ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Columns Yves Tumor いま話題のアーティスト、イヴ・トゥモアとは何者か? (columns)
  2. Yves Tumor - Safe In The Hands Of Love (review)
  3. Aphex Twin - Collapse EP (review)
  4. tofubeats - RUN (review)
  5. Columns 坂本龍一の『BTTB』をいま聴いて、思うこと (columns)
  6. SPIRAL DELUXE ──ジェフ・ミルズ率いるエレクトロニック・ジャズ・カルテット、11月6日にライヴあり (news)
  7. interview with Cornelius 新作『Ripple Waves』を語る (interviews)
  8. interview with tofubeats 走る・走る・走る (interviews)
  9. Low - Double Negative (review)
  10. Thomas Fehlmann × The Field × Burnt Friedman ──新イベント《LIVE IN CONCERT》が始動 (news)
  11. Banksy ──バンクシーが1億5000万円で落札された自作を破壊 (news)
  12. Riton & Kah-Lo - Foreign Ororo (review)
  13. Yves Tumor ──イヴ・トゥモアが突如フル・アルバムをリリース (news)
  14. Baths / Geotic ──LAのビートメイカー、バス/ジオティックが来日 (news)
  15. interview with Yo La Tengo ヨ・ラ・テンゴ来日直前インタヴュー (interviews)
  16. 黙ってピアノを弾いてくれ - (review)
  17. Yves Tumor ──イヴ・トゥモアがニュー・シングルを発表 (news)
  18. interview with Phew 真ん中になにを置くか?──Phew、インタヴュー (interviews)
  19. Takehisa Kosugi ──50年代から現在に至る小杉武久の活動を紹介する展覧会が開催、トークや上映会も (news)
  20. KANDYTOWN ──キャンディタウンがついにメジャー・デビュー (news)

Home >  Reviews >  Album Reviews > Basic Rhythm- The Basics

Basic Rhythm

Basic Rhythm

The Basics

Type

bandcamp HMV Amazon iTunes

米澤慎太朗   Apr 11,2017 UP
このエントリーをはてなブックマークに追加

 Imaginary Forces としてドラムンベースの黎明期から活動を続けてきた Anthoney J Hart が、別名義 Basic Rhythm で突然USのレーベル〈Type〉からデビュー・アルバム『Raw Trax』をリリースしたのは昨年のことだ。『Raw Trax』は、ソリッドなドラムにベース、そして女性ヴォーカルのサンプリングが駆け抜ける。初期ジャングルの感覚を現代にアップデートし、140bpm に落とし込んだアルバムとも言えるだろう。
 リリース後はベルグハイン出演や初来日など、ツアーなどでも精力的に活動している。Radar Radio では Kwam や Darkos Strife といったグライムMCが参加する回もあれば、彼のダブプレートを含むジャングルを詰めた2時間もある。彼はUKの音物語(*)を自由自在に行き来しているように見える。

 ロンドンに帰ってきた彼から届けられた2枚目のアルバム『The Basics』は、BPMの幅を広げながら個性を存分に聴かせてくれた。

 前半の02.“E18”(東ロンドン郊外 Woodford 周辺を指す)ではグライムMCの声がサンプルされ、03.“Fake Thugs”では、Mobb Deep の口撃が使われ、MCのエネルギーが抽出される。04.“Silent Listener”、05.“Cool Breeze (Summer In Woodford Green)”では、サイン波の低音に混じってヒップホップ的なサンプリング・カットアップが織り込まれる。06.“Blood Klaat Kore”は、Basic Rhythm 版の攻撃的なグライム・トラック、そして最後のトラック08.“Night Moves”は、キックとベースと1発の効果音だけで4分攻め切る。

 来日時に彼と話したとき、もっとも衝撃を受けたのは「ドラムを組んで、ノイズを乗せて、それでよければ曲は完成だ」と話していたことだ。
 構造的にはけっして4×4ビートではないが、エレクトロニック・ダンス・ミュージックのダンスの機能性に忠実すぎるほどで、それがかえってアヴァンギャルドな作風を作り出している。女声ヴォーカルと男声MC、ドラムマシンとサイン波、一瞬の静寂。テクノ、グライム、ジャングル、Basic Rhythm はどの呼び名にもハマりきらない、モダンで荒いダンス・ミュージックを鳴らし続ける。

(*) Simon Reynolds による、UKの90年代の音楽に関する理論では、「UKハードコア連続体」の言葉で説明される。
The Wire 300: Simon Reynolds on the Hardcore Continuum: Introduction

米澤慎太朗