ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Arca - Kick I (review)
  2. 校了しました ──『別冊ele-king ブラック・パワーに捧ぐ』&『ゲーム音楽ディスクガイド2』 (news)
  3. Julianna Barwick - Healing Is A Miracle (review)
  4. Roedelius - Tape Archive Essence 1973-1978 (review)
  5. interview with Arca 痛み&&&電子&&音響 (interviews)
  6. Columns 元ちとせ 反転する海、シマ唄からアンビエントへ (columns)
  7. STONE ISLAND ──人気のイタリア・ブランド〈ストーンアイランド〉が音楽シーンに参入 (news)
  8. Run The Jewels ラン・ザ・ジュエルズは何がすごいのか (interviews)
  9. the perfect me ──福岡インディ・シーンからアヴァン・ポップの旗手 (news)
  10. The Beneficiaries - The Crystal City Is Alive (review)
  11. Jun Togawa──戸川純がまさかのユーチューバーになった! (news)
  12. Arca - &&&&& (review)
  13. interview with Trickfinger (John Frusciante) ジョン・フルシアンテ、テクノを語りまくる (interviews)
  14. Eartheater ──アースイーターの新作はアコースティック・サウンド (news)
  15. interview with AbuQadim Haqq 語り継がれるドレクシア物語 (interviews)
  16. Tenderlonious - The Piccolo - Tender Plays Tubby / Tenderlonious - Tender in Lahore (review)
  17. Sound Of Japan ──BBCレディオ3が日本の音楽の特番を放送しております (news)
  18. Aru-2 - Little Heaven (review)
  19. interview with Kamaal Williams ほらよ、これが「UKジャズ」だ (interviews)
  20. R.I.P. Malik B 追悼 マリク・B (news)

Home >  Reviews >  Live Reviews > 森は生きている- @渋谷WWW

森は生きている

Folk RockJazz RockSoft Rock

森は生きている

@渋谷WWW

Mar 20, 2014

野田努  
photo : 小田部伶   Mar 25,2014 UP
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
E王

 23:00、渋谷。昨年初めて見たときもたしかに良いバンドだとは思った、が、今回は正直……「正直、こみ上げてくるものがありましたね」と、一緒に行ったDJのGONNOくんは帰り道で言った。

 ラヴ&ピースの感覚がよみがえる。はっぴぃえんど×ザ・バンド×1970年頃のピンク・フロイド×初期カンタベリー×70年代のA&M×……などと、固有名詞を記号的にかけあわせたからといって、暗く冷たいインダストリアルな音響に耽っていた男の混沌とした内面から、いまさらラヴ&ピースなどという、こっぱずかしい言葉は出てこない。
 A&M系ソフト・ロックといえば20年前の渋谷系アイテムのひとつだったが、あの時代のセンスを競った消費のされ方とは明白に違っているのだ。情報としてアーカイヴされているという感じではない。この若いバンドには、ポスト・サイケデリック期のロックの素朴な叙情性が内面化されているように感じる。60年代を水で薄めたMORを弄んでいるというのではなく、彼らがいま持ち出すその平和的な響きは、冷酷な社会への彼らの態度表明にも思えるのだ。
 ライヴの余韻は、あり得ないほどピースだった。ファースト・アルバムが10だとしたらこの日のライヴは100だと言ってさしつかえないだろう。アンコールの、あの美しいアルペジオからはじまる“ロンド”も良かったが、なんといっても新曲が良かった。そう、いいじゃないか、彼女が幸せな気分に満たされているなら。

 森は生きているは現実逃避でも娯楽でもない。それは、我々は夢見ることを通してでしか前に進めないということだ。彼らの音楽から滲み出る一種の旅心、ボヘミアニズムが足を軽くする。そして無性に音楽が聴きたくなる。家に帰ったら何を聴こう。僕は電車に乗って、GONNO君は午前4時のDJのためにクラブへと向かった。

野田努