ele-king Powerd by DOMMUNE

MOST READ

  1. Moritz Von Oswald Trio - Dissent (review)
  2. Lucrecia Dalt & Aaron Dilloway - Lucy & Aaron (review)
  3. Autechre × Humanoid ──オウテカがヒューマノイドのレイヴ・アンセムをリミックス (news)
  4. interview with Lucy Railton 〈モダーン・ラヴ〉からデビューした革新的チェリストの現在 (interviews)
  5. Abstract Mindstate - Dreams Still Inspire (review)
  6. interview with Jeff Mills + Rafael Leafar 我らは駆け抜ける、ジャズとテクノの向こう側へ (interviews)
  7. Marisa Anderson / William Tyler - Lost Futures (review)
  8. There are many many alternatives. 道なら腐るほどある 第6回 笑う流浪者、あるいはルッキズムに抗うための破壊 (columns)
  9. Cleo Sol - Mother (review)
  10. 地点×空間現代 ——ゴーリキーやドストエフスキー、ブレヒトや太宰の作品を連続上映 (news)
  11. Tirzah - Colourgrade (review)
  12. Juan Atkins & Moritz von Oswald - Borderland / Moritz von Oswald Trio - Blue (review)
  13. interview with Joy Orbison ダンス・ミュージックは反エリート、万人のためにある (interviews)
  14. Lawrence English - Observation Of Breath (review)
  15. Moritz von Oswald & Ordo Sakhna - Moritz Von Oswald & Ordo Sakhna (review)
  16. House music - (review)
  17. P-VINE & PRKS9 Presents The Nexxxt ──ヒップホップの次世代を担う才能にフォーカスしたコンピがリリース (news)
  18. DJ TASAKA - KICK ON (review)
  19. Little Simz - Sometimes I Might Be Introvert (review)
  20. Nav Katze ──メジャー・デビュー30周年を迎えるナーヴ・カッツェ、全作品が配信開始 (news)

Home >  Reviews >  Album Reviews > Prins Thomas- Principe Del Norte

Prins Thomas

AmbientCosmic DiscoMinimal

Prins Thomas

Principe Del Norte

Smalltown Supersound/カレンティート

Amazon

野田努   Mar 18,2016 UP
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 2004年、ノルウェーの首都オスロからの、リンドストロームのダビーでスペーシーなフュージョン・ディスコは、ダンス・ミュージックを更新した。イタロ・ディスコ・リヴァイヴァルと共振し、それは〝コズミック・ディスコ〟とタグ付けされた。当時のリンドストロームの作品には、エディットやミキシングでプリンス・トーマスが関わっていたし、ふたりはコンビとして何枚かのアルバムも残している。そういえば、2014年、『It's Album Time』のヒットも記憶に新しいトッド・テリエは、プリンス・トーマスのレーベル〈Full Pupp〉のカタログ#の1番目のプロデューサーだった。
 ブームがひと段落したあとも、ノルウェーのコズミック・ディスコは相変わらず広範囲にわたっての調査を続けているようだ。作品のクオリティの高さによって人気を確保しているのだ。プリンス・トーマスの新作の評判がすこぶる良い。

 CDで2枚組、通算4枚目のアルバム『プリンシペ・デル・ノルテ』に加味されたレイヤーはアンビエント──そして例によってミニマル、プログレッシヴ・ロックめいた電子音、70年代ベルリン・スクールのクラウツ・シュルツおよびマニュエル・ゲッチング、テリー・ライリーの『A Rainbow In Curved Air』、スティーヴ・ヒレッジの『Rainbow Dome Music』(個人的にかつて熱心に聴いたものばかりなので、懐かしい)──そう、このレヴューがなかなか書き終えられないのは、聴いているとぼーっとしてきて寝てしまうからなのだ。ゆっくり進む乗り物のなかで微妙に揺られながら、意識が遠のいていく。
 (1時間経過)
 70年代風のシンセサイザーのアルペジオが規則正しく繰り返し、繰り返し、繰り返し……は、北欧特有の透明感をともなって再現される。サイケデリックの要素はあるが、過剰でも極少でもない。綺麗な渦がぐるぐるまわるような、ヒプノティックで、幻覚性を孕んだこの宇宙サウンドは、わりと誰もが入りやすく、わりと誰もが現実を忘れることができる。宇宙の4次元空間を知ることはできないが、ルーティーンから逃れることはできる。穏やかなトリップだ。
 しかしこの人は70年代のベルリン・スクールが本当に好きだ……いかん、また眠たくなってきた。CD1の最後のトラックは、90年代のアンビエント・テクノへのオマージュだ。さっさと結論を言おう。2016年になったからといってエスケーピズムが要らないわけではないのであり、目眩がするかもしれないが、二日酔いの朝聴いていいのは陶酔的なCD1のほうで、ファンキーなリズムが通ったCD2ではない(そっちはそっちで良いのだが)。

野田努