Home > Reviews > Album Reviews > Rob Walmart- Everybody Hurts
さてと......。今回はなにがなんだかさっぱりわからない。パンサーやラッキー・ドラゴン、もしくはジャッキー・オー・マザファッカーの周辺からハニー・オウエンズやDFAへスウィッチしたヤクトなど曲者のリリースが多いポートランドのレーベルからアナログ3枚組み。99年に、やはり3CDで『メイド・イン・カナダ』というアルバムをリリースし、その後はRで『ブリッツクリーグ』『カムチャッカ』『ボーツ・アンド・ピアーズ』『ケイクモンスター』と、この10年でリリース量はそれなりにあるようで、マイ・スペースを見るとメンバーだという人たちの名前がずらずらと書いてはある。Tシャツはライオネル・リッチーの顔に「ROB」と書いたものが売られ、同じくアルバムのレーベルにはライオネル・リッチーに「ダブステップ」と書いてみたり。ウォルマートを名乗るだけあって......やめましょう。音だけに焦点を絞ろう。
ひと言でいえば、ロウ-ファイ・ダブか。全23曲に共通していえることはそれだけで、最初の頃はザ・フォールをダブ・ミックスで聴いているようだなーと思っていると、緊張と弛緩が適度に混ざり合いながら、遊びとも実験ともつかない小品を山と聴かされ、後半のロング・インプロヴァイゼイションへ雪崩れ込む(200時間以上のテイクを編集したものだとか)。荒んだようなところはまったくなく、どこか真剣なものを秘めつつ、唐突にダンス・ミュージックに足を向けてみたり(スクラッチのクリシェを逆手にとった"ゾンビ・レイザー"は実に素晴らしい)、アーカイヴ型だといってしまえばそれまでだけど、どの曲もルーズでブヨブヨとしたムードは共通で、どこがいいんだろう......と思っているうちに、結局、全部聴いてしまうという...。気の抜けたカン、パンク気質を欠いたPiL、笑いのないジ・オーブ、しみったれたマッシヴ・アタック、展開のないビル・ラズウェル、覇気のないマウス・オン・マース、歌詞のないフィッシュマンズ、集中力のいらないサン・アロー......なにもかもがフェネスとは反対。やる気のない日に聴くとホントいい。眠気の嵐を描写したような"カンフェレンス・コールズ"、ジェントル・ピープルとデレク・ベイリーをダブで結んだ"ウイニー・ロースト・オン・バットファック・アイランド"、SEの洪水がたまらない"スペース・インヴェイド"......何をやってもバカバカC、誰と会っても疲れるだけ。今日一日寝ていられたらどんなにいいだろう。ずぶずぶずぶずぶずぶずぶずぶ......
三田 格