ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. interview with Bullsxxt 国家なんかいらねぇ (interviews)
  2. Satoshi & Makoto - CZ-5000 Sounds & Sequences (review)
  3. Giggs - Wamp 2 Dem (review)
  4. interview with Ian F. Martin アイデンティティの問題と、いまアイドルについて語らないこと (interviews)
  5. BS0xtra with V.I.V.E.K ──低音のロンドン/東京・アンダーグラウンドを体験してくれ (news)
  6. talk with Takkyu Ishino × Stephen Morris - 特別対談:石野卓球×スティーヴン・モリス(ニュー・オーダー) (interviews)
  7. Hello Skinny - Watermelon Sun (review)
  8. B12 - Electro-Soma I + II (review)
  9. ele-king TV presents 『ゲイ・カルチャーの未来へ』刊行記念番組──田亀源五郎、トーク・ショウ@DOMMUNE (news)
  10. BS0xtra XtraDub (chart)
  11. Shuta Hasunuma ──蓮沼執太が最新シングルをリリース (news)
  12. Teen Daze - Themes For A New Earth (review)
  13. SILENT POETS ──2018年2月、12年ぶりのオリジナル・アルバムをリリース (news)
  14. 音楽と建築 - ヤニス・クセナキス 著 高橋悠治 編訳 (review)
  15. interview with IO - KoolBoyの美学 (interviews)
  16. Yaeji - EP 2 (review)
  17. パーティで女の子に話しかけるには - (review)
  18. interview with TOKiMONSTA ウサギおばけの帰還 (interviews)
  19. Takehisa Kosugi ──50年代から現在に至る小杉武久の活動を紹介する展覧会が開催、トークや上映会も (news)
  20. Columns いまだ眩い最高の夜 ──ニュー・オーダーのライヴ盤『NOMC15』を聴きながら (columns)

Home >  Reviews >  Album Reviews > Luke Wyatt- Teen Hawk

Album Reviews

DroneElectronicKrautrockMinimal

Luke Wyatt

Luke Wyatt

Teen Hawk

Emotional Response

Amazon iTunes

E王

Torn Hawk

Torn Hawk

10 For Edge Tek

Valcrond Video

E王

三田 格   Aug 19,2013 UP

このエントリーをはてなブックマークに追加

〈PPU〉のスリーヴ・デザインや映像作家として人気のルーク・ワイアットがこれまで使ってきたトーン・ホーク名義のセカンド・アルバムを自身のレーベルから、そして、本人名義のデビュー・アルバムをニック・ナイスリーのレーベルからほぼ同時にリリース。いずれもクラウトロックを基本としたもので、非常にフレッシュな感性を縦横に展開している。リーヌ・ヘルやエメラルズのようにノイズ・ドローンを起源に持つ世代とは明らかに咀嚼の仕方が異なり、ヴェイパーウェイヴのような抜け殻モードでもない。クラウトロック・リヴァイヴァルからコニー・プランク的な人工性を抽出し、しっかりと現在のシーンに定位置を見定めている。

 イーノ&クラスターにクラウス・ディンガーが加わったような『ティーン・ホーク』はこれまでの集大成といえるだろう。シャキシャキとしたパッセージで穏やかなメロディを引き立てるあたりは往年のクラウトロック・マナーそのままにも関わらず、ノスタルジーに回収されてしまう余地は与えず、全体的にシャープでさわやかな感性がキープされる。小刻みに反復されるドローンにも類まれなる抒情性が持ち込まれ、それほど音数は多くないのにイメージの広がりも圧倒的。これが本当にアメリカ人の音楽なのかと思うほど人間不在の自然観が伝わってくる。素晴らしい。

 一転して、メビウス&プランクを思わせる『10・フォー・エッジ・テック』はインダストリアルな要素も上手く取り入れた新機軸。これはフィンランドの海運業者から依頼を受けてつくったものだそうで、タグボートが氷を砕いていくときのBGMだかなんだかに使われるものらしい(ホントかなー)。強迫的なメトロノミック・ビートや全体として与えるシャープでさわやかな感触には変わりがなく、ダンス・ミュージックは意図していないのかもしれないけれど、妙なスウィング感まであって、この暑いのについつい体が動いてしまう(......ゲロゲロ)。

"スリー"

 ミニマルとしても目新しいし(とくに"ナイン")、アンディ・ストットとプラスティックマンが合体したような"シックス"が氷を一気に掻き砕くかと思えば、スーサイドを思わせる"フォー"はそれをじわじわと溶かし、ビート・ダウンした"セヴン"もじつにいい。単にダイナミックなだけではなく、相反するような音響効果を仕掛けることで、激しさのなかにも優しさを持たせてしまうところがこの人のセンスなんだろう。いや、もう、降参です。ルーク・ワイアットという人は、けっこう控えめに言ってもクラウトロックの新たなフォーマットを生み出してしまったのではないだろうか。考えてみればOPNに驚いたのがもう3年前。USアンダーグラウンドはとどまるところを知らず、2013年にはアレックス・グレイ、マシュー・セイジ、そして、このルーク・ワイアットをフロントラインに浮上させてきた。

三田 格