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橋元優歩   Jun 22,2016 UP
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 4年ぶりの新譜というのが普通のペースなのか遅いのかわからないが、ナイト・ジュエルはマイ・ペースに活動をつづけているようだ。2008年の『グッド・イヴニング』の登場は、インディ・シーンにおけるシンセ・ポップ・リヴァイヴァルの幕開けを印象づけ、ローファイ・ブームやガレージ勢のレトロ・ポップ志向とも通じ合いながら、広く聴かれることになった。ジャケットのインパクトもふくめて、そこにはアンダーグラウンドを牽引し象徴するアイデアがたくさんあった。

 いまあらためて聴いてみると、本当にアイデアだけといってもいい簡素な音楽性に驚かされる。そして、ときどきここに帰りたくなる気持ちを再確認する。新しいアルバムにもそれは引き継がれており、ヒプナゴジックでメディテーショナルなダンス・ミュージックというユニークさにはいまだ心をひきつけるものがある。一方でプロダクションには洗練が加わり、“キス・ザ・スクリーン”などこれまでになく声を張っているというところが新しいだろうか。“オーヴァー・ザ・ウィークエンド”などはオルタナR&Bなどに比較できそうだ。彼女にしてはテンポの速めな、歌い手として覚醒しているようなラモナ・ゴンザレスを感じつつ、そんなにがんばらないのがよかったんだけどなという気持ちも多少ながら湧く。

 とはいえこのややR&B路線の曲が彼女に新たな方向と魅力をつけ加えているのは間違いない。デイム・ファンクとも新しいプロジェクトをはじめているようで、「ナイト・ファンク」と名乗る彼らは、来月早々にもシングルをリリースする模様。活躍しているフィールドは異なるものの、80'sサウンド・リヴァイヴァルの牽引者として存在感を放ちつづけるデイム・ファンクとの邂逅はしばらく前にさかのぼり、コラボレーターとして彼の作品にも参加してきた。モダン・ファンクとの出会いもまた、リリースのなかったこの4年のなかでも特筆すべきことなのかもしれない。

 ディスコ寄りのダンス・ナンバーがつづき、しかし“ランニング・アウト・オブ・タイム”など終曲に向かうにつれて、またまどろみのナイト・ジュエルに出会うことができる。“オール・マイ・ライフ”も、スリープ・オーヴァーなどに似てロング・トーンの印象的な歌唱スタイルを持つ彼女のよさが生きている。しかし、時間が尽きるとか、私の一生とか、なかなか重いタイトルだ。そうしたことを忘れるために身をまかせていたはずの彼女の怠くて幻想的な音……。そこに知らない表情をうかがい見て、筆者は少し緊張している。

橋元優歩