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The Irrepressibles

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三田 格   Mar 04,2010 UP
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 10年前に(紙の)エレキングで追悼文を書いたビリー・マッケンジー(アソシエイツ)はその後も発掘音源がぽつぽつとリリースされ、なかではクラブ・トラックばかりを集めた『オーフターマティック』(04)は仕事から離れたいときにはよく聴いていた。イエロと組んだ"リズム・ディヴァイン"は歌詞が丸ごと差し替えられた"ノーマ・ジーン"に、パスカル・ゲイブリエル(元ボム・ザ・ベース)のプロデュースによる"サワー・ジュエル"やユーリズミックスのカヴァー(ポール・ヘイグによるプロデュース)など、聴いたことのない曲も多く収録され、壮大極まりないルームとのトランス・ページェント"アナコスタ・ベイ"はフルで採録。バリー・アダムスンのプロデュースによる"アチーヴド・イン・ザ・ヴァレー・オブ・ドールズ"や元ラグジュリアのノコによるアポロ440がプロデュースした"ペイン・イン・エニー・ランゲージ"などマガジン周辺とのセッションが2曲も聴けちゃうし、ピーター・アッシュワースによるボツ写真のようなカットもファンにはたまりません(B.E.F.やスティフン・エマーなど、レイヴ・カルチャー以前のものはナシ)。生前の作品としてリリースされた他のアルバムよりも聴き応えのあるところは少々、複雑だったりもするけれど。

 ......そこに送られてきたジ・イレプレッシブルズ。インフォメーションだのなんだのは読まずにいきなりサンプル盤を聴き始める僕は「えッ」と驚いた。声がまるでビリー・マッケンジーだし、歌い方もサウンドもそっくりで、プレス・シートにあるように、なるほどスコット・ウォーカーを参考にしてるというのはわかるものの、それにしても......やはりビリー・マッケンジーにしか聴こえない。たしかにデヴィッド・ボウイやケイト・ブッシュと比較されることが多いというのも頷ける。しかし、僕にとっては、これはビリー・マッケンジーのそっくりさんである。その陰を払拭して聴くことは、僕には一生不可能だろう。時々、死んだ妻に酷似した女性を見かけて、内面はまったく違うのに、また再婚してどうの......というドラマがあったりするけれど、いきなりその主人公にされたような気分である。妙だ。延々と妙な気分が続いている。何度、聴いてもその気持ちに変化はない。そして、その気分をたしかめるためにまた何度も何度も聴いてしまう。

 実際には10人組でバロック・オペラを基調とした現代音楽のグループだと資料には書いてある。ビリー・ホリデイがパンク・バンドで歌うという設定ではじまったニュー・ロマンティクスの変り種だったアソシエイツとはどこも重なるところがない。アントニー&ザ・ジョンソンズとも比較されることが多いらしく、そうだよなー、いまだったらそうなんだろうなーとも思うものの、頭がちっとも現在形の音楽シーンには染まってくれない。この人たちには悪いけれど、アソシエイツのファンと「どーなの、コレ?」とかいう会話がしたい(せっかく7年間の活動を経てメジャー・デビューに漕ぎ着けたというのに......)。ビリー・マッケンジーに大きな影響を受けたといっていたビヨークは、そして、どう思うんだろうか。「ビリー・マッケンジーは本当に空虚だ」と歌っていたモリッシーは。あー、また、いま、高音がそっくりに張り上げられた......。

三田 格