「DJ DON」と一致するもの

CONGO NATTY JAPAN TOUR2014 - ele-king

 「92年はどこにいた?(Where Were U In '92?)」が合い言葉となって久しい。92年とは、UKレイヴ・カルチャーすなわちジャングルが爆発した年です。私はその年クボケンと一緒にロンドンのレイヴ会場で踊っておりました。ジャングルのパーティで。
 で、ブリアルの新作にも如実に表れていたように、紙エレキングでも紹介したブリストルのドラムステップがそうであるように、ジャングル・リヴァイヴァル(そしてそのニュー・スクール)は、目下、UKのアンダーグラウンド・ミュージックの台風の目になっている。
 来る2月14日と2月15日、ジャングルの本場からシーンのパイオニアレベルMCことコンゴ・ナッティが来日DJを披露します。UKならではのサウンドシステム文化ばりばりの、迫力満点のオリジナル・レイヴ・ジャングル・サウンド、この機会をお見逃しなく!
 主催はいつもの〈DBS〉。2月14日(金曜日)は大阪CIRCUS。2月15日(土曜日)は代官山ユニット。「ジャングルってどんなもの?」って興味がある人たちにとっても気軽に入れるパーティです。
 来日を記念して、オーガナイザーの神波京平さんが「ジャングル・クラシック20選」を書いて下さいました。以下、ジャングルの歴史をおさらいして、コンゴ・ナッティの来日を待ちましょう!

■JUNGLE CLASSIC 20選 (神波京平・編)
1.CONGO NATTY - Jungle Revolution
[2013: Big Dada]
ジャングルのパイオニア、コンゴ・ナッティ/レベルMCの最新アルバム。オリジネイター達のMCや数々の生演奏をエイドリアン・シャーウッドと共にミックスしたニュー・クラシック!
UK All Stars
2.TRIBE OF ISSACHAR Feat. PETER BOUNCER ‎– Junglist
[1996: Congo Natty]
レベルMCの変名リリース。レイヴ期から活動するシンガー、ピーター・バウンサーをフィーチャーした、まさにジャングリスト・アンセム。
https://www.youtube.com/watch?v=yXVrwuJo-6Q
3.BLACKSTAR Feat. TOP CAT ‎– Champion DJ
[1995: Congo Natty]
これもレベルMCの変名。UK屈指のラガMC、トップ・キャットをフィーチャーしたビッグチューン。
https://www.youtube.com/watch?v=SPAPDltCrIA
4.Barrington Levy & Beenie Man ‎– Under Mi Sensi (Jungle Spliff Mix)
[1994: Greensleeves]
UKレゲエ・レーベルからレベルMCによる名作のジャングルREMIX。
https://www.youtube.com/watch?v=-YQX1jnFT0I
5.CONQUERING LION ‎– Rastaman
[1995: Mango]
メジャーのIsland/Mangoからジャマイカのビーニ・マンをフィーチャーしたレベルMCのプロジェクト。
https://www.youtube.com/watch?v=J8TRMgfb7aU
6.LEVITICUS ‎– Burial
[1994: Philly Blunt]
ウェアハウス/レイヴ期から中心的DJとして活動するジャンピング・ジャック・フロストのレーベルよりフロスト自ら手掛けたアンセム。
https://www.youtube.com/watch?v=z5NMTyAuPMk
7.M-BEAT Feat. GENERAL LEVY ‎– Incredible (Underground Deep Bass Mix)
[1994: Renk]
10代からハードコアとラガをミックスしたジャングルの原型的サウンドを作ってきたMビートの全英大ヒット曲。
https://www.youtube.com/watch?v=rQGUJ7KZ7hU
8.UK APACHI With SHY FX ‎– Original Nuttah
[1994: Sour]
Mビートの"Incredible"と共にラガ・ジャングルの代名詞となる、当時10代のシャイFXによる大ヒット曲。
https://www.youtube.com/watch?v=ACCDZlLLV0I
9.POTENTIAL BAD BOY ‎– Warning (Remix)
[1994: Ibiza]
ラガ・サンプルと銃声等のSEでギャングスタ・ジャングルを完成したポテンシャル・バッド・ボーイの名作。
https://www.youtube.com/watch?v=uimZmQCptjE
10.PRIZNA ‎– Fire
[1994: Kickin' Underground Sound]
レゲエ・サウンドシステム直系のジャングル・コレクティヴ、プリズナがMCデモリション・マンをフィーチャーしたアンセム。
https://www.youtube.com/watch?v=WApv8H5RzXQ
11.TOM & JERRY ‎– Maxi(Mun) Style
[1994: Tom & Jerry]
4ヒーローのジャングル・プロジェクト、トム&ジェリーの名作。4ヒーローならではエモーショナルなセンスが光る。
https://www.youtube.com/watch?v=af9hXricyv0
12.MORE ROCKERS ‎– Dub Plate Selection Volume One
[1995: More Rockers]
スミス&マイティのロブ・スミスがピーターDと結成したブリストル・ジャングルの中核ユニットの1st.アルバム。ソウルフル!
Your gonna
13.SOUND OF THE FUTURE ‎– The Lighter
[1995: Formation]
ハードコア期からFormation Recordsを主宰するDJ SSによるアンセム。フランシス・レイ作曲のイントロから一転爆発!
https://www.youtube.com/watch?v=R8jvWnXEGJM
14.FIRE FOX & 4-TREE ‎– Warning
[1994: Philly Blunt]
ロニ・サイズの変名リリース。トリニティ名義のディリンジャ、グラマー・ゴールド名義のクラスト等、Philly Blunt作品はどれも要チェック。
https://www.youtube.com/watch?v=qfMepn9dzn4
15.DEAD DREAD - Dred Bass
[1994: Moving Shadow]
アセンド&ウルトラヴァイブ名義でも知られるコンビによるハードコア〜ハードステップの名門、Moving Shadowからの重量ベース・チューン。
https://www.youtube.com/watch?v=Uj7EO2uVfDQ
16. DJ ZINC - Super Sharp Shooter
[1995: Ganja]
DJジンクの名を知らしめた爆発的大ヒット・チューン。DJハイプが主宰するGanjaはジャングル〜ジャンプアップの必須レーベル。
https://www.youtube.com/watch?v=bwX6d4wZcso
17.THE DREAM TEAM ‎– Stamina
[1994: Suburban Base]
ビジーB & パグウォッシュのデュオ、ドリーム・チームが名門Suburban Baseから放ったメガヒット!
https://www.youtube.com/watch?v=pNGddllF7AA
追記: ドリーム・チームはやがて自らのJoker Recordsからジャンプアップ・ジャングルの名作を連発。Joker日本支部のDJ INDRA氏から推薦の1曲。
THE RIDDLER - Rock 'n' Roll
[1998: Joker]
https://www.youtube.com/watch?v=nzuPL_W1j-Q
18.KEMET CREW ‎– The Seed
[1995: Parousia]
Ibiza Recordsと共に初期からアンダーグラウンドを牽引したKemetクルー。BMG傘下レーベルにライセンスされたアルバムからのカット。Jungle will never die!
https://www.youtube.com/watch?v=h8myXqa7J6c
19.REMARC ‎– R.I.P
[1994: Suburban Bass]
バッド・ボーイ・ディージェイの代表格、マッド・コブラのヒットを極悪ジャングルに再生したリマークの代表作。
https://www.youtube.com/watch?v=qMYAiVZ-vNQ
20.D.R.S. Feat. KENNY KEN - Everyman
[1994 Rugged Vinyl]
プロダクション・デュオ、D.R.S.がジャングルのトップDJ、ケニー・ケンと組んだディープ&ドープな傑作。
https://www.youtube.com/watch?v=vFLYMXU1C2k

JUNGLE REVOLUTION 2014!!! 最新作『ジャングル・レヴォリューション』でコンシャスな音楽革命を提示したジャングルのパイオニア、レベルMCことコンゴ・ナッティが実息コンゴ・ダブスを引き連れDBSに帰還! 2014年、Congo Natty Recordings創立=ジャングル音楽20周年のセレブレーション! Get Ready All Junglist!
JUNGLE REVOLUTION 2014.......ONE LOVE
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CONGO NATTY JAPAN TOUR 2014

2014.2.15 (SAT) @ UNIT

feat.CONGO NATTY aka REBEL MC
CONGO DUBZ

with.DJ MADD(Roots & Future, Black Box - HU), DJ DON, JAH-LIGHT, JUNGLE ROCK, PART2STYLE SOUND,

open/start: 23:30
adv.3500yen door 4000yen
info.03.5459.8630 UNIT
https://www.unit-tokyo.com
https://www.dbs-tokyo.com
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Ticket outlets:NOW ON SALE!
LAWSON (L-code: 78063)、
e+ (UNIT携帯サイトから購入できます)
clubberia/https://www.clubberia.com/store/

渋谷/disk union CLUB MUSIC SHOP (3476-2627)、TECHNIQUE(5458-4143)、GANBAN(3477-5701)
代官山/UNIT (5459-8630)、Bonjour Records (5458-6020)
原宿/GLOCAL RECORDS (090-3807-2073)
下北沢/DISC SHOP ZERO (5432-6129)、JET SET TOKYO (5452-2262)、
disk union CLUB MUSIC SHOP (5738-2971)
新宿/disk union CLUB MUSIC SHOP (5919-2422)、Dub Store Record Mart (3364-5251)
吉祥寺/Jar-Beat Record (0422-42-4877)、disk union (0422-20-8062)
町田/disk union (042-720-7240)
千葉/disk union (043-224-6372)

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CONGO NATTY JAPAN TOUR 2014

2/14 (FRI) 大阪CIRCUS (問)06-6241-3822 https://circus-osaka.com/
       OPEN 21:00 ADV&MEMBERS: 3500/1d DOOR: 4000/1d
2/15 (SAT) 東京 UNIT (問) 03-5459-8630 https://www.unit-tokyo.com/
      
Total info〉〉〉 https://www.dbs-tokyo.com

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★CONGO NATTY aka REBEL MC
 ルーツ・レゲエを根底にヒップホップ、ラガの影響下に育ったレベルMCは、'80年代後半からスカとハウスのミックス等、斬新なブレイクビートサウンドで注目を集め、『BLACK MEANING GOOD』('91)、『WORD, SOUND AND POWER』('92)でジャングルの青写真を描く。また92年にボブ・マーリーの"Exodus"のリミックスを手掛ける。〈Tribal Bass〉、〈X-Project〉レーベルを経て、JJフロスト、DJロンと共にCONQUERING LIONとして活動、ラガ・ジャングルの中核となる。'94年にジャングル・ファミリーの母体となる〈Congo Natty〉を設立、自らもコンゴ・ナッティを称す。『A TRIBUTE TO HAILE SELASSIE I』 をはじめ、数多くのリリースを重ね、'02年にはMCテナー・フライをフィーチャーした『12 YEARS OF JUNGLE』を発表、初来日を果たす。'05年は足跡を伝える『BORN AGAIN』、'08年には入手困難なシングルをコンパイルした『MOST WANTED VOL.1』をリリースし、新世代のジャングリストを狂喜させ、レベル自らDJとして新たなパフォーマンス活動に乗り出す。
近年は息子のDJコンゴ・ダブス、ヴォーカルのナンシー&フェーベらファミリーも広がり、'13年にニンジャ・チューン傘下の〈Big Dada〉と電撃契約、待望の最新アルバム『JUNGLE REVOLUTION』(日本盤:BEAT RECORDS)をリリース、オリジネイターたちのMCや数々の生演奏をエイドリアン・シャーウッドと共にミックスし、ルーツ・レゲエとジャングルのヴィジョンを深く追求する。レーベル名の"CONGO"はアフリカの民族音楽の太鼓、"NATTY"はラスタファリアンに由来し、彼らの音楽のインスピレーションは主にこの2つの要素から来ており、真のアイデンティティーはもちろんJAH RASTAFARIである。

https://www.facebook.com/CongoNattyOfficial
https://twitter.com/CongoNattyRebel


 アナログ世代かCD世代かという議論があれば、僕は勝手に「12インチ・シングル・ジェネレイション」というタームを思い浮かべてしまう。ジャズ・ファンならLPだろうし、着うたフルで育った世代は「MP3のスカスカが懐かしい」というように、高校時代から普及しはじめた12インチ・シングルに馴らされてしまっただけともいえるけれど、身体性というのはそう簡単に変容できるものでもなく、CDが簡単に買えるようになっても(最初はヒドいものだった)、データ配信がこれだけ身近になっても、それに合わせて自分の体をカスタマイズできなかったと思うしかないような気がする。同じ曲を聴いていても、12インチならすんなり入ってくるものがCDではまったく身につかなかったり、データだと違う曲に聴こえていたりといったこともないとは言い切れない。どうか……している。

 12インチ・シングルは、なぜか日本では定着せず、そこで輸入盤文化とJポップやアイドルなどの日本文化も離ればなれになってしまった印象がある。「NME」がいつだったか、プリンスの特集を組んだときに「知られざる100の秘密」というような記事も載せていて、そのなかに「日本ではプリンスの12インチ・シングルが1枚もリリースされていない!」という項目があった。プリンスだけではなく、誰もリリースされてないんだけどなとは思ったものの、それぐらい欧米では12インチというフォーマットが当たり前になっているということをその記事は教えてくれたといえる。片面に1曲しか刻まれていない12インチ・シングルは、縮み志向の日本人には合わなかったのか、しかし、余白と感じられるだけのスペースがあるからこそ、そこにはやがてリミックスという手法が呼び込まれ、それが複雑化し、さらにはDJカルチャーを促すものがあったといえる。レイヴ・カルチャーの有無がどれだけ音楽文化に違いを与えてしまったかは、「オマル・スレイマンがビヨークをリミックス!」とか、そういったことがまったくといっていいほど日本では起きないことからもよくわかるだろう。12インチ・シングルはPCが普及するまで音楽文化における大きなプラットフォームだったのである……と、思いたい。

 20年ぶりに引っ越して、少し広い部屋に移ったために、なるべく買わないようにしていた12インチ・シングルを……また買い出してしまった。あー(嘆)。ドローンにも少し飽きてきて、ダンス・カルチャーに再び深入りしようかなという思いもあったからか、気がつけばヒドゥン・ハワイは揃える、リル・シルヴァは買い漁る、ウイリー・バンーズやなんだかよくわからない白盤がまたしても足元に溜まり出してしまった。幸い、断捨離教には入っていなかったので、いまのとことろは楽しいだけである。あー(嘆)。まー、せっかくなので、2013年のハイライトを12インチ・シングルで振り返ってみましょうか。


1月 Andrey Zots / Not So Secret Diary (Not So Secret Dairy)

 年頭はまずロシアからアンドレ・ゾッツがぶっちぎり。ロウリン・フロシュトがハンガリーで立ち上げたレーベル名をそのままタイトルにした6作目で、ファニーな響きもさることながら、全体にここまで実験的なミニマルも珍しい。前作まではヴィラロボスの影響下にあったことは免れていなかったにもかかわらず、ジュークを取り入れたイントロダクションから動物園を丸ごとループさせたような展開など、ミニマルの裾野が無限大に広がっていく。
1月はまた、リル・シルヴァ「ザ・スプリット」も相変わらず絶好調で、〈ラフ・ドッグ〉が発掘してきたグローイング・パームスのソロ・デビュー作「RK#7」もご愛嬌。

2月 Lord Of The Isles / SHEVC007 (Shevchenko)

 アンドレ・ゾッツでなければ、1月はジョージア州から彗星のように現れたHVLのデビュー作にしたかったところだけれど、同じようにミスター・フィンガーズを思わせるアトモスフェリックなディープ・ハウスなら2月はロード・オブ・ジ・アイルの8作目が圧倒的だった。キックもスネアもなしで10分を越えるロング・トリップを可能にした1枚で(ハットは少々入る)、延々と上昇しつづける音のスパイラルは『E2-E4』に似た世界を垣間見せつつ、デリック・メイにも近い部分を感じさせる。ほかには前の年に出た「ゴールド・ランゲージEP」ほどではないものの、レオン・ヴァインホール「ロザリンド」もまだかなりイケる感じで、〈モダン・ラヴ〉からデビューしたライナー・ヴェイルも今後が期待できる感じ。

3月 Amit / Acid Trip / Don't Forget Your Roots (Tempa)


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 3月はペヴ「アズテク・チャント」やウィリー・バーンズ=ブラック・ディアー……といいたいところだけど、「セカンド・カット」や「ヴィレッジ・フォーク」などのヒットで知られるドラムン・ベース・ヴェテランが前年からダブステップに手を染めはじめ、これにアシッド・ハウスを組み合わせた14thシングル「アシッド・トリップ」がダントツでした。まったくもってアイディアは単純。ヴィデオも最後で大笑い。フランスのアルビノにも似たようなことがいえる。

4月 Om Unit & Sam Binga / Small Victories EP (Exit Records)


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 これに関しては紙エレキングのブリストル特集(P.112)で長々と書いたので、そちらを参照ください。4月はほかにダブ・メックスのセカンド・シングル「ブロークンUFO」、イオマックの5thシングル「スプーク」、バーズメイキングマシーンのサード・シングル「2」、フローリアン・カップファーのデビュー・シングル「ライフトラックス」、Lヴィス1990「バラッズ」なども良かった。

5月 Various / Dark Acid (Clan Destine Records)

 〈クラン・デスティン〉が現在までに3集までリリースしているアシッドハウスのコンピレイション・シングルで、1枚めはなんといってもトーンホーク「ブラック・レイン」がハイライト。このPVを観て、音楽だけを聴いて……といっても無理だと思うけれど(最初に一回、映像を観ないで音だけ聴くことをオススメします)、いつにもましてトーン・ホークがソリッドにキメている(最近、ちょっと方向転換しちゃったみたいだけど……)。ほかにナッティマリの変名であるロン・ハードリータフ・シャーム(ドロ・ケアリー)をこの時点でまとめたところも慧眼といえる。ワイルド・ナッシングのEP「エンプティ・エステイト」にもちょっといいチル・アウトがありました。

6月 Serifu / Stucco Swim (Diskotopia)


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 5月はイナー・サイエンスによる音の乱舞が実に美しかった「サイレント・アウェイキングEP」も捨てがたいものがあったけれど、同じ日本人で6月はセリフのデビュー・シングル「スタッコ・スイム」がなかなかやってくれたという感じ。レーベルはディスコトピア。エスニックなイントロダクションからグッと惹きつけるものがあり、ドライヴの効いた2曲めに引き継がれ……と、ベース・ミュージックの新境地が次々と押し寄せる。いやー、これはカッコいい。どこかに和太鼓のリズムを感じさせる感触があり、それが全体にエスニックの裏打ちになっているのだろう。ディプロが見つけるのも時間の問題というか。同じようにスチール・パンで「ヴードゥー・レイ」をカヴァーしたジェレミー・デラー「イングリッシュ・マジック」もかなり斬新なアレンジで、マッドチェスターにトチ狂った覚えがある人は是非、聴いてほしい感じ(オプティモによるリミックス盤はもうひとつでした)。この人はターナー賞を受賞したことがある美術家なんだそうで、なるほどメイキング・ヴィデオもそれらしくアートっぽい?

7月 DJ Rashad / I Don't Give A Fuck (Hyperdub)


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 2013年の顔役のひとりで、野田努は「ローリン」を押しまくるけれど、僕はこっちが良かったピーッ。いかにもインプロ風に被せられたピーッという音のフリーキーさがたまりませんよね。アーリー・レイヴを思わせる不穏なシンセサイザーのループもいいムードを醸し出しているし、ピー……じゃなかった、Bサイドに収録されたフレッシュムーンとの共作「エヴリバディ」がまたM.I.A.を遅くしたような展開とデリック・メイを早回しにしたものが、どこかで接点を見出したというような曲で、実にけっこうでした。

8月 dBridge & Skeptical / Move Way (R & S Records)


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 エイミットやサム・ビンガ、あるいはダブ・フィジックスの陰にこの男ありというわけで、ここ数年、ドラムン・ベースの変容に立ち会ってきた〈イグジット〉主宰、ブリッジがジュークの影響をダンスホールで返したような直球勝負。ガッツ、ガッツでドタン、ドタンって、あまりな音数の少なさはS-X「ウー・リディム」にも匹敵するものが。つーか、ダンス・カルチャーというのはコレですよね。ヴェイパーウェイヴとかやめてほしいです。とにかく徹頭徹尾ビートだけで、快楽的なんだかストイックなんだかよくわからない~。追って10月にリリースされたテッセラの5thシングル「ナンシーズ・パンティ」もこれに影響されたんだろうか。

9月 FKA Twigs / EP2 (Young Turks)


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 前に書いたサウンド・パトロール(https://www.ele-king.net/review/sound_patrol/003359/)を参照ください。

10月 DJ Nigga Fox / O Meu Estilo (Principe)


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 アンゴラが起源とされるクドゥロのコンピレイション『バザーク』から2年、もっとも興味深かったリスボン・ベースのDJニガ・フォックスがついにデビュー! しかも、作風はかなりハウスに寄せていて、オソロしい才能を感じます。「ミウ・イシーロ」=「マイ・スタイル」を標榜するだけあって、本当に独特のものがあるし、ポリリズムすぎて詳しくはなんだかわかりませんが、クドゥロだけでなくルワンダから流れてくるリズム(?)やタラシンハ(?)、あるいはバティーダもミックスしてるとか(?)。とにかくウルドゥー語ヴァージョンなどを出していた頃のファン・ボーイ・スリーやトーキング・ヘッズ『リメイン・イン・ライト』の先を思わせるところもあったりと、ダンス・ミュージックの長い道のりを感じさせることしばしば。コレはマジやばいは。続いてリリースされた彼のお仲間(?)であるナイアガラは、しかし、かなりナゾ。10月はほかにヴァンパイア・ウィークエンドからバイオが少し垢抜けた「ミラEP」にルーマニン・ハウスではプリークとして知られるアドリアン・ニクラエ「アコースティックEP」もそれぞれ出色の出来。

11月 Shit And Shine / Blowhannon (Diagonal)


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 これは意表をついた。いままでもひと筋ではいかなかったハードコアというのか、サイケデリックというのか、それともマス・ロッックだったり、インダストリアル・ロックでもあったシット&シャインがハウス・シングルをリリース。そして、オルタナティヴ・ロックのエッセンスは見事にハウス・ミュージックに溶かし込まれ、異様なダンス・ミュージックに仕上がっている(ちょっとバットホール・サーファーズのサイド・プロジェクト、ジャックオフィサーズを思い出した)。いわゆるひとつの鉄槌感もあるし、なんだろう、インダストリアル・ハウスとでも呼べばいいのだろうか。しかも、B2にはセオ・パリッシュ「シンセティック・フレム」のエディット・ヴァージョンまで収録されて……(プロモ盤では「ディキシー・ピーチ」と題されていたものが、クレームでも入ったか正規盤ではセオ・パリッシュの曲名に変更されている?)。いや、しかし、もしかして、このままUSアンダーグラウンドのプライマル・スクリームになっちゃったりして…。

12月 Joe / Punters Step Out (Hemlock Recordings)


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 リリース・ペースはけして早くないジョーが続けさまにリリースした2枚のうち、後から出た方で、ちょうど1年前にスウィンドルがダブステップにマンボを取り入れたことに挑発されたか、オルガンをフィーチャーしたモンド・ステップで世界を少しばかりグニャリと歪ませてくれる。構成がとにかく大胆で、時間軸まで歪んだように聴こえるというか、「ダブステップは終わった」と言われてからが面白いと言わんばかり。カップリングはまるで上に挙げたシット&シャイン風で……あー、しかし、シャッフル感がぜんぜん違うかな、この人は。それこそ時間をかけるだけのことはある。12月はほかにマッドテオの8thシングル「インサイダー」、トム・ディシッコの6th「ノー・シンパシー」、グア・カモーレ「マシュタハ」もやってくれました。

 ……こうしてみると、まったくといっていいほどヒップ・ホップを聴かなくなったなー。ミックステープも落とすだけで長いからあんまり聴かないしなー。まー……それはおいといて、要するに12インチというのは短いから頭に入ってくるんですね。1日に詰め込める量なんて、実は限られているんだろう。昔は、「NME」のシングル・オブ・ジ・ウィークを毎週、チェックして、週に1枚、気に入ったシングルがあれば、それでかなりシアワセだったからなー。それでも年間にしてみれば50曲以上はフェイヴァリットになっているわけで、けして少なくはないわけだし。それこそ昔、よくやっていたのはデビュー作から3~4枚のシングルを好きな曲順で再構成したテープをつくってファースト・アルバムとして聴いていたこと。実際にファースト・アルバムが出ると、ほとんどの場合はがっかりで、どういうわけかそれ以上のものにはなってくれないという……。

Ambient Patrol - ele-king

 『テクノ・ディフィニティヴ』に続いて『アンビエント・ディフィニティヴ』を出さないかと言われた時は本当に戸惑った。スタジオボイス誌に特集を持ちかけた行きがかりもあって、それをベースにしたカタログ本をつくるところまでは勢いで進められたものの、もともと専門家の意識があったわけではないし、単行本化の過程でいかに手に入らない音源が多いか思い知らされたからである。どちらかというと違った考えを持った人が別なタイプのカタログ本を出してくれた方が気が楽になれると思っていたぐらいで、しかし、そういったことは起こらないどころか、僕の知る限り、体系の方法論だったり、構成の仕方に対する批評も批判も何も出てこなかった。もっといえば書評ひとつ出ないのになぜかやたらと売れてしまったし(渋谷のタワーブックスでは年間2位ですよ)。

 これで『テクノ・ディフィニティヴ』までつくったら、ダメ押しになってしまうではないかと思ったものの、前につくった2冊の編集部が閉鎖されることになり、自動的に絶版が決定し、それまで入手できないと思っていたレア盤のいくつかを聴く機会にも恵まれたので(PDUの3大名作が全部、再発されるとは!)、なんとか乗りかかった船をもう一度、押そうかという気になった。ジャン・ジャック・ペリーのソロ作やグラヴィティ・アジャスターズといった過去のそればかりでなく、OPNやメデリン・マーキーといった新人たちの作品が素晴らしかったことも大きい。ルラクルーザ、トモヨシ・ダテ、マシュー・セイジ……。新世代のどの作品も素晴らしく、モーション・シックネス・オブ・タイム・トラヴェルやミラー・トゥ・ミラーをその年の代表作(=大枠)にできなかったのは自分でも驚くぐらいである。

 アンビエント・ミュージックは06年を3回目のピークとしてリリース量はこのところ毎年のように減っている。しかし、これまでにもっともリリース量が多かった94~95年はいわば粗製乱造で、量が多かったからといって必ずしも全体の質もよかったわけではない。金になると思って寄ってきた人が多かったということなのかなんなのか、素晴らしい作品とそうでない作品にはあまりに差があり、いいものは量のなかに埋もれがちだった。ブッダスティック・トランスペアレンツなんて、当時はデザインだけ見て、なんだ、トランスか…と思っていたぐらいだし。セバスチャン・エスコフェの果敢な試みに気がつくのも僕は遅かった。

 最近は、しかし、むしろ、いいものが多すぎて拾いきれないというのが正直なところである。適当に買ってもあまり外さないし、そこそこ満足しがちである。もっといいものがあるかもしれないという強迫観念は90年代よりもいまの方が強くなっている。あると思い込むのも危険だし、だからといっ てないとはやはり言い切れない。これは喜ぶべきなのか、悲しむべきなのか。いずれにしろ『アンビエント・ディフィニティヴ』に間に合わなかった2013年後半のリリースから10点ほどを以下で紹介いたしましょう。すでに本をお持ちの方はプリント・アウトして最後のページに挟みこみましょう~。

1. Patryk Zakrocki / Martian Landscape (Bolt)

 いきなり詳細不明。ポーランドから40歳ぐらいのパーカッション奏者? アニメイター? 基本はジャズ畑なのか、ポーリッシュ・インプロヴァイザー・オーケストラなど様々なグループに属しつつ10枚近くのアルバムと、06年にはポスト・クラシカル的なソロ作もあるみたいで、ここではマリンバによるミニマル・ミュージックを展開。『火星の風景』と題され、子どもの頃にSF映画で観た火星に思いを馳せながら、繊細で優しい音色がどこまでも広がる。ミニマルといっても展開のないそれではなく、山あり谷ありのストーリーありきで、現代音楽にもかかわらずトリップ度100%を超えている。涼しい音の乱舞は夏の定番になること請け合いです。イエー。

2. Various / I Am The Center (Light In The Attic)


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 これは素晴らしいというか、実にアメリカらしい企画で、1950年から1990年までの40年間(つまり、アンビエント・ミュージックが商業的に成功する直前まで)にアメリカでプライヴェート・リリースされたニュー・エイジ・ミュージックをシアトルの再発系サイケ・レーベルが20曲ほどコンパイル。ヤソスやララージといったビッグ・ネームから『アンビエント・ディフィニティヴ』でも取り上げた多くの作家たちが、かなり良いセンスでまとめられている(こうやって聴くとスティーヴン・ハルパーンもあまりいかがわしく聴こえない)。OPNが『リターナル』をリリースした頃からアメリカでは「アンビエント」ではなく「ニュー・エイジ」という単語がよく使われるようになっていて、アメリカの宗教観がぐらぐらに揺れているのがよくわかる。元がいわゆる私家版だけに詳細を極めるブックレット付き。

3. Donato Dozzy / Plays Bee Mask (Spectrum Spool)


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 イタリアン・ダブ・テクノの急先鋒とUSアンダーグラウンドのルーキーが2012年に苗場のラビリンスで意気投合し、ルーム40からリリースされた後者による『ヴェイパーウェアー』を前者がヴェイパー・リミックスするはずが……いつしかフル・アルバムへと発展。DJノブが『ドリーム・イントゥー・ドリーム』でも使っていた曲から驚くほど多様なポテンシャルが引き出されている。ゼロ年代後半からノイズ・ドローンなどを多種多様な実験音楽を展開していたビー・マスクからアンビエント的な側面を取り出したのはエメラルズのジョン・エリオットで、リリースも彼がA&Rを務める〈スペクトラム・シュプール〉から。

(全曲試聴) https://www.youtube.com/playlist?list=PLE9phMAwHQN5V6oNfDk-dVc6eRL5CiNgE

4. Karen Gwyer / Needs Continuum (No Pain In Pop)


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 〈ワープ〉に移籍したパッテンのカレイドスコープから13本限定のカセットでデビューしたカレン・ワイアーの2作目で、ミシガン州時代には旧友であるローレル・ヘイローのデトロイト解体プロジェクト、キング・フィーリックスとも関係していたらしい(現在はロンドンに移住)。この夏にはトーン・ホークとのコラボレイション「カウボーイ(フォー・カレン)」でも名が知られるようになり、どことなく方向性がナゾめいてきたものの、ここではクラスターから強迫性を差し引き、なんとも淡々としたフェミニンな変奏がメインをなしている。あるいはジュリアナ・バーウィックとOPNの中間とでもいうか。〈ワープ〉の配信サイト、ブリープが年間ベストのトップ10に選んでいるので、来年はパッテンに続いて〈ワープ〉への移籍も充分にありそう。

5. Gaston Arevalo / Rollin Ballads (Oktaf)


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 波に乗っているマーゼン・ジュールがセルフ・レーベル、〈オクターフ〉からアルバム・デビューさせたウルグアイの新人。さざなみのようにオーガニックなドローンを基本としつつ、大した変化もないのにまったく飽きさせない。ペターッとしているのに非常に透明感が高く、何がではなく、ただ「流れ」という概念だけがパッケージされているというか。カレン・ワイアー同様、あまりに淡々としていて人間が演奏していることも忘れてしまいがち。マスタリングはテイラー・デュプリー。

6. Madegg / Cute Dream (Daen)


duennlabel tumblr

 〈デイトリッパー〉からの『キコ』に続いて5曲入りカセット。コロコロと転がる硬い音がアメリカの50年代にあったような電子音楽を想起させるパターンとフィールド・レコーディングを駆使した側面はなんとも日本的(どうしてそう感じるんだろう?)。安らぎと遊びが同居できる感じは初期のワールズ・エンド・ガールフレンドに通じるものがあり、とくにオープニングはトーマス・フェルマンまで掛け合わせたような抜群のセンス。エンディングもいい。フル・アルバムもお願いします。

7. Alio Die & Zeit / A Circular Quest(Hic Sunt Leones)


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 ライヴ・アルバムを挟んで4回目のスタジオ・コラボレイト。庭園に降り注ぐ優しい日差しのなかで果てしなくトロケてしまいそうだった3作目とはがらっと違って全体にモノトーンで統一され、悠久の時を感じさせるような仕上がりに。デザインもイスラムの建築物を内外から写したフォトグラフがふんだんに使用され、「カタチあるもの」に残された人間の痕跡になんとなく思いが飛んでしまう。イッツ・オンリー・メディテイション!

8. Aus / Alpha Heaven (Denovali)


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 モントリオールから2007年にアンビエント・タッチの『ホワイト・ホース』とノイズじみた『ブラック・ホース』を2枚同時にリリースしてデビューした2人組による10作目で、これはロマンティックなムードに満ちた甘ったれ盤。ロック的な感性というと御幣があるかもしれないけれど、コクトー・ツインズが現役だったら、こんなことをやっていただろうと思わせる感じは、現在の〈トライ・アングル〉とも直結する感性だろう。インダストリアル・ムーヴメントに取り残されたウィチネスが「そっちじゃない、そっちじゃない」と手招きしているような……

9. Tim Hecker / Virgins (Kranky)


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 同じモントリオールから、もはやベテランのティム・ヘッカーは……エレキングの年末ベスト号を参照下さい。キズだらけの毅が素敵な文字の羅列を試みているはずです(まさかの本邦初となる国内盤ではライナーノーツを書かせていただきました)。

 そして……

10. Deep Magic / Reflections Of Most Forgotten Love (Preservation)


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 まさに校了日の次の日。1週間早く手にとっていたら2013年の大枠は間違いなくコレだった。当然のことながら、編集作業を終えてからすぐにレヴューを書いたんだけど、鬼のような橋元優歩がいじわるをしてアップしてくれなかったので、以下にそのまま貼るですよ(時事ネタだったので、わかりづらいかもしれませんが)。

……

 “アレックス・グレイはある日気づいたら、アンビエントだったのが変わって、ノイズ・ドローンに変わっていたんですよ。誰も気づかないで変わった。あの手口に学んだらどうかね。” (あそうそたろう)

 サン・アロウでサポート・ギタリストを努めるアレックス・グレイが様々な変名を使い分け、とりわけ、アンビエント志向のディープ・マジックとノイズ・ドローンを展開するD/P/I/(DJパープル・イメージ)が実は同じ人だったのかーという原稿は前にも書いた通りだけど、さらに『リフレクションズ・オブ・モースト・ファガットン・ラヴ』では彼の作風がミュージック・コンクレートに変わっていた。貧して鈍した日本政府が平和憲法という理想を掲げることに疲れ始めてきたのとは対照的に、アレックス・グレイの向学心は音楽の中身をどんどん発展させていく。倉本諒が指摘していたように、これは彼のルーム・メイトであるショーン・マッカンとマシュー・サリヴァンが先に始めたことで、2011年には連名で『ヴァニティ・フェアー』(『アンビエント・ディフィニティヴ』P246)という傑作もすでに世に問われている。それに感化されたとはいえ、それを自分のものにしてしまうスピード感もさることながら、その完成度の高さには舌を巻くしかない。

 アレックス・グレイがこれまでディープ・マジックの名義でリリースしてきた作品のことはすべて忘れていい。彼がアンビエント・ミュージックとしてやってきたことは、ある種の感覚を磨いていただけで、まだコンポジションという概念に辿り着く前段階でしかなかったとさえ言いたくなる。『リフレクションズ・オブ・モースト・ファガットン・ラヴ』にはもちろん、これまでと同じモチーフは散見できる。オープニングがまさにそうだし、桃源郷へと誘い出す留保のなさは最初から際立っている。彼はリスナーをいつも幸福感で満たしてくれるし、そこから外れてしまったわけではない。過剰なランダム・ノイズもピアノの不協和音も、それ以上にパワフルな光の洪水に包まれ、ミュージック・コンクレートを取り入れたからといって手法的ないやらしさはまったくない。あくまでも彼の世界観を強化するために応用されているだけであって、むしろ、ミュージック・コンクレートにはこんなこともできたのかという発見の方が多い。


 前半ではピアノがかつてなく多用されている。『ミュージック・フォー・エアポーツ』のような鎮静作用を伴ったそれではなく、高揚感を煽るダイナミックな展開である。炸裂しているとさえ言える。あるいはそのようなテンションを持続させず、適度に緩急が持ち込まれる辺りはナチスではなく……DJカルチャーに学んだ部分なのだろう。身体性が強く反映され、具体音に主導権が移っていかない辺りはミュージック・コンクレートとは決定的に異なっている。ということはつまり、ザ・KLFが『チル・アウト』(1990年)で試みたことと同じことをやっているに過ぎないともいえる。もしかすると、そうなのかもしれない。しかし、そうだとしてもここにあるのは圧倒的な手法的成熟と、さらにはイギリス的な抒情とはまったく異なるアメリカのオプティミズム、そして、タイトル通り「ほとんど忘れていた愛の回想」があるのだろう(どうやらこの回想は失敗に終わるという筋立てのようだけど)。

 アメリカという国は理想を捨てない。あまりにスピっていたテレンス・マリック監督『ツリー・オブ・ライフ』の内省はアン・リー監督『ライフ・オブ・パイ』でニュー・エイジの肯定、あるいはニュー・エイジが必要とされる理由へと進み、ウォシャウスキー姉弟監督『クラウド・アトラス』で見事なまでに肯定へと向きを変えてしまった。有無を言わせぬ力技である。かなわない。彼らの書いた企画書にお金を出すのは、いまやインド人や中国人かも知れないけれど、つくっているのはやはりアメリカ人である。お金を出す人たちもアメリカに金を出すということである。この手口に学んだらどうかね。

RILLA - ele-king

DJスケジュールなどこちらで 随時アップ中です。
https://rillamadella.blogspot.com/
https://www.twitter.com/rilla_
https://www.facebook.com/almadella.rilla

順不同。最近よく聴いたりプレイしているものです。


Don't DJ - RID.EM (Diskant)

Gunnar Haslam - Mimesiak (L.I.E.S)

Muruga & Big Black - Sangoma Drums (Sagittarius A-Star)

V.A - Livity Sound (Livity Sound)

Floorplan a.k.a ROBERT HOOD - Paradice (M-Plant)

Och - Surveillance Network EP (Sect)

Dino Sabatini Meets Donato Dozzy - Journey Back To Ithaca (Outis Music)

Miles - Faint Hearted (Modern Love)

元 ちとせ - ワダツミの木 with Sly&Robbie

Lindamann - Ritual (Golinda Recordings)

Mark E - ele-king

 マーク・Eとか、モーター・シティ・ドラム・アンサンブルとか、スルーしてきたんだけど、五十嵐慎太郎が口うるさく推薦するものだから聴いています。UKの若い連中のお陰で、ディープ・ハウスが時代のムードに合ってきたというのもあるけれど、デトロイト系ビートダウン──せかさず、ゆったりとしたグルーヴ、エモーショナルでソウルフルなテイスト──の人気はハウス冬の時代においても衰えずにいたし、メロウなハーモニーとオードルスクールなフィーリングを持っているマーク・Eの今回の来日、ハウス時代のいま、実に良いタイミングじゃないでしょうか。
 2004年にジャネット・ジャクソンが「R&Bジャンキー」を出して、その3年後にUKはバーミンガムのマーク・Eは「R&Bドランキー」を出しているけれど、彼のR&B使いのうまさはつねに賞賛されています。既存の曲をダンス仕様に編集し直すことをハウスの世界はエディット(リエディット)と言いますが、五十嵐は彼をエディットの「職人」と呼んでいます。職人とは、わけもわからずサンプリングするのではなく、元ネタについてもよくわかっている人です。今月のオススメのディープ・ハウス、ディスクロージャーやザ・XXで踊って楽しかった人には大推薦。

以下、五十嵐から来たメールのコピペ。

 職人プロデューサー「Mark E」のJAPANツアーが久々に開催される。
JISCOレーベルではその類い稀なEDITワークで人気を獲得し、その後自身で立ち上げた「MERC」レーベルもコンスタントにリリースを重ね、地味で地道なスタンスとそんな性格を表してるかの様なそのサウンドが、本国イギリスはもちろん日本でも着実にコアなファンを獲得し、昨今のUKハウス再注目の波を牽引しているひとりと言っても過言ではないだろう。2011年の3.11の混乱のなか、いち早く来日してその親日ぶりも評判な彼なので今回のツアーを相当楽しみにしているようだ。
 名古屋では地元の信頼も厚い老舗のCLUB JB'sでの開催が決定した。
また代官山AIRのPARTYでは共演予定のDJ陣がDJ AGEISHI、DJ SHIBATA、GONNOと、これまた日本が誇る職人気質な最高なDJ陣。そしてラウンジでは新進気鋭の要注目若手DJ陣に交じって先日20周年を迎えたIDJUT BOYSのConradが参加すると言う豪華な顔ぶれで開催される!

Mark E (Merc, Spectral Sound/from UK)
 英国ウエスト・ミッドランズ州ウォルヴァーハンプトンにて生まれ、その後家具デザインを学ぶためにバーミンガムに移り住む。当時バーミンガムではちょうどクラブシーンが盛り上がっていた時期で、大学卒業後もそのままバーミンガムに住むことになる。Jisco Musicからリリースされた”Scared”をきっかけに、一躍Mark Eの名は広まり、ディスコ エディットやビートダウンという言葉に収まりきらないMark Eマジックは〈Endless Flight〉、〈Running Back〉、〈Golf Channel〉、〈Internasjonal〉、〈Sonar Kollektiv〉などからリリースされた。また、ここ数年で数多くのリミックスも続々と手がけており、remixerとしてのMark Eも勢いがとまらない。2009年には自主のレーベルMERCを始動し、アナログレコードとコンピレーションCD『Mark E Works 2005-2009』Vol.1と2をリリースしている。
 「本当の音楽は消耗品じゃないと思うんだよね。僕も音楽制作と向き合ってる時は、時間がたっても聴けるモノを常に意識してる。僕が古いディスコに惚れてるように、20年たってもみんなが楽しめるような音楽を創りたい。」 (Vendor Mag vol.5 Mark E Interviewより)
 2011年にファースト オリジナル アルバム『STONE BREAKER』を〈Spectral Sound〉より発表、プロデューサーMark Eの音世界が濃縮された作品となっている。
 〈Running Back〉から" THE BLACK COUNTRY ROOTS EP”を近々リリース予定であり、また現在セカンド・アルバムを制作中とのことである。

Merk Music:
https://mercmusic.net
https://twitter.com/mark_e_merc
https://www.facebook.com/pages/MERC/124366710936688


11.22(金) 名古屋 @ Club JB’S
Guest DJ: Mark E
DJ: Shou Ino (Buddy/indicate), Beepay (body to body/Mooving), Uchida (izumi), Hose (Mooving)

open 22:00
Advanced 2500yen
Door 3000yen

Info: Club JB’S https://www.club-jbs.jp
名古屋市中区栄4-3-15 丸美観光ビルB1F TEL 052-241-2234

NU-DISCOの旗手MARK Eが今年もAIRのフロアを魅了

 ビートダウン的感覚とソウル/ディスコ・エディット感覚を昇華させた独創的 なダンストラックでテクノ~ハウスシーンからも大きな注目を集め、リミキ サーとしての手腕も絶賛されるMARK Eが、約1年3カ月ぶりにAIR再登場を果た す。前回はNU-DISCOの旗手らしい変幻自在のプレイでフロアを見事に魅了して くれただけに、まさに待望の夜といえるだろう。国内からは、世界へ活躍の幅 を拡大中の次世代シーンの雄GONNOが昨年に続き連続参戦。そして今回は、東 京のダンスミュージック・ヒストリーを見つめ続けてきた大ベテランDJ AGEISHIも参加する。国境や世代の壁を超えて構築される、素晴らしい音空間 へ。

11.23(土/祝) 東京 @ AIR
COMMUNION
"Mark E JAPAN TOUR"

MAIN:
Mark E, DJ AGEISHI (AHB pro.), GONNO (WC/Merkur/International Feel), DJ SHIBATA (探心音/the oath)

B1F LOUNGE:
FUSHIMING & YO.AN (HOLE AND HOLLAND), COZU (COGEE & MAMAZU), HOBOBRAZIL, KILLY & 7e (Romanescos), Asyl Cahier, Conrad McDonnell(Idjut Boys)

Nomad: Vendor Crew

open 22:00
AIR Member 2500yen with 1Drink
With Flyer 3000yen with 1Drink
Door 3500yen with 1Drink

Info: AIR https://www.air-tokyo.com
東京都渋谷区猿楽町2-11 氷川ビルBF TEL 03-5784-3386

TOTAL TOUR INFO: AHB Production www.ahbproduction.com


electraglide 2013 - ele-king

 11月29日金曜日、幕張メッセ国際展示場にて開催される「エレクトラグライド2013」、当日のタイムテーブルが発表された。はい、ご覧の通りである。


 空間を2フロアに仕切った前年と違って、今年は巨大空間にふたつのステージを設置、交互にパフォーマンスをする。つまり、「カブリなしで全てのショウを観ることが可能。次から次へとノンストップで繋がって行くパフォーマンスが、濃密なヴァイブを生み出し、フロアをそしてひと夜のパーティを最高の一体感に包み込む」と、主催するビートインクは鼻息荒いメールを昨晩、関係者にいっせいに送った。
 そして、「さらにタイムテーブルに注目せよ! まさに息つく暇もない疾風怒濤のランニング・オーダー!」だと豪語。メールのなかでは、下記のような当日のシミュレーションまでする。ビートインクもそれほど気合いが入っているのだ。
 私などはのんびり派なので、グラストンベリーでもブライトンのフェスティヴァルでも、メタモルフォーゼでも、非合法レイヴでも、いっつも、適当に遊んで適当に飲んで、座って誰かと話しているほうなので、みなさんも「~を見なきゃいけない」なんてプレッシャーを自分にかけずに、楽しみましょう。酒飲みは配分を間違わないこと。(レイヴでもフェスでも、音楽なんてなにひとつ覚えていないけど、久しぶりに話した友人との会話だけはよく覚えているなんてザラ。そう、主役は君たちなのだ!)
 セオ・パリッシュのときまでに生存者がどれほどいるのか、注目したい。

NOSAJ THING × 真鍋大度 × 堀井哲史 × 比嘉了
フライング・ロータスやケンドリック・ラマーも認めるL.A.ビートの逸材ノサッジ・シングと、パフュームの演出をはじめ世界的認知度を飛躍的に上げ続ける真鍋大度率いるライゾマティクスの面々が世界初公開となるオーディオ・ヴィジュアル・セットで登場。electraglide 2013のイノヴェイティヴな幕開けを告げる。

FACTORY FLOOR
アシッド、パンク、ディスコ、インダストリアルを3ピースで配置しながら、破壊力抜群のライヴ・パフォーマンスに中毒者続出!! ポストパンク、クラウトロックのDNAを現代のミニマリズムでモダナイズした緊張感溢れるグルーヴが暴力的な興奮へと昇華していく様は必見(失禁)!!

MACHINEDRUM
IDM~エレクトロニカ、ヒップホップ、ポスト・ダブステップ、ジュークとビート・ミュージックの潮流を掴みながら、そのドープネスをポップに錬金してきた奇才が最新作にして傑作『VaporCity』リリース後の初舞台をエレグラで披露!ディープでヴェイパーな街のサウンドトラックが幕張メッセを覆い尽くす!!

SHERWOOD & PINCH
全てのベース・ミュージック・フリークが狂喜した最強のドリーム・タッグが再びここ日本を襲撃!! ダブ・サウンドのルーツと未来が邂逅した“今”を鳴らす、陶酔と覚醒のレベル・ミュージックが来場者の足腰、そして魂を直撃!! 衝撃のヘヴィウェイト・ダブに応答せよ!!

JAMES BLAKE
先日マーキュリー賞を受賞し、名実ともにUKを代表するアーティストとなったジェイムス・ブレイクが2013年のワールド・ツアーのファイナル公演としてelectraglide初登場!視覚も魅了する大がかりな舞台演出の機材を持ち込みフル・セット(日本初上陸!)で行われるショウ! さらにヴァージョンアップした唯一無二のJBワールドは、再び伝説の一夜を更新するだろう。

2manydjs LIVE
EDM前夜からロックとダンスの垣根をブチ壊し、キラー・チューンとキラー・チューンを掛け合わせた“マッシュ・アップ”の洪水でフロアを掌握するパーティ奉行がなんと10年ぶりにエレグラに降臨!かかっている曲のアートワークがリアルタイムでシンクロしていく最強のパーティ・エンターテインメントを投下!


!!! (chk chk chk)
即完! 大合唱!! 汗まみれの肉弾戦!!! となったプレミア来日公演も記憶に新しい、最狂のモンスター・グルーヴ・バンドが帰還! ロック・フリーク、パンクス、テクノ・ヘッズをまとめて飲込む狂乱のグルーヴで幕張メッセのフロアがダンサーの洪水で溢れかえること必至!!!

MODESELEKTOR [DJ SET + 909] with Pfadfinderei
貪欲なまでに雑食なサウンドで世界中のダンスフロアを狂喜乱舞させてきたデュオが遂にエレグラ初参戦! 今回は新機材とTR-909を組み込んだDJセットに盟友であるマルチ・メディア・アーティストPfadfindereiがVJとして帯同した圧巻のオーディオ・ヴィジュアル・セットを本邦初公開!!

THEO PARRISH
デトロイトのブラックネスを体現し続けるこの男がまさかのelectraglide 2013出演!百花繚乱のパフォーマンスを抜けた後に、ソウル、ジャズ、ファンク、ディスコ、テクノ、ハウス……すべてのミュージック・ラバーを祝福する至高のDJプレイが今年のエレグラを大団円へと誘う!!

まだ間に合う!前売TICKET!
前売 ¥8,800 / 当日 ¥9,800
※18歳未満の入場は不可、入場の際写真 付きIDの提示をお願い致します。
※お買い求めいただいたチケットは返品できません。

詳細はこちらから>>> www.electraglide.info

Beatkart ( https://shop.beatink.com ) 限定、チケット購入特典決定!
Beatkartでチケットをご購入いただいたお客様に先着でバッジ型オーディオ・プレイヤーelectraglide 2013限定PLAYBUTTONをプレゼント!

electraglide2013 限定PLAYBUTTON
SHERWOOD & PINCH「MUSIC KILLER (EXTENDED VERSION)」
(限定数:500個 / 収録:CDEP未収録Version / 収録分数:4分14秒)
※無くなり次第終了となります。

PLAYBUTTONとは >>>
https://www.memory-tech.co.jp/new/product/package/playbutton.html


国内最大級のエレクトロニック~ダンス・ミュージック・フェス『エレクトラグライド』開催!
electraglide2013

FEATURING:
JAMES BLAKE
2manydjs LIVE
!!!
MODESELEKTOR [DJ SET+909] with Pfadfinderei
THEO PARRISH
SHERWOOD & PINCH
FACTORY FLOOR
MACHINEDRUM
NOSAJ THING x 真鍋大度 x 堀井哲史 x 比嘉了

2013/11/29 (FRI)
幕張メッセ国際展示場
OPEN/START 20:00

TICKET:
前売 ¥8,800/ 当日 ¥9,800
※18歳未満の入場は不可、入場の際写真 付きIDの提示をお願い致します。
※お買い求めいただいたチケットは返品できません。

前売TICKET販売詳細:
チケットぴあ 0570-02-9999 [ https://t.pia.jp/ ] (Pコード:209-961)
ローソンチケット 0570-084-003 [ https://l-tike.com ] (Lコード:72626)
イープラス [ https://eplus.jp ]
tixee(スマートフォン用eチ ケット)[ https://tixee.tv/event/detail/eventId/1829 ]
Confetti [ https://confetti-web.com ]
ビートインク [ https://shop.beatink.com ]

店頭販売(ABC順)
BEAMS RECORDS [ https://www.beams.co.jp/shops/detail/beams-records ]
ディスクユニオン [ https://diskunion.net ] (渋谷Club Music Shop / 新宿Club Music Shop / 下北沢Club Music Shop / お茶の水駅前店 / 池袋店 / 吉祥寺店 / 町田店 / 横浜西口店 / 津田沼店 / 千葉店 / 柏店 / 北浦和店 / 立川店 / 高田馬場店 / 中野店 / web shop)
GANBAN [ https://ganban.net ]
HMV [ https://www.hmv.co.jp ](ルミネ池袋店 / ららぽーと横浜店 / ららぽーと柏の葉店 / イオンモール船橋店)
JET SET TOKYO [ https://www.jetsetrecords.net ]
more records(大宮) [ https://more-records.shop-pro.jp ]
大麻堂東京店 [ https://www.taimado.com/blogtokyo ]
TECHNIQUE[ https://www.technique.co.jp ]
TOWER RECORDS [ https://www.tower.jp ](新宿店 / 秋葉原店 / 池袋店 / 吉祥寺店 / 川崎店 / 町田店 / 柏店 / 津田沼店)
TSUTAYA TOKYO ROPPONGI / TSUTAYA三軒茶屋 / SHIBUYA TSUTAYA / 代官山蔦屋書店 / TSUTAYA横浜みなとみらい店 [ https://www.tsutaya.co.jp ]

他一部CDショップにて

INFO:
BEATINK 03-5768-1277 beatink.com
SMASH 03-3444-6751 smash-jpn.com smash-mobile.com
HOT STUFF PROMOTION 03-5720-9999 doobie-web.com

企画制作:BEATINK / SMASH / DOOBIE
後援:SHIBUYA TELEVISION
協賛:CA4LA / PLAYBUTTON

www.electraglide.info


ジェイムス・ブレイク、アンダーワールド、フライング・ロータスらの楽曲を収録したスペシャル・コンピレーションがiTunes Japan限定で発売決定!

electraglide 2013の開催を記念して、出演者のジェイムス・ブレイク、チック・チック・チック、シャーウッド&ピンチ、マシーンドラム、ノサッジ・シングの楽曲はもちろん、2000年の初開催以降に出演したアンダーワールド、オービタル、フライング・ロータス、スクエアプッシャー、LFO、DJケンタロウなど、これまでにエレグラのラインナップを彩ってきたアーティストの代表曲が収録されたコンピレーション『electraglide 2000-2013』がiTunes Japan限定でリリースされる。

15曲が収録された本コンピレーションは、11/20 (水)にリリースされ、12/10(火)までは期間限定価格1200円で配信される。いよいよタイムテーブルや会場のレイアウトまで発表され、開催まで17日と迫ったelectraglide 2013の予習はもちろん、エレグラの歴史を振り返ることができるコンピレーションとなっている。

V.A
『electraglide 2000-2013』

Beat Records
11月20日発売
価格:¥1,200 (期間限定価格)

■ iTunes ■
https://itunes.apple.com/jp/album/electraglide-2000-2013/id739026681

●トラックリスト
01. !!!(chk chk chk) - Slyd (Patrick Ford Extended Mix)
02. Orbital - Wonky
03. Tim Deluxe - It Just Won t Do (feat. Sam Obernik)
04. Hudson Mohawke - Joy Fantastic (feat. Olivier Daysoul)
05. Nosaj Thing - Eclipse/Blue
06. Clark - The Pining pt2
07. Machinedrum - Eyesdontlie
08. James Blake - CMYK
09. Sherwood & Pinch - Music Killer
10. Flying Lotus - See Thru To U (feat. Erykah Badu)
11. DJ KENTARO - Kikkake (feat. DJ KRUSH)
12. Squarepusher - Energy Wizard
13. Amon Tobin - Journeyman
14. Underworld - Two Months Off
15. LFO - Freak

『 Songdrop 』予習に便利な出演アーティスト音源まとめ特設サイト登場!

イギリスの音楽キューレーションサービス「Songdrop」がelectraglide 2013特設サイトをオープン。Songdropは、YouTube、bandcamp、Soundcloud、Vevo等、様々なソースからの音楽をプレイリスト化して聴けるサービス。
出演アーティストのオリジナル音源だけでなく、アーティストによるDJセット、リミックス、ライブ音源も聞くことができ、electraglide 2013の予習に大変便利。
https://songdrop.com/electraglide/line-up-2013

■マシーンドラム大阪公演!
featuring:
MACHINEDRUM, and more

数々のプロジェクトやプロデュースでいまや引く手あまたの奇才マシーンドラム。傑作と呼び声も高いニューアルバム『ヴェイパー・シティー』を何とニンジャチューンからリリースし、ヘッドライン公演で大阪を襲来!

11/30 (SAT) CIRCUS
OPEN/START 21:00前売 3,000 YEN / 当日 3,500 YEN ※入場時にドリンク代別途500円必要
INFO: 06-6241-3822

今週末11/15(金)に行なわれるNeuture01@ageHa にエレグラブースが出店!
現地にて前売りチケット発売!
https://www.neutralnation.net/


Soundcloud : https://soundcloud.com/mamazu
Tumblr : https://mamazu.tumblr.com/
Twitter : https://twitter.com/_Mamazu_
Instagram : https://instagram.com/mamazu
HP : https://www.hole-and-holland.com/

SCHEDULE
11/8 (FRI) @ 吉祥寺 CHEEKY
11/17 (SUN) @ 青山 蜂 
11/23 (SAT) @ 代官山 AIR
11/26 (TUE) @ 神宮前 BONOBO
11/30 (SAT) @ 半蔵門 ANAGLA 
12/8  (SUN) @ 代官山 SALOON
12/14  (SAT)@ 西新宿 LOUVER
12/23 (MON) @ 代官山 SALOON
12/25 (WED) @ 神宮前 BONOBO
12/28 (SAT) @ 静岡 EIGHT&TEN
12/29 (SUN) @ 代官山 UNIT&SALOON
12/30 (MON) @ 中野 HAEVYSICKZERO
1/25 (SAT) @ 代官山 UNIT&SALOON


1
SIGNUS - BLACK HOLE - Promo

2
SOFT CELL - MEMORABILIA - NOT ON LABEL

3
Bottin - Plastic (incl. In Flagranti Remix) - Tin

4
POCKETKNIFE - CANYON DANCING 2 - WILDE CALM

5
DONDOLO - Dragon - TINY STICKS

6
MZKBX - DOMM BEAT - Macadam Mambo Trax

7
AFELAN - MDOU MOCTAR - SAHELSOUND

8
WARREN SUICIDE - WORLD WARREN REMIXES - Shitkatapult

9
HOLDEN - THE ILLUMINATIONS - Border Community

10
DANIEL STEINBERG - BAILANDO - Front Room

interview with Alex Barck (Jazzanova) - ele-king

 1990年代半ばにドイツのベルリンで結成されたジャザノヴァ。3人のDJと3人のプロデューサー/トラックメイカーから成るこのユニットが生まれた時期は、クラブ・ジャズ・シーンが躍進しており、ニュー・ジャズやフューチャー・ジャズと呼ばれる新しい音楽が生まれていた。当時はジャズを接点にさまざまな音楽ジャンルが融合し、カール・クレイグのインナーゾーン・オーケストラやロニ・サイズのリプラゼントなどが活躍していた。そうした時代に一躍脚光を浴びたのがジャザノヴァだ。

 古い時代のジャズ、ソウル、ブラジル音楽、ラテン、アフロなどの音素材を、まるで実際に生演奏しているように錯覚させる緻密なサンプリングで再構築し、テクノ、ハウス、ヒップホップ、ドラムンベースなどを通過した新しい未来の音楽として提示する。彼らの手法は、それ以降のニュー・ジャズ~クロスオーヴァー・シーンの指針となり、多方面にも影響を及ぼした。『In Between』(2003年)、『Of All The Things』(2008年)とアルバムを発表していくなか、ジャザノヴァの音楽性は徐々に変化していく。エレクトロニクスとアコースティックな要素が融合していた『In Between』に比べ、『Of All The Things』では多くのシンガーを起用し、生演奏に比重を置いた作風となっていた。当時はメイヤー・ホーソンなどが台頭してきていたが、そうしたヴィンテージ・ソウル的な作品もあった。その方向性は最新作『Fankhaus Studio Sessions』(2012年)でさらに加速し、これは完全なバンド・スタイルでおこなったスタジオ・ライヴ集である。パーソネルもプロデューサー/トラックメイカーとセッション・ミュージシャンが主で、実際のところDJメンバーはほとんど関与していない。つまり、当初のジャザノヴァとは異なるものなのだ。


Alex Barck
Reunion

Sonar Kollektiv/Pヴァイン

Amazon iTunes HMV Tower

 一方、そのDJメンバーであるアレックス・バークは、現在はソロ活動をメインでおこなっている。DJとして多忙な日々を送っていたアレックスは、2011年にプロマー&バークというユニットで『Alex And The Grizzly』を発表する。フォウナ・フラッシュ、トゥルービー・トリオ、ドラムレッスンといったユニットで、ジャザノヴァとともにドイツの音楽シーンを牽引してきたクリスチャン・プロマーとのユニットだ。
 音楽的にはディープ・ハウス、テック・ハウス、テクノ、ミニマルといった要素を軸とし、アレックスの普段のDJプレイを反映したものと言えるが、中に自身でヴォーカルを取ったりしたものや、シンガー・ソングライター的な要素を感じさせるものもあり、またフォークからクラシックやオペラ、バレアリックにチルアウト、そしてエスニックなど多彩なテイストを盛り込み、彼らの豊富な音楽的知識や経験が生かされていた。
 そして、2013年の秋、アレックスのキャリア初となるソロ・アルバム『Reunion』が完成した。『Alex And The Grizzly』の延長線上にある作品と言えるが、プロマー&バークではどちらかと言えばクリスチャン・プロマーがプロダクションの実務を仕切っていたのに対し、『Reunion』ではアレックスは完全に独り立ちし、作曲やプログラミングをはじめとしたスタジオ・ワークは全て自身でおこなっている。
 今回は自分で歌ってはいないが、代わりに多くのゲスト・シンガーを招き、ヴォーカル曲が多くなっていることも特徴だろう。レッド・ブル・ミュージック・アカデミーのイベントのDJで来日中のアレックスに、この『Reunion』のことを中心に、DJやジャザノヴァのこと、最近の音楽シーンについてなど、いろいろ語ってもらった。

音楽があまりにも溢れすぎているからガイドが必要だと思う。僕たちの世代のジャズDJが一番良い選曲者になれると思う。僕たちはどんなジャンルも新旧も問わず何でもチェックしているからね。この20年間で僕たちは音楽を俯瞰的にみる術を培ってきたから。僕たちの選曲者としての存在価値は、今後どんどん重要になっていくはずだよ。

初のソロ・アルバムのリリースおめでとうございます。DJ、そしてジャザノヴァのメンバーとして20年近くやってきて、今、このタイミングでソロ作を出したのは、どんな理由からですか?

アレックス・バーク(以下AB):昨年の7月から1年間、家族と一緒にレユニオンという島で生活することになって、そこではベルリンにいたときのようにスケジュールに縛られることなく、何の計画も立てずに音楽に取り組んでみようと思ったんだ。最初からアルバムを作ろうとしたわけじゃない。でも、島の空間や時間にすごく刺激されて、この1年はアルバムを1枚作るのにちょうどいい期間だと感じるようになっていった。向こうにはスタジオがないから、仕方なく自分のラップトップとヘッドフォンだけで制作していたんだけどね。

レユニオンはフランスの海外県で、アフリカのインド洋上にあるマダガスカル東方の小島なのですが、ベルリンを離れてここに移ったきっかけは何ですか?

AB:僕の妻はヨーロピアン・スクールの教師なのだけれど、彼女が海外に1年間赴任して教えるという交換プログラムの話をもらい、それがレユニオンだったんだ。彼女が行きたいと言ったとき、初めは一緒に行くのを少し躊躇した。DJにとって1年というのは長い時間だからね。でも、突然これは何か違う世界に触れるいい機会なんじゃないかという直感があったんだ。それまでベルリンにしか住んだことがなかったからね。実際、ベルリンを外から見ることが出来たのはいい経験だったよ。ベルリンではみんな「ベルリン・サウンド」を作るんだ。それはハードなテクノやハウス・ミュージックなんだけど、僕の好きな音楽ではなかった。だから、あのうるさい街を離れられてよかったよ。

CDジャケットになっているビーチの写真も、レユニオンでの風景なのですか?

AB:これはレユニオンに着いたその日に撮った最初の写真なんだ。とても美しい島で、まさにパラダイスだよ。現地の人は親切で、ピースフルだし、いろんな人種が混ざっている。中国系、インド系、黒人系のクレオール、それからフランス系と、皆それぞれ違っているけど、そうしていろんな血が混ざりあうことにより、美しい人が生み出されるんだ。そして、暖かいし、食べ物も最高だし、とくに魚は新鮮だよ! 老後には移り住みたいねとも思ったよ(笑)。

イビサのように観光地化されたところとは違うのですか?

AB:イビザのようなところとは全く違うね。フランスから多少の観光客がいる程度で、ずっと少ないよ。手つかずの自然の楽園というイメージかな。ナイト・ライフはないし、ホテルも少しだけ。とてもピュアな島だよ。火山があったり、4,000m級の山があったりする。それに美しいビーチもあって、全部揃っているんだ。ぜひホリデイに行くべきだね。

ということは、レユニオンではDJの機会などはなかったわけですか?

AB:プティヨンというとても小さいクラブでレジデントDJをやっていた。ただ、それはクラブというより家族や友達を集めたバーのようなところだったよ。それ以外はやらなかった。代わりに「エレクトロピカル」というフェスティヴァルのオーガナイズをしていて、ドイツから、例えばAMEのフランク・ヴィーデマンやクリスチャン・プロマーを呼んだり、ほかにジェフ・ミルズとか、フランスから何人かのアーティストをブッキングする仕事をしていた。あと11月と4月に2回ほどミニ・ツアーをやって、ヨーロッパの国々を回ったり、日本にも行ったりしたよ。

アルバムではレユニオン島出身のクリスティーヌ・セーラムというシンガーが歌っていますが、彼女とはどのように出会ったのですか?

AB:向こうに着いたとき、たまたま誰かから彼女のCDをもらったんだ。島にはマロヤという奴隷制の時代から続く伝統的な音楽があって、彼女はその分野でとても有名な歌手なんだよ。で、そのCDを聴いて、僕は彼女の声に恋をしたんだ。知り合いを通して何とか彼女にコンタクトを取りたいと思ったところ、実は僕がプティヨンでプレイする時にいつも彼女が来てくれていたことがわかってね(笑)。それで、すぐ紹介してもらった。すごく才能があって、フレンドリーで素晴らしい人だよ。そうやって仲良くなって、一緒に音楽を作ったんだ。実はこれからふたりで新しいアルバムを作ろうと考えていて、来年にもう一度レユニオンに行って、レコーディングをしようと計画中なんだ。

レユニオンには独自の音楽文化があるのですか?

AB:レユニオンは奴隷制時代の典型的な植民地だった。そして、アメリカのブルースやアフリカやブラジルの伝統的な音楽のように、レユニオンにはマロヤという音楽があるんだ。でも、それは実は1980年代まで演奏するのを禁止されていたんだよ。当時のミッテラン大統領が解禁して、一般に聴くことができるようになった。音楽的には打楽器のみの編成で、ある種トランシーな要素がある。カヤンバという大きなシェイカーのような楽器やルーラーという打楽器を使っていて、それらと歌だけから成り立つ音楽なんだ。パフォーマンスを見に行くと、老人でさえもトランス状態で踊っている。少しブードゥーの音楽に似ているところもあって、とても興味深いね。それとミニマルな要素もあるから、DJとしてプレイできるかもね。心の奥深くに入り込んでくるような音楽だよ。

クリスティーンが歌う“Oh Africa”は、そのマロヤに影響を受けた部分もあるのですか?

AB:そうだね、この曲と“Reunion”が島の文化から最も影響を受けたものだと思う。アルバムのすべての曲が島に影響を受けたものとは言い難いけれど、あの島がこの音楽を作る時間と場所をくれたわけだから、そうした意味でレユニオンのあらゆるものから着想を得ているアルバムなんだ。そのなかでも「Oh Africa」は直接的な影響を大きく受けているよ。リズムもマロヤのスタイルだし、大きなシェイカーを使ったり、クリスティーヌの歌声だったり、明らかにこのアルバムのハイライトだと思う。

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今回のアルバムは初期のジャザノヴァに近い、DJ的なプロデュース・ワークを重視した曲作りなんだ。いろいろリミックスを手掛けたりとか、最初のアルバムの頃のね。ジャザノヴァはライヴ・サウンドへ変化していくにつれて、よりクラシックなソング・ライティングに基づく明確な骨組みの音楽へと曲調も変化していった。


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レユニオンから受けた着想という話でいうと、“Doubter”“Reset”“Spinning Around”といった曲からはバレアリックなムードが漂っているのですが、それはレユニオンでのレイドバックした生活から育まれたものと言えそうですか?

AB:バレアリックという言葉を出すなら、それはレユニオンでの生活以前から自分のなかに存在してきたと思う。言うなれば根源的なバレアリックの感触に、いつも大きなインスピレーションを得ているんだ。意図的にそれを嗜好しているわけではなく、純粋に内面から出てくるものなんだ。僕のDJを知っている人は、そういった音楽をかけるのが好きだと理解してくれるんじゃないかな。子供の頃の僕はポップ・ミュージックをよく聴いてたけど、改めて自分なりのバレアリックということを分析するなら、例えば当時好きだったシャーデーのような1980年代のポップ・ミュージックに繋がりがあるんじゃないだろうか。だから、それは直接的な影響というより潜在的なもので、ポップ・ミュージックに囲まれて育った僕の子供時代の環境から自然と湧き出し、音楽を作る時に表面に浮かんでくるんだ。バレアリックというものを僕は意識しているわけではなく、それは言うなればポップ・ミュージックなんだけど、ポップ・ミュージックもバレアリックに通じているんじゃないかな。曲作りにおいてもバレアリックなものを作ろうとしているわけじゃない。敢えて言うなら、コーラスがあって、ヴァースがあって、フックが魅力的という古典的な曲作りが好きなのかも知れないね。それはロック・ポップ的な音楽、例えば昔スミスなどを聴いていた時から僕の中に生まれたんじゃないだろうか。

バレアリックという言葉を出したのは、プロマー&バークでアル・ディ・メオラの「Pictures Of The Sea (Love Theme)」のカヴァーをしていて、そうした部分からも繋がるところを感じたので訊いたわけです。

AB:僕はドイツの海沿いの街で生まれたので、海がずっと心象風景になっているんだ。海を見ながら何時間も座っているのが好きだよ。いつもその風景に影響を受けているし、頭のなかにそのイメージがあるんだ。だから、アル・ディ・メオラの“Pictures Of The Sea”が僕の好きな曲というのは、わかりやすいだろ(笑)。
 でも、これはあまりにも美しい曲だけどクラブでかけられるタイプのナンバーじゃないから、いつかそのクラブ・ヴァージョンを作りたいと考えていたんだ。いいカヴァーができればとね。ジャザノヴァの最初のアルバムにも“Sub-Atlantic”という素晴らしいインタールードがあるけど、これも海の風景から来ている。そういった具合に海のサウンドとイメージが僕の頭のなかにいつもあるんだ。僕の家族はホリデイにフランスの海沿いの別荘に行くけど、できればそこにずっといたいくらいだよ(笑)。ベルリンには海がないからね、湖はたくさんあるけれど。

今回のアルバムで、ジャザノヴァやプロマー&バークの時と違いを意識した点はありますか?プロマー&バークとは繋がりはあるかもしれないが、最近のジャザノヴァのサウンドは違うと思うのですが。

AB:今回のアルバムは初期のジャザノヴァに近い、DJ的なプロデュース・ワークを重視した曲作りなんだ。いろいろリミックスを手掛けたりとか、最初のアルバムの頃のね。ジャザノヴァはライヴ・サウンドへ変化していくにつれて、よりクラシックなソング・ライティングに基づく明確な骨組みの音楽へと曲調も変化していった。ただ、僕はDJとしてキャリアをスタートしたから、DJ的な手法による音楽を求める部分もあり、それがプロマー&バークに繋がったのかもしれない。で、今回のアルバムにはそうしたDJ的な要素もあるし、一方で単体の曲として聴けるものでもある。楽曲ごとを重視しながらクラブでもかけられるという、ちょうど中間のものなんだ。

プロマー&バークのアルバム制作時に、クリスチャン・プロマーからエイブルトン・ライヴなどの機材などの使い方を教えてもらったそうですね。今回は独りで制作して、それらの使い方は上達しましたか?

AB:音楽的な面ではジャザノヴァのときにもチームからいろいろ学んできて、その次に実務作業や技術面でクリスチャンからより多くのことを学んできた。教えてもらうというより、いつも彼が作業する隣りに座って、それを見ながらいろいろ質問していたね。彼は本当に短時間で制作できるプロデューサーで、アイデアがあればパッと作ってしまう。プロマー&バークのアルバムは10日で作ってしまったんだ。彼からは多くのことを学んだよ。コンプレッションやシグナル・チェインニングといった複雑な技術についてもね。でも、まだ僕は完璧なプロデューサーではないので、このアルバムの制作中にも、ときどき彼に電話して質問しなければならなかったよ(笑)。

それでは、アルバムを作るごとにだんだんと上達していますね。

AB:そう、制作しながら学んでいるんだ。15年もの間エンジニアと一緒に働きながら、コンプレッサーがこんな調子なら、サウンドはこんな感じなる、という風に試行錯誤しながら学んできた。でも、そうした学習の成果に満足するかどうかは、結局のところはとても個人的な感覚によるんだ。今回のアルバムに関して、自分では80%の完成度だと思っている。僕にとってこのプロダクションはパーフェクトなものとならなくても、ある程度形が整っていればOKという感じなんだ。ヘッドフォンで作ったということを考えれば上出来かもしれない。もし、これと同じアイデアで同じアルバムを、誰かビッグなプロデューサーと組んで作れていたら、より良いものになったかもしれない。独りで全部を手掛けると、外からのインプットがないし、頭のなかがグチャグチャに混乱することもあるんだ。とくにミックス・ダウンのときが大変で、神経を消耗する作業だよ。今回も最終ミックス・ダウンでは1カ月の間寝られな日が続いて、ずっと気分が悪かったよ(笑)。1年でスパッと完成させたかったから、何とかやり遂げたけどね。

プロマー&バークでは自分でも歌っていましたが、今回はたくさんのヴォーカリストが参加しています。どうして自分で歌わなかったのですか?

AB:歌いたくなかったんだ(笑)。プロマー&バークのときは特別で、そもそも他のシンガーに歌ってもらうためのガイドラインとして僕が歌ったんだ。でも、それを聴いて「いや、こっちの方がいいよ」、「君が歌うなんてクールだよ」と言う人がいた。一方、いい意見だけじゃなくて、ある人たちは「ダメだ」と言った。クリスチャンと僕は、むしろそうした意見の違いがあった方が、結果的にアルバムとして良いものになるんじゃないかなと思って、それで自分の声を残したんだ。でも、今回はインスト・トラックの方で手一杯だったし、他のシンガーが歌う方が良いと考えたんだ。もちろん、彼らに僕の考えはいろいろ伝え、イメージとかは実際に歌って聞かせたりしたりもし、最終的に彼らがそれを形にした。まあ、僕はレッスンを受けたプロのシンガーじゃないし、たまに歌うこともあるけれど、今回はそれを選択しなかった。家で子供たちに歌うことは大丈夫だけど、才能のあるシンガーではないからね(笑)。

いろいろなタイプのシンガーがいますが、フェットサムの歌う“Why & How”やジョナサン・ベッカリーの“Doubter”を聴くと、こうしたシンガーの起用によってシンガー・ソングライター的な要素を代弁しているように感じます。

AB:準備段階で電話越しに歌って聞かせ、いろいろアイデアを交換していったんだけど、参加した全てのシンガーが素晴らしい仕事をしてくれたと思う。僕にとって完璧なコンビネーションだったね。ジョナサンは全ての曲をやりたいと思っていたみたいで、僕が3曲頼んだのに、5曲もやってきたんだ。僕はNGを出したけどね(笑)。でも、彼の声は大好きだよ。彼の別のプロジェクトのアーネストはハウス寄りの音楽だけど、今回はそのイメージから少し変わっている。偶然にも彼の次のプロジェクトはジョナサン・ベッカリー名義のアルバムで、これもまた異なるものだけれど、よりディープで奇妙な感じがするね。僕のアルバムでは、それらにはない新しいイメージを取り入れてくれて、とてもいいものになった。
 フェットサムは昔からの友人で、ジャザノヴァが運営するソナー・コレクティヴからソロ・アルバムをリリースしている。今回もとても面白いレコーディング・セッションだったよ。バック・トラックが終わった後も、彼はアカペラでずっと歌い続けていたので、それを録音して使ったんだ。彼は才能のある力強いシンガーだよ。ほかに、スティー・ダウンズも僕の古くからの友だちで、彼も今度ソナー・コレクティヴからアルバムを出すけれど、ジャザノヴァでプロデュースをしている。ビア・アヌビスはまだ21才のとてもクレイジーな女の子だけど、ベニー・シングスのプロデュースした素晴らしいデビュー・アルバムがもうすぐ出るよ。彼女の声は天使みたいなんだ。彼女がデモを送ってきて、それを聴いた瞬間にファンになって、僕のアルバムに参加してもらおうと決めた。いつか大きなアーティストになると思う。

“Doubter”はライやザ・ウィーケンドなどオルタナティヴなR&Bのアーティストに通じるナンバーで、ジェイムス・ブレイクの世界観に結びつくような曲だと思います。

AB:最初この曲はインストの予定だった。ドイツの古いジャズ・レコードからのドラム・ブレイクを使ったもので、とても奇妙な感じに仕上がったんだ。でも、ジョナサンがそれを聴いてヴォーカルをやりたいといったので、僕はOKした。彼は聖歌隊のような重層的なヴォーカルを入れた。当初、僕にとってこれはアルバムの途中に入るインタールード的な位置づけだったから、君が言うようなジェイムス・ブレイク的なフィーリングは、僕よりジョナサンが持ち込んだものだと思う。歌詞やヴォーカルが入ることによって、オルタナティヴなR&Bになったんだろうね。ジョナサンにありがとうといわなくちゃ(笑)。初めて聴いたとき、この曲に乗ったヴォーカルに吹っ飛んだんだ。

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誰かが“ニュー・オーダーに触発されたみたいだと言ったんだ。それには全く気付かなかったのだけれど、もしかしたら人生のある時期に吸収したものが、知らず知らずのうちに出てきたのかもしれない。僕はニュー・オーダーのアルバムを全部持っているからね。


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“Oh Africa”のアフリカ・テイスト、“Move Slowly”でのレゲエやフォークのテイスト、“Why & How”でのゴスペルなど、ルーツ・ミュージックの要素とエレクトロを融合させたアルバムだと思います。このような融合はジャザノヴァのときからやっていましたが、それは自然と生みだされたのですか?

AB:人はそれぞれに音楽の歴史を持っているよね。初めに両親のコレクションを聴きながら育って、僕のようにコレクターになったら、たくさんの音楽をひたすら聴いていくんだ。いつも思うのは、幾つかのアイデアはそうしたレコード・コレクションに基づいているということ。そして、その幾つかは直接的な影響を及ぼす。例えば“Spinning Around”では、僕の好きなディスコ/ブギーのレコードのなかから、アフィニティの“Don’t Go Away”をサンプリングした。こうした直接的なものとは別に、もっとさりげないもので内面から出てくる影響がある。例えば誰かが“Atmosphere”を聴いて、ニュー・オーダーに触発されたみたいだと言ったんだ。それには全く気付かなかったのだけれど、もしかしたら人生のある時期に吸収したものが、知らず知らずのうちに出てきたのかもしれない。僕はニュー・オーダーのアルバムを全部持っているからね。
 だから、自分で意識できる直接的な影響と、どこから来たかわからない無意識下の影響がミックスされたのが、このアルバムだよ。実を言うと僕の場合、曲の作りはじめは最終的にどんな曲になるのかわかっているわけではないんだ。曲作りをどんどん進めていって、ある時はこっちへ、別の時には全く違う方向へ行ったりもすることもありうる。大袈裟かもしれないけど、ひとつの曲について200通りのアレンジを作ったんだ。音楽制作でどこへ行くかを自分で決められるというのは、とても素晴らしいことだと思う。それが今回のアルバム制作の中で楽しかったことだよ。ジャザノヴァのようにたくさん人がいると、意見を譲らないといけない時もある。だけど今回は自分で決断が出来るし、音楽自体が方向性を決めることもあるんだ。

曲の面白さという点では、「Reunion」は11分を超す大作で、フィールド・レコーディングを取り入れたり、プログレのような展開があったり、とても実験的で意欲的な作品です。この曲のアイデアはどこから生まれたのですか?

AB:この曲はとても特別なものだ。レユニオン滞在の最後の1週間に作ったもので、「さよなら」という意味のこもった曲なんだ。実際の島から最も影響を受けた曲でもある。初めに島の美しさ、パラダイス的な側面があって、次にサイクロンや火山といった生々しい自然の側面が現れる。そういった島全体を表現したかったんだ。日の出、昼の時間や風景、サイクロン、波、サメなどを一緒にしたんだ。幸運なことに、ドイツのプログレ・バンドのポポル・ヴーが1975年に作った『Aguirre』のなかから、ドラム・ソロを使う許可をもらった。前に彼らの曲のリミックスを手掛けたんだけれど、予算がなかったから、代わりに『Aguirre』のドラムのトラックをもらうように頼んでいて、それが今回に生きた。この曲のふたつ目のパートにそのドラムが使われているんだよ。僕の妻はいつもはハッピーでメロウな曲が好きなんだけれど、この曲を聴くと島のイメージが浮かび上がってくるということで、アルバムではこれが彼女の一番のお気に入りなんだ。

“Reset”はホット・チップや2ベアーズのジョー・ゴダード、“Don't Hold Back”はディスクロージャーなどを彷彿とさせる部分があります。最近はスピード・ガラージから、ポスト・ダブステップのようなベース・ミュージックを通過した新世代のハウス・サウンドが大きな影響力を持っています。あなたもこうした若い世代のアーティストに触発されることもありますか?

AB:実は最近のハウス・サウンドが大好きなんだ。ベースを重視する方向に向かっていて、とてもいいと思う。ディスクロージャーに関しては、本当に初期から追いかけていて、いつかビッグな存在になるだろうと思っていたけど、ここまでになるとは思わなかったよ。ディスクロージャーは僕たちのシーンにとってとても重要な存在だと思う。彼らは良いビートと良いプロダクションで良質のポップなハウス・サウンドを生み出して、アルバムはNo.1を取ったわけだからね。若い人たちを僕らの世界に招き入れて、よりディープでより面白い世界へと導く存在だと思う。ディスクロージャーやジョー・ゴダードはその扉を開いたんだ。

このアルバムはハウス的なスタイルの曲が多いですが、例えばジュークとかチルウェイヴになど他のスタイルにも興味を持ったりしますか?

AB:これはいつも変わらないことだけれど、良い音楽であれば何でも興味を持つよ。僕たちのシーンの良い面として、ボーダーレスに何でもチェックするというところがある。フェスティヴァルで誰かほかのシーンの人に会ったとして、彼らは僕たちの音楽を知らないけれど、僕らは彼らのことを知っていることがよくあるんだ。ただ、クラブ・ジャズだけじゃなくてね。
 例えばトロ・イ・モアの新しいアルバムはとても素晴らしいと思うよ。思うに最近の若い子たちはジャンルを必要としていないんじゃないかな。もしそれがい曲であれば、彼らはiPodにダウンロードするだけなんだ。でも、逆に言えば音楽があまりにも溢れすぎているから、彼らにはガイドが必要だと思う。そうした点でたぶん僕たちの世代のジャズDJが、彼らにとって一番良い選曲者になれると思う。僕たちはどんなジャンルも新旧も問わず何でもチェックしているからね。この20年間で僕たちは音楽を俯瞰的にみる術を培ってきたから。僕たちの選曲者としての存在価値は、今後どんどん重要になっていくはずだよ。

ボーダーレスという話について、今回のイベントに同じくブッキングされたフォルティDLやコアレスといったアーティストは、いろいろな音楽的要素や柔軟性を持っていて、まさにボーダーレスなアーティストの新世代だと思います。こうした若い世代の活躍についてどう思われますか?

AB:フォルティDLやコアレスは未来の音楽と言うより、次のシーンの予感をはらんだ現在の音楽なんだと思う。彼らのような存在はいつも興味深い。日夜音楽作りに関わっているなかで、一番大事なのはいつもそこに未来があることなんだ。もし、ただ過去を振り返っているままだったり、未来に興味を無くしてしまったら、終わりだと思うし、退屈だ。僕はドイツでふたつのラジオ番組を持っているけど、いつも新しいものが入ってくるという意味でとても大切なことなんだ。もし、毎日同じものをかけなければならなかったら、気分が悪くなるよ。もちろん僕にも好みや価値観があるから、新しければ何でも良いというわけではないけれど。
 いまはベース・ミュージックをはじめ、イギリスから起こるムーヴメントの影響が強いけど、僕にとってはずっとドイツのシーンよりも面白いものだった。いつもUKから来る2ステップやブレイクス、ダブステップ、レゲエに夢中になっていたんだ。ドイツに住んでいて、周りにはドイツの音楽があって、いくつかは良いものもあったけれど、過去も現在も総じてUKのシーンに惹かれることが多いね。

ベルリンやその周辺のシーンはいまどのような感じですか? スキューバやモードセレクターが活躍しているようですが。

AB:ベルリンのシーンは、実はベルリンの人によって作られているわけではないんだ。現在のシーンの90%はベルリンで生まれ育った人ではなく、外から来た人たちによってつくられているんだ。スキューバもイギリスから来たわけだしね。だから、モードセレクターは地元が生んだほとんど唯一のアーティストかもしれない。でも、世界中からあらゆる影響が持ち込まれているわけだから、それは決して悪いことではない。巨大なメルティング・ポット状態なんだ。以前はただベルリン生まれのサウンドだけだったのだけれど、いまは国際的になった。だから、例えば素晴らしいソウル・シンガーや面白い音楽を作っているキッズに街で会える機会がある。良い方向に変化していると思う。人は増え続けているし、音楽的には良いことだと思う。

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ディスクロージャーに関しては、本当に初期から追いかけていて、いつかビッグな存在になるだろうと思っていたけど、ここまでになるとは思わなかったよ。ディスクロージャーは僕たちのシーンにとってとても重要な存在だと思う。彼らは良いビートと良いプロダクションで良質のポップなハウス・サウンドを生み出して、アルバムはNo.1を取ったわけだからね。

今個人的に注目しているアーティストはいますか?DJで良くプレイするアーティストなどはいますか?

AB:さっきも言ったようにディスクロージャーはとても良いと思っている。ベルリンではコミックス(Commixxx)がいいと思う。彼はいつか成功するんじゃないかな。まだ出てきたばかりだけれど、トラックは素晴らしいし、ベルリンのシンガーとやったものなどは最高だよ。他にもたくさんあってひとつに絞ることはできないけれど、コミックスは外せないな。あと、また言うけどビア・アヌビスのアルバムは本当に美しい。彼女はとても若いけれど才能があるんだ。彼女をリトル・ドラゴンのマネージメント・チームと一緒に手掛けているんだけど、このプロジェクトが成功すれば、これまでで最大級の仕事になるはずだ。

ジャザノヴァ自体は今後どういった方向に進むのでしょうか? 現在は生バンド的な方向で、アレックス自身の方向性とは違うように感じますが。

AB:実は次回のアルバムの制作がはじまっているけど、ファーストとセカンドの中間のようなものになると思う。ポップなものというより、よりシリアスなダンス・アルバムになるよ。よりクラブ寄りでアップ・テンポの曲が増えるけれど、ライヴ・ミュージシャンと一緒にやった生演奏も録音していく。ライヴをはじめた初期は、どちらかと言うと静かで大人しい曲が多かった。でも、それから何千人もの観客の入るライヴでは、より力強い演奏が必要だと気づいたんだ。それで、次回のアルバムをよりダンサブルなものにしようと思っている。僕の好みだしね。すでにムラトゥ・アスタケとレコーディングをしたし、ポール・ランドルフに続く新しいシンガーも起用する予定だ。でも、最後の瞬間まで完成形がどうなるのか、それはわからないね。

プロマー&バークの方も継続していますか?

AB:たくさんのライヴをやっているよ。新しい曲もすでに10曲ほどラフ・スケッチがあるんだ。クリスチャンの仕事はものすごく速いから、30分もあれば1曲作ってしまうんだ(笑)。次の夏までにはアルバムに取り組むと思う。いまはツアーやスタジオ・ワーク、ソナー・コレクティヴでのオフィス・ワークが溜っているから、それが済んだらクリスチャンとスタジオで作業することになると思う。

最後にファンへのメッセージをお願いします。

AB:僕のメッセージはいつも変わらない。「何かを信じていれば、必ずそこに手が届く」ということだ。それは機材や何かではなく、頭のなかにあるアイデアのことなんだ。資源は頭のなかにある。あとは、ただそれを取りだす術を見つけるだけ。そして、その方法は信じることだと思う。たとえいま、君の作った音楽が売れなかったとしても、もしそれを信じていたら、いつか人に理解されるようになるんだ。過去に渡って素晴らしい仕事をしてきたアーティストを何人も知っているよ。彼らは自費でレコード制作していたけれど、当時は誰もそれを理解していなかった。でも、今では彼らはヴィジョンを持った素晴らしいアーティストと見なされている。それはそのときに評価されるものとは限らない。タイムカプセルに残され、20年後に評価されるかもしれない。そして、そういう考え方が何かを信じる手助けになるだろう。ごくまれに一晩で成功する者もいるかもしれないけど、大半は長い時間を経て花開くものなんだ。だから、あせらずに時間をかけてじっくりやるべきだと思う。

interview with Da Lata - ele-king


Da Lata
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 来年はW杯ブラジル大会。正直、来実感はまだない。が、しかし、ダ・ラータの10年ぶりのアルバムを聴いていると気持ちがブラジルに傾く。
 ダ・ラータの登場はセレソンのように華麗だった。「Pra Manha」(1998年)は渋谷の人混みのなかをドリブルで走り抜け、90年代末のブラジル音楽ブームやブロークンビーツと合流しながら、ファースト・アルバムの『Songs From The Tin』(2000年)まで走り切った。メンバーのひとり、パトリック・フォージは、20年前にはジャイルス・ピーターソンと一緒にクラブ・ジャズの最初の盛り上がりに関わっていた名DJである。
 再始動したダ・ラータの最初のリリースは、ザ・ジャムの“ゴーイング・アンダーグラウンド”のカヴァー(2012年)。ポール・ウェラーの新自由主義批判がラテン・ハウスの雄と出会ったとき、何が起きるのか……。
 セレソンのような、素晴らしいラテン/アフロを詰め込んだ通算3枚目のアルバム『ファビオラ』を発表したばかりのパトリック・フォージに小川充さんが取材。クラブ・ジャズ黎明期からブロークンビーツ、そして新作にいたるまでの20年の歴史を話してくれた。

ダ・ラータの音楽は、言うなれば「グローバル・ミュージック」であり、それと同時に「ロンドンの音楽」でもある。これらすべてのフレーヴァーはロンドンで見つけられる。アフリカのコミュニティ、ブラジルのコミュニティ、すべてを見つけることができるんだ。異国の音楽は、僕らの世界の一部となっている。これはブラジルの音楽、あれはアフリカの音楽、これはロンドンのクラブ・ミュージック」として区別されて存在しているものではく、すべては同じものの一部なんだ。

ダ・ラータはどのように結成されたのでしょう? それ以前にパートナーのクリス・フランクが参加するバンドのバトゥがあり、そこであなたも一緒にDJをする中からダ・ラータが生まれたそうですが。

パトリック・フォージ(以下PF):バトゥがはじまったのは1992年か1993年。その頃から僕とクリスは知り合いで、ある日彼が参加するバンドのメンバーを紹介してくれたんだ。そのバンドがバトゥだった。そして、ジャイルス・ピーターソンとフリッジでDJをしていたとき、メンバーのひとりがデモ・テープを持って来たんだ。土曜日の夜の「Talking Loud (and Saying Something)」のときさ。彼らの音楽は粗削りだったけど、光るところも感じた。そうして僕はバトゥの曲をかけるようになり、彼らに興味を持ち、一緒に活動するようになっていった。
 でも、バトゥとして活動するのには難しい部分もあった。何人かのメンバーとそりが合わなかったんだ。クリスと僕は音楽の方向性とヴィジョンを共有していたけれど、他のメンバーの何人かはそれに乗り気ではなかった。それにバトゥは7人組のバンドで、グループとしてのまとまりを維持するのにも苦労した。それで、結局スタジオをベースにしたアプローチに切り替えようと思って、僕とクリスはバトゥから離れ、ダ・ラータを始めたんだ。ダ・ラータはバトゥの延長から始まったけど、ミュージシャンの演奏任せにするのではなく、僕とクリスがそれをコントロールしたプロダクション・ユニットと言える。正直なところ、バトゥのブラジル音楽に対するアプローチにはグチャグチャなところがあって、アレンジもいい加減だった。メンバーのまとまりにも欠けていた。そうした点にクリスも不満があり、僕と一緒にやっていきたいとなったんだ。僕らの考えに賛同できるミュージシャンは、その後ダ・ラータにも参加してもらっている。

あなたはDJとして多くのブラジル音楽を紹介し、そしてダ・ラータは一貫してブラジル音楽をベースとした活動をおこなっていますが、当初はどのようなコンセプトを持ち、どういった音楽性を目指したのでしょう? その頃のロンドンはアシッド・ジャズ・ムーヴメントが沈静化し、DJを中心にブラジル音楽が盛り上がりを見せはじめていた時期にあたると思いますが。

PF:アシッド・ジャズはムーヴメントではなく、流行を作ろうとしたメディアが勝手に付けた名前であって、そもそもジョークとしてはじまったんだけどね……。アシッド・ジャズはファンキーなジャズを強調していて、最初は僕もそれが好きだったけれど、次第に僕のやりたい音楽ではなくなっていった。1990年代初頭だけど、当時はブラジル音楽が段々と広まってきていて、僕はむしろそれに興奮して、DJとしての興味はそちらに一気に向かった。それがバトゥと一緒に活動するきっかけにもなった。ファンク・バンドと組んでギグをやったりするよりも、何かもっと新しくて面白いことをやってみようと思っていたから、そうした方向に行ったんだ。
 でも、いま言ったみたいにバトゥはバンドとしてまとまりがなかった。実は今回のアルバムに入っているジョアン・ボスコのカヴァーの“Ronco Da Cuica”は、バトゥも演奏していたんだ。そのときの彼らのアレンジは全く散らかっていて、ある日リハーサルでこう提案したんだ。「OK、フェラ・クティのサウンドを少し取り入れてみよう。フェラの“Shakara”のグルーヴを混ぜて“Ronco Da Cuica”をやってみよう」と。それは面白い試みだったと思うよ。いまは幾つかのブラジル人のアーティスト、たとえばクリオーラとかもアフロビートとブラジリアン・ミュージックを融合させようとしている。でも、僕たちはそれを20年も前にやっていたんだ。
 ブラジリアンとアフロの結びつきはひとつの例だけど、そうした融合をバトゥやダ・ラータで試みてきたんだと思う。もちろんベースにはブラジリアン・ミュージックがあるけれど、ただ単純にブラジルの音楽をコピーしようというものではなかった。確かにバトゥにはブラジルで生まれ育ったメンバーもいたけれど、僕たちはイギリスのバンドだと自覚していて、ブラジル音楽のUKヴァージョン、UK流のひねりを加えた音楽を作ろうとしていたんだ。だから、僕たちがやるのは古典的なボサノヴァやMPBというわけではなかった。いつも違うアティチュードでやっていたんだ。

1997年にエドゥ・ロボをカヴァーした「Ponteio」、1998年には「Pra Manha」といったシングルがヒットし、一躍クラブ・ジャズやディープ・ハウスのシーンで知られる存在となります。また、その後はウェスト・ロンドン・シーンのブロークンビーツ系アーティストとも交流を深め、ベンベ・セグェがヴォーカリストとして加わり、バグズ・イン・ジ・アティック、フィル・アッシャーなどにリミックスを依頼することもありました。こうしてダ・ラータはクラブ・ミュージック・シーンへもコミットしていきましたね。

PF:“Ponteio”は当初フローラ・プリンをフィーチャーする予定だったんだ。でも、彼女のヴォーカルは実際に僕らのトラックにあまりマッチしなくて、結局それは流れてリリアナ・チャチアンの歌になった。この曲は、そもそもヘヴィーなクラブ・トラックにしようと思って作ったんだ。エレクトロニックなテイストを持ち、ブレイクビートやアフロビートとかをミックスした強烈なトラックさ。ブロークンビーツのムーヴメントが来る前で、ある意味でブロークンビーツの元だったと言えると思うよ。人びとはこのリズムに魅了され、これは何だと探求しはじめたんだけど、それはブラジル北東部に由来するバイヨンのリズムだった。それをファンク・ビートとミックスして、エレクトロニックな要素も入れて、ヘヴィーにプログラミングされたグルーヴにした。あの曲はクラブ用の12インチだったけど、オーソドックスなやり方でブラジル音楽をやるのではなく、何かいつもとは違うことをするという点でも面白い試みだった。
 あの曲がリリースされたとき、フィル・アッシャーと僕は面識がなかったんだけど、彼は“Ponteio”を本当にサポートしてくれたロンドンの数少ないDJのひとりで、それがきっかけで仲良くなり、一緒にDJもやるようになったんだ。それから彼をきっかけに、ウェスト・ロンドン・シーンとも交流がはじまった。ロンドンより、むしろアメリカからすごい反響があったね。フランソワ・ケヴォーキアンはじめ「ボディ&ソウル」のDJたち、そしてたくさんのニューヨークのDJが取り上げてくれた。彼らがこの曲をかけてくれてるんだと思うと、本当に満足だったし、ハッピーだったよ。
 “Pra Manha”のデモは既に1993年か1994年に出来上がっていて、僕はそれをラジオでかけて、何人かがそれを聴いて「この曲最高だよ」って言ってくれた。だけど、最終的な仕上げに取り掛かれるまで4年も待たなければいけなかった。クリスは彼のパートナーのニーナ・ミランダとスモーク・シティというユニットもやっていて、そちらのアルバム制作などで忙しかったんだ。“Pra Manha”もリリアナが歌ったけれど、そもそも彼女はピュアなブラジル音楽の出身で、クラブ・ミュージックに馴染んでいた訳ではなかった。だから、僕とクリスはクラブ向けに作ったトラックと、彼女のヴォーカルをいかに馴染ませるかを苦心したね。

いま話に出たスモーク・シティは2枚のアルバムを発表しましたが、ダ・ラータがMPBとサンバにハウスなどクラブ・ミュージックのエッセンスを加えたものだとすると、スモーク・シティはボサノヴァとダブやトリップホップをミックスしたような音楽性でした。ダ・ラータとスモーク・シティの違いについては、どのように捉えていますか?

PF:僕も当初はスモーク・シティには参加する予定だったんだ。実際、彼らのファースト・アルバムのなかの1曲に、作曲者としてクレジットされていると思う。ただ、僕とニーナの考えに食い違うところもあって、それでスモーク・シティには参加しなかったんだ。スモーク・シティはある意味で、ニーナがやりたかったことだった。そもそもニーナと、彼女の学校の同級生だったプロデューサーのマーク・ブラウンのふたりではじめたユニットで、そこにクリスが加わったんだ。彼らのデビュー曲“Underwater Love”が出たときは、ちょうどトリップホップのサウンドが流行っていて、そうした点であの曲はユニークなブラジリアン・トリップホップ・チューンだった。あの曲が、そのままスモーク・シティのアイデンティティとなった。一方で、当時ダ・ラータのアイデンティティは、ブラジリアンとクラブ・サウンド、そしてMPB。僕たちのなかではこのふたつのユニットをはっきり区別していて、ダ・ラータのファースト・アルバムがピュアなブラジル音楽に向かった理由のひとつに、クリスがスモーク・シティでできなかったことをやりたい、ということもあったんだ。

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ダ・ラータとしてのコンセプトは「ブラジル人のバンドになりたい」というものでは決してなかった。僕たちがやりたかったことは、それをもう少し超えたところにあったんだ。僕たちはブラジルの音楽を愛しているけれど、それは僕らの一部にすぎない。

そのファースト・アルバムが2000年に発表された『Songs From The Tin』です。そして、2003年にはセカンド・アルバム『Serious』を発表します。これらを振り返ってみて、どのようなアルバムだったと言えますか?

PF:ダ・ラータという言葉は“From The Tin”(缶の中から)という意味で、ブラジルで使われる表現なんだけど、英語で言うところの“Wicked”と同じ意味なんだ。何か特別であるという意味だよ。ただ、それは僕たちが傲慢に特別だと言いたいわけではなくて、これが僕らの信じていることだと言いたいんだ。缶のなかから何か特別なものが出てくると信じている。それが『Songs From The Tin』のアルバム・タイトルにもなったわけだけど、制作に入った当時は“Ponteio”を作ったときから、ダ・ラータのフォーカスするところもある意味変わっていた。そのときのダ・ラータなら、自分たちが影響を受けてきた音楽に対してオマージュを捧げることができるだろうと思ったんだ。僕たちの愛するブラジリアン・ミュージックを探索してみたかった。たとえばミルトン・ナシメントとかロー・ボルジェスとかのミナス・サウンドをね。その結果、『Songs From The Tin』はいままでにやったなかで、一番純粋なブラジル音楽と言えるもので、もはやブラジル人が作ったレコードではないかというくらいだった。ダ・ラータというシステムから生み出された、ピュアなブラジル音楽のレコード。
 でも、ダ・ラータとしてのコンセプトは「ブラジル人のバンドになりたい」というものでは決してなかった。僕たちがやりたかったことは、それをもう少し超えたところにあったんだ。僕たちはブラジルの音楽を愛しているけれど、それは僕らの一部にすぎない。『Songs From The Tin』を作り終えた後には、「よし、もう僕たちはこのアルバムを作り終えたから、今度はもう少し枠を広げてみよう。より大きな絵を描こう」ということになったんだ。そうして、『Serious』にはクラブ・ミュージックからの影響が色濃く反映され、よりプログラミング的で、よりエレクトロニックな要素が加わった。

この頃のロンドンには、ネグロカン、ミスター・ヘルマノ、バー・サンバ、ジャジーニョ、シリウスB、ヴィダ・ノヴァなど、ブラジル音楽やラテンを取り入れた多くのユニットがありました。ダ・ラータのメンバーも関わっていたユニットも多いです。当時の状況はいかがでしたか?

PF:それらのバンドはみなお互いに関係があって、リリアナはネグロカンで歌っていたし、アンディラ・フォンというネグロカンのベースはダ・ラータのライヴ・バンドに参加している。ジャジーニョに関しては、ポルトガル人のシンガー、グイダ・デ・パルマもダ・ラータのライヴ・バンドに参加した。だから、ロンドンでこのブラジリアン・サウンドに関わっていた人たちは、みんなお互いのことを知っていたし。ある意味、みんな同じファミリーに属していたんだ。

あなたはDJとして度々来日し、キョート・ジャズ・マッシヴ(KJM)はじめ、日本のアーティストともいろいろな交流があったと思います。スリープ・ウォーカーの吉澤はじめさんが“Golden”にキーボードで参加したりと。こうした交流のなかでとくに印象に残っている思い出はありますか?

PF:初めて日本に来たのは1993か1994年あたりのことだった。そのときに初めてKJMに出会って、クラブ・コラージュでヨシ(沖野好洋)とプレイしたのを覚えている。あの夜の僕たちは本当に楽しんで、お互いをビビらせまくった。彼がレコードをかけて、「まじかよ、何だよこの曲!」と僕は思って。それで、僕がレコードをかけると、今度は彼が「何これ!」って驚いていた。あれは本当にエキサイティングな時間だった。その頃、みんなたくさんのブラジル音楽を探して、いろんなレコードを発掘していたから。当時は日本でもブラジル音楽はほんとうに大きな影響力があったんだ。それは素晴らしいことだったよ。シーン自体が爆発的に盛り上がってきていて、古いブラジル音楽に対する新鮮で大きな興味が湧き上がってきていた。だから、明らかに自然とお互いに似ている所があったし、すごくいい友だちになったよ。ロンドンで僕たちがやっていたことと、日本の何人かがやっていたことには音楽的にも類似性があって、そのふたつが並行していたんだ。

2004年にKJMのコンピに“Ronco Da Cuica”を提供して以来、長らく活動休止状態となりましたが、どのような理由からでしょう?

PF:実は2008年にもパパ・レコーズから「This Is Not Your Job」というナンバーをリリースしているんだ。それはハウス調のものなんだけど、今回のニュー・アルバムでは生ドラムを入れたオーガニックなアレンジにして、改めて“N.Y.J.”というタイトルで収録し直している。“Ronco Da Cuica”も前と少しアレンジが変わっている。そんな感じで断続的にはやっていたけれど、活動がスローダウンしたのはたしかで、それはクリスがニーナとのプロジェクト、ジープで忙しかったからなんだ。ジープはスモーク・シティのあと、クリスがメインで作ったバンドで、2枚のアルバムをリリースした。

ジープもある意味でダ・ラータの別プロジェクトと言えるのかもしれませんが、それによってダ・ラータの音楽性は途切れることなく継承されてきたと言えますか?

PF:いや、そうは思わない。ダ・ラータのアイデンティティは基本的に僕とクリスで、それは彼がニーナとやっていることとは大きく違っている。たしかにミュージシャンやいくつかのアイデアについて交わる部分はあるけれど、基本的にクリスとニーナのプロジェクトは、どれもニーナのソング・ライティングが基となっている。もちろんふたりで作ることもあったけれど。一方、ダ・ラータはクリスのソング・ライティングとその他のメンバー、そして僕のプロダクションがそこに影響するということだから、両者はお互いに異質のものなんだ。

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当時は日本でもブラジル音楽はほんとうに大きな影響力があったんだ。それは素晴らしいことだったよ。シーン自体が爆発的に盛り上がってきていて、古いブラジル音楽に対する新鮮で大きな興味が湧き上がってきていた。


Da Lata
Fabiola

Agogo Records/Pヴァイン

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2011年にクリス・フランクと話し合い、ダ・ラータを再始動することになったそうですが、そこに至るいきさつ、心境について教えて下さい。

PF: 2010年か、あるいは2011年に、クリスとニーナとの関係が終わった。その頃、同じく僕も離婚した。それで、僕たちはただ、ふたりでこれから何をすべきなのか話していたんだ。ちょうど“N.Y.J.”と“Ronco Da Cuica”は、ライセンス自体は僕たちが所有しているもので、この2曲を出発点に新しいアルバムを制作してみようということにしたんだ。幸いにも、僕にはアルバム制作に取り掛かるだけの経済的余裕があった。こうしてダ・ラータはまた歩きはじめたんだけれど、それはある意味で破局してしまった僕たちにとって良いセラピーだったと思うよ。これから僕たちは何をしていくべきなのだろうか。このまま椅子に座って泣きながら、過去の間違ってしまったことについて後悔するのか。それとも、何かポジティヴなことをやってみるのか。ネガティヴな状況において、ポジティヴなものを生み出す努力をしてみるのか。もちろん、経済的余裕とチャンスがあるなら、選択肢はポジティヴなことをやってみるということしかなかった。

そうして、ニュー・アルバム『Fabiora』が完成するのですが、このタイトルにはどういった意味があるのでしょうか?

PF:これには面白い話があるんだ“Fabiola”はいくつかのラテン系の国で女の子につけられる名前なんだ。あるとき本を読んでいて、この名前に言及している部分を見つけて、興味深いなと思った。それで、家に帰って、グーグルで“Fabiola”を調べたら、カトリック教会では聖ファビオラといって、困難な関係や壊れた結婚についての聖人なんだ。このストーリーがカヴァー・アートのコンセプトになったんだ。ルイスというデザーナーが素晴らしい仕事をしてくれたんだけど、僕らふたりのことも表してくれて、それはある意味良かったと思うよ。

ところで、『Fabiora』をリリースする前に、まずシングルでザ・ジャムの“Going Underground”をカヴァーしましたね。どういった意図でこのカヴァーを行ったのでしょう?

PF:バトゥの頃にも、僕はよくジョークでブラジリアン・ヴァージョンの“Going Underground”をやろうって言ってたんだ。僕はこの曲が若い頃からずっと好きだったからね。で、『Fabiora』を作りはじめたとき、「OKやってみよう」ということになった。あっという間にできて、この制作で最初にできた曲だった。だけど、すでに”Ronco Da Cuica”を入れる予定だったから、1枚のアルバムに2曲もカヴァーを入れたくないという理由で、別にシングルとして発表することにした。これは、ある意味でダ・ラータが「また戻ってきたよ」という挨拶だったし、同時に政治的な意味合いも含んでいる。僕たちがこの曲に取り掛かっていた頃、ちょうどロンドン・オリンピックのセレモニーが開催され、そこでブリティッシュ・ポップ・カルチャーを代表する曲のコラージュのひとつとして、“Going Underground”がかかったんだ。でも、“Going Underground”の歌詞は実はかなり反体制的で、反抗的なものなんだ。なんたってジャムだからね。だから僕にとって、オリンピックでこの曲がかかっている光景は何か皮肉的なものとして見えた。英国文化として誇りに思う曲だけれど、そのスタンスとしてはこういう企業的なイベントに対してアンチな姿勢を取っているんだ。だから、この曲のリリースには、そうした意味合いも込められている。
 このアルバムを作りはじめたときに、僕らが感じていたことは、このアルバムにはアティチュードがあるということ。ある意味では、これは僕たちが個人的にいる場所について音楽にしているものなんだ。そして、それと同時に、僕たちが世界の情勢の中で政治的にどのようなスタンスをとっているかということでもある。このアルバムは、戦うといことについて、色々な難しい問題がある状況でも諦めずにやっていくんだ、ということについて歌っているんだ。

リリアナ・チャチアン、オリ・サヴィリなど、過去のメンバーは主にロンドン在住のブラジル系ミュージシャンが多かったと思いますが、今回はメンバーがいろいろ入れ替わっていますね。昔からダ・ラータでやっているトリスタン・バンクスやトニ・エコノミデスほか、ダビデ・ジョヴァニーニ、フィン・ピータース、ジェイソン・ヤード、マイク・パトゥーなど、以前から交流のあるミュージシャンが含まれていますが、同時にいままでとは異なるフィールドの人たちも集められているように思います。また、マイラ・アンドラージはじめ、より国際色豊かなメンバーとなっていますね。

PF:ダ・ラータはバンドではなく、ひとつの家族のようなものだ。核には僕とクリスがいて、ヴィジョンを持ち、方向性をデザインするんだけど、このファミリーはほんとうに大きくて、そしてどんどんと増えていくんだ。いろいろ活動していくなかで、僕たちは同じ音楽観を共有できる仲間を得て、一緒にやってみたい人たちが増えていった。そして、テクノロジーの進化により、たとえ離れた場所にいようとも、共演することが可能になってきた。ダ・ラータの中心は僕とクリス、それから3人目のメンバーとも言えるトニ・エコノミデス。彼はエンジニアで、最終的には僕ら3人がスタジオで曲を完成させた。でも、何人かのアーティスト、たとば“Places We Go”でベースを弾いているマロウ・バーマンはリオに住んでいる。マロウに音源を送って、それに彼のベースを加えて送り返してくる、といった形で制作をおこなった。そうした具合に、イギリス、フランス、アメリカ、カナダ、ブラジルと、いろんな場所のミュージシャンが参加していて、それぞれデータをやり取りして制作していったんだ。
 マイラ・アンドラージはいま、パリをベースに活動しているけど、クリスが知り合いだった。彼女は本当に特別なシンガーだけど、アルバムに参加することに同意してくれて、一緒に出来たことは僕たちにとってとても喜ばしいことだった。で、世界的に一流のシンガーと言える彼女が、僕たちの音楽を気に入ってくれて、実際のところ対価なしで参加してくれている。それは本当に素晴らしいことだよ。彼女に限らず、そうして参加してくれたミュージシャンは多い。
 それから、ジャンディラ・シルヴァもアルバムで重要な核となるシンガーだ。一般的にロンドンでブラジルのシンガーを探すとなると、たいてい心地よいボサノヴァのようなアーティストを探すことが多い。静かでジャジーなボサノヴァ、イージーリスニング的に座って聴くタイプの音楽だよね。でも、ダ・ラータはそれとは大きく違うバンドだから、もっとパワフルなシンガーのジャンディラに参加してもらった。アルバム制作前にジャンディラを交えてライヴをやったことがあって、それで彼女が最高だとわかって、彼女にとってもこのバンドのフロントがうまくはまったと思う。彼女自身も「すごくいい、私はここでいきいきと、好きに自由にできる」という感じだったよ。実は“Deixa”という曲は、デモ段階ではあからさまにブラジル音楽的すぎるということで、アルバムに入れるつもりは無かった。だけど、ジャンディラがやってきて、彼女が歌うのにピッタリだったからアルバムに収録したんだ。それから“Ronco Da Cuica”のヴォーカルも彼女で録り直したね。

ミゲル・アットウッド・ファーガソン、リッチ・メディーナなどの参加も面白いです。ミゲルはアルトゥール・ヴェロカイと共演していますが、ブラジル音楽とはそれほど大きな関わりがあるというわけではありません。彼らとはどのような接点から参加してもらうことになったのですか?

PF:このふたりはどちらもクリスの古い友だちの紹介で出会った。クリスがLAにいたことがあって、それでミゲルに会った。僕自身はミゲルに会ったことはないんだけれど、フェイスブックなんかでしばらくやり取りをしていたね。もちろん彼は信じられないほど素晴らしいストリング・アレンジャーで、彼に関わってもらえたことはとても特別なことだった。リッチ・メディーナはロンドンにしばらくいたから、僕はよく知っていて、何度かDJも一緒にやったこともある。でも、逆にクリスは彼に一度も会ったことがないんだ。“Monkeys And Anvils”という曲はもともとインスト・ナンバーとして作ったものだけど、何かほかの要素を加えても面白いと思って、そこでリッチ・メディーナが何か詩の朗読をしてみたらというアイデアを思いついたんだ。リッチがやってくれたことをとても気に入っているよ。彼は本当に美しいディープなバリトン・ヴォイスを持っていて、まるでギル・スコット・ヘロンのようだからね。彼のやることは素晴らしいし、本当にいいやつだよ。

フォークロアなMPBやアフロ・サンバを軸に、土着的なブラジル音楽の世界を披露したファースト、アフロ・テイストがより顕著となり、そこにウェスト・ロンドン・シーンのクラブ・ミュージック的な要素を融合させたセカンドでしたが、今回のアルバムのテーマやカラーはいかがですか?

PF:ダ・ラータの音楽は、言うなれば「グローバル・ミュージック」であり、それと同時に「ロンドンの音楽」でもある。なぜなら、これらすべてのフレーヴァーやものをロンドンで見つけられる。アフリカのコミュニティ、ブラジルのコミュニティ、すべてを見つけることができるんだ。もはや、そうした異国の音楽は、僕らの世界の一部となっている。これはブラジルの音楽、あれはアフリカの音楽、これはロンドンのクラブ・ミュージック」として区別されて存在しているものではく、すべては同じものの一部なんだ。ある人たちには理解しにくいかかもしれないけれど、僕たちにとってこれらの文化をミックスすることは自然なことなんだよ。
 そして、『Serious』(2003年)でのエレクトロニックでプログラミングを多用したクラブ・ミュージック的アプローチに対し、今回のアルバムはナチュラルでオーガニックなサウンドにしようと思った。出来ることなら、みんなを一斉に集めて、じっくりとリハーサルして、大きなスタジオですべてライヴ・レコーディングして、そこにオーヴァーダブを加えたりしかった。でもそれは予算的に不可能だった。だから、すべてはデジタルのデモからはじめている。そこからプログラミングされたドラム・ビートを、次第に生のドラムに入れ替えてといった形で作っていくんだ。僕たちは古典的なレコーディング・スタイルはとっていないけれど、このアルバムを100%オーガニックなものにしたかったから、最終的なすべての録音素材は生演奏で、一切のプログラミングを使っていない。そのために、こういった録音データの交換という方法をとったんだ。

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“Underground”の歌詞は実はかなり反体制的で、反抗的なものなんだ。なんたってジャムだからね。だから僕にとって、オリンピックでこの曲がかかっている光景は何か皮肉的なものとして見えた。英国文化として誇りに思う曲だけれど、そのスタンスとしてはこういう企業的なイベントに対してアンチな姿勢を取っているんだ。

“Um Amor A Mais”、“N.Y.J”、“Ronco Da Cuica”はアフロ色が強く、それは『Serious』の世界にも通じるものだと思います。一方、“Don’t Give It Up”や“The Shore”ではロックの影響が感じられ、それは“Ronco Da Cuica”をカヴァーしたあたりから顕著になってきた要素だと思います。他では“Places We Go”にはレゲエやダブの要素が感じられ、オーケストレーションが印象的なフォーキー・サンバ“Unknown”、アストル・ピアソラのモダンなタンゴを思わせる“Cambara 41”、ポエトリー・ファンクの“Monkeys And Anvils”など、多彩な要素がミックスされています。こうした音楽的要素は、あなたたちが聴いたりプレイしてきたさまざまな音楽から、自然と導かれたものだと思いますか?

PF:最初、こうした多様な曲をアルバムとしてまとめて、意味のあるものにするのは不可能だと感じた。文字通りかなり幅の広いものだったからね。でも、オーガニックであることを追求し、プロダクションも極めてダイレクトでシンプルにしていけば、これらの違うスタイルの曲をお互いにうまく結び付けられると思った。いくつかの曲には妙な展開を持つものがあって、たとえば“The Shore”には当初、少しプログラムされた音が混じっていた。そのパートが曲自体を複雑なものにしていると僕は感じたから、その部分を丸ごと捨ててしまうように提案したんだ。その代わりに、もっとアコースティック・ギターも入れてみたらどうかと。エレン・マキルウェインのサウンドを思い浮かべてみたんだ。
 “Don’t Give It Up”に関しては、確かにロックの要素がある。でも、僕にとって大事だったのはあの曲の歌詞が持つメッセージなんだ。“Don’t Give It Up”というタイトルも意図的につけた。人生においてのメッセージであるし、それは音楽についてもだ。音楽をあきらめないということなんだ。曲調もそのメッセージを体現している。ただ、アメリカかイギリス人の歌手に歌わせたら、よりロックな曲になっただろうし、そうしたらアルバムの他の曲から浮いてしまったと思う。でも、実際にこの曲を歌ったのはブラジル人のルイス・ガブリエル・ロペスなんだ。彼は素晴らしい人で、英語で歌っている。それにブラジルのMCも入ってる。ルイスはグラヴィオラというブラジルのバンドのシンガーで、もうひとつティア・デュアでも歌っている。といって、もうひとつがグラヴィオラだよ。彼らのアルバムは最高なんだ。彼らはミナス・ジェライスの出身で、新しい世代のミュージシャンなんだ。言うなれば、ルイスは新世代のミルトン・ナシメントやロー・ボルジェスという感じだよ。実際に彼らは“Don’t Give It Up”を本当に気に入ってくれている。ブラジル人もロックが好きだし、あの曲も彼らにとって通じるところがあったのだと思う。あの曲はたしかにロックの要素が強いけど、ボンゴやマラッカなどを使って、ラテンやブラジルのフィーリングも入っているからね。アントニオ・カルロス&ジョカフィのようなブラジルのファンキー・ロック・サウンドに似ているんだ。でも、それらの内どの要素も突出したものではない点がダ・ラータのサウンドだよ。
 “Cambara 41”におけるタンゴの要素、それもたしかだ。ただ、これはアルバム制作の後半に作ったもので、その時点では流れるようで、メロウで、アコースティックなテイストの曲が入ってなかったから、それが欲しいと思って作ったものなんだ。メロウで、アコースティックな曲が欲しいと思ってね。まずクリスがギターで弾いて作った曲なんだけど、そのギターを録音して、リズムを下げてみた。そうしたらクリスがマルセロを呼ぼうと言いだしたんだ。彼はブラジルのとんでもないアコーディオン・プレーヤーで、『Serious』にも参加している。僕もアコーディオンを加えたら美しい曲になると思って、マルセロに曲を送ったんだ。それでびっくりしたんだけど、彼から戻ってきた曲には口笛も入ってたんだ。彼は口笛も入れて、すごくスイートで良かった。彼はブラジル国外ではアコーディオン奏者として有名だけど、ブラジルでもレコーディング・アーティストとして有名なんだ。

『Fabiora』はオーソドックスなボサノヴァ、サンバのアルバムではなく、ブラジル音楽を核にさまざまな音楽が融合したものと言えます。その核となるブラジル音楽で、今回特に意識したものは何かありますか? 例えばトロピカリズモ、特にトン・ゼーなどからの影響を感じたりするのですが。

PF:うん、君がトロピカリズモに言及したのはとても興味深いね。あのムーヴメントも、とても政治的に触発されたものだった。その点はこのアルバムにも通じているし、アートワークもそうしたフィーリングを持っていると思う。ブラジルの精神性やトロピカリズモのスタイルは、その後とてもポピュラーになっただろ? でも、僕らはそれと同じことをしようとしているわけではないんだ。他の曲には全く違うテイストのものもある。だから、『Fabiola』は具体的にトロピカリズモの音楽をなぞっているわけではないけれど、ある意味でそのアティチュードやフィーリングが存在しているのかもしれないね。トン・ゼーは好きなアーティストだし、彼の音楽性を評価するけれど、このアルバムにとくに影響を与えたわけではない。彼以外のアーティストについても同じさ。僕たちはどの曲も、最終的にはダ・ラータの音楽として聴こえるように作っているんだ。

現在のブラジル音楽にも、例えばルーカス・サンタナ、M. タカラ3など新しいアーティストが登場しています。そうした状況について、どう思いますか?

PF:最近ブラジリアン・ミュージックの新しい波がきていて、僕にとってはまるでルネッサンスなんだ。なぜならブラジルのアーティストがいまやろうとしていることは、ある意味僕たちがいままでずっとやってきたことに似ているからね。彼らは自分たちの伝統に目を向けて、その上に音楽を築いているんだけど、それがただのコピーではなくて、新しくてオリジナルな要素を加えようとしている。アフロビートとかの違うフレーヴァーを入れているんだ。
 たとえばグラヴィオラのようなバンドは、その最たる例だね。振り返ってみると、少し前までのブラジルの若いアーティストには、ブラジルの伝統的な要素に対して真っ向から反対していた者もいた。サンバやボサノヴァ、あるいはMPB的になるのを極力避けているようだった。もっとモダンでエレクトロニックでというようにね。目新しさばかりを負い、自分たちのルーツにあるものを顧みようとはしなかった。しかし、いまの若い世代は過去を受け入れて、同時にいま起こっていることも取り入れているんだ。ブラジルは国としても上昇傾向にあるし、いろんなことが起こっている。だから、ブラジル音楽にとっては良い時期なんじゃないかな。ルーカス・サンタナは、ブラジル音楽という過去に存在したカテゴリーに収まるものではなく、新しくて何か違うものへと進化しているんだと思う。彼以外にも、そうした若いアーティストがいろいろ出ていることがとても喜ばしいことだよ。

ライヴ活動や今後の展開について教えて下さい。

PF:ライヴ・バンドとしては、昨年の夏にディングウォールズでギグをやったし、テムズ川沿いのサマセット・ハウスでもやった。僕自身はバンドではプレイしないしけど、いまのバンド・メンバーは驚異的なんだ。みんなこのアルバムでもフィーチャーされている人たちだけど、彼らは幾つものバンドで経験を積んできている。ジャンディラの存在、あるいはリズム・セクションの存在が大きいね。僕たちはふたりのドラマーがいるんだけど、とくにダビデ・ジョヴァニーニと、それからベースのアーニー・マッコーン。ダビデとアーニーが演奏し始めた途端に、パッと、何かが起こる。ケミストリーというべきマジックがあるんだよ。自発的でとても美しいものだよ。バンドというのは、最初の頃はみんなアレンジなどを正確に演奏しようとしてナーバスなんだけど、僕たちはもうその緊張を解いてできる段階にあるんだ。だから、もうレコードにある通りにやらなくていいし、ステージ上で自発的に音楽が生まれてくる。それに人びとが応えれば、曲をやるたびに新しいことが起こる。
 今後はいろいろ外に出て、たくさんライヴをやりたいと思ってるけど、来年はブラジルでできたらいいな。ちょうどサッカーのワールド・カップもあるしね。実際にそういう話をしているところなんだ。まだ何も決まってないけど、可能性はある。グラヴィオラは僕たちのいい友人だし、彼らとやれたらいいなと思うよ。日本にだって行ってやりたいと思っていて、取り組んでいるところさ。今回のダ・ラータは、いままでより数段レベルが上なんだ。ミュージシャンの能力とか、いろいろな点でね。

日本のファンに向けてメッセージをお願いします。

PF:最後のアルバムを作ってから10年が経ったけれど、日本にも過去の2作で僕たちのことを覚えていてくれる人がいることを願うよ。『Fabiora』も日本で人気になった『Songs From The Tin』のように受け入れてもらえるといいな。それに新しいファンにも出会いたいね。そうした新しいファンは、『Fabiora』を聴いて僕らの前のアルバムにも興味を持ってくれるかもしれない。僕たちは日本が好きだし、この国の音楽文化に対しても深い愛情と尊敬の念を抱いているんだ。なぜなら、日本の人たちは音楽を深く理解して愛しているからね。だから、日本で僕たちのレコードをリリースできることは特別なことだし、みんなに気に入ってもらえたらいいよ。

interview with DJ Rashad - ele-king

E王
DJ Rashad
Double Cup

Hyperdub/ビート

Tower iTunes

 ジュークは面白いわ。いまこの音楽を聴かなくて何を聴く。このエネルギー、この速度、このサンプリング、この思い切りの良さ、この音の断片、このダイナミズム、鬼気迫るものがもあって、同時に音楽的。この最新のアーバン・ミュージックの好戦的な動きは、社会的なコンテクストにおいても興味深い。密集し、混線した情報の合間をしたたかにすり抜けていくように、連中はコンクリートの上で激しく、素速く、軽快にカラダを動かす。細かく切り刻まれ、ひどく加工され、そしてルーピングされ醸成されるジュークは、激しい足の動き=フットワークをうながす。それは現代のアーバン・リアリティの急進的ないち形態として、コンクリート上とインターネット上とを行き来する、さながら新しい生物ように増殖し、動きまわっている。
 今年は、DJラシャドの12インチ2枚組の「ローリンEP」と「I don't Give A Fuck」をはじめ、RP・ブー『Legacy』、K. Locke『The Abstract View』、日本でも〈BOOTY TUNE〉をはじめ、ペイズリー・パークスやフードマン(最高のネーミング)などが頭角をあらわしている。この音楽はもはやシカゴだけのものではない。
 それでも敢えて言いましょう。2013年はDJラシャドの年だった。今年は、ヨーロッパで、アメリカ国内の子供たちのあいだでも、日本でも、ジュークがブレイクした。そして、その歴史が何たるかを書き起こすときが来たかのように、ベテラン・フットワークDJのRP・ブーのアルバムが発表されたわけだが、いよいよラシャドは、いま、ジューク・フィーヴァーの中心に躍り出ている……と言えよう。え? 「I don't Give A Fuck(知ったこっちゃねぇよ)」だって?
 それまでデータのみで4枚のアルバムを発表しているラシャドだが、彼にとって最初のフィジカル・リリースとなる『ダブル・カップ』がつい先日〈ハイパーダブ〉からリリースされた。アジソン・グルーヴも参加し、ヒップホップからの影響も活かしたその作品は、フットワーク/ジュークに音楽的な幅を持たせながら、それがどこから来ている音楽なのかを再度定義しているようだ。



シカゴはハウス・ミュージック発祥の地だ。俺はそう聞かされている。そして、俺たちの耳に入ってくるアンダーグラウンド・ダンス・ミュージックというのはシカゴ・ハウスしかない。だから、そういうシーンが根強くあるんだと思う。

最近は、シカゴよりもヨーロッパでのプレイのほうが多いんですか?

DJラシャド:そのとおり。

最近DJをやったのはどこですか?

DJラシャド:最近ショーをしたのはニューヨーク。本当はロンドンでツアーをする予定だったんだけど、事故のせいでUSにとどまることになった。車で事故にあったんだ。だから、再び120%でやれるまで、しばらくのあいだチルモードでいる。

さて、あなたの音楽の主成分には、ハウスとヒップホップがありますよね。ヒップホップとの出会い、シカゴ・ハウスとの出会いについてそれぞれお話いただけますか?

DJラシャド:ヒップホップもハウスも、ラジオでかかっていて、子どもの頃から聴いていた音楽だ。子どもの頃から常に俺の周りにあった。

ちなみにヒップホップ/R&Bにおけるあなたのヒーローは?

DJラシャド:ヒーローか……誰かな。おそらくNas、Tribe Called Quest、Twisted、Mobb Deep、Three Six Mafia、Too Short、Jay-Z、Kanye West……マジでたくさんいるよ。

どんな子供時代を過ごしましたか?

DJラシャド:子供時代? 普通の子供時代だったよ(笑)。そう、普通の子供時代だった。(うしろのメンバー爆笑)

通訳:―後ろで笑い声がしますが……

DJラシャド:ああ、いまスタジオにいるんだ。SpinnとEarlがいる。他の人と変わらない子供時代だったよ。子供のころから音楽が好きだった。6年生から中2くらいまでドラムをやっていたし。その後はDJをするようになった。

音楽以外で好きになったことって何ですか?

DJラシャド:食べ物だね(笑)!

通訳:良いですね、どんな食べ物が特にお好きですか?

DJラシャド:特に好きなものはないな。上手く調理されていればそれでいい。

通訳:ではお寿司はいかがでしょう?

DJラシャド:寿司は食べたことはあるよ。嫌いじゃなかったけど、大好きな食べ物のトップには入ってないな、少なくとも今のところ。

初めてクラブに行ったのはいつですか? それは誰のパーティでしたか?

DJラシャド:初めて行ったクラブは〈Jubilation(ジュビレーション)〉という名前のティーン向けのクラブ。クラブの隣が、レーザータッグ(真っ暗の部屋で遊ぶシューティング・ゲーム)の施設だったから、レーザータッグの客として入って、クラブの方にも忍び込んでクラブに行っていた。それが初めてのクラブだ。

DJをはじめたきっかけについて教えてください。

DJラシャド:最初はドラムをやっていたけど、それに飽きて、ドラムでやるべきことはやったと感じていた。当時、ラジオで聴いていた音楽に憧れていて、自分もそういうのができるんじゃないかと思った。ラジオでかかっているように自分もできるかと最初は思ったんだけど、DJをはじめてみると実際は全然違うんだと後でわかった。DJは本当にゼロからはじめた。レコードを買って、自分の部屋でいろいろやって練習した。友だちの前でDJしたりして……そんな感じさ。そこから、さらに上達したいと思って、より真剣に取り組むようになった。

曲作りはどのように学んだのでしょう?

DJラシャド:どうやって学んだかって? えーと、わかんないけど、とにかく俺とSpinnで金を貯めてドラムマシンを買い、当時、他の人たちが作っていたような音楽を真似して作ってみた。自己流だよ。いろいろ、自分たちで試してみて、それが上手くいったりいかなかったり。俺が子供のころ培ったドラムの才能以外(←これはジョークらしいです)は、一からはじめたんだよ。

通訳:ではドラムの背景があったのは良かったですね。

DJラシャド:たいした背景じゃなかったけどな(笑)。

通訳:よい基礎にはなったんじゃないですか?

DJラシャド:ドラムを続けていたときはそれなりに楽しかったよ。

DJスピンは子供の頃からの友だち?

DJラシャド:そう。奴は俺にとって弟みたいなもんだ。子供のころから一緒に育って、いまでも友だちだ。いまでも友だちなんてすごいと思うけど、本当にそうなんだ。

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デトロイトは俺にとって第二の故郷みたいなもんだ。デトロイトの踊りは、シカゴのとは少し違うけど、動きはほとんど一緒なんだ。だからデトロイトでのシーンとシカゴのシーンはとても似ているのがわかった。クールだったよ。バトルのパーティも良い感じだったらしい。

E王
DJ Rashad
Double Cup

Hyperdub/ビート

Tower iTunes

シカゴで、こうしたアンダーグラウンド・ダンス・ミュージックが途絶えることなく継続され、発展しているのは何故でしょう?

DJラシャド:俺がシカゴのミュージック・シーンを見てきて思うことは、シカゴはハウス・ミュージック発祥の地だ。俺はそう聞かされている。そして、俺たちの耳に入ってくるアンダーグラウンド・ダンス・ミュージックというのはシカゴ・ハウスしかない。だから、そういうシーンが根強くあるんだと思う。アンダーグラウンド・ダンス・ミュージックの基礎にシカゴ・ハウスがあるから、自然とその文化が発展しているのだと思う。

どのような経緯で〈Juke Trax〉からリリースすることになったのでしょう?

DJラシャド:2003年か2004年に、DJ ClentがDJ Godfatherに呼ばれてパーティを一緒にやった。その際、Godfatherは俺たちの活動に興味を持ってくれた。ちょうどその時、〈Dance Mania〉が下火になってきていたからジュークにとって新たなアウトレットが必要な状況だった。だからGodfatherは、Juke専用のレーベルを立ち上げた。Godfatherは当時、もう一つデトロイトのレーベルで〈Databass〉というのを持っていたんだけど、そのレーベルは主にゲットー・テックを扱っていた。ゲットー・テックとは別ものとして、ジュークをリリースできるようにレーベルを立ち上げた。それが始まりだ。

すでに多くの作品を出していますが、どんな感じで曲を作っているのでしょう? 自宅にスタジオがあって、集中して、がーっと作る感じですか? それとも、ぱっとひらめいて、ぱっと作る感じでしょうか?

DJラシャド:自宅にスタジオがあってそこでも作るし、Earlみたいな友達のところで作るときもある。インスピレーションを受けるのは、ツアーしている時と、仲間とスタジオにいる時の両方。俺にとってのモチベーションは今のところそのふたつと、新しい音楽を聴いているときだけだ。ツアーしている最中、新しいアーティストの音楽を聴く。それから仲間といる時もアイデアが湧く。

通訳:すごいですね。あなたは、ものすごくたくさんのトラックを短期間でリリースすることで知られていますが。

DJラシャド:ああ、昔はそのことで知られていたけど、最近はツアーなどで忙しくなったから、少しペースダウンしたよ。時間が余るほどあった時は、音楽をたくさん作っていたけど、最近はペースを少し落として、修正を加えることをしはじめたりして、いままで作ってきたものよりも、さらに質の良いものを作るようにしている。いままで学んできたものを活かしてよりプロフェッショナルなものを作るようにしている。

ジューク/フットワークの歴史について教えてください。あなたから見て、それはどのようにはじまったものなのでしょか? ダンスを競い合うバトルの音楽なわけですよね?

DJラシャド:もちろんダンスバトルの音楽なんだけど、ジュークはパーティ・ミュージックでもあった。ゲットー・ハウス・ミュージックがジュークという言葉に変わったのはおそらく1999年だと思う。DJ Gant ManとDJ Ponchoが「Juke It」というトラックをリリースした。それがフットワーク/ゲットー・ハウスがジュークという名前になったはじまり。フットワークは当時トラックスと呼ばれていた。ジュークが進展していたと同時にフットワークも存在していたが、その時はフットワークと呼ばれていなかった。フットワークという呼び名は2009年に〈Planet Mu〉が「Bangs & Works」をリリースしたときからだと思う。

通訳:フットワークというのも音楽の種類なのでしょうか?それとも、ダンスのことなんでしょうか?

いまではフットワークは音楽の種類であり、ダンスでもある。昔はジュークとフットワークは少し違う種類の音楽を指していて──どちらもBPM160には変わりないんだが──ジュークのほうがコマーシャル、つまりラジオ・フレンドリー、DJフレンドリーで、トラックス(フットワーク)はヘヴィーでクレイジーなベースが入っている曲のことを言った。

基本、アフリカ系のコミュニティで盛んなんですよね?

DJラシャド:まさにその通りだ。

デトロイトのキッズたちともダンスと音で競い合っていたという話も聞いたことがあります。どうなんですか?

DJラシャド:ああ、数年前、シカゴ対デトロイトのパーティが何度かあったと聞いた。デトロイトは結局、シカゴに来なかったが、シカゴからはバスを出してデトロイトのキッズとバトルしに行ったんだ。デトロイトでも、シカゴに似たダンスがあってジット(Jit)と呼ばれていた。だからジュークVSジットという感じでパーティが行われていた。俺は一度も行ったことがなかったけど、俺の仲間たちは行っていて、クールだったと教えてくれた。
 俺はデトロイトにDJしに行ったことがあるけど、デトロイトは俺にとって第二の故郷みたいなもんだ。デトロイトの踊りは、シカゴのとは少し違うけど、動きはほとんど一緒なんだ。だからデトロイトでのシーンとシカゴのシーンはとても似ているのがわかった。クールだったよ。バトルのパーティも良い感じだったらしい。どっちが勝ったのかは知らない。シカゴが勝ったのかわからない。勝っていたらいいんだけど。

あなたがシーンに関わるようになった経緯も教えてください。

DJラシャド:〈Dance Mania〉のキャリアが閉ざされたときに、シーンに関わりはじめたのだと思う。俺とSpinnは〈Dance Mania〉からスプリットシングルを出した。Spinnのは「Motherfucker」という曲で、俺のは「Child Abuse」という曲だった(笑)。だが、その後〈Dance Mania〉は営業を停止してしまった。だから俺たちはTraxman、JAMMAN GERALD、DJ Funkといった人たちの周りで活動していた。当時ジュークをやっていて残ったのは俺とSpinn、RP、DJ Clent、Deeonくらいだった。

あなた自身も踊ってましたか?

DJラシャド:DJになってから踊りはやめたよ。周りの奴らは、ダンサー兼DJというのを真面目に取ってくれなかった。ただ、パーティにタダで入って踊って遊びたいんだろうと思われた。だからダンスのほうはあきらめたよ。俺はDJできないと思われていた。だからダンスバトルやフットワークでやれるべきことをやって、ある程度目標を達成できたと感じた時点で、音楽により集中しようと決めた。

通訳:では初めはダンサーだったんですね。

DJラシャド:ダンサーだったけど、DJもしていたよ。

BPMが160~170であることは、あなたにとってやはり重要なのでしょうか?

DJラシャド:いまはそうでもない。昔は、ダンサーとしては、たしかに重要だった。そういう人たちの為に音楽をチョイスするDJとしては重要だった。ジュークは160~170であるべきだと思う。170までいくとドラムンベースになるけどBPMが160~170であることはジュークの基礎だからとても重要だと思う。

通訳:でも最近、あなた個人においてはBPMの幅は広がってきているということでしょうか?

DJラシャド:ああ、個人的にはもちろんそう。俺たちはTeklifeとして、自分達の可能性に挑んで、新しいことをやって、他にどんなことができるか、色々な挑戦をしている。それは俺たちがいつもやってきたことだ。そして何よりも楽しむこと。同じことを毎回やるより、少し違ったことをやってみる。

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ジューク/フットワークに対するそれぞれの国の解釈があって、国独自のアレンジを加えている。俺たちのコピーじゃなくて、何かオリジナルなものを作っているのには尊敬する。外国の人がジューク/フットワークを受け入れているのを見たり聞いたりするのは嬉しい。

E王
DJ Rashad
Double Cup

Hyperdub/ビート

Tower iTunes

ジューク/フットワークやあなたの音楽には、いろんな要素がありますが、殺気だった感覚もあるように感じます。それはダンスバトルの音楽だからなのか、それともあなたの環境を反映しているものなのでしょうか?

DJラシャド:両方だと思う。ダンサーが踊っているときの表現やエネルギーを見てもそういう感じが伝わってくると思うし、その感じは音楽の一部でもある。だから音楽の一部でもあるし、ダンスの動きが反映されている部分もある。

欧州や日本でも、ジューク/フットワークは広がっています。いろんな国でそれぞれの解釈のジューク/フットワークが生まれている現状をどのように思いますか?

DJラシャド:最高だと思うよ。俺たちがやっていることと同じことや真似ごとをしているのではなく、ジューク/フットワークに対するそれぞれの国の解釈があって、国独自のアレンジを加えている。俺たちのコピーじゃなくて、何かオリジナルなものを作っているのには尊敬する。外国の人がジューク/フットワークを受け入れているのを見たり聞いたりするのは嬉しい。ジューク/フットワークがそこまで広がって誇りに思うし、自分がそのシーンの人間のひとりだということを幸福に思う。

アディゾン・グルーヴと一緒にやっていますが、UKでのジューク人気はあなたにとって何をもたらしたのでしょう?

DJラシャド:UKに初めて行ったときから、UKの人たちは俺たちに好意を示してくれた。ジュークは、スピードやベースのサウンドがジャングルと似ているからUKの人たちにとってジュークは親しみやすかったようだ。ジャングルを聴くと、フットワークと似ていることがよくわかる。UKに行ったことで俺たちはジャングルについて学ぶことができた。ジャングルが発展したのも90年代初期から90年代後期で、ゲットー・ハウスがUSで発展したのと同じ時期に、UKで発展していた。俺たちは当時、ジャングルなんて聴いたこともなかった。だから驚いた。UKに行ったとき、当時UKではジャングルという音楽が流行っていたのを知って、俺たちの音楽とコラボするのは自然なことだと思った。

ジャングルからの影響はありますか?

DJラシャド:いまはジャングルの影響はある。何年か前にジャングルを聴いたときはピンとこなかった。トランスみたいなもんだと思っていた。昔、レイヴとかに行っていたときにジャングルがかかっていたエリアもあったけど、あんまり気に留めていなかった。だけど、UKに行ってジャングルについてちゃんと教わってから、俺たちの作っている音楽とどれほど共通しているかということがわかったから、今後はジャングルの要素も取り入れていこうと思った。俺たちもジャングルに対しては好意を持っている。同じ方向を行っているアンダーグランドな音楽だからね。

昨年アルバムを出した〈Lit City Trax〉はあなたのレーベルですか?

DJラシャド:いや、あれはJ Kushのレーベルで彼が経営している。俺とSpinnは当時〈Lit City Trax〉に所属していた。

作品を発表するのにダウンロードばかりだったのは、どんな理由からですか?

DJラシャド:最近はCDやレコードを刷るのも大変だから。ダウンロードのほうが簡単だし、ダウンロードする側にとっても早く音楽が手に入る。メインの曲は、最近のEPや今回のアルバムみたいにしてリリースしたいと思うけど、とにかくダウンロードのほうが簡単だし便利だと思う。時代は変わり、人びとはレコードを買うより音楽データをダウンロードしている。時代を先取りしてその動きに合わせているだけさ。

あのブリリアントな「Rollin'」に収録された曲を『Double Cup』に入れなかったのは何故でしょう?

DJラシャド:去年のアルバム『Teklife Vol. 1』や、〈Hyperdub〉からいままでリリースしたEPとは違ったものをリリースしたいと思ったから。Teklifeのみんな、そして俺やSpinnがやっている音楽のまったく違う一面を見せたかった。フットワークだけではなくて、他の音楽も作れるし、他の音楽ジャンルに対して好意を示し、それらを自分たちの音楽に要素として取り入れたかった。もちろんフットワーク以外の音楽も好きだからね。コード9は、アルバムを作るにあたって、俺の好きなようにしていいと自由にさせてくれた。

『Double Cup』というタイトルの意味は?

DJラシャド:『Double Cup』はコデインをスプライトで割ったドリンクの名前で、発砲スチロールのコップに入っている。なぜ『Double Cup』というタイトルにしたのかというと、前回のアルバムがハイテンションでスピーディーな感じだったのに対し、今回のアルバムはスムースでスロー、そしてソウルフルだから。TeklifeのChopped & Screw版という感じ。それがテーマだ。

ヒップホップ色が際立っているように感じましたが、意識したんでしょうか?

DJラシャド:ああ。いままでアルバムでヒップホップ色を入れたことがあまりなかった。だから今回はジャングルもそうだけど、ヒップホップを使って新しいことをやってみようと思った。他にもアシッド・ハウスといった自分が好きなジャンルにも触れてみようと思った。今回のアルバムでは、自分たちが好きなジャンルはいろいろ触れてみようと思った。

選曲や曲順はあなたが決めたんでしょうか?

DJラシャド:今回、曲順を決めたのはコード9だ。選曲はコード9と俺たちで決めた。

この先、自分の音楽をどのようにしていきたいとか、展望はありますか?

DJラシャド:いまやっていること以外はラップ関連の音楽を作っていきたい。それからジャングル。もちろんこの先もフットワークは作っていくけど、自分たちが生み出せる音楽なら何でもいいと思っている。今はとにかく楽しんで音楽を作っているよ。この体験すべてを満喫している。

DJをやっていなかったら、いまごろ何をしていたと思いますか?

DJラシャド:正直言って俺自身でさえわからない(笑)。音楽がなかったらいまごろどこで何してるかまったくわからない。安全でクールな場所にいてくれたらいいと思うけど。

来年はいよいよ初来日がありますね。日本に関してはどんなイメージを持っていますか?

DJラシャド:日本に行くのが本当に待ち遠しいよ! 日本のヴィデオをたくさん見たし、TraxmanとダンサーのA.G.が日本に行ったことがあって、彼らからいろいろ日本のことを聞いた。俺は元々2年前に日本に行く予定だったんだけど、キャンセルになってしまった。だから、日本に行って日本を体験するのが本当に待ち遠しいんだ。日本のジューク・シーンはマジで最高だから、はやく日本に行ってそのシーンを実際に体験して、シーンのみんなに会ってみたい。すごく楽しみだよ!

★来年1月、DJラシャド、初来日決定!!

 来年1月末開催の[ハイパーダブ10周年スペシャル・パーティ]にて、DJラシャドの来日が決定しました。他の出演者は、最高のアルバムを出したばかりのローレル・ヘイロー、UKからはアイコニカ、レーベルの総帥コード9。これは楽しみ!

[ハイパーダブ10周年スペシャル・パーティ]
featuring:
Kode9 言わずと知れたハイパーダブ主催者、UKベースミュージック界の中心人物!
DJ Rashad 実力・人気ともにJuke界No.1! Jukeシーンの境界を大幅に拡大させるであろう待望の傑作アルバムは10月19日に投下!
Laurel Halo 近年盛り上がりを見せるエレクトリック女子アーティストの中でももっとも注目を集める逸材! 昨年リリースされ、会田誠のアートワークでも話題となった前作から1年あまり、衝撃の新作が明日発売!
Ikonika 初期シカゴ・ハウスへの偏愛そして新しいディスコ・ハウス世代との共振するアルバムを8月にリリースしたばかりの型破りな天才女性プロデューサー!

2014/1/31(FRI) 代官山UNIT
INFO: BEATINK 03-5768-1277[ https://wwww.beatink.com ]
2014/2/1(SAT) 名古屋CLUB MAGO
INFO: CLUB MAGO 052-243-1818[ https://club-mago.co.jp ]
2014/2/2 (SUN) 金沢MANIER
INFO: MANIER 076-263-3913[ https://www.manier.co.jp ]
2014/2/3 (MON) 大阪CONPASS
INFO: CONPASS 06-6243-1666[ https://conpass.jp ]


2014/1/31 代官山UNIT公演詳細
OPEN/START 23:00
TICKET INFO : 前売 3,800YEN / 当日 4,500YEN
※20歳未満入場不可。入場時にIDチェック有り。必ず写真付き身分証をご持参ください。You must be 20 and over with photo ID.

◇ 早割チケット限定販売!(30枚限定) : 3,300YEN ◇
11/2(土)より BEATINK OFFICIAL SHOP“beatkart”(shop.beatink.com)にて※売切しだい販売終了。

一般販売 : 11/02(土)より
BEATINK (shop.beatink.com) / ローソンチケット - https://l-tike.com
イープラス e+ (先着先行: 4/22Mon~4/24Wed) - https://eplus.jp
tixee (スマートフォン用eチケット) - https://tixee.tv/event/

主催:シブヤテレビジョン / INFO:BEATINK 03-5768-1277 (www.beatink.com

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