「IR」と一致するもの

 ラッパーの Moment Joon が初めてソロ曲としてドロップした楽曲 “BAKA”。名作『失点 in the park』とおなじ2003年に ECD が発表した重要曲 “言うこと聞くよな奴らじゃないぞ” をサンプリングした同曲は、その後あっこゴリラと鎮座DOPENESS を迎えたヴァージョンが制作されているが、このたびさらなるリミックス・ヴァージョン “BAKA (Mega Remix)” が公開されている。新たに GAGLE の HUNGER、ACE COOL、Jinmenusagi をフィーチャー。強力さを増したメッセージに注目しましょう。

Moment Joon - BAKA feat. あっこゴリラ, 鎮座DOPENESS, HUNGER (GAGLE), ACE COOL & Jinmenusagi (Official Video)
https://youtu.be/bRMCFxx2C2E

Title: BAKA (Mega Remix)
Artist: Moment Joon / feat. あっこゴリラ & 鎮座DOPENESS & HUNGER (GAGLE) & ACE COOL & Jinmenusagi
Music: NOAH
Producer: NOAH
Mixing & Mastering :Sota Furugen
Directed by Udai Yabuta
Label: GROW UP UNDERGROUND RECORDS

https://linkco.re/489d21cB

「言うこと聞くよな奴らじゃないぞ!!」――6人のラッパーがステージで前のめりになりながら声を合わせてくり返し大声で歌っている。その迫力にただただ圧倒される。2021年12月8日、Moment Joonのワンマンライヴ「White Lies & Blue Truth」でのワンシーン。その場面を目撃した少なくない人が強い衝撃を受けたのではないだろうか。このパンチの効いたことばは、Momentが敬愛するいまは亡きラッパー・ECDの曲名で、偉大な先達が曲のなかで力を振り絞ってくり返したものでもあった。ECD はその楽曲を、2003年のイラク戦争に抗する反戦デモの参加者たちを鼓舞するために作っている。日本における“少数派”を勇気づけるためだった。Momentは最初にソロ曲として発表した「BAKA」で、そんな約17年も前の日本のヒップホップをサンプリングしたのだ。その後、鎮座DOPENESSとあっこゴリラが参加したヴァージョンがリリースされ、さらにHUNGER、ACE COOL、Jinmenusagiが加わったメガ・リミックスが完成した。そして、この6人の怒りのこもったマイク・リレーが初めて披露されたのが例のワンマンライヴだった。Momentは曲の冒頭で「血は繋がってないけど、シスター/ブラザー」と言う。それはきっとあなたのことであり、私のことでもある。「BAKA」という曲は、“言うこと聞かないBAKAな奴ら”のためのヒップホップにちがいない。(二木信)

interview with Kentaro Hayashi - ele-king

 はっとさせられたのはまだまん防中だった3月5日。DOMMUNE の阿木譲追悼番組でのパフォーマンスを目撃したときだ。小ぎれいな PARCO の上階で流すにはあまりにダークでひずんだサウンド。思い返せば2021年、デンシノオトさんがレヴューした『Peculiar』ですでにその神秘は開陳されていたわけだけれど、ライヴで体験する Kentaro Hayashi の濁りを含んだ音響は盤には収まりきらない魅力を放っていた。この2年、パンデミックがメディテイティヴな音楽を増加したことにたいする、ちょっとした異議申し立てのようにも聞こえた。なにせあの炎の男、ザ・バグでさえアンビエント作品を量産した時代である。あるいは、(一見)豊かだった日本の幻想から抜けきれない近年の風潮だったり、どんどんクリーンアップされていく都市の風景にたいする、素朴な疑問符だったのかもしれない。なんにせよ、いまの日本からなかなか出てこない音楽であることは間違いない。

 UKはニューカッスルのレーベル〈Opal Tapes〉から送り出された『Peculiar』は、もともと阿木譲の〈remodel〉からリリースされていた作品だ(リミックスでメルツバウジム・オルークが参加)。その音楽をひと言で形容するのは難しい。インダストリアル、ノイズ、エクスペリメンタル、テクノ……そのすべてであると同時にそのすべてから逸脱していくような感覚。「いちばん影響を受けたのはだれですか?」と PARCO で尋ねたとき、真っ先に返ってきた固有名詞はデムダイク・ステアだった。たしかに、それを想起させる部分もある。アルバムは凍てついた彫刻作品のごとき美を放射する一方、ところどころダンスへの欲求を垣間見せてもいて──おそらく手がかりはそこにある。大阪を拠点に活動する Kentaro Hayashi は、ハイブロウなサウンド・アートの文脈からではなく、より肉体的なものに根差した場所から世界を眺めているのではないか。

音楽的な影響という意味ではDJクラッシュ、DJシャドウ、DJフード、DJカムとか、〈Mo’Wax〉や〈Ninja Tune〉とかのアブストラクト勢、マッシヴ・アタックやポーティスヘッドなどのブリストル勢のほうが大きいと思います。

3月5日の DOMMUNE でのライヴがとても良くて。昨年『ele-king』でアルバム・レヴューは掲載していたんですが、もっと前にライヴを観ておくべきだったと反省しました。

ハヤシ:DOMMUNE は初めてだったので緊張しました。DOMMUNE にはたまたま来ていただいた感じですよね?

そうです。編集長が急遽サプライズ出演することを知って。これまでも東京でもライヴはされているんですよね?

ハヤシ:中目黒の Solfa で数回、あと落合 soup、Saloon でもやりました。

大阪ではライヴはよくされているんですか?

ハヤシ:以前はそうでした。environment 0g [zero-gauge] という阿木譲さんがやっていたお店をメインに活動しています。コロナ前はちょくちょくイヴェントをやっていたんですが、いまは年に数回くらいですね。

DJもされますか?

ハヤシ:むかしはやっていたんですが、いまはDJはほとんどしていません。ライヴがメインですね。

environment 0g が足場とのことですが、ほかのアーティストやシーンみたいなものと接点はあるのでしょうか?

ハヤシ:少しはという感じですね。個人的にはそんなに頻繁に交流がある感じではないです。environment 0g まわりのミュージシャンや、東京から友だちを呼んでイヴェントをやったりしていて、大阪のアーティストで固まっているわけではないという感じですね。

なるほど。

ハヤシ:大阪はシーンがあるようで、じつはあまりないのではという気がします。そこがいいところでもあると思います。ハコが持っているお客さんも東京に比べて規模が小さいでしょうし、シーンといえるのかどうかというレヴェルかなと。たしか風営法のときに一気にいろいろなくなって、いまは朝までやってるイヴェントも少ないです。デイ・イヴェントが多い印象ですね。

音楽をはじめたのはいつからですか?

ハヤシ:高校生のころはギターを弾いていましたが、19~20くらいのときに打ち込みをはじめました。DJクラッシュを聴いて興味を持って、そこからヒップホップのイヴェントでよく遊ぶようになったんです。大阪に DONFLEX というヒップホップのハコがあって、そこで一時期働いていたのでいろいろな知り合いができました。

意外ですね!

ハヤシ:それが90年末から00年代初頭で。チキチキ・ビートってありましたよね。ちょうどティンバランドが出てきたころで。あとDJプレミアやドレーあたりもよく聴いていました。DJのひとたちとよくつるんでいたので、友だちの家にレコードがいっぱいあったんです。ずっと聴いてましたね。音楽的な影響という意味ではDJクラッシュ、DJシャドウ、DJフード、DJカムとか、〈Mo’Wax〉や〈Ninja Tune〉とかのアブストラクト勢、マッシヴ・アタックやポーティスヘッドなどのブリストル勢のほうが大きいと思います。その流れでダブやジャングルなども聴いていました。

“Odyssey” はダブ的ですよね。

ハヤシ:キング・タビーは好きでレコード買っていましたね。むかし INDICARDA というアブストラクト・ヒップホップのユニットをやっていたんですけど、そのときイヴェントに呼んでくれた方たちがダブ寄りだったので、ちょこちょこ遊びにも行ってました。モア・ロッカーズと共演したことがありますよ(笑)。

それはすごい! しかし最初からインダストリアルにどっぷりだったわけではないんですね。

ハヤシ:ヒップホップを通ったあとにハウスやテクノも聴くようになって、そのあと2014年ころに阿木さんと出会ってから、インダストリアルとかも聴くようになりました。阿木さんはイヴェントをやるときレコード・バッグの中をぜんぶ見せてくれたり、曲をかけるときもアーティストがわかるようにレコードを置いてくれたり。それで知識や音のデザインを吸収できた気がします。

阿木さんとの出会いが大きかったんですね。

ハヤシ:そうですね。もともとはアブストラクト・ヒップホップをつくっていたんですが、そのダークな感じから、テクノや4つ打ちの踊る方向に行きました。そのときは4つ打ちが最強のツールだと思ってました。いろんなジャンルを取りこんでぜんぶつなげられるので、これ以上のものがあるのかと思っていたくらいで。でも、いま思えば、あまり自分自身と噛み合ってなかった気がします。阿木さんと出会って、あらためてアブストラクトで暗い感じが自分に向いてるなと思って。もう一回やろうかなと。

向いてるというのは、単純に音としてしっくりきたということですか?

ハヤシ:そうですね。ドラムのダーティな感じとか、サンプリング音楽を聴いてた影響からか、荒い質感が好みで、つくるのが得意だなと。あと、踊れなくてもいいところとか。

アルバムを聴いてぼくは逆に、ダンスへのこだわりがあるのかなと思ったんですよ。“Peculiar” や “Octagon” もそうですし、〈Opal Tapes〉盤に入っている “Arrowhead” のジャングルとか。

ハヤシ:ダンス・ミュージックの進化はとても興味深いですし、それを表現したいとは思っていました。ただ一時期、新しさを感じることが減って飽きてしまって、ドローン系やダーク・アンビエントをよく好んで聴いていたんです。ライヴでもそういう音楽もやっていました。反復やうねりはあるけど、具体的なリズムがないような音楽が新鮮でした。でも、似たような作品がたくさん出てきてから興味がなくなってしまったんです。その反動でまたリズムのある作品をつくりたいと思いました。

10年代前半~半ばころですかね。

ハヤシ:阿木さんのイヴェントでも、リズムが入っている作品をよく聴いていました。衝撃を受けた作品の多くにはリズムが入っていましたし、その影響でリズムを意識的に取り入れたのかもしれません。語弊があるかもしれませんが、ドローン系とか持続音が中心の作品は見せ方とかで、それっぽく聴こえる気がして、もうちょっとつくりこんだものをやりたいとは思いました。

ちなみにベース・ミュージックは通っていますか?

ハヤシ:ロゴスやマムダンス、ピンチは好きですね。

やっぱり暗いですね(笑)。

ハヤシ:はっはっは(笑)。でもベース系のイヴェントにはぜんぜん行けてないですね。

[[SplitPage]]

クリアな音より汚れた音のほうが好みなのは、ヒップホップを通ったからかもしれません。ハードのサンプラーの音が好きですし、自分の作品にとって重要な要素です。作品を聴いたら、そのひとがどれくらい手をかけているかってわかると思うんですよ。そこはしっかりやりたいなと。

こうしてお話ししていると、まったく暗い方には見えないのですが、ダークなものに惹かれるのはなぜでしょう?

ハヤシ:暗いと言われている音楽もストレートに「かっこいい」とか「美しい」と感じているだけで、あまり「暗い」とは考えていない気がします。雰囲気や空気感、緊張感が好みなのかもしれません。

なるほど。ちょうど最初にアルバムが出たころは穏やかなソウルが流行っていたり、日本ではシティ・ポップ・ブームがつづいていたり、そういうものにたいするいらだちみたいなものがあったりするのかなあと、勝手に想像していたのですが。

ハヤシ:いらだちはないですね。好みではないですけど。ワルい雰囲気を持った音楽が好きなんですよ。むかしはクラブに行くとなんか緊張感がありましたし、イカつくてカッコいいひとたちがいて。ワルい音楽というか、イカつい音。そういうのが好きなのかなとは思います。クラブには音を聴きに行っていたので、社交の場には興味がなかったですね。テクノでも、タナカ・フミヤさんとか、本気で遊んでいる雰囲気のイヴェントが好きでした。

アルバムでは1曲めの “Gargouille” だけ、ちょっとほかの曲とちがう印象を受けました。賛美歌みたいなものも入っていますし、題もガルグイユ(ガーゴイル)ですし、最後の曲も “Basilica” (バシリカ=教会の聖堂などで用いられる建築様式)で、もしかして宗教的なことに関心があるのかなと思ったんですが。

ハヤシ:まったくそういうことはなくて、イメージですね。鳥ではないけれど、ああいうグロテスクなものが飛んでいるイメージで、曲名は後づけです。本を読んで単語をストックしてそれを使うという感じで、深い意味はまったくないです。

本はどういうものを読まれるんですか?

ハヤシ:そんな頻繁には読みませんが、昨年までメルツバウのマスタリングをしていたので、そのときは秋田(昌美)さんの『ノイズ・ウォー』(1992年)を読んでいましたね。

ものすごい数のメルツバウ作品のマスタリングをされていますよね。

ハヤシ:去年までで50~60枚くらいは。制作ペースがすごく早くて、クオリテイも高くおなじものがないんですよ。展開も早いですし。すごいなと思います。

リミックスでそのメルツバウと、ジム・オルークが参加しています。

ハヤシ:おふたりには、デモ音源を渡してリミックスしてもらったんです。そのリミックスのほうが先に完成してしまったので、影響を受けつつ自分の曲をそこからさらにつくり直しています(笑)。

オリジナルのほうがあとにできたんですね(笑)。

ハヤシ:「このままじゃ自分の作品が負けるな」と思って。ジム・オルークがあんなにトゲトゲした、バキバキなものをつくってくれるとは思わなかったので、嬉しかったんですが、それと並べられるような作品にしないとと。プレッシャーでした(笑)。

ちなみに〈Opal Tapes〉盤のジャケはなぜウシに?

ハヤシ:ほかにも候補はあったんです。きれいな模様みたいなものもあったんですが、それよりはウシのほうがレコード店に並んだときに手にとってもらえるだろうなと思って。なんでウシなんだろうとは思いましたけど、デビュー・アルバムだし、インパクトはあったほうがいいかなと。ノイズっぽいジャケだと思いましたし、写真の雰囲気や色合いも好きだったので。でも、希望は伝えましたが最終的にどっちのジャケになるかはわからなかったんです。

ノイズというのはやはりハヤシさんにとって重要ですか?

ハヤシ:ノイズは効果音やジャパノイズのような使い方だけではなく、デザインされた音楽的な表現や、ギターリフのような楽曲の中心的な要素にもなると思うので、とても重要だと思います。感情も込められるというか。

音響的な作品でも、クラブ・ミュージックを経由した雰囲気を持っているアーティストにはシンパシーを感じますね。いろいろな要素が入っている音楽が好きなのかもしれません。

ではご自身の音楽で、いちばん欠かせない要素はなんでしょう?

ハヤシ:いかに手をかけるかというか手を動かすというか……音質というか雰囲気というか、色気のある音や動きが重要な要素なので、ハードの機材を使って手を動かしていますね。ただハードでも新しい機材は音がきれいすぎるので、古い機材のほうが好きです。クリアな音より汚れた音のほうが好みなのは、ヒップホップを通ったからかもしれません。ハードのサンプラーの音が好きですし、自分の作品にとって重要な要素です。作品を聴いたら、そのひとがどれくらい手をかけているかってわかると思うんですよ。そこはしっかりやりたいなと。

シンパシーを抱くアーティストっていますか? 日本でも海外でも。

ハヤシ:デムダイク・ステアですね。とくに、ベルリンの《Atonal》でライヴを体験してからそう思うようになりました。ほかの出演者もかっこいいと思っていたんですけど、ちょっときれいすぎたり、洗練されすぎている印象だったんです。おとなしい印象というか。でもデムダイクのライヴは洗練された、そのさらに先を行っていて、ジャンルは関係なく荒々しく、自由にライヴをしていたのがすごく印象に残っています。テクノなスタイルだけではなく、ブレイクビーツを使い意図的にハズしたり、そのハズしかたがすごくかっこよかった。京都のメトロに彼らがきたときに本人たちとも喋ったんですけど、彼らもヒップホップがすごく好きで。そこを通ってるのがほかのひととちがうのかなと。スタジオのセットアップについて話をしたときも、彼らは自分たちはオールドスタイルだと言っていました。

なるほど。

ハヤシ:あとはピュース・マリーとかローリー・ポーターとか。イヴ・ド・メイ、サミュエル・ケリッジ(Samuel Kerridge)、ヘルム、FIS、エンプティセットパン・ソニック、ペシミスト、Metrist とかですね。ペダー・マネルフェルトもすごく好きです。最近はテクノっぽくなってきていますけど。阿木さんが『Lines Describing Circles』をよくかけていて。音響的な作品でも、クラブ・ミュージックを経由した雰囲気を持っているアーティストにはシンパシーを感じますね。いろいろな要素が入っている音楽が好きなのかもしれません。テクノでもたんに4つ打ちだけではなくて、ジャングルやダンスホール、ブレイクビーツの要素が入っていたり、インダストリアルな要素が入っているとシンパシーを感じます。

ヒップホップをはじめ、いろいろルーツがあると思うのですが、ご自身の音楽をひと言であらわすとしたら?

ハヤシ:難しいですね……エクスペリメンタル・ノイズ、インダストリアル・テクノ、アブストラクトなどの要素を混ぜた感じでしょうか。定義するのは難しいです。自分としては、クラブ・ミュージックの発展形のようなイメージです。先端音楽というのかわかりませんが、いろんな要素を含んだハイブリッドで新しい作品をつくりたいと思っていますね。

音楽で成し遂げたいことってありますか?

ハヤシ:まずは2作目をちゃんとつくりたいです。ライヴももっと頻繁にやりたいですし、もっと大きなステージでもやってみたい。いつか《Berlin Atonal》のステージにも立ってみたいです。映画音楽も興味があります。テクノもつくりたいし、モダン・クラシカルも好きなので、ピアノだけの作品も出したいですね。

それはぜひ聴いてみたいです。

ハヤシ:でもいまピアノ作品出したら逃げてる感じがしちゃうので(笑)。そこは1作目の続きでマウンドに立ってフルスウィングしたいなと(笑)。でも2枚めでコケるパターンってよくあるので、2枚めで終わらないようにしないと(笑)。

いいものができると思いますよ。というのも、ヒップホップ時代もあり、テクノ時代もあり、阿木さんとも出会ってという、いろんな経験をされてきてると思うので、20歳くらいのひとがセカンドをつくるのとはぜんぜんちがうと思うんですよ。

ハヤシ:いろんな経験をしてきたからこそわかるものにはしたいですね。深みのある作品をつくりたいです。

 今年の夏はダンスの夏になる……だろうと、勝手に思ってました。いや、本当になるんじゃないかな。渋谷のContactも夏までは営業しているようだし、どうか、コロナの影響も最小限に、ダンスの夏になりますように。

¥ØU$UK€ ¥UK1MAT$U - ele-king

 行松陽介がキュレイターを務めるコンピ、『Midnight is Comin'』がシンガポールのレーベル〈Midnight Shift〉から6月17日にリリースされる。「w/ friends」と記されている通り、彼が信頼する(おもに関西の)プロデューサーたちが集結。orhythmo、SPINNUTS、YPY、KEIHIN、DJ Nobu、Gabber Modus Operandi、Coni、CITY、Ryo Murakami、Sapphire SlowsCOMPUMAAlbino Sound と、なかなか豪華な1枚だ。ミッドナイトが、来る。

artist: ¥ØU$UK€ ¥UK1MAT$U w/ friends
title: Midnight is Comin'
label: Midnight Shift
release: 17th June, 2022

tracklist:
01. orhythmo - Nagel
02. SPINNUTS - Zweimal schlafen atmosphäre
03. YPY - MS
04. KEIHIN - Exhale
05. DJ Nobu - Yakou Gai
06. Gabber Modus Operandi - Kisah
07. Coni - Ängelsbäcksstrand
08. CITY - 9K
09. Ryo Murakami - Reminiscence
10. Sapphire Slows - Hinotori
11. COMPUMA - Flowmotion (IN DUB)
12. Albino Sound - Celestial Sphere

Mix curated by ¥ØU$UK€ ¥UK1MAT$U
Mix mastered by Redshape
Artwork by UC EAST
Layout by Takashi Makabe
Mastered and cut by Simon at The Exchange

Síntomas de techno - ele-king

 1985年から1991年のペルーのアンダーグラウンド・シーンで活躍したテクノ音源の編集版『Síntomas de techno : Ondas electrónicas subterráneas desde Perú (1985-1991)』がリマの〈Buh Records〉から先週末リリースされた。タイトルは英訳すると『Symptoms of techno:
Underground electronic waves from Peru (1985-1991)』、和訳すると「テクノ症候:ペルーのアンダーグラウンド・エレクトロニック・ウェイヴ」。
Disidentes、Paisaje Electrónico、T de Cobre、Meine Katze Und Ich、El Sueño de Alí、Cuerpos del Deseo、Círculo Interior、Ensamble、Reacciónといったバンドによる、パンクに触発されたペルー生まれのDIYテクノ(テクノ・ポップ、EBM、インダストリアル、ミニマルシンセなど)が収録されている。解説によると「ほぼすべてが入手不可能な曲で」「ラテンアメリカのテクノやインダストリアル・ミュージックの歴史を語るうえでは避けられないレファレンス」とのこと。フィジカルは限定300枚で7月15日発売。英語とスペイン語のブックレット付き。まずは聴いてみましょう。面白いです。

African-American Sound Recordings - ele-king

 シャレた滑り出しに意表を突かれる。まさかのラウンジ的展開。これまでは実験音楽をはじめ試行錯誤の連続だったアフリカン-アメリカン・サウンド・レコーディングス(以下、AASR)がスタイルをガラッと変化させた。よく聴くとラウンジ風の演奏(?サンプリング?)には細かくダブ処理が施され、シンコペーションを効かせたドラムに複雑なループがいくつも絡み合うなど細部までサイケデリックに染め上げられている。いわゆるひとつのドープ・サウンドで、ボトムの締め方はきちんとしたもの。ホーンや各種の金属音が異様に華やかなために、パッと聞いた感じは明るいアンチコンというか、メランコリーを返上したDJシャドウというか。そう、大雑把にいえば『Tamika's Lodge』はダン・ナカムラやマッドリブとは異なるタイプのインストゥルメンタル・ヒップホップで、20年前にブルース・ミュージシャンの故郷レッド・バンクスがジェントリフィケーションから逃れて宇宙に移転したという設定のコズミック・サウンド。AASRのデビュー作『Divine Comedy(神曲)』にはサン・ラーとダンテの言葉が長々と引用され、そうした含みは最初からあったとも言える。リヴァーブをかけたピアノに不穏なドローンが虚しく響く“9000th Hour”だけが、そして、宇宙の虚しさを漂わせる。

 AASRの正体はよくわからない。メンフィスを拠点とするW.G.M. がその主体らしく、動画サイトには黒人男性が1人で演奏する姿があり、ジャケ写やストリーミング・サイトのアー写などには黒人女性の姿もある。W.G.M. 名義では2019年にデビュー・アルバム『AND EYE (seen what i saw)』、20年にはシングル「RUNAWAY TRAIN」やミニ・アルバム『Outreach Ministries』をリリースし、やみくもに実験的な作品だけでなく、叙情性に焦点を当てたゆるゆるのコンポジションから本格的なアンビエントまで、いわゆる習作的な作品が並ぶ。AASR名義は2020年からW.G.M. 名義と入れ替わるように使われ始め、デビュー・アルバム『Erasure Poetry』では延々と続く雨の音に始まり、統一性のない音楽スタイルが雑多に煮込まれていく。正直、何をやりたいのかよくわからない。ジェントリフィケーションによって覆い隠されたホームレスやアル中など「忘れられた個々人」に焦点を当て、ヒューマニティを推進していくというステートメントが記されてることがそれまでとは大きく異なった。テーマのせいか、全体にうらぶれた感じで、しつこく繰り返される雨の音がとくに効果を上げているとも思えない。

 スピーカー・ミュージックやグリーン-ハウスなど、滑り出しはそうでもなかったのに急に完成度が高くなるミュージシャンがたまにいる。『Tamika's Lodge』もまさにそうした作品で、外部からプロデューサーを招いたわけでもないのにここまでのキャリアとは断絶していると言いたくなるほどサウンドも曲もすべてが一新されている。宇宙空間に移動したという設定が想像力の向かう方向に何も制約を設けなかったということなのだろう、“Astral Breakin’”でギターのコードを単純に鳴らすだけとか、“Coffee Cake”でジャズ・ベースが正確にループされ続けるといった地味な要素がここまで丁寧につくられたことはなく、その上でインプロヴィゼーションに移ったり、妙な部分にダブ処理を施すので、ノーマルな演奏からどこかに連れ去るというイメージの飛躍が威力を増している。“Kitchen Clean-Up Crew”や“The Gxian Airstream”など、もっと聞いていたいのに、あっさりと終わってしまうのは本当に残念。“Knight Of Cups”などはフリー・ジャズのドラムに様々なドローンが絡んでいくにもかかわらず、それこそラウンジ・ミュージックのように聴かせてしまい、初期の808ステイトを思わせる“Mars Mathematics”など、とにかく聴かせ方が巧みで技あり。

 気になるのは「アフリカン-アメリカン」という呼称で、2年前の大統領選でバイデンがインド系のカマラ・ハリスを副大統領候補にすると予告した際も、これに反発したアフリカ系がドナルド・トランプに票を投じるという動きがあったため、カラード同士の分断を避けるためにアフリカ系も「ブラック」と呼ぶことが増えているなか、あえて「アフリカン-アメリカン」を名乗るというのはどういうことなのだろうか。ジェルー・ザ・ダマジャのような逆差別主義者の可能性もあるし、そのあたりは機会があればちょっと確認しておきたいところ。

tofubeats - ele-king

 新型コロナウイルスの急襲から2年以上が過ぎている。状況は国によって異なるけれども、以前わたしたちがぼんやりと思い描いていた将来像が一度キャンセルされたことは疑いない。心情面のみならず、実際に経済的な打撃をこうむり先のことが見通せなくなった者も少なくなかったはずだ。以前からあった「資本主義リアリズム」の概念を、パンデミックが加速させたともいえる。資本主義以外の社会を想像することが難しくなったというマーク・フィッシャーの考えが、より強度をもって人びとに実感されるようになった、と。
 今月末発売の紙版エレキング夏号ではフォーク特集を組んでいる。そこでインタヴューを掲載しているマリサ・アンダーソンの昨年のアルバム・タイトルは『Lost Futures』だった。共作者のウィリアム・タイラーが読んでいたフィッシャーの著作『わが人生の幽霊たち──うつ病、憑在論、失われた未来』からとられたものだ。タイラーがその語を用いたのは、たんに「クールなフレーズ」だと思ったからにすぎない。けれども作品の完成後、そのことばの文脈を再検討したくなったと、彼は『Foxy Digitalis』のインタヴューで語っている。特権のある連中が抱くペシミズムもあるから、と。たとえば「白人男性」が考える、失われた未来──でも「わたしたちは日常生活を送っていますよね?」とアンダーソンのほうもおなじ記事で発言している。「子どもに、未来はないんだよと伝えてみてください。わたしたちが暮らしている現在は、ノスタルジアのうえに築かれた幻想なんだよって。そうじゃないですよね。今日は今日です」。
 tofubeats による4年ぶり通算5枚目のアルバムもまた、果敢にペシミズムを乗りこえようともがく作品である。

 前作『RUN』のあと、tofubeats は拠点を神戸から東京に移している。積極的にDJをやったり仕事を増やしたりいろんなひとに会ったりするためだ。が、まさにそのタイミングどんぴしゃでリボ核酸が人類を襲撃。想定していた活動ができなくなった彼は、パンデミック前から考えていたという「鏡/反射」のテーマをより深めていくことになる。検温器で自身の顔を目にする機会が増えたことも影響したらしい。つまり本作は tofubeats の内省の反映と言えるわけだが、しかし湿った感じはまるでない。せつなさはあるけれど、ナルキッソスはおらず、全体的にからっとした前向きなムードに包まれている。
 ゲスト不在だった前作とは打ってかわり、多彩な顔ぶれが招かれているところも大きい。サグさを売りにしない点でいまもっとも注目すべき神戸のラップ・デュオ Neibiss をフィーチャーしたヒップホップ・チューン “don’t like u”。おなじく神戸のシンガーソングライター UG Noodle が気だるげな歌を聴かせるモンド~ボサノヴァ調の “恋とミサイル”。tofubeats はこれまでのように、将来を担うだろう若手をフックアップするというみずからの役割をしっかりこなしている。
 クラブ・ミュージックのリスナーにとっては、後半のほうがより魅力的に映るかもしれない。9曲め “Solitaire” 以降の基調はハウスだ。『わが人生の幽霊たち』でフィッシャーは音楽が大きくは進化しなくなってしまったことを指摘していたけれど、「音楽ってもうダメなのかなー?/そんなことないって言ってくれよ」という “VIBRATION” の Kotetsu Shoichiro のラップは、4つ打ちという既存のフォーマットと組みあわせられることにより、フィッシャーへのアンビヴァレントな感情を表現しているようにも聞こえる。“SOMEBODY TORE MY P” や “Okay!” ではDJピエール・ファンとしての本領を発揮、ノイズのないJポップの世界(=資本主義リアリズム)で盛大にアシッド音をぶちかますことも忘れていない。
 そうしてアルバムは表題曲へとたどりつく。『竜とそばかすの姫』で飛躍的に知名度を高めたシンガー、中村佳穂がメイン・ヴォーカルを務めるこのジャングル・チューンこそ本作のハイライトだ。「溺れそうになるほど 押し寄せる未来」。これはペシミズムに覆われた時代のムードにたいするストレートな反骨である。同様の価値転覆は、複数のビートが入れ替わる最終曲 “Mirai” にも引き継がれている(「未来が押し寄せる」「未来まだ止まらない」)。「Mirai」は冒頭 “Mirror” にかかっている。「鏡」を覗きこむことからはじまった内省が「未来」の洪水へといたるこのストーリーは、今日の閉塞感を突破する起爆剤となるにちがいない。
 未来が失われているっていう発想、もうやめません? tofubeats の新作はそう主張している。そろそろ次のステップに行きませんかと。ここに、未来はリセットされた。

Zettai-Mu “ORIGINS” - ele-king

 大阪の KURANAKA a.k.a 1945 が主催するロングラン・パーティ《Zettai-Mu》あらため《Zettai-Mu “ORIGINS”》の最新回が6月18日(土)@NOON+CAFE にて開催される。2020年以降の度重なる延期を乗り越えてきた同パーティだが、今回 KURANAKA は「30th Anniversary Historic Set」を披露するほか GOTH-TRAD、D.J.Fulltono、ntank と、豪華な面子が集合する。ぜひ足を運びましょう。

Zettai-Mu “ORIGINS"
2022.6.18 (SAT)
OPEN/START. 22:00 -

KURANAKA a.k.a 1945
[ 30th Anniversary Historic Set ] (Zettai-Mu)
GOTH-TRAD
(Back To Chill/DEEP MEDi MUSIK/REBEL FAMILIA)
D.J.Fulltono
(Booty Tune Records/Exit Records/Tekk DJ'z Crew)
??????
ntank (MAVE)
HARUKI
ランプ (sabato)
Vis (PAL.Sounds)
Ascalypso
PACONE
Somae'369
ZTM SOUND SYSTEM (Main Floor)
369 Sound (2nd Area)
and YOU !!!

at NOON+CAFE
TEL : 06-6373-4919
ADDRESS : 大阪市北区中崎西3-3-8 JR京都線高架下
3-3-8 NAKAZAKINISHI KITAKU OSAKA JAPAN
WEB SITE : https://noon-cafe.com
ZETTAI-MU WEB SITE:https://www.zettai-mu.net/news/2206/18/
FB EVENT : https://www.facebook.com/events/739754973706169

OPEN/START. 22:00
ADV. 1500yen (要予約)
DOOR. 2000yen
UNDER 23. 1500yen
※1D別*入場時に1DRINKチケットご購入お願い致します。

【予約登録リンク】
https://noon-cafe.com/events/zettai-mu-origins-yoyaku-6
※枚数限定ですので、お早めにご購入ご登録お願い致します。LIMITED枚数に達した場合、当日料金でのご入場をお願い致します

【新型コロナウイルス感染症拡大防止対策】
・マスク着用での来場をお願いします。
・非接触体温計で検温をさせて頂き、37℃以上の場合はご入場をお断り致しますので、予めご了承ください。
・店内の換気量を増やし、最大限換気を行います。

【お客様へご協力のお願い】
・以下のお客様はご来場をお控え頂きますようお願い申し上げます。
・体調がすぐれないお客様
・37℃以上の発熱や咳など風邪の症状があるお客様
・くしゃみや鼻水などによる他のお客様にご迷惑をかけする可能性があるお客様
・ 60歳以上の方のご入店をお断りしています。
・お年寄りや体の弱い方と同居するなど生活を共に行われている方のご来場はお控えください。
・体調がすぐれないとお見受けするお客様がいらっしゃいましたら、スタッフがお声がけさせて頂きます。

● SNS
Facebook --- https://www.facebook.com/zettaimu.jp
Instagram(@zettaimu) --- https://www.instagram.com/zettaimu
Twitter(@zettai_mu) --- https://twitter.com/zettai_mu


GOTH-TRAD

様々なアプローチでヘビーウェイト・ミュージックを生み出すサウンド・オリジネイター。
2001年、秋本"Heavy"武士とともにREBEL FAMILIAを結成。"METMORPHOSE"でのデビューライブを皮切りに、Fuji Rock Festivalなど多くの国内フェスに出演。 2007年までに5枚のシングル、3枚のアルバムをリリースする。 ソロとしては、2003年に1stアルバム『GOTH-TRAD I』を発表。国内でソロ活動を本格的にスタートし、積極的に海外ツアーも始める。2005年には、自作楽器・エフェクターを駆使した、実験的な2ndアルバム『The Inverted Perspective』をリリース。同年11月にはMad Raveと称した新たなダンス・ミュージックへのアプローチを打ち出し、3rdアルバム『Mad Raver's Dance Floor』を発表。
『Mad Raver's Dance Floor』に収録されたタイトル「Back To Chill」が、ロンドンのDUBSTEPシーンで話題となり、2007年にUKのSKUD BEATから『Back To Chill EP』を、DEEP MEDi MUSIKから12"『Cut End/Flags』をリリース。8カ国に及ぶヨーロッパツアーの中では、ロンドンの伝説的パーティー"DMZ"にライブセットで出演し、地元オーディエンスを沸かした。以降、海外を中心にリリースを続け、ヨーロッパ、南北アメリカ、オセアニア等、毎年、世界中でコンスタントにツアーを重ねる。2012年には待望のアルバム『New Epoch』をDEEP MEDi MUSIKからリリースし、Fuji Rock Festival 2012に出演。2009年~2014年にかけて、数々の欧米のフェスティバルにも出演してきた。 2015年、再びダブプレートのカットを始め、完全にVinyl OnlyのDJスタイルにシフトする。
アンダーグラウンドシーンで注目を集めるノイズコアバンド"ENDON"のリミックスを手がけ、5月にMerzbowのリミックスとのスプリット12"が、Daymare Recordingsよりリリースされる。12月には、日本が世界に誇るバンド"Boris"とのコラボレーションイベント"Low End Meeting"を代官山UNITにて開催し、共作"DEADSONG"を披露。 サウンドシステムを導入した、超重低音かつ実験的なアプローチのライブが話題となった。
2006年より始動した自身のパーティー"Back To Chill"は、2014年11月にREDBULL MUSIC ACADEMY TOKYOとスペシャルイベントを開催し、Back To Chillレーベルとして初となるコンピレーション"MUGEN"をリリースする。 記念すべきBack To Chill10周年を迎えた2016年、Boris、Dalekとの共作を収めた4thアルバム"PSIONICS"のリミテッド・ダブプレートバージョンを、特別会員限定でリリース。2017年4月には、台北のKornerにて、Back To Chill初の海外公演を開催した。
2018年9月、ヴォーカリスト"Diesuck"とノイズアーティスト"Masayuki Imanishi"と共に2017年に結成した新ユニット"EARTAKER"の1stデビューアルバム"HARMONICS"が、U.A.E.の気鋭レーベル"Bedouin Records"よりリリースされ、その新たなサウンドに注目が集まる。

A unique producer with a unique style, Goth-Trad has emerged from the Japanese electronic scene in the last decade as one of the most arresting artists from his generation. ‘The Sound Originator,’ Goth-Trad creates remarkable dance music with an abstract approach. Goth-Trad’s music career started in 1998. He soon formed Rebel Familia in 2001 with Takeshi ‘Heavy’ Akimoto (ex-member of Dry & Heavy) while continuing to work on his own. From abstract electronica to noise, from dub and reggae to jungle and rave music, grime to dubstep, Goth-Trad has always experimented and in the process developed his own unique style: blending influences and delivering music that is constantly evolving.
Between 2001 and 2004 Goth-Trad grew his notoriety on the Tokyo underground and went on his first European tour. He also released his first album, Goth-Trad I, and opened for The Mars Volta during their 2004 Japanese tour. His second album was released in January 2005, titled The Inverted Perspective it focused on the improvisational live style he had been developing in previous years and which he would continue to refine to this day. In March he played in Korea and in the summer established a new style called Mad Rave. ‘Mad Rave’ is Goth-Trad’s own take on dance music, refined and musically distilled through years of work.
This led to his third album, Mad Raver’s Dance Floor released in November 2005. Over 10 tracks the album condenses more than 10 years of dance music into an amalgamation of styles which flows seamlessly. The release tour for the album travelled to Berlin, Paris, Metz, London and 8 Japanese cities.
It was with this third album that Goth-Trad would finally break into the international market during 2006 thanks primarily to one track - Back To Chill - which would soon become synonymous with the Japanese dubstep scene. Inspired by the grime sounds he’d heard in London in previous years, Back To Chill also became the name of Goth-Trad’s monthly dubstep night in Tokyo - set up in 2006 - and saw a release on the UK label Skud Beats, his first official single on a non-Japanese label. At the same time Goth-Trad embarked on his fourth European tour, where he met with dubstep pioneer Mala from Digital Mystikz, at the seminal dubstep night FWD>>. This meeting led to Goth-Trad being signed to Mala’s Deep Medi Musik label and become a fixture of the international dubstep scene, which from 2006 onwards grew at an exponential rate and Goth-Trad soon became one of the genre’s most recognised and loved international artists.
From 2007 onwards Goth-Trad received increased support, respect and interest from across the dubstep and electronica scenes worldwide with people like The Bug, Kode 9, Blackdown, Juju and Skream all playing his music and sharing stages with him. Mary Ann Hobbs was also an early supporter on her Breezeblock show on BBC Radio 1.
Goth-Trad released his first 12” single for Deep Medi Musik in 2007, Cut End. That same year he also released a new Rebel Familia album, includ- ing collaborations with legends Arie Up and Max Romeo. He continued to tour extensively in Japan as well as starting more regular European tours where he appeared at the legendary DMZ dances among others. His eclectic and varied live show made him a firm favourite of European audiences and he has toured Europe every year since 2007.
In 2008 he released singles on both Skud Beats and Soul Jazz Records and for the first time he toured China in April. At the same time he continued to grow the Back To Chill nights in Tokyo providing a platform for the burgeoning Japanese dubstep scene. Over the coming years the night would see new Japanese talent added to the resident line up and play host to both local and international guests.
From 2009 to 2011 Goth-Trad continued to tour in Europe, Japan and Asia and released singles on Deep Medi Musik as well as remixes for European and Japanese artists leading to the Babylon Fall EP in late 2011, the precursor to New Epoch his fourth album. New Epoch was released on Deep Medi in early 2012 and marked Goth-Trad as one of the most important voices in dubstep. The album received praise from around the world with the UK’s FACT Magazine heralding it as one of the best dubstep albums of the year.
With New Epoch marking yet another milestone in Goth-Trad’s career, the Japanese one-man army - as Kode 9 once referred to him - is set to continue on his unique path. Always charting new territories while staying true to what motivates him: making good and honest music that reflects the world around him.
After the release of New Epoch, Goth-Trad embarked on his worldwide tour across Europe, US and Asia including many Festivals such as Coachella, Fuji Rock, Outlook Festival, and Lockdown (Natherlands) to name a few. During the tour Goth-Trad was involved with various projects including the Dubspot workshop in New York and a project in Japan called “Z-Machines”, where he was asked to produce a piece of music for the first ever Robot Band. In the UK Fabric, invited him to play and also asked Goth-Trad to provide a mix for the event, around this time Goth-Trad was asked to remix Danny Scrilla and Lea Lea, Goth Trad showed his new direction on both remixes, especially “Lea Lea - Black Or White (Goth-Trad Remix)“ awarded 3rd place on XLR8R’s Best of 2013 : Top Downloads.
Alongside producing and touring, Goth-Trad still runs Japan’s most famous bass driven club night, Back To Chill in Tokyo city every month, inviting the newest local producers to play alongside the scene’s for runners such as The Bug and Kode9.
Not only do Goth-Trad and his team organize and curate the event with cutting edge, stunning visuals but Goth-Trad also provides the sound pressure with his very own soundsystem. In 2014 he collaborated with Red Bull Music Academy Tokyo for “Back To Chill - A Red Bull Music Academy Special Party” which invited American sludge metal band “The Body”. In November 2014, he started his own Back To Chill label.
In 2015, GOTH-TRAD found a dubplate cutting studio “Was Alchemy” near his house, and he restarted cutting dubplates. As can be seen from his approach like the remix for Japanese noise core band “ENDON” and a collaboration with Heavy Rock Band “Boris”, his music was becoming more alternative. In 2016, his Back To Chill night had the 10th Anniversary, and he released very limited Dubplate & USB digital album “PSIONICS”. He featured “Boris” and American Experimental Hiphop MC “Da¨lek” on the limited dubplate.

★ GOTH-TRAD WEB SITE --- https://www.gothtrad.com
★ Facebook --- https://www.facebook.com/gothtrad
★ Instagram --- https://www.instagram.com/gothtrad
★ Twitter--- https://twitter.com/GOTHTRAD
★ Soundcloud --- https://soundcloud.com/goth-trad
★ BACK TO CHILL WEB SITE --- https://backtochill.com


KURANAKA a.k.a 1945 (ZETTAI-MU from Japan)

Born in Kyoto, Japan. He is a descendant of the temples of the one of the most famous Buddhist monk in Japan history, the initiator of the Buddhist incantation chanting, drumbeating, and dancing (origin of the Bon festival dance).
 He makes full use of his 11 faces and 1000 arms to continue to be the beacon of peace and revolution, from his underground performances in Japan. His riddim to be combined with his open minded instruments that build-up upon, the Super heavyweight bass that goes back and forth with the whole body, with dub effects that of a beast, letting the floor dance madly with joy.  He is a Dub. Jungle and Sound system music pioneer who has been the undisputed leader in the genres for about 30 years. He has performed at over 2000 gigs, and has organized more than 500 Dances until now. He has organized w famous and important Dance in Japan "Zettai-Mu" began in 1995 (Bay Side Jenny, Namura Shipbuilding, Noon, Liquidroom, Unit, Yellow, Eleven, AIR, Rockets, Motherhall, Quatro, Circus, Open Air and more) it will be 25th anniversary 2020!! and then "Outlook Festival Japan" (ageHa Studio Coast, Sound Museum Vision and more) also "Exodus Island " "A Taste Of Sonar (its first time in Asia Sonar Festival)" "International Dub Gathering Jahpan" as well. He performs about 100 gigs a year for more than 25 years, and tour pilgrimages more than 50 times including Japan, Asia, UK, Europe , British London, Spain "International Dub Gathering" "Outlook Festival" and then active in the Asian countries including Beijing, Shanghai, Hong Kong, Korea, Taiwan, the Philippines, Vietnam, Thailand etc in recent years. and also He did use Sound System for Bass music first time in japan.
 Kuranaka (a.k.a 1945) also has been hugely successful with festival appearances throughout Japan, such as the Fuji Rock Festival, Rainbow 2000, Asagiri jam, Metamorphose, Earth Dance, Saturn, Dommune, Nagisa, Mai Music Festival , Outlook Festival and Sonar Festival. such as art museums (Yokohama Art Museum , Kyoto Museum of Art , London ICA etc), the Valley and seaside, Club Hall of city, the Gap of Building and the top of Desk, and the Your Ears.
and then He declined the offer of contract from many major label of japan also world. chose this way staying normal.
 Kuranaka has also toured Japan with Dub Reggaes such as Lee perry, Jah shaka , Aba shanti-i , Mad professor , Zion Train , Adrian Sherwood , Dennis Bovell etc. then Drum and Bass / Jungles such as Roni size Reprazent, Congo Natty, Shy fx, Andy C and many. More then he play with Daftpunk , James Blake , Darren Emarson Underworld , Ash Ra Tempel , Atari Teenage Riot and many more in First visit japan show. he also Performed Flyng Lotus , Battles , The Orb , Smith&Mighty , Cold cut Ninja Tune etc. ofcouse he also with Japanese Acts such as Boredoms, Dj Krush , Audio Active , Tha Blue Herb , Dry&Heavy , Oki dub ainu , Goma , Goth-trad and many more.
 He perform live set with "Kazufumi Kodama" of Japanese reggae originator from Mute Beat. also Didgeridoo player "Goma" and then The controversial product "the Constitution of Japan" developed by a combination with "Shing02" for two International Art Festival (Yokohama Triennale, Kyoto Parasophia) It was created and released for one year.
 He also creates and plays music with Heavy (Dry&Heavy, Rebel Familia), Ao (Dry&heavy), Goma (didgeridoo), Coba (Accordion), NHK Koyxen, E-da(ex.Boredoms), Iccihie (ex.Determinations) , Tokona-x etc. He released (suchas) DJ Spooky , DJ Vadim also The Bug as the name of "MOU", which is the pioneer Future Beat Music "Electlic Lady Land" from the well-known German's "Mille PlateauxI" Moreover, as the name of "Kuranaka", he attended compilation of "Kyogen" with Calm, Shing02 and so on. Furthermore, as the name of "1945", he released featuring alongside ex-Dry&Heavy's bassist, "Akimoto Heavy Takeshi". also released Mixs called "TIGHT" from "Entotsu Recordings". He(and his Live CDs) amassed the sold out sales including all the titles. As a remixer, he sends deep world, dissembles and reconstructs masterpieces done by On-U Sound (UK) Audio Active , Rebel Familia, Churashima Navigator, Original Love, Jun-Gold (Tha Blue Herb Recordings) and so on. The strong beats with the message is down to earth and very sensitive but mighty sense of "Past", "Now", and "Future". We are fighting against the monsters of our own creation. Remember 1945, Peace one love Harmonic future !!
 Japanese written "クラナカ" also his name in long time ago. and then "The Kaoss Pad" used habitually all over the world is.. Delay, Reverbe, Siren.. It was developed by him. and the his model "Siren Machine" thats using Mala (Digital Mystikz) also The Bug etc.  The message carried out from his strong beat, reaches those of whom both legs are grounded to our earth, is delicate, yet, powerful.. the 21st century taiko drummer, waves his flag to peace and love for a harmonic future. Somewhere, now today.

★ Zettai-Mu --- https://www.zettai-mu.net
★ Outlook Festival Japan --- https://outlookfestival.jp
★ Facebook --- https://www.facebook.com/zettaimu.jp
★ Instagram --- https://www.instagram.com/zettaimu
★ Twitter(@zettai_mu) --- https://twitter.com/zettai_mu
★ Sound Cloud -- https://soundcloud.com/kuranaka1945


D.J.Fulltono

大阪を拠点に活動。レーベル〈Booty Tune〉主催。2014年に発表したEP『My Mind Beats』は、米国の音楽メディア『Rolling Stone』年間チャートに選出。ポーランドの『UNSOUND FESTIVAL 2016』出演。2019年、dBridge主催レーベルEXIT Recordsより “Before The Storm EP” をリリース。
シカゴのジューク・フットワークサウンドを、自身のルーツであるミニマルテクノ的な感性でミックス。また、CRZKNYとのプロジェクト〈Theater 1〉や、Skip Club Orchestraらとの〈Draping〉等、160BPMに拘りながら日本発進の独自スタイルを追求している。

Footwork/Juke DJ and Track Maker. from Osaka Japan
DJ/track maker DJ Fulltono comes from the Kansai region, Japan. He runs a label “Booty Tune”. Host of a party “SOMETHINN”. A prolific writer of Juke/Footwork for international medias. Based in Juke / Footwork , his voracious style includes Ghettotech, Electro, Chicago House, and so on. He provides Planet Mu and Hyperdub with privilege DJ MIX CDs. In the mix for Concept Radio, a Spanish web magazine, He pursues Techno-style Juke. In May 2015, he released his 6th EP “My Mind Beat Vol.02. The first one,”My mind beats vol.1”was selected ““20 Best EDM and Electronic Albums of 2015” by the media in US ” Rolling stone ” and that obtained an evaluation from the fan in the world.

★ D.J.Fulltono WEB SITE --- https://djfulltono.com
★ Facebook --- https://www.facebook.com/djfulltono
★ Instagram --- https://www.instagram.com/djfulltono
★ Twitter--- https://twitter.com/djfulltono
★ Soundcloud --- https://soundcloud.com/dj-fulltono


ntank

2000年さいたま市生まれ、京都在住。 自身のパーティMAVEを京都West Harlemにて主宰。日本各地からゲストを招聘し、ダンスミュージックを主軸にバラエティあるパーティとなっている。 様々なジャンルを横断しながら自由に駆け抜けるプレイを得意としている。 また、大阪や神戸等の関西圏だけでなく名古屋や、東京など様々なエリアにてプレイを重ねている。

★ Instagram --- https://www.instagram.com/_ntank
★ Twitter--- https://twitter.com/_ntank
★ Soundcloud --- https://soundcloud.com/ntank

Mars89 - ele-king

 ことにイギリスと比較した場合、日本がアンダーグラウンド・シーンに対するリスペクトの少ない国であることは、国内から影響力を持ったDIYレーベルがなかなか生まれない現状からもうかがえる。まあ、イギリスが特殊なのかもしれないが、強者にすり寄り弱者に冷たいのは何も政府のことだけではないし、アンダーグラウンドでサウンド・アートを追求しているミュージシャンたちは相変わらず苦戦を強いられていることだろう。とはいえ、昔と違っていまは(たんなる内輪になってしまいがちなリスクはあるものの)細分化された小さなシーンがいくつもあり、bandcampなどを介して海外との回路も作れるので、自国内でのサポートがなくても活動を続けやすいことはせめてもの救いなのかもしれない。Mars89は、ここ数年の東京のアンダーグラウンド・シーンにおいてもっとも目覚ましい活躍を見せているDJ‏‏/プロデューサーのひとりで、彼の名声もイギリスや欧州のほうが大きい(なにせ、トム・ヨークがリミックスをするくらいだ)。去る5月上旬にリリースされた彼にとって初となるアルバムは、現在アテネに拠点を置く〈Bedouin Records〉からリリースされている。日本にもし『ガーディアン』のようなジャーナリズムと文化を重んじる真性の左派メディアがあったなら、大きくフィーチャーされたであろう作品(であり、アーティスト)だ。
 
 まあいい。そう、彼には時代の潮目を感じ取る嗅覚があったことも大きい。Mars89がカセットテープ作品「Lucid Dream EP」をブリストルの〈Bokeh Versions〉からリリースした2017年は、アンダーグラウンドにおけるダンスホールとダブの再研究が高まりはじめた時期でもあった。〈Bokeh Versions〉がロウ・ジャック vs タイム・カウの「Glacial Dancehall 2」をリリースし、ジェイ・グラス・ダブスが頭角を現し、あるいはレイムが「Reel Torque Volume 13: Our Versions Of Their Versions」を出したりといった具合に、新しい世代が自由な発想をもってダンスホールやダブを再解釈する、シーンのそんな動きのなかでMars89も脚光を浴びた。
 
 2018年のシングル「End Of The Death」においてもそれを確認することができるように、Mars89には彼独自のサウンドがあった。ぼくが思うに彼の初期のサウンドは、アインシュテュルツェンデ・ノイバウテンの“ユーグン”におけるリミックスやタックヘッドのプロデュースなどを手がけていた1980年代半ばのエイドリアン・シャーウッドに通じるセンスがある。インダストリアル・ダブの再解釈と言えるもので、つまり混沌とし、テクノとの境界線は曖昧となって建築現場のノイズと親和性を持っている。それが情け容赦ない攻撃性を帯びているのは、Mars89がこうした彼の作品を、オリンピックを前に東京都がジェントリフィケーション(都市の高級化)を加速させていた時期に録音していたことも無関係ではないだろう。豪華なリミキサー陣で話題になった「The Droogs」でも、彼の産業廃棄物めいたダンスホール・スタイルは圧倒的だった。しかも彼はそこに留まらず、「New Dawn」や「Night Call」といった最近のシングルにおいてヴァリエーションを着実に増やしている。いまやMars89は、ドレクシアの深海やブリアルが描く深夜の裏通りと共振しながら、アンダーグラウンド・レイヴを掘り下げているように見受けられる。「Night Call」にいたってはダブステップとの接続も果たしているし、たとえば“North Shibuya Local Service”などは、日本にもしゴス・トラッドザ・バグが着手したダブの異形接合体を継承する者がいるとしたらMars89ではないかと思わせてしまう曲だったりする。
  
 そんなわけで『Visions』は待望のファースト・アルバムだが、ありがちな〝これまでの総集編〟にはならなかった。ここにはMars89にとっての新章と言えそうな、あらたな試みがある。1曲目からしてそうだ。旋回する電子ループの向こうから4/4キックドラムが聴こえるという“They made me do it”は、デトロイトのロバート・フッドによる暗いハード・ミニマルとリンクする、ジャンル分けするならテクノのタグを付けられる曲だ。もっとも、それぞれの音の位相は独特で、音の歪み方も過剰だし、いわゆる4つ打ちのテクノとは質感が少々異なっている。だが、ビートの入り方はテクノのそれで、喩えるなら、どこかの地下室でおこなわれているレイヴを地上の少し離れた場所から聴いているような錯覚を覚えてしまう、そんな遠近法を持った曲だ。しかもこうしたアプローチはこの1曲だけではない。“Flatliner”という曲などは、ディストーションをかけられた電動工具によるミニマルのごとしである。
 これまでのダブ路線を踏襲する曲はもちろんある。たとえば“Auriga”という曲がそれで、ずたぼろになったメランコリックなダンスホール・レゲエとでも言えばいいのか、そんなサウンドだ。他方ではダーク・アンビエントめいた様相も配置されているし、“Nebuchadnezzar”なる曲にはクラウトロックめいた催眠的なリズムがある。

 「This album is dedicated to the city dwellers who live with the rats and crows in the gaps of the city where the giant capital tries to control everything.(このアルバムは、巨大資本がすべてを支配しようとするシティの隙間で、ネズミやカラスと暮らすシティ・ドウェラーズ(都市生活者)に捧げられている)」と本人がジャケットに記しているように、『Visions』はポリティカルな作品でもある。Mars89の「シティ」は、日本がアメリカ型の消費生活に憧れ、この国もひょっとしたら欧米のように豊かな国じゃないかと信じられていた時代の「シティ」とはまるっきりの別物だ。「Don't dream the past. Remember the future.(過去を夢見るな、未来を思い出せ)」とも彼は記しているが、Mars89は、明るいイメージの未来を描けないでいる今日の日本を生き、足下をたしかに未来に向かおうとしている。徹頭徹尾ダークだが、ここには自由があるし、売れることよりも出したい音がある。それがアンダーグラウンドってものだ。誇り高き音の実験場であり、それは世界に開かれている。
 最後の“Goliath”から“LA1937”への展開では、錯乱したハード・テクノの混沌からドランベースの断片が宙を彷徨う静寂さへとたどり着く。夜が明ける前に、我々はふらふらになりながら、地下からようやく地上に這いずり出て、地面に腰を下ろしひと息ついて空を見る。よし、まだいける。もういちど地下に潜ろう。いわばポスト・レイヴ・カルチャー。Mars89の冒険は、はじまったばかりである。

 なお、アルバムのデザインは日本人DJのゾディアック。彼は同レーベルの作品のデザインを多数手がけているが、ほかにも大阪の音響作家、Ryo Murakamiが主宰する〈Depth Of Decay〉レーベルのデザインも担当している。チェックしましょう。

 ネット上でたまに見かける「lilacoustic」という単語はプロデューサー名なんだろうか、新しい音楽用語なんだろうかと思っていたら、『フォートナイト』で知られるエピック・ゲームズに買収されたbandcampで初めて「lilacoustic」というタグ付けを発見。韓国の새눈바탕/セヌンバタン(Bird's Eye Batang)がそれで、実はこのプロデューサー、4年前に『무너지기/ムノジギ(Crumbling)』がアメリカで話題となり、日本ではくるりが持ち上げていた공중도둑/コンジュンドドゥク(空中泥棒/Mid-Air Thief)の別名義であった。공중도둑/コンジュンドドゥク(空中泥棒)自体が공중도덕/コンジュンドドク(公衆道徳/Gongjoong Doduk)の変名で、그림자 공동체/クリムジャ コンドンチェ(Shadow Community)という名義もあったりして、この人はアルバムをリリースするごとに名義を変えるのかと思っていたら、공중도덕/コンジュンドドク(公衆道徳)名義の2作目も出ていたりで、実にややこしい [ 공중도덕/コンジュンドドクは「公衆道徳」、공중도둑/コンジュンドドゥクは「空中泥棒」、그림자 공동체/クリムジャ コンドンチェは「影共同体」、새눈바탕/セヌンバタンは「鳥瞰バタン(地名?)」という意味だそうです ]。しかし、なぜ새눈바탕/セヌンバタンは『손을 모아/ソヌル モア』に「lilacoustic」というタグを付けたのだろうか。공중도둑/コンジュンドドゥクは基本、フォークトロニカと呼ばれることが普通だったとはいえ、『손을 모아/ソヌル モア(Flood Format)』に関しては全編エレクトロニクスだし、『무너지기/ムノジキ 』のようにロック色がないところが気に入って僕は聴いていたのだけれど、エレクトロニクスがメインになったものに改めて「lilacoustic」というタグを付けるのもヘンな話である。「lilacoustic」というワードは実のところ何を意味しているのか。音楽用語などというものは実際、ふわっと始まって定着することもあればそうはならなかったりもするので、あまり早くから考えてもしょうがないことはわかっている。ちなみにフォークトロニカというのはフォーテットやカリブーのようにアコースティック音源を多用したエレクトロニカを指し示すのがいまでは一般的だけれど、最初はバッドリー・ドラウン・ボーイ周辺のを表現するために生まれた表現であり、モーマスなどが積極的に使ったこともあって、『무너지기/ムノジギ 』を聴いてロック系がフォークトロニカというタグ付けを取り戻すのは自然なことだったと思う。

 「lilacoustic」というワードを脇にどかして、改めて『손을 모아 /ソヌル モア』を無邪気に聴いてみよう。オープニングからいきなり桃源郷。さらにマウス・オン・マーズを思わせるスラップスティックなエレクトロニカへと続き、アレンジもどんどん派手になっていく。ごちゃごちゃとした音響自体がそういえば久しぶりで、爽やかに空を駆ける“빙의빙/ビンウィビン(Ripplippling)”もこのところ忘れていた感覚かも。時にノイジーにもなる過剰な装飾性と巧みに緩急をつけていく構成力でどんどん聞かせていき、後半はビートが刻まれない曲が続くのに、それでも独特の磁場をキープし続ける。エンディングはパスカル・コムラードのようなトイ・ピアノが哀愁や儚さを印象づけ、すべてを裏切るような終わり方。往生際の悪いエンディングも意外と悪くない。『무너지기/ムノジギ』に漲っていたコーネリアス色は希薄になり、ビーチ・ボーイズのメソッドも表面上からは消え去っている(ロック的なアプローチは공중도덕/コンジュンドドク名義でやり尽くしたということなのか)。昨年、アメリカで話題になったパク・へジン『Before I Die』でもサビの出てこない“Star Fruits Surf Rider”みたいな曲があったりして、コーネリスが韓国のアンダーグラウンドに与えた影響ってもしかしてかなり大きいのかなと思うと同時に2000年前後のレトロなムードが新鮮に聞こえたことには驚いた。『イカゲーム』は実際には10年前の企画だというし、『愛の不時着』のスチャラカも虚しく尹錫悦大統領は北への宥和政策は終わりにするというし、韓国の気分が本当のところはどうなのかいまいちよくわからないけれど。

 공중도둑/コンジュンドドゥク(空中泥棒/Mid-Air Thief)=새눈바탕/セヌンバタン(Bird's Eye Batang)がスゴいなと思うのは本人はSNSを一切やらずにここまで知名度を伸ばしたこと。フィッシュマンズが世界的に支持を増やしたのと同じくRateYourMusicがジャンピングボードになったようで、フォーク好きの人がエレクトロニック化した새눈바탕/セヌンバタンにも期待を持続させるなど書き込みの熱さは草の根のフィードバックがそのまま反映されているように感じられる。

(編集部註)韓国語のカタカナ読みは、八幡光紀氏によるものです。ありがとうございました!

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143 144 145 146 147 148 149 150 151 152 153 154 155 156 157 158 159 160 161 162 163 164 165 166 167 168 169 170 171 172 173 174 175 176 177 178 179 180 181 182 183 184 185 186 187 188 189 190 191 192 193 194 195 196 197 198 199 200 201 202 203 204 205 206 207 208 209 210 211 212 213 214 215 216 217 218 219 220 221 222 223 224 225 226 227 228 229 230 231 232 233 234 235 236 237 238 239 240 241 242 243 244 245 246 247 248 249 250 251 252 253 254 255 256 257 258 259 260 261 262 263 264 265 266 267 268 269 270 271 272 273 274 275 276 277 278 279 280 281 282 283 284 285 286 287 288 289 290 291 292 293 294 295 296 297 298 299 300 301 302 303 304 305 306 307 308 309 310 311 312 313 314 315 316 317 318 319 320 321 322 323 324 325 326 327 328 329 330 331 332 333 334 335 336 337 338 339 340 341 342 343 344 345 346 347 348 349 350 351 352 353 354 355 356 357 358 359 360 361 362 363 364 365 366 367 368 369