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Gay Disco/House

木津 毅   Mar 26,2014 UP

 ハウス、ハウス、ハウス……。これだけイーヴン・キックが鳴らされる時代なら、ゲイ・カルチャー界隈が盛り上がるに決まっているのです。というわけで、アンドロジニックなダンス・トラックをいくつか紹介。

Annie feat. Bjarne Melgaard / Russian Kiss



 コラムでも書いたけれども、それはまさにいま、たったいま起こっているのだ。僕はアメリカ大統領選があった2012年ごろがピークだろうなーと思っていたけれど、先日のソチ五輪をきっかけにして、おもに欧米のLGBT活動家がロシアのアンチゲイ法(「伝統的ではない関係性」を促進するのを禁じるとする法律で、「ホモセクシャリティの助長」が罰せられる)に対抗して、ゲイ・ライツを高らかに訴えている。たぶん、LGBTの歴史上でも最大の波が来ていると言っても過言ではないと思う。
 ノルウェーのエレポップ・アイコン、アニーはホモセクシュアル・アートも手がけてきた現代アート畑のビャーネ・メルガードを呼んで、なかなかラディカルなヴィデオとともにシンセ・ポップとしてプロテスト・ソングをドロップ。「ロシアのキスのために拳を振れ」。けれどもハーヴェイ・ミルクの70年代サンフランシスコの政治活動がそうだったように、この闘いには愛が溢れていて、それはゲイだけではなくあらゆるはみ出し者に捧げられている。「Show your love for the lovers, the others, the fighters, outsiders, people like you」。そう、あなたのようなひとたちのために。ポップでセクシーで、そして決意に満ちたダンス。

Pet Shop Boys feat. Panti Bliss / The Best Gay Possible - Oppressive Dance
Mix



 ペット・ショップ・ボーイズがここまでダイレクトに政治的な振る舞いをするのは珍しいのではないか? しかも、楽曲の上で、だ。アイルランドのドラァグ・クィーンのパンティ・ブリスによるホモフォビアについてのスピーチ(こちら、日本語字幕あり)にハウス・ビートをつけたトラックで、どこか切なげでフワフワしたヴォーカルはなるほどPSB。パンティ・ブリスの発言も非常にわかりやすくていいけれども、その上でどうしてもダンスせねばならないところにゲイ・カルチャーの底力を覚える。というか、PSBがそれを堂々と背負う日がついに来たのかと思うと感慨深い。

Hercules & Love Affair / Do You Feel the Same?



 そして真打登場。さあ、四半世紀前の薄暗いダンスフロアにタイムスリップしよう。そこにはセックスとドラッグの匂いが充満している。この先行シングルでは、得意のディスコのグルーヴで耳元に囁く……「あなたもそう思うでしょ?」
 もちろんだとも!! 新たなゲイ・アイコンの座へと登りつめたジョン・グラントも参加するアルバムは5月。すべての機運が熟している。

木津 毅