ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Columns ジャズとアンビエントの境界で ──ロンドンの新星ナラ・シネフロ、即完したデビュー作が再プレス&CD化 (columns)
  2. Random Access N.Y. vol.132:NYではレコードのある生活が普通になっている (columns)
  3. Oval - Ovidono (review)
  4. Félicia Atkinson & Jefre Cantu-Ledesma - Un hiver en plein été (review)
  5. Norhern Soul ──『ノーザン・ソウル』、この最高な映画を見たらスリムのデニムを履けなくなる (news)
  6. Jenny Hval ──〈4AD〉へ移籍した北欧のシンガー/プロデューサー、ジェニー・ヴァルの新作が発売決定 (news)
  7. 年明けのダンス・ミュージック5枚 - (review)
  8. Ehiorobo - Joltjacket (review)
  9. dj honda × ill-bosstino - KINGS CROSS (review)
  10. Floating Points × Pharoah Sanders ──これはすごい! フローティング・ポインツとファラオ・サンダースの共作がリリース (news)
  11. King Krule - You Heat Me Up, You Cool Me Down (review)
  12. interview wuth Geoff Travis and Jeannette Lee 〈ラフ・トレード〉が語る、UKインディ・ロックの現在 (interviews)
  13. History of Fishmans ——久しぶりのフィッシュマンズのライヴ情報 (news)
  14. Jeff Parker ──ジェフ・パーカーのニュー・アルバムがリリース (news)
  15. Columns 「ハウスは、ディスコの復讐なんだよ」 ──フランキー・ナックルズの功績、そしてハウス・ミュージックは文化をいかに変えたか (columns)
  16. Parris - Soaked In Indigo Moonlight (review)
  17. There are many many alternatives. 道なら腐るほどある 第3回 映画『金子文子と朴烈』が描かなかったこと (columns)
  18. Ian Wellman - On The Darkest Day, You took My Hand and Swore It Will Be Okay (review)
  19. SAULT - Untitled (Black Is) / SAULT - Untitled (Rise) (review)
  20. パフォーマンス:クリスチャン・マークレーを翻訳する - @東京都現代美術館 (review)

Home >  Reviews >  Album Reviews > パソコン音楽クラブ- DREAM WALK

パソコン音楽クラブ

ElectroHouseJ-Pop

パソコン音楽クラブ

DREAM WALK

Pasocom Muisc Club

Amazon

野田努   Oct 04,2018 UP
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 パソコン音楽クラブ、情報デスクVIRTUALではないしMacintosh Plusでもない。新手のヴェイパーウェイヴではない。前期YMOや80年代エレ・ポップの現代解釈版。ダフト・パンクからの影響もあるんじゃないのかな。しかし、不思議と懐古主義的には聴こえない。トーフビーツから教えてもらった関西の若手有力株。ようやくCD買ったでぇ~。
 はじまりはベッドルーム。ストリートにありがちな人間関係の面倒くさいしがらみはない。オンライン文化の暗闇(アイロニー、シニシズム、憎しみ、悪意)だってスイッチをオフにすればいいだけ。お、可愛い犬もいるんだね。

 パソコン音楽クラブはトーフビーツのフォロワーではない。水曜日のカンパネラの強力なライヴァルというわけでもない。そもそもこの音楽は力んでいない。気取ってはいるが、まわりを意識しているようには思えない。“OLDNEWTOWN”は、トーフビーツの“NEWTOWN”へのアンサーではないのだろう。同じメランコリーでも出し方がまったく違う。前者は、軽い。後者が重たいわけではないのだけれど、パソコン音楽クラブのメランコリーはさっと通り過ぎていく、跡形も残さずに。あ、いま通った? という感じで、ちょっと清々しい。
 ジャケットのアートワークは、「水星」へのオマージュにも受け取れるし、ジェントリフィケーション時代の申し子である自らを表しているのかもしれない。記憶だけがカラフルな、この殺伐としながらも恍惚な風景。好むと好まざるとに関わらず、ぼくたちが暮らしているお馴染みの世界。ザ・スリッツの“NEWTOWN”から39年、NEWTOWNというNEWではない街。
 ぼくもRX17持ってました。リアルタイムで。ダサい音なんだよね、これが。とはいえ、パソコン音楽クラブは「昨日」の音ではない。だからといって「明日」の音でもない。いくぶん感傷的だが、これは「現在」の音なのだ。“Inner Blue”で歌われるようにそれは「終わらない夜」、つまり、ただただ陶酔したいという願い。“Beyond”という最後の曲は夢の時間のはじまりだ。そう、チルウェイヴであれチル&Bであれ、ミニマルであれアンビエントであれ、アンダーグラウンドであれオーヴァーグラウンドであれ、これこそ今日のポップの奔流に通底するもの。パソコン音楽クラブ、今後の活躍が楽しみ。
 

野田努

RELATED