MOST READ

  1. Campanella - PEASTA (review)
  2. Arca──アルカが〈XL〉と契約、4月にニュー・アルバムをリリース、新曲も公開 (news)
  3. Gabriel Garzón-Montano - Jardín (review)
  4. interview with Jeff Mills100年先の人びとへ (interviews)
  5. TAKKYU ISHINO×WESTBAM──STERNE15年目の夜、石野卓球×ウエストバム (news)
  6. Clap! Clap! - A Thousant Skies (review)
  7. yahyel - ──この一風変わった名前のバンドをきみはもう知っているか? ヤイエルが500枚限定の初CD作品をリリース (news)
  8. KANDYTOWN - ──キャンディタウンがついにメジャー・デビュー (news)
  9. Visible Cloaks - Reassemblage (review)
  10. Columns 映画『サクロモンテの丘』に見るフラメンコのDNA (columns)
  11. ROCKASEN──これストリートの夢心地かな、ロッカセンの素晴らしい新作が無料配信です (news)
  12. Kid Cudi - Passion, Pain & Demon Slayin' (review)
  13. Eccy――エクシー、7年ぶりのフルアルバムが〈KiliKiliVilla〉からリリース! (news)
  14. Dirty Projectors──ダーティー・プロジェクターズが4年ぶりとなる新作のリリースを発表 (news)
  15. Clark──破壊を超えた先の絶景……クラークがニュー・アルバムをリリース (news)
  16. Shobaleader One──スクエアプッシャー率いる覆面バンドがアルバムをリリース、来日公演も決定 (news)
  17. interview with Arca - ベネズエラ、性、ゼンとの出会い (interviews)
  18. interview with IO - KoolBoyの美学 (interviews)
  19. Tinariwen - Elwan (review)
  20. interview with Sampha心を焦がす新世代ソウル (interviews)

Home >  Reviews >  Album Reviews > Luke Wyatt- Teen Hawk

Album Reviews

DroneElectronicKrautrockMinimal

Luke Wyatt

Luke Wyatt

Teen Hawk

Emotional Response

Amazon iTunes

E王

Torn Hawk

Torn Hawk

10 For Edge Tek

Valcrond Video

E王

三田 格   Aug 19,2013 UP

このエントリーをはてなブックマークに追加

〈PPU〉のスリーヴ・デザインや映像作家として人気のルーク・ワイアットがこれまで使ってきたトーン・ホーク名義のセカンド・アルバムを自身のレーベルから、そして、本人名義のデビュー・アルバムをニック・ナイスリーのレーベルからほぼ同時にリリース。いずれもクラウトロックを基本としたもので、非常にフレッシュな感性を縦横に展開している。リーヌ・ヘルやエメラルズのようにノイズ・ドローンを起源に持つ世代とは明らかに咀嚼の仕方が異なり、ヴェイパーウェイヴのような抜け殻モードでもない。クラウトロック・リヴァイヴァルからコニー・プランク的な人工性を抽出し、しっかりと現在のシーンに定位置を見定めている。

 イーノ&クラスターにクラウス・ディンガーが加わったような『ティーン・ホーク』はこれまでの集大成といえるだろう。シャキシャキとしたパッセージで穏やかなメロディを引き立てるあたりは往年のクラウトロック・マナーそのままにも関わらず、ノスタルジーに回収されてしまう余地は与えず、全体的にシャープでさわやかな感性がキープされる。小刻みに反復されるドローンにも類まれなる抒情性が持ち込まれ、それほど音数は多くないのにイメージの広がりも圧倒的。これが本当にアメリカ人の音楽なのかと思うほど人間不在の自然観が伝わってくる。素晴らしい。

 一転して、メビウス&プランクを思わせる『10・フォー・エッジ・テック』はインダストリアルな要素も上手く取り入れた新機軸。これはフィンランドの海運業者から依頼を受けてつくったものだそうで、タグボートが氷を砕いていくときのBGMだかなんだかに使われるものらしい(ホントかなー)。強迫的なメトロノミック・ビートや全体として与えるシャープでさわやかな感触には変わりがなく、ダンス・ミュージックは意図していないのかもしれないけれど、妙なスウィング感まであって、この暑いのについつい体が動いてしまう(......ゲロゲロ)。

"スリー"

 ミニマルとしても目新しいし(とくに"ナイン")、アンディ・ストットとプラスティックマンが合体したような"シックス"が氷を一気に掻き砕くかと思えば、スーサイドを思わせる"フォー"はそれをじわじわと溶かし、ビート・ダウンした"セヴン"もじつにいい。単にダイナミックなだけではなく、相反するような音響効果を仕掛けることで、激しさのなかにも優しさを持たせてしまうところがこの人のセンスなんだろう。いや、もう、降参です。ルーク・ワイアットという人は、けっこう控えめに言ってもクラウトロックの新たなフォーマットを生み出してしまったのではないだろうか。考えてみればOPNに驚いたのがもう3年前。USアンダーグラウンドはとどまるところを知らず、2013年にはアレックス・グレイ、マシュー・セイジ、そして、このルーク・ワイアットをフロントラインに浮上させてきた。

三田 格