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野田努   Mar 18,2016 UP
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 2004年、ノルウェーの首都オスロからの、リンドストロームのダビーでスペーシーなフュージョン・ディスコは、ダンス・ミュージックを更新した。イタロ・ディスコ・リヴァイヴァルと共振し、それは〝コズミック・ディスコ〟とタグ付けされた。当時のリンドストロームの作品には、エディットやミキシングでプリンス・トーマスが関わっていたし、ふたりはコンビとして何枚かのアルバムも残している。そういえば、2014年、『It's Album Time』のヒットも記憶に新しいトッド・テリエは、プリンス・トーマスのレーベル〈Full Pupp〉のカタログ#の1番目のプロデューサーだった。
 ブームがひと段落したあとも、ノルウェーのコズミック・ディスコは相変わらず広範囲にわたっての調査を続けているようだ。作品のクオリティの高さによって人気を確保しているのだ。プリンス・トーマスの新作の評判がすこぶる良い。

 CDで2枚組、通算4枚目のアルバム『プリンシペ・デル・ノルテ』に加味されたレイヤーはアンビエント──そして例によってミニマル、プログレッシヴ・ロックめいた電子音、70年代ベルリン・スクールのクラウツ・シュルツおよびマニュエル・ゲッチング、テリー・ライリーの『A Rainbow In Curved Air』、スティーヴ・ヒレッジの『Rainbow Dome Music』(個人的にかつて熱心に聴いたものばかりなので、懐かしい)──そう、このレヴューがなかなか書き終えられないのは、聴いているとぼーっとしてきて寝てしまうからなのだ。ゆっくり進む乗り物のなかで微妙に揺られながら、意識が遠のいていく。
 (1時間経過)
 70年代風のシンセサイザーのアルペジオが規則正しく繰り返し、繰り返し、繰り返し……は、北欧特有の透明感をともなって再現される。サイケデリックの要素はあるが、過剰でも極少でもない。綺麗な渦がぐるぐるまわるような、ヒプノティックで、幻覚性を孕んだこの宇宙サウンドは、わりと誰もが入りやすく、わりと誰もが現実を忘れることができる。宇宙の4次元空間を知ることはできないが、ルーティーンから逃れることはできる。穏やかなトリップだ。
 しかしこの人は70年代のベルリン・スクールが本当に好きだ……いかん、また眠たくなってきた。CD1の最後のトラックは、90年代のアンビエント・テクノへのオマージュだ。さっさと結論を言おう。2016年になったからといってエスケーピズムが要らないわけではないのであり、目眩がするかもしれないが、二日酔いの朝聴いていいのは陶酔的なCD1のほうで、ファンキーなリズムが通ったCD2ではない(そっちはそっちで良いのだが)。

野田努