ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Kode9 & Burial - Fabriclive 100 (review)
  2. Kankyō Ongaku ──日本のアンビエントにフォーカスしたコンピレーションが発売 (news)
  3. Eli Keszler - Stadium (review)
  4. 冬にわかれて - なんにもいらない (review)
  5. DJ Sotofett ──DJソトフェットが来日ツアーを開催 (news)
  6. Elecktroids ──ドレクシアがエレクトロイズ名義で残した唯一のアルバムがリイシュー (news)
  7. God Said Give 'Em Drum Machines ──デトロイト・テクノの新たなドキュメンタリーがローンチ (news)
  8. Niagara - Apologia / De Leon - De Leon (review)
  9. 『別冊ele-king フライング・ロータスとLAビートの革命』 ──刊行のお知らせ (news)
  10. interview with GillesPeterson UKジャズ宣言 (interviews)
  11. Norhern Soul ──『ノーザン・ソウル』、この最高な映画を見たらスリムのデニムを履けなくなる (news)
  12. James Ferraro - Four Pieces For Mirai (review)
  13. The ROCKSTEADY BOOK ──素晴らしく甘ったるい、ロックステディについて知ろう (news)
  14. interview with Kelly Moran プリペアド・ピアノの新星 (interviews)
  15. Columns Yves Tumor いま話題のアーティスト、イヴ・トゥモアとは何者か? (columns)
  16. interview with Kode9 コード9来日特別インタヴュー (interviews)
  17. FUTURE TERROR 2018-2019 ──DJ NOBU主催の新年パーティが開催、DJスティングレイが来日 (news)
  18. Maisha - There Is A Place (review)
  19. R.I.P. 阿木譲 (news)
  20. Cat Power - Wanderer (review)

Home >  Reviews >  Album Reviews > Jamie Woon- Making Time

Jamie Woon

DubstepR&B

Jamie Woon

Making Time

PMR / ホステス

Tower HMV Amazon iTunes

小川充   Dec 08,2015 UP
このエントリーをはてなブックマークに追加

 ジェイムス・ブレイクはファースト・アルバム、続いて『オーヴァーグロウン』を発表する中、それ以前のシングル群で見せていたダブステップの世界から、シンガー・ソングライターとしての色合いを深めていった。ジェイミー・ウーンも同じような立ち位置のアーティストで、ともに親がロックやフォーク畑のミュージシャンという共通点もある。ジェイムス・ブレイクがキーボードを弾いて歌うのに対し、ジェイミー・ウーンはギターの弾き語りだ。もともとソウル系のシンガー・ソングライターを出発点とするジェイミーだが、ブリアルやラマダンマンらダブステップの人脈から、母親の出身地であるスコットランドのハドソン・モホークとも交流を持ち、彼らをリミキサーに迎えている。2011年にリリースされたファースト・アルバム『ミラーライティング』は、ブリアルや母親のメイ・マッケンナなどを交えて制作され、シンガー・ソングライターとしての側面とポスト・ダブステップ的なサウンド・プロダクションが結び付き、ジェイムス・ブレイクやサブトラクトのファーストと並んでこの年を代表する傑作だった。それからかなり間隔が空いてのセカンド・アルバムが『メーキング・タイム』だ。

 今回はリリース元がディスクロージャーやジェシー・ウェアなどをリリースする〈PMR〉なので、『メーキング・タイム』よりさらにダンス色、ポップ色が強まり、ややもすればジェイミーの持味が薄れてしまうのではとも懸念したが、そうした心配は必要なかった。むしろ前作でのブリアルのサウンド・プロダクションがなくなったぶん、ジェイミーのシンガー・ソングライター面によりスポットが当たっている。彼の歌とソング・ライティングだが、“メッセージ”“ムーヴメント”“デディケーション”などに顕著なように、マーヴィン・ゲイやリオン・ウェア・マナーとでも言うべきソウルフルなテイストが増している。“シャープネス”はミルトン・ライトとかティミー・トーマスあたりのマイアミ・ソウルを彷彿とさせる。“セレブレーション”はゲスト参加のウィリー・メイソンによるしわがれた歌をフィーチャーし、カントリー調の味わいを持つ作品に仕上がっている。“スキン”での自身のコーラスの多重録音はドゥーワップを基とするものだろう。

 ジェイミーはディアンジェロやアッシャーなど1990年代のR&Bが好きで音楽をはじめたので、そのルーツにあるこうした1960年代から70年代にかけてのアメリカのソウルへと向かうのは理解ができる。でも、アメリカの黒人文化の象徴であるソウルとはちがう肌触りもあり、あくまで抑制のきいた歌や演奏が、ジェイムス・ブレイク同様にイギリスのシンガー・ソングライターたるゆえんではないだろうか。そうしたUKらしさは内省的な“ラメント”やフォーキーな“フォーギヴン”“リトル・ワンダー”に表れており、ニック・ドレイクやジョン・マーティンから、ルイス・テイラーなどUKのシンガー・ソングライターの系譜を思い浮かべさせる。“サンダー”のようにポップさを持ちながら、どこか屈折した味わいも英国ならではだ。

小川充