MOST READ

  1. Kenichi Itoi - EXN / kafuka - Polyhedron (review)
  2. Columns 即興音楽の新しい波 ──触れてみるための、あるいは考えはじめるためのディスク・ガイド (columns)
  3. Martin Rev - Demolition 9 (review)
  4. Mount Kimbie - Love What Survives (review)
  5. interview with Bicep 詩情豊かな上腕二頭筋 (interviews)
  6. yahyelと語り合うマウント・キンビーの魅力 ──篠田ミル(yahyel)×野田努 (news)
  7. Jack Peoples - Laptop Cafe (review)
  8. Columns 生き残る者たちを愛すること ──Mount Kimbie『Love What Survives』の魅力を紐解く (columns)
  9. Throbbing Gristle ──ファースト・アルバムから40年、スロッビング・グリッスルの全カタログがリイシュー (news)
  10. 汚れたダイヤモンド - (review)
  11. ギミー・デンジャー - (review)
  12. flau ──レーベル10周年の回顧展を代官山蔦屋書店にて開催中 (news)
  13. Ben Frost ──ベン・フロストがスティーヴ・アルビニと共同録音した新作をリリース (news)
  14. KANDYTOWN - ──キャンディタウンがついにメジャー・デビュー (news)
  15. interview with IO - KoolBoyの美学 (interviews)
  16. interview with YURUFUWA GANGゆるふわギャングがぶっ壊しにキタ! (interviews)
  17. Arca × Ryuichi Sakamoto ──アルカが坂本龍一をリミックス (news)
  18. interview with ZORN労働者階級のアンチ・ヒーロー (interviews)
  19. Broken Social Scene - Hug of Thunder (review)
  20. Hardfloor ──アシッドハウスの雄、ハードフロアが新作をリリース (news)

Home >  Reviews >  Live Reviews > 森は生きている- @渋谷WWW

Live Reviews

森は生きている

Folk RockJazz RockSoft Rock

森は生きている

@渋谷WWW

Mar 20, 2014

野田努  
photo : 小田部伶   Mar 25,2014 UP
このエントリーをはてなブックマークに追加
E王

 23:00、渋谷。昨年初めて見たときもたしかに良いバンドだとは思った、が、今回は正直……「正直、こみ上げてくるものがありましたね」と、一緒に行ったDJのGONNOくんは帰り道で言った。

 ラヴ&ピースの感覚がよみがえる。はっぴぃえんど×ザ・バンド×1970年頃のピンク・フロイド×初期カンタベリー×70年代のA&M×……などと、固有名詞を記号的にかけあわせたからといって、暗く冷たいインダストリアルな音響に耽っていた男の混沌とした内面から、いまさらラヴ&ピースなどという、こっぱずかしい言葉は出てこない。
 A&M系ソフト・ロックといえば20年前の渋谷系アイテムのひとつだったが、あの時代のセンスを競った消費のされ方とは明白に違っているのだ。情報としてアーカイヴされているという感じではない。この若いバンドには、ポスト・サイケデリック期のロックの素朴な叙情性が内面化されているように感じる。60年代を水で薄めたMORを弄んでいるというのではなく、彼らがいま持ち出すその平和的な響きは、冷酷な社会への彼らの態度表明にも思えるのだ。
 ライヴの余韻は、あり得ないほどピースだった。ファースト・アルバムが10だとしたらこの日のライヴは100だと言ってさしつかえないだろう。アンコールの、あの美しいアルペジオからはじまる“ロンド”も良かったが、なんといっても新曲が良かった。そう、いいじゃないか、彼女が幸せな気分に満たされているなら。

 森は生きているは現実逃避でも娯楽でもない。それは、我々は夢見ることを通してでしか前に進めないということだ。彼らの音楽から滲み出る一種の旅心、ボヘミアニズムが足を軽くする。そして無性に音楽が聴きたくなる。家に帰ったら何を聴こう。僕は電車に乗って、GONNO君は午前4時のDJのためにクラブへと向かった。

野田努