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Live Reviews

エレグラ後日談!

エレグラ後日談!

――electraglide 2012、僕らがエレグラに行った理由。

文:木津毅、竹内正太郎文:木津毅、竹内正太郎   Dec 06,2012 UP
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木津:お疲れ~! まあ乾杯しましょう!(プシュッ)

竹内:お疲れさまです!(プシュッ)

木津:いやあ、盛り上がったねー。とにかくひとが多かったよね。

竹内:多かったです。正直、あんなにいるとは思わなかった。

木津:僕も。かと言って、ある特定のアクトだけに集まったって感じでもなかったよね。

竹内:なかったですねー。とにかく若い印象を受けましたよ。ほとんどが20代に見えました。

木津:たしかにねえ。僕はもっともっと若い世代も来てほしいけど、それでも20代が多かったことは確かやね。ちょっと最初から振り返ってみようか。けっきょく最初以外、ほぼ別行動やったね。

竹内:別でしたね。序盤でいうと、まずはアモン・トビン、とてもアーティスティックだったのですが、なんだかスイッチが入らない感じがして......

木津:そういうひともけっこういたみたいだけど、IDMの極北として見れば、僕はあれぐらいやってくれて良かったかなと。


AmonTobin photo by Masanori Naruse

竹内:なるほど。なので、僕は中抜けしてDJケンタロウでスイッチ入れました(笑)。

木津:ああ、そうなんや? いや、ていうかその前に、コード9でスイッチ入ったでしょう! ジャングル、ダブステップってこれまでの音もあるけど、ジュークもかけるし、とにかく熱い。あと、トゥナイトの"ハイヤー・グラウンド"とかね。

竹内:あれは盛り上がってましたね! 代官山で観た〈HYPERDUB EPISODE 1〉でもそんな感じで、後半はジューク祭りだった記憶があります。

木津:やっぱりいまのアンダーグラウンドの、熱気のあるところを変わらずしっかり追ってる感じがしたなあ。

竹内:でも、フットワークしてるひとはあまり見かけませんでしたね。20代が多かったのは間違いないけど、ある意味、そのなかでもフットワークがひとつの境界にもなっていたかもしれない。

木津:境界って?

竹内:ちゃんと練習を積まないと踊れないステップですからー。あ、もちろん、僕も踊れないです。ちょっとだけ教えてもらったことはあるけど(笑)。

木津:まあね。でも、前回僕が言ったような醍醐味がいきなりコード9で炸裂したってことですよ。ジュークを聴いたことのないひとが、そこで出会うっていうね。これから踊りだすひともいるよ、きっと(笑)。だから、トップ・バッターがコード9は良かったなあ。

竹内:そして、次にアモン・トビン?

木津:すごかったよ。音はメタリックでハード、で、映像もまあ、柔らかいところはほとんどなく。僕にとっては、ある種のマゾヒスティックな快感を刺激される体験かなあ。あと、現代アート的なとっつきにくさみたいなもの自体を楽しむっていう。ちょっと倒錯しているけどね(笑)。対照的に、DJケンタロウはアゲアゲだったって?

竹内:アゲアゲでした。フロアにひともあまりいなかったから、伸び伸びやっていましたよ!

木津:それはいいね。DJクラッシュも、僕はもっともっとストイックなものを想像してたんだけど、けっこう激しくて。でも、チャラくはならない絶妙さが良かったなあ。

竹内:こっちも、あの夜の入り口にはちょうど良かったです。でも、なにせ次の電気が......

木津:来た(笑)! これは語ってもらわないと。

竹内:ハロー! ミスターモンキーマジックオーケーストラ!

木津:からはじまったんやっけ?

竹内:です。もー、最高だった。開催前の対談で、いろいろ牽制球を投げていたじゃないですか、僕。でも単純がいちばん気持ちいいというか、自分のなかの批評性が死滅するのを感じました。

木津:竹内正太郎から批評性が奪われたら、読者とか、ツイッターのフォロワーの間に衝撃が走るんじゃない(笑)?

竹内:だって、ミリオン、スコーピオン、インマイブレイン、なんですよ!

木津:どういうこと(笑)?

竹内:ミリオン、スコーピオン、インマイハウス、なんです!

木津:ははは(笑)。じゃあ、開催前の対談で、電気は浮いてるよねって話、してたやん? でも、竹内くんのダントツのベスト・アクトなわけであってさ、あそこで電気だけが表象していたものっていうのは何?

竹内:うーーーん、つまり......。いや、なんだろうなあ......。

木津:批評性を取り戻して(笑)!

竹内:だめです! 頭の中がサソリでいっぱいです(笑)!

木津:はっはっは。まあ、これは竹内くんが馬鹿になれた記念日やね。

竹内:まあ、ひとことで言うなら、アホなことを真剣にできるアホさというか、それはすごいと思いました。

木津:ああでも、それはわかる。僕はその時間帯、スクエアプッシャーを観たんやけど、IDM周辺がちょっと厳しいのは思ったかな、正直なところ。

竹内:なるほど。あまり気分じゃなかったという?

木津:うん。僕みたいに、アモン・トビンでマゾヒスティックな快感を得る変態は別として、狂気じみたことをやっていても、やっぱりどこかが賢しく思えてしまうというかね。

竹内:でも、それが求められた時代があったわけですよね。何が変わってしまったのか?

木津:ビートがさらに多様化してるってことは、快感のあり方もさらに多様化してるってことだから。IDMみたいなものの快感のあり方が、ちょっと定型化してしまった感じはあるかも。スクエアプッシャーも、すごく安定した内容だったと思うし、面白かったけど、〈ソナー〉でLEDヴィジョンのプレイはいちど観たからねえ。最後にやったベース・プレイが、もっと有機的にそこにハマれば、さらに良くなるとは思ったかな。

竹内:なにかを突き破りたいもどかしさの象徴なのかもしれませんね、そのベースは。その点、フォー・テットなんですけど、僕は前回の対談の締めに、「彼のキャリアの軌跡って、いまの若いリスナーが通った道ともかなり近い気がするんですよね」と言っています。

木津:うんうん。

竹内:つまり、ポストロック~IDM/エレクトロニカ~ダブステップ周辺の領域からダンスへと。でも、電気の後だったせいか、少し慎重すぎるように思えました。4つ打ちがところどころ出てきて、高揚の兆しが見えるのですが、寸止めで消されてしまうという。

木津:そうか。でも、だから、竹内くんが言ってた「こんな単純な4/4に乗れるか!」ってタイプのひとが、じゃあ4/4をやるときにどうするか、って話でしょう?

竹内:まさにそう。だから所詮、僕はガリガリ君だったわけです(笑)。あと、当たり前すぎてあれなんですけど、家で聴くのとああいう会場で聴くのとでは、全然ちがったと。

木津:なるほどねえ。でも、フォー・テットの寸止め感も、新しい快楽なのかもよ?

竹内:たしかに。会場からは、悶える声が漏れていましたよ。ソフトMの世界でした(笑)

木津:またSM(笑)。ただ真面目な話、ああいうハウスのあり方っていうのはジェイミーXXなんかに受け継がれてるし、可能性があるものだとは思うよ。だから、フロアという現場でそれがどういうものになっていくかってことを期待したいかなと。そういう意味で、僕のベストはトゥナイトだったなあ。

竹内:聞かせてください。

木津:まずね、BPMが遅いのがいいと思った。ヒップホップと同じぐらいか、ちょっと速いぐらい。重心が低くて、ほんとヒップホップ的なグルーヴ感が保たれつつ、上モノはハウシーなきらびやかさがあったりでね。すごくいまっぽいレイヴ感だなあと思った。で、「そうか、トゥナイトって"今夜"って意味や」と思ってジーンときて(笑)。

竹内:いいですね! その流れでいくと、ロータスは気持ちよく入れました?


FlyingLotus photo by Tadamasa Iguchi

木津:フライング・ロータスは、フロアの期待度が高かったから緊張した(笑)。

竹内:緊張(笑)?

木津:いや、トゥナイトのときのフロアのざっくばらんな感じと明らかに違ったから。やっぱカリスマなんだなあと。で、音はけっこうエレクトロニックだったね。やっぱ新作のモードだったんだ。

竹内:ですね、BPMもほとんど上げずに、やはりヒップホップくらいだったと思います。

木津:うん、でも、やっぱりあのサイケデリック感はすごい。エレガントだけど、それが壊れそうなスリリングさがつねにある。

竹内:それでいて、「トキヨー!」と何度も煽ってましたよね(笑)。

木津:うん。いつかみたいに、「カメハメハー」じゃなくて良かった(笑)。あと、ケンドリック・ラマーをかけたよね? あれに野田さんが超感動したらしく、その話は次号の紙エレキングの座談会でもトピックになってる。まあ、いまこの話をすると広がりすぎるから、次号『vol.8』を読んでねってことで。

竹内:うおー、宣伝を盛り込んできた(笑)!

木津:ははは(笑)。でもああいう、いまのポップ・シーンで起こってることを自分のコスモスに混ぜていくっていうのは、ロマンティックだなあと思ったかな。

竹内:確かに。ちなみに、その裏でやっていたのはオービタルとウェザオールです。オービタルは途中まで観ていたのですが、電気とオービタルに挟まれたフォー・テットが不憫に思えるくらい、こちらもアゲアゲでした(笑)。

木津:なるほどね。でもオービタルは、僕は昔からぜんぜん肯定派で。とくにいま聴くと、すごく朴訥な古き良きテクノに聴こえるというかね。

竹内:そうです。だから、彼らが呼ばれた意味は絶対にあったと思います。なんていうんですかねえ、あのアガる感じ、なぜ人がクラブに集まるのをやめないのか、ちょっとだけ分かった気がしました。

木津:おお! 竹内正太郎がクラブに近づく日が(笑)! 

竹内:ついに......26年越しの(笑)。

木津:それで言うと、ウェザオールは超カッコ良かったよねえ。オールドスクールなテクノを、頑固一徹にやる感じ。

竹内:でも、保守的な風には見えなかったなあ。

木津:そうそう!

竹内:逆に、僕がテクノを知らないせいか、どことなく全体の雰囲気に通底していたヒップホップの気配よりは、はるかに新鮮でした!

木津:なるほど、それは面白い意見だね。ウェザオールの場合は、精神性でブレないってことかなと。ほんとセクシーだったよー。これは見た目の話ね!

竹内:ここで見た目の話に戻った(笑)。

木津:で、マーク・プリチャードとトム・ミドルトンで結局朝まで踊ったと。ここでも、ジュークかけてたねー。マーク・プリチャードみたいなベテランがちゃんとかけるっていうのは、文化として生きてる感じはあるね。さっきのウェザオールの話と逆だけど。

竹内:変わっていく、変わらないもの、なんですかね。

木津:それが両方あるのがクラブ・カルチャーの面白いところのひとつだね。さて、本格的なオールナイトのイヴェント、初体験を総括するとどうですか?

竹内:楽しかったです、今日をずっと引き伸ばしていく感じ、今日と明日の境目をなくしていく感じというか......。

木津:まあ、気がつくと朝になってるからね(笑)。

竹内:時間が経つのが本当に早かった!

木津:僕、あと3時間は踊れると思ったよ。若い世代もたくさん来てたし、次に繋がる感じはしたよね。

竹内:僕はまた行きますよ。というか、他のイヴェントももっと遊びに行きたいなと。

木津:はっはっは。だからさ、ほんとに気軽に来ればいいのに、って話ですよ。

竹内:本当に。誰も、シリアスな理由を引っ提げて来てる風はなかったですよね。

木津:そうそう。楽しまないと、「今夜」をね。

竹内:ははは。やはり、「トゥナイト」だと(笑)。いい夜でした!

文:木津毅、竹内正太郎