ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Cornelius - Refractions | コーネリアス
  2. This Is Lorelei - The Singer in My Band | ディス・イズ・ローレライ
  3. RYUICHI SAKAMOTO + SHIRO TAKATANI AMBIENT KYOTO - TOKYO -
  4. Dusty - Dusty & Friends / Commodo - Deep Harbour ft. Alfa Mist / Untold - False Vacuum
  5. Rough Trade ──50周年イベント開催を祝し、恵比寿KATAにポップアップが出現
  6. Columns Dennis Bovell デニス・ボーヴェルひさびさの新録は無類のカヴァー集
  7. Columns P-VINE 50th Anniversary Interview Pヴァイン50周年対談
  8. interview with Wendell Harrison 音楽の楽園=デトロイトから、ウェンデル・ハリソンがファラオ・サンダースとサン・ラーの思い出を語る
  9. 鷲巣功
  10. interview with Toshimaru Nakamura 世界を魅了する、類い稀なる電子音響 | ──中村としまる、待望の初期ベスト盤リリースと超ロング・インタヴュー
  11. 別冊ele-king パンク50周年記念号──それは何だったのか、何でありえるのか
  12. ele-king vol.37 ボーズ・オブ・カナダ大研究/サイケ&ドリーミー特集
  13. Lambchop - Punching the Clown | ラムチョップ
  14. Fishmans ——京都でフィッシュマンズ写真展とトークイベントのお知らせ
  15. Open Mike Eagle & Kenny Segal - DOOMED! | オープン・マイク・イーグル、ケニー・シーガル
  16. AMBIENT KYOTO ──2027年春、レイ・ハラカミの展示が決定
  17. Crack Cloud ──カナダのインディ・バンド、クラック・クラウドの来日公演が決定
  18. 未来マニア──エレクトロニック・ミュージック・ガイド
  19. Betty Hammerschlag ——マニア受けしていたZ世代のe-girlシンガーが、実は中年のおじさんだったニュース
  20. R.I.P. Miru Shinoda 追悼:篠田ミル

Home >  Reviews >  Album Reviews > Major Lazer- Free the Universe

Major Lazer

Bass MusicDancehallHip HopHouseReggae

Major Lazer

Free the Universe

Mad Decent / Traffic

Amazon iTunes

北中正和 May 09,2013 UP

 カリブ海の音楽といえば、椰子の浜辺のリゾートの涼風やこんがり灼けた美女が反射的に浮かぶようにわれわれは洗脳されている。
 気持ちのいいイメージを思い浮かべることに反対する理由は何もないのだが、ジャマイカ生まれのダンスホールやそれがスペイン語圏の島々の音楽と結びついたレゲトンは、その光景にとどまらない部分も持っている。それらの音楽はカリブ海のストリート/アンダーワールドに深く根ざす一方、ヒップホップやマイアミ・ベースやイギリスのダブステップやブラジルのバイリ・ファンキなど世界各地のエレクトロニックなダンス・ミュージックとも通底しているからだ。
 地すべり的なその現象を象徴的に物語っているのがレゲトンの人気者ドン・オマール・フィーチャリング・ルセンゾの"ダンサ・クドゥロ"だろう。映画『ワイルド・スピードMEGAMAX』に使われたこの曲は、アンゴラのダンス・ミュージック、クドゥロをもとにしてポルトガル人DJルセンゾが放ったヒットのリメイクで、YouTubeでの視聴が4億4千万回を越えている。

 さて、バイリ・ファンキの支持者でもあるDJディプロが主宰するメジャー・レイザーは、ダンスホールを基調にしているが、ビートは通常のダンスホールより多様で越境的。ウェブの『IMDb』に引用されている、ディプロにプロデュースを依頼したのは「音楽の根拠地を持たない感覚が自分と似ているので、ふたりが組めば根拠地のなさを根拠地にできると思ったから」という意味のM.I.A.の言葉(引用出典は不明)もなるほどという感じだ。
 この4年ぶりの2作目では、前作でチームを組んでいたスウィッチが去り、新しいDJたちとチームを組んでいるらしい。今回フィーチャーされているのはエレファント・マン、シャギー、ワイクリフ・ジョンといった有名どころから、ロック系のブルーノ・マーズ、ダーティ・プロジェクターズ、ヴァンパイア・ウィークエンドまでと幅広い。
 ときには尖鋭的に、ときにはロックぽく、ときには下世話に、柔軟にビートを切りかえながらアルバムは進んでいく。ディープなヒップホップを聴いた後にブラック・アイド・ピーズに出会ったときのような親しみやすさもおぼえる。
 ミシシッピ生まれでアメリカ南部を転々として育ったディプロには、まだまだ隠している音楽の引き出しがありそうだが。

北中正和