Home > News > Albino Sound & Mars89 - ──東京某所で培養された実験の成果、注目の共作が〈Nocturnal Technology〉からリリース
昨年はシーカーズインターナショナルとの共作を送り出したMars89率いるレーベルの〈Nocturnal Technology〉。その最新作もまた強力なコラボ・アルバムとなっている。2016年にファースト・アルバム『Cloud Sports』を発表、現在はパーティ《KTSNS 解体新書》のディレクションも手がけるテクノ・プロデューサーのAlbino Soundと、レーベル・ボスのMars89が手を組んだら、いったいどんなサウンドが生み出されるのか? なんでも、1月9日にリリースされるその新作『ORGANS(臓器、器官)』は、マーク・フィッシャーも著書でとりあげていた特異な映画監督、デイヴィッド・クローネンバーグからインスパイアされているという。ふたりによる新たな試みに注目したい。
Albino SoundとMars89が、新アルバム『ORGANS』で強力なタッグをくんだ
東京を拠点に活躍する2人のプロデューサーが紡ぎ出す、クローネンバーグにインスパイアされたサウンドノベル
Artist: Albino Sound & Mars89
Album Title: ORGANS
Label: Nocturnal Technology
Release Date: January 9, 2025
Format: Cassette, Digital
Albino Sound & Mars89 / ORGANS
「東京某所、地下の研究所にて。二人の男が巨大なケーブルや機械と格闘しながら、カビとわずかなタバコの匂いが染み付いた部屋の空気を揺らしている。有機物とも無機物ともつかない臓器が散乱するフロアに立って、彼らは黙々と目の前の機械を操作し続けていた。どんな怪物が生まれるかも知らずに。」
『ORGANS』はNocturnal Technologyからの7作品目のリリースで、レーベルのボスMars89と、同じく東京拠点のレーベル解体新書のAlbino Soundがタッグを組んで制作した、クローネンバーグからインスパイアされたボディホラーフェティシズムのアルバムである。
ハードウェアの実験室を構築し、『ヘルレイザー』や『リヴァイアサン』などのVHS時代のブロックバスターホラー映画から大量にサンプルを集めたふたりは、EBM、Techno、Dubのフェーズを経て悪夢の絶頂の物語を作り上げた。
『ORGANS』は、ふたりがElektronのAnalog Rhythm、Soma LaboratoryのPulsar 23、KorgのVolca Bassなどの機材にかじりつき、MoogのMother32やさまざまなモジュラーシンセなどのハードウェアに向き合った1回のスタジオセッションから生まれた。その後、何度もやり取りを重ねる中で「培養する」ようにトラック数は増え、アルバム全体が仕上がっていった。
アルバムのオープニングを飾る『Ultimately Brain』は、実験精神のざわめきを感じさせるEBMスラッシャーで、アルバム全体に横たわる暗い夜のイメージや押し寄せるエネルギーの流れを想起させる。『Psychiatric Deviance』は、実験途中の科学的プロセスや液体が滴る試験管を思わせる、憂鬱なDubの実験室になっている。
NS3 Dub Sirenが全編で鳴り響く『Somebody 』は、リスナーをトランス状態に誘う曲である。そして『Three Drills』はアルバムの中で最もドライヴ感があり、ベルリンの早朝のダンスフロアにぴったりだ。『Deception』では、煌めくハイハットとパーカッションがMoogのシンセラインを中心に展開し、ディジュリドゥのようなサウンドとともにクライマックスを迎え、アルバム『ORGANS』は、絶頂のまま幕を閉じる。
『ORGANS』はデジタルとカセットテープでリリースされる。カセットテープはリサイクルプラスチックから作られており、環境への過度な負担をかけることなく音楽を物理的に所有する、持続可能な方法となっている。
■Comments
Albino Sound
「地下セッションにて生成された細胞はそれぞれのエディット、培養を経て全く異なる生物として変化(進化)を遂げた。私はこういったプロセスを錬金術と呼び自身のプロダクションで幾度となく試してきたが、Mars89という共同実験者によって更に加速した結果を得る事が出来た。それぞれに個性的なキャラクターを持つこのキメラ達の声に是非耳を傾けて欲しい。」
Mars89
「地下室での実験から生まれ、指数関数的に増殖したマテリアルは、切り刻まれ、歪められ、非線形なタイムラインにレイアウトされた。はたして創造された怪物/キメラ、あるいはサイボーグは、磁気テープの中に封印され、解放の時を待っている。」
■Label Info
Nocturnal Technology
2024年4月に発足したノクターナル・テクノロジーは、80年代のインダストリアル、ニューウェーブのアティテュードにインスパイアされ、現代のオーディエンス向けにアップデートされたMar89のレーベルである。レーベル名のNocturnal Technology(夜行性の技術)は、音楽のテクノロジーが夜間に活気づくことを意味している。ロゴ(デザインとタイポグラフィはMars89)は、音波を透視し、夜に活動する動物へのオマージュとして、コウモリが飛ぶ姿を描いており、レーベルの「夜行性」のコンセプトを体現している。
同レーベルから過去にリリースされた作品には、Seekersinternational、Diana Chiaki、Karnageなどの作品がある。
Bandcamp https://nocturnaltechnology.bandcamp.com/album/dangerous-combination
SoundCloud https://soundcloud.com/nocturnal-technology
Instagram https://www.instagram.com/nocturnaltechnology/
Online Shop https://nocturnaltechnology.stores.jp/
■Bio
Albino Sound
東京出身のプロデューサー/DJ/サウンドデザイナー。2016年にP-Vineからデビュー・アルバム『Cloud Sports』をリリースして以来、アムステルダムのレーベルModern Obscure Music、ロンドンのTurnend Tapes、ブリストルのレーベルWORSHIPなどからリリースしている。また、東京を拠点に活動するインプリント・パーティーシリーズ、KTSNS(解体新書)のディレクションも手がけている。
https://albinosound.com/
https://albinosoundtokyo.bandcamp.com/
https://www.instagram.com/albinosound/
Mars89
Mars89が2017年にブリストルのレーベル、Bokeh VersionsからデビューEP『Lucid Dream』でシーンに登場して以来、彼は着実に力をつけてきた。約15年にわたるDJキャリアをもち、プロデュースする作品は、マンチェスターのNatural Sciencesやアテネを拠点とするBedouin Recordsなど、世界で最も尊敬されるアンダーグラウンド・レーベルからリリースされてきた。
https://www.mars89.com/
https://mars89.bandcamp.com/music
https://www.instagram.com/mars89_nocturnal/