「DJ DON」と一致するもの

interview with Heiko Laux - ele-king

 ハイコ・ラウクスはジャーマン・テクノを体現するような人物だ。テクノ黎明期に多感な10代を過ごし、周囲の誰よりも早くシンセサイザーとドラムマシンで楽曲制作を開始。94年に地元ヘッセン州の小さな町でレーベル〈Kanzleramt〉を立ち上げた。それがスヴェン・フェイトの目に留まり、フランクフルトの伝説的クラブ、〈Omen〉のレジデントに抜擢される。99年にはテクノ・キャピタルとして勢いを増していたベルリンに拠点を移し、変わらぬ情熱と熟練のスキルで制作活動とDJ活動ともに精力的に続けている。

 数ヶ月前、宇川直宏氏に「今年もFREEDOMMUNE 0 <ZERO>やるから、いいテクノDJブッキングしてよ!」と言われて真っ先に思い浮かんだのが彼だった。実際に出演が決まり、〈eleven〉でのアフター・パーティと大阪〈Circus〉でもそのプレイを披露することになったハイコに、ベルリンで話を聞いた。テクノ・ファンならすでにお馴染みのベテラン・アーティストだが、3年ぶりの来日ツアーに先駆けて、これを読んでその素晴らしいプレイのイメージを膨らませて頂ければ幸いだ。


ドイツのテクノもデトロイトの影響を受けてはじまったようなものだからね。そのデトロイトの人たちはクラフトワークに影響を受けていたりするわけだけど。


初めまして。もうすぐFREEDOMMUNE 0 <ZERO>に出演のため来日されますが、私があなたをブッキングしたんですよ。その経緯から少し話させて下さい。実は、きっかけは今回共に出演するDVS1をEle-Kingのために昨年インタビューしたことだったんです。

ハイコ:へえ? どういうことかな?

彼が、90年代にあなたをミネアポリスに呼んだことがあって、その縁であなたに〈Tresor〉でDJする機会をもらったと言っていました。それが初めてベルリンでプレイした体験だったと。

ハイコ:ちょっと待って、いまもの凄い勢いで頭の中の記憶を呼び戻してるから... でもDVS1という人は知らないな。前は違う名前でやっていたのかな?

あれ? 覚えていないですか? それは意外ですね。ではその事実関係は日本で再会した際にDVS1本人と確認して頂きましょう。いずれにせよ、その話を聞いたのが昨年のちょうど同じ頃で、そのすぐ直後にあなたが〈Berghain〉に出演していたので、初めて聴きに行ったんです。

ハイコ:ああ(ニヤリ)、あの日あそこに居たのか。あれは......かなりいいセットだった。

めちゃくちゃ凄かったです(笑)。それで一発でヤラれてしまったんですよ。そのときに、「この人を日本にブッキングしよう」と思ったんです!

ハイコ:そうか、ありがとう。実はね、公にはしていないんだが、CLR Podcastに提供したミックスは、あの日のセットの中の2時間分なんだ。あそこのクラブは録音だの撮影だのに関してはとてもうるさいからね、ここだけの話だけど! うん、あれはかなりいいパーティだった。

2009年の〈WIRE〉に出演して以来、日本には行ってませんものね?

ハイコ:そうなんだよ、だからもの凄く楽しみにしている。そろそろ行きたいと思っていたところだよ。

それまでは、わりと定期的に来日してましたよね?

ハイコ:2000年か2001年くらいから、ほぼ1年おきには行っていたね。

これまでの来日体験はどうでしたか?

ハイコ:いい思い出しかないよ。日本は大好きだ。僕は食べるのが好きなんでね、食べたいものがあり過ぎて困るくらいだ(笑)。初めてスキヤキを食べたときなんて、発狂するかと思ったよ! ヤキニクとか、コウベビーフとか...... とにかく日本の食べ物のレヴェルの高さは凄い! もう6回くらい日本には行ってるけど、毎回驚きがあるね。

ちょっと音楽の話に戻しましょうか(笑)。実は私は90年代のテクノについてデトロイトのことはある程度知っているんですが、ドイツのことはほとんど知識がないので、ぜひその頃の話、そしてあなたがどのような体験をしてきたのか教えて頂きたいんです。

ハイコ:まあドイツのテクノもデトロイトの影響を受けてはじまったようなものだからね。そのデトロイトの人たちはクラフトワークに影響を受けていたりするわけだけど。

バイオグラフィーによれば、ファーリー・ジャックマスター・ファンクの「Love Can't Turn Around」に衝撃を受けて音楽をはじめたとのことですが?

ハイコ:そうだね、まああの曲は一例だけど、ああいうサウンド、いわゆるTR-909のドラムととてもシンプルなベースだけであれだけパンチのある曲は衝撃だった。ああいう音が部分的に使われている曲は聴いたことがあったけれど、シカゴハウスからはそれまで感じたことのない凝縮されたエネルギーを感じたんだ。「俺はこれをやりたい」と思ったんだよ。

それはラジオで聴いたんですか?

ハイコ:いや、クラブだよ。当時は兄がDJをしていたので、まわりの子たちよりも早くクラブに行くことが出来たし、家にそういうレコードがあった。シカゴ・ハウスやUKノアシッド・ハウスなどだね。それ以外はまだポップ・ミュージックしかなかったけれど、あの頃はポップ・ミュージックのシングルにもB面に風変わりなダブ・ミックスなどのインスト・ヴァージョンが入っていた。そういうシンプルなグルーヴの音楽を好んでいたね。特定のサウンドを上手く組み合わせれば、とても少ない音で凄い威力のある曲が出来上がるというところに魅了された。

かなり早い段階から自分の曲を制作することに興味を持っていたようですね?

ハイコ:ああ、もう10代半ばから。小さなバイクに乗れるようになった頃に、最初のキーボードを買いに行ったのを覚えているよ。14歳とかじゃないかな。

その歳ですでにクラブに行って、制作も始めていたんですね?

ハイコ:ああ、地元のバート・ナウハイムという小さな町から、兄の車に便乗してフランクフルトのクラブに出入りしていた。あの頃聴いたDJといえば、スナップ(Snap!)のプロデューサーのひとりだったミヒャエル・ミュンツィッヒなどだね。彼はいつも、ド派手な衣装で現れた。インディ・ジョーンズみたいな帽子を被ったり......毎週違う格好で(笑)。でも誰よりもクールな音楽をかけていた。彼はビートマッチ(曲のピッチを合わせる)だけでなく、ハーモニーをミックスしていたのが印象的だった。前の曲のブレイクのときに、例えばピアノのハーモニーが入っていたとしたら、次の曲のBPMの違うイントロのハーモニーと混ぜるんだ。そこから全然リズムが変わったり。それがとても新鮮だったね、「こういうことも出来るんだ」と思った。いまそういうやり方をする人は全然いない。でも僕は、いまでも選曲をするときにハーモニーで選んだりするよ。他に僕が体験したことと言えば、クラブ〈Omen〉の盛衰だけれど、それもバイオグラフィーに書いてあることだね。

当然、DJとしてスヴェン・フェイトからも大きな影響を受けていますよね?

ハイコ:完全に。スヴェンとの出会いは、僕のキャリアのターニング・ポイントになったから、特別な存在だね。あの頃は誰もが〈Omen〉でプレイすることを目標にしていた。だから僕も自分から「やらせて下さい」なんて野暮なことは聞かなかった。その代わり自分でレーベル(〈Kanzleramt〉)を始めて、曲を出すようになった。そしたら、96年にスヴェンがライヴをやらないかと誘ってくれたんだ。そしてライヴ出演したら、またやって欲しいと言われて、「実は僕はDJもやるんです」と言った。当時、金曜日がスヴェンの日で土曜日が外部のゲストDJがプレイしていた。その土曜日に何度かやったところ、「金曜日にお前の枠をやるから、好きな奴を呼んでパーティをやれ」と言われた。だからサージョンやニール・ランドストラムなどを呼んで一緒にやっていた。店が閉店するまで、それを続けたんだ。

ライヴもやっているんですね? それは知りませんでした。

ハイコ:実はそのときと、すぐ後に一度「POPKOMM」(かつては毎年開催されていたドイツ最大の音楽見本市)だけで、それ以来全然やっていないんだ。他のアーティストとコラボレーション、例えばテオ・シュルテと一緒にやっているオフショア・ファンクなどでは何度かやっているけど、ソロは全然やっていない。それも最後にやったのは2008年だ。その後はDJしかやっていないね。でも、今年のADE(Amsterdam Dance Event)で久々のライヴを披露する予定だよ。とても楽しみだけど、ライヴとなると途端にナーヴァスになる(笑)。

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僕はたしかにラップトップを使っているけど、間違いなくDJをしているからね、そこが違うんだと思う。僕はちゃんと曲を「触っている」。それが鍵なんだよ。こういうシステムを使うと、オートシンクも簡単に出来るけど、それをやってしまうとDJの醍醐味がなくなってしまう。

少し意外なのは、あなたがハウスから音楽の道に入ったということですね。テクノ一辺倒なのかと思っていたので。

ハイコ:というか、あの頃はテクノというものが存在していなかったんだよ。デトロイト・テクノもシカゴハウスの影響で出て来たものだからね。テクノへと加速していったのは90年代初頭のことだよ。

そういう流れのなかで、あなた自身もよりテクノに傾倒していったと?

ハイコ:そういうこと。だからテクノ・ブームがやって来る少し前に、すでにこういう音楽に脚を踏み入れていたのは、幸運だったと思う。周りがテクノに目覚めた頃には、すでにシンセサイザーやドラムマシンに親しんでいたからね。だからテクノが確立される前から、テクノをどうやって作るのかは分かっていた。ハウスを速くして、テクノのエネルギーを足せば良かったんだ。

そう考えると、あなたはドイツにおける第一世代のテクノ・アーティストと言えますね。

ハイコ:やはり僕よりも、スヴェン・フェイトやジェフ・ミルズやDJヘルの方が僕よりも先にやっていたけれどね。僕の出身の小さな町では輸入盤のレコードを売る店なんてなかったから、それほどたくさん聴けたわけではなかったし。アンダーグラウンドな音楽は、大都市に行かないとアクセスできなかった。僕がレコードを買っていた隣町の店なんて、半分が自転車屋で、店の半分がレコード・コーナーになっていたからね(笑)。レコードを売るだけでは、まだ商売にならなかったからだ。〈Omen〉の前身だった〈Vogue〉というクラブで、スヴェンを聴いたり、90年代に入ってからジェフ・ミルズやジョーイ・ベルトラムのプレイを聴いた。
 それでデトロイト・テクノに開眼して、「そうか、こんなことも出来るのか!」と思ったね。特に、ジェフ・ミルズを見たときは度肝を抜かれた。プレイしたレコードを次々と背後に投げ捨てながらプレイしていた(笑)。傷がつくとか、そういうことを気にせずにバンバン投げ捨ててたね......そういうクラブが身近にあって、本物のアーティストを間近で見て体験することが出来たのはとても幸運だったと思う。ジェフがヨーロッパで初めてやったのは〈Omen〉だったんじゃないかな。当時は、フランクフルトがドイツのダンス・キャピタルだったからね。ベルリンの壁が崩壊してからは、フランクフルトとベルリンのライヴァル関係がしばらく続いた。もちろん、その後ベルリンが勝つことになるわけだけども...... 90年代前半はほぼ同等のレヴェルだった。その競争意識が、音楽にもプラスに働いたと思う。

なるほど。そういう環境の中で、あなたのDJスタイルも築き上げられていったわけですね。あなたも当時のジェフのようにターンテーブル三台を操ることで知られていましたよね?

ハイコ:そうだね。かつては、三台使ってレコード1枚あたり2分くらいだけ使ってどんどんレイヤーしていくスタイルをやっていたけど、いま(のレコードで)同じことをやっても上手くいかない。ただテクニックを見せびらかすだけみたいになって、せわしなくて聴いている方は楽しめないと思うんだ。お客さんも世代交代しているからね。でも三台使ってプレイするのは楽しいから、またやろうと思っている。新しい使い方を考えているところだ。一時期は、なるべく展開や要素を削ってどこまでできるか、というプレイに挑戦していたんだけど、それも退屈になってしまって。だって、二台だけだと、あいだの5分間くらいやることがなくて(笑)。
 いまはSeratoを使ってプレイしているけど、Seratoが面白いのはレコードの好きな部分を好きなようにループできるところ。この機能を使うと、レコードとはかなり違ったことが出来る。また、Seratoの場合、曲の途中で停止しても、また好きな瞬間から狂いなく再生することができるから、曲の抜き差しが正確に、より自由に出来るようになった。レコードだと、ミュートできても曲の尺は変えられないから終わるまでに何とかしなければいけないというプレッシャーがある。でも、Seratoなら、好きなだけブレイクをホールドして、好きなタイミングで曲を戻すことが出来る。Seratoのおかげで、アレンジメントの幅が広がったと思うよ。
 いまはCDJ三台と、それぞれに効果音などを入れたUSBスティックも使ってさらに自由な組み合わせが出来るようにしている。だから単なるDJというよりは、サンプラーを取り入れているようなプレイだね。「遊び」の幅が広がった。今はブースで暇を持て余すこともなくなったよ(笑)。またDJすることが楽しくなっている。一時期は楽しめなくなっていたのも事実なんだけど、今は自分でも楽しめる新しいプレイの仕方を確立しつつある。

私は個人的にヴァイナルDJを好むことが多く、とくにテクノやハウスに関してはラップトップDJに感心することは滅多にないんですが、あなたのプレイは別格だと思いました。レコードでやっているようなライヴ感というか、臨場感がありましたし、長い経験を感じさせる確かなスキルがわかりました。

ハイコ:わかるよ、僕も同じだから。僕はたしかにラップトップを使っているけど、間違いなくDJをしているからね、そこが違うんだと思う。僕はちゃんと曲を「触っている」。それが鍵なんだよ。こういうシステムを使うと、オートシンク(自動的にピッチを合わせる機能)も簡単に出来るけど、それをやってしまうとDJの醍醐味がなくなってしまう。自分の手で合わせるからこそ、そこにエネルギーが生まれるんだ。ソフトウェアでプログラムされてしまっていると、そのエネルギーがない。完璧にシンクされた曲を次々と並べていくなんて、簡単過ぎるし何の面白味もない。やっている方もつまらない。その場の思いつきで新しいことを試していくことが面白いんだからさ。僕はフォーマットではなく音楽を重視するから、何を使ってプレイしているかはこだわらない。音源がCDでもラップトップでも別にいいと思う。それを使って何をするか、が問題なんだよ。いまはラップトップを使うのが面白いから、しばらく使ってみるつもりだ。

先ほどフランクフルトとベルリンがライヴァル関係にあって、いまはベルリンがその競争に勝ってテクノ・キャピタルになっているという話が出ましたが、その両方を見て来たあなたはベルリンの現状をどう受け止めていますか? ここ数年でテクノはさらにリヴァイヴァルした印象がありますけど?

ハイコ:とくに何とも思わないな(笑)。自分が幸運だとは思うけれどね。ごく自然なことだと思う。街やそのシーンの勢いというのは移り変わりがあり、より活気があるところに人が集まって来るのは自然なこと。テクノのシーンに関わりたいなら、ベルリンにはそういう仕事がたくさんあるし、その上観光客も大勢やってくる。ここにいればいろんな人に会えるし、活動の場を作っていける。レッド・ホット・チリ・ペッパーズからジョージ・クリントンまで、みんなやって来るから観ることが出来る。生活費も安いしね、これほど条件が整っていて、ニッチなアーティストにまで機会が与えられている街は他にない。これはテクノに限ったことではないし、他のジャンルも、演劇やアートに関しても同じだ。さらにベルリンはとてもリラックスしていて競争がない。周りを蹴落とそうとするような人はいない。そしてとてもリベラルだね。僕は99年にベルリンに移って来たけど、一度も後悔したことはないよ!

 

【来日出演情報】
8/11 FREEDOMMUNE 0 <ZERO> @ 幕張メッセ
8/17 AFTER FREEDOMMUNE +1<PLUS ONE> @ 東京eleven
8/18 CIRCUS SHOW CASE @ 大阪Circus

【リリース情報】
Jam & Spoon - Follow Me (Heiko Laux SloDub)
https://www.beatport.com/release/follow-me!-remixes-2012/924547
発売中

Sterac - Thera 1.0 (Newly Assembled by Heiko Laux) of "The Secret Life on Machines Remixes" on 100% Pure vinyl/digi with Ricardo Villalobos, Joris Voorn, Vince Watson, 2000 and One, Joel Mull, ...
2012年8月発売予定

Rocco Caine - Grouch (Heiko Laux & Diego Hostettlers 29 Mix) (12"/digi Drumcode)
近日発売予定

Heiko Laux & Diego Hostettler - Jack Up Girl (12"/digi on Christian Smith's Tronic TR89)
近日発売予定

Heiko Laux - Re-Televised Remixed (12"/digi on Thema Records NYC)
original and remixes by Lucy, Donor/Truss
近日発売予定

Heiko Laux & Luke - Bleek (on Sinister, 4-tracker V/A with P?r Grindvik, Jonas Kopp & Dustin Zahn)
2012年秋発売予定

Mark Broom & Mihalis Safras - Barabas (Heiko Laux Remix)
other remixers: Slam
近日発売予定

Your Favorite Summer Song - ele-king

 「夏が来た、路上で踊るには良い季節」......こう歌ったのは1960年代のマーサ&ザ・ヴァンデラスでした。彼女たちがデトロイト市内のホールでこの曲を歌っているときに、町では暴動が起きていたという話は有名です。
 さて、梅雨が明けて、夏到来です。スタンダード・ナンバーの"サマータイム"にたくさんの名カヴァーがあるように(ジャニス・ジョップリン、ニーナ・シモン、ブッカー・T&ザ・MG'S、サム・クック......)、この世界には夏をテーマにした名曲がたくさんあります。ビーチ・ボーイズは夏だらけだし、マーサ&ザ・ヴァンデラスには他にも"ヒートウェイヴ"があります、エレクトロニカ/IDMには『エンドレス・サマー』があるし、ハウス・ミュージックにもベースメント・ジャックスの「サマー・デイズEP」があり、チルウェイヴにはウォッシュト・アウトの「ライフ・オブ・レイジャー」があります。あるいはドナ・サマーやメキシカン・サマー......芸名やレーベル名が"夏"であるケースもあります。
 
 夏の音楽は多くの場合ロマンティックですが、セックス・ピストルズの"ホリデー・イン・ザ・サン"を聴いたら怒りがこみ上がってきて、ザ・ドアーズの"サマーズ・オールモスト・ゴーン"を聴いたら夏が終わってしまった気持ちになるかもしれません。そしてジミ・ヘンドリクスの"ロング・ホット・サマー・ナイト"を聴けば、あたり一面は燃え上がるでしょう。
 MFSBの『サマータイム』のアートワークに使われている写真も素敵ですね。熱波で焼けた路上でひとりの女性が水浴びしている姿にグッと来ます。
 日本の音楽にも多くの夏の曲があります。曽我部恵一"Summer '71"、フィッシュマンズの"夏の思い出"や"Sunny Blue"......RCサクセションなどはホントに多くの夏の曲を作っています。
 
 以下のチャートを見て、自分の「Favorite Summer Song」が入ってないじゃないかという方は、コメント欄に書いてください!


1
Martha And The Vandellas - Dancing In The Street

2
Miles Davis - Summertime

3
Jimi Hendrix - Long Hot Summer Night

4
Fennesz - Endless Summer

5
Sex Pistols - Holiday in the Sun

6
The Associates- Fire To Ice

7
The Ramones - Rockaway Beach

8
RCサクセション - 海辺のワインディイングロード

9
Alice Cooper - School's Out

10
The Beatles - Mr. Moonlight

11
RCサクセション - 楽しい夕に

12
Eddie Cochrane - Summertime Blues

13
The Style Council - Long Hot Summer

14
Best Coast - Summer Mood

15
The Doors - Summer's Almost Gone

16
Sly And The Family Stone - Hot Fun In The Summertime

17
The Drums - Saddest Summer

18
Pub - Summer Pt 1

19
MFSB - Summertime

20
The Beach Boys - All Summer Long

21
RC サクセション - サマータイムブルース

22
Girls - Summertime

23
Yo La Tengo - Beach Party Tonight

24
Bruce Springsteen - Backstreets

25
Pink Floyd -Summer '68

沢井陽子

The Beach Boys - Endless Summer

サマーソングといえば、いまのタイミング的にも真っ先にビーチ・ボーイズ。イメージが先行しているのですが、こちらは、1966年前のヒットソングのコレクションで、初心者も十分楽しめる内容。ロスアンジェルスにいた頃、ジョニー・ロケットというレトロなハンバーガー・チェーン店に行って、ハンバーガーとフライズを食べながら、ジューク・ボックスに"サーフィンU.S.A."を入れて、パーフェクトな夏を満喫した思い出があるので、曲も素敵だが、そのときのイメージも多々影響。楽しい出来事ばかりでなく"イン・マイ・ルーム"で、もの悲しい夏の残骸を胸に抱え、自分の心の中にグッとしまっても、最後に"グッド・ヴァイブレーション"が流れると、ドラマチックな夏物語を「まあ、いいか」とまるく収めてくれる。全体が、夏のさまざまなシチュエーションに当てはまり、イメージが膨らむが、サマーソングって、結局それが楽しいのです。

DJ Yogurt(Upset Rec)

RCサクセション - サマータイム・ブルース

"サマー・マッドネス"、"サマー・イン・ザ・シティー"、"サマー・ミーンズ・ファン"、etc...
いろいろな曲が頭に浮かんだけど、2012年の日本の夏にハマっているのは、エディ・コクラン作の名曲に、いまは亡き清志郎が日本語の歌詞をのせた"サマータイム・ブルース"ではないかと。「電力は余ってる、いらねー、欲しくねーー」。

大久保潤 aka junne(メディア総合研究所/大甲子園/Filth)

SxOxB - "レッツ・ゴー・ビーチ"("ドント・ビー・スウィンドル")

ハードコア・パンクはナパーム・デスなどにより"速さ"という点において90年前後にネクスト・ステージに進み、90年代半ばにはファストコアとかパワー・バイオレンスとか呼ばれる激速なバンド群がシーンを席巻した(あの頃はそういうバンドの7インチが毎週のようにリリースされて本当に楽しかったなー)わけだが、そのルーツのひとつが初期S.O.Bである。大阪ハードコア・シーンから現れた彼らは「世界最速」と謳われ、日本にとどまらず世界のハードコアに多大な影響を与えた。
そんな彼らの初期の代表曲のひとつが"Let's Go Beach"で、歌詞はただ「Hot Summe soon comes again.
Let's Go Beach. Let's Go Surfin」だけ。ハードコア・パンクとサーフィンという組み合わせ(当時はまだ日本ではハードコアとスケートの関係もあまり一般的じゃなかったはず)、そしてファスト・パートから後半はキャッチーなシンガロング(♪レッツゴサマービ~~~チ!)に移行するポップなセンスもおそらく当時は斬新だったろうし影響力もデカかったんじゃないかな。ポップに始まって一転して激速! みたいなのって90年代には(たぶん今も)本当にたくさんありましたからね。
この曲と、ハノイ・ロックスの"Malibu Beach Nightmare"とラモーンズの"ロッカウェイ・ビーチ"を「新・三大ビーチソング」とさせていただきます!(全然新しくないけど)

DJ Hakka-K (Luv&Dub Paradise)

Baiser - Summer Breeze

夏といえばレゲエやその他大好きな曲はたくさんあるのですが、僕がいちばん最初に影響を受けたDJ Soneが夏になると必ずかけてたのが、83年に発表されたこの曲。いまでも夏になるとレコード・バッグに入れておく想い出がたくさん詰まったDISCOの隠れた名曲です。

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山田蓉子

ピーナッツ - 恋のバカンス

言わずと知れた昭和歌謡の大名曲。中学生の頃からカラオケで必ず歌っているのだが、気持ちよくハモりながらひたすら「そっかーバカンスってのは、金色にかがやく熱い砂の上で裸で恋をするのねー。素敵」と思い続けてきた。全国民が一年中バカンスのことばっかり考えて暮らしているフランスで生活するようになったのも、そんな刷り込みのせいなのだろうか。でもまだ金色にかがやく熱い砂の上で裸で恋なんかしたことない。バカンスのために生き続ければいつかできるんだろうか...。
合掌。

why sheep?

私見ですが、夏は24,25と2日で勝負のクリスマスと違って日本人にも長丁場ですので、一曲に絞るのはむずかしいのです。

というわけで、アルバム単位で失礼します。これは、僕のサマー・ソングのオールタイム・フェイバリットで、オールタイムというからには理由があって、日本がどの季節であっても、暑くてビーチのあるところになら、僕が必ず持っていくアルバムだからでもあります。実家のある茅ヶ崎に帰郷する際はどんな季節であっても必ずです。

ちなみにわたくし、渋谷区神宮前生まれ、現住所湘南というプレミアムな、昔なら免許証だけでナンパできると言わましたがそれは昔の話で、もし免許証に写真を載せなくて良かったら、人生は今とずいぶん違ったことでしょう。さて、

閑話休題、

神奈川県茅ケ崎市の出身であればだれもが知ってることですが、
茅ヶ崎市民=サザン・オールスターズ・ファン
というのが公理となります。
茅ヶ崎市民≒サザン・オールスターズ・ファン
は許されませんし、
茅ヶ崎市民なのに≠サザンオールスターズ・ファン
はばれたらその場で公開処刑されます。

しかし、どんなところにも反逆者はいるもので、江戸時代の隠れキリシタンのように
そんな中でサザンを崇拝しなかったのがこの私です。もちろんサザンの曲も大好きですが、神宮前の生まれの私にはあまりにも野暮ったすぎました。

長くなるとあれなので順不同ということで三枚選ばせていただきますと、

Boz scaggs - Down To Then Left

もちろんbozの名盤といえばsilk degreesですし、一枚後のmiddle manは東海岸AORあげての名盤ですが、その中庸にあるこのアルバムなぜか期待されていたほどに売れませんでした。だからこそぜひ聴いてみてください。超ゴールド・ディスクのsilk・degreesの直後になんでこんなアルバム作ったのかと俄ファンは首をかしげたかもしれまえんが、ルーツと言えばパンクと忌野氏の話しかしない三田格が即座にこのアルバムの名前を言えるということだけお伝えすれば、ele king読者は気持ちは動くことでしょう。三田さんが好きかどうかは知りませんが。

Bobby Caldwell - Carry On

アルバムのすべての曲が珠玉としか言いようががありません!
邦題は原題とまったく関係ない「センチメンタル・シーサイド」と付けられてましたが、その心は当たらずとも遠からず。。
1980年代、日本のサマーリゾートの代表である湘南は傍目はアメリカ西海岸、(実情はサザン=茅ヶ崎駅南口)だったのですが、桑田圭祐もその音楽的ホームグラウンドであるという茅ヶ崎の現存するレコード屋さん「CHIYAMA」(桑田さんが青学に通ってる頃厨房の私が通っていた)につつましげに張ってあったポスターが忘れられません。
「マイアミの蒼い風」
そこにはそう書いてありました。
当時の日本の理想とするカリフォルニアでもなく、はたまた湘南の実情ださいヤンキー文化でもない、架空のビーチがあった!そこはマイアミ(本当のマイアミは行ったことないので知りません。。)
あぁ...哀れなるかなbobby caldwell。3枚目にして自身のもてるすべてを注ぎ込んだ、そして当時のレコード会社も起死回生を図って宣伝したこのアルバム、期待ほど売れませんでした。当然です。日本人はカリフォルニアしか頭になかったのですから。

長々と前節書きましたが、この感傷性の至高とも言えるアルバム。アラサー独身男子の方ならきっと理解してもらえることでしょう。はまっちゃったら一生結婚できないこと請け合いです。

さて最後、

J.D.Souther - You're Only Lonely

あぁ、このメロディーにこの歌詞に極め付けのこの声。同胞のイーグルスのほうが100倍有名ですが、彼はイーグルスの第五(第六だったかな?)のメンバーと言われるほどイーグルスに貢献したソロ・シンガー・ソングライターです。(名曲"New Kid In Town"は彼の曲)
一聴したら単なるアメリカの野暮ったいカントリー&ウエスタンの歌手と間違える人もいるかもしれませんが、よく聴いてくださいこの声。
現代音楽の大家メシアンは音を色に例え、詩人ランボーは言葉を色に例えたそうですが、わたしに言わせればJ.Dの声は「いぶし銀の声」と呼んでいます。
それをもっとも感じるのはこの前のアルバムの『Black Rose』収録の"Silver Blue"ですが、夏の間聴くべきはこのアルバムです。
とくに一押しは彼の出世曲の"You're Only Lonely"ではなく!!!!"If You Don't Want My Love"、このモラトリアムから抜け切れないガキっぽい歌詞が胸をえぐります。しかしなんといっても必聴すべきは、彼の声もさることながらハモンド・オルガンB3の旋律というかその音色!!!
はっきり言って"Let It Be"のBilly Prestonを軽やかに凌駕しています。その名はJai Winding。ちょっと調べた限りでは往時の人気スタジオ・ミュージシャンということですが、実際のところよくわかりません。"My Funny Valentine"のときのJimmy.Smithぐらい良い!!!知ってる人いたら情報求む!!!

それでもどうしてもと野田努に一曲選べと言われたらこの曲、

佐野元春
Heartbeat』収録 "Interlude"~"Heartbeat"
↑ここには私の少年ゆえの切ない恋愛体験がすべて詰まっております。くれぐれも("Interlude"から聴いてください)

他にも山下達郎の"Big Wave"(口が裂けても『Beach Boys』の"Pet Sounds"とか言いたくない)とかあるんだけど、この企画が来年も続いたらその時にでも。

おやすみなさい。みなさん家のエアコン止めてビーチでセンチメンタル・シーサイドしようぜ!

summer, 2012
why sheep?

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三田格(e-Busters...)

Wham! - Club Tropicana

なんてな

竹内正太郎

□□□ - 渚のシンデレラ

夏、夏か、、、。この、永遠に思わせぶりで無責任な季節は、これからもギリギリのところで前向きな予感たりえてくれるのだろうか? いや、しかしこうも明らかな異常気象が続き、つい先日も日本国内の最高気温都市の上位三位を独占したような場所に住んでいる身としては、サマー・ソングを悠長にセレクトするにも体力を使って仕方がない。しかし橋元優歩に催促され、限られた時間内に直感で選ぶとしたら、("真夏のラストチューン"も捨てがたいが)やはりこの曲になるだろう。クチロロがバンド編成時代に残したきらきらのクラシック。超多層構造のトラックをハイパーなまでに軽く聴かせるその手さばきは、今なお並々ならぬセンスを見せつけている。それはもう、嫌らしいほどに。ヴォーカル/大木美佐子の安定しない高音域もいい。夏は楽しく充実しているべきか? この疑問自体、広告業的な価値観に刷り込まれたちゃちな不安でしかないわけだが、優れたサマー・ポップは何度だってその空虚さを上塗りする。とても鮮やかに。パルコの広告にほだされ、私は今年も嫌々と海に出掛けるのだろう。一年に一度くらい、まったく見当違いの恋をしてみるのもいいものだ。それがどれほど軽薄なものであっても。「ここから物語は続く/忘れたものもあの角を曲がればきっと思い出すさ」!!

松村正人

XTC - Summer's Cauldron

私は夏が大好きなので、好きな曲はビーチの砂の数ほどありますが、そのなかでもこの曲は、陽がのぼるとすぐにうだるようで、退屈で、楽しくないので、どこかに逃げたいがまわりは海ばかりで、しょうがないと諦めつつ、それもそう悪くないかと思いはじめたころ、暑気がひけて、虫や鳥の声が際だちはじめた、島に住んでいたころの夏の日の宵の記憶をくすぐるようでとても甘美だ。

水越真紀

戸川純 - 隣りの印度人(玉姫様)

21世紀の日本の夏、80年代に比べて湿度は低くなった。絶対なったと思うのだ。数年前、そのことを示すグラフをネットで見つけたのだけど、二度と出会えないでいる。
ともあれ、目の前の暑さをどうにかして「涼しぃ?」と断言する、言いくるめる、歌い上げる姿勢に私は共感するのである。ポストモダンな感じがする。人間の知恵、つー感じだ。しかし、現実逃避の知恵ばかり身につけてしまうのもどうかとも思う。
私は冷房を使っていない。本当に暑いには空気がゆらゆら揺れているのが見える。汗が吹き出しては乾いて皮膚を冷やす。
去年の夏は2時間置きに猫を冷やす保冷剤を取り替えていた。濡れたタオルで拭いてやり、耳を氷で冷やしたりした。今年こそ冷房を入れてやらねばと思っていたが、それを待たずに彼女は逝った。今年、冷房を入れる理由はなにひとつなくなった。

橋元優歩(e-Busters...)

Animal Collective - Fireworks
Photodisco - 盆踊り

わたしも夏が大好きです。黄色といったときに山吹からレモンとかまでいろいろあるように、夏というのもいろいろあって、お盆とかかなり好きです。"Fireworks"は詞に夏が明示されているわけではないのですが、わたしには幻想的なお盆メンタル・ソングとしか考えられません。海外にお盆はないでしょうが。

木津毅

R.E.M. - Nightswimming

 昔から自分が惹かれてきたのは、夏の盛りよりも夏の終わりの歌でした。それは青春そのものよりも終わっていく若さ、すなわち中年に惹かれるのと似ている......かもしれません。真夏を謳歌するのと同じくらい、夏を無駄にした......という感覚をポップ・ソングは拾ってきたようにも思えます。
 R.E.M.のこのナンバーは彼らの代表曲のひとつで、もう去ってしまった誰かのことを思いながら、晩夏の夜にひとりで月に焦がれながらプールで泳いでいるという、「夏を無駄にした」度では抜きん出た名曲です。リリカルな風景描写はマイケル・スタイプの詩人としての才能を見せつけ、それ以上にこのポップ・ソングに美しいフォルムを与えています。「君のことを、僕は知っていると思っていた」......悲しすぎますが、それがとても穏やかに歌われることで、夏の終わりの感傷が許されるようでもあります。「9月がじきにやって来る」......。

國枝志郎

Chapterhouse - Summer Chill

俺と言えばシューゲイザー、シューゲイザーと言えば俺(反論上等)なんで。チャプターハウスが1stアルバム『Whirlpool』と2nd『Blood Music』の間に発表した神シングル「Mesmerise」(俺的にはスロウダイヴのシングル「5 ep」と並ぶ究極ロッキン・チルアウト)収録の1曲。2ndアルバムにはもうひとつサマーネタで「Summer's Gone」というナンバーもあるけどやっぱりこっちでしょう。タイトルも最高!!!!!!!!!! あーチルりたい。

Photodisco

H Jungle with t - GOING GOING HOME


夏といえば、やっぱりこの曲ですね。お盆に帰省した際、実家でビールを飲みながら聴きこうと思います。

オノマトペ大臣(Maltine Record/TJNY)

Phillis Dyllon - Nice Time

夏になるたびに学生時代を思い出します。

白い太陽、青い海、赤く日焼けしたあの子の細い腕
楽しいはずなのに何故だか寂しい、いつか終わってしまう刹那的な煌めく青春の夏。。。

どこかの誰かが過ごしているそんな極彩色の夏を尻目に、マジで永遠に続くんじゃないかと思うような怠惰な余暇を、クーラーガンガンの部屋でカーテンを閉め切り、ゴローンと横になって手に持った黒い文字の羅列を追うことでやり過ごしていたしょっぱい夏。
ベッド横に置かれたローテーブル上に、氷が沢山入った透明なグラスが置かれ、カナダドライのジンジャーエールがパチパチとはじけると、西宮の六畳間にも、にわかに夏の気配が漂います。
近所の外資系CDショップで買ってきた3枚組3000円ちょっとのTrojanのCalypso Box Setをミニコンポにセットすると、いよいよ目の前に常夏のトリニダードトバゴが広がるのでした。
内容の薄っぺらい新書を読み進め、40ページぐらい行ったところでPhillis Dyllonの歌声が響き渡ると、心は完全に夏の夢の中。
新書をベランダから捨て去って、背中の羽をパタパタとして舞い上がり、ヤシの木の上の方に座り心地よく揺られたものでした。

それから4年が過ぎた、2012年の夏。
永遠に続きそうだった怠惰な夏は、心のアルバムの中で色褪せるどころか、それなりに輝いて見えます。

今年の夏はどのように過ごそうか、とりあえずPhillis Dyllonを聞いて、西宮のトリニダードトバゴで考えようと思っております。

(最近サンクラに上がってたCoconuts Beat Clubによるmoombahton editもすごく好きです。https://soundcloud.com/coconuts-beat-club/nice-time-coconuts-beat-club )

赤塚りえ子

Brian Jones Presents the Pipes of Pan at Joujouka

44年前の7月29日、ブライアン・ジョーンズは真夏のジャジューカ(モロッコ)に行きMaster Musicians of Joujoukaの演奏を現地で録音した。
彼の死の二年後にリリースされたこのアルバムでは、ブライアン・ジョーンズというフィルターを通したジャジューカを体験できる。
今年6月、ついにそのMaster Musicians of Joujoukaの生演奏を現地で体験してきた。
全身にものすごいグルーヴ浴びて、何本もの生ガイタ音が立体的に脳を直撃、そのまままっすぐに脳ミソを突き抜けた。
ブライアン・ジョーンズがなぜジャジューカにハマったのか?一瞬にして体でわかった。
来年の夏もまたジャジューカで、4000年のダンスミュージックで踊りまくってくるゼィ!

Yuji Oda (The Beauty/Cuz Me Pain)

No Joy - Negaverse

カナダの男女3人組バンドNo Joyが送り出す12インチシングル。
全てが正しいと思わせるオルタナギターと儚いボーカルが夏の荒野を駆け抜け交差する疾走シューゲイズ。
2012年の夏はこれ。

YYOKKE (White Wear/Jesse Ruins/Cuz Me Pain)

Junei - You Must Go On

夏はこんな涼しげな曲を何も考えずにずっと聴いていたいです。

Nobuyuki Sakuma (Jesse Ruins/Cuz Me Pain)

Prurient - There Are Still Secrets

夏に熱いものを食べる的な感じで暑苦しい曲も聴きたくなります。

寺尾紗穂

サニーデイ・サービス -"海岸行き"
saigenji - El Sur

夏の終わりを歌う以下の二曲が好きですが、youtubeにはあがっていないようです。

サニーデイ・サービス「海岸行き」
サニーデイの曾我部さんのさらりとした感触の歌詞は自分にはなかなか書けないもので、よく羨ましく思います。いつかカヴァーしたい曲。

saigenji「El Sur」
「El Sur」はサイゲンジさんと歌ったことがありますがもう一度歌いたいです。
「南へ帰るなら僕のさみしさもその翼に乗せていっておくれ」とツバメに語りかける歌詞が切ないです。サイゲンジさんのライブというとアップテンポの曲でノセたりアゲたりしてくれるイメージがありますがスロウで穏やかな曲にも名曲が多いです。

洋楽で好きなJudee Sillの歌詞を読み直したら「Jesus Was A Cross Maker」がちょっと夏の気配でしたので挙げておこうかと思います。
クラシック的な手法を織り込むというのは色んな人がやっていることなのだろうと思うのですがこの人の場合、その織り込み方がとても大胆で生き生きとしていていつ聞いても新鮮な感じを受けます。


ryo of dextrax (dxtx / The Dubless) - ele-king

ジャックハウス集団dextraxと並行して、The Dublessというバンドユニットで活動してます。
ROOM FULL OF RECORDSより今夏12インチをリリース予定。
The Dubless Live Schedule
7/21(sat) Idjut Boys Japan Tour at eleven
8/25(sat) VIDEOGRAM at Star Pine's Cafe
The Dubless
https://soundcloud.com/thedubless

Around The Dubless


1
The Dubless - Blackkite(Rondenion's Ragrange Mix) - ROOM FULL OF RECORDS

2
Fleetwood Mac - Albatross

3
Steve Miller Band - Fly Like An Eagle - Capitol

4
Donna Summer - I Feel Love - Casablanca

5
Laidback - Fly Away - Sire

6
山田美也子 - 勇気一つを友にして - みんなのうた

7
Todd Rungren - Lost Horizon - Rhino

8
Rondenion - Mechanical Motion - Ragrange

9
MINGUSS - Portrait Of Jon - Tokiora

10
Rampoo - Pop Demo - Soundcloud

Chart by JET SET 2012.07.17 - ele-king

Shop Chart


1

Rapture - Children (Bitches Brew)
名門DfaやThrone Of Bloodを拠点にリリースを展開しているトリオ・ユニット、The Raptureによる最新作のリミックスEpが"Bitches Brew"より登場。Darkstarr & Yam Who? & Ashley Beedleによる強力2作をカップリングした見逃し厳禁の大推薦Ep!!

2

Seahawks - Violet Skies (Ocean Moon)
日本が誇るサイケデリック/辺境ユニット、Cos/Mesを筆頭にノルウェージャン・コンビ、Rune Lindbaek & Oyvind Blikstadに加え、Discossessionのメンバーとしても知られる、Jonny Nashによるリミックス収録!

3

Lord Of The Isles - Searching / Don't Reach (Cocktail D'amore)
EneやFirecrackerのオフシュート、Unthank、American Standard、Adult Contemporaryからの作品等がいずれもヒットとなった人気の、Lord Of The Islesによる最新作がCocktail D'amoreの第4弾作品としてリリース!

4

Trance Yo Lie / Madteo - Cosa C'e' Sotto? / We Do... (Wania)
Trance Yo Lieなる詳細不明アクトによる極上ディープハウス楽曲を収録したA面、Ny地下シーンに潜むドープ・イタリアン・タレントMadteoによる楽曲をDj SotofettがリミックスしたB面共にドープなオールド・ハウスを彷彿させる珠玉作!!

5

Mungolian Jetset - Smells Like Gasoline (Smalltown Supersound)
HarveyやTodd Terjeによるリミックスを収録したBjorn Torskeの作品や、Todd Terje、Lindstrom、Idjut Boysの作品等、絶好調の好リリースが続くSmalltown Supersound最新作!

6

Mike Simonetti - Mike Simonetti's Circadian Rhythms Ep (Public Release)
レーベル第一弾を飾ったB.i.s.のTim Sweeneyを皮切りに、Jacques RenaultやBlackjoy、40 Thievesといった人気アーティストがリリースを繰り広げてきた"Public Release"の第五弾。

7

Breakbot - One Out Of Two (Because)
「Fantasy」に続く4枚目のシングルは「Baby I'm Yours」と同じくIrfaneが歌う"One Out Of Two"。リミックスも粒揃いです。

8

Muro - Tropicool Boogie VII -11154
ラテン、ディスコ、ブギーを中心にカリビアンやレゲエ、メロウなAorまで飛び出すMuro氏ならではの遊び心と冒険心満載の1枚。今年もこの季節がやってきました!

9

Slime - Increases ii (Get Me!)
ご存じDam MantleやGraphicsらのリリースで注目を集めるチルウェイヴ以降のUkベース・ポップ・レーベルGet Me!からの004番は、ジャズ畑の新鋭ユニットSlimeによる特大傑作1st.!!

10

Falty Dl - Hardcourage (Ninja Tune)
Planet MuやRampなど人気レーベルからのリリースでお馴染みNyの美麗Ukベース人気者Falty Dl。Ninja Tuneクラシックにオマージュを捧げる温故知新なレイヴ風味キラー・トラックスを完成です!!

Motty - ele-king

Liquid Loftでの送別会から早3年。
現在は故郷の岩手県奥州市に2012年2月にopenしたばかりのCLUB Bugpipeを拠点にDjをさせていただいてます。震災以降に出来たお店ですがスタッフも空間もサイコーです。7/14(sat)にはGuestに Moodman を迎えて盛大にパーティー!!東北の方は是非!!
HAKOBUNE 7/14(sat) at Bugpipe
OPEN22:00 ¥1500 GUEST DJ:MOODMAN
DJ:UMEDA(JAZZRIZE) MOTTY GOKIUCHI 船長

twitter | Facebook | Bugpipe

ここ最近。2012年6月20日


1
Pele&Shawnecy - Kings Of The Garden EP - Cecille Numbers

2
La Pena - La Pena 009 - La Pena

3
Johnwaynes - Let's Get Lost 12 - Let's Get Lost

4
Brennan Green - My First House - Wurst Music Co.

5
Acid Pauli - Sidney/Darwin - Smaul

6
Eddie C - Make Change/Never Let Go - Flashback Records

7
Situation Edits - Pushin'On/Get On Up - Disco Deviance

8
Claudio Mate - Lilith Dimension EP - Lilith

9
Robag Wruhme - Donnerkuppel - Kompakt

10
Intruder(A Murk Production)feat.Jei - Amame - Defected

ERA - ele-king

 僕がエラの音楽にハマったきっかけは"Feel"のミュージック・ヴィデオだったのだ。たった......そう、たった3分弱のこの映像と音にすべてが詰まっている気がした。淡い恋心、一晩のアヴァンチュール、仲間との連帯、未来への不安と期待、都市生活者の憂鬱と倦怠、ストリート・カルチャーや音楽、グラフィティへの愛情、東京への愛憎、町を吹き抜ける風、反抗心と内省......それらがデトロイトのプロデューサー、アンドレスの甘いブラック・ソウルを思わせるヒップホップ・トラックのなかに溶け込んでいた。

 不思議なことに、この映像を観た僕は、梁石日のハードボイルド小説『タクシードライバー日誌』で描かれなかった、彼の目には映らなかった東京の深い夜の表情や情念を浮き彫りにしていると感じた。まあ、それはいい。僕はくり返しミュージック・ヴィデオをYouTubeで再生して、その心地良さに浸り、そしてリリックに耳を傾けた。「あの娘が俺にKISSしたような気分/上がるメモリーたどりまあ充分/スタイル変化させたい気分/どこまで遠く行っても自分/1人街灯のした光/光ばかり伴う度々」。何も主張していないって? いやいや、ストリートの哲学というには曖昧で緩い、エラと彼の仲間の態度や振る舞い、さりげない感覚が素晴らしいのだ。

 "Feel"が収録された、今東京のアンダーグラウンドを騒がせるラッパー、エラのファースト・アルバム『3 WORDS MY WORLD』(2011年)は、ハードコア・パンクのインディ・レーベル〈WDsounds〉からリリースされる初のヒップホップ・アルバムとして、巷で随分と話題を呼んだ。実はエラは20代前半から中盤までWOBというハードコア・パンクのバンドで活動し、そのシーンで知る人ぞ知る存在として人気を獲得したという。そのいっぽうで、ヒップホップ・グループ、ペイパー・ソルジャー(PAPER SOLIDER$)のラッパーとしても活動している。そのときのMCネームは、ヤング エラズ(YOUNG ERAS)。なんというか、そのMCネームからしてハードコアとヒップホップの幸福な出会いを感じさせるではないか。エラがラップをはじめたのは10年ほどの前のことである。いまは、ラッパーのO.I.と組んだD.U.Oというグループの一員でもある。と、僕はこの辺りのプロフィールのいくつかは、文芸誌『新潮』で都築響一が連載している「夜露死苦現代詩2.0」を読んで知った。彼のプロフィールがさらに知りたければ、読むことをお勧めする。

 『3 Words My World』を特徴付けるのは、ウィズ・カリファやカレンシー、ケンドリック・ラマーといったUSのストーナー・ラップとの親和性である。ブッシュマインドやトノ・サピエンス、DJハイスクールといったエラの仲間のDJ/トラックメイカーはそこに、荒々しいレイヴ・サウンドや80年代ディスコの煌き、洗練されたアシッド・ジャズやスウィート・ソウルのメロウネスといった要素を彼ら流のやり方で調合することで、煙くて、洒落た東京産のオリジナル・シットを創造した。そして、エラが次の一手と言わんばかりに、インターネット・レーベル〈rev3.11(revision three-one-one)〉から発表した8曲入り(+ボーナス・トラック1曲)のセカンド・アルバム『Jewels』はさらにその"先"へ向かおうとしている(8月15日に未発表曲なども加わりCDで発売される)。つまり、クラウド・ラップ/トリルウェイヴに接近している。いや、接近という言葉は的確ではない。この作品は、クラウド・ラップ/トリルウェイヴのこの国における独自の展開でもある。

 嘘だと思うならば、アルバムの最後にドカ~ンと用意された7分近くに及ぶ"Get A"を聴いてみて欲しい。前作に引き続き、凶暴なミキシングで本作に多大な貢献をしているイリシット・ツボイがプロデュースしたこの曲は、オールドスクール・マナーのプリミティヴなビートやチョップト&スクリューの手法、70年代フュージョンめいたシンセ・サウンドやシューゲーザー的なエフェクトが混在した、プログレッシヴなクラウド・ラップである。ちなみに、同じくイリシット・ツボイが手がけたECD『Don't Worry Be Daddy』の最後に用意された"Sight Seeing"に至っては、クラウド・ラップとビートルズ"レボリューション9"の融合だった。最近リリースされたキエるマキュウの新作のナスティ・ファンクの暴走といい、最近のツボイ氏は凄いことになっている。

 少し話が逸れた。他には80年代初期のニューヨーク・ディスコのピッチをダウンさせてエディットしたかのような"Money&Dream"があり、コズミックなクラウド・ラップ"Planet Life"をプロデュースするのはリル・Bにもトラックを提供しているリック・フレイムだ。ロッカセンのラッパー、トナンをフィーチャーし、ブッシュマインドがトラックを作った"Sesami"は、酒の力をかりて女の子をナンパして「あちゃ~」と失敗して、煙いクラブの楽屋で咳き込んで、踊るというナイトライフの甘酸っぱいムードを見事に音楽化している。ラッパーのOS3やO.I.も参加しているし、トノ・サピエンスはますますそのグルーヴに磨きをかけたファンク・サウンドを披露している。

 だがしかし! 当然のことながら、主役はエラなのである。そのあっけらかんとしたフロウと声、達観と倦怠、憂鬱や不安、未来への淡い期待をさらりと表現するリリック、それらはとにかく心地良く、中毒性がある。そのリズム感や間合いは俳句のようでもあるし、エラのこのフワフワした感覚を表現するのにクラウド・ラップ/トリルウェイヴほどしっくりする音もないのではないだろうか。

 拳を振り上げて声高に何かを主張するでもなく、すべてに諦め絶望するでもなく、社会から完全にドロップアウトするでもなく、ここではないどこかだけを夢想するでもなく、エラの音楽は現実逃避とニヒリズムとデカダンス、そしてエヴリデイ・ストラグルな毎日のなかで鳴っている。「アッアッッ~」というエラの間の抜けた、脱力したお決まりの発声は、言葉のない、ストリートからの核心を突いた声明に僕には聴こえる。もう、この感じが最高に気持ち良い。ということで、最後に、"Money&Dream"、つまり「カネと夢」のなかからエラの厭世の一句を。

 まだここにいて/また適当やってて/そのままじゃ変わんないEveryday/目をあければ現実/瞳閉じちまうか/そのまま眠るか/そんな毎日嫌気がさしてるのさ

Back to Chill - ele-king

 ゴス・トラッドの『ニュー・エポック』、欧米ではかなり好意的に受け取られているようで、もうすぐ本サイトでupされるボーニンゲン(ロンドン在住の現地で評判となっている日本人バンド)のインタヴューでもさんざん語られているのだが、どうやら「トーキョーに行ったら〈バック・トゥ・チル〉を体験したい!」がロンドンのディープ・リスナーの合い言葉になっているようだ。
 さて、アメリカ・ツアーを終えたばりのゴス・トラッドも2ヶ月ぶりのホームとなる。今月の〈バック・トゥ・チル〉は7月5日、思う存分にダブステップを経験してくれ!

DATE: 7月5日
TIME: 23:00 ~ LATE
PRICE: DOOR: 3000yen/1d WF and Girls: 2000yen/1d
[All Girls Before 24:00 → FREE!!! (500yen for a drink)]
ARTISTS: GOTH-TRAD, DJ 100mado, ENA, HEAVY1, DUBTRO, DJ メメ, π, yuitty, O-konogi, CITY1, DON, and more!
https://backtochill.com/

Sapphire Slows First US Tour Diary! - ele-king

昨年末ロサンジェルスの〈ノット・ノット・ファン〉から12インチ・シングルでインターナショナル・デビューを果たした東京在住のサファイア・スロウズ。彼女がele-king読者のために去る3月のツアー日記を書いてくれました。現在のUSインディの感じがそれとなく伝わると思います。それはどうぞ!!!


Sapphire Slows
True Breath

Not Not Fun

Amazon iTunes

 こんにちは。Sapphire Slowsです。

 今年の3月に初めてのUSツアーで、ロサンゼルスとサンフランシスコとテキサスのSXSWに二週間かけて行ってきたんですが、そのとき書いていた日記を読んでもらうことになりました。(恥ずかしいけど!)

 最初にアメリカに行くと決めたのは去年の10月くらいで、〈Not Not Fun〉のブリットからSXSWに誘われたのがきっかけです。アメリカでツアーするなんて最初は想像もできなかったけど、レーベルの人たちやアーティストのみんなに会いたい! という気持ちが強くて、何はともあれ行ってみることにしました。少し時間が経ってしまったけど、いろんなことがあって最高だったので、とにかく、この日記を読んで向こうのシーンについて少しでも知ってもらえればなぁと思います。


ようやく対面した〈100%Silk〉のアマンダは、会うまではものすごくぶっ飛んでるんじゃないかと思ってたけど、実際に会ってみると小さくて華奢で、ものすごくかわいらしかった。

3/5
ロサンゼルス初日

 朝8時、LAに到着。LAでは車がないと不便すぎるので、すぐに空港の近くでレンタカーを借りて、アメリカで使える携帯電話も購入。とりあえず〈Not Not Fun〉のアマンダとブリット、その他にも会う予定にしてたアーティストたちに連絡をいれて、ハリウッド近くのステイ先にチェックイン。ランチを食べたあとは、LAで絶対行こうと思ってたWELTENBUERGERへ。ここはアマンダおすすめの服屋さんで、ヨーロッパやいろんな国のデザイナーの服やアクセサリーをおいてるセレクトショップ。二階建ての小さなお店だけど、本当にセンスがよくてとってもいい感じ。店内には〈100%Silk〉のレコードも置いてある。私はそこでピアスと黒いドレスを買って、そのあともショッピングや視察のために街中をブラブラ。

 夜はDUNESのライヴへ。他にも何組かやってたけどDUNESが一番よかったな。ギター/ヴォーカルはショートヘアの小さくて可愛い女の人、ベースは普通の男の人。そしてドラムの女の人の叩き方がエモーショナルで超よかった。そのあとは近くのビアバーで飲んで帰った。1日目は当たり前だけど見るものすべてがただおもしろくて新鮮でアメリカにきたなーという気分を始終満喫。ただの観光客。


DUNESのライヴ

3/6
ロサンゼルス2日目。 NNF & 〈100%Silk〉 Night @ Little Temple

 この日がアメリカで最初のライヴの日。というか正真正銘初めてのライヴ。ああとうとうきてしまったこの日がという感じで朝から緊張しまくりだったけど、夜まで時間があったのでPuro InstinctのPiperに会いにいった。Piperがたまに働いてるらしいヴィンテージのインテリアショップへ。彼女は女の子らしい感じだけどなんていうか強そうで、でもすごく優しくて、そしてとてもよくしゃべる。最近のPuroの話をいろいろしてくれた。いろんな人と共同作業しながら新しい音源を作っていて、次の音源は打ち込みっぽいこととか、もっと実験的な部分もあるのだとか。楽しみ!

 夜になって、「〈100%Silk〉 Night」の会場、Santa MonicaにあるLittle Templeへ。着いたらまだ誰もいなくて、どきどきしながら待っているとメガネで背の高い男の人がやってきて、「君、Sapphire Slows?」と話しかけてきた。誰だろうと思ったらLeechのブライアンだった。「僕も今日プレイするんだ、よろしくね!」「あ、よ、よろしく!」そのうちにみんなぞくぞくとやってきて会場に入る。行くまで知らなかったけど一階がライヴフロアで二階は〈dublab〉のオフィスと放送スタジオになっていた。すぐに〈dublab〉のDJでもあるSuzanne KraftのDiegoとSFV AcidのZaneがレコードをまわしはじめて、PAの用意ができるまでみんなでシャンパンをあけてわいわい。遊びにきてくれたPiperもすでにアガっている。なんだか素敵な部室みたい! そしてようやく対面した〈100%Silk〉のアマンダは、会うまではものすごくぶっ飛んでるんじゃないかと思ってたけど、実際に会ってみると小さくて華奢で、ものすごくかわいらしかった。「ハローキヌコ! やっと会えて本当に嬉しいわ!」私は皆に会えた感動でアワアワしつつ、「こ、これは夢じゃないぞ!」と自分を落ち着かせるのに必死......。


dublabのスタジオで。左からPuro InstinctのPiper, Austin, Suzanne KraftのDiego.

 この日、最初のアクトはソロアーティストのLeech。LeechといえばMiracles ClubのHoneyたちがやってる〈Ecstasy Records〉界隈の人だと思っていたけど、〈100%Silk〉ともしっかり繋がりがあったみたい。私の好みド直球の音で、最初からやられた。次のPharaohsは意外にフィジカルで、数台のアナログシンセやサックスなどを使って本格的に演奏していた。グルービー!転換の間はSuzanne KraftとSFV Acidが始終いい感じのDJをしてる。そしてやってきたLA Vampires、やばい! Amandaのダンスは神懸かっていて、音は最近のOcto Octaとのコラボレーションの影響もあるのか、過去のレコードと違ってかなりビートもしっかりした、ハイファイな感じ。

 私がライヴをしているあいだも、お客さんはあったかくて皆盛り上がってくれた。私はここに来るまでインターネットでしかフィードバックがなかったから、正直自分の音楽がちゃんと受け入れられるのか不安だったけど、たくさん反応があってなんだかすごくほっとした。ほっとしすぎて泣きそうになりながら二階で機材を片付けていると、SFV AcidのZaneがライヴよかったよと話しかけてくれた。そして色々話しているうちに「LAにいるあいだ暇があったらうちで一緒にレコーディングしよう!」という流れに。ワーイ。

 それからPeaking Lightsの後半半分くらいを見た。彼らはライヴに巨大なカセットデッキを使っていて、この日はいきなりテープが再生できなくなったり機材のトラブルも多かった。でもそれも含めアナログっぽさならではの良さがあってとても素敵だった。パーティが終わり、最高だった2日目も終了。


LA Vampires @ Little Temple

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家のなかは本とカセットとレコードだらけで、(Night Peopleのカセットが全部ある!)私が想像してた通り、というかそれ以上のセンスでまさに完璧な理想の家。全部の配置が、おしゃれなインテリアみたい! 

3/7
ロサンゼルス3日目。

 お昼過ぎにRoy St.のNNF Houseに遊びに行く。アマンダは出かけていて、ブリットが迎えてくれた。それからすぐLA Vampiresのニックも来てくれた。ブリットたちは去年の11月くらいに引っ越したばかりで、新しい家は本当に超かっこいい! 外の壁は全部紫っぽく塗ってあって、絵が描いてあったり、変な形の植物がいっぱいあったり。庭にはハンモック、納屋みたいな小さな離れはスタジオルームになってる。スタジオにはCasioのSK-1とかSK-5とか、おなじみの古いチープな楽器がいっぱい。家のなかは本とカセットとレコードだらけで、(Night Peopleのカセットが全部ある!)私が想像してた通り、というかそれ以上のセンスでまさに完璧な理想の家。全部の配置が、おしゃれなインテリアみたい! 家具も、アマンダの趣味の作りかけのジグゾーパズルも、ちょっとした置物も。将来こんなふうに生活したいよね......と誰に同意を求めるわけでもなく納得。かっこいいことしてるかっこいい人たちがかっこいい家に住んでてよかった。音と、人と、環境が、まったくズレてない。彼らのセンスを信じてて良かった。


Not Not Fun Houseの居間にてブリットと。


Not Not Fun Houseにて。壁にはカセットテープ。

 BrittとNickといろいろおしゃべりしたあと、お腹すいていたのでNNF Houseを後にし、Eagle Rockあたりにある、Brittに教えてもらったタイレストランへ。うまー。それからハリウッドの近くに戻り、Amoeba Musicっていう死ぬほどデカイ、あらゆるジャンルが置いてあるレコード屋さんに行った。90年前後のハウスのレコードを中心に掘ったけど、何時間あっても見きれない。そして古いレコードはほとんどが1枚2ドルで、クリアランスは99セント。安すぎるー。


レコードをディグる。

 夜は昨夜の約束通り、SFV AcidのZaneの家へ。待ち合わせ場所でZaneは絵を描きながら待ってた。彼はスケッチブックを持ち歩いていて、いつでもどこでも絵を描いてる。部屋にもそこら中に絵があって、どれもめちゃくちゃかっこよかった。彼にとって絵は音楽と同じくらいかそれ以上に大切なものなんだろうと思う。不思議で、ちょっと(だいぶ?)変で、でもちゃんと自分の考え方やこだわりを持ってて、そして何より本当は繊細なんだってことが、話してても作品を見ててもわかった。Zaneの家は地下がスタジオになっていたので、アナログシンセやTR-707、TR-909、TB-303などを使ってジャム! 声をサンプリングさせて、と言われて適当に歌ったりしてすごく楽しかった。



SFV Acidの自宅スタジオでセッション!

 そうしてるうちに誰かが家に帰ってきて、誰だろう? と思ったらなんと4ADのINC.のDanielとAndrewが来てた。ここが繋がってるとは思ってなかったのでびっくり。2階に住んでるらしい。ふたりは双子なので顔もそっくりで見分けがつかないくらいなんだけど、Danielが一瞬二階に上がって降りてくると「いま剃った!」とスキンヘッドになっていた。おかげで見分けがつくようになったよありがとう......。

 そのあとはしばらくみんなでダラダラ。INC.たちがご飯を作ってくれたので、お礼に煙草が好きらしいAndrewに日本のマルボロをあげたらすごく喜んでた。それから、僕も何かあげなきゃ、と渡されたのが大量のINC.のロゴ入りコンドーム。なんじゃこりゃ、と思ってよく見ると小さく<inc-safesex.com>のURLが。一体なんのサイトだろうとドキドキしながら、結局帰国してからアクセスしてみたんだけど......。それにしてもゴム作るってすごいセンス。余計好きになった! そんな感じで盛り上がっていると、Andrewが明日よかったら僕たちのスタジオにくる?と言ってくれて、次の日遊びに行くことに。

 そのあとはみんなでDown Townのクラブへ遊びに行った。そこは本当にLAでも最先端の若者たちが集まってるっていう感じで、みんなエッジーで本当におしゃれ、というか、垢抜けていてセクシーだった。この夜、私は楽しさと疲れで飲んでいるうちに緊張の糸が切れたのか、あまりに幸せすぎていきなり泣き出してしまった。みんなびっくりしてどうしたの!? と心配して慰めてくれたんだけど、こんなに素晴らしいアーティストたちがたくさんいて、みんな友だちで、っていうのはそのときの私には東京じゃ考えられないことで、心底うらやましかった。ずっとひとりで引きこもって音楽を作っていたし本当はすごく寂しかったっていうのもあると思う。だからアメリカにきて、あまりにもたくさんの素晴らしい人たちに出会えたことが夢みたいで、号泣しながら、日本に戻りたくない! と思った。

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彼はスケッチブックを持ち歩いていて、いつでもどこでも絵を描いてる。部屋にもそこら中に絵があって、どれもめちゃくちゃかっこよかった。彼にとって絵は音楽と同じくらいかそれ以上に大切なものなんだろうと思う。

3/8
ロサンゼルス4日目。Korallreven/Giraffage @ Echoplex

 この日はLAでふたつめのライヴ。その前にINC.のスタジオに遊びに行かせてもらった。家の地下にあったスタジオとは別の、かなりちゃんとしたINC.専用のプライヴェートスタジオ。わかんないけど、4ADに与えられてるのかなぁ?スタジオは広い倉庫みたいなところで、中は真っ白に塗ってあってとてもきれい。天井からは白い透けた布みたいなのがたくさんぶら下げられていて、彼らの美へのこだわりを感じた。メインの空間にはiMacと、生ピアノ、シンセ、ミキサー、数本のギターとベース、ドラムセットがあって、それとは別にクッションで防音してある小さな歌入れ用の部屋がある。(スタジオの写真は彼らのサイトで見れるよ! でもつい最近レコーディングが終わって引き払っちゃったみたい。)

 ふたりは今新しいアルバムの最後の作業中で、そのなかの何曲かを聴かせてもらった。INC.のアルバムなんてもう聴かなくても最高なのはわかってるけど、やっぱり最高だった。それからふたりは曲を作りはじめた。AndrewがMPCでドラムを打ち込んで、Danielはピアノをひいてる。ふたりはもともと、他のアーティストのライヴのサポートをするスタジオミュージシャン? のようなことをしていたらしく、とても演奏がうまい。私はふたりの生演奏をききながらぼーっとして、このまま死んでもいいなって感じだった。そのくらい素晴らしい空間で、素晴らしい音楽で、ふたりが美しくてかっこよすぎたから! そんな感じでしばらく音を聴かせてもらったり、いろいろしてるうちにライヴのリハに行かなくちゃいけない時間になった。名残惜しかったけど、AndrewとDanielに自分のレコードを渡して、お礼を言って、お別れ。


INC.のスタジオにて。左奥がAndrew、一番右にいるのがDaniel.左手前がリハーサル前に迎えにきてくれたPiperで、右奥に立ってるのはPiperの友だちのJosh.

 この日のライヴはKorallrevenやGiraffageと。同じくUSツアー中のKorallrevenは意外ながら〈Not Not Fun〉が好きらしく、私が彼らのオープニングをつとめさせてもらうことに。場所はEcho ParkというLAのインディーシーンの中心にある、Echoplexという結構大きめの箱だった。私はこの日のライヴ中、実はあまり体調がよくなくて、ダウナーで頭がフラフラになってたんだけど、友だちを連れて見にきてくれてたPiperやBritt, Nick, Zaneたちはみんな暖かく見守ってくれた。


Sapphire Slows LIVE @ Echoplex

 ライヴのあと、私が明日LAを経つから、ということでPiperたちがホテルの屋上のバーみたいなところに連れて行ってくれた。オープンルーフで開放的な中、音楽がガンガン鳴っていて、ダウンタウンが見下ろせる景色のいいところ。夜景がすごくきれいで。きっと彼らなりに、普段行かないような特別な場所に連れて行ってくれたんだと思う。Piperはずっとおしゃべりしてたし、PuroのバンドメンバーのAustinはずっとハイテンションで踊ってる。Zaneはここでもずっと絵を描いてた。みんな同い年くらいで友だちみたいに接してくれたからすごく楽しかったな。LAのシーンでは結構若い人が多かった。Puro Instinctも、SFV Acidも、Suzanne Kraftも、INC.も、みんな20代前半。みんなと離れるのは本当に寂しかったけど、またアメリカに来たら遊ぼうね! 日本にも来てね! と言ってバイバイ。


ホテルの屋上のバーで、Austin, Josh, Piper, 私, Zane。(左から)

3/9
サンフランシスコ初日。Donuts @ Public Works w/Magic Touch & Beautiful Swimmers

 ロサンゼルスからサンフランシスコへ移動の日。朝早く出発。フライトは一時間くらいで、すぐサンフランシスコに到着。空港まではMagic Touch/Mi AmiのDamonが迎えにきてくれた。Damonはツアーのことも助けてくれていたし、アメリカに行くずっと前から連絡を取り合って一緒に曲を作ったりもしていたので、やっと会えたって感じで嬉しい! サンフランシスコでは一緒に作った曲をプレイできるのも楽しみだった。

 この日の夜はDonutsというDamonの友だちのKat(DJ Pickpocket)がオーガナイズしてるパーティでライヴ。とりあえずDamonの家に荷物をおかせてもらったあと、タコスを食べに行った。サンフランシスコではほぼ毎日タコスだったような......そのあとBeautiful SwimmersのAndrewとAriと合流して、アイスクリームを食べたり、公園みたいなところで犬と遊んだりビールのみながら夕方までまったりと過ごす。サンフランシスコにいる間はずっとMagic Touch、Beautiful Swimmers、Katと一緒に遊んでた。

 17時くらいに一旦サウンドチェックへ。会場はPublic Worksという、壁いっぱいに派手な絵が描いてあって素敵なところ。この日のライヴはMagic Touchと私だけだったので、サウンドチェックとセッティングを終えてDamonの家に戻ると、オーガナイザーのKatと、テンション高めのAndre(Bobby Browser)が来てた。Andreは大量のパエリアとサラダを作ってくれて、すごくおいしかった! みんなで腹ごしらえをしたあと、疲れていた私はパーティのオープンまでちょっとだけ寝て、ライヴのため再びPublic Worksへ。ライヴはこのとき3回目だったけど、まだ緊張で頭がぼーっとしてる感じがあって、なかなか慣れない......。

 ライヴのあとは外でAndreと話して、その会話がすごく印象的だった。機材についてきかれたから、Macと、中古のMidiコントローラーと、ジャンクのキーボードと500円のリズムマシンしか使ってないの、というとびっくりしてた。Andre いわく、「音楽を作るっていうこととDJをするのは全然ちがうし、DJをやろうとする人は多いけど作ろうとする人はあんまりいない。お金と機材がないと作れないと思ってる人が多いし、持ってる奴らに限ってみんな『僕はJunoもMoogも808も、あれもこれもたくさん持ってるんだぜ!』って機材ばかり自慢する。じゃあ君の音楽はどうなの? ときくと『それはちょっと......』って、肝心の音楽は作ってなかったりしてね。でも君は少ない機材でもちゃんと自分らしい音楽を作ってるし、もしもっとお金と機材があったらもっとすごいことができるってことじゃん!」私はそんなふうに考えたことがなかったからすごく嬉しかったけど、なんだか照れくさくなってなんて言えばいいのかわからなかった。それでまた「でも、日本にはこんなに素敵なミュージシャン仲間たくさんいないからうらやましいよ」って言ってしまったんだけど、Andreが「僕はOaklandに住んでるけど同じ趣味の仲間たちとミーティングするときは10人もいなくて、多くて7、8人くらいかなぁ? OaklandはHIPHOPのシーンが盛んだからあんまり仲間がいないんだ」と言ってるのを聞いて、どこにいても同じなのかもしれないなぁと思った。

 私の次にはMagic Touchがライヴをして、そのときにDamonと一緒に作った曲もプレイした。初めてで慣れないけど、一緒にライヴをするのはすごく楽しかった。Beautiful SwimmersのDJもかなり最高で、みんなで踊りまくった。思っていたよりディスコっぽくなくて結構ハードな4つ打ちばかりだったのは、最近の彼らの趣味かも。

 同じPublic Worksでは別の階にある大きいフロアで同時に違うイヴェントをやってて、(スタッフのChrisいわく、Burning Manみたいなイヴェント)そっちにも少しだけ遊びに行った。変なコスプレをしたり、変な帽子をかぶったり、頭に角をつけてる人たちがたくさんいて、異常に盛り上がっていた。どのへんがBurning Manだったのかは謎だけど、たぶんあのコスプレみたいな人たちのことを言ってたんだろう......。

 そのあと疲れてきた私はうっかり、階段のところでうたた寝をしてしまった(ほんとに一瞬)。知らなかったけど、アメリカではクラブで寝るのはタブーらしく? いきなりガードマンのいかつい黒人さんたちが3人くらいやって来て引きずり出されてめちゃ怒られた(まじで怖かったー!)。みんな私が疲れてるのを知っててかばってくれたけど、最初なんで怒られてるのかわからず、え? 何も悪いことしてないよ! 状態でした。寝るだけであんなに怒られるとは......。そう、場所によるとは思うけど、アメリカと日本のクラブで違うなぁと思ったところはいくつかあって、「絶対に寝てはいけない(経験済み)」「お酒は2時までしか飲めない」「イヴェント自体もだいたい朝4時までには終わる」「室内は絶対禁煙」っていう感じだったな。

 イヴェントが終わったあとみんなで歩いて帰って、朝7時頃に違うパーティでBeautiful SwimmersのDJがあったけど私は起きられなくてそのまま寝ちゃった。みんなが帰ってきたのは朝9時くらい!

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こんなに素晴らしいアーティストたちがたくさんいて、みんな友だちで、っていうのはそのときの私には東京じゃ考えられないことで、心底うらやましかった。ずっとひとりで引きこもって音楽を作っていたし本当はすごく寂しかったっていうのもあると思う。

3/10
サンフランシスコ2日目。

 みんな帰りが遅かったので、昼すぎまで寝てる。昼ごはんはタコス。とはいえもう夕方だったけど。そのあとはみんなでドライヴ。「どっか行きたいとこある?」と言われて、ほんとは服とかも見たかったんだけど、Magic TouchとBeautiful Swimmersに女の子の買い物付き合わせるのもなぁ、と思って大人しくレコード屋に行きたいと言う。ということで、サンフランシスコで一番有名な通りらしいHaight Streetを通って(通っただけ)、Amoeba Musicサンフランシスコ店へ。LAよりは少し小さいけど、やはりデカイ。みんな大量にお買い上げ。でも私はもうこれ以上買えない......LAでも結構買っちゃったし、重すぎてひとりで運べなくなるから。機材もあるし仕方ないけど悲しいなぁと思っていると、KatとDamonがおすすめのレコードを1枚ずつ選んでプレゼントしてくれた。こういうのは宝物!

 夜は日本料理屋 へ。精進料理(のつもり)のレストラン。みんなたぶん私のために連れて行ってくれたんだけど、揚げ出し豆腐以外はまずかった!でもみんなで精進料理っていうシチュエーションがおもしろしすぎて十分楽しかった。夜はDamonと近くのクラブに遊びに行ったけど、疲れていたのであまり長居せずに帰った。

 みんな本当にレコードおたくで、とくにAndrewは昨日もこの日もめちゃくちゃ買ってた。そして家に帰ると「今日買ったレコード自慢大会」がはじまるのが恒例。なんかそういうのがいいんだよね。やっぱりみんな大好きなんだなと思って。あと、最近はなぜかコクトー・ツインズのCDがお気に入りみたいで、家でもハウスのレコードかけてみんなで盛り上がったあとは必ずコクトーツインズで落ち着いた。

3/11
サンフランシスコ3日目。

 起きてみんなで歩いて出かけて、昼ごはんはまたまたタコス。いいけど! 私はビーフサンドイッチみたいなのを選んだ。そのあとはぶらぶらしながらコーヒを飲んだり、アイスを食べたり、本屋やレコード屋にいってのんびり過ごした。街の小さなレコード屋で、〈Triangle〉からリリースしてるWater Bordersっていうバンドのレコードを買った。彼らはサンフランシスコに住んでて、Public Worksにも来てくれてたけどすごくかっこいい。

 その後は車に乗って、サンフランシスコで有名なGolden Bridgeっていう大きな橋を渡って、Muir Woodsという国立公園に行った。平均樹齢500歳以上のカリフォルニア・レッドウッドの原生林で、気持ちよく森林浴。そのあとグニャグニャした崖の道を走って、サンセットを見るために海へ行く。サンフランシスコの海岸はすごく広かった。車のなかでは大音量で音楽をかけてみんなテンションあがってハイになって、
 めちゃくちゃ綺麗なサンセットを見ながら幸せすぎてこのまま死んでもいいなぁと思った(二度目、いやほんとは三度目くらい)。


サンフランシスコの海岸で。Damon(左)とAndrew(右)と記念撮影!

 夜はみんなでIndian Pizzaを食べに行った。ピザの上にカレーがのってるような食べ物で、アメリカで一番おいしかったかも。サンフランシスコではほとんどダラダラ遊んで過ごしただけだったけど、住むならここがいいなと思えるくらい居心地のいい街で、やっぱり離れるのは嫌だった。でも明日はもうテキサスに移動する日。荷造りをして早く寝た。

3/12
SXSW初日

 朝早くにサンフランシスコを出発。空港へ。飛行機に乗ってすぐロサンゼルスやサンフランシスコでのことを思い出していると、ホームシックならぬカリフォルニアシックになって、なぜかひとりで号泣してしまった。飛行機のなかでだいぶ怪しかったと思う。ロサンゼルスもサンフランシスコも両方だけど、カリフォルニアは最高だった。本音を言うと、疲れもピークだったテキサスでの最初の数日よりもずっとずっと楽しかったし、すぐにでもまた行きたいと思った。泣き止んで気持ちが落ちついた頃にはソルトレイクに着いて、乗り換えてテキサスのオースティンについたのは夕方頃。

 オースティンにいる間は広い家に住んでる若い夫婦のエクストラルームを借りてステイした。家について挨拶したあと、バスや電車でSXSWのメイン会場のほうへの行き方を教えてもらって、夫婦に連れられてタコスを食べに行った(また!)。でもさすがに、本拠地テキサスのタコスは格別にうまい。フィッシュタコスっていう魚のタコス。ステイ先のエクストラルームは部屋もバスルームもすごく綺麗でずっと快適だった。この日はライヴを見たりすることもなく終了。

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みんな本当にレコードおたくで、とくにAndrewは昨日もこの日もめちゃくちゃ買ってた。そして家に帰ると「今日買ったレコード自慢大会」がはじまるのが恒例。なんかそういうのがいいんだよね。やっぱりみんな大好きなんだなと思って。

3/13
SXSW2日目。ここからは適当なライヴ・レヴューがメインかも!

 昼間は中心のストリートからちょっと歩いたところにある小規模な野外ステージでXray EyebellsやBig Dealを見る。芝生でビール飲んでごろごろしながら見たBig Dealはよかったな。アメリカ、テキサスで聴くUKの感じが新鮮で。男女2人組のメランコリックで優しい空気感。

 夕方からはこのあと何度も行くことになる会場Mohawkで『Pitchfork』のパーティへ。ここ、中心部にある結構メインでいい会場なんだけどいかんせん人が多くて入るのも大変。 Shlohmo,、Star Slinger、Sun Araw、Trustを見る。Shlohmoは若手のイケメンビートメーカーということでわくわくしてたけど込みすぎててほとんど顔見えなかった。音はもちろんいいよ! Trustは〈Sacred Bones〉からの「Candy Walls 」が大好きで本当に楽しみだったんだけど、最前列のファンたちがなんというかダサくて、テンションさがってしまった......逆にStar Slingerは頑張って真ん前まで見に行くと、気付けば周りに熱狂的なデブとオタクとオッサンしかいなくて妙に納得、より大好きになった。

 夜も更けてきて、そのあとは会場忘れたけど別のとこでSurviveとBodytronixを見た。どっちも最高。Surviveは見た目怖い人たちがヴィンテージのドーンとしたアナログシンセを横に4台並べてプレイ。最前列のファンもやばげな人たちが踊り狂ってていい感じ。Bodytronixはオースティンの2人組のアーティストで、見るまでは知らなかったのだけれど、そこにいた同じくオースティン在住のPure XのボーカルNateに「オースティンで一番かっこいいから見たほうがいいよ!」と激押しされ見てみると最高にかっこよかった。SFV Acidをもっとハードにした感じの音で、どツボでした。


Survive @ SXSW

3/14
SXSW3日目。

 昼間はまたMohawkへ。大好きなBlood Orangeを見る。ひとりでトラックを流しつつ、ギターソロを弾きまくりながら歌うスタイル。ステージから降りて激しくパフォーマンスをしているとき、記者会見並みにみんな写真を撮りまくっていてなんだかなぁという気分に。私は自分のライヴ中にパシャパシャ携帯で写真をとられるのが嫌いでそういうの見てるといつも嫌になる。Pure XのNateもライヴ中に写真撮られるの本当は嫌いなんだって言ってたなぁ。まぁその話はいいとして......人混みに疲れてしまった私はしばらくダウンして、夜になり同じストリートにあるBarbarellaでD'eonを見た。そのあと一度抜けて違うクラブに行き、Italians Do It Betterのドン、Mike SimonettiのDJで飲みながら踊る。どこに行ってもそうだったんだけど、私が行ったところには日本人が全くいなくて踊っても何してても浮いてた。そのあとBarbarellaに戻って見たPure XとBlondesは最高だった。Pure Xのサイケデリックでノイズな夢の中、ボーカルNateの唐突なシャウトは心のかなり奥の方にガツンときたし、NYからのBlondesはあの音で全部ハードウェアで演奏してるっていうのが超かっこいい。ああいうダンス的な音楽はもはやラップトップやMidiを使ってやるほうが多いと思うから。

3/15
SXSW4日目。

 またまたMohawkへ。もうドアマンに顔を覚えられている。ほんとはFriendsが見たかったんだけど、混みすぎてて並んでるうちに終わっちゃった(涙)ので、SBTRKTとCloud Nothingsを見た。SBTRKTは「?」だったけど、Cloud Nothingsはグランジな感じで演奏もよくてかっこよかった。そのあとメインストリートとは逆のサイドにある会場まで行って、Dirty Beachesを見る。なんというか本当にアジアの星だね、彼は。カナダだけど。見た目に関してだけ言うと、アジア人ってそれだけで普通は欧米人よりダサくなってしまうような気がするけど彼は違う。最高にエッジーでかっこいい。彼になら殴られてもいい! いや、殴られたい! そしてそこには同じくカナダのJeff Barbaraもいて、話していると彼らが仲良しなことが判明。Dirty BeachesとJeff Barbara、音は全然違うけど、なんかいいね。スタジオをシェアしたり、LAでのSFV AcidとINC.みたいにルームシェアしてたりとかそういうの。東京はどうだろう?なんて思ったり。音が違っても心が通じてる、そんな感じの仲間がたくさんいればいいね。

 夜はRed 7という会場で〈Mexican Summer〉ショーケース。〈Mexican Summer〉rはもちろん大好きだから本当は全部見たかったんだけど、この日は本当に疲れていて、最初のPart Timeだけ見て帰ってしまった。Light Asylumも、Oneohtrix Point Neverも、The Fresh & Onlysも、Kindnessも、死ぬほど見たかった! けど、ここまでの旅の疲れと、なんともいえない孤独感と、SXSWの人混みとクレイジーな祭り状態にしんどさがMAX限界状態だったのです。ちなみにPart Timeはめちゃくちゃダサかった(良い意味で)。

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私は自分のライヴが終わったあと、トリのPeaking Lightsを見ながら、明日には日本に帰るのかと思うと悲しくなりすぎて、またホロリ。何度目? 本当に帰りたくなくて。

3/16
SXSW5日目。NNF House Show@Hounds of Love Gallery

 あまりに疲れたのでこの日はライヴは見に行かず、自分のライヴのために体力温存&準備しながらまったり。

 夜。SXSWで最初のライヴはNNFファミリーの身内感あふれるハウス・パーティ。Hounds of Love GalleryはギャラリーではなくNNFのヴィデオなどを作っている映像作家Melissaのギャラリーっぽい自宅。そこによく集まってるらしいMelissaとそのアートスクール仲間たちはみんな映像を作ったり絵を描いたりしてる子で、年も私と同じくらいだったので話しやすかった。この日のうちにCuticleのBrendan、Samantha GlassのBeau、Willieと仲良くなり、彼らと最後の2日間遊び続けることに。

 ライヴはオースチンの漢(おとこ)、Xander Harrisからスタート。VJで怪しげな映像を流しつつ、途中から脱いでいた。彼の人柄は野性的なのか律儀なのかよくわかんない感じでおもしろかった。その次はCuticle! 話してると普通なんだけど、ライヴしてるときはなんともいえない色気があってぞくぞく! Cuticleは似たような音のアーティストたちのなかでもなんとなく奇妙さと個性があって好き。アイオワに住んでるからカリフォルニアのSILKアーティストたちとは場所的にも離れているけど、離れたところでひとりマイペースにやってるとこも共感できるのかな。Samantha Glassはゆったりとした、ディープでサイケでギターの音が溶ける心地のいいサウンド。私はこの日トリで、そこそこ飲んでいたし音響などの環境も悪かったけれど、とくに問題なくプレイできた。床でやったけどね。この日のライヴはMelissaのVimeoで見ることができるので興味ある人はこちらからどうぞ。(https://vimeo.com/40269662


ライヴ中はセクシーなCuticle @ Hounds of Love Gallery

 ハウス・パーティが終わったあとはCuticleとSamantha Glassと違うパーティに遊びに行って、そこでSleep Overをみた。他のメンバーと別れひとりになったSleep Over、心無しかライヴも悲しく哀愁が漂っている。そして変な弦楽器を悲しげに弾いている。嫌いじゃない......。そのあとはお腹がすいたのでみんなでスーパーにいって、ご飯を買ってかえった。

3/17
SXSW6日目。最終日そして最後のライヴ。Impose Magazine Presents The Austin Imposition III @ Long Branch

 前日からもはやお祭り騒ぎのSXSWに疲れ果て、他のアーティストのライヴを見に行くことを放棄している私。この日、昼間はCuticleのBrendan、Samantha Glassのふたりとその友だちの女の子たち6人くらいで車に乗って郊外へ遊びに行った。なんとかSpringっていう池なのか川なのかよくわからないところで泳いだり飛び込んだりして(飛び込んではしゃぎまくってたのは主に男たち)、遊んだあとはSXSWに戻って会場入り。アメリカで最後のライヴだ......。Cuticle、Xander Harris、Peaking Lightsとは二度目の共演。この日初めて見たキラキラで怪しさMAXの女子ふたり組Prince Ramaのパフォーマンスはすごかった。ライヴっていうか、儀式。ダンスが最高で、取り巻きファン的な男の人たちもかなり熱狂的だった。Tearistも力強いというか強烈なインパクトがあって、ヴォーカルの女の人の髪が扇風機的なものでずっとTM Revolution並になびいていた。私は自分のライヴが終わったあと、トリのPeaking Lightsを見ながら、明日には日本に帰るのかと思うと悲しくなりすぎて、またホロリ。何度目? 本当に帰りたくなくて。でもみんなに背中を押されつつなんとか帰って、無理矢理荷造り......。

3/18
帰路

 早朝に出発、したにも関わらず飛行機が5時間くらい遅れてやってきて、デトロイトで乗り換えできなくなってしまった。よくあることらしいんだけど、想定外のホテル一泊。ここで帰るのが遅れても嬉しくないよ。結局丸一日半ほど遅れて日本に帰国。ただいま。

あとがき

 日記、めちゃくちゃ長くなっちゃった。読んでくれてありがとうございました。行くまでは大変だったけど、楽しすぎて何度も日本に帰りたくないと思った。でも向こうのアーティスト同士のつながりやシーンを見ていて、東京でもこれからやっていけることがたくさんあるんじゃないかなと思ったし、離れた場所にたくさんの仲間がいることがわかって、どこにいても何をしてても、ちゃんとつながっていけるんだなぁと実感。それが一番の収穫かな? とにかく行ってよかった。またいつでも行けるようにこれからも音楽作っていこうと思います。

オワリ

 

※この続きは......というか、彼女のインタヴューは、紙版『ele-king vol.6』にてご覧ください!


CHIDA (ene / FUNIKI ENE) - ele-king

【CHIDA's DJ SCHEDULE 】
6.15 (Fri) ENESP No.1 feat. ROOM FULL OF RECORDS KICK OFF PARTY@eleven
6.20.Wed. Aoyama Tunnel/Tokyo
6.29.Fri. G6 at Taipei

ene Europe Tour 2012
with THE BACKWOODS(aka DJ KENT/Force of Nature)
7.19.Thu. Guimaraes / Portugal
7.20.Fri. LUX Fragil / Lisbon / Portugal
7.21.Sat. Sunstream(Boat) / Lisbon / Portugal
7.27.Fri. Dalston Superstore / London / UK
7.28.Sat. City Music Hall / Newcastle / UK
8.3.Fri. TBA / Istanbul / Turkey
8.4.Sat. TBA / Helsinki / Finland
8.10.Fri. TBA / Moscow / Russia
8.11.Sat. Loftus Hall / Berlin / Germany

ボム10 NOW.


1
Cos/Mes - Sadistic EP♯2 - FUNIKI ENE

2
Hatchback - Main County EP - Adult Contemporary

3
Iori - NEXUS - Bitta(Album)

4
Kaoru Inoue - Ground Rhythm(The Backwoods Remix) - SEEDS AND GROUND

5
Phreek Plus One - La Spirale(Justin Vandervolgen Remix) - Internasjonal

6
Still Going - Work That Shit Party - Still Going Records

7
Soft Rocks - The Revenge of Soft Rocks - ESP Institute(Album)

8
The Backwoods - Flying Bugz(Kaoru Inoue Remix) - ene

9
The Backwoods - Cloud Nine(The Stallions Remix) - ENESP

10
Windsurf - Weird Energy(9dw Remix) - catune

interview with Jimmy Edgar - ele-king


Jimmy Edgar
Majenta

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 ジミー・エドガーの名前を検索していくつかのページを見ていると、三田格が2006年に書いた『スタジオ・ヴォイス』の記事のアーカイヴを発見した(https://archive.studiovoice.jp/369/2810)。それは〈ワープ〉がショウケースを日本で行ったときのもので、このイヴェントには僕も行った。そうたしか、エレクトロニカとヒップホップにジャズを織り交ぜつつ鮮やかな手さばきで調理する神童という触れ込みで、キッチュなエレクトロをやっていたジャクソン・アンド・ヒズ・コンピューター・バンド(懐かしい!)とともに〈ワープ〉の期待の新人としてプッシュされていたはずだ。ただ、記憶を辿ると、ここに三田格が書いているように、ジミー・エドガーのライヴはその夜の〈ワープ〉のラインアップのなかでもとくにガシガシ踊れたように思う。
 記事では〈ワープ〉主宰のスティーヴ・ベケットがヴァリアス・プロダクションと契約したいと話しているが、まさにダブステップもこの時期から本格的に盛り上がりはじめている。ジミー・エドガーがそれから6年を経て、新作をスキューバが主宰でありマウント・キンビーやアントールドを紹介している〈ホットフラッシュ〉からリリースをすることは意外ではあるけれども、現在のシーンにおけるフロア・ミュージックという意味で、ポスト・ダブステップのレーベルとジミー・エドガーの邂逅が成り立ったと考えられるだろう。

 そう、ジミー・エドガーの新作『マジェンタ』は、おそらく我々が彼のことを神童だと見なしていたとき以上に、この若きヴェテラン・プロデューサーのフロアへの情熱を見出せる1枚だ。新作を特徴づけているのはオールドスクールにも遡るエレクトロで、音は整頓されて機能的な作りになっている。クウェズのリミックスを収録したシングル"ディス・ワンズ・フォーザ・チルドレン"のキャッチーなリフレインにしても、イーヴン・キックの"レット・ユアセルフ・ビー"のスペイシーな響きにしても、ごく真っ当にダンサブルなテクノ・トラックとして身体を揺らすことができる。あるいは、シンセでふざけてファンクをやっているような"タッチ・ユア・ボディライン"やヒップホップのビート感覚が健在の"アイ・ニード・ユア・コントロール"、そしてエフェクト・ヴォイスが愛を歌うR&Bの"イン・ディープ"では、ブラック・ミュージックのユーモラスな導入も聞ける。そしてもちろん、デトロイト・テクノの正統な血筋も変わらず流れている。それらがフロアの暗がりへと持ち込まれ、吐息交じりのヴォーカルが行き来しながらエロティックに妖しく光る。

 以下のインタヴューでJ.G.バラードや来世の愛、人間性、銀河の周波数に至るまで語るジミー・エドガーは、『マジェンタ』にスピリチュアルな要素をたっぷり持ち込んでいるようだ。〈ワープ〉時代に"アイ・ワナ・ユア・STD"――「俺はお前のSTDになりたい」と言っていた彼は、その独自の濃密でシュールな愛とセックスをこのフロア・ミュージックに託している。

「この曲はデトロイト・サウンドにするべきだ」と考えてから曲作りをはじめたことはいちどもないんです。なぜだかデトロイト・サウンドが好きなんですよ。ただ、いまっぽい感じの拡張された新しいデトロイト・サウンドを作ってきたとは思っています。

いまもベルリンに住んでいるんですよね? ベルリンはあなたにとっていまも刺激的な街だと言えますか?

JE:いまでもたいていはベルリンにいます。とても住みやすい街なんですよ。冬よりも夏が楽しいんですが、いつもスタジオに篭って仕事をしているので関係ないんですけどね。

あなたはデトロイトで10代から活動していて、ホアン・アトキンスやカール・クレイグ、デリック・メイらと共演していたことがよく挙げられますが、いまでも彼らと交流はあるんでしょうか? 

JE:その3人はいまでもデトロイトに住んでいますが、もちろんいまでも交流はありますよ。ホアンとはしばらく話してないのですが、カールとデリックは世界中のいろんなところで会ったり、連絡を取ったりしています。たまにデトロイトに戻ったときも会いますよ。みんな、素晴らしい友人関係なんです。

前作『XXX』から、リスナーとして好んで聴いていた音楽はどのようなものでしたか?

JE:R&Bばかりですね。80年代、90年代、そして2000年以降から現在までのR&Bのなかでもダンサブルなものですね。それから音楽理論をかなり真剣に学んでいます。一連の規則を学べば、そのルールを壊すこともできると思っていました。これは私の個人的なトレーニングのテーマなのですが、規則を学べば自分で新しいものを創り出すことができると思っています。

では、新作『マジェンタ』について聞かせてください。まず何より、スキューバの〈ホットフラッシュ〉からのリリースというのに驚かされたのですが、これはどういった経緯だったのでしょうか?

JE:友人からポール(スキューバ)に会うように勧められたんです。その際に音を聴かせました。想像とは違うかもしれませんが、直接会って話したんです。メールでのやり取りもかなりしてきました。ポールは私のコンセプトに共感してくれたんです。〈ホットフラッシュ〉は私のクリエイティヴに対して自由を与えてくれました。これは私にとって重要なことなのです。

〈ホットフラッシュ〉のリリース、そのスキューバやマウント・キンビーの音楽についてはどんな印象を持っていましたか?

JE:正直に言うと、リミックスをしたことがあったので、ポールやセパルキュアの音楽は少しは知っていました。最初はダブステップに寄りすぎている感じがしていたんですけど、最終的にはたくさん聴かせてもらって納得できました。友人のアンティウスがLando Kalという名義で『リズム・セクション』という作品を〈ホットフラッシュ〉からリリースしたのですが、けっこう売れているみたいですね。

その〈ホットフラッシュ〉からのリリースとは言え、ダブステップやその流れを受けたポスト・ダブステップと呼ばれるものとは、あなたの新作は別のところにあります。今回はこれまでのジミー・エドガー名義の作品よりもエレクトロ色がかなり増したように思うのですが、それは意識的でしたか?

JE:たまたまです。そんなに深くは意識していませんでした。すべてのものは「ポスト~」となります。私にとっては意味のない定義付けですけどね。自分自身を「ポスト~」のように定義したくはないです。たしかに多くのものから影響を受けてきましたが、広いジャンルに渡るものからなのです。

本作の音楽的なインスピレーションは具体的にありますか? 

JE:『XXX』の直後からこのアルバムに取り掛かりました。『XXX』のフューチャリスティックなヴァージョンという感じですね。でき上がってみたらもっとロウな感じになっていて別物になってましたけどね。これは旅の続きなんです。次の作品はこの旅から完全に切り離して、新しい何かをはじめると思います。リズムをもっと変える必要があると感じています。

それから、エフェクト・ヴォーカルを使ったファンキーなヴォーカル・トラックが多いことから、これまでのダークなムードよりも明るさ、それにユーモアを強く感じます。このような変化に理由は思い当たりますか?

JE:自分のユーモアのセンスがまともじゃないんですよ。

シンセはアナログですか? 今回もあまりコンピュータは使っていないんでしょうか?

JE:シンセはアナログではないですね。デジタル機材とモジュールよりもコンピューターを多用しています。賛否両論あるでしょうね。私は使えるものならなんでも使います。

シングルの"ディス・ワンズ・フォー・ザ・チルドレン"や"レット・ユアセルフ・ビー"などを聴くと、シーケンスやシンセの音色など、やはりデトロイト・テクノに通じるものを感じるのですが、ご自身を「デトロイトが出自のエレクトロニック・アーティストだ」と強く意識することはありますか?

JE:「この曲はデトロイト・サウンドにするべきだ」と考えてから曲作りをはじめたことはいちどもないんです。なぜだかデトロイト・サウンドが好きなんですよ。ただ、いまっぽい感じの拡張された新しいデトロイト・サウンドを作ってきたとは思っていて、デトロイト出身のエレクトロニック音楽のプロデューサーのなかで成功している数少ない人間のひとりだと思っています。だからこそ単純明白に自分のことを「デトロイトの新しいサウンド」だと主張しています。否が応でもそうだと思っています。だけど、私の音楽すべてがデトロイトに影響されているわけではありません。

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私はいま28歳です。インターネットがなければ私のことが知られることもなかったかもしれません。これは諸刃の剣ですが、私は変化に対してオープンなのです。そろそろみんなもそうならなくてはいけませんね。


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リリックについてなんですが、本作ではリード・シングルとなった"ディス・ワンズ・フォー・ザ・チルドレン"の言葉がタイトルも含めて特に気になります。"We don't like television"や"We don't like Celebrities"というのはイメージしやすいのですが、"We don't like New Wave"というのはどういった意味合いが込められていますか? 音楽としてのニューウェイヴでしょうか?

JE:ハハハ。私のユーモアのセンスが垣間見えましたね(笑)。

"ディス・ワンズ・フォー・ザ・チルドレン"(「これは子どもたちのために」)というタイトルはメッセージだと考えていいのでしょうか?

JE:まさしくそうです。これは潜在意識のメッセージで、自分自身の人生をコントロールするように、何かの一部分であることを感じるように、そして自信を持つようにといったコマンド的なものが含まれているのです。人間には愛が必要だったり、団結してひとつになることが必要だったりだという意味もあります。そうでもしなければ、人は最後まで自分たちを殺し続けるのです。

そして"I can make you dance"という不敵な言葉に、ダンス・ミュージックとしてのあなたの自信を感じるのですが、あなたにとってダンスフロアの音楽であることはどの程度重要ですか?

JE:とても重要です。人びとをコントロールしたいと思うこともあって、踊っていることを見ることで私の音楽が視覚的にも完成するのです。

では、本作でも"テイク・ミー・オン・セックス・ドライヴ"など、明らかにセクシャルなモチーフがあります。あなたのなかで、それ(セクシャルなモチーフ)が繰り返し現れるのはどうしてでしょうか?

JE:J.G.バラードの『クラッシュ』というSF小説にからインスピレーションを得ています。私と私の前の彼女とで暗がりのなかにいたときに、彼女のために「Lets crash this car and not survive」という詩を書きました。もちろんお気に入りの曲の一つです。もしかしたらザ・ノーマルの"ウォーム・レザレット"へのオマージュと見られるかもしれません。何らかのお返しをしなくてはいけないかもしれませんね。

今回もファンクの要素が強いことからも、あなたの音楽にとってセクシーさは非常に重要なものだと思えます。あなたにとっての、音楽のセクシーさとは何かを定義していただけますか?

JE:セクシーさは多くの意味を孕んでいます。厳しかったりルーズだったり。大きいものから柔らかいものだったり。いろんな意味です。態度だったり雰囲気だったり。セクシーさは意識すべきもので、偶然ではだめで、強くコントロールすべきものです。人びとがセクシーと呼ぶものは曖昧なもので、人によって意味がバラバラです。自信を持つということがふさわしいかもしれません。私は常に自信を持ってスタジオに入っています。

プリンスからの直接的な影響はありますか? 音楽的なものでも、思想的なものでも。

JE:彼のアティチュードは好きです。彼もきっと自信を持ってスタジオに入っているんじゃないかと思います。

"イン・ディープ"はアルバムのなかでも特にディープでスムースですが、ジミー・エドガー流のラヴ・ソングと解釈してもいいでしょうか?

JE:そうですね。音と詞のなかにたくさんの情熱が込められています。とてもディープな曲です。すごく複雑な作業だったのですが、聴いてもらえればわかると思います。

タイトルを『マジェンタ』とした理由を教えてください。

JE:これは銀河の真んなかからくる新しい周波数のことを意味しています。赤紫色の「マゼンタ」と似ていますが違うものです。ほとんど目には見えない紫外線のスペクトルのなかにあります。この色は私たちの周波数と意識から現れるものです。この2、3年のあいだはまだ世のなかでは認識されないでしょう。時間は年々早くなっています。我々はそれに順応し学ぶべきなのです。

アートワークもなかなかインパクトが強く、これまでと違うムードを感じますが、可能であれば説明していただきたいのですが。「彼女」は誰?

JE:彼女は人間性を表す女性であって、起源を表す子どもでもあり、寛容を表す女性、あなたと私であり、わたしとあなたでもあるのです。私たちの持つポテンシャルを多くの人びとが気づきはじめたという変化、この変化の育成の象徴です。心のなかで願うものはなんでも創造できると気づくため、そしていままではこのホログラフィックな生活の中で創りあげてきた全てのものを見るためです。今世でも来世でも、愛を自制することは大きな痛みを伴います。

あなたはまだ十分お若いですが、すでにキャリアとしてはかなり長いです。10代でミュージシャンとして活動をはじめたころから、もっとも変わった部分と変わっていない部分は何だと思いますか?

JE:そうですね、かつては多くのCDを作って来ました。いまでは当時の約10%になっています。ほとんど同じことがレコードに関しても言えますね。工場で働く人にも影響しています。
 私はいま28歳です。もし11年前にいまの私がいたとすれば、まったく別の世界になっていたでしょう。デジタル音楽の変遷も見てきました。だけど私のようにデジタル音楽に関してオープンなプロデューサーもいます。なぜならインターネットがなければ私のことが知られることもなかったかもしれません。これは諸刃の剣ですが、私は変化に対してオープンなのです。そろそろみんなもそうならなくてはいけませんね。

 ありがとう。永遠の愛を。

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