうのも、まさにそれを表しているように見えるし。
あと、小室さんからその話をうかがってから、2000年くらいに放送された小室さんの『情熱大陸』(TBS)を見なおしたんですよ。そしたら小室さんが「あ、1000人減った」って言うくだりがあったんですよ(笑)。15年前に言ってるから本当だって思ったんですよね。でも小室さんはその中でも「ピアノ・アルバムをやりたい」って言って、無理してそういう作品を作っちゃう部分もある。やり方っていっぱいあると思うんですよ。内と外があるとして、毎回外を打つ人もいれば、内のものと外のものを作ってバランスを取る人もいるじゃないですか。おもしろいと思いますね。

「いま1000人積めたな」っていうのは、音楽が本当にたくさんの人と文化を動かしていた時代のダイナミズムであって、いまその発想を支えるものがあるかというと──

TB:動いて2、3人くらいなんですよ(笑)。

ははっ、ご謙遜! あるいは、CDというフォームじゃなければむしろ昔よりもたくさんのひとたちが音楽を楽しんでいるかもしれない、といういまは、「1000人積みます」っていう商業ベースの考え方が、逆に特別にかっこよかったりワンダーだったりもすると思うんですね。そのあたりのスタンスは、tofubeatsはどうやって取っているんですか?

TB:だからそこで「力を抜いてみよう」というのでできたのがこれというか。エゴをマックスでやらないとどうなるんだろう、みたいな感じですかね。それに世の中がもっと世知辛くなっていったときに、みんなはどんどんアーティスティックになっていくと思うんですよ。あと、何も定義がないから、自分のやりたい音楽をやるしかないんですよね。だから対社会的なものを作るっていうのは……どうなんですかね。それも時代によりけりだと思うんですけど、いまの時代としては、来年はマジメなやつを作っても大丈夫なんじゃないかという気もしているんです。だから、こういうのを作れる間に作っておこうというのもあったかもしれないですね。

来年はマジメなやつを作っても大丈夫なんじゃないかという気もしているんです。

ああ、なるほど。それは「2015年じゃないとできない」というさっきの発言ともつながりますね。「今年」のニュアンスをもうちょっと聞きたいです。

TB:今年は『Maltine Book(SWITCH特別編集号)』とかが出ていますけど、どこか荒野っぽいというか。tomad社長みたいな人は、そこに今度は砂が盛り上がって枯山水ができ上がるとか、Seihoさんとか岡田さんみたいに、開拓時代だから好きなことができると言っているひともいる。僕は流行のなかでそこにどうやってタッチしていこうか試行錯誤しているので、ブームみたいなものがなくなるとかえって距離が取れなくなってしまうっていうか……、そういう定義がどんどんなくなっていくんで、最後はどういう音楽をやっていくか、いま自分自身に問いかけられつつあるんです。だから内と外がなくなったときにどうやろう? という不安がありますね。

それは突き詰まった答えをいつか聴いてみたいですね。ではtofubeatsから見た理想的なポップ像というと、どんなものになりますか?

TB:「気概がある」っていう言い方になっちゃうんですけど……。ある人が言っていたんですが、すごく有名なバンドでも、後進にたいしてエデュケーショナルな感じがない音楽が多いでしょう? その向こう側はあんまり見えないっていう。たとえばNonaReevesとか、聴いてみるとその向こうにある音楽がわかるじゃないですか? 当人がそうなりたいと思って動いたんだなって。そういうのであってほしいとは思うんです。この音楽を聴くことによって、何か作用が起きてほしいというか。それは音楽的な作用です。それを聴いてダンスをはじめるとかでもいいんですが、僕が理想だと思うJポップは、音楽を聴いて、音楽の作用が起きるのがいい。もっと音楽を聴こうと思わせてくれるというか、そういうものが優秀だという定義がなんとなくある。ただ、サザンを聴いてそう思うひともいるでしょうから、人によりけりなんですけどね。でも、僕が好きなのは「なんやこれ、もうちょっと調べてみよ」となる音楽というか。

僕が理想だと思うJポップは、音楽を聴いて、音楽の作用が起きるのがいい。もっと音楽を聴こうと思わせてくれるというか。

野田:参照性が高い音楽?

TB:同列の音楽に行ってもいいんですよ。たとえばアクフェン(Akufen)を聴いて、「カットアップってなんだろう?」と思って、アクフェンとぜんぜんちがうやつを聴くというか。そうさせてくれる音楽が好きなんです。

野田:それをポップ・ミュージックのより大衆側でやるってこと?

TB:そうです。だからおもしろいアイドルの音楽を聴くのと、アイドルの曲を聴こうとなるのはまた別の原理じゃないですか? もっと音楽的な広がりを与えてくれるものというか。そういうものがJポップのチャートに入ってほしい、という願いがありますね。
今日はJ-WAVEでさっきまでイヴェントがあって、フットワークが流れててめちゃびっくりしたんですよ。ラジオでEDM以外のクラブ・ミュージックがかかることってほぼ無いんですね。先週、車に乗ってたら大阪のFMからスウィンドル(Swindle)が流れてきてびっくりして。

野田:それは本当にたまたまだね(笑)。

TB:協賛番組でその局制作じゃない番組だったんですけど、そういう「おお!」というのがほしくて、びっくりしたいというか。「ああ、またEDMね」とかじゃなくて、いろんな音楽が入った多様性みたいな感じがあるといいなと思うんですけどね。

野田:じゃあ自分でもそれを目指すわけだね。

TB:本当にひとりでやるしかないというか。

でも、〈マルチネ〉さん周辺のなかでもtofubeatsはとくにドラマチックでロマンチックなミュージシャンなのかもしれないとは思いますけどね。程度の差はあれ。

TB:いや、もう本当にドラマ信仰がはなはだしいって問題視されているんですよ(笑)。岡田さんとかにリアリズムに欠け過ぎているとよく言われるんですね。

野田:どういうこと?

TB:深夜ドラマが好きすぎて、なんでもドラマっぽくしちゃうというか、ストーリーをつけちゃうというか。だからインタヴュー受けがいいとかはあるかもしれないんですけど(笑)。なんでも勝手に自分でストーリーにしちゃうっていうのは、半分病気だって言われる。〈マルチネ〉のひとたちは点で物を見れるので……。インターネットと相性がいいのはそれですね。僕がインターネットをやっているけど、レコードを買ったりとかしたいのは、ストーリーがなきゃっていう性質のせいかもしれないです。

それはアルバムの考え方にも影響するかもしれないですね。

TB:なんというか、曲もタイトル単体では評価できないんです。さっきも言ったんですけど、「つながりがないと」とか言っているのはそれに近い気がしますね。

ある意味では商売っていうドライさで音楽を見れないひとなのかもしれない、とか。

TB:だから必死っぽい感じがするのかもしれないですね。

たとえばくるりの岸田さんが歌われているやつとか、EGO-WRAPPIN'の中納さんとの最後の曲だったりとかは、tofubeatsが本当は持っているドラマチックな部分が、彼らの声を通して表に出てこられる。「ドラマチック」というのをダサいと思っているかはわからないですけど、自分で押し込めている部分もあるのかなという感じはするんですね。でもそのあたりの曲は、唯一それが自然に感じられる。

野田:俺は今回のアルバムを聴いて、tofubeatsってこんなに情のひとなのかと思った。

TB:情のひとですよ(笑)。それだけは言わせてください(笑)。

野田:こんなにエモーショナルでペーソスがあるのかと思ったね。

そういういうことを上手く歌うひと、あるいはそういうひとを選んだんだなと思いました。

TB:そうなんですよ。他人経由にして歌うからいいんですよ。あと、歌ってもらわないと自分で聴けないじゃないですか? それがいいんですよ。僕は自分のアルバムは自分で聴きたくて作っているので、自分で聴くためにはひとの声が入っていないといけない。

野田:けっこう泣きのひとなんだよね。

TB:いや、もうめちゃくちゃそういうタイプですよ。

それだとKREVAさんのやつ(“Too Many Girls feat.KREVA”)がおもしろいじゃないですか。半分KREVAさん、半分ご自身みたいな。

TB:あれは『lost decade』でPUNPEEさんとやったのといっしょです。トリがあってオチがあるっていうか。そういうものへの遺伝子レベルでの羨ましがりというか。あと、イケメンが好きなんですよね。自分にないものがあるので。

ひとに歌ってもらっている部分が半分、自分で歌っているのが半分ってなっているじゃないですか?

TB:そうですね。

その意味で、出てくるものが他の曲とはちょっとちがうような気がしたんですけどね(笑)。

TB:これは半分コミック・ソングみたいな感じなんですけどね。

「このひとはこれを守っているんだな」ってわかるミュージシャンが好き。

テクニカルな部分というよりも、むしろ曲の表現とか意味みたいな部分を何重にも外側から考えているひとなんだなと思いますね。でも、その「外側感」は自分にとって不自由であったりはしないんですか? あるいは、「もっと無邪気にやれたらいいな」とかって思わないんですか?

TB:無邪気にやりすぎちゃうと品がない感じになっちゃうから。

野田:そこは何か、tofubeatsの中にあるんだね。

TB:そこに関してはボーダーがあるんですよ。いちおう全曲その意識の中に収まっているというのがあるんですよね。

野田:tofubeatsが気にしている品性の部分はわかる気がするね。一歩タガが外れると、それこそEDMのひどいヤツじゃないけども──

TB:曲とか歌詞についても、自分の中でボーダーがあるんですよ。ハーバート(Herbert)なんて、「自分はこれは絶対やらない」みたいなことがサイトにずっと載っているけど、俺もああいうのがあるんです。ああいうのになりたいというのはすごく思ってて。よくわからないけど、「このひとはこれを守っているんだな」ってわかるミュージシャンが好き。俺はボニーさんとか岸田さんにそれを感じるんですよ。小室さんもそうですね。めっちゃ器用なのに、やることを限定するじゃないですか。手癖とかが出ないようにするっていうのは、なかなか難しいような気がするんですよね。

倫理みたいなもの。そういうものをより気にしなきゃいけないというか、最近の若いひとはそういうところにわりと厳しいということは感じるんです。そういう感覚とか、芸術であれ何であれ自分のことをテキパキ説明して、キャリアを切りひらいていけるっていうようなところでも、tofubeatsはひとつのお手本になっているのかもしれないですよ。

TB:どうなんですかね。僕より若いひとは政治とかがもっと好きでしょう。僕らよりもうちょっと下くらいの世代との断絶は感じるんですよ。だからSEALDsとかが“彗星”とか“No.1”とかをかけて演説しているっていうのを聴くと「へぇー」と思うっていうか。

野田:そういう曲がかかってもおかしくはないかもしれないね。

TB:あと、僕のルールのなかには政治を語らないっていうのがあるので。絶対に公の立場では。そういうのが何個かあるんですよね。

今年の感触全体として空を掴んだ感じがありますよ。

野田:tofubeatsをかけるシールズはおもしろいとは思うけどね。それとは別の話なんだけど、今年が焼け野原っていうと俺も似たような感覚があって、2015年ってあんまりおもしろい音楽が多くなかったでしょう?

TB:「これが流行っているな」っていうのもないなって。

野田:たとえばエレクトロニック・ミュージックのシーンを見たときに、とくに新しいものが出ているわけじゃないんだよね。それ以前のほうが動きがたくさんあって。そういう意味でいうと、現行の音楽のおもしろいところとリンクしようとしても、できるところがない。そんな中で音楽を作ろうとなると、「内と外」っていうさっきの言葉が正しいかどうかわからないけど、何かいままでとちがう作り方が求められるというかね。

TB:いまも、周りが言うほど俺は「できた」って感じがしてないんですよ。今年の感触全体として空を掴んだ感じがありますよ。悪いのができたとは思っていないんですけど、これが何かを起こすぞみたいな感じは、今年はしなくって。

それはわからないよ。

TB:起きたら起きたでうれしいですけどね。

でも、「今年」ってもののツマミを上げたり下げたりしてくれる唯一の存在なのかもしれないじゃないですか? 他のひとができないぶん、さらに昔とはその塩梅もちがうってことがわかっているぶん。

野田:まぁ、でも今年は出すのが難しい年だったと思うわけよ。

TB:それはそうですね。

野田:ヴェイパー・ウェーヴでもジュークでもなんでもいいんだけどさ。

だって3月以降『ele-king』は出てないんですよ。書籍の刊行が多くっていろいろ大変だったんですけど、でも何か大きな動きがあったら出てるはずなんで。出たのは別冊の「ポストロック」と「ジム・オルーク」(笑)。

TB:はははは(笑)。やばいなー。

野田:大変な時期だよ。

TB:「荒野になるとハウスが流行る」みたいなtomad社長の意見も正しかったし、俺たちもDJをはじめた頃の音楽を聴くっていう(笑)。

野田:それはシティ・ポップが流行るのと同じだよね。バック・トゥ・ベーシックな感じ。

TB:ディスコのリエディットとかもレコードとかですごく買ってて。「DJはじめたときといっしょじゃん!」ってなるみたいな。しかも作っている曲にはそのフィードバックがないから、余計そういう感じがするというか。単純にやることがなくなったから、自分の出処を確認しているだけなんですよ。

そんななかでギター・バンドはのびのびとやっているんですかね?

TB:バンドも形見が狭いでしょう。

野田:バンドだって真新しいことをやっているわけじゃないじゃん。

真新しいことがないから、シティ・ポップが参照されたり。

TB:あと荒野過ぎてちょっと出てくると拾われちゃうから、余計やりにくくなっていると思いますよ。

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サブスクが今年にできて、ひとつだけありがたかったのが、「プレイリスト」という感覚でアルバムがいちおう戻ってきたというか。


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でも、なんだかインターネットが自由の空間を開き過ぎてしまって、産業とかユース・カルチャーとしては苦境でも、音楽そのものにとっては案外いい時期なんじゃないかと感じたこともありましたけどね。

TB:ていうか、インターネットが前提になったから、〈マルチネ・レコード〉は新しくもなんともなくなって瓦解したというか。10周年のタイミングで社長も本を出して、いちど解き放ったというか、適度なところで区切りをつけたというのもあるとは思いますけどね。

アルバムというフォーマットにすることにどういう意味があるのかがより問われるようになったという感じもします。それぞれがそれぞれのタイムラインで、単品で音楽を聴いているわけなんで……。そういうタイムライン乱立状況の中でアルバムを考えるときに、Jポップという亡霊がもう一回召喚されてくるんだと思うんですけど、そういう意味では今回のアルバム、すごくアルバムですよね。

TB:それで言えば、サブスクが今年にできて、ひとつだけありがたかったのが、「プレイリスト」という感覚でアルバムがいちおう戻ってきたというか。単曲配信の場合は1曲配信なので、アルバムを聴くっていうモチベーションを、料金的なところでは与えにくかったんですよね。しかもYoutubeから単曲のリンクに飛んでってなると、どうしてもそうなる。それがこのサブスクを経て、価格的な面では障壁がなくなったから、アルバムにいきやすくなった。──たとえば僕がアップル・ミュージックで何を聴いているかというと、ブライアン・イーノとか〈メゴ〉。僕、中学生のころから好きで。でもいま、それをアルバムで聴くっていう、有線みたいな使い方になっているんですよね。そういう意味で、逆にいまの状況だとアルバムを聴くと思ったんですよ。しかもアップル・ミュージックって、知っているアーティストしか検索できないじゃないですか? 紹介してくれるものも知っているアーティストに関連しているものなんで、いきなりヘビメタの知らないアルバムを紹介されて「いいな」と思うことはないんですよ。だから知っているアーティストを検索して聴くという系統だった聴き方も生まれる。

古い聴き方とある意味では同じ。

TB:しかもより拘束力なしに聴かせる。だって、いまだったら一回CDをPCに取り込んで聴かせるってなっちゃうんで、そういう意味ではアップル・ミュージックは曲を順番に聴かせる力があると思うんです。それでプレイリストとなると、CDマックスに入れるのは長いなってなって、今作はトータル56分とかになっているわけです。

アルバムの話はおもしろいですね。なるほど、そこも考えられていると。

TB:インスト曲とかも作ったんですけど結局入れなくて、レーベルにも「入れるかもしれないから待っててくれ」って言っていたんですけど、やっぱり長いから全部は入れなかったんですよね。ヴォーカル曲が続くのもそれが理由で。

それはポジティヴな理由としておもしろいかもしれないですよね。

野田:ここまで考えなければいけないんだね(笑)。

逆にそこまで考えるプロデューサーに、今度はさらなる「アーティスト性」が加わるようになってきたというか。まぁ、そのアーティスト性は不幸なのかもしれないですけども。

TB:不幸とかさんざん言われましたけど、今年に入ってそれが当たり前なんだなって感じですね。インターネットと同じで前提みたいな。

だからこの「ポジティヴ」ってニュアンスにも、無理やり裏返して明るくしようみたいなものが無いですよね。

TB:今回は「ポジティヴ(笑)」とかじゃなくて、本当にポジティヴ。

今回は「ポジティヴ(笑)」とかじゃなくて、本当にポジティヴ。

野田:ところで、どうしてトーフビーツはこのイラストレーターが好きなの?

TB:今回のポジティヴっていうテーマは全体的におもしろくて、そのことばが最初にあると、携わるみんながちょっとずつ「外」を意識して、みんながみんなっぽくないんですよ。このイラストの山根慶丈さんにしても、デザイナーの岩屋民穂さんに関しても、みんなちょっと自分よりも「ちょっと前」に出てるんです。だから、このチアガールもちょっとがんばったものなんです。僕が本当に好きな絵もジャケットになっているのとはちがう。展覧会とかで出している、もうちょっとヴィヴィッドな色使いの絵だったりするんですけど、すべてはそこへの導入として存在しているので……。
でも、アートワークに関しては一任しているところがあるので、絶対に自分の好きな絵を描いてもらおうというのはないです。この人の絵は……なんで好きなんですかね。絵が好きなのもあるんですけど、同い年で、“水星”のときからやってくれていることも、もうひとつの大事なことというか。女版tofubeatsと言われたコミュ力のなさ(笑)。いまはぜんぜん明るいんですけどね。だからいまでもそういうひとたちといっしょにやるというのを、モチヴェーションとして持っておきたいというか。

ポジティヴっていうキーワードは、デザイナーさんとの会話の中から出てきたんでしたっけ?

TB:そうですね、絵を描く前からポジティヴって言葉はあったので、前進しているスポーツだけ描いてくださいと。

スポーツっていう指示はあったんですね。

TB:それはアート・ディレクターの方からあって、僕は何も言ってませんでした。僕はこの子が昔描いていたカヌーの絵がすごく好きだったので、僕からは「アングルを変えてヨットの絵を書いてください」と言っただけでした。どこで使ってもいいんで、ひとつ水ものを下さいと。僕がお願いしたのはそれだけです。

ポジティヴの表出をスポーツでというのはストレートですね。

TB:そうなんですよ。だから皮肉屋が集まっているのに、みんなマジメにやるっていう。あとPVもひねくれたやつの代名詞みたいなスケブリさんが監督だったんですけど、それがあんなヴィヴィッドな色使いの映像を撮るなんて……っていう感慨も。そういうものの積み重ねで、作っているほうは全員おもしろかったんですよ。らしくないものができたねって意味で。

野田:あんまりトーフビーツが汗をかいて走るなんてイメージはないもんね。

TB:いちおうバレー・ボールをやってるんですけどね。

これはハイスクールな感じですよね。

TB:そうですね(笑)。スポ―ツもいちおう白人がやるやつをやっているんですけど。

野田:嫌味なほど見せつけてるよね(笑)。何か意図なのかなと思って。

TB:そういうもんだと思いますよ。「俺たち文化系が思うポジティヴってこんなもんだろ?」みたいな。「マジョリティはこんなのが好きだろ?」みたいな(笑)。願望なのかもしれないですけどね。

だったとしても、やみくもに「頑張ろうぜ!」と言われるのとはちがったメッセージを受け取りますけどね。あと、いちおうトーフさん的にもひとつの区切りになるリリースのタイトルとして『POSITIVE』なわけなので、ここはどうしても何か意味を見たくなるところでもあります。


僕の場合は舞台っぽいのが好きっていうのがあるんで。(中略)「劇っぽい曲」「劇っぽいアルバム」という意味ではなくて、システムとして、みんなが立ちまわっているのがいいみたいな。

TB:本当は一点だけディレクションしたところがあって、もともとはこの女の子の足が太かったんで、そこだけ細くしてもらったんですよ。本当に注文をつけたのはそれだけですね。チアをやっているひとは実際は足が太いんですよ。だけどそこを細くしてほしかっただけです。

野田:それを考えると、本当にロマンチストだよね。

フィクション性が高いというか。

TB:トラック・メイカーたちと、よく、「曲を作るときにどういうイメージで作るか」っていう話になるんですよ。seihoさんは静物が好きなんですよね。彫刻とか。最近だったら生花をやったりとか。僕の場合は舞台っぽいのが好きっていうのがあるんで。さっき言ったロマンチストじゃないですけけど、舞台の上に上げてパッケージするみたいな。そうやってアルバムができるのが理想ですかね。「劇っぽい曲」「劇っぽいアルバム」という意味ではなくて、システムとして、みんなが立ちまわっているのがいいみたいな。

ポジティヴなイメージを打ち出すことへの、否定的な気分っていうのも世間にはあるじゃないですか。でもトーフが言えば「ポジティヴって言っていいんだ」って、世間の空気に色を差すことができる。ただ、「未来には期待したいし」の「したいし」っていう微妙なところに躊躇みたいなものもあるのかなとは感じるんですが。

TB:まぁ、期待してないんですけどね。空気を引っ張れるかどうかは売り上げ次第ですが(笑)。どうなるんだろうなって感じです。

それこそSEALDsが“水星”を使ったのがリアルタイムじゃないのと同じように、何がどう影響してくるかわからないじゃないですか。

TB:わからないですね。アップル・ミュージックの動画に出たりとか。

野田:tofubeatsのアドバンテージって、どんなアウトプットにも対応できているところかなと思うんだよね。〈マルチネ〉って背景があるのに、すごく現代的なセンスもあるわけだからさ。だからそこはすごく強みだと思うんですよ。ブルートゥースで飛ばして聴いているやつにも、昔ながらの聴き方をしているやつにも対応しようとしているわけだから。

TB:そもそも聴くひとの年齢層を広げることが、メジャーに属することのメリットですからね。

野田:tofubeatsの最近の活動ですごく驚いたのが、KOHHの『YELLOW T△PE 3』に入ったことなんだよね。

TB:あれはびっくりしました。チェックされてるんだ、って。僕にとってすごく自信になりました。あの曲(“Drum Machine(Freestyl)”)は〈マルチネ〉が「社員旅行」とかいって沖縄に旅行に行ったことに腹を立てて作った曲なんですよ。

野田:あの曲もすごくよかったと思うよ。だってANARCHYとか般若とかさ、ゴリゴリなヒップホップのひとたちのなかにtofubeatsがいるのがすごいんだよね。

TB:まだ会ったことはないんですよね。ただ、あれがパロディだったことを理解してもらっていた感じがあって──「面白半分でやってんな、こいつ」みたいな(笑)。あれがウケたことが自分自身とてもおもしろかったし、すごい身体感覚だなと思いました。

野田:俺は、tofubeatsはKOHHに参加したりすることで自分のバランスを取っているのかなと思ったんだけど、自分から参加したわけじゃないんだね。

TB:勝手に選んでくれた、という。あの曲を作ったこと自体は自分なりのバランスかもしれませんけど、KOHHがやってくれたことによって、自分のなかで成仏した部分があったというか。そういうのを褒めてもらう機会も減っているわけで、やれる機会も少ないんですよね。あとは大っぴらにできなくなっているような曲もあるんで、別名義とかであっても、ああやってもらえると個人的には成仏感が出るというか。ああいうことがあるのでどっちも充実させたいと思います。

野田:だから、tofubeatsはただ単にこのアルバムみたいなことをやっているわけじゃないんだね。もちろんこの作品は今年のアウトプットにおける、ひとつのピースだけど。

アップル・ミュージックの看板の画像に、インスタグラムで初めてパラ・ワンが「いいね!」してくれたんですよ。

TB:われわれは『POSITIVE』を出しただけではなく、更新もしようとしているわけです。そうなると1年で2枚リリースなんですよ。だからあと2年間は……(笑)。それこそ電気グルーヴ状態に突入していくと。3枚までいくとあの感じになってくるわけですから。だから、急にハードテクノとか作るかもしれないですよ(笑)。

野田:電気の『J-POP』(2008)を越えるナンセンスなアルバムを作ってほしいけどね。

TB:あれを作ったのは40歳くらいになってからでしょう(笑)? 『J-POP』までいくと、いちど休止してからのやつじゃないですか。あそこまで行きたいですけどね。ただ、僕ひとりっていうところが、電気グルーヴ的な高さへ届かせるにはなかなか……。

野田:たしかにそうだよね。

TB:リリー・フランキーと同じメガネ、ピエール瀧と同じシャツを着ても、『凶悪』にはなれないように(笑)。趣味どんかぶりやん、みたいなことに気づいてびっくりしましたけどね。

(一同笑)

やり尽くしてないこともありますよね。

TB:まだまだ行けるんです。あと、これは最近言われるんですけど、27歳説というのを先輩から聞いたんです。小室さんとかも27歳でやっとオリコンのベスト100に入ったっていう。テイ・トウワさんも25歳デビューで、27歳でDeee-Liteの“グルーヴ・イズ・イン・ザ・ハート”ですから、27歳までは続けるといいよっていろんなひとに言われるんですよ。それに27歳のときにインディでやっているかメジャーでやっているかだったら、メジャーの方がレアかなと思って。いまの計算でいくときっと27のころもメジャーにいられそうだし、縁起をかつぐ意味でも(笑)、そこまでやってみようかなとは思います。一人でやっていると見えないことも多いですし。僕はただでさえ先輩の言うことを素直に受け止める人間ではないんですけど、でもそれがテイさんと小室さんなら話がちがう。こういうのはメジャーに来たおかげですよね。
あと、余談ですけど、アップル・ミュージックの看板の画像に、インスタグラムで初めてパラ・ワンが「いいね!」してくれたんですよ。ほんと、あの記事ありがとうございました(「Tofubeats × Para One──これから最高と呼ばれる音楽」ele-king vol.13収録、2014年にウェブにて再掲載)。ちょうどこれからメジャーに行くってタイミングで、「じゃあ、がんばってね」ってことで終わったじゃないですか。なんか、そっちのオチもひとつついたというか。めっちゃうれしかったですね!

MALA & COKI -Digital Mystikz - ele-king

東京においてドラムンベース、ダブステップ、グライムで活躍する先鋭的なアーティストを紹介し続けてきたパーティ、DBSが今年で19周年を迎える。今回、モントルー・ジャズ・フェスティヴァルの一貫として行われるイベントに、そのアニヴァーサリーにふさわしいディジタル・ミスティックズことマーラ&コーキが出演する。
ふたりがロンドンで開催しているパーティであるdmzも、今年で10周年を迎えた。チケットと毎年恒例のTシャツもソールド・アウトになってしまうほど、その人気は健在だ。先日マーラの〈ディープ・メディ〉からリリースされたカーン、コモド、ガンツらによる作品を聴けばわかるとおり、ダブステップはいまだにその音を更新し続けている。ディジタル・ミスティックズのふたりのステージでは、毎度未発表のダブ・プレートがプレイされるので、シーンの現在と未来を今回も堪能できることは間違いない。
日本からは、マーラの盟友であり、孤高の重低音をクリエイトし続ける〈バック・トゥ・チル〉のゴス・トラッド。先日、所属レーベル〈グルーズ〉からレコードをリリースしたばかりのヘルクトラム。さらにアフリカ、マリの伝統楽器コラ奏者のママドゥ・ドゥーンビアらが出演する。
 

Montreux Jazz Festival Japan 2015
DBS 19th Anniversary
MALA & COKI -Digital Mystikz

10.11 (SUN) @ UNIT
open/start 23:30
adv.3,300yen / door 3,800yen

出演
UNIT:
MALA & COKI -Digital Mystikz
wuth.
GOTH-TRAD
MAMADOU DOUMBIA(Live)
HELKTRAM

Saloon:
DJ INZA
SIVARIDER
DJ DON
TETSUJI TANAKA
SHINTARO

info. 03.5459.8630 UNIT
Ticket outlets:NOW ON SALE
PIA (0570-02-9999/P-code: 274-844)、 LAWSON (L-code: 73842)
e+ (UNIT携帯サイトから購入できます)
clubberia/https://www.clubberia.com/store/
渋谷/disk union CLUB MUSIC SHOP (3476-2627)、TECHNIQUE(5458-4143)、GANBAN(3477-5701)
代官山/UNIT (5459-8630)
原宿/GLOCAL RECORDS(090-3807-2073)
下北沢/DISC SHOP ZERO (5432-6129)、JET SET TOKYO (5452-2262)、disk union CLUB MUSIC SHOP(5738-2971)
新宿/disk union CLUB MUSIC SHOP (5919-2422)、Dub Store Record Mart (3364-5251)
吉祥寺/Jar-Beat Record (0422-42-4877)、disk union (0422-20-8062)
町田/disk union (042-720-7240)
千葉/disk union (043-224-6372)

UNIT
Za HOUSE BLD. 1-34-17 EBISU-NISHI, SHIBUYA-KU, TOKYO
tel.03-5459-8630
www.unit-tokyo.com

出演者情報
MALA & COKI(DIGITAL MYSTIKZ)
ダブステップのパイオニア、DIGITAL MYSTIKZはサウス・ロンドン出身のMALAとCOKIの2人組。ジャングル/ドラム&ベース、ダブ/ルーツ・レゲエ、UKガラージ等の影響下に育った彼らは、独自の重低音ビーツを生み出すべく制作を始め、アンダーグラウンドから胎動したダブステップ・シーンの中核となる。
'03年にBig Apple Recordsから"Pathways EP"をリリース、'04年には盟友のLOEFAHを交え自分達のレーベル、DMZを旗揚げ、本格的なリリースを展開していく。そして名門Rephlexのコンピレーション『GRIME 2』にフィーチャーされ、脚光を浴びる。また'05年からDMZのクラブナイトを開催、ブリクストン、リーズでのレギュラーで着実に支持者を増やし、ヨーロッパ各国やアメリカにも波及する。
'06年にはSoul Jazzからの2枚のシングル・リリースでダブステップとDIGITAL MYSTIKZ の知名度を一気に高め、DMZの作品もロングセラーを続ける。また同年にMALAは個人レーベル、Deep Medi Musikを設立、以来自作の他にもGOTH-TRAD、KROMESTAR、SKREAM、SILKIE、CALIBRE、PINCHらの作品を続々と送り出し、シーンの最前線に立つ。一方のCOKIは'07年にBENGAと共作した"Night"をTempaから発表、キャッチーな同曲は'08年に爆発的ヒットとなり、ダブステップの一般的普及に大きく貢献する。
そして'10年にはDIGITAL MYSTIKZ 名義によるMALAの1st.アルバム『RETURN II SPACE』がアナログ3枚組でリリース、壮大なスケールでMALAのスピリチュアルな音宇宙を明示する。そしてCOKIも同年末、やはりDIGITAL MYSTIKZ 名義でアルバム『URBAN ETHICS』を発表(P-VINEより日本盤発売)、血肉となるレゲエへの愛情と野性味溢れる独自のサウンドを披露する。その後もDMZから"Don't Get It Twistes"、Tempaから"Boomba"等、コンスタントに良質なリリースを重ねつつ、11年から謎のホワイト・レーベルのAWDで著名アーティストのリワークを発表、そして12年、遂に自己のレーベル、Don't Get It Twistedを立ち上げ、"Bob's Pillow/Spooky"を発表。
MALAはGILLESの発案で'11年、彼と一緒にキューバを訪れる。そしてMALAは現地の音楽家とセッションを重ね、持ち帰った膨大なサンプル音源を再構築し、'12年9月、GILLESのBrownswoodからアルバム『MALA IN CUBA』を発表(Beatinkから日本盤発売)、キューバのルーツ・ミュージックとMALAのエクスペリメンタルなサウンドが融合し、ワールド・ミュージック/エレクトロニック・ミュージックを革新する。
"Come meditate on bass weight!"

GOTH-TRAD (deep-medi,BTC)
ミキシングを自在に操り、様々なアプローチで ダンスミュージックを生み出すサウンド・オ リジネイター。03年に1st.アルバム『GOTH-TRAD』を発表。国内、ヨーロッパを中心に海外ツアーを始める。05年には 2nd.アルバム『THE INVERTED PERSPECTIVE』をリリース。また同年"Mad Rave"と称した新たなダンスミュージックへのアプローチを打ち出し、3rd.アルバム『MAD RAVER'S DANCE FLOOR』を発表。06年には自身のパーティー「Back To Chill」を開始する。『MAD RAVER'S~』収録曲"Back To Chill"が本場ロンドンの DUBSTEP シーンで話題となり、07年にUKのレーベル、SKUD BEATから『Back To Chill EP』、MALAが主宰するDEEP MEDi MUSIKから"Cut End/Flags"をリリース。12年2月、DEEP MEDiから待望のニューアルバム『NEW EPOCH』を発表、斬新かつルーツに根差した音楽性に世界が驚愕し、精力的なツアーで各地を席巻している。
https://www.gothtrad.com/
https://www.facebook.com/gothtrad

Mamadou Doumbia
マリ共和国クリコロ生まれ。11才よりギターを始め、高校時代より既にレコーディングをするなど学生ミュージシャンとしてキャりアをつむ。緻密で鋭い切れのギターワークが持ち味。音楽大国マリのビックバンド、バマサマ、レイル、両バンドのメンバーとして早くから活躍する。1982年、マリの国営バンドレール・バンドのリード・ギタリストとして抜擢されると、同バンドのリード・シンガーサリフ・ケイタと意気投合。1984年にサリフ・ケイタがパリに拠点を移すと、その2年後の1986年に渡仏。サリフ・ケイタを始め、さまざまなミュージシャンのバックバンドを精力的に務める。1990年にサリフ・ケイタのバックバンドの一員として初来日。ワールドミュージックブームと日本の音楽情報の流通形態に感銘を受け、翌1991年から日本に拠点に移す。1993年にマンディンカを結成。翌1994年からアフリカの民族楽器コラを独学で習得し、それをバンドサウンドのひとつとして取り入れている。1997年1月にバンド名をMAMADOU DOUMBIA with MANDINKAと改め、セカンドアルバム「YAFA」をリリースし、イギリスBBCの年間ベストアルバムに選ばれる。コラを片手に講演活動するなど、多方面で精力的に活動している。


Karinga(REXITL) - ele-king

8月の現状。8月の現場SOUND。8/14

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