ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Kenmochi Hidefumi - たぶん沸く〜TOWN WORK〜 (review)
  2. interview with Trickfinger (John Frusciante) ジョン・フルシアンテ、テクノを語りまくる (interviews)
  3. 169 - SYNC (review)
  4. Moodymann - Take Away (review)
  5. Politics 都知事選直前座談会 「今回の都知事選、どう見ればいいか」 (columns)
  6. There are many many alternatives. 道なら腐るほどある 第11回 町外れの幽霊たち (columns)
  7. Random Access N.Y. vol.128:迷惑な花火ブーム? (columns)
  8. interview with Mhysa ジャネット・ジャクソンとブランディが好きな〈NON〉~〈ハイパーダブ〉のシンガー (interviews)
  9. Boris ──世界的に評価の高いヘヴィロック・バンド、ボリスが完全自主制作による新作をリリース (news)
  10. interview with Baauer 大ヒットメイカー、その後の展開 (interviews)
  11. Speaker Music - Black Nationalist Sonic Weaponry (review)
  12. Gary Bartz & Maisha - Night Dreamer Direct-To-Disc Sessions / Archie Shepp, Raw Poetic & Damu The Fudgemunk - Ocean Bridges (review)
  13. Jun Togawa──戸川純がまさかのユーチューバーになった! (news)
  14. Kenmochi Hidefumi - 沸騰 沸く ~FOOTWORK~ / Xiangyu - はじめての○○図鑑 (review)
  15. RILLA ──これが噂のリラ、ついにデビュー作を発表 (news)
  16. ralph ──気鋭の若手ラッパーがファーストEPをリリース、プロデュースは Double Clapperz (news)
  17. There are many many alternatives. 道なら腐るほどある 第6回 笑う流浪者、あるいはルッキズムに抗うための破壊 (columns)
  18. KATE NV - Room for the Moon (review)
  19. Arca ──アルカがニュー・シングルをリリース……って62分も!? (news)
  20. Columns JPEGMAFIA『Veteran』の衝撃とは何だったのか (columns)

Home >  Reviews >  Album Reviews > Basic Rhythm- The Basics

Basic Rhythm

Basic Rhythm

The Basics

Type

bandcamp HMV Amazon iTunes

米澤慎太朗   Apr 11,2017 UP
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 Imaginary Forces としてドラムンベースの黎明期から活動を続けてきた Anthoney J Hart が、別名義 Basic Rhythm で突然USのレーベル〈Type〉からデビュー・アルバム『Raw Trax』をリリースしたのは昨年のことだ。『Raw Trax』は、ソリッドなドラムにベース、そして女性ヴォーカルのサンプリングが駆け抜ける。初期ジャングルの感覚を現代にアップデートし、140bpm に落とし込んだアルバムとも言えるだろう。
 リリース後はベルグハイン出演や初来日など、ツアーなどでも精力的に活動している。Radar Radio では Kwam や Darkos Strife といったグライムMCが参加する回もあれば、彼のダブプレートを含むジャングルを詰めた2時間もある。彼はUKの音物語(*)を自由自在に行き来しているように見える。

 ロンドンに帰ってきた彼から届けられた2枚目のアルバム『The Basics』は、BPMの幅を広げながら個性を存分に聴かせてくれた。

 前半の02.“E18”(東ロンドン郊外 Woodford 周辺を指す)ではグライムMCの声がサンプルされ、03.“Fake Thugs”では、Mobb Deep の口撃が使われ、MCのエネルギーが抽出される。04.“Silent Listener”、05.“Cool Breeze (Summer In Woodford Green)”では、サイン波の低音に混じってヒップホップ的なサンプリング・カットアップが織り込まれる。06.“Blood Klaat Kore”は、Basic Rhythm 版の攻撃的なグライム・トラック、そして最後のトラック08.“Night Moves”は、キックとベースと1発の効果音だけで4分攻め切る。

 来日時に彼と話したとき、もっとも衝撃を受けたのは「ドラムを組んで、ノイズを乗せて、それでよければ曲は完成だ」と話していたことだ。
 構造的にはけっして4×4ビートではないが、エレクトロニック・ダンス・ミュージックのダンスの機能性に忠実すぎるほどで、それがかえってアヴァンギャルドな作風を作り出している。女声ヴォーカルと男声MC、ドラムマシンとサイン波、一瞬の静寂。テクノ、グライム、ジャングル、Basic Rhythm はどの呼び名にもハマりきらない、モダンで荒いダンス・ミュージックを鳴らし続ける。

(*) Simon Reynolds による、UKの90年代の音楽に関する理論では、「UKハードコア連続体」の言葉で説明される。
The Wire 300: Simon Reynolds on the Hardcore Continuum: Introduction

米澤慎太朗