ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Brian Eno - FOREVERANDEVERNOMORE (review)
  2. Mansur Brown - NAQI Mixtape (review)
  3. Loraine James - Building Something Beautiful For Me (review)
  4. Natalie Beridze - Of Which One Knows (review)
  5. 幾何学模様 - クモヨ島 (review)
  6. interview with Gusokumuzu 勝ち組でも負け組でもない若者のリアル (interviews)
  7. Cholie Jo ──沖縄のラッパーCHOUJIとOlive Oilによるデュオがアルバムをリリース (news)
  8. 김도언 Kim Doeon(キム・ドオン) - Damage (review)
  9. interview with Dry Cleaning 壊れたるもののテクスチャー (interviews)
  10. 追悼:キース・レヴィン R.I.P. Keith Levene (news)
  11. グソクムズ ──秋に吹く爽やかな一陣の風、吉祥寺から注目のバンドが登場 (news)
  12. TAAHLIAH and Loraine James ──ロレイン・ジェイムズの新曲はグラスゴーの新人プロデューサーとのコラボ (news)
  13. Björk - Fossora (review)
  14. Soundwalk Collective with Patti Smith ──ブライアン・イーノ、ルクレシア・ダルト、ケイトリン・オーレリア・スミス、ロティックなどユニークな面子が参加したリミックス盤が登場 (news)
  15. interview with Louis Cole 〈ブレインフィーダー〉が贈る超絶技巧ファンキー・ドラマー (interviews)
  16. Kukangendai ——エクスペリメンタル・ロック・バンドの空間現代による新たな試みに注目 (news)
  17. Crack Cloud Japan Tour 2022 ——インディ・ロック好きがいま大注目しているバンド、Crack Cloudが初来日 (news)
  18. interview with Mount Kimbie マウント・キンビー、3.5枚目にして特殊な新作について語る (interviews)
  19. ファイブ・デビルズ - (review)
  20. 今年気に入っているミニ・アルバム - (review)

Home >  Reviews >  Album Reviews > Seefeel- Seefeel

Seefeel

Seefeel

Seefeel

Warp Records / ビート

Amazon iTunes

野田 努   Jan 05,2011 UP
E王

 ミディアムテンポの8ビートとエレクトロニック・ノイズの"デッド・ギターズ"は、音の粒子の荒れたカンだ。see(見る)+feel(感じる)という、あの時代らしいネーミングを持ったバンドは、15年振りの4枚目のアルバムで貫禄を見せつけている。1993年、このバンドが登場したときは、「マイ・ブラッディ・ヴァレンタインとエイフェックス・ツインの溝を埋めるバンド」と謳われたものだったが、最新作の『シーフィール』は「ダブステップとクラウトロックの溝を埋めている」ようだ。2010年にシングルとして先行リリースされた"ファウルツ"は、ある意味では歌モノだが、『クラスターII』をバックにスペースメン3が歌っているような、倒錯したポップである。"リップ・ラン"は1994年ぐらいのシーフィールにもっとも近い。ドリーミーで、スペイシーで、ダビーだ。1990年代末にボアダムスに在籍していたイイダ・カズヒによる8ビートとシゲル・イシハの重たいベースが霊妙なメロディをともなって、霧のように広がるこの音楽に骨格を与えている......。
 
 シーフィールのカムバック作は過去のどのアルバムとも違うが、ファンにはドリーミーな『クイック』と無愛想な『サッカー』の中間だと説明することができるかもしれない。数年前に再発された彼らのデビュー・アルバム『クイック』は、〈トゥ・ピュア〉がもっとも勢いのあった時期にリリースされた、当時のロンドンのシューゲイザーからのアンビエントへの見事なアプローチだった。それはあの時代の幸せな空気が詰まったドリーム・ポップで、そしてアルバムのなかの1曲は翌年にエイフェックス・ツインによるリミックスが2ヴァージョン発表されている。1994年に〈ワープ〉と契約した彼らは、素晴らしい12インチ・シングル「ステアスルーEP」を発表している。収録された"スパングル"は〈ワープ〉のクラシックとして知られている曲で、その根強い人気たるやおよそ10年後にオウテカがリミックスをしているほどだ。
 とはいえ、1995年のセカンド・アルバム『サッカー』にはファースト・アルバムのような親しみやすさはなかった。そればかりか、初期のドリーミーな質感を積極的に排除しているようだった。セカンド・サマー・オブ・ラヴを丸めて捨てるように、ギタリストのマーク・クリフォードを中心とした第二期シーフィールは、1996年には〈リフレックス〉から『(Ch-Vox)』を発表するが、バンドはそれを最後に休止状態となり、そしてクリフォードはディスジェクタ名義のソロ作品『クリーン・ピト・アンド・リド』を〈ワープ〉から出すと、音楽の表舞台から姿を消す。
 
 フィードバック・ノイズをキング・タビーをミキシングしたような"メイキング"も最高だが、ジェームス・ブレイクやマウント・キンビーのようなポスト・ダブステップと共振する"エアレス"、エメラルズやOPNと共振する"Aug30"はなお素晴らしい。そして、アルバムの最後を飾る"スウェイ"の、ノイジーでありながらエレガントな展開は......このバンドの15年の沈黙が無駄ではなかったことを確信させる。第三期に突入したシーフィールは後ろを振り向かずに前に進んでいる。2011年の1月において間違いなく頂点に立つ1枚の登場である。
 
 ......というわけで、明けましておめでとうございます!

野田 努