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三田格 Jan 19,2015 UP
2014年を12インチ・シングルで振り返ろうと思ったら、ニッキー・ミナージュ「アナコンダ」は配信しかなかった。前作『ローマン・リローデッド』(2012年)はつまんねーアルバムだったけど、「ビーズ・イン・ザ・トラップ」はチョー好みだったので、これだけでも12インチがあればなーと思っていたのに、ジェイ・Z『ブループリント』へのアンサーだったという『ピンクプリント』からの先行ヒットまで12インチがないとは……。USヒップホップとの距離が遠ざかるわけだよなー。二木もぜんぜん原稿、書かないしなー(最近、顔見ないけど、また留置場にいるのかなー)。
こうなったら意地でも12インチで切ってほしい2015年のUSヒップホップを先に探し出すしかありません。そしてこうして……出会ったのがイアー・ドラマーズを逆から読んだレイ・シュリマー(Rae Sremmurd)による「アンロック・ザ・スワッグ」。これは絶対に切られないでしょう。
ミシシッピ出身、現在はトラップを生み出したアトランタからいささかクリシェに聞こえる「ノー・フレックス・ゾーン」のヒットで注目を集めたスウェイ・リーとスリム・ジミーのデビュー・アルバムは“マイX”や“アップ・ライク・トランプ”など、野々村竜太郎の号泣釈明会見を思わせるヘンな溜めのあるラップがちょっと癖になる。トラップとしてはそんなにヒネりはないのかもしれないけれど、アクセントを最初に置くか、どこにもアクセントを置かずに全体をフラットにしようとするフローとはちがって、ドレミファソファミレのような音階をつけてラップするときがだんぜんおもしろい。それだけなんですけどね(半分以上は普通)。この兄弟に関して「声変わりしないでほしい」というコメントをいくつか見かけましたけど、19歳と20歳なので、もう声変わりはしないと思うんだけど……(“スロウ・サム・モー”にはニッキー・ミナージュも参加)。
フローがおもしろいといえば、1年前に……新人にもかかわらず、すでに3000万人もこれを見ているとは……
やっぱり、これはなにかの勘違いなんだろうか。2014年は再発の帝王と化したルイス(Lewis Baloue)のラップ・ヴァージョンといいたいところだけど、時代がちがうとはいえ、本人が真面目なのは同じだろうし。しかも、自分でコメント欄に「僕、まだ生きてる?」と書いて500もリプがある。これを読む勇気はないなー。日本のおたくもかつてのように、もっと気持ち悪くならないといけないのではとさえ思う。
勘違いといえばナズの変名だと思われて一気に知名度を上げてしまったのがユア・オールド・ドルーグ。コニーアイランド出身で、本人に取材を敢行した人たちが相次いで「ナズではなかった!」とリポートするほど声が似ている。曲が似ていると犯罪になってしまうこともあるけれど、声は……う~ん。
ポスト・モータウンでは最高の瞬間といえるシルヴィア&モーメンツ(誰かアナログ再発してくださいよ)をサンプリングした“U47”など70年代のサンプリングが多いのかな(?)、サウスに漲る緊張感がまったくない生硬な14曲を聴かせる。それにしても、まったりしてしまう……。正月気分に引き戻される……。戻りたい……あの頃(20日ぐらい前)に……。
最後に、もう1曲。この展開は誰も予想できないっしょ。
三田格