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MV & EE

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Space Homestead

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橋元優歩   Jul 24,2012 UP
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 いま〈ウッディスト〉からリリースするには、たとえば"ウェイストランド"のギター・ソロなんかはちょっとこぶしがきき過ぎていると思って、でも奏法の問題でもないと感じたので、ためしにガレージバンドに入れてハイを削って中低域を強調してみたら、じつに具合がよろしかった。まったくDTMの知識はないからやれることはここまでで、操作の意味を理解しないまま他もいろいろいじってみたが、まあ、リアル・エステイトやウッズみたいにはならなかった(クレジットにはジェレミー・アールの名がある。ドラムやスティール・ギターで参加しているようだ)。これはタワーレコーディングスや彼らが取り組んできた一連のアヴァン・フォーク作品を振り返れば、冒涜ともいえる行為である。ローファイであっても、クリアな感触、さめたようなプロダクションのなかに彼らの無重力的なサイケデリアは宿る。けっしてチルウェイヴっぽく音をけずってもこもこにしたり、よごしたり、あるいはリヴァーブをかけ過ぎたりすることのなかにはない。その意味で筆者のおこなった聴き方は、尾頭つきの鯛をつみれにして食べてしまうようなものかもしれず、品もない。しかしそのほうがいまの生理にあっていたということと、なにより、〈ウッディスト〉のまばゆかった先進性がここへきて後退してしまったように感じてさびしかったのである。実力者たちによる心ある優れた作品、をリリースするのはすばらしいことだし、個人的な関係やリスペクトもあるだろうが、〈ウッディスト〉からの新しい才能がしばらく見出せなかったなか、次の一手がMV & EEとはなにか保守的な展開だという気はしないだろうか。

 とはいえ、もちろんMV & EEは素敵だ。タワー・レコーディングスのマット・ヴァレンタインと、パートナーでありマルチな才能を持つエリカ・エルダーによって2000年に結成されて以降、おびただしい量の作品をリリースしてきた。サーストン・ムーアの〈エクスタティック・ピース〉からも発表しており、ほかにハンドメイドの超限定ものも多い。ニール・ヤングやグレイトフル・デッドと比較されるが、レイドバック感よりは、たとえばギャラクシー500やステレオラブの時代のあとの音だということがよくわかる。それはなにも"トゥー・ファー・トゥ・シー"に挿入される電子音などのことばかりを指すわけではなくて、"ハート・ライク・バルバラ・スティール"という導入のドリーミーなアンビエント・スタイルもとてもしゃれていて現代的だし、"スウィート・シュア・ゴーン"での打楽器の響きかたやハンド・クラップも空間性を繊細に生むようとても心地よく塩梅されている、そうしたことの全体についてである。タワー・レコーディングスらのエクスペリメンタルな志向性に対して、サウンドキャリアーズやコットン・ジョーンズのように、より素朴で瀟酒な歌ものとしてとらえることもできる。それはフォーク・ロックのアクを持ちながら、とても浮遊感のある、そしてどこか環境音楽的な音の採りかたをしているようでもあり、聴きながそうとすればしっくりと背景に、じっくり聴こうと思えば緻密な細部を備えて前掲に浮かびあがる。この作品じたいはとても上質なものだ。夏の薄明には"ポーチライト>リーヴス"もよく映える。

橋元優歩